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『リナのセクハラオーディション・陵辱ルート』

 

 

 

 

 

 

 

   1

 

 机や椅子の色濃い斜影が奇妙なアートオブジェのように廊下側へ伸び、放課後の教室は前衛芸術家の個展会場であった。

 壁の時計を見上げた。夕方の4時。

 練習ダンジョンに潜っているなら、かなり歩を進めているはずの時間だった。

 なのに、こんな所で何もせず、影が伸びるのをうすらぼんやりと眺めているだけか――俺は。

(……なにやってんだかよ…………)

 机に脚を投げ出し、我ながら呆れて、「チッ──」と舌打ちする。後ろ足で立たせた椅子をギシギシ鳴らしながら、

「薙原」

「おわっ!」

 ふいに近くで発せられた声にびっくりしてしまい、ガタガタと派手な音を立てて椅子を滑らした。

 急転する光景。崩されるオブジェ。

 悲鳴を上げる芸術家──はいない。

 騒音はすぐに止んだ。

「……何やってんの?」

 学校の天井というのは何でこう無機的なんだろうかと考えている俺の視界に入って来たのは、鈴木だった。

「天井はその空漠さ故にもっと有効活用されるべき空間として無限大の可能性を秘めているのではないかという研究論文を然るべき機関に提出その成果をビジネスに転用特許独占儲けてウハウハするためには天井はもっと無為無用になるべき空間であるために天井十カ年計画を練りに練ってそのあまりの完全無欠天網恢々ぶりに卒倒しそうになっていたところだ」

 呆れたような目で見下ろされた。

 細い脚がスカートの中から伸びているのが、いやでも目につくアングルであり、少しドキッとしてしまう。しかしパンツまでは見えない距離と角度。考えてるな。

「鈴木か……」

 俺はばつの悪い顔で立ち上がった。

「何か用かよ?」

「なんか、ふてくされた顔してるわね」

「べつに……」

 そんな顔をしているのかと思いながら、倒してしまった後ろの机と自分の椅子を直す。

 俺をじろじろ見ながら、鈴木は腕を組んだ。そして言葉を続けた。

「リナ……今日が二次選考だっけ?」

「知らねーよ。勝手にアイドルにでもなるんじゃねーのか」

「…………」

 鈴木はすぐに言葉を返さなかった。

 ほんの少し、黄昏に染まる教室に相応しい沈黙が降りる。

 鈴木の口が再度開き、沈んだ空気は破られた。

「アンタがどう思ってるか知らないけど……調べたから一応言っておくわ」

 あまり人と話したくない気分だったかもしれない。俺は鈴木から視線を逸らして横顔を向け、座り直してまた脚をドカッと置いた。

 しかし、次の言葉で俺の俯いた顔は跳ねるように上がっていた。

「マロプロのプロデューサー、好色で有名なんですって。オーディションは、すべて勝者の決まった出来レース……応募してきた子から、好みの子を見つくろってやらしい事を迫るらしいわ」

 頭(こうべ)を巡らし、鈴木と視線を合わす。鈴木はじっと俺の顔を見返した。

「…………。……本当の話か?」

「噂よ。確証はないわ。確かめるなら、行くしかないわね」

「…………」

 鈴木の顔が教室の時計に逸れ、

「時間、今からなら間に合うはずよ」

 また戻ってきた。

 その目には、俺を射抜く眼光が宿っていた。

「意地をはりたいなら、ここに居ればいいわ。リナの事が心配なら──」

 心臓がドクン、と強い鼓動を打つ。

 俺は──

 

 キュ、と奥歯を噛みしめた。

 

 

 

 

   2

 

 ふわふわとした足取りで控え室の入り口をくぐると、一番近くの空いている腰掛けに落ち着き、

「はぁ……緊張した」

と、リナは深い溜め息をひとつ吐いた。

 たった今、オーディションでの出番を終え、戻ってきたのである。

 二次選考だけあって、会場内の雰囲気も前回と比べて明らかに格段上の熱気を見せていた。

「周りの子……みんな可愛かったなあ……」

 水着の着用を義務づけられたため、会場はさしずめ、水着美女の揃い踏みといった観であった。

 リナもアイドルを目指しているだけあって、自分の容姿にそこそこの自信は抱いているが、正直敵わないと思ってしまうほどの、モデル級の美人が何人もいた。はっきりと負けを感じたプロポーションの持ち主もごまんと。

「スリーサイズかあ……」

 リナは水着に包まれた自分の身体を見下ろした。

 上から85……57……86。数字だけなら、他の子に負けてないと思う。このプロポーション作りのために、けっこう頑張ってきたつもりだ。胸はちょっと垂れ気味だけどそれは自重のせいだしある方……だと思うし、ウェストは厳しく管理したし、冒険で鍛えているボディには無駄なぜい肉はない……ハズ。

 自分のカラダをそういう風に見るのは気恥ずかしさもあるけど、

「アイドルになるためには仕方ない事だもんね……」

と、自分で自分を納得させるしかなかった。女の子としての魅力もアイドルには重要な要素だった。アイドルは仕事であり商売であり、女性差別だとかいう話は的外れな議論なのだ。それを肯定し、むしろ武器として利用できるようにしないといけないのだった。

(合格……できるかな……)

 何せ、今回のオーディションの主催は、業界でもトップクラスの芸能プロダクションである。集まってくる女の子のレベルは他よりも数段違っていた。超難関といっていい。

 だが、もしここのプロデューサーの目にとまることができれば、アイドルになるという夢は半ば成功したも同然となるのだ。

 しかも今日来ているのは、マロプロでも屈指と呼ばれている敏腕プロデューサーだった。彼が拾い上げたアイドルが各メディアやチャートシーンを賑わせているのは、いちいち調べる必要もないほどである。

 そんなオーディションを、二次選考まで残ることができたのは、かなりの大チャンスと言っていい。

 リナがアピールしていた時に注がれていた視線は、サングラスで遮られこそしていたが、その全身から漂っていたオーラは、

(これが業界ナンバーワンのプロデューサーなんだ……)

と思わせるぐらいの迫力というか、存在感があった。

 その時、控え室のドアが開いた。

「あの竜胆リサさん」

「あ、は、はいっ!?」

 いきなり入ってきた若い男に突然話しかけられ、リナは素っ頓狂な声を出すところだった。

 よく見れば、会場でプロデューサーの横にいたAD(アシスタントディレクター)であった。

「あの……プロデューサーからお話があるそうでして……ちょっと別室に来てもらえませんか?」

 鎮まりつつあった鼓動が、また一気にドクンと高まった。

(うそ──)

と脳裏に過ぎったのは一瞬で、

「は、はいっ!」

 リナは返事とともに立ち上がっていた。

(なんだろ……もしかして合格! とか?)

 それまで不安に満ちていたリナの目が、輝きに開かれる。

 心が浮き立つのを感じながら、リナはADの後について廊下を歩いていった。

 

 

 間近で見るムンクPはテレビで見るよりがっしりとした体格で、精悍そうな顔つきをしていた。

 彼が言葉を発すると、まるで存在感の塊がぶつかってくるようで、リナは幾度も生返事をしそうになるほどだった。

 こういうのをカリスマっていうのかな……さすがは芸能界きっての大物プロデューサーと言われる人だわ──と、リナは緊張の中でそう感心した。

 そんな男が、リナを気になったという。

 リナは舞い上がってしまいそうだった。

(アイドルになれるかもしれない)

 夢が現実になる……!

 そう考えただけで喉が渇いてきて、リナは勧められるままにジュースのグラスを手に取った。

 

 

 

 

   3

 

 オーディションは関係者だけで催されており、参加者の知人でも入ることは禁じられていたが、「危急の用事があって」と入り口の受付係を何とかだまくらかし中に入った。

 ロビーには参加者らしき少女たちがちらほらと見えたが――いない。

 ユウキはその中の一人をつかまえて訊ねた。

「おい、竜胆リナっていう参加者知らないか」

「え? エントリーしてる子なら、審査中じゃなければ控え室やここにいると思うけど」

 そう教えられ、ロビー脇の通路に入る。

 控え室に続くドアの前は『関係者以外立ち入り禁止』という立て札で塞がっていたが、構わずにまかり通った。

 楽屋を一つ一つ回り、中にいた娘たちにリナの特徴を告げて行方を訊ねると、

「ああ、その子なら確かさっき、ADに連れられてどっか行ったわよぉ」

と答える娘がいた。

「ホ――ホントか!?」

「嘘言うわけないじゃん。いいわよねぇ、個人的に呼んで貰えるなんてさー。あーあ、私もお呼ばれしたいなぁ」

 ユウキは奥歯を噛んだ。胸のモヤモヤが色濃くなる。

 良くない予感がした。

 踵を返して出て行こうとすると、娘が逆に訊ねてきた。

「ねぇ、あんた、あの子の彼氏ぃ?」

「ただの知り合いだよ」

「ウッソー」

 ケタケタと笑う娘。あまり品がよろしそうではなかった。

「急いだ方がいいかもよぉ」

 娘は室内を見渡し、他に聞こえないようヒソヒソと耳打ちしてきた。

「……たぶんあの子、あの人に呼ばれたと思うから」

「……ムンクPってやつか?」

「……あ、なるほどねぇ」ニヤリと笑う娘。「わかってんなら、早く行きなよ」

「すまないっ!」

 ユウキは弾丸のように控え室を飛び出していった。

 

 

「う、うう……ユウキッ!」

 痺れ薬で動けないリナの白い喉から、か細い悲鳴が上がる。

 言葉をやや取り戻しても、依然身体が言うことを聞かないリナの様子に、ムンクの口端が歪んだ。

「さーて、最終審査といこうか」

 

 ムンクの指先が下の水着の隙間に入り込もうとした時──

 

「ダメだ……この先は……」

「うるさいな! だから知り合いって言ってるだろ!」

 廊下から大きな声が上がり、揉み合うような音が聞こえてきた。

 通せんぼしようとするADらしき男を荒っぽく壁に押しやると、ユウキはその先にあった部屋に飛び入った。

 そこには──

 

 

 

「…………あれ?」

 

 

 

 ──人っ子一人いなかった。

「……え……?」

 ユウキは怪訝な目つきで部屋内を見渡した。

(おかしい……部屋の外で押し問答してる時は、確かに……人の気配がしたのに……?)

 とりあえず、ユウキは部屋の中をうろうろと歩き回った。

 だが、ソファやテーブル、観葉植物などが応接室然として置かれた室内には、どこにも人の影など見当たらない。

 壁にでっかい鏡が張ってある。それ以外特に目立ったものもなく、テーブルの上にある飲みかけのジュースのグラスに水滴が浮いているのが、唯一の人の居た証拠であった。

「き、君……」

 遅れてADが入ってきた。ユウキと同じく室内を見回し、「あれ?」といった顔をする。

「おい!」ユウキはADの胸ぐらを掴んで吊り上げた。「ここに誰かいただろ! どこにいった!?」

「ぐふっ……な、何するんだ……!?」

「答えろ!」

「し、知らない……!」慌てて首を振るAD。「俺はただ審査の邪魔が入らないよう……部屋の前で見張っているよう言われただけだ……!」

「ムンクってやつだよな」

「そ、そうだ」

 ADから手を離し、ユウキは、「くそっ」と舌打ちした。

 通路の奥に非常口のような扉が見えた。あるいは、そこから出て行ったのかもしれない。

「ゴホッ、ゴホッ……何も言わずに移動するなんて当たり前さ。芸能界で一番偉くて忙しいプロデューサーなんだから」

「そいつがリナを連れてくるよう指示したんだろ」

「あ、ああ。気に掛かったから個人的に面談したいと言ってね。……しかし居ないってことは、もう終わったんだろう。だいたい、君は何の用があってここに来たんだ」

「知り合いに会いに来ちゃ悪いのかよ」

「当たり前だ!」怒りを露わにするAD。「今は、無関係者お断りのオーディション中だぞ!?」

「わかった。無理に押し入ってすまなかった」

 そう言うと、ユウキはADを押し退けて部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

   4

 

「ふぅー……間一髪だった」

 ムンクは額に浮かんだ冷や汗を拭った。その腕の中には依然、リナが捕えられていた。

 そして彼らの目の前には、ユウキとADが言い争う光景が見えていた。

 

 ──1枚の鏡を隔てて。

 

 それはマジックミラーであった。ムンクとリナがいる暗い部屋の中は、決してあちら側には映らない。

 ユウキが乱入する少し前、廊下の騒ぎを敏感に察知したムンクは、秘密裏に作らせてあった隣の隠し部屋にいち早く待避したのだ。まだ身体の自由が効かないリナは、ムンクに抱え上げられて連れ込まれるしかなかった。

 さきほど弄ばれていた時と変わらない胸をはだけたままのあられもない姿で、リナは涙をこぼしながら、

「ユウキ……! ユウキィ……!」

と、鏡の向こう側にいる幼なじみの少年に向かって何遍も名を呼んだ。

 だが、無人の室内で戸惑いを隠せない顔つきを盛んに巡らせているものの、赤毛の少年はリナの声に気付く素振りもない。

 腹に力が籠もらないリナの声は、あまりにか細すぎて届かないのかもしれない。

 リナ自身もそれに気付き、悲痛に顔を歪ませた。

「ユウキィ……!」

 そんな少女を両腕に抱え込んでいるムンクといえば、ここへ逃げ込んだ時の慌てぶりはどこへやら、グフフと余裕の含み笑いを発した。

「おうおう、彼はキミの関係者──いや、恋人か何かかい? キミのその様子、彼のあの必死な表情……間違いないね、そうだね、そうなんだね? オレは凄腕のプロデューサーだから、その辺はすぐ見抜けるんだよ。いやいやいや、突然のハプニングでビックリしたけど、これはこれで面白いことになったようだ。ドッキリなどのやらせより遥かに素晴らしい状況じゃないか!」

 そう言いながら、今度は目の下の汗を拭う。

(ここに隠し部屋を作らせたのはつくづく正解だったな)

 いつも部下に見晴らせているとはいえ、比較的人が出入りしやすい場所で事に及ぶのは、さすがに「自称大物」のムンクでも幾ばくかの不安があった。いや、大物を自負すればこそ、簡単に尻尾を出して権勢の座から転落するような惨めな結果は出したくない──でもスケベな事はしたい。

 目星をつけた娘にアイドルにすることを約束する代わりに、そのカラダを要求する──天下のマロプロからのデビューを秤にかけ、その身を差し出す覚悟を決める少女は多かった。

 後は誰にも邪魔されない場所があれば、アイドルを目指すうら若い娘たちの魅力的なカラダを、思う存分心ゆくまでしっぽりと楽しめる。

 だが、オーディションは大抵の場合外部の施設を使うので、そう上手くいくとはなかなか限らない。

 そこで、ムンクはオーディションをなるべく特定の会場で行うことにした。それも、金と欲望に簡単に転びそうなオーナーがいるところを狙って――その白羽の矢が立ったのが、この施設だったのだ。

 ムンクはオーナーと昵懇の中になり、金と女を与える代わりに、このVIPルームを作らせた。オーナーである初老の男はムンクの考えを察し、「時々私にもいい思いをさせてくださいよ……」と下卑に笑って了承した。

 近くにあった一人用のソファを鏡の前に引き寄せて座ると、ムンクはリナを膝の上に乗せ、先ほどとまったく同じ体勢になった。

 鏡の向こう側から漏れる光を浴び、リナのからだがなめらかな光沢をもって浮かび上がる。

 その艶めかしいボディラインを眺め、舌なめずりをするムンク。

「さあ、仕切り直しといこうじゃないか。個人審査の続きだ……!」

「ひゃあっ……! い、いや……!」

 再び我が身に降りかかる陵辱の予感に、リナは恐怖と嫌悪感で喉を震わせた。舌は比較的回るようになったが、全身に行き渡った薬の効果はいまだ切れる気配を見せず、ムンクに背後から絡み取られるように抱えられ、為されるがままで拒むことすら出来ない状態だった。

(ユウキ、お願い、気付いて……!)

 その心の叫びを聞き届けたのか、ユウキの視線がリナと合った。

(ユウキ……!!)

 リナの唇がほころぶ。

 ……だが。

 ユウキの視線は少しも触れず、すぐに反らされてしまった。

(……!?)

 呆然とするリナ。

 今、確かに見つめ交わしたハズなのに……!?

(──まさか、これ……マジッ──)

 リナの思考は突如として中断された。ムンクの愛撫がいよいよ再開されたからだ。

 幾多の美少女アイドルを食いまくったと噂される好色プロデューサーの魔の手が、リナのしなやかではりつやのある肢体をいやらしく這い回ってゆく──

「う~゙、やっぱり年頃の子の肌はピチピチでいいねぇ。特にキミは惚れ惚れするほど綺麗だよ。冒険者を目指すだけはあるね~v

「あ、あ、あァ…………!」

 今度は、さっきよりも感じてしまう。太い指で乳房を揉みしだかれ、先端をコリコリと弄ばれるのを。耳の裏から鎖骨までヒゲの生えた口で舐められ、吸われ、撫でられるのを。

「ん、んっ……!」

 ムンクが与えてくる刺激を、どうしても感じてしまうのだった。

 からだをいやらしくまさぐられるにつれ、リナの吐息が徐々に早くなり、頬の赤みが次第に鮮やかになってゆく。

「や……や、はぁ、はぁぁ……!」

 こんなのが審査だなんて……絶対に違う…………!

「ふふ、息が熱くなってきたじゃないか。感じてるようだね。さすがはこれだけのボディを持っているだけのことはある」

 ムンクの見たところ、この少女のからだは充分に成育していた。後はこれから手をかければ、さらに女らしい身体になっていくことだろう。

「ふぁっ……くあ、くぁふひてなんか……あ……あ……っ!」

 嘘だった。

 敏感になった乳首がしぼられたり、しごかれたりするたびに、体内に薬の効果ではない痺れが──得体の知れない感覚が走り、

(ああ……!)

と、切ない吐息をつくしか余儀なくされるのだ。

 特に……触られている部分はピリピリとざわめき、からだの奥に浸透してゆく。

 肌が火照ってくるのを止められなかった。

 それが恥ずかしいからだけなのかどうか……リナ自身にはわからなかった。

 わからなくてもいい。

 今は少しでも早く、このセクハラ行為から逃れたい気持ちでいっぱいだった。

 しかし、身体の自由が全く効かない上に、せっかく助けに来てくれたユウキからも隠されてしまい、リナにはどうすることも出来なかった。

 指一本動かせないままに弄ばれる少女のからだは、己の意志とは無関係に熱を帯びはじめ、じっとりと汗が浮かんでくる。

「あ……あ……んああぁ…………」

 リナの口から漏れる吐息のような微声も、次第に回数が増してゆくのだった。

「んん~、オーディションではかなり緊張したようだね。リナ君のカラダから立ちのぼる体臭、とても甘酸っぱいよ……しかし、それでいてフレッシュで嫌味が全くない……フェロモンは合格だ……たまらないニオイだ……!」

「や──やはああぁ……!」

 肌に直接鼻を当てられ、ニオイを嗅がれている──その恥ずかしさに、リナの頬がカッと紅に染まった。

 しかし、ムンクの行為はもっと恥ずかしい段階に移った。

 リナの左腕を上げて顔をくぐらせると、横からの眺めも充分な小高い乳丘の景観に満足の笑みをこぼし、脇から少女の左乳首を吸い、同時に右乳首を甘い指遣いでこねくり回し始めたのである。

 チュウチュウと卑猥な音が立ち、スケベ顔の口の中で可憐なピンク色の蕾がたっぷりと嬲られる。

「はあ……んあっ……んはぁ……! だ……だめへぇ……!」

 それは常時であれば甲高い悲鳴になっただろうが、薬が回っている今は弱々しい声にしかならない。

「やめてぇ……! あっ……あぅん……んや、や、いや、あぁぁん……!」

 しかも、身体は動かなくても、感覚は生きているのだ。

 乳首を盛んに吸い立てられる刺激に、若く健康なリナの性感は否応無しに呼び覚まされてゆく。動かないはずのリナの腰のあたりがピクピクとひきつり、ムンクのいやらしい乳辱愛撫に反応を示してしまうのだった。

「むちゅむちゅ……いやあ~A最高にオイシイよ、リナちゃんのおっぱい……むちゅむちゅむちゅ…………」

(ああ、そんな……! 私、おっぱい吸われてる……ユウキの前で……いやぁ、おっぱい吸わないでぇ……!)

 さっきまでとは逆で、リナはユウキがこちらに気付かないよう祈った。こんな恥ずかしい事をされている今の自分を見られたくない。

 向こう側を正視できず、リナはあまりの恥ずかしさに目を瞑った。

 その拍子に、涙が頬を伝い落ちる。

 しかしリナは気丈に、望まぬ性辱の荒波に翻弄される自分を励まし、懸命に堪え忍ぼうとした。

(だめ、だめよ……おかしくなっちゃだめ……!)

 だが──心ではそう思っても、からだの反応は違っていた。執拗なまでに弄くられる乳房が、乳輪が、そして乳首が──本人の意志に反して張りつめ、ムンクの愛撫は徐々に甘美なものに変わっていってしまうのだった。

(ああ、だめ……さっきからなんか……へんな感じがする……胸がムズムズして、気がおかしくなりそう……だ、だめ……いけない、いけないの…………!)

 それを、百戦錬磨の好色漢が見逃すはずがなかった。

「おやあ……? 胸をちょっと触られたぐらいで、もうエッチな気分になってきちゃったのかい。ウブな娘だと思ってたけど、なかなかスケベな素質ありだね、これは」

「ち、ちがう……これっ、ふぁ、ふあぁ……!」

 反論しようとしたが、舌がうまく回らない上に、ムンクの愛戯がいよいよ粘湿さを増し、言葉が跳ね飛んでしまった。

「んああっ、んあ、んうう、ふぅぅん…………!」

 ムンクは執拗なほど熱心な愛撫でリナの美乳を揉みしだき、乳首を嬲り回し続ける。

「ら、らめぇ……ひょんなにおっぱいしゅわないでぇ……お、おかふぃくなっちゃうぅ……!」

 ムンクの愛戯は手慣れていて、時折──秘部をわざと外し──他の箇所にも愛撫の手を伸ばし、舌を這わせ、その欲望にぎらついた表情とは裏腹に、あくまでもソフトにリナの柔肌をまさぐってゆく。女がどこをどういう風に弄られれば感じるかを知り尽くしているようだった。

 リナは、それを、身をよじることさえ出来ない状況で受け続けている。しかも目も瞑っているため、意識がどうしてもすっかり心地よくなってしまった感覚に集中してしまう。

 やがて、リナはムンクの腕の中で全身をぷるぷると小刻みに震えさせ、眉をひそませながらも、

「あ、あ、あ…………!」

と、朱に染めた満面がだらしなく緩んでゆき、次第にあえぎ声を漏らすだけになっていった。

(だ……だめ…………い……いっ、いけない……のに……こ、こんなの……感じたことない…………はあっ……ああああっ…………♥!)

 いやらしい行為に身を固くしようとしても、弛緩したままの身体は容易に愛撫を受け入れてしまい、蕩(とろ)けそうな気持ちよさが、奥深いところまで浸透してゆく。からだが勝手に感じてしまう。

 ――言いしれない感覚だった。

 からだの奥が疼き、理性がメチャメチャに掻き回される。

(厭なのに……厭……なのに……どうしてえ……!?)

「だいぶ可愛らしくなってきたね」

 口を半開きにしてよだれを垂らすリナの惚けた様子に、ムンクは目を細めた。いい感じだ。ここまで来れば、この娘は頂いたも同然だろう……。

 その時、ガチャッと何かが外れる音がして、マジックミラーの脇の壁がドア一枚分開いた。

 

 

 

 

 

   5

 

「ムンクさん」

 入ってきたのは――あのADだった。

「おお、キミか」

 ムンクは口だけを離し、手は動かし続けたまま喋った。

「さっきはご苦労だった。あ、そのドアちゃんと閉めてね」

「はい……腕力だけはありそうなガキで大変でしたよ」

 ADはそう言うと、ユウキに締め付けられた首あたりをさすった。そしてムンクの腕に抱かれているリナの様子をちらっと見て、いやらしい笑みを浮かべた。

「もうメロメロな感じじゃないですか。さすがはムンクさん」

「まあ、オレもこの道ウン十年だからね。プヒャヒャヒャ!」

「さすがだ……それじゃあ、いつものように後の事はやっときますんで」

「ウム……いや。そうだ」

 サングラスの奥でムンクの目が底光りした。

 ADを手招きすると、リナに聞こえないように言う。

「さっきの小僧……もしまだぐずぐずするようだったら、隣の部屋で待たせるんだ。オレがこの娘を連れてどっか行ったことにして、じきに帰らせるとでも言ってな。オーナーにも連絡して、閉館時間が過ぎても居られるようにしとけ」

 聞き始めはぽかんとしていたADは、すぐにムンクの悪巧みに勘づき、みるみるその顔を卑しく崩した。

「わかりました……そりゃまた……たまらない趣向ですね……!」

「だろ、だろ?」

 可哀想な女だ――ADはそう思わないでもなかった。この娘も、弄ばれるだけ弄ばれて最後はポイ、かな……。才能があれば、少しは可能性もあるかもしれないが……しかし、オーディションを見たところでは、目を奪われるほど惹きつけられるものは感じられなかった。冒険者という肩書きは珍しいが……。ムンクPも決して馬鹿ではない。人を見る目がない人間が、いつまでもこの業界のトップに君臨していられるわけがない。天下のマロプロから輩出するアイドルが、並の人材では釣り合わないのだ。十中八九、捨てられるだろうな……。

 だが……。ADはゴクリと喉を鳴らし、リナの生のおっぱい――そして裸体を眺めた。

 間近で見ると、想像以上に……美味しそうなからだしてやがるな……。 

「あの……また今度……オレも……」

「んん? ああ……むろん考えている。近いうちに、お前が好みだと言ってたあのアイドルでも呼んで、楽しくやろうじゃないか」

「ホ、ホントですか!? ありがとうございます! ――じゃ、オ、オレ、うまくやりますんで!」

 ギラギラと目を欲望に輝かせ、ADは部屋を飛び出していった。

「ククク……餌をちらつかせれば、人間はよく働いてくれる」

 ムンクはリナの乳房を揉みしだき、チュウチュウと乳首を強く吸った。

「はぁあん……!」

「じゃ、そろそろ隣の部屋では果たせなかった続きに移ろうか」

 そう言うと、彼はリナの乳房の片側から手を離し、リナの内股に滑りこませた。少女は脚を閉じることもできず、股間はムンムンとした熱気を溜め込んでいた。

「はっ……あ……だ……だめぇ……!」

 ムンクはリナの悲痛な制止の声も気にも留めず、むっちりとした内股の肌に這わせた指を、内へ内へと沿わせてゆく。

「おや、リナ君……濡れてるじゃないか」ムンクの顔が喜悦に歪む。「割れ目の所の色が変わってるよ」

「えっ……やっ……やああぁぁ……!」

 羞恥に身体を震わせ、涙目をあさってに背けるリナ。

 ムンクの言葉通り、ボトムの一部分が内側からにじみ出た水気によって変色していたのだ。

「やっぱりオレのテクに感じてたんだね。プヒャヒャヒャ!」

(いやあ、恥ずかしい……ああ……ユウキ…………!)

 リナは泣き腫らした目をうっすらと開き、鏡を見た。

 ユウキ、助けて……!

 

 ──鏡の向こうは無人だった。

 

(え…………!?)

「ん? 今ごろ気付いたのか。彼ならついさっき出て行ったよ。諦めて帰ったんだろう」

「……そ……んな…………!?」

 少女の心に冷え冷えとした氷塊が投げ込まれる。

「ククク……さ、観念して審査の続きといこうじゃないか。なあに、怖がることはないからね。オレが処女の扱いも慣れてるってことは、もうわかっただろ。もっとたっぷりと感じさせてあげるからね。プヒャヒャヒャヒャ!」

「いひやぁ……ユウキ、たひゅけて……ユウキ……!」

 リナは唇が動くままに、ユウキの名を何度も口にした。

 好きでもない人と裸でベッドに入って……いいように抱かれて……こんな……こんな……!

 その現実に、リナの心は半ば痺れてしまい、追いついていかない。

「ユウキ……ユウキ…………!」

 うわ言のようにそう呟き――リナは霞む目でマジックミラーの向こうを見た。

 ……やはり、部屋は無人だった。

(ああ…………!)

 恐怖、怒り、悲しみ、諦め――ぐちゃぐちゃになった暗澹な気分が、じわじわと心の中に広がってゆく。

 

 どうして、こうなっちゃったんだろう……。

 

 冒険者になり父親を捜すという目標に進みはじめたユウキを見ていて、自分も頑張らなきゃ――私はそう思って、子どもの頃からの夢だったアイドルを目指すようになった。それもただのアイドルじゃない、歌って踊れる冒険者に。

 それは、私の諦めきれない想いだったのかもしれない。

 たとえユウキの中に私がいなくても、せめて同じ方向に進んでいけば……彼が頑張っているように、私も頑張れば……それだけ近くに……ユウキとの間に感じた隙間を埋められる。そう……思っていたのかもしれない。

 でも、ファルネーゼに行ったユウキが光綾学園に来て、一緒のクラスになって、一緒に冒険するようになって――休みにはデートするようにもなって――隙間はどんどんと縮まっていった。

 夢のような、とても嬉しくて充実した日々だった。

 だけど――

(やっぱり、ユウキと別れたあの日から……彼とは……もう…………)

 突然、

「ハアアァンッ!」

 思考がぶつ切りにされるほどの刺激に襲われて、リナは思わず甲高い嬌声を上げてしまった。

 乳肉を嬲り、乳首をしゃぶりながら、布越しにムンクの指が秘裂をなぞり上げたのだ。

「おお、もうすっかりココも濡れ濡れじゃないか。なんてはしたない娘だ」

「ち、違う……違うの…………!」

「違うものか……このスケベ娘が。この布の下がどうなってるのか、さらに審査しなきゃいけないな~H」

 そう言うと、ムンクはリナをひょいと抱え上げ、「よいしょっ」と、後ろにあったベッドに倒れ込んだ。

「んひゃんっ!」

(フフ、たとえあの小僧が戻ってきても、こっちの部屋に通じる隠し扉の位置はオレとあのADぐらいしか知らない。しかも厳重な鍵付きだ。どうやったって見つけられっこないのさ)

 心中で哄笑しながら、ムンクはリナのからだをひょいっと仰向けに寝そべらせた。それだけではなく、股をM字に広げ、恥ずかしい部分が大開きという格好にした。まるで人形の扱いであった。

 ほの暗い部屋に映えるリナの白い肢体。覆うのは、もう、股布一枚だけ。

(いやぁ……こんな……こんなのって……! 恥ずかしくて死にそう……!)

「ぷひゃひゃ! いや~Aリナ君、よく似合ってるよ。花も恥じらう乙女がこんなそそる格好をするなんて、最高にいかすミスマッチだよ!」

 ムンクは喜色満面でそう言う。

(美味そうなカラダの娘が、恋人を近くに感じながら他の男に犯される……最高のシチュエーションだな……!)

 セックスなど数え切れないほどやり、一通りのプレイも体験してきたが、これは今までにない最高の昂奮材料であった。

(こりゃ、日頃鍛えたテクニックを駆使して、恋人の前でおとすっきゃないな)

 ムンクはそう決めると、着ている衣服を乱暴に剥いでベッドの外に放り、一足先に全裸になった。

 股間のモノはバキバキに怒張し、天を衝くほどに屹立していた。四十路とは信じられない勃起力である。

 偉塊を見つめて、「ひっ……!」と息を詰めるリナに、ムンクは底知れない愉悦を感じた。

 これまで幾人ものアイドルを泣かせてきたイチモツだった。赤黒く淫水灼けした太く長い肉茎。皮は完全に剥け、カリ首も太く充血した亀頭。勃起の強さもなかなかのもので、ムンクは己の男根に自信を持っている。

 今の地位までのし上がれた要因の一つは、女を上手く抱けたことにある……ムンクはそう考えていた。

 彼はオーディションでつまみ食いするだけに飽きたらず、現在芸能界のトップにまで躍り上がっている娘にまで手をつけていた。やはり最初は皆、仕方なくといった風に抱かれるのだが、そのうちまんざらな様子でもなくなってくるのである。ムンクもその辺の機微を掴むのが巧みで、執拗に迫ったりはしない。そのため、過酷な仕事のストレス解放のために、向こうから誘ってくるアイドルもいるぐらいだった。彼がセックスに自信を持つだけのものはあった。

 腹は年相応にでっぷりとしていたが、それを除けば身体はなかなかの引き締まり具合であった。海や山などでよくバカンスするため、それなりの筋肉はついているのである。

「オレはアウトドア派でね、けっこう体力にも自信あるんだよね。夜は長い……グフフ、楽しもうじゃないか……」

 そうして、哀れな動けない子猫に覆い被さってゆく。

 リナの脳裏にさっきまでの愛撫と快感がぐるぐると回る。こんな状態でまたあんな風にやられたら、もう、ガマンできない……!

「ユウキ……ユウキィ…………!」

 リナは泣きはらしながら、幼なじみの名前を何遍も呼んだ――もはや半分以上諦めと絶望に浸りながら――――

 

 

 

 

 

   6

 

 赤髪の少年はもう一度しらみつぶしに会場内を捜し回っていた。

 オーディションは終わったらしく、舞台は撤収作業が始められ、参加者の娘たちは私服に着替えて思い思いに帰っていく。

 しかし、そのどこにもリナの姿はなかった。

「くそっ……どこだ、どこにいるんだ……!?」

 会場施設は思いのほか広く、全てを一人で見回るのは難行であった。だが、ユウキは脚が棒になるのも構わず、走りに走りまくった。

『ああ、その子なら確かさっき、ADに連れられてどっか行ったわよぉ』

 さっきの娘の言葉が脳裏でリフレインしている。

 だが、そのADらしき男が番していた怪しい部屋にも、誰もいなかった。ADも「知らない」の一点張りでらちがあかない。

(なんでどこにもいないんだ……!?)

 激しく嫌な予感が高まり、胸を締め付ける。

 そんなユウキを、スタッフや女の子が怪訝そうに見ていた。

 ホール内に入り、またロビーに出ようとしたところへ、先ほどのADが走り寄って来た。

「ああいた、君、君」

「なんだよ」

 ユウキの押し殺した気迫にADはムゥッと顔を引いたが、なんとか気を取り直して言った。

「今、ムンクさんと連絡がついてね。君が捜してる女の子、やっぱりムンクさんといるんだって」

「なにっ!?」

「そ、そんな怒鳴るなよ。面談場所を変えただけだから」

 しかしそれでも心配は消えなかった。二人きりにでもなって、やらしい事を迫るんじゃないのか――?

「どこにいるんだ」

「場所までは教えられてないし、もし聞いてても、部外者に教えることはできないんでね」

「……」

 ユウキは剣呑な表情で握り拳を作った。

「いや、話は最後まで聞けって! 本来ならこんな事するのはおかしいんだが、君の事も伝えてあげたんだぞ!?」

「本当か?」

「あ、ああ……そしたら、荷物も残してるから、終わり次第こっちに戻るって」

「それはリナのことか?」

「そうだよ。彼女は今、将来に関わる大事な話をしている最中なんだ。だから君はここで大人しく待っててくれないか」

「……」

 ユウキは迷った。こいつ……なんかくさい。締め上げれば何か吐くんじゃないのか。

「あのさあ、君……。何考えてるのか知らないけど、ここまで優しくしてあげるのは異例のことなんだよ? 今の状況、警察を呼ばれてもおかしくないってこと、分からないかな」

「くっ……」

 てめえのボスが――と言いかけて、ユウキは止めた。これじゃ単なる言いがかりだ……。

 そう。この男の言う通りだった。証拠現場でも押さえない限り、俺がここにいる正当な権利はない。オーディション中の会場を走り回って、叩き出されないだけマシなのだ――

 噂。確証はない。鈴木はそう言った。

 肩から力が抜けていった。

「……わかった……すまない……いや、すいませんでした……」

「……フン。じゃ、これね」

 と、ADは手に持っていた物をユウキに差し出した。リナのカバン。

「これだってわざわざ探して来てあげたんだ。命令じゃなきゃ、暴力行為をする奴なんか助けたくないんだけどね。ホント感謝して欲しいよ、まったく……」

「……どうもすいません」

「さっき君がムリヤリ入った部屋があるでしょ。あそこで大人しく待ってて」

 カバンを受け取ると、ユウキは力ない足取りで歩き始めた。

「あ、それと、これは個人的な意見なんだが――」

 ユウキは足を止め、上半身だけ振り向いた。

「君さ、どうせ彼氏なんだろうけど……彼女の足を引っ張りたくなければ、彼女自身の問題に、あんまり首突っ込まない方がいいよ」

「…………」

 ユウキは何も答えずに、また歩き出した。さきほどの部屋へと。

 どこにいるんだ、リナ…………。

 

「ふぅ――」

 ADはユウキの後ろ姿を見ながら、顎を伝っていた汗を拭った。この傍若無人な若者の威圧感は、明らかに戦い慣れしているものだった。制服もおそらく、この近くにある光綾学園とかいう冒険者育成学校のもの。武器は見当たらないとはいえ、どこに仕込んでいるかわからない。喧嘩はしたくない相手だった。

(これだから好きこのんで武器を振るうような野蛮な奴らは嫌いなんだ。オレはムンクさんのようにずる賢く立ち回って、可愛いアイドルを抱けるような偉い地位にいくぞ……)

 そう思うADの若い男であった。

 

 

 

 

 

   7

 

「ヒッ……ン、ンアッ……! い、いやぁ……! そ、そこはダ、ダメ……ンアア……ンアアアア…………!」

 リナの喘ぎ声は途切れることがなかった。

 ムンクのペッティングは本当に執拗であった。

 乳肉を揉みしぼられ、乳首をしゃぶられまくる。責め嬲られた乳房は張り詰め、乳首は痛いほどに尖り、弄くられるたびにアソコまで快感でズクズクと疼いてしまう。 そのアソコも、今や弄られ放題であった。

 仰向けに脚を大股開きした姿勢にされて、紐パンも抵抗もできずに脱がされたのである。今や全裸と全裸で絡み合っていた。

 もはやからだの隅から隅まで、ムンクの指と舌が届かないところはなかった。

 下を脱がされる時、すっかりアソコの形に染みがついていて、糸まで引いていることを指摘され、顔から火がでるぐらい恥ずかしかった。

 そして、アソコは──秘陰から蜜が溢れて濡れぼそっていた。

(大事なトコロまで──見られちゃった──)

 ショックが連続していて、ついに開帳されてしまったことも鈍い痛みにしかならなかった。

 中指と薬指を穴に入れられ、親指でクリトリスを撫でられながら、処女膜まで届かない膣口近いところを掻き回される。それを乳嬲りと同時に行われるものだから、

「ヒァァンッ! ンアアッ! ンア、ンヒャアァンッ! ンイイイッ♥!」

 リナはたまったものではなかった。

 もはや抑えられず甘い嬌声を上げ、すっかり発情してしまったからだをくねらせて、ビクビクと背を反らし腰を浮かす。──反応を返せるほどに身体の動きは回復したが、ムンクを悦ばせるだけであった。

「ダ、ダメェッ……ク、クリそんなに弄くらないでぇ……!

 ハアァッ、ハアゥン、ンハアァァ……♥!」

 半ば蕩(とろ)けきった表情で口端から涎を垂らし、切なく懇願するが、そんな言葉一つで男が手を休めるはずもない。

(しかし、ここまで感じるとはな……)

 ムンクも己の愛戯には自信を持っていたが、このリナという少女ももともと感じやすいからだなのだろう。処女でもそういった娘はいる。

 何にせよ、彼にとって食べ甲斐があることに変わりはなかった。

 と――

 人の動きを視界の端に感じ、「ん?」とムンクは後ろを向いた。

 瞬時に喜色が目に浮かぶ。

(グフグフグフ……来た、来た、来た……!!)

 隣の部屋の正面にあるソファに座った人影――赤髪の少年。

 ムンクの血がカッと騰がり、倒錯感に頭がクラクラしそうになった。

 なんというたまらない瞬間だろうか。

(男から何歩も離れていない場所で、他の男に抱かれる少女か……! なんと……またとない状況だ……!)

 リナは快楽に囚われた表情のまま、まだ気づく様子もいない。

 ムンクの全身に愉悦が充ち満ちた。

(小僧……この娘はもう堕ちる寸前だ……このオレの手の中でな!)

 体奥から久しく感じたことのない精気溢れる昂奮が湧き出てくる。

 娘で気付くまで黙っているか。楽しいことになりそうだ……!

 リナの悩ましげにくねる肢体に、ムンクはさらに熱心に愛撫の雨を降らせ始めた。

「いやあ、感じてる顔も可愛いねえ、リナ君。最高だよ!」

(い、いやだぁ……おっぱいも……あそこも……か、からだ中こんなに……もてあそばれちゃってるよおぉ……ヒッ……ヒゥゥンッッ♥!)

 もう自分が悲しんでいるのか、悦んでいるのか分からない。

 しかしどちらかというと──

 クイックイッとクリトリスを撫でる親指の回転が活発になった。

「あっ、あっ、あっ、あっ♥!」

 あくあでも柔らかく触れるムンクの指の動きは、歯が震えるような快感を盛り上がらせ、腰のビクビクがまた始まる。喜悦の涙を流しながら、指を差し込まれた穴がキュウウッと締まり、喘ぎ声が早まってゆく。

(ダッダメッ気持ちよくて──気持ちよくて、あ、あ、あっ、イッ、イク──イッちゃううぅぅ~~~ッ♥!!)

 すると、ムンクの親指がパッと離れた。

「ククク、ココではイカせないよ。満足しちゃうからね」

「あ、ああぁ……ま、また…………」

 さっきからこの調子であった。クリトリスを責めて急速に昂ぶらせ、いいところで止める。そしてまた穴や乳などばかりをねぶるのである。それも確かに気持ちいいのだが、燻るようにゆるやかにしか昂ぶっていかないので、絶頂にまで導かれず、焦らされて悶えるばかりなのだ。

 だが、確実にリナは追いつめられていた。

 リナのからだが快感のさざ波に反応し、ビクビクとくねる。切ない吐息を漏らすだけの唇――。本人の意思とは裏腹に、まだ男を迎えたことのない処女肉はすっかり熱くなって、ムンクの指を歓迎するようにキュウッと締め付けるのだった。

「グフフフ……処女の窄(すぼ)まりはたまらんね~I」

「ハアア、ア、アッ、ぃいや、いや、いやああぁ…………!」

「さあ、またオマンコを吸ってあげよう」

「ヒィ……ヤ、ヤアァ……!」

 涙を流したままフルフルと首を振るが、ムンクはリナの脚元までにじり下がり、まだわずかしか割れていない秘裂を指で左右に開いた。まったく色の沈み込んでない清らかなサーモンピンクの肉庭が露わになる。だがそこは今や赤く充血し、いやらしくぬめってメスのフェロモンを発散していた。

「おおう、恥ずかしい穴をこんなにヒクヒクさせて……ラブジュースの溢れ具合もすごいじゃないか……なんていやらしい処女だ……」

 そう言いながら股の間にひげ面をつけるムンク。両手は臀部の下に潜り、持ち上げるようにしてたぷっとした尻肉を揉みしだく。

 

 ジュルジュル、ジュルジュルルッ!

 

「ハァ……ハアァ……も、もう……やぁ……あ……ああぁ……!? あ、あ、ア

ア、あああぁ……♥!」

 リナの甲高い嬌声が喉の奥から発せられた。

 熱く火照った秘陰はもうぬかるんだようにグチョグチョになっていた。そこから溢れる蜜液を媚肉ごとすすり上げられ、鼻でクリトリスを押され、舌で膣口や肉ビラをねぶりまくられ、

「ハアァ、ハアアァン……ッ! そ、そんなに吸っちゃ、だめェェ……♥!

 ヒゲがクリをす、……擦ってえェ……ッ! ダッダメェ、ダメェ~hearts;!」

 もう気がどうにかなりそうだった。これまで味わったこともない淫虐の嵐に、リナの精神は決壊寸前だった。

 自由を奪われた体内を跳ね回りまくった快感は、これ以上我慢できそうになかった。

 人差し指を甘噛みしながらリナはまだ思うように動かない脚をガクガクと震わせ、指先まで突っ張らせた。焦点の合わない目が中空に彷徨う。

 アソコが熱く、頭の奥が痺れ、全身がどろどろに溶けそうだった。肌は敏感な所を撫でられるだけでゾワゾワと粟立って甘く染みこみ、ビンビンに勃った乳首に息を吹きかけられるだけで感じてしまう。

 もう、気が緩むと快楽のことしか考えられない。

(助けて……ユウキ…………!)

 なぜかユウキの後ろ姿が浮かんできた。練習ダンジョンに潜っている時にいつも眺めている、ユウキの背中。体力のない仲間を守るのが戦士の務めとはいえ、ユウキに守られているんだという実感を持って、なんだか胸の中が温かくなったことは幾度となくあった。

 その姿は、今は遠かった。

 自分を嬲っている男の背の向こうにその本人がいるなどとは、考えつきようもなく──

 

 ジュルッ、ジュルジュルッ、ジュルルルッッ!

 

「あっ、あっ、あひ、あひぃぃ……あ、あ、ああぁぁ~u65374 ~hearts;!」

 アソコに与えられる肉も骨も蕩(とろ)けてしまうような淫らな衝撃に、煉瓦色の豊かなロングヘアを振り乱し、大きな嬌声を絞り出すしかなかった。

 その瞳からは加速度的に意志の光が剥げ落ち、夜霧に包まれるように快楽の闇に沈み込んでゆく。

(ああっ、そ、そのままクリッ、クリもっと擦って……! ハアァッ♥!

 イイ、イイよう、アア、アァ、イヒィィ……ッ♥!)

 淫悦に浮かされるまま、リナは無意識にムンクの後頭部に手を当てていた。もうガマンできない。もっとやって欲しい。この昂ぶりを収めて欲しい。このままイクまで……お願い……!

 すると、そんなリナの様子に気付いたのか、ムンクは口戯を止め、顔を上げてしまった。

「あ……あ……そ……そんなぁ…………!」

 リナは哀切な眼差しで男を見つめた。からだは火照り、アソコがズクズクと疼く。もう少しでイケたのに……なんでやめちゃうの……!?

 ムンクは顔中についた愛液を拭いながら、

「イキたいのかい」

と尋ねた。

「はっ……はい……!」

 思わずリナは答えてしまっていた。すぐに、(あ……!?)と気付いたが、一度口に出してしまうと、もう堰き止められなかった。

 

 ごめん……ユウキ……もう私……ダメみたい………………

 

「お、お願いです……」リナはか細い声を震わせながら、ムンクを見上げた。

「もっと……もっとやって……イカせてください……!」

「グフフフフフ……」

 ムンクは下卑た笑みを満面に張り付かせた。

 彼の身体でちょうど隠されている、隣室の人影。リナが首を少し傾ければ見えるだろう、赤髪の少年。

 背を向けたまま、嘲るように問いかけた。今、お前の女が何と言ったかわかるか。

(聞こえていないのが残念だ……!)

 リナの脚を閉じて交差させ、膝裏を片手で支えて落ちないようにすると、いやらしくパックリと口を開けているリナの雌穴に中指を入れ、 ヌチュヌチュヌチュヌチュと早い抜き差しを始めた。

「あ、あ、あ、あ、あああ~u65374 ~hearts;」

 入り口付近はほぐれていたが、肉が狭まった処女孔には指一本でもハッキリとした淫撃が与えられた。これまでと同じ焦らすような快感だったが、その早さが心地よく、うっとりと目を瞑ってリナは嬌声を上げた。

 いやらしくからだを這いずり回る手と舌。気持ち悪い脂の浮いた中年の身体からたちのぼる、嗅いだことのないような濃い体臭。

 最初はおぞましく感じていた筈なのに、いつの間にか気にならなくなっている自分がいる――

(あ、あ、あ……だめ、だめぇ……こんな……感じちゃう…………!)

「イキたいんだね、リナ君?」

「はい……はい……!」

 端に淫悦を浮かべた目で泣きはらしながら何度も頷くリナ。

 ぬるぬるの肉壁がムンクの指をキュウキュウと挟み込む。筋肉の弛緩はだいぶ取れてきたようだった。今なら立ち上がることも出来るのではないか。

 しかし……少女はこうされることを望んだ。すぐ近くにいる若者の存在に気付くこともなく……。

 ムンクの顔に、ハッキリと昏い笑みが刻まれた。

「望みを叶えてあげてもいいが……キミはさっきから、オレのこの特別審査を厭がってばかりだ」

 

 ヌチュ、ヌチュ、ヌチュ、ヌチュ!

 

「あーー……♥ あーー……♥」

「これ以上拒まなければ、という条件なら……イカしてやってもいいんだぞ?」

「は……は……はいぃ……! んあ、んあぁ……も、もう拒みません……拒みませんからぁ……♥!」

「よーし、よくぞ言った」

 ムンクはリナを掻き抱くようにして密着し、胸や腰など柔らかい少女のからだの感触を楽しみながら横臥位に誘導した。片脚を曲げさせて──もうある程度自分の意志で動かしているのに、本人は気付いていない──手を突っ込んでからまた閉じさせて二本愛撫を再開し、首から回り込ませた手で右乳を揉みながら、首すじや耳にキスの嵐を降らせ始めた。

「ちゃんとイカしてあげるから、楽しもうじゃないか」

「は、はいぃ……♥」

 リナもムンクの背に腕を回してしがみつき、「あ、あ、あ♥」と甘くうわ擦った声を上げながら、愛撫に浸ってゆく。

 その耳に口髭を当てながら囁いた。

「キスしよう」

「えっ……あ、や……」

 思わず顔を背けてしまうリナ。ムンクは苦笑し、

「舌を出すんだ。舌と舌同士だけならいいだろう……?」

「…………」

 リナはためらいがちに向き直り、細目でおずおずと口を開いた。

 可愛らしく突き出してきた舌を、ムンクの唾液をたっぷり乗せた舌が蛇のように絡め取った。

 二人の舌が艶かしくうごめき、お互いの熱い息を感じながら絡まり合う。少女の舌はたっぷりとねぶられ、舐め、擦り、絡められた。ムンクの舌につつかれ、リナも消極的に、舌を動かし始めた。

「ン……ン……ンァァ…………!」

 それは淫靡な光景であった。唇を重ねることなく舌だけが踊る。男の方が動きが活発で、まるで生贄に差し出された舌が捕食されているかのようであった。

(あ……あ……なんで……舌だけなのに…………!?)

 頭の中にじんわりと、これまでとはまた違った甘美感が湧き上がってくる。胸が熱くなる。このまま唇を奪われてしまうかもしれないのに──逆らうことができず、吐息が淫らに高まってゆくのを抑えられなかった。

 ムンクは二本指で浅く弄くっていたのを、逆さにした手で秘裂をピッタリ覆うようにして、手のひら全体をバイブのように振動させ始めた。

「ふっ……うぅん……ふあぁ……あ、あ、あ……ふぁああぁぁ……♥!」

 リナの陶然とした表情がますます深まっていく。徐々に膝が曲がり、脚が自前で開いていった。まるでもっと弄って欲しいように……。そして頭を仰け反らせて白い喉をさらし、うっとりと目を閉じ、

「ああ、ああ、あああ♥ いい、いいよぉ…………♥」

と、淫欲にけぶった声でさえずった。

 もはや、ムンクの愛戯の虜であった。

 なんと可愛らしい姿か。二人密着した今の状態は、まるで仲の良い恋人同士みたいではないか。

 ムンクのイチモツはガチガチに勃起し、極度の昂奮状態で射精感すらこみ上げていた。だがこの歳になると、一度出すと回復に時間がかかる。出したいのを我慢し、最後の瞬間までとっておくのも一つの楽しみであった。

(しかし……そろそろいいかもしれんな……)

 その清純な肉体を淫らに発情させてしまうほど、少女はもうメロメロの状態である。

 クンニしながらリナのからだを押しやって、また仰向けにしてその上に覆い被さると、ムンクは再び舌を出すよう要求した。リナは大人しく従った。

 思う存分リナの舌をねぶり――そのまま顔を落として、あっけないほど簡単に唇を奪った。

「ふぅっ――うぅぅん…………!」

 少女の柔らかい口腔をたっぷりとディープキスで犯し、唇をはみ、唾液を流し込む。

 ムンクにしがみついていた腕がギュッと強張り、ブルブルと震える。驚きに見開かれた目から、また新たな涙が溢れてきた。

 ムンクは秘肉のマッサージを、柔らかく揉み込む優しい動きに変えた。

 リナの肉唇がキュウッと狭まり――徐々に全身が脱力してゆくとともに、その鼻息は熱くなっていく。

 そして……つたなく弱々しいが、少女の舌が応えはじめた。

 淫湿な水音が立ち、唇の交歓が続く。

 少女の甘い唇をむしゃぶりながら、その脚を片方ずつ曲げながら大きく拡げていき、膝裏に腕を通す。

「ふぁん……ふうぅ……んん……!」

 リナもそれに気付かないわけなく、何をされているのか、何をされるのか──予感したようで、そのからだの熱がカッと昂ぶり、震えが大きくなった。

 キスをしながら、剛直を秘裂に当て、なぞるように擦り上げる。

 

 ぬっちゅ ぬっちゅ ぬっちゅ

 

 陰唇を割って熱くぬめった肉庭を通ると、何回か往来しただけで、リナの体奥から溢れる蜜でべっちょりになった。

「ん……んぁ……んふぁあぁぁ…………♥」

 リナの喉が気持ちよさそうに鳴り、キスの密度が増してゆく。

(このまま……やっちまうか…………)

 ゆっくりと顔を離すと、太い糸が下唇同士を繋ぎ、垂れ落ちていった。

「あ……あ…………あ…………♥」

 リナは目をとろんとさせ、ムンクを見ているような見ていないような――夢の世界を漂っているような表情であった。

 ムンクはリナの腰を掴み上げて腰高位になった。

「さあ、女になる時間だ」

「ああ……あああ……!」

 ついに。

 予感していた瞬間が来た。

 キスに続いて、初めてまでも……。

(ごめん……ユウキ……ごめんね…………)

 リナは枕に顔を埋め、こんこんと涙を溢れさせた。

 でも、これでアイドルになれるかもしれないから…………。

 だから私………………!

 

 ──少女はその事実を頑なに否定する。

 快楽と蕩(とろ)けるからだが、ズクズクと疼いている胸とアソコが、焦らしに焦らされた末、いよいよという時を迎え、期待感に昂ぶってもいたことを。

 涙をこぼす目に湛えられたものが、悲痛だけではなかったことを……。

 

 クチュッ――

 

 ついに先端が入り口に触れ、小さく湿った音がした。

「あっ…………!」

 あたってる……男の人のアレが……私のアソコに……!

 指とは明らかに違う大きさの感触。

(あんな大きいの、入らない……)

 持ち上げられたリナの尻が、わずかにたじろいで揺れる──が、逃げはしなかった。

 枕の端をギュッと掴む。

 緊張と不安……期待──リナの背すじが震えた。

 

 そして、ゆっくりと。

 

 ヌプッ──ヌジュプ、ヌ"ヌ"ヌ"ヌ"──

 

「あ……あ……ああ…………!」

(ユウキ――――――……………………!)

 

 処女肉を押し分けて、野太い肉棒が突き入れられていった。

「あああーーーーーッッ!!」

 脂ぎった男の肉厚の逸物が、大量の愛液と熱く潤んだ媚肉の助けを得て狭い膣孔をたやすく割り拓き、リナの胎内にずぶずぶと埋(うず)まっていく。

 処女強奪。

 幼なじみの少年をずっと想っていた少女の、秘めた想いが散華した瞬間だった。

 

 破瓜の痛みがリナの四肢を強張らせる。だが、それは想像していたより軽く、リナの顔に浮かんだ苦痛もそれほどではなかった。

 処女膜の抵抗はあって無きが如しで、最奥までスムーズに到達し、根元近くまでずっぽりとはまった。

「おおおお…………」

 ムンクは思わず深い吐息をついた。

 リナの膣内(なか)の具合は極上の心地であった。今押し広げられたばかりの隘路にみっちりとはまった肉棒。それを若々しい媚肉がキュウキュウと搾り上げてくる感触は、何ものにも代え難い悦楽だった。

 結合部からにじみ出し、シーツの上にポタリ、ポタリと落ちてゆく、まごうことなき純潔の証──

「ん……んん……!」

 リナの下腹に感じる鈍い痛みが、ロストバージンしたことを何よりも謳い上げていた。

「おお……素晴らしい具合だ……最高だよリナ君……」

「あ……ありがとう……ございます…………」

「どうたい、女になれた感想は」

「……う、うれしい……です…………」

 思いも寄らないかたちになった初体験に茫然自失となりながら、リナはなんとか口を動かした。別に大切にとっといたわけじゃない……だけど――褒められても嬉しくなんてなかった。

「フフフ、優しくしてあげるからね」

 ムンクは相好をだらしなく崩したまま、ゆっくりと腰を使いはじめた。

 

 グッチュ……グッチュ……グッチュ……グッチュ……

 

 雄々しく反り返った怒張が、リナの処女肉をほじるようにして、膣内の入り口から奥まで、丁寧に擦り上げてゆく。滑りも上々で、よく濡れた肉同士が熱く柔らかく密着し合った。

「んっ……んあ……あっ、あ……ああぁ……っ!」

 シーツをきつく掴みながらからだを震わし、苦しそうな声を上げるリナ。

 だが、少女の秘腔は、痛みに惑いながらも、瑞々しい弾力を湛えた肉壁を灼けそうなほど潤ませ、突然に押し入ってきた侵入者に精一杯の奉仕を行うのであった。

 処女特有のこなれ足りなさを感じるが、セックスデビューはこのぐらいの青臭さを持ってなければつまらんと、ムンクは強く思う。

 しかも。

 ムンクは腰を動かしながら、ちらりと後ろを見た。

 少年はまだそこにいた。しきりに時計を気にしながら、落ち着かなげに脚を揺すっている。時折こちらが見えるように顔を向けるのが、ムンクはたまらない昂奮をかき立てられた。

 お前が待ちわびている娘は、オレが女にしてやったぞ。

(ククク……クククク…………!)

 

 グッチュ……グッチュ……グッチュ……グッチュ……

 

 少年の目線を感じながら、ことさら丹念にストロークする。膣の奥に突き当たるまで埋(うず)め、カリ首が出るほど引く。肉ビラが巻き込まれ、淫猥にかたちを変える。破瓜の血が混じった透明な蜜液が掻き出され、内股を伝ってシーツに薄桃色の模様を描いた。

「う……うぁ……うぅうん…………!」

 痛み以外の感覚が湧き上がっているのだろう、リナの腰がビクビクと震え、肉襞がざわめきキュッキュッと締め付けてくる。

(キミの彼女は……何メートルも離れていない所で……こうして肉穴から愛液を垂れ流して別の雄のチンポをハメられているんだよ……!)

 ムンクはこれまで体験したことのない征服感に陶酔した。恋人のいる娘を抱いたことなどいくらでもある。

 だがこの状況は――たまらないじゃないか――――!

「グヒャヒャヒャヒャ…………!」

 抑えきれない哄笑を発し、さらに腰遣いに情熱を籠めはじめた。

 

 グッチュ、グッチュ、グッチュ、グッチュ

 

(ああっ……早くなってきた……だめ、だめ……あ、ああ……あああ……!)

 リナは熱い吐息をつきながら、たゆんとした乳房の揺れが大きくなってゆくのを眺めた。乳房は張れ、ぷっくりと膨れた乳首が自分でも驚いてしまうほど勃っていた。

 私……悦んでる。犯されて悦んでるなんて――

 そんなの認めたくなかった。

 ……でも…………

(この人に気に入られれば……デビューできるかもしれないんだ…………ガマ

ンすれば……アイドルになれるんだ…………)

 ──それに、とリナは思った。

 優しくすると言った通り、ムンクは決して荒っぽくせず、リナが痛がらないよう配慮してくれていた。それどころか、気持ちよく感じたポイントを重点的に責めてくる。表情や反応で分かるらしい。

 抜き差しされるたびに感じる鈍痛は、徐々に、痛みなのか、疼きなのか、わからないぐらいにまで治まっていった。

 乱暴にされないだけ、マシなのかも……それどころか……すごく上手で……

(あ────)

 そう考えた瞬間、

 

 ゾクッ

 

(ああ――ッ……!?)

 痺れるような震えが背骨に走った。脚の力が一瞬抜け、崩れ落ちそうになる。

 

 からだの中で、今、何かが……変わった。

 

 いったんそう考えてしまうと、早まっていく律動に押されるように、アソコから湧き上がる気持ちよさははっきりと強く、大きく膨らんでゆくばかりだった。

(ああっ、ダメ、ダメ……このままじゃ……ああ……ああ──!)

 

 

 

 

 

   8

 

 ユウキは思い出したように頭を上げて部屋の時計を見て、もう何回目か分からない時間の確認をした。

 針は7時を回っていた。

 待たされ始めてから、二時間以上経っている。

(遅い…………)

 疑念が頭を渦巻いていた。

 やっぱり、何かおかしい気がする。オーディションはとっくに終わっているはずだ。なのになんでリナだけ束縛されているんだ。

 しかし動こうにも、もう手遅れだった。参加した少女たちは帰り、スタッフはいつの間にか全員撤収し、会場内は静まりかえっていた。

「くそっ……」

 両手をぐっと握りしめ、俯いた。

 騙された……か。

「あの野郎……!」

 ADの顔が浮かんだ。まんまと担ぎやがったな……!

 こうなったら、マロプロとかいう所に直接乗り込むか。

 あの野郎を見つけ出して、殴ってでも居場所を吐かせてやる。

 そんな事を考えていると、不意にガチャッとドアが開いた。

 中に入ってきたのは、あのADの男であった。

 室内をキョロキョロと見回して、

「やっぱまだ帰って来てないか」

と言った。

 ユウキはソファから腰を浮かしていた。

「あんた……帰ったんじゃなかったのか?」

「ん、ああ……ちょっと気になったから、仕事上がりがてら寄ってみたんだ」

 そう言って髪の毛を掻くAD。

 わざわざ戻って来たのか――怒りは急速にしぼんでいった。

「あれからもう一回、ムンクさんから連絡あってね。リナって子を気に入ったから、食事でもしながらもっと話をするって言ってた。人のざわめきとか聞こえたから、特に問題のある所にはいないと思うよ」

「そうか……」

 事情を説明され、ユウキは胸のつかえが取れていくのを感じた。

(噂は噂、ってことなのか…………)

 だとしたら、これは逆に喜ばしいことなのだろう。

 あのリナがアイドルになる――にわかには信じられなかったが、

(明るくて活発なあいつだったら、きっと人気出るんだろうな……いちおう、可愛いっちゃ可愛いし……)

 歌って踊れる冒険者か……あいつらしいな。

 なんだか急に遠く感じるぜ……。

「……あいつもまだ学生なんで、遅くならないうちには帰すよう伝えてくれませんか」

「ああ、わかった。でもムンクさんもその辺はちゃんとわきまえてるよ」

「すみません」

「君はどうする? 彼女はここに荷物を取りに戻るよ。何だったらまだ待ってるかい? たぶん、あと1、2時間のうちに来ると思うけど」

「じゃあ、もう少し待たせて貰います」

 ADは笑って軽く頷き、「頑張れよ」と変な言葉を残して部屋を出て行った。

 ユウキは座り直し、ふうっと息をついた。

 わざわざ知らせに来るなんて、本当はいい人だったんだな……とにかく、取り越し苦労で良かった。

 時間に目鼻が付けば、待っているのも耐えられる。

 ユウキはふと思った。

(俺……リナのことが好きなのかな…………)

 改まってそんな事を考えるのは恥ずかしかったが、

(つまり、それって好きってことだよな……)

と、正面にある巨大な鏡に映る自分を見つめた。

 リナの方は……俺のことどう思ってるんだろうか。

 やっぱ、単なる幼なじみとしか見てない……かな。

 

 その壁一枚向こうでは、当の竜胆リナが他の男に抱かれて悶え喘いでいた。

 

 ムンクの腰の振りは、貪るような勢いに変わっていた。

「ア、ア、ア、ア、ア♥!」

 枕に埋まった顔を真っ赤にし、歓喜の涙を流しながら、開けっ放しの口からひっきりなしに喘ぎ声を上げるリナ。みっちりとハメられた淫裂から赤黒い肉棒が抜き出されるたびに、蜜汁が滴り飛び散っていた。

 尻はブルブルと震え、脚には力が入っていない。ムンクが持ち上げている腕だけで支えられている状態であった。

 今までの快感は肌の上からだったが、これはまったく違った。からだの奥から突き上がってくるような快感であった。アソコの奥まで突かれ、掻き回されているからだろうか。

 オーディションのために丁寧にセットした髪は今や結び目も解け、シーツの上で乱れ広がっていた。

(いや、怖い、怖いよ……あ、ああ、アアアアッ……♥!)

 意識を圧倒する快感に、悩ましげに肢体をくねらせるリナ。

「クク、ずいぶんと気持ちいいみたいだね」

 ムンクはそう言うと、いい加減疲れたのか、少女の下半身を下ろし、正常位になった。腰を使い続けながら、その首すじや乳首をいやらしく舐め回し、乳肉を揉みしだく。

「ハァアア……ハアァアッ、アァ……アアアァ…………♥!」

「んーふっふっ……」ムンクは愉悦げに喉を鳴らした。「こうして肌を合わせてみると、リナ君の良さがどんどん伝わってくるよ。女の子の色気と健康美が絶妙なバランスでマッチした肉体が特に素晴らしい……。冒険で鍛えたんだね。実にエロいボディだ…………!」

「やあ……やああぁ…………!」

「何度も言っているが、これが審査なのは嘘じゃないからね。こうして互いに余計なものを脱ぎ捨てて向かい合って、初めて解ることもあるんだ。オレはそういうのを重視してるんだよね」

 ムンクは腰を密着させると、クリトリスごと押し潰してグリングリンと円を描いた。

 リナの四肢が痙攣するように震え、熱く火照ったからだに粘っこい汗がにじみ出てくる。喉を反らせ、

「アアッ、アアッ、アアーーーッ♥!」

 リナは本気で感じている喘ぎ声を上げた。

(よし……)

 その一番深くまで打ち込んだ体勢でいったん動きを止めると、リナの手を首に回させて子猿のようにしがみつかせ、

「よいしょっ……と……」

 少女が隣の部屋を見ないよう首を内に曲げさせて上半身を抱き上げると、繋がった部分を支点にして器用に半円を描き、頭と足の位置を逆にした。

「フゥッ……♥! フウゥン…………♥!」

 肉棒を根元まで挿入されたまま身体の向きを変えられ、またもや味わったことのない悦感に襲われてるリナ。

(なっ、膣で……アレがビクビクしてる……!)

 あまりの昴奮に我慢できず、少女は打ち震えながらぎゅうっとしがみつき、ムンクの肩に口を当てて噛んだ。 

「おお、奥が締まる……! ずいぶん感じてるようだね、それじゃもっとやってあげようじゃないか」

 ムンクは枕をリナに渡すと、その身体をひっくり返し、四つん這いの格好にさせた。そして、獣の交尾のような姿勢でピストン運動を再開した。

「ンアアッ! ンアッ! ンヒッ! ヒイィィッ♥!」

 涙と涎でベトベトになった顔を掻き抱いた枕に埋め、快楽に泣き叫ぶリナ。

「どうだね、感じるかね!?」

「はっ――はいっ、ア……アソコが熱くて……奥まで届いて……ア、ア、アア、アア~~~♥!」

「ムハハハ! オレ様のチンポの味は格別だろう!?」

「は、はい、はいっ、い、いっぱい擦れて……! 気持ちイイ……ッ♥!」

 うねうねと締め付けてくる肉壁が、リナの言葉が真実であると如実に語っていた。

「ン、ン、ンア、ンア、ンアアッ♥!

 も、もう……ダメ、ダメェッ……イク、イッちゃううぅ…………♥!!」

 淫らにうねる肉の心地よさに低い呻きを漏らしながら、ムンクは本能の欲求にギラついた眼で、

「よぉし、思いっきりイカせてやる……オレ様のチンポの味をそのからだの奥まで刻み込んでやるからな……!」

と、リナの背に覆い被さるようにのしかかると、これまでとはうって変わって打ち下ろすような激しいストロークでリナのアソコを猛烈に責め立てた。

 

 グチュ、グチュ、グチュ、グチュッ!!

 

「このいやらしいマンコがッ! 処女のくせにこんなに激しくされて感じるとはッ! フンフンフンフンッ!」

「アアー、アアーッ! アアアーーーッッ♥!」

 肉も神経も痺れわななく雷撃のような快感の嵐。

 リナは髪を振り乱してあられもない嬌声を上げまくった。

 白い光が急速に近づいてくる。

 もう快感以外何も感じられなかった。

「ハアアッ、ハアァ、ハアアー……

 イクッ、イィッ、イッちゃう、イッちゃううぅ~~~~~ッ♥!!」

 切羽詰まったように叫ぶリナ。とろとろに溶けた肉穴が、いよいよ本格的な収縮を始める。

 

「オオオオ! オオオオオ!」

「ンアアアアアッッ♥♥!!!!」

 

 最後の絶叫を絞り出し、リナはもうたまらずにシーツから顔を上げ、背中を仰け反らせた。

(アアッ、イクッ! イクッ! イク~~~~~ッッ♥♥!!)

 快楽の光に消えかかる視覚の中で、鏡の向こうが見える。

 赤い髪の毛。

 

 

 

 

 

 

 

          「…………………………………………え――――――」

 

 

 

 

 ビュビュッビュッビュッッ!!

 ビュビュッビュビュルルルッッッ!!!!

 

 次の瞬間、彼女の胎内で熱いほとばしりが爆ぜ、リナも絶頂に輝く竜巻に呑まれて白い世界に飛ばされていった。

 

 もはや何も出し渋ることはない。ムンクは本能の衝動に任せ、思いきり奥まで突き入れていた。

 リナの膣内いっぱいに膨らんだオス肉が、力強く脈動した。長いおあずけをくらって射精欲も最高潮に達していた灼熱の肉塊が、気持ちよさそうに胴を震わせ、キツキツに締まる雌穴の奥底めがけて熟精された濃厚な種汁を次から次へとぶちまけていく。

「オオオ……! オオオオ…………!」

 ムンクは涎を垂らしながら獣のように唸り、リナの最奥に遠慮なくたっぷりと精液を注いでいった。

「いやらしい処女マンコにオレのザーメンをたっぷりと味あわせてやる……!」

 勢いよく発射されるスペルマが、絶え間なくリナの子宮に浴びせかけられる。

「オオオォォ……! 久々に……すごい量だッ……!」

 ビュルビュルビュルビュルといつ果てるともない射精であった。五回、六回と射ち出されていくごとに、この少女を征服したという達成感が深まってゆく。

 いつもの数倍は濃い白濁粘液が、絶頂で膨らんだ膣奥に溜まってゆく。勢いよく逆巻き、結合部からぶちゅぶちゅと溢れかえってくる。やがて子宮内にも流れ込み、精子の訪れを悟ったリナの子宮が生殖の予感に昂ぶり、膣と一緒にうねり始めるのだった。

 津波のようなオルガズムを浴びたリナの淫肉が、痙攣するように盛んに収縮する。

 

「アーーー…………アーーーーー………………♥♥」

 

 リナはからだをビクンビクンとさせながら、途方もない絶頂に包まれていた。

 もうほとんど何も考えられなかった。味わったこともない真っ白な世界。言葉にできない解放感に何もかも奪われ、悦楽の理想郷を翔ぶ。

 その中で――胎内でどくんどくんと脈打っている熱い塊が感じられた。何かをほとばしらせている。

 そして――

(あああ……あああああ…………! なんで、どうして、ユウキがっ……ユウキがっ…………!?)

 本能の歓喜と、張り裂ける心。

 目の前に赤髪の少年がいた。

 まっすぐこちらを見ている。

「ンンッ……アアッ……い、いや……だめ……い……い、いやあぁ、もう、も

う……あ、あぁ、アアァァ……ッッ♥♥!!!!」

 だが、いったん解き放たれたオルガズムは抑えようなどなかった。突き上げてくる膨大な快感の塊の前に、快楽に屈した意識など薄紙同然に吹き飛ばされるだけであった。抑えようとしただけ、何倍にも感じる強烈な快感が跳ね返ってきて、全身の感覚が一時的にシャットダウンしてしまうほどの絶頂の津波に狂わされた。

「あ……あ…………ユ…………ウ、キィ………………♥」

 リナは少年を見つめながら、そのからだを何度も何度もビクンビクンと強く震わせた。快感と驚愕両方のショックで理性が剥げ落ち、本能の歓喜に沸き立つ胸の熱さを受け止めてしまう。

 押し潰されるぐらいのしかかられて。一番深くまで突き入れられて。アソコがうねっている。きもちよくうねっている。脈動を強く感じた。奥まで届いた熱い塊が、私の中に精液を注ぎ込んでいるんだ。

(中でびゅくびゅく出てる……子宮にかかってる……あはぁぁ…………♥!)

 きもちよかった。骨まで蕩(とろ)けそうだった。

 

 ユウキに見つめられながら、イッちゃった――――

 

 いつからそこにいたの……どうして助けてくれなかったの……なんで、何も言わないの……どうして…………どうして…………

「あ…………あ………………あはは……あはははは…………♥」

 放心したように枕にくずおれる。

 リナの顔から表情が無くなり、淫猥な充足感にほころんでいった。

 

 

 最後の一滴までリナの雌穴に注ぎ込むと、深い満足の吐息をつき、ムンクはようやく腰を引いた。

 カリに掻き出されてきたペースト状の白濁粘液が団塊状になってこぼれる。

 そして、

 

 にゅぐぽ――

 

 卑猥な音とともに、柔らかくなった男根が現れた。

「ンアッ――」

 リナのからだがビクッと跳ねた。

 少し遅れて、ぽっかりと開いた肉孔の奥から、膣肉の蠕動に押し出されるように精液が逆流してきて、穴を覆うぐらいこんもりと溢れ返ると、ドロドロドロドロと垂れ落ちていった。

「こりゃまた我ながらいっぱい出たな」

「……ア…………ァ…………♥」

 リナはときおりビクン、ビクンとからだを弾ませながら、魂の抜けたような顔でマジックミラーの向こうを見つめ続けていた。

「審査はこれぐらいにしようか。最高だったよ」

 ムンクはベッドの端に座ると、絶頂にブルブルと震える豊かな肉付きの尻を撫で撫で言った。

「キミはたいへん有望だ。デビューの件、よく考えさせてもらうからね」

 だが、リナの耳には届いていないようだった。

「ユウキ…………ユウキ………………」

 ぽっかりと虚ろになった瞳にその姿を映しながら、少女の唇は、いつまでも想っていた人の名を呟いていた。

 

 

 

  (終)

最終更新:2020年02月23日 17:24