英雄伝説6空の軌跡エロパロSS

 
『オリビエのエステル寝取っちゃえ大作戦』
 
 
 
 
 
 
 
   1
 
 武術大会で準々決勝を勝ち抜いた日の夜。
 居酒屋サニーベル・インでジンと快飲した後、オリビエは独り残ってワインをくゆらしていた。
 気分は上々だった。エステルとヨシュアの二人は、オリビエの期待通り自力で舞台の上に登場してきた。ひょっとしたら、彼の想像以上に重要な役回りを勝ち取るかもしれない。そのための一つの通過点である武術大会はこれから本物の強豪が待ちかまえているし、ジンは飲み相手としても申し分なかった。
(ロレントの飲み会は、見てくれは両手に花状態だったけど……あうう)
 思い出した途端、背筋にゾッと──うすら寒いものが走った。
 注いでも注いでもいっこうに酔い潰れないシェラザートとアイナ。逆にオリビエの方がさんざんに追いつめられ、隙を見て退去しようにも蜘蛛に絡め取られたように逃げられず、二人の美貌が並々と注がれた酒杯と共に迫ってくる様相は、かえって凄惨さをかき立て――
「あ、あ、あそこでの日々はセピア色の思い出に色褪せるまで封印しといた方がはよさそうだね……フ、フ、フ……」
 オリビエは優雅っぽく前髪をかきあげそうひとりごちたが、その動作にはかなりぎこちなさがあった。
「……それにしても」
 無理にでも思考を変えようと、オリビエは今日の武術大会を思い起こした。
 エステルとヨシュアに関わりがあるらしい、《レイヴン》という不良チームが相手だったが、なかなかどうして、チンピラ風の見かけによらず手強いものがあった。
「修行はしたようですが、ボクのように華麗なる武技も戦法も身につけなかったのが敗因だね……」
 それにしても――と、オリビエは思う。あの戦いのさなかひときわ鮮烈だったのは、試合場内を所狭しと戦うエステルの溌剌とした姿であった。
 荒くれの不良どもを相手に一歩も引かず、むしろ全身に歓びを表しながら喜々として棒とアーツを自在に駆使し戦い回るその勇姿は、まぶしくすらあった。
「短い間にずいぶんと成長したもんだ……。フフ、あれだけ純粋に明るく楽しく舞うように戦う人間を見惚れずにいるのは難しい……しかもそれが若い女の子とくればね。色気はまだまだだけど、あの溢れるぐらいの健康美は十二分に堪能しがいがある」
 酔いの勢いもあってか、想像がそれ以上に進んでしまう。確かに色気は全然ない。だがもし、遊撃士としてもう幾つもの激戦を潜り抜けて鍛えてきた、あの瑞々しく均整のとれたしなやかなからだを抱けるとしたら、その心地よさはいかばかりであろう……。
(ヨシュア君が本当に羨ましいな。エステル君は磨けば必ず光る素材だよ。あの健全そのものの肌をもしこの手で抱けるとしたら、どれだけ好い声で鳴いてくれることだろうか……フフフ、あの快活に輝く瞳がボクの腕の中で淫蕩に煙るようにして喜悦の深みへと堕ちていったら――)
 思わず下半身が熱くなってしまう。
 確かにエステルは女性として食指の動く方ではない。しかしそれを補って余りある、人を惹き付けるような人間的魅力がある。少女としての可愛いらしさもある。また、単純で騙されやすい。舌先三寸を一つ二つ駆使すれば簡単に丸め込めてしまいそうだ。そんな隙の甘さに、ついついイケナイ心が動いてしまうのだ。もっとも、いつもただ想像を巡らせるだけで終わらせるのだが。
「――おっといかんいかん。またしょーもない妄想をしてしまった。酔いが回りすぎたかな」
 頭を振った。その時突然、
「あ、やっぱりここにいたんだ」
と、聞き慣れた声があり、照明で散らされた薄い影がテーブルに差した。
「へ?」
 彼が顔を上げると、そこには彼が今まさに想像していた人物――エステルが立っていた。
「おお、これは麗しの姫君。我が魂の安息所へようこそ。気が変わって一緒に飲もうということかい?しかしあいにくジン殿はもう退去してしまってボクしかいない。いや、むしろ好都合と言うべきか?」
「なに変なこと言ってんのよ。飲みに来たんじゃないの。ていうかわたし未成年だし。あなたに用があって来たのよ」
「おお、そうなのか。しかし、ボクの愛しき王子様の姿が見えないね。珍しい。どうかしたのかい?」
「ヨシュアはもう寝たわ。ひとりで来たの……ちょっと個人的な用だから」
「ふうむ」
 オリビエは口に運ぼうとしていたワイングラスをテーブルに置き、目元にわずかだが素面を取り戻した。
「というと……プライベートな相談とか?」
「ま、まあね……」
 なぜか視線を泳がすエステル。
「ふむ……どうやら、キミにとって大事な話らしいね。しかしこの通り、ボクは酒が入っている状態だけど、それでもいいのかい?」
 エステルはコクリと頷いた。「仕方ないわ。思ったより酔ってなさそうだし。それに今、相談できそうな人はあなたぐらいしかいないんだもの」
「なんか引っかかるが……いいでしょう。キミさえその気なら、この頼りがいありまくる胸をいくらでも貸し出てあげよう」
「あ、あはは……ありがとう……大丈夫かな……」最後の方はボソボソと小声だった。
「ん? 何か?」
「な、なんでもない」
と言いながら、エステルはオリビエの向かいに座った。
 オリビエは儀礼的にワイングラスを持ち上げて、「飲む?」と示したが、エステルは首を振る。
「だから飲まないってば~」
「フ、これは失礼。酒席を共にする人に杯を勧めるのは、半ば義務と化してしまっていてね。人間、酔ったほうが気分が楽になる時もあるというものだし」
 すると、エステルは考える目つきになった。
「そうなんだ……」エステルはオリビエの手の中にあるワイングラスをじっと見つめた。「……じゃあ、ちょっとだけ貰おうかしら」
「うん?」
 オリビエは少し驚いて眉を上げた。本当に飲む気になるとは思わなかったからだ。
(……夜中に独りでこっそりと、プライベートな相談をしに、か……)
 オリビエは給仕を呼んでグラスをもう一つもってこさせると、そこに赤ワインを注ぎながら、
「うーん、エステル君らしくなく、なにやら深刻そうな悩みを抱えてるみたいだね」
と、ちらと少女の表情を見た。ありありと動揺が走った少女の顔。
「え……そ、そんな風に見える?」
「普段はもっとはきはきしてるじゃないか。その落差を考えれば、けっこう深い悩みかもしれない、と推察するのは至極当然のことさ」
「なるほど……意外と鋭いのね。相談しに来て正解だったかも」
「フフ、キミはボクを大いに誤解しているようだね。天はこのオリビエ・レンハイムをこよなく愛し、才を一物も二物も与えてるのさ。ああ、げに恐るべきは我が天賦の才……」
「もう、あたし本当に悩んでるんだけど。もっと真面目に聞いてくれない?」エステルの抗議をフッと柔らかい笑みに包み、真顔に戻るオリビエ。
「それはすまなかった。ボクも本当に困っている人を茶化すような事はしたくない。その辺はちゃんとわきまえてるつもりさ。じゃーそれでは、人生の酸い甘いを噛み分けたお兄さんが、青春まっただ中のうら若き少女の悩みを聞いてあげようじゃないか。どーんときなさい」
と、胸を張って叩いた。
「ほ、本当に大丈夫かなあ……」
 そう言いながら、エステルはワイングラスを取った。ちょっとおっかなそうに傾け、わずかな量を喉に流し込む。
「どうだい、このワインの味は?」
「ん……まあまあね……ていうか、美味しいかも……」
「そうだろうそうだろう。ビンテージ物だからね。喉ごしはあくまで天鵞絨のように優しく、恋する乙女のように甘く切なく、かつ口の奥まで広がって消えない豊饒の味わい……気分を落ち着けるにはピッタリの美酒さ。いや、それにしてもエステル君はお酒飲めたんだね」
「よくシェラ姉やアイナさんの酌してたから、そりゃ少しは覚えあるわよ。でも、お遊びでちょっと試したことがあるぐらいだから、下戸じゃないって程度よ?」
「ハハハ、いや、それが普通だよ。普通に飲むのが何よりさ、普通がね……」
 本気で安心したように、フウとため息をつくオリビエ。心なしか弱々しく映る。そんな姿を、エステルはなかば同情したような憐れみの瞳で見つめた。
「ま、まあそれはいいとして……」オリビエは何かを振り切るようにザッと顔を上げた。「キミの悩みの方だが、大体予想はつく……ヨシュア君とのことだろう?」
 エステルはびっくりして目をまん丸にした。「な、なんでわかるの!?」
「ハハ、嘘がつけないね」と、グラスを持ち上げながらニッコリ笑うオリビエ。
「で、彼とはどのぐらいまで進んでるんだい?」
 ボッと火がついたように、エステルの顔が真っ赤に染まった。
「な、なに言い出すのよ!? ど、どど、どれぐらいってなんのこと……!?」
「ありゃりゃ。しかし、ボクと別れてからも二人はずっと一緒だったんだろう? 何か進展はなかったのかい?」
「あ、あたしとヨシュアは家族だから……そ、そんなこと全然……!」
「んん~?」
 じゃあ何の相談だ、とオリビエは思ったが、
「それなら、ヨシュア君と喧嘩してるとか……でも、二人がぎくしゃくしてるようには見えなかったけど。むしろ、前にも増して息が合っているよ」
「ほんと?」
「ああ、保証する。エステル君とヨシュア君は、どんな組み合わせよりも素晴らしい最高のコンビさ」
 エステルにパアッと嬉しそうな笑顔が広がった。が、すぐにしょんぼりして視線を自分の膝の上に落とす。
「うん……ヨシュアとは問題なく……うまくいっているわ……これまで通り仲の良い兄弟としてね……そう……これまで通り……」
 エステルが言葉を切ると、しばしの間、テーブルに沈黙が降りた。
「……なるほど……」
 かすかにうなづくオリビエ。
「短い間とはいえ、ボクもキミ達二人を見てきた人間だからね。エステル君とヨシュア君の微妙な関係は理解したつもりだし、キミの悩みはわかるような気がするよ」
 恥ずかしそうに頬を染めるエステル。
(色恋とは無縁な子だとばかり思っていたけど、なかなかどうして、エステルもようやくそういう方面に興味が出てきたというわけだ。女の子としては遅すぎるぐらいだけど、まあ……彼女にしてみれば早い方かもしれないか)
「正直言うと……あたしも自分自身の気持ちがよくわからないの……本当にヨシュアのことが好きなのかなって……家族としての愛情と履き違えてるんじゃないかって……とても怖くなる時もあるの……」
「キミ達の場合は事情が複雑だからね。お互いに大事な家族として想い合ってるようだし、気持ちは理解できるよ。でも、彼を異性として意識するのは別に間違っちゃないと思うよ。血は繋がってないんだし、同性のボクから見ても、彼は男として申し分ない素養の持ち主だ。さすがにボクには敵わないが、将来いい男になるよ。彼を射止められる女性はさぞや幸せだろうね」
「そ、そう思う? エヘヘ、そう言われるとなんだかあたしも誇らしい気持ちになっちゃうな」
「キミからしか見えないヨシュア君も、いいところをいっぱい持ってるんだろう?」
「もちろんよ!」
 そうハッキリ答えるエステルの顔は、まるで陽春の輝きを放つようであった。オリビエはまぶしそうに目を細めて微笑んだ。
「外側にいるボクの立場から意見を言わせて貰うと、エステル君とヨシュア君が結ばれるのに邪魔な歯止めは何一つとしてない。まさにお似合いの男女だ」
「ありがとう。でも……」
 またシュンとするエステル。
「ヨシュアの方は、あたしのことを家族や兄弟としてしか見てないみたいなの……二人きりで旅する時間も多かったんだけど、それもむしろ家族としての想いが強くなったみたいで……それはそれですっごく嬉しいんだけどね……」
と、寂しそうな微笑みを浮かべながら語った。
「そうか……」
 空になった自分のグラスを満たしながら、オリビエは言った。
「それに対して、キミは今回の旅でヨシュア君のことが一人の男性として好きになってしまった、というわけか……。すると……重要なのは、キミ自身がどうしたいか、だね」
「あたしが……?」
「そう。キミ次第だ。家族だからどうとか、ヨシュア君がどう思ってるかとかは問題じゃない。彼にその気がないのだったら、キミがその気にさせるしかないんだ。キミがヨシュア君と結ばれたいのか。それとも結ばれなくてもいいのか。あるいはこれからも兄弟家族としての関係でいたいのか。どの道を選ぶかが重要だ。キミ自身が望む道を決めるといい。どれも間違っちゃいない」
「あたし自身が道を決める……」
「自分の気持ちに正直になって選ぶといいよ」
「あたし……あたしは……ヨシュアと……」
「……結ばれたい?」
 オリビエが確認するように訊ねると、かすかに、だが確かに頷くエステル。
「そうか……ま、それが一番だとボクも思うよ」
「でも……ヨシュアはあたしを家族としてしか思ってない……好き、なんて告げたら……」
「関係が壊れて彼が離れていくかもしれないのが……怖い?」
「うん。そんなの絶対にやだよ……」
「だとしたら、その気にさせるしかない。振り向かせるしかないさ」
「えっ……?」
「まずは彼に気付かせるのさ。異性としてのキミをね」
「でも……どうやって?」
「う……。……うーん」
 本当の意味での問題は、まさにそこだった。気持ちにレールを敷くのは出来る。だが、これは……。
「ね、ちょっと立ってみてくれないかい」
「え? う、うん」
 エステルが素直に従って立ち上がると、オリビエはしばらく眺めた後、「今度は後ろ向いて」と注文する。
 戸惑いながらもくるっと半回転し、オリビエに背中を向けるエステル。
「な、なんか他のお客がこっち見てるよ。恥ずかしい……」
「フフ、注目されるのは悪いことじゃないさ」
 オリビエはエステルを「観察」した。
 胸は……お世辞にも膨らんでいるとはいえない。戦闘するには動きやすい大きさだろうが、この部分で女性らしさをアピールすることは難しいだろう。腰つきや臀部はまあまあ育っているものの、やはり未成熟といっていい。ボディバランスは見事に整っているが、総合的な外見でエステルを女性として見るには、かなり無理しなければならない。遊撃士になるために普通の娘とは違う育ち方をしたのを差し引いても、女として見られるようになるのは、まだ当分先の話だろう。
 しかし、だからといって見目が劣るわけでは決してなく、16歳という青い器も充分に魅力的なものだった。
「な、なにジロジロ見てるのよぅ」
と、エステルは居心地悪そうに身じろぎした。
「いや、女らしさを測るための目視点検さ」
「そ、そうなんだ。ところでもういいかな……立ちっぱなしもけっこう恥ずかしいんだけど……」
「ああ、お疲れ様、もう座っていいよ。うーん、それにしても……」
 オリビエは考え込むような顔つきをしながら腕を組んだ。
 しかしその実、心の中でひそかにため息をつく。
 前にも本人を前にして言ったような覚えがあるが、素材は悪くない。それにまだ成長過程の年齢だ。エステルのような元気な娘に惹きつけられる若者も必ずどこかにいるだろう。いや、今日の武術大会でのエステルの活躍を見て、彼女の勇ましさに惚れた男の一人や二人ぐらいいるはずだ。ただ、女としては……
「ハア……」
「な、なにため息ついてんのよ」
「いやね……こればっかりは、すぐに解決する妙案などないし、かといって今のままじゃダメだろうし……」
「ダ、ダメって……なにが?」そこはかとなく不安そうなエステル。
「ウウーンンン……! ……エステル君、キミはキミ自身、女性的な魅力があると思うかい?」
「え"ッ……」言葉に詰まるエステル。「そ、それは……えーと……つまり……その……オリビエから見ても、あたしにはその……無い……ってこと……?」
「……まあ……ありていに言えば……そう」
「ううう……!」
 一気に落ち込むエステル。
「こう想像してみればハッキリ実感できる。例えば、今のままのキミでヨシュアにアタックする。……さて、女として彼の気を引ける自信はあるかい?」
「な、無い……」
 エステルは情けない顔つきで力無く首を振った。
「だろうなあ……しかし、こればっかりはどうにも……キミ自身が変わるしかないからねぇ……」
「う"~……でも……今更どう変われと……遊撃士としての仕事もあるし……大きな事件に首突っ込んでるし……そもそも、どうやったらいいかもわからないよそんなの……」
 二人はそろってため息をついた。
 微妙に重苦しい時間がしばらく続いた。
(相当にエステル君は悩んでいるようだねえ……)
 目の前でしょんぼりとうなだれているエステルを眺めながら、オリビエはしみじみと思う。この即断即決直情娘がここまで吹っ切れずに悶々としているというのは、かなりのものといっていい。彼女にとって、ヨシュアという少年はそれほどまでに大きな存在なのだ。心の奥底まで根付いた想いなのだろう。あるいは、家族の絆が捨てられないのかもしれない。
 この少女ほど色気のある話が似合わない娘も居ないだろうな~、などと思っていたが、ところがどっこい、エステル・ブライトはちゃんと女としても育ちつつあったのだ。
 自分が離れていた期間はそれほど長くなかったはずだが、とオリビエは頭の中で日数をかぞえてみたが、この年頃の若者が少し会わなかっただけでまったく違う貌を見せるというのは、有り得るような気がした。
(それにしても……。……これは面白くなってきたね……)
 心の中でそうほくそ笑むオリビエ。
 これは、ひょっとしてチャンスではないだろうか──うまくすれば、エステルを──
 あと幾節か歳月が巡れば自然に匂い立ちながらほころび咲くだろう、膨らみはじめたばかりの青い蕾。しかし今、手を加えてその時期を早めることは──エステルの年齢を考えれば、決して尚早ではない。まだ穢れをしらない純真でしなやかな体と心に、性の悦びを刻み込んでいく──
 カッと体が熱くなる。
(エステル君を立派な『女』に仕立て上げてから、ヨシュア君に渡すのも……悪くないかもね……フフ……フフフ……)
 ムクムクと、彼の心の奥底で、何か黒いものが起き上がり蠢いていた……
 
 エステルのグラスの中身がだいぶ減った頃、
「……よい方法がないわけじゃないよ」
と、ふいにオリビエがポツリと呟いた。
「えっ」
 エステルの顔が持ち上がり、すがるような表情。
「ホント!?」
「ああ。即効ではないが、その方法ならわりあい短期間で女らしいところが生まれるかもしれない。恋愛の武器に使える副効果もある。ただ……」
「ただ?」
「それを実行するには、ボクのやることを全面的に信頼して従ってもらわなければならない。ボクとキミ、お互いの深い結束が必要なんだ。それなりの覚悟もいる。それでも構わないなら、エステル君の女らしさを向上させる『ヨシュア♥エステルのラブラブ大さくせ~ん(原案協力:オリビエ・レンハイム)』を提案するのにやぶさかじゃないよ」
「やる!やるやる!」
 ワイングラスを掴むと、ぐっと一息に飲み干し、跳ねるようにエステルは立ち上がった。興奮で目がキラキラと輝いている。
「お願いオリビエ! 作戦名は長くて変だけど、あたし頑張るから! 信頼するって!」
「そ、そうかい。いいネーミングだと思うけどなあ……まあいい、キミがそこまでやる気なら、早速始めようか」
「え……今からできるの?」
「むしろ好都合だよ。じゃ、場所を移そうか」
「う、うん」
 そうして、二人は居酒屋サニーベル・インを後にした。
 
 
 
 
 
 
   2
 
「ここって……」
 エステルは驚いてその建物を見上げた。
 無理もない。
 オリビエが案内したのは他でもない、そこは、彼女の泊まっているホテル・ローエンバウムだったからである。
「まさか、あなたもここに泊まってるの?」
「いや、ボクが泊まっているのは別のところさ。今日はもう遅いし、同じホテルなら帰りの心配をしなくていいじゃないか」
「あ、な~るほどね。あたしの都合考えてくれたんだ。ありがとう、オリビエ」
「ただし、部屋が空いてなければ残念、教習を始めるのは明日からだ」
「わかったわ」
 オリビエがロビーの受付で確認すると、幸いなことに昨日の予選に敗退したチームが引き払った部屋が空いていた。オリビエが受け取ったキーには、「103」と書かれていた。
「この階だね。エステルが泊まってるのはどこだい?」
「201よ」
「一階上か」
「教えてもらう立場だし、部屋代はあたしが払うわ」
「いやいや構わないよ。ついでに泊まればいいしね。じゃ、行こうか」
 二人が入った部屋は、室内の装飾や調度などエステルの部屋とほとんど変わらない作りだった。
 オリビエは部屋の真ん中でざっと室内を眺め渡すと、満足げに頷いた。
「さすがは王都で一番大きいホテルなだけあって、格式ある優雅な雰囲気だね。趣味もいい。ボクに相応しい寝室だ……ところで、エステル君はもうお風呂には入ったかい?」
「うん、出る前に」
「そうか。ボクはまだ入ってないから汗だらけでね。悪いけど、始める前に入浴させて貰ってもいいかな?」
「別に構わないわよ」
 オリビエは浴室のカーテンを閉める時、
「覗かないでね☆」
と、茶目っ気たっぷりにウインクを送った。
「……あのねえ……」
 エステルはこめかみを押さえ、
(こういうとこさえなければもっと頼もしく感じられるのに、ハァ……)
と、呆れながらベッドに腰を下ろした。
 
「お待たせ~」
と、さっぱりした陽気な声とともにオリビエが出てきたのを見た時、エステルはギョッと固まってしまった。
 腰にタオルを巻いただけの半裸。細身ながらも引き締まった白い裸体が、風呂から上がったばかりで血行よくほのかに染まっている。
「ちょ、ちょっとオリビエ……目のやり場に困るんだけど」
と、目を逸らす。
「いや~湯上がり後はこうやって体を冷やすのが気持ちいいんだよ。別に恥ずかしがらなくてもいいじゃないか。男の半身なんてよくあることだし」
「ま、まあそうだけどさ……」
「悪いけど、しばらくこのままで居させて貰うよ」
「う~……仕方ないわね……」
 ベッドは二つ並んでおり、エステルは廊下側のベッドに座っていた。オリビエは向かい合うようにしてもう一つのベッドに座った。
「お、フカフカ♪ さぞやいい夢が見られるだろうねえ」
「うん、気持ちよくぐっすり眠れるわよ」
「それは楽しみだ」
「ね、ねえ、それより……あたし、本当に女らしさなんか身につけられるのかな……? 正直、そっちの方面は苦手っていうか自信ないっていうか……女の子らしいことなんて全然したことないから、よくわかんないんだよね……」
「ヨシュアの気持ちを変えたいなら、まずは自分を変えないとダメさ。さっきも頑張るって言ってたじゃないか。なあに大丈夫、ボクに任せてくれれば、自然に女らしくなっている自分に気付く時が来るよ」
「そうなんだ。うん……ありがとう。頑張るからよろしくね、オリビエ」
「承った。じゃ……まずは再確認から。第一に、エステル君はヨシュア君と男女として好き合いたいと願っている……だね?」
「改めて言葉にすると、なんかこっ恥ずかしいけど……その通りね……」
「まあ、その辺キミ達の関係は独特だからねえ……だが、そういう想いがあるのは確かなんだろ?」
 頷くエステル。頬は真っ赤になっていた。
「ははは、青春だねえ……よし。じゃあ第二に、エステル君が今どれぐらい女性的魅力が備わっているか、だが……。ボクはこの麗しき美貌のおかげで多くの女性たちと付き合い、華やかなゴシップを数知れず流したものだが、その豊富な経験から言わせて貰うと、さっきも言ったとおり……キミの名誉にかけて決してブスではないんだが……皆無だ」
「何度もそうハッキリ言われると、正直ヘコむわ……」
 顔を悲しげにゆがませるエステル。
「現状確認にすぎないから今は我慢してくれたまえ。第三に、ヨシュアの気持ちだ。彼はキミのことを家族以上には想っていない、というのは……そうなのかい?」
 エステルは辛そうな顔で頷いた。
「ハッキリ言ったもの。家族兄弟として助けになりたい、って……」
「フゥム……そうなると、やはり。エステル君の女らしさを開花させ、彼にキミの女性的な面を見せて惹きつけなければ、何も始まらないな……よし、再確認終わり。さて、エステル君」
「うん」
「さっそくだが、服を脱いでくれたまえ」
「……へ?」
 一瞬、キョトンとするエステル。
「え……今なんて……?」
「いや、だから服を脱げと」
「えええ!?な、な、なんでよ!?」
 エステルは真っ赤になり、かばうように自分の体を掻き抱いた。
「あのねえ、エステル君……」呆れたようにため息をつくオリビエ。「ボクを全面的に信頼してくれと言ったよね?」
「それと服を脱ぐことにどういう関係が……」
「覚悟がいるとも言った。いい方法とはいっても簡単に出来ることじゃないし、一朝一夕に身につけられるものでもない。キミを女らしくさせるためには、その体に直接色々と教え込む必要があるんだ」
「え……えええ~……」
「ちなみに何をやるかというと、まずは服を全部脱いで貰ってキミのネイキッドを隅々までチェックする。素材を生のままの状態で確認しないと、具体的な対策も立てられないからね」
「ぜ、全部脱ぐの……!?」
「そう。この際言っておこう。これから起こることは、たぶんほぼ全てがキミにとって未知の世界だ。経験のないキミにとっては恥ずかしい事ばかりだろう。荒療治といってもいいから、次々と降りかかる驚きと衝撃に心は混乱し、恥辱の極みに達するかもしれない。だが、それを耐えなければ光は見えてこない。武術だってそうだろう。最初は不可能だった術技も、修練を積むことによって成功させられるようになる……それと同じだ。その辺をどうか理解して欲しいな」
「そ、そうなんだ……くくく……わ……わかったわよ……脱げばいいんでしょ……脱げば……!」
 不承不承、エステルは立ち上がると、おずおずとジャケットに手をかけた。
「……あっち向いててよ」
「いや、ダメ。もう特訓は始まっている。男であるボクに見続けられながら脱ぐんだ」
「そ、そんなあ~……」
(見られながら服を脱ぐだなんて……そんな……)
 エステルは恥ずかしさで耳まで赤くなりながら、ぎこちない動作でジャケットを脱ぎ、ベッドの上に投げた。
「次はスカートかな」
「……!」
 一瞬、逃げようか――という考えが頭によぎった。こんなことになるなんて、思いもよらなかった。
 でも、とエステルは戸惑った。
 ここで逃げたって何の解決にもならない。ヨシュアは今のまま、家族としてあたしを大事にしてくれるだろうけど、それ以上には想ってくれない……。それに、オリビエはあたしのためを思って協力してくれているんだ。飛行船行方不明事件の時もそうだったけど、いざという時には頼れる存在になってくれる奴なのかもしれない。いえ、あたしもそう考えたからこそ、オリビエに相談しに来たんだし……。
 エステルは緊張を抜き取るように深い息をはいた。
「じゃ、じゃあ脱ぐね……」
「覚悟したようだね」
 エステルのスカートは機能性が重視されたデザインで、激しい運動でも簡単に脱げ落ちないようベルトでしっかりと固定されている。そのベルトのバックルをいじって留め金を外し、ゆるめる。
 指が離れると、普通のものより重みのあるスカートはストンと床に落ちた。ノースリーブの素っ気ない白いシャツと黒いスパッツという、色気よりもスポーティーさを感じさせるラフな姿になったエステルは、落ち着かなそうにモジモジと身体を動かした。
「ね、ねえ……本当にこっから先も脱がないといけないの……?」
「今、エステル君は男のボクに見られながら脱衣することで、緊張と羞恥を覚えているね?」
「あ、当たり前じゃない」
「いやいいんだよ、それで。他人の、しかも男の目が気になるのは、女としての自覚がある証拠で、好ましい傾向だ。羞恥心は女性らしい心理の主な性質。恥じらう乙女は特に可愛いものだ。そこに男は惹きつけられる」
「じゃあヨシュアも……なのかな?」
「男だったら多かれ少なかれ、必ずそそられるとボクは確信するね。ただ、ヨシュア君の場合はだいぶフェイスガードが固そうだけど。それを突き崩すのは並大抵の努力じゃいかないよ。だから当然、その下も脱ぐんだ。もっといっぱい恥ずかしさを覚えて貰うためにもね」
「えええ~!?」
「お遊びじゃないんだ。ボクのやり方に不満があるんだったら、これで帰らせて貰うよ」
 オリビエはそう言って腰を浮かそうとした。
「ま、待って!わかったから……脱ぐから……!」
「オーケイ♪」ベッドに座り直すオリビエ。「恥ずかしがらずに、なんて言わない。大いに恥ずかしがりながら脱いでくれたまえ」
「ううううう……」
 恥ずかしさで半泣きになりながら、エステルは靴を脱いでスパッツに手をかけた。この下はもう……下着しか着けていない。
 下着姿なんてヨシュアにも見せたことがなかった。一回だけ、エステルの着替え中に知らずに部屋に入ってこられて見られたことはあるが……あの時、ヨシュアは即座に後ろならえで部屋から飛び出、扉の向こうから平謝りに謝ってきた。ヨシュアらしいというか何というか……沸き上がろうとしていた怒りはすぐに消え、そこまで焦ることないのに、とエステルは可笑しくなった記憶がある……。それからというもの、ヨシュアは必ずノックをするようになった。
 そしていつしか、本当の兄弟のように、いくら薄着になっても動揺を見せなくなったヨシュア……。
 スパッツがずり降ろされ、脚から離れた。淡い萌葱色のスポーツパンツを隠すように、エステルはシャツの裾を引っ張った。顔はもう真っ赤っかだ。
 オリビエはニヤニヤと笑みを浮かべながら、その様子を眺めている。
「そう、その恥じらう感じだ……あ、靴下も脱いで……そうそう、素足の乙女いいよいいよー」
 覆うものが何もなくなり剥き出しになった脚を、恥ずかしそうに交差させるエステル。
「あ、あたしの脚って太いでしょ……腕もそうなんだけど……他の娘(こ)とかってもっと細くてすらっと……きゃ!」
 可愛い悲鳴が上ったのは、オリビエがエステルの足元にかがみ、太腿やふくらはぎなどを触ったり揉んだりしはじめたからだ。
「な、なにするの……!?」
「いや……ブレイザーの仕事をこなしてるだけあって、身体の重みをしっかりと支えられるしなやかで強靱な脚だ。柔らかく弾力のある筋肉、すべすべで張りのある肌、脚線美も充分。卑下することはない、自慢できる素晴らしい脚だよ」
「あ、ありがとう……でも……」
 エステルの戸惑ったような声。
 オリビエの触診する手が徐々に上がってきて、裾をめくって腰の辺りまで触れてきたからである。
「あ……ちょっと……!」
 股間の正面にオリビエの顔がある。
(は、恥ずかしすぎるよう~!)
 あまりの恥ずかしさに、からだがカーッと火照ってくる。
「脚は付け根まで見ないとね。……おや?震えてるね」
「だ、だって……!」
「いや、いいんだよ。ここまで男に間近から見られて、気分が昂ぶらないほうがおかしい。しかし、今のボクは男であると同時に教官だと考えてくれたまえ。ボクはこれがエステル君のためになると信じてやっている。だから、キミもボクを信じて身を任せて欲しいな」
「う、うん……」
(おお……!)
 コクリと頷いたエステルの、目の端に涙を溜めた、なんという可愛らしい仕草……! いつもの元気溌剌な姿とのギャップとも相まって、オリビエの昂奮を掻き立てる。
「いいよエステル君、その調子だ。どんどん良くなってきてる。さあさ、次はシャツもだ」
 エステルは震える手でシャツの端に手をかけ、裏返しで脱いでいく。長いツインテールが狭そうにネックを潜り抜けてブワッと滝のように広がると、ついにエステルはブラとパンツを付けただけの姿になった。
 パンツと同じ色柄のスポーツブラに包まれた膨らみは控えめといってよく、お尻もやや肉付きにとぼしかったが、背すじはスラッと伸び、どこにも余分なぜい肉はついておらず、自然にバランスがとれた美しいボディラインであった。オリビエはすっくと立つと、エステルの背後に回った。
「な、なに……きゃ!」
 オリビエの体が後ろからピタッと密着してきたのである。オリビエもタオル一枚の姿なので、直に肌が触れあってしまう。エステルの体温はますます騰がり、動揺を抑えようとして頭の中がパニック状態になった。
「あ、や……あ……!」
「検査はこれからが本番だ。じっとしててくれたまえ」
 そう言うと、オリビエはエステルの腕や肩、脇腹などをまさぐり始めた。
「え……あ……や……!」
「ウン、上半身も背がシャンとしてて、均整がよくとれてる。ただ、ここはもう少し厚みがあった方がいいね」
 エステルが、「え?」と思った時にはもう、それは起こっていた。
 オリビエの手が背中に回り、「プツッ」と軽い音がすると、エステルの胸を覆っていたブラジャーが外れて落ちていったのである。
「やっ……!?」
 エステルが反応する間もなく、すばやく前に移ってきたオリビエの手が、高いとはいえない丘陵を両側からくるむように包み込み、なぜ上げていく。
「あ……や……ちょっ……!?」
「おっと、暴れちゃダメだよ」
 エステルが身じろぎしたが、オリビエの手は吸い付いたように離れず、動きが繰り返され、本人の性格と比べてずっと大人しい双つの乳肉が、小波を打つように上下に動いた。
「男って生き物が重要視する女体の最たるポイントは胸なんだ。人によって趣向は異なるが、通常は標準以上のボリュームがあった方が男は悦ぶし、見栄え的にもいい」
 オリビエは揉み続けながら言葉を継いだ。
「エステル君の場合はちょっと肉厚が不足しているけど、乳房を支える胸筋は発達しているし、こうしたマッサージで定期的に刺激を与えることによってボリュームも増していくよ。ん?どうしたんだい?」
「あ、あの……そこ……あんまり弄くらないで……くすぐった――あ……!」
「え、ここ?」
 オリビエはエステルの乳輪をくすぐり乳首をつまんで軽く引っ張ったりした。途端、エステルのからだがビクリと震える。
「ハァンッ!」
「お、いいね、いいよその反応」オリビエはエステルの背後でいやらしい笑みを浮かべた。「感度も大切だ。よく感じてくれる女に男は夢中になるものさ」
「あ、あぅぅ……な、なんか、変……今の……」
「ああ……こういった経験は初めてなんだろ?」
 エステルが頷くと、オリビエは心中で小さく快哉を上げた。本当にエステルとヨシュアはちっとも進展してなかったのだ。エステル自身も純真そのもので、変なことは覚えていないようだ。
(これは……意外とあっさりと騙せるかもしれないな……)
 一人の何も知らない純な娘を汚し、自分色に染め上げられるかもしれない……。たまらない愉悦をオリビエは感じた。
(ヨシュア君、エステル君のからだはいただくよ……)
「さっきも注意したけど、エステル君にとって未知の世界だ。慣れるまではボクの手ほどきだけが道しるべと思って、信じて身を任せてほしい」
「う、うん……」
 オリビエはエステルの腰に腕を回して引き、ゆっくりと後ろのベッドに倒れた。羽毛の高級ベッドは、二人分の体重を受け止めて柔らかく沈んだ。
 エステルのからだを乗せたまま、オリビエは胸の愛撫を続けた。
「女の子は男の子にこうされると、気分が高まってしまうものなんだ。決して変なことじゃない。しばらくは自然体で弄られるままに感じていて……」
「は、はい……ん……んん……」
 オリビエがしばらく揉んだり撫でたりしていると、徐々にエステルのからだに熱が帯びていくのがわかった。
「ん……ん……あ……は……」
 さらに滑りがなめらかになりはじめた。エステルの肌が上気し、うっすらと汗が浮いてきたからである。
(あ……?おしりになんか当たってる……?)
 それはオリビエの勃起したペニスだったが、性知識に乏しい少女には何なのか解らず、その熱く固い感触が妙に気になったが、今はそれよりも胸の方が抜き差しならぬ事態になっていた。
(あぁ……なんか……へん……くすぐったいけど……あん……)
「どうだい、エステル……胸はどこを触られると特に感じる?」
「あ……あぁ……」少女の唇がわななきながら動く。「ち、乳首触られると……あぁ……!」
「じゃあ、乳首を丹念に責めてあげよう」
 オリビエは上下を逆転させ、エステルに覆い被さると、なだらかに膨らむ丘の頂上にある可憐な蕾を口に含み、コロコロと転がすように舐め回した。もう片方も親指と人差し指でクリクリと柔らかく揉みしごく。
「ひゃぁんッ!」思わずエステルの口から気持ちよさげな声が上がる。「だ、だめぇ……! あ、ああ、あ、ひ、あぁ……! お、おかしくなっちゃう……!」
「気持ちいいかい?」
「う、うん……変なのに……体にしびれが走ったみたい……!」
「正常な反応だね。いやむしろ良好だ。それでいいのさ。初めてで怖いところもあるだろうけど、どんどんと今の気分を覚えていくんだ。からだに吸収させていくようにね……」
「は……はい……」
 すっかり素直に頷くようになったエステルを見て、オリビエは内心ではほくそ笑み、外面では教官が教え子の態度に殊勝さを認めたように頷き返した。
「よしよし。エステルは覚えが早くていい子だ。じゃあ、続けるよ」
 オリビエはさらに愛撫の手を広げた。脇、首筋、耳元、背すじ、脇腹、腰……下半身以外で女体の弱い部分を重点的に責める。敏感なところをまさぐられる度にエステルのからだは揺れ、震え、あるいは跳ねた。最初はくすぐったそうな感じで、「やだぁ」とか、「いや……」などと我慢できずに身体を逃がす場合も多かったが、オリビエはエステルの反応を見ながら、彼女が気持ちよさそうになる箇所を探し出し、さらにそこを中心に責めを組み立ててゆく。
 エステルは次第にオリビエの手に絡め取られていくようにして逃げなくなり、それとは変わって熱い吐息をつくようになっていった。
「あ……ん……はぁ……んんッ……んあ……」
(はぁ……なんか……へん……)
 からだが火照り、おかしな気持ちになっていく自分に戸惑うエステル。ただ、悪い感覚ではない──肌と肉が痺れ、それからとろけそうなさざ波となって消えていく──
 気持ちよかった。
(これが……女らしくなるってことなの……?)
 わからなかったが、オリビエがそう言うのだからそうなんだろう。
 やがて、エステルはうっすらと瞼を閉じ、「ん……」とか、「あ……」と切なげな吐息をつきながら、感じているという反応を如実に返すようになった。感じやすい体質なのか、それともストリップが効いたのか、アルコールで感覚が鋭敏になっているからなのか……いずれにしろ、オリビエの舌と指が蠢くたびにエステルの瞳の光はぼんやりとしていき、オリビエを疑ってこの場から逃げようという考えは何処かへ忘れ去ってしまっていくようであった。エステルのからだから立ち上る体臭は晴天下の青葉のように若々しく、いつまでも嗅いでいたくなる自然な健やかさに満ちあふれていた。これだけでもエステルを抱ける価値が十二分にあったと、オリビエはどんな香水にも劣らないその匂いを満腔に吸い込む。この匂いは覚えておこう。男を知ってしまえば、変わってしまうかも知れないのだから……
「は……ん……あぁ……んん……あ……あっ……あぁ……」
 エステルの唇から、いつしか官能的な喘ぎ声が漏れるようになっていた。すっかり紅潮した頬で、
「あ……んんぁ……へん……へんなのぉ……あっ……ああぁ……こんな、こんなのって……ん……んはぁ……!」
と、半分うわごとのように悶えるエステル。
「もっと気持ちよくなってきた……?」
「うん……はっ……んあぁ……そんな風に触られると……ひぇ、へんに……感じちゃうの……ッ!」
「その調子だ……抑えちゃいけないからね……。気持ちいいなら、気持ちいいままに感じるんだ。考えずに感じるんだ……」
(で、でもこれぇ……なんか、どっかおかしくない……?)
 わずかにまだ残っていた冷静な理性がそう告げていたが、オリビエの言葉に乗せられている状態のエステルは、未知の経験に対する恐怖心がそう考えさせるものと、頭の片隅に追いやってしまう。
(だめよエステル……せっかくオリビエが教えてくれてるんだから……最後まで我慢してやり通さなきゃ……!)
 そんなことを考えているうちにも、快楽が意識を侵食してゆき、理性の裾野が厚い雲海の下に沈んでいく。
(あぁ……気持ちいい……すごく……これが……女らしくなるってこと……?)
 オリビエの指や舌がエステルの肌を刺激するたびに心地よい感覚が身体じゅうに広がり、四肢がゾクゾクと震える。武者震いとは全く違う、全身から力が抜け、甘く蕩けてしまいそうな気持いい震え――
 上の空になっていくエステルの様子を眺めながら、
「じゃ、そろそろこっちも脱がすよ」
と、オリビエは両手をエステルの下に潜らせ、パンツ越しに双臀をやわやわと揉みしだいた。
「あ……やあぁ……そっちは……」
「さすがに恥ずかしい気持ちが強いかな? でも、脱がしちゃうからね……ホラ、膝を曲げて腰を持ち上げて……」
 耳元で囁きながら、オリビエは手を動かす。
「あ……ああぁ……!」
 睫毛を伏せながら言うとおりにするエステル。すごく変な気持ちで、身体がオリビエの言葉に従ってしまった。
 ずり下ろされるパンツが立ち膝を登ってゆき、頂点を通って下りに入り、エステルが恥ずかしそうに見ているうちに、とうとうベッドの外に投げ出さた。そうして、ついにエステルは一糸まとわぬ姿になってしまった。
(ああ……あたし……裸に……)
 男の前で裸になる意味がまだよく分かっていないエステルには、ただただ恥ずかしいという感情でいっぱいだった。でも、できることなら、一番最初はヨシュアに見てもらいたかったという気もする。しかしそれは、今のままでは不可能だと自分自身でも分かっているし、今はそんな願望を抱いている場合ではない――
「どうだい。こうやって入浴や着替え以外で裸になった感想は?」
「すごく……恥ずかしい……」
 消え入りそうな声で答えるエステル。
(オリビエがあたしのからだを隅々まで見てるよお……あぁ……)
 エステルのアソコはやや上付きだった。よく発達した大陰唇と、うっすらと茂った栗色の陰毛に包まれた秘裂からは、ピンク色の膣肉がわずかにのぞき、てっぺんにはクリトリスの頭皮がちょこっと出ている。
 オリビエはそれを眺めながら、
「でも、すごくドキドキもしないかい?」と尋ねる。
「うん……してる……なんか……へん……」
「それならいいんだ。恥ずかしくてもそんな気持ちになる……実に女らしい感覚だよ。それにエステル、今のキミはとっても綺麗だ……」
「あっ……」
 オリビエが再びエステルのからだをまさぐりはじめた。少しだけ収まっていた体温がまた騰がっていく。再び意識に快楽の靄がかかる。今度は下半身にまで腕が降り、太腿や内股も撫で回した。アソコの近くまでオリビエの手がきている、という認識はない。エステルにはまだそこまでの知識はなかった。
(なんだろう……今の、『きゅん』って感じ……)
 少しだけ緊張が軽くなって――先ほどよりも体が熱くなり、オリビエの愛撫がより心地よく感じはじめている。オリビエの指や舌使いはあくまで薄絹を扱うように幽かで優しく、決して痛くはしない。とても安心感があった。
 そっと触れ去る程度なのに、その部分がビクビクと反応してしまい、その後で全身が弛緩するように気持ちよさが湧き立って、からだの奥に沈み込んでいような感覚――
 こんな感覚を刷り込まれていったら、気が狂ってしまうかもしれない――
 エステルは半ば閉じ気味の目でオリビエの手の動きを追い、この気持ちよさをどうやって生み出しているのだろうと見極めようとしたが、まるで幻に包まれたように分からない。エステルから見たオリビエの指の動きは、ただ単に触り、撫でているだけであった。それなのに、彼の指が揺らめき動くたびに、ただごとではない快感が生まれるのである。
(わからない……あぁ……でも……考えなくていいって言ったし……)
 いつしか、エステルは考えることをやめ、オリビエが与えてくれる溶けるような快感に意識を集中するようになった。それでもっと楽になった。
「あ……は……あ……はぁぁ……!」
 段々と緊張が解かれていくエステルの様子に、オリビエは笑みを深くする。
「ずいぶんと気持ちよくなってきたみたいだね」
「はぁ……あん……からだが……からだがおかしいの……オリビエに色んなとこ触られて……恥ずかしいんだけど……でも熱くて……こんなのって……」
「その調子だよ。気分が乗ってきたら、無理して落ち着こうとしなくてもいい。感じるままに……おかしくなるままに……からだが熱くなるままに身を任せるんだ……」
 ぷっくりと膨らんだ乳首を口に含み、内股や脇をしきりに弄くりながら、呪文を唱えるようにそう言うオリビエ。
「ひ……ん……んん……あ……!」
 口を半開きにしてからだをぷるぷると震わせ、エステルは焦点の霞む視線を中空に彷徨わせた。
(夢中になる寸前だな……よし……)
 オリビエは内股をさすっていた手を徐々にずらし、湿り気を帯びた熱さを発する方へと向かわせる。
 クチリ――と、ソコに触れた時、「あ……!」とエステルは高い喘ぎ声を出したが、特別驚いた反応はなかった。もう、どこを触られているか細かく感じられないのかもしれない。
 人差し指と薬指で秘裂を割り、中指を入れる。うっすらと湿っていた。厚い大陰唇にくわえ込まれるようにして中庭をなぞり、クリトリスにそっと触れるぐらいで折り返すと、
「ハァッ──ァンン……!」
 エステルは嬌声ともつかぬ溜め息をつき、腰に一瞬力が入ってから弛緩しモジモジさせ、からだを震わせる。
「エステル、可愛いよ……」
「ア、ア、ア……オリビエ……ア、アア……♥」
 エステルは無意識に腕を持ち上げ、オリビエの首に回した。オリビエは抱き寄せられるままに愛撫を続ける。
「アア、ア、そこ、そこ気持ちいい……すごく熱くて……い、い、いや、あ、あ、だ、だめぇ……♥」
「フフ……いいよエステル、すごく可愛い……その調子だ……キミはどうされたいんだい……どうして欲しいか言ってごらん……」
「あっ……はっ……あぁ……いい……もっと……もっとしてほしいかも……」
「もっと気持ちよくなりたいのかい?」
 エステルは目の端に陶然とした色を浮かべながら、コクコクと何度も頷いた。
「じゃあ、どこをもっと弄って欲しいんだい?」
「あぁ……」エステルの視線が下がったが、抱いているオリビエの身体があって下半身が見えない。「今触ってるトコ……そこが一番熱いの……」
「ココだね。もっと強く触っていいんだね」
「うん……ッッ――♥あッ!ああん!」
 オリビエの指使いがせわしくなった。秘貝の殻がもっと拡げられて擦り上げられてゆく。入り口付近を浅く軽く突き回したり肉ビラを揉み撫でたりすると、わずかに湿った音がし、今まで以上にエステルのからだが官能的にくねった。
「ア! アァ! アン、ンン……! ンンン、ダメェ……!」
「ここはどうだい?」
 オリビエが指の腹でクリトリスを撫でると、
「ひっ!」エステルのからだがビクンと跳ね、わずかにのけぞった。「い――あ、は――あぁ……!」
「ハハ、ここはかなり感じるみたいだね……」
 オリビエはエステルに抱かれたまま少女のからだをだっこし、枕に彼女の頭を移しかえた。今までベッドを横断しているかたちで戯れていたのだ。
 それからオリビエはエステルの腕から抜け出し、足元まで下がると、彼女の両膝を掴み、ぐいっとM字に拡げた。
「あっ……や……」
 エステルは思わず閉じようとしたが、それより早くオリビエの身体が間に割り込んでいく。
「あ、いや……こんなの恥ずかしい……」
「フフ……可愛いよエステル……やればできるじゃないか……キミの恥ずかしいところをもっと見せるんだ……」
 オリビエは少女の脚の内股をツー――と舐めながら、秘奥へ続く道を進んでいく。エステルの腰が快楽にゾクゾクと震える。
「ひっ……あっ……ああぁ……!」
 オリビエの頭が脚の付け根まで到達すると、さすがに気付いた。
「そ、そこはっ……きたないよぉ……!」
 エステルにとってそこは、排泄をする器官という知識しかないのである。
「ちっとも汚くなんかないさ。こうして――」
 唾液をたっぷりと乗せた舌を突き出すと、ピンク色の肉が覗く秘裂に埋め、入り口付近をゆるゆると蛇行するように舐め回す。
「は――はゥゥゥンッッ!!」
 肉を震わせ骨にまで染みるような気持ちよさがからだじゅうに反響する。
(んああぁ……!きたないところなのに──こんな――こんなのってェ……!)
 体の芯が疼き溶かされるような甘い痺れ──
 一瞬、我を忘れてしまった。
「――弄くられると気持ちいいだろう?」
「……あ……い……いぃ……」
「さあ、もっと弄くってあげるよ……」
 オリビエはグイッとエステルの両脚を押し拡げ、股間にさらに顔を埋(うず)めた。
 エステルはたまらずにオリビエの頭を掴む──だが今度は抵抗しなかった。
「はぁ……あ……はぁぁ……♥!」
 オリビエの舌が、指が、敏感に感じるところを蠢くたび、頭の裏側が痺れるような快感が全身を走ってしまう。
「ひ、ひぁ、ひああぁ……ッ! ひぃぃンンッ!!」
(いや……これ……これだめぇ……おかしく……おかしくなっちゃうぅ♥)
「ああ、美味だ……エステルのココはとても香しい……何にも汚されてない聖女の如き味わいだ……いくらでも舐められるよ……」
 オリビエはエステルの秘裂をいっぱいに拡げ、ピチャピチャといやらしい音を立てながら舐め、とてもおいしそうに吸い付く。
「ひぁッ、んは、んはあぁぁ……!だめ、そこ、そんな、そんなにぃ……! あぁ、だめへぇ……!」
「おお、ラブジュースが溢れてきたぞ……いいぞ、どんどんと女らしくなってるよエステル……もっと感じまくるんだ……遠慮することはない……ヨシュア君を振り向かせるんだろ……もっと女らしくなるんだ……感じまくるんだ……」
「あぁ……ヨシュア……ヨシュア……」
 熱い吐息の狭間で愛しい人の名前を呼ぶエステル。
 そうだ……これはヨシュアのために……女らしくなって……ヨシュアに振り向いて貰う……女らしくなったあたしに家族以上の興味をもって貰うんだ……ヨシュアのために……
 
 ピチャ……ペチャ……ピチャ……
 
「あ、あ、あああぁ……♥」
 だが、快感がフラッシュのように頭いっぱいに光り広がるたび、脳裏からヨシュアの顔が消えることに、エステルは気付いていなかった……
 
 
 
 
 
 
   3
 
 しん、として王都の夜が更けていく――
 一階上にある部屋では想い人が寝ている。
 ──そんな事にすらもう気が回らないほど、エステルは快楽の虜となっていた。
 
「ぃ……ひんッ!……そ、そこ……あ、あ……い……いいぃ……♥!」
 随喜の涙を流し、すっかりからだを開いてオリビエの愛撫を受け続けているエステル。
 何も知らない純真無垢な少女は、オリビエの言いつけを守り、彼から与えられる快楽を感じるままに受け止めていただけだったのだが──いつからこんな風になってしまったのか、本人ももうよく分かっていない。
 エステルは全身が性感帯になったように、もはやどこを触られてもただただ気持ちよさそうに喘いでいる。
 始まってから数時間、性戯に長けた青年の夢魔のように蠢く指と舌によって、少女のからだは隅から隅まで丹念に愛撫し尽くされ、理性をほとんど崩されてしまったのだ。
 オリビエの言葉を信じた結果だった──だが、今のエステルにはもう、現在の状況はわかっていない。ぐにゃぐにゃに蕩けたようになってしまっていた。オリビエの誘導と愛技によって、見事に快楽の泥沼へはまりこんでしまったのだ。ヨシュアの顔を思い出す間隔は長くなる一方だった。エステルの胸は、オリビエの愛撫が一時離れるわずかな時間も、次の快感への期待で満ち溢れるようになってしまっていた。
 初めての性的な体験にも関わらず、エステルは何度か小さいアクメに達してまでいた。いや、初めてだからこそ、いったんおぼえた禁断の味に酔いしれてしまい、歯止めが効かないのかもしれない。遊撃士として培った体力が、その快楽の満ち潮を持続させていた。
 ただ、まだ大きな波はかぶっておらず、その辺はエステルがイキそうになるとわざと刺激をゆっくりと弱く与えるようにするなどして、オリビエが巧みに緩急を操っているのだ。
 エステルの全身は朱に染まり、あの初夏の陽をいっぱいに含んだ若草のような体臭が濃厚に匂い立たせている。乳首とクリトリスがピンと張り、触れられるたびにからだじゅうに官能の波をさざめき渡らせ、また新たな嬌声が喉の奥から生まれる――
「あ……ふぁ……!イ、イィ……ンア……ンハァァ……!」
 快活な光が消え、快楽にけぶる瞳――
 もはやいくらオリビエが体を密着させてこようが、からだを転がされ股を拡げられようが、戸惑う間もなく、次の瞬間には全身が痺れ蕩けてしまいそうな快感に支配されるのである。そのうちにエステルの注意力は剥がされ落ちてゆき、無意識のままにからだをすり寄せ、自ら股を開き、オリビエのなすがままに生み出されてゆく淫欲を貪るようにまでなってしまった──
 オリビエも執拗なほどに愛撫を重ねた。すぐに挿入し射精するのは簡単だが、それでは面白くないのである。手と口が疲れれば肉棒に交代し、体位を変えながらさんざんに敏感なところを擦り上げてエステルに休む暇なく、ついには前後の見境がなくなるほどの快楽を与え続ける。
 しかしやはり、何度もういい加減に挿入したい、と切実に願ったことだろうか。エステルの堕ちた姿に、オリビエもすっかり昂奮していた。そろそろ、この完全に籠の中に囚われた小鳥を汚したい。ボクのザーメンをからだじゅうに浴びせかけ、精臭を染みこませてやりたい。まだ男を知らぬおぼこな孔をぐちゃぐちゃに掻き回し、本当の女の悦びを教えてやりたい。子宮にいつまでも残響するぐらい繰り返し突き上げ、ボクのペニスをたっぷりといやらしく味あわせてやりたい。そして、ついにはその清純な子宮内に、オリビエ・レンハイムのとびきり濃厚な精液を注ぎ込んでやるのだ。
 そしてからヨシュアに渡す。
 ──どうなるか見物じゃないか。
 だが、処女の痴態というのは、それはそれでそうそう眺められるものではない。
(ボクの腕の中で、うぶな未経験者にとって無尽蔵に思えるほどの快楽に、夢中で踊り狂う少女……。もはや何も疑わず、無意識にボクのリズムと溶け合おうとまでしている。フフフ、とても可愛いじゃないか……)
 汚れを知らなかった少女にかかった淫らな罠の魔法は、精神と身体両方の深みへ浸透していくばかりで、解ける気配すらないのだ。この悦楽の一時をもう少し愉しんでからでも遅くはない……。
 オリビエはエステルを脇から抱くようなかたちで、片方の乳房にむしゃぶりつき、もう片方の乳首をクリックリッと絞るようにつねりながら、クリトリスを掌で刺激しつつ秘孔に指をグチュグチュ音を立てて抜き差しする。
 エステルの全身がビクビク、ビクビクと歓喜に波打った。
「アハ……アハァ……ダメェ……ダメェ……ッ! イヤァ……感じ……感じ……すぎちゃううぅ……!! ハァッ……ハァァ……ハアアァンッ♥♥!!」
 自分からもからだをぐいぐいと押し付けながら、だらしなく口を開き、あられもない嬌声を部屋いっぱいに響かせるエステル。
 彼女にしてみればオリビエを信頼して身を任せているのだが、何も知らない者がもし二人の交淫を盗み見たのなら、恋人同士が情熱的に絡み合っているとしか思えない光景であろう。
「ああっ……またなんか来るッ……来ちゃううッ♥♥!!」
 オリビエはそこで一旦離れた。
「あ……んン……やめないでよぉ……」
 すっかり上気した甘え声でそう訴えるエステル。
「今度はもっと恥ずかしい格好にしてやる」
 エステルは寝そべったまま両脚を持ち上げられ、まんぐり返しでめいっぱい開脚したあられもない姿にされた。
「ああん……」ゾクゾクとからだを震わせるエステル。「いやぁ……♥!」
 何度口づけられたか分からない下のクチは濡れに濡れ、すっかり愛液にまみれてヘソまで垂れ流れている状態であった。
「どうだい、この姿勢なら自分の性器がよく見えるだろう。ココをおまんこって呼ぶのは知ってるかい?なんだ、まだ知らないのか。まだまだ色々と勉強しなきゃいけないね。でも、ここを弄くると気持いいのはもうたっぷりと学習しただろ?」
 オリビエは両手の指を入れ、肉ビラを挟んでグチュグチュと揉みほぐすように弄くると、
「んッンンンッ♥!」気持ちよさそうにさえずるエステル。「イィィ……♥!」
 エステルをほとんど籠絡できたと判断したオリビエは、もう遠慮していない。エステルの体勢を支えながら、秘裂の中がエステルにも見えるほどに拡げ、
「この恥ずかしい穴弄くられると気持いいだろ?こんな風にさ」
と、膜を破らないようにだけ注意して、ずぼずぼと二本指を出し入れた。
 
 グチュッ、グチュッ!
 
 入り口はすっかりほぐれ、卑猥な音を立てながら美味しそうに指を呑み込む。
「ああッ♥! ああ、イイッ! イイですッ! うンン、ウンン! また、またイッちゃう、イッちゃうゥゥッ♥!!」
 ついさっきまでは一本でも狭かったのだが、エステルの乱れようはオリビエの見込み以上だった。それならそれでためらうことはない。エステルの状態に合わせてオリビエの責めも激しくなっていった。
「それ! それ! どうだエステル、これは気持いいか!? 天国に逝きそうか!?」
「はいイィッ♥!!」
「それっこっちも!」
「イヒイィッッ♥!!」
 すっかり剥けて充血したクリトリスをキュッとつねられ、背中を仰け反らせて気持ちよさそうに悶え叫ぶエステル。
(また──来る──来ちゃう──ッ!!)
 大きい──今度のは──今までより何倍も──♥
 全身が淫悦に震え、エステルの表情が歓喜に染まる。
 オリビエは指を抜いて口をつけた。
 
 ジュルルルルルッ──
 
 花園の庭を口いっぱいに含み、卑猥な音を盛大に立てて肉ビラごと吸い上げる。たまらず、
「ンヒィィ♥! アヒィィ♥!」
 エステルのからだが狂ったように踊り跳ね、悲鳴のような喜悦の声が上がった。
(くるッ! くるッ! 来ちゃうぅぅぅッッ♥!!)
 だが──『何か』が来る寸前で──
 ふいにオリビエの口が離れた。
「あっ……はっ……あああぁ……!?」
 今にもイキそうに緊張が走っていたエステルのからだから力が抜けていく。
「……あ……あぁ……!?」
「フフ……物足りない顔をしているね……」
 今度は打って変わってゆっくりと、人差し指一本でまるでじらすように、どろどろの秘唇を軽く弄くり回しはじめるオリビエ。
「ハア……ハア……」息を整えるのももどかしげに、エステルは訴えるような瞳でオリビエを見つめる。「アアッ……イヤ、イヤァ……おねがい……続けて……それじゃ足りないのぉ……もっとぉ……」
「もっと……なにが欲しいんだい?」
 わざと意地悪そうに尋ねるオリビエ。
「いやぁ……!」涙を溜めるエステル。「おねがいだから……からだが疼いてたまらないのっ……!」
「そうかい……どうしようかな……」
 オリビエはニヤリと笑い、一本指での悪戯をやめない。
 もどかしげにゆらゆらと腰をくねらせるエステル。
「あぁ……いじわるぅ……なんでもするから……おねがい……もっとがんばって女らしくなるからぁ……!」
「フフ……本当かい……?」
 オリビエはエステルの太腿の裏を押えたまま立ち上がり、ギンギンに屹立した肉棒を秘裂に当てた。
「あはあっ……♥」
 淫蕩にほころぶエステルの顔。『それ』でもさんざんに気持ちよくさせられたのは承知していた。
 しかし、またもや軽く撫でるように秘唇に擦りつけるだけで、エステルの望むほどの快感を生んではくれなかった。
「あぁ……おねがいオリビエ……じらさないで……!」
「エステル、指や舌と同じくキミに快楽を与えてくれるこの棒みたいなの、なんだか知ってる?」
「え……お、おちんちん……?」
「へぇ、一応は知ってたんだね。じゃあ、これがどんな働きをするかは知ってるかい?」
「え、えっと……それは……」エステルは少し恥ずかしそうに言った。「お……おしっこ……?」
「うんうん。他には?」
「他に……?」
「フフ、知らないみたいだね。じゃあ見せてあげるよ」
 オリビエはエステルの腰をまたいで覆い被さり、ガチガチに勃起した肉棒を苦労して曲げ、まだ中までは犯されていない秘孔の入り口に亀頭だけ埋(うず)めた。
 グチュッ──と、いやらしい淫音が鳴る。
「ああん……♥」
「熱いだろう。この熱くて固い肉棒で、キミの中を掻き回すんだ。今まで以上に感じまくるぞ」
「あぁ……あたしの中に……? そ、そんなの入るの……?」
「もちろんさ。女のこの穴は、そのためにあるようなものなんだから。エステル、お腹の奥、なんか疼いてない?」
「うん……アソコをいっぱい弄られたら……さっきからムズムズしてる……」
「その疼きがすごく気持ちよく変わるのさ」
「それを……入れると……?」
「そう。女は男のコレでほじくり回されることで、もっとも女らしい気持ちよさを手に入れられる……ほら」
 オリビエはわずかに腰を上下に動かし、入り口をヌップ、ヌップ、と亀頭だけ出入りさせた。カリ首が入り口を引っかけ擦られると、
「ンンッ!ンンンッ♥!」
 それだけで腰が溶けそうになるぐらいの快感──!
「──は、はああぁ……♥」
と、気持ちよさそうな吐息をつくエステル。
「どうだい」
「あぁ……わかったから……おねがいだから……!」
 期待に妖しく瞳を輝かせ、おねだりするように腰を揺らすエステル。
「よし、じゃあ、こう言うんだ。『オリビエの固くて長いチンポで、どうかあたしを貫いて下さい。あたしの中をぐちゃぐちゃに掻き回して、さんざんによがり狂わして下さい』とね」
「え……そんな……」
「これも勉強のうちさ。こんな風に言われると、男は悦ぶものなんだ。さあ、言ってごらん。でないとやってあげないから」
「ああ……」
 エステルは恥ずかしそうに顔を伏せてためらったが、さっきの感触はどうしても忘れられなかった。アソコがとっても熱くてたまらなくて──どうしても視線があの浅黒い肉竿が気になってしまう。あれでお腹の中を掻き回されたら、どれぐらい気持いいんだろう──?
「ほら、ほら……」
 
 ぬぷ──ぬぷ──
 
「ア、ア、ア……♥」淫蕩にけぶる瞳。「わ、わかりました……言う……言うから……」
 いったん目を閉じ、気を抜くと散り散りになりそうな意識の中、何とか今のオリビエの言葉を思い出して紡ぐエステル。
「えと……。オ……オリビエの固くて長い……チンポで、どうか……あたしを貫いて下さい。あたしの中をぐちゃぐちゃに掻き回して、さんざんによ、よ……よがり狂わして……く、下さい!!」
「よく言えました……フフ……じゃあ希望通り、エステルをぐちゃぐちゃに乱れさせてあげるよ……!」
 そう言うと、オリビエは腰を落としていった。
 
 ずじゅじゅ……
 
「あ……ああ……!」
 想い人ではない男に初めてを許してしまったエステル――だが、本人にその自覚も知識もない。
 あるのはただ、快楽だけだった。
 だが――
「いたっ……!?」
 突然湧き上がってきた痛みに、淫熱に浮かされていた少女の顔つきが変わった。
「痛いぃッ!」
 灼熱の塊がお腹を貫いていく痛みに、苦悶の声を上げるエステル。
「あッ……ああッ……!!」
「大丈夫かい……?」
「んあぁ……!な、なんとか……」
「もし痛すぎてダメなようだったら、いつでも抜くよ」
「ありがと……でもだいじょうぶ……このままやって……」
 オリビエは頷くと、腰を押し進めてさらに侵入していく。
 
 ずりゅ……ずりゅりゅ……
 
「ん……んん……ッ!!」
 まだ男を知らない膣壁が、えぐられるようにして拡がっていく。強引に侵入してくる異物にびっくりしたように、反発してキュウキュウと強く締め付けるヴァギナ。女にとっては最悪の、男にとっては最高の瞬間であった。
 エステルが処女であるのは間違いない。オリビエは、ペニスから来る感覚に極上の気分を味わった。
(ヨシュア君……エステル君の初めての男はキミではなく、オリビエ・レンハイムになったよっ……! フハハ、ついに寝取った……!)
 想い人がいる処女を犯す快感は、天上の美酒のごとく正体を失うほどの甘味であった。しかもそれは無理矢理にではなく、少女はここまでされているにも関わらず、まだ疑ってないどころか、嬉々として男を迎え入れているのだ……! これを最上級の快楽といわずにどういおうか。
 それを考えただけでも、肉棒はすぐにも爆発しそうである。
 気遣う言葉をかけたのとは裏腹に、オリビエはもう何が何でもエステルを征服せずにはいられなくなった。
(たまらない……今にも出てしまいそうだ……!)
 だが、ここで出してしまっては、せっかく楽しみにとっておいた絶頂感は予定の半分も得られずに終わってしまうだろう。一番奥で、溜まりに溜まったうんと濃い一発目を射精してやる。エステル・ブライトの初めての男となったオリビエ・レンハイムの精子を、少女の子宮の最も奥深くに達するぐらい放出し、その存在を刻みつける……決して忘れられないように……!
 
 ずりゅ、ずりゅ……
 
「ンンン────ッ!!」
(エステル君、キミの純潔がヨシュア君以外の男によって散らされる現実はどうだい……? フフフ、そんなことも思い至らないかい……? ボクはキミをさんざんにもてあそび、犯し、調教しているんだよ……そんな男に処女を捧げているのも知らず……征服される感覚はどうだい……!? まだ誰も通ったことのないこの──)
 
 ずりゅりゅッ!
 
「ンアアッ!」
(──狭い膣道を切り拓いて……フフ、わかる……さっきまで快楽の体液を垂れ流していた肉襞がボクのペニスに擦られ、驚いてざわついているぞ……フハハ、すぐに快楽の海に溺れさせてやるから……そら、まずは一番奥まで貫通だ!)
 半分以上埋没したところで先端が狭隘な部分を抜けたのが分かると、最後の一押しとばかりに腰に力を込め、
 
 ズチュウ!
 
「────ッッッ!!!!」
 エステルのからだが折れそうなほどに強ばり、逆手で掴んでいた枕を千切れるほどに握りしめた。
 
「……あ……あ……あ……!」
 痛みに痙攣するエステルのからだ。
「……よく我慢したねエステル。全部入ったよ」
「少し痛くなくなった……でも……まだ痛いよ……」
「痛みはいきなり消えない……でも段々と収まってくるから……こうやって動いていくうちにね……」
と、オリビエは打ち下ろすようにして、ゆっくりと上下にピストン運動を開始した。
 
 グチュッ、グチュッ、グチュッ、グチュッ……
 
 すぐに湿った音が立ちはじめる。
「あっ……あっ……あああっ……!!」
 肉棒が黒いてかりを増し、赤いものが混じった体液が掻き出された。
「ん……く……くぅぅん……あ……血が出てる……」
「ああ……これは気にしなくていい……出血は痛みよりずっと先に収まる……」オリビエは腰を動かし続けながら言った。「それより……くっ……!」
 一突きごとにたまらない心地よさがオリビエの全身を襲う。エステルの処女ヴァギナが痛いぐらいに締め付けてくるのだ。運動で発達した筋肉の恩恵はここにもあった。想像以上のしまり具合だった。
(これは──ああっ、ダメだ──!)
 オリビエは衝動的に我を忘れ、征服欲に駆られて腰を大きくグラインドさせ、狭いヴァギナに深々と突き刺し、奥まで当たってから、ずりゅりゅりゅっ──と、肉襞を巻き込みながら引き返した。
「うおお……!」
 なんという圧倒的な快感か――! オリビエは思わず何回も繰り返し打ち下ろし、至福の締め付けを貪るように味わった。
「うぁん!うあぁぁッ!」
 張り裂けんばかりの痛みに我慢できず、大きな悲鳴を上げるエスエル。
「ん……!」
 オリビエはやっと気づき、ハッとした。「あ……すまない、痛かった?」
「う、うん、痛い、強すぎて……奥が……奥に当たって……」
「悪かった……。エステルの中があんまりに気持ちよすぎて、つい我を忘れて……エステルの痛みが早く消えるように、もっと優しくやらないとね……」
「あ、ありがとう……オリビエ……」無理して微笑むエステル。
「注意する……ここはどうしても痛いとか、逆に気持ちよかったりする箇所とかあったら、遠慮なく言っておくれ。キミの体はキミにしかわからないからね」
「うん、わかった……」
 オリビエは気を取り直し、エステルの腰を降ろして正常位になった。そして再び挿入し、今度は単調にならないよう、緩急を織り混ぜながら深く浅く抽送しはじめた。
 
 ズチュ……ズチュッ……ズチョ……ズチュッ……
 
「ん……ん……あ……んんッ……!」
「どうたい、今度は……?」
「ん……ちょっと痛いけど……だいじょうぶ……オリビエが……ん……優しくしてくれるから……んあ……あ……!」
「少しは感じてきた?」
「うん……少しだけど……なんか……あぁ……また……」
「よかった。初めてだから心配だったけど、どうやら時間をかけて念入りにからだをほぐしたのが功を奏したみたいだね……。エステル君の希望に合わせてスピードとかも調節するから、痛みを怖がらないでリラックスして感じててくれたまえ」
「うん……♥」
 エステルの顔には痛みのために無数の汗が浮き出ていたが、ニッコリと笑って答えた。
 
 ズチュ……ズチュッ……ズチョ……ズチュッ……
 
 開通したばかりの狭苦しい孔をほぐし拡げるように、角度も変えつつ、エステルの反応を見ながら腰を動かす。
 エステルも、
「あ、いたっ……」
「ン……そこ、いい……!」
などと、突かれて痛かったり感じたりするポイントを告げていった。
 
 ――しばらくの間、二人のからだは比較的静かに重なり合っていた。互いに腰を擦りつけ、熱い吐息と汗が交わり合い、潤みきった視線が絡みつく──誰が見ても、好き合ってる男女の愛の営みだと受け取るだろう。
 そのうちに、オリビエが突き入るたびに強ばっていたエステルのからだから、徐々によけいな力が抜け落ちはじめていった。それと入れ替わるようにして、膣内(なか)の濡れ具合が多くなり、上気した喘ぎ声が高くなっていく。
「あ……は……はあぁ……!」
 いったん滑りやすくなると、痛みは飛躍的に少なくなっていった。
 
 グチュ……グチュ……グチュ……グチュ……
 
「あ……ああ……ああぁ……!」
(ああ……また……へんなきもちに……あぁん……!)
 入り口付近と奥まった辺りが特に気持ちいいポイントで、お腹の側を擦られながら奥まで突き入れられると、先ほどとはまるで違い、
「んああっ……!」
と、思わず声が漏れてしまうぐらいの快感に襲われた。確かにまだ痛みは残っており、入れられる時など痛みが走ったが、オリビエの言った通り、時間が経つにつれてそれも気にならなくなっていく。
 引き抜かれる時が最高だった。
 中を巻き込んで引きずられるような感覚が、
「あ、あ、ああッ!!」
 意識までこそぎ落とされるような、それがまた頭がグチャグチャになるほどの気持ちよさ――! これまで以上の強烈な快感だった。からだじゅうが歓喜に渦巻き、快感による震えをこらえきれずにカチカチと歯が鳴る。
(いやっ……な――なにこれぇ、す、すごいぃ……♥ ま、また、またおかしくなっちゃうぅ……♥)
 エステルの様子に気づいたオリビエが笑みをこぼす。
「もう慣れてきた?」
「う、うん……もうちょっと激しく動いても平気……」
「よし、じゃあ本格的に動くからね。さっきみたいにすごく乱れさせてあげるよ。ここまで頑張ったご褒美だ」
「はあぁ……♥!」エステルのからだにゾクゾクと喜悦が走る。「して……思いっきり乱れさせて……!」
 オリビエは頷くと、エステルの両脚を掴んでガバッとV字に拡げ、膝裏を腕で支えながら、腰を押し込むようにして挿入した。より深いところまで到達し、
「はあううぅんンッ♥!」
と、エステルのからだがブルブルと蕩けてしまうように震えた。
「痛くない?」
「あんん……だいじょうぶ……!」
 オリビエはエステルが平気そうなのを確かめると、腰をリズムよく動かしはじめた。
 
 ズッ……ズッ……ズッ……ズッ……!
 
「あッ!ひッ!ひああッ!!」
 エステルのひときわ高まったあられもない嬌声が部屋じゅうに響き渡る。
「いいのッ、いいッ!こ、これ、すごい、すごいのぉッ!」
「そんなにいいのかい。もっと突きまくってやるよ!」
 
 ズッ!ズッ!ズッ!ズッ!
 
「はぅん!はあ、ああ、はひッ!」
 オリビエは腕を引っ込めてエステルの腰を掴み、えぐり込むようにパンパンと叩き付けはじめた。脚を絡みつかせてくるエステルのからだを揺さぶり責める。あと一回り激しさを増したならばさっきの痛みを伴う動きとそう変わらないぐらいにまでの勢いであるのに、もはや快感が上回ってしまったのか、エステルは陶然とした表情で喘ぎ悶えまくるばかりだった。
「アアッ、アッ、アヒッ、アアアアッ♥!!」
 エステルの上半身がビクビクと跳ね、ピンと突っ立った乳首が山の頂になったように仰け反る。
「イイッ、イイッ! そこダメェッ、アア、イイ、イイゥゥッ!!」
「ここかい!?ここかい!?めちゃくちゃにしてやるからな!」
 言葉通り、オリビエはさらにピストン運動の速度を早め、そのポイントを執拗に責め立てた。
 
 ズチュッズチュッズチュッズチュッ!!
 
「ンヒィィッッ♥!!」
 エステルは顔を埋めて枕を噛み、全身に急速に広がっていく快楽の波に翻弄されるのを必死にこらえる態をとったが、抑えられようもなかった。
(気持ち……気持ちよすぎるうぅ……!)
 突き入れられるたびに、もう痛みより意識がどうにかなってしまいそうな切ない快感に襲われ、
(いい、いいッ……イイイッ♥!)
 めちゃくちゃに翻弄された。
 無我夢中で枕から口を離し、
「そこ、そこもっと、もっとしてえぇ!! あはあぁぁぁ♥! もっと突いてえぇ♥!!」
と、あられもない要求を口にしてしまう。
(フフフフフ……ここまで来れば……もう完全に堕ちたな……)
 自分の手の中で揺さぶられながら、もはや快楽以外何も考えられなくなった様子のエステルを眺め、オリビエは密かに翳り笑った。
 ただ、これはほんの入り口に過ぎない。本当の快楽の世界は、どこまで深く堕ちていっても果てしないものだ……。
 オリビエはヌジュポッと肉棒を引き抜き、エステルのからだを半回転させてうつぶせにした。
「四つんばいになってお尻をこっちに向けるんだ」
 少しでも理性が残っていれば、動物のような姿勢になることにためらいを持つだろうが、もう少しでも早く突っ込んで欲しくてたまらないエステルは、そそくさと犬のようになってお尻を持ち上げ、くねくねと揺らした。
「ああぁ……♥おねがい……はやくぅ……♥」
「自分の指で拡げてごらん」
 エステルは何も考えずに、枕に頭を埋めて腕を後ろに回した。肉ビラの皺がなくなるほどめくられ、サーモンピンクの綺麗な肉色の庭が丸見えになる。処女を失ったばかりでまだまだすぼまっている秘腔だったが、にじみ出た愛液は内股まで濡らし、入り口は充血して淫臭を匂わせ、物欲しそうにヒクついていた。
「あはあぁぁ……きて……きてぇ……♥」
「よし……」
 オリビエはエステルの背中に乗り上げるように覆い被さると、エステルが自ら拡げている秘孔にじわじわと挿入していった。
 
 ズニュウ……ズニュ……
 
「ああああ……♥入ってくる……入ってくるようぅ……♥」
 少し挿れては抜けるぐらいまで引き、さらに挿れてはまた同じぐらい引き――
と、ピストン運動ともつかない動きで徐々に奥に進んでいく。
 
 ヌ"ジュッ――ヌ"ジュッ――ヌ"ジュッ――
 
「ウアアアアアアッッ♥!!」
 膣肉を擦り上げられる快感に、エステルの背すじがピンとしなり、そしてゾクゾクと溶けおちてゆく。
 オリビエは最奥まで再侵略すると、腰をぐりんぐりんと回し、子宮口付近の膣壁に亀頭を擦り付けるように動く。
「イヒィッイヒィィンッ♥!! ンヒィィ……!」
 エステルのからだが立て続けにビクッビクッと反応する。痛いのか気持ちいいのか……
「どうだい、もう奥に当たっても痛くないかい」
 エステルはコクコクと何度も小さく頷いた。焦点はもう定まっていなかった。
「よーし、じゃあたっぷりと掻き回してやる……それっ!」
 
 ズチュッズチュッズチュッズチュッ!!
 
「アッアッアッアッアッアッアッ♥!!」
「おお……いいよエステル……最高だ……!」
「ヒィンッ、ヒィウッ、ヒッ、ヒィィンッ」
 エステルの喘ぎ声はもう、すすり泣きのようになりつつあった。
 オリビエはエステルの上半身を起こすと、首すじに顔を埋めながら乳房を乱暴に揉みしだく。
 エステルの嬌声がひときわ高くなる。
「ハアッアアッ、アアアッ!ダメ、ダ、ダメェッ!も、もう――ッ!」
(来る……来るよぅ……来ちゃよおぉぉ……♥!)
 しかし、今度は勢いは弱められなかった。むしろオリビエは、エステルの上半身から離れて打ちつける作業に戻り、深いところをえぐるように速度を増し、本格的な激しいラストスパートに入った。
 
 グッチュグッチュグッチュグッチュグッチュグッチュ――!
 
 息継ぎもままならないほど揺さぶられる抽送に、エステルは抗うこともできずに絶頂へと導かれていく。
 オリビエの方も、溜めに溜めた欲望が開放の時を知って歓喜にうねり狂い、急激に膨張してゆき、
(うあ、うああ、これだ、これだ……! 全部注ぎ込んでやる! 全部子宮に注ぎ込んでやる!)
と、ますます腰の速度を過熱させていった。
「ア、ア、ア、ア、ア、ア、ア、ア、ア!!」
 エステルはガクガクと狂ったように揺さぶられ犯されながら、閉じたまぶたから喜悦の涙を流し、高い高い白の世界へと昇っていった。
「クッ!!」
 その瞬間、グチュウッ!! と、オリビエは腰をめいっぱい強く押しつけ――
「ウアアアア……ッ!!!!」
 意識が砕き散ってしまいそうな快感が、エステルの一番深いところで爆発した。
 
 ブビュビュビュッッッッ!!!!
 ビュルッビュルッビュルルルルッッッ!!!!!!
 
 まるで大砲が咆吼するかのように肉棒が弾き震え、大量の精液が放水の如くエステルの中に吐き出されてゆく。
 
「アアッ――アア――アアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!!!!!!」
 
 エステルも部屋の外にまで響き渡ってしまいそうなほどのイキまくった絶叫を上げ、何もかも押し流されていくようなオーガズムに意識を白い世界の果てへ飛ばされていった。
 
 ブピュッブピュッブピュッ!!!!
 ブピュ――――――ッッ!!!!
 
 穢れを知らなかった少女の体奥に、濃密な子種が遠慮なく注ぎ込まれてゆく。塊のように打ち出されるザーメンがドロドロとエステルの膣奥に渦巻き、みるみるうちに隙間がなくなるほどにまで埋め尽くされていく。
 
「ンアアアアアアアアア――――――ッッッ!!!!!!」
 
 オリビエはエステルと一つになりそうなほどからだを押しつけ、それでもまだ足りないように、さらにぐいぐいぐいぐいと押しつけてゆく。エステルのからだが押し潰されてうつぶせ状態になったが、それでもなおグチュグチュと腰を密着し、まだ吐き出され続けているザーメンを一滴も漏らすことなく膣内に流し込んでゆく。
「ア……ア……アア……アアアア……!!!!!!」
 感極まったように裏返った細い悲鳴。
「く……うっ……!! まだだ……! まだ……出る……!」
 
 ブピュッ!ブピュッ!ブピュピュッ!!!!
 
(ウオオ……ウオオオオ……!)
 長い射精が終わるまで、ビクビクと打ち枯れるまで。オリビエはエステルの熱いからだを背中から強く掻き抱き、甘い匂いが混じった若い精気の芳香を嗅ぎながら、意識の全てを放出に集中し、この世のものとは思えないほどの快感に身も心も浸し続けた。
 やがて大きな波が去り――
 二人ともそのまま、ぐったりとして動かなくなった。
 疲れ切っていた。
 二人のからだは粘液になったかのように弛緩し、いつまでも荒い息を重ねていた――
 
 その後、ぴくりともしないまま、なかなか引かない余韻を長い間味わっていた二人だったが、エステルの呼吸が落ち着いてくると、
「今日はこの辺で終わりにしよう……」
と、のろのろとオリビエはエステルから離れた。
 中でまた固くなっていた肉棒がネットリとした糸を引きながら秘肉から引き抜かれ、エステルが気怠そうに起きあがると、ドロドロ……と、ネトネトしたクリームのような白濁液が溢れ出してきた。
「うあ……なにこれ……」
 後から後からアソコが白濁一色になるほどにまで溢れ、エステルが立ち上がると、内股をだらだらと伝った他、股の間からも一本の太い粘糸となって垂れ落ちていった……
 それを見ていると、もう一度やりたくてたまらなくなったが、そこはグッと我慢するオリビエであった。
 
 お風呂を借りて身をさっぱりさせたエステルだったが、まだわずかにフラフラしていた。
「うう……なんか……股間にまだ何か挟まってるみたい……」
 そんなエステルに、オリビエはガニ股にならないよう注意すると、ドアの前まで見送った。
 部屋を出て行く時、エステルは振り返った。
「オリビエ……」
「ん? 何だい?」
「あの……明日も……その……やるの?」
「教えることはまだまだ残ってるからね。だけど、どっちでもいいよ。気が乗らなければこれで終わりにしていいし、体調が悪ければやめた方がいいし……」
 オリビエは前髪をすくった。
「それはエステル次第だよ」
「そう……」
「もしやるのだったら、声をかけてくれたまえ。このボクに任せてくれれば、いつでも手取り足取り優しく教えてあげるからね、子猫ちゃん♪」
 エステルの顔が瞬時に真っ赤になってうつむいた。
「も、もう……! 本当にあなたってふざけてるのか、真面目なの……か……」
 エステルの言葉がふいに消えていった。
 オリビエの澄んだような瞳に見つめられていることに気付いた。ドキッとしてしう。「あ……」
「ん……?」
「ッ!! な、なんでもない!」
 慌てて背中を向けると、部屋を出ていく。
 ドアを締める寸前、
「きょ、今日はその……あ、ありがとう……また……教えて貰うかも……」
と言い残し、あせったように足早に去っていった。
「フ……」
 部屋に一人になったオリビエは、綺麗な方のベッドに寝そべった。
 エステル君たら、あんなに焦っちゃって。
(まあそれよりも……エステルは明日、どういう行動をとるかな)
 さすがにおかしい事に気付き、誰かに相談するだろうか。それとも、黙ってなかったことにするか。
 あるいは――
 エステルの弾けるような若さに溢れた肢体の感触は、今もまだ強く残っている。時には、熟成された500万ミラのワインよりも、若いワインの味が忘れられないこともある。
 オリビエはほぼ確信していた。
 体の芯の底に漂う心地よい残り火を楽しみながら、
「明日に備えてもう寝なくてはな……」
と、目を閉じ、あっという間に眠りに入っていった。
 
 明日の夜も愉しくなりそうだ……
 
 

 

第2話に続く)

 

 

 

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最終更新:2020年02月23日 17:24