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標準アクション Standard Actions

 移動を別にすると、キャラクターがとる一般的なアクションのほとんどは標準アクションに分類される。

攻撃 Attack

 1回の攻撃を行う行為は1回の標準アクションである。
 近接攻撃:通常の近接攻撃を使用して、自分から5フィート以内の好きな敵を攻撃できる(5フィート以内にいる敵は君に隣接しているものと見なされる)。武器の説明に示されるように、近接武器の中には間合いの長いものもある。一般的な“間合いの長い武器”では、10フィート離れた敵を攻撃できるが、そのかわり隣接する(つまり5フィート以内の)敵を攻撃することはできない。
 素手攻撃:ダメージを与えるためにパンチ、キック、頭突きなどで打撃する行為は近接武器による攻撃とほとんど同様だが、以下のような相違点がある。
 機会攻撃:素手で攻撃を行うと、攻撃の対象となるキャラクターが武装していた場合には、相手からの機会攻撃を誘発する。機会攻撃は君の攻撃より前に行われる。素手攻撃は自分が攻撃する相手以外の敵からは機会攻撃を誘発しない。また、相手が武装していない場合も機会攻撃を誘発しない。
 武装していないキャラクターは機会攻撃を行えない(ただし後述の『“武装している”と見なされる素手攻撃』を参照)。
 “武装している”と見なされる素手攻撃:時に、キャラクターあるいはクリーチャーの素手攻撃が、武器による攻撃と見なされることがある。モンク、《素手打撃強化》の特技を修得しているキャラクター、接触攻撃呪文を相手に叩き込もうとしている魔法の使い手、物理的な肉体武器を持つ全てのクリーチャーは、いずれも武装していると見なされる(『肉体攻撃』を参照)。
 武装しているかどうかという扱いは、攻撃と防御の両面に関わる点に注意(キャラクターは機会攻撃を行うことができる)。
 素手打撃ダメージ:中型サイズのキャラクターによる素手打撃は1d3ポイントの殴打ダメージ(通常通り君の【筋力】修正値が加わる)を与える。小型サイズのキャラクターによる素手打撃は1d2ポイントの殴打ダメージを与える。大型サイズのキャラクターによる素手打撃は1d4ポイントの殴打ダメージを与える。素手打撃のダメージは非致傷ダメージである。(二刀流の攻撃ペナルティなどを考える際には)素手打撃は“軽い武器”と見なす。
 致傷ダメージを与える:君は攻撃ロールを行う前に、自分の素手打撃で致傷ダメージを与えると宣言することができるが、攻撃ロールには-4のペナルティを被る。君が《素手打撃強化》特技を持っているなら、攻撃ロールにペナルティを受けることなく素手攻撃で致傷ダメージを与えることができる。
 遠隔攻撃:君は遠隔武器を使用して、その武器の最大射程内におり、かつ視線に捕らえている好きな目標に対し、矢弾を射出したり武器を投擲したりできる。投擲武器の最大射程は射程単位の5倍である。射出武器の最大射程は射程単位の10倍である。遠隔武器の中には最大射程がもっと短いものもあり、その場合は個々の説明文に明記されている。
 肉体攻撃:爪や噛みつきといった肉体武器での攻撃は、間合い(通常は5フィート)に収めている好きなクリーチャーに対して行うことのできる近接攻撃である。これらの攻撃には最大の攻撃ボーナスを使用することができ、種類に応じたダメージ(通常通り君の【筋力】ボーナスが加わる)を与える。高い基本攻撃ボーナスを持っていたとしても、肉体武器による追加攻撃を行うことはできない。そのかわりに、君は複数の腕や、攻撃を行う能力を持つ身体の一部(種族や攻撃を可能にする能力に記載される)を使用して、追加の攻撃ロールを行う。君が1つの肉体攻撃しか持っていない(噛みつきなど。2回の爪攻撃はこの条件を満たさない)なら、その攻撃によるダメージ・ロールに【筋力】ボーナスの1.5倍を加える。
 肉体攻撃には、尾や翼のような、二次的肉体攻撃と記載のあるものがある。二次的肉体攻撃による攻撃は基本攻撃ボーナスから5を引いた値を使用する。これらの攻撃は種類に応じたダメージを与えるが、ダメージ・ロールには【筋力】修正値の半分しか加えない。
 君は、それぞれの攻撃に使用する手足が残っている限り、肉体武器による攻撃を近接武器を使用した攻撃や素手攻撃と組み合わせて行うことができる。例えば、君は爪による攻撃に使用した手で、ロングソードを使用した攻撃を行うことはできない。この方法で追加攻撃を行う場合、全ての肉体武器は二次的肉体攻撃として扱われる。そのため、これらの攻撃に使用する基本攻撃ボーナスは-5され、ダメージ・ロールには【筋力】修正値の1/2だけを加える。《二刀流》や《複数回攻撃》といった特技は、これらのペナルティを軽減する。
 複数回攻撃:1ラウンドに複数回の攻撃を行うことのできるキャラクターが2回以上の攻撃を行うためには、全力攻撃アクションを取らねばならない(『全ラウンド・アクション』を参照)。
 近接戦闘中の敵に遠隔攻撃を行う:君の仲間のキャラクターと近接戦闘を行っている目標に対して遠隔武器を使用する場合、攻撃ロールに-4のペナルティを受ける。2人のキャラクターが近接戦闘を行っていると見なされるのは、両者が敵どうしで、かつどちらかが相手を機会攻撃範囲に収めている場合である(気絶状態であるなど、何らかの理由で動くことができないキャラクターは、実際に攻撃されていない限り近接攻撃を行っているとは見なされない)。
 ただし目標(目標が大きい場合にはそのうち狙っている部分)が、君の仲間のうち最も近くにいる者から10フィート以上離れていれば、たとえ目標のクリーチャーが仲間と近接戦闘を行っていても、-4のペナルティを受けなくてよい。
 目標が近接戦闘を行っている君の仲間より2段階大きい場合、ペナルティは-2に減少する。目標が近接攻撃を行っている君の仲間より3段階大きいなら、ペナルティはなくなる。
 《精密射撃》:《精密射撃》の特技を持っていれば、このペナルティを受けずに済む。
 標準アクションとして防御的戦闘を行う:攻撃を行う際、防御的戦闘を選択することができる。そうすれば、君は次の君のターン開始まですべての攻撃に-4のペナルティを受け、代わりにその間ACに+2の回避ボーナスを得る。

クリティカル・ヒット Critical Hits

 攻撃を行った際、ダイスの目が20(d20で出目が20)なら、目標のアーマー・クラスにかかわらず命中し、また同時にクリティカル可能状態となる。この攻撃は、クリティカル・ヒットになる可能性がある。実際にクリティカル・ヒットになったかどうかを判定するため、君は即座にクリティカル・ロールを行う。これは、さきほど行った攻撃ロールとまったく同じすべての修正値を用いて攻撃ロールをもう一度行うというものである。クリティカル・ロールでも目標のACに対して命中の効果を得たなら、この攻撃はクリティカル・ヒットである(クリティカル・ロールでは、普通に命中するだけの値が出さえすればよい。もう一度20の目を出す必要はない)。クリティカル・ロールが失敗なら、攻撃は通常の命中となる。
 クリティカル・ヒットになったなら、通常のボーナスを全て適用したダメージのロールを複数回行い、その値を全て加算して合計ダメージを算出する。特に明記されていない限り、クリティカル可能域は20であり、クリティカル倍率は×2である。
 例外:(ローグの急所攻撃のクラス特徴のような)精密さによるダメージや(フレイミング能力のような)特別な武器の特性による追加のダメージ・ダイスはクリティカル・ヒットになっても倍率が適用されない。
 クリティカル可能域が広がる場合:クリティカル可能域が20だけではない場合もある。その場合、より低いダイスの目でもクリティカル可能域に入ったことになる。このような場合、20より低いダイスの目は自動命中ではない点に注意すること。また、命中しなかった攻撃ロールはダイスの目がいくつであってもクリティカル可能状態とはならない。
 クリティカル倍率が増える場合:武器の中には、クリティカル・ヒットで2倍より大きなダメージを与えるものもある(『装備』を参照)。
 呪文とクリティカル・ヒット:攻撃ロールを要する呪文では、クリティカル・ヒットが起こりうる。攻撃ロールを必要としない呪文では、クリティカル・ヒットは起こらない。能力値ダメージや能力値吸収(『特殊能力』を参照)を引き起こす呪文の場合、クリティカル・ヒットの際にはその能力値ダメージや能力値吸収が2倍になる。

魔法のアイテムの起動 Activate Magic Item

 魔法のアイテムの多くは起動を必要としない。しかしながら魔法のアイテムの中には起動を必要とするものもある。ポーション、巻物、ワンド、スタッフなどがそうである。特にそうでないと明記されていない限り、魔法のアイテム1つを起動する行為は1回の標準アクションである。
 呪文完成型アイテム:呪文完成型のアイテムの起動は呪文の発動と同等である。行うには精神集中が必要であり、機会攻撃を誘発する。精神集中が失敗したなら呪文は失われる。また、君は呪文を発動する場合と同様に、防御的にアイテムを発動しようとすることができる。
 呪文解放型、合言葉型、単純使用型のアイテム:これらの種類のアイテムの起動には精神集中が不要であり、機会攻撃も誘発しない。

呪文の発動 Cast a Spell

 ほとんどの呪文は発動に1標準アクションを要する。君はこのような呪文1つを、1回の移動アクションを行う前か後に発動することができる。
 :君は呪文の発動中にもACに対する【敏捷力】ボーナスを保持している。
 構成要素:音声要素(“音声”と略する)のある呪文を発動するためには、君のキャラクターは、はっきりとした声で発音しなければならない。口を封じられているか、サイレンスの呪文の効果範囲にいるならば、音声要素のある呪文を発動することはできない。聴覚喪失状態にある呪文の使い手は、音声要素のある呪文を発動しようとする場合、20%の確率で呪文を台無しにしてしまう。
 動作要素(“動作”と略する)のある呪文を発動するためには、少なくとも1本の手で自由に手ぶりができなくてはならない。縛られている状態だったり、組みつき状態であったり、両手がふさがっていたり使用中だったりする場合には、動作要素のある呪文を発動することはできない。
 物質要素(“物質”と略する)、焦点具(“焦点”と略する)、信仰焦点具(“信仰”と略する)のどれかがある呪文を発動するためには、呪文の解説に指定のある物質を持っていなければならない。特に厄介な物質要素でない限り、これらの物質を用意する行為はフリー・アクションである。呪文構成要素ポーチを持っている限り、物質要素と焦点具のうち、特に価格が記載されていない物に関しては、持っていると見なされる。
 精神集中:呪文を発動するには精神集中をしなければならない。精神集中ができない状況にあるなら、呪文を発動することはできない。呪文の発動を開始したものの、途中で何かが精神集中を妨げた場合、精神集中判定に成功しなければ呪文を失ってしまう。判定のDCは、精神集中を妨げた原因に応じて決まる(『魔法』を参照)。判定に失敗したなら、呪文は効果を発揮せずに立ち消えてしまう。あらかじめ呪文を準備する場合には、準備していた呪文が失われる。準備せずにその場で呪文を発動する場合は、発動が成功しなかったにもかかわらず、1日に使える呪文の数から差し引かれる。
 呪文を維持するために精神集中を行う:一部の呪文は、継続させておくために持続的な精神集中を必要とする。呪文を維持するために精神集中を行う行為は、標準アクションであり、機会攻撃を誘発しない。呪文を発動する際に精神集中を乱す可能性のある事柄は、維持のための精神集中も乱す可能性がある。精神集中が失敗したなら、呪文は終了する。
 発動時間:ほとんどの呪文の発動時間は1標準アクションである。これにより発動した呪文は即座に効果を発揮する。
 機会攻撃:一般的に、呪文を発動した場合には、君を機会攻撃範囲内に収めている敵からの機会攻撃を誘発する。機会攻撃によってダメージを受けたなら、君は精神集中判定(DC10+受けたダメージ+呪文レベル)に成功しない限り、呪文を失ってしまう。発動に1回のフリー・アクションしか必要としない呪文は、機会攻撃を誘発しない。
 防御的発動:防御的発動では機会攻撃を誘発しない。その代わり、やり遂げるには精神集中判定(DC15+呪文レベルの2倍)が必要となる。失敗したなら呪文を失ってしまう。
 戦闘における接触呪文:距離が“接触”となっている呪文は多い。これらの呪文を使う場合、君はまず呪文の発動を行ってから、対象に接触する。呪文を発動したのと同じラウンドに、君はフリー・アクションとして接触する(あるいは接触しようとする)ことができる。移動は呪文を発動する前、目標に接触した後、あるいは発動と接触の間のいずれかで行える。1人の仲間に対して接触するか、あるいは自分自身に呪文を使用するのであれば、自動的に行うことができる。しかし敵に接触するためには、攻撃ロールに成功しなければならない。
 接触攻撃:接触呪文を帯びて敵に接触する攻撃は武器攻撃として扱われるため、機会攻撃を誘発しない。しかしながら、呪文を発動する行為自体は機会攻撃を誘発する。接触攻撃には、近接接触攻撃と遠隔接触攻撃の2種類がある。どちらのタイプの攻撃でもクリティカル・ヒットが起こりうる。接触呪文に対する敵のACは、鎧ボーナス、盾ボーナス、外皮ボーナスを含まない。サイズ修正値、【敏捷力】修正値、および反発ボーナス(もしあれば)はすべて通常通り適用される。
 チャージの保持:呪文を発動したラウンドにチャージ消費を行わないなら、君はいつまででも、呪文のチャージを保持できる。接触攻撃は以後のラウンドで行える。チャージを保持しているとき、何か、あるいは誰かに接触したならば、たとえ意図して触ったのでなくても、チャージ消費を行ってしまう。新たに他の呪文をチャージしたなら、チャージ保持中の接触呪文は失われる。1回の標準アクションで、1人の仲間に接触できる。1回の全ラウンド・アクションを行なえば、最大で6人の仲間に接触できる。また別の選択肢として、チャージ保持中に通常の素手攻撃(あるいは肉体武器による攻撃)を行うことができる。この場合、君は武装しているとは見なされず、通常に攻撃する場合と同様に機会攻撃を誘発してしまう。君の素手攻撃や肉体武器による攻撃が機会攻撃を誘発しないのであれば、こういった攻撃でも機会攻撃は誘発しない。攻撃が命中したら、素手攻撃あるいは肉体項武器によるダメージを与え、呪文のチャージ消費が行われる。攻撃が失敗したなら、君はチャージを保持し続ける。
 戦闘における遠隔接触攻撃:呪文の中には、呪文の発動の一部として遠隔接触攻撃を行うものがある。この遠隔接触攻撃は呪文の発動の一部であり、個々のアクションを必要としない。防御的発動を行ったとしても、遠隔接触攻撃は機会攻撃を誘発する。特記ない限り、遠隔接触攻撃は以降のターンまで保持しておくことはできない。
 呪文の解除:稼働中の呪文を解除する行為は機会攻撃を誘発しない1回の標準アクションである。

全ラウンド・アクションを開始する/完了する Start/Complete Full-Round Action

 “全ラウンド・アクションを開始する”という標準アクションによって、君は全ラウンド・アクションを開始し、次のラウンドにもう1回の標準アクションを消費して、これを完了することができる。君はこのアクションを使用して、全力攻撃、突撃、疾走、撤退の各アクションを開始したり完了することはできない。

防御専念 Total Defense

 標準アクションとして、防御に専念することができる。君は1ラウンドの間、自らのACに+4の回避ボーナスを得る。君のACの上昇はこのラウンドの開始時点から始まる。防御専念は、防御的戦闘と組み合わせたり、《攻防一体》特技の利益と組み合わせたりすることはできない。防御専念を行っている間は、機会攻撃を行うことはできない。

特殊能力の使用 Use Special Ability

 特殊能力の使用は標準アクションである場合が多い。しかし標準アクションか、全ラウンド・アクションであるか、あるいはアクションでないかは、それぞれの能力ごとに定められている。
 擬似呪文能力(擬呪):擬似呪文能力の使用は呪文の発動のように働く。つまり精神集中を必要とし、機会攻撃を誘発する。擬似呪文能力は中断されうる。精神集中が破れたならば、能力の使用は失敗し、その試みは、能力を使った回数のうちに数える。擬似呪文能力は、その能力や同名の呪文の解説に特に記載がない限り、1標準アクションの発動時間を持つ。
 擬似呪文能力の防御的発動:呪文を発動する場合と同じように、擬似呪文能力の防御的な使用を試みることができる。精神集中判定(DC15+呪文レベルの2倍)に失敗したなら、能力を使うことはできず、その試みは、能力を使った回数のうちに数える。
 超常能力(超常):超常能力の使用は通常、標準アクションである(各能力の説明で特に定義されている場合はこの限りではない)。超常能力の使用は中断されず、精神集中を必要とせず、機会攻撃を誘発しない。
 変則的能力(変則):変則的能力の使用はふつう、アクションではない。変則的能力のほとんどは反射的かつ自動的に発揮されるからだ。アクション扱いとなる変則的能力は通常、標準アクションであり、中断されることがなく、精神集中を必要とせず、機会攻撃を誘発しない。

移動アクション Move Actions

 一部の移動に関係した技能を除き、ほとんどの移動アクションは判定を必要としない。

移動 Move

 移動アクションのうちもっとも単純なのが、君の移動速度分の距離を移動するという行為である。君が自らのターンにこのような移動アクションを行ったなら、君はそのターンに5フィート・ステップを行うことはできない。
 登攀(移動速度の1/4の距離まで)や水泳(移動速度の1/4の距離まで)といった標準的でない移動モードのほとんどもこの分類に含まれる。
 登攀速度の上昇:〈登攀〉判定に-5のペナルティを被ることにより、1回の移動アクションとして、自らの移動速度の1/2の距離を登攀することができる。
 這い進む:君は1回の移動アクションとして5フィート這い進むことができる。這い進む行為は、君が這い進む経路上で君を機会攻撃範囲に含むすべての攻撃者から機会攻撃を誘発する。這い進んでいるクリーチャーは伏せ状態として扱われる。立ち上がる行為は移動アクションであり、機会攻撃を誘発する。

呪文を向ける/向け直す Direct or Redirect a Spell

 呪文の中には、呪文を発動した後で、効果を新たな目標や範囲に向け直すことができるものがある。1つの呪文を向け直す行為は移動アクションであり、機会攻撃を誘発せず、精神集中も必要としない。

武器を1つ抜く/鞘に収める Draw or Sheathe a Weapon

 戦闘で使用できるようにするべく武器を抜いたり、その手を自由に使えるようにするために武器を1つしまうといった行為は、それぞれ1回の移動アクションを要する。このアクションはまたワンドのような、簡単に手に届く位置で運搬している、武器に似た物体に関しても適用される。もし君が武器や武器に似た物体を袋にしまっていたり、簡単に手の届かない位置で運搬していたなら、このアクションは“しまってあるアイテムを1つ取り出す”アクションとして扱う。
 君の基本攻撃ボーナスが+1以上であるなら、君は1つの武器を1回のフリー・アクションで、1回の通常移動と組み合わせて抜くことができる。《二刀流》特技を持っているなら、軽い武器か片手武器を2つ同時に、通常1つの武器を抜くのに必要なのと同じ時間で準備することができる。
 遠隔武器と共に使用するために矢弾(アロー、ボルト、スリング・ブリット、シュリケンなど)を抜く(取り出す)行為はフリー・アクションである。

アイテムを取り扱う Manipulate an Item

 ほとんどの場合、アイテムを1つ動かしたり取り扱ったりする行為は1回の移動アクションである。
 これには、アイテムを1つしまう、重い物体を1つ動かす、扉を開くなどといった行為が含まれる。こういった行為の実例および、個々の行為が機会攻撃を誘発するかどうかについては、表『戦闘中のアクション』を参照。

乗騎に乗る/降りる Mount/Dismount a Steed

 馬に乗ったり降りたりする行為はそれぞれ1回の移動アクションである。
 素早く乗り降りする:君はDC20の〈騎乗〉判定に成功することにより、1回のフリー・アクションで乗騎に乗るか降りることができる。判定に失敗したなら、乗ったり降りたりする行為は1回の移動アクションとなる。君は、そのラウンドに乗ったり降りたりする行為を1回の移動アクションとして行うことができないような状況では、素早く乗り降りすることを試みることができない。

盾を1枚準備する/使わない状態にする Ready or Drop a Shield

 盾ボーナスを得るために1枚の盾のストラップに腕を通す行為や、1枚の盾のストラップから腕を抜いて盾を落とし、盾の側の腕を他の目的に使用できるようにする行為は、それぞれ1回の移動アクションを要する。基本攻撃ボーナスが+1以上であるなら、君は1枚の盾を準備したり使えない状態にする行為を1回のフリー・アクションで、1回の通常移動と組み合わせて行うことができる。
 運搬している(が着用していない)盾を落とす行為は1回のフリー・アクションである。

立ち上がる Stand Up

 伏せ状態の姿勢から立ち上がる行為は1回の移動アクションを要し、機会攻撃を誘発する。

全ラウンド・アクション Full-Round Actions

 全ラウンド・アクションを行うにはまるまる1ラウンドが必要である。そのため、標準アクションや移動アクションと組み合わせることはできないが、全ラウンド・アクション自体がいくばくかの距離の移動を含んでいない限り、1回の5フィート・ステップと組み合わせることができる。

全力攻撃 Full Attack

 基本攻撃ボーナスが高かったり(『クラス』の基本攻撃ボーナスを参照)、2つの武器や双頭武器で戦っていたり、その他何らかの理由があって、1ラウンドあたりの攻撃回数が2回以上である場合、追加攻撃を行うためには全力攻撃アクションを使わなければならない。各攻撃の目標を前もって決めておく必要はない。先に行った攻撃の結果を見てから、次の攻撃の目標を決めればよい。
 全力攻撃中に行える移動は1回の5フィート・ステップだけである。ステップは攻撃の前、後、あるいは攻撃と攻撃の間のいずれかで行える。
 基本攻撃ボーナスの値によって複数回攻撃が可能となっている場合には、攻撃を、ボーナスの高い順に行わなくてはならない。2つの武器を使用している場合には、どちらの武器で先に打撃してもかまわない。双頭武器を使用している場合には、武器のどちらの端で先に打撃してもかまわない。
 攻撃アクションか全力攻撃アクションかを選択する:最初の攻撃の後、その結果を見てから、残りの攻撃を行うことを放棄して代わりに1回の移動アクションを行うことに決めてもよい。すでに5フィート・ステップを行なっていた場合には、移動アクションを使用して実際にいくばくかの距離を移動することはできない。しかし、別の種類の(訳注:物理的な距離の移動を伴わない)移動アクションを行うことはできる。
 全ラウンド・アクションとして防御的戦闘を行う:全力攻撃を行う際、防御的戦闘を選択することができる。そうすれば、君は次の君のターン開始まですべての攻撃に-4のペナルティを受け、代わりにその間ACに+2の回避ボーナスを得る。

呪文の発動 Cast a Spell

 発動時間が1ラウンドの呪文の発動は1回の全ラウンド・アクションである。呪文は呪文の発動を開始したラウンドの次のラウンドの君のターンの開始時に効果を発揮する。そのターンには、呪文が完成した後で、通常通りに行動することができる。
 発動に1分かかる呪文は、1分後の自分のターンの直前に効果を発揮する(君はそれまでの10ラウンドの間、ずっと全ラウンド・アクションで呪文の発動を行っている)。これらのアクションは途切れずに連続して行わねばならず、途中で邪魔が入ってはならない。さもなければ、呪文は自動的に失敗する。
 発動時間が1ラウンドかそれ以上かかる呪文を開始したならば、詠唱や身振りや精神集中を、最初のラウンドから(少なくとも)次のラウンドの自分のターンの直前まで継続しなければならない。呪文を開始してから完了するまでの間に精神集中が途切れたら、その呪文は失われてしまう。
 1全ラウンド以上にわたって呪文の発動を継続しなければならない場合でも、機会攻撃を誘発するのは呪文の発動を開始したときだけである。呪文の発動を行っている間、君は周囲のいかなるマス目も機会攻撃範囲に収めない。
 このアクションはこれ以外の点では、『標準アクション』の項にある『呪文の発動』と同様である。
 修正呪文の発動:ソーサラーとバードは修正呪文(呪文修正特技によって強化された呪文)の発動に通常の呪文より長い時間を要する。その呪文の通常の発動時間が1標準アクションであったなら、修正前の呪文の発動はソーサラーやバードにとっては1回の全ラウンド・アクションである(《呪文高速化》の特技で修正された特技は例外で、発動時間は1回の即行アクションである)。これは発動時間が“1ラウンド”の呪文とは扱いが異なるので注意すること。呪文は発動を開始したのと同じラウンドに効果を発揮し、次のラウンドまで詠唱や身振りや精神集中を続ける必要もない。発動時間がもっと長い呪文の場合、修正呪文の発動には追加でさらに1回の全ラウンド・アクションを要する。
 クレリックやドルイドがキュアインフリクトサモンの呪文の修正版を任意発動する場合、通常より長い時間を要する。発動時間が1標準アクションである呪文の修正版を任意発動する行為は1回の全ラウンド・アクションである。より発動時間の長い呪文の場合には、追加でさらに1回の全ラウンド・アクションを要する。

移動困難な地形で5フィート移動する Move 5 Feet through Difficult Terrain

 移動に支障があるような状況にあり、5フィート(1マス)移動するのに充分なだけの移動速度すら得られないことがある。こういった場合、1回の全ラウンド・アクションを使用して、好きな方向に5フィート(1マス)移動することができる。この移動は斜め方向でも構わない。見かけ上は5フィート・ステップに似ているが、同じものではなく、通常通りに機会攻撃を誘発する。

疾走 Run

 1回の全ラウンド・アクションとして疾走を行える。この場合、さらに5フィート・ステップを行うことはできない。疾走するなら、通常の移動速度の4倍(重装鎧を着ているなら3倍)までの距離を直線状に移動することができる。《疾走》特技を持っていない限り、ACへの【敏捷力】ボーナスは失われる。
 【耐久力】の値と同じラウンド数までは問題なく疾走することができるが、その後も疾走を続けたいなら、【耐久力】判定(DC10)に成功しなくてはならない。疾走する限り、毎ラウンド判定を行わねばならず、この判定のDCは判定に成功するごとに1ずつ上昇していく。この判定に失敗したなら、疾走を止めなければならない。限界まで疾走したキャラクターは、1分間(10ラウンド)休憩をとらなければ、再び疾走することはできない。休憩している間、キャラクターは通常の移動アクションより早く移動することはできない。
 君は移動困難な地形を疾走することはできない。また移動する先を見ることができない場合にも疾走は行えない。
 疾走は負荷のない状態でのキャラクターで約時速13マイルの速度となる。

特殊能力の使用 Use Special Ability

 特殊能力の使用は通常1標準アクションである。しかしながら、中には全ラウンド・アクションを要するものもあり、それは個々の能力ごとに定義されている。

撤退 Withdraw

 近接戦闘からの撤退は1回の全ラウンド・アクションである。撤退する場合、君は自らの移動速度の2倍までの距離を移動できる。君が移動を開始したマス目は、君が見ることのできるいかなる敵からも機会攻撃範囲内に収められていないものと見なされる。そのため、君がそのマス目から移動して出る際には、可視状態の敵は君に対して機会攻撃を得ない。不可視状態の敵は君に対して機会攻撃を得る。君は盲目状態にある場合、戦闘からの撤退を行えない。君は撤退を行うのと同じラウンドには5フィート・ステップを行うことができない。
 撤退の過程において、君が機会攻撃範囲内にあるマス目(君が移動を開始したマス目以外のもの)から移動して出たなら、敵は通常通りに機会攻撃を得る。
 君は専用の移動速度が記載されていない移動形態を用いて撤退を行うことはできない。
 アクションの名称は“撤退”であるが、君がこれによって完全に戦闘から逃れ去ることができるわけではないのに注意。
 行動の制限と撤退:君が各ラウンドに1回の標準アクションだけしか行えないような制限を受けていた場合には、1回の標準アクションとして撤退を行うことができる。この場合、君は最大で自らの移動速度分の移動を行える。

フリー・アクション Free Actions

 フリー・アクションにはいっさい所要時間がないが、君が1ターンに行うことのできる回数に制限があるかもしれない。フリー・アクションはめったに機会攻撃を誘発しない。以下によく用いられるフリー・アクションの例をいくつか挙げておく。

呪文の集中を中止する Cease Concentration on Spell

 君は1回のフリー・アクションとして、稼働中の呪文1つの集中を中止することができる。

アイテムを1つ落とす Drop an Item

 アイテムを1つ、君の接敵面か隣接するマス目に落とす行為は、1回のフリー・アクションである。

伏せる Drop Prone

 自分の接敵面に伏せる行為は1回のフリー・アクションである。

話す Speak

 原則的に、何かを話す行為は1回のフリー・アクションであり、しかも君のターンでなくても行うことができる。1、2文ほどよりも多くの言葉を発する行為は原則として、1回のフリー・アクションの範疇を超えている。

即行アクション Swift Actions

 即行アクションは非常に短い時間しか必要としないが、フリー・アクションに比べるとより多くの努力と精力を傾けなければならない。君は1ターンにつき1回の即行アクションを、他のアクションを行う能力に影響を与えずに、行うことができる。この点において即行アクションはフリー・アクションに似ている。しかし君は、他にどんなアクションを行っているかにかかわらず、1ターンにつき1回の即行アクションしか行うことはできない。君は、通常であれば1回のフリー・アクションを許可されるようなときであればいつでも、1回の即行アクションを行うことができる。通常、即行アクションは呪文の発動、特技の起動、魔法のアイテムの起動が含まれる。

高速化した呪文の発動 Cast a Quickened Spell

 高速化した呪文(《呪文高速化》特技を参照)1つか、あるいは発動時間が“1フリー・アクション”もしくは“1即行アクション”の呪文1つを、1回の即行アクションとして発動することができる。特定の1ラウンドには、このような呪文を1つだけしか発動することができない。ただしこのような呪文は、通常の1ラウンドに1つという呪文の制限には数えられない。即行アクションとして呪文を発動する行為は、機会攻撃を誘発しない。

割り込みアクション Immediate Actions

 割り込みアクションは即行アクションに似ており、非常に短い時間しか必要としないが、フリー・アクションに比べるとより多くの努力と精力を傾けなければならない行為を表す。しかし即行アクションと異なり、割り込みアクションはいつでも――たとえ君のターン中でなくても――行うことができる。フェザー・フォール呪文の発動は割り込みアクションである。というのも、この呪文はいつでも発動できるからである。
 君のターン中に割り込みアクションを使用するのであれば、それは即行アクションと同じであり、そのターンの即行アクションとして数える。君が1回の割り込みアクションを、君のターン中でない時に使用したならば、君は君の次のターンが終了した後でなければ、次の割り込みアクションや即行アクションを行うことができない。また君は、立ちすくみ状態にある間は割り込みアクションを使用することはできない。

その他のアクション Miscellaneous Actions

 以下のアクションは達成するために必要な時間が一定ではなかったり、そうでなければ、他のアクションよりも異なって働く。

5フィート・ステップを行う Take 5-Foot Step

 君は他の種類の移動を一切行わないラウンドであれば、1回の5フィート・ステップを行うことができる。5フィート・ステップは決して機会攻撃を誘発しない。1ラウンドには2回以上の5フィート・ステップを行うことはできない。またそのラウンドにこれ以外で実際にいくばくかの距離を移動するのであれば、5フィート・ステップを行うことはできない。
 君はそのラウンドに行う他のアクションの前、途中、あるいは後に5フィート・ステップを行うことができる。
 君は、移動困難な地形や暗闇のために移動に支障があったりすると、5フィート・ステップを行うことはできない。移動速度が5フィート以下のクリーチャーは5フィート・ステップを行うことはできない。なぜなら、これほどまで遅いクリーチャーにとっては、5フィートの移動ですらも移動アクションを要するからである。
 君は専用の移動速度が記載されていない移動形態を用いて5フィート・ステップを行うことはできない。

特技の使用 Use Feat

 特技の中には戦闘において特殊なアクションを取ることを可能にするものがある。またそれ自体はアクションを必要としないものの、もともと行うことのできるなんらかの行為を試みる際に、何らかの利点を与えてくれるものがある。また戦闘ルール内で使用するためのものではない特技もある。個々の特技の説明を読めば、それらの特技に関して君が必要とする情報を得ることができる。

技能の使用 Use Skill

 ほとんどの技能の使用は標準アクションであるが、中には移動アクションであるもの、全ラウンド・アクションであるもの、あるいはいずれとも異なるものなどがある。
 個々の技能の説明文を読めば、その技能の行使にどんなアクションが必要なのか知ることができる。
最終更新:2023年07月03日 01:32