撲殺天使ドクロちゃんエロパロSS


『寝取られちゃったよ! 静希ちゃん』

 

 

 

 

  1

 

 そしてここから、本当になにかが起こるのです。心臓がとろとろと溶けてしまうくらいに。

 

 林間学校の夜は更けていきます。いよいよ肝試しの時間です。

 あぁ……ついに……ウレシハズカシなめくるめく一夜が大到来しました! 第一種急接近注意報発令で総員戦闘配置につけぇ! ですよ!

 男子も女子もみんなこの一大イベントに浮き足立ちまくっています。そりゃもう異様な熱気です!

 僕なんて極彩色に華咲いた妄想濃縮汁がこめかみからねっとりと垂れ落ちるぐらいの勢いです! 浮き足立ちなんてもんじゃない! バレルロールしながら空だって飛べるさ!

 

 しかし……僕はあんなに念じた静希ちゃんとはペアになれず、彼女と一緒になったのはなんと、浦野君という背が高くて顔が良くて白いジャージだけど茶色い日焼け顔な猛禽類のような印象のサッカー部員。
二人は知り合いらしく親しげに話しちゃったりして、僕の出る幕など名も無き通行人Aほどの機会すらない感じです。

 僕は静希ちゃんの幼なじみなのに、デートだってしちゃったりする仲なのに、静希ちゃんにあんな仲良さそうな男の子の知り合いがいたなんて、今日っていうかついさっき知りました。

 そりゃまあいくら気になるあの子だからといって静希ちゃんの全てを知ってるわけじゃないですけれど、全てを知ってたら怖いですけれど、なんとなくアンニュイな気分です。

 そんな静希ちゃん・浦野君ペアがすぐ一つ前で出発するのを羨望の眼差しで見送りながら、毎度というか何というか僕はいつものことながらドクロちゃんと(半ば強制的に)組まされて、ウレシさもハズカシさもあんまり湧かずに暗い山の中へと入っていきました。

 

 道中、ドクロちゃんにさんざん威(おど)かされながらもようやく神社に着いた時、なんとなく違和感を覚えました。

 十八番のフダ──すなわち静希ちゃんの組のフダは黒も白も掛かってませんでした。つまり二人ともまだここには来ていないってことです。

 

 おかしいな?

 

 その時、僕はなんとなく不安になりました。虫の知らせってやつでしょうか。

 僕とドクロちゃんがここに辿り着くまでにも割と時間を食った気がします。ここまでの道のりは林の中をうねうねと通る気味の悪い山道ですが、基本的に一本道です。追い抜いた憶えもありません。途中細い脇道が何本かありましたからそっちにでも入ったのでしょうか。別ルートからでもここに来られるんでしょうか。それにしても先に着いちゃうなんて、よっぽどどこかでまだゆっくりしているんだ──

 あの、猛禽めいた浦野君と二人きりで。

 な……なんだかすごく……落ち着かなくなってきました。
「どうしたの桜くん?」

 ドクロちゃんが不思議そうに僕を見つめています。
「あっ……いや、ちょっと……」

 僕は迷いました。

 なんか急に突然猛烈に、無性にあの二人を捜したくて堪らなくなってきたのです。でも、でもでも、ドクロちゃんだってここに一人置き去りには出来ませんし、でもだけどもしかしてひょっとしてまさか……なんか浦野君って挙措がヤリ手(何の?)って感じだし肝試しはそのまま付き合っちゃう率八十五パーセントだし夏は人を開放的にさせるし出産率は夏前が一番多いっていうし(逆算してみて!)、ここは暗いし恐いし寂しいしドクロちゃんの極悪バットは今ココにある危機だしあああもうナニが何だか混乱してワケがワカらなくなってきました。

 もうこの気持ちを解消する手段は一つしかありません。

 僕はマグライトをドクロちゃんの手に強引に押し付けると、
「ご、ごめんドクロちゃん! 急用を思い出したから先に戻ってて!」
と、林間学校は順調に予定を消化しているのに急用もナニもないだろうと思いつつもそう言い残して、脱兎の勢いで駆け出しました。

 後ろからドクロちゃんの声が追い掛けてきます。
「どうしたの桜くん!? そんなにおトイレ我慢出来ないの!? まさかビックベン!? ビックベンの鐘を鳴らしにいくのね!?」

 ああ、そう勘違いしてくれれば有り難いよ!

 僕は肯定するように手を振って山の中に分け入っていきました。


でも、その時の僕には思いもよらなかったんです。想像以上のコトが二人の間に起こっていたなんて……。

 

 

 足元が見えません。頭上をびっしりと枝葉が覆い星明かりも届かず真っ暗で肝試しに使われるのもさもありなんといった林の中です。ここで何かが起こっても、それはこの闇が全て包み隠してしまうでしょう。

 僕は何度も転んだり藪に突っ込んで無数のひっかき傷を作ったり固い木々にしたたかにぶつかったりしますが、それでも二人を、特に静希ちゃんの姿を求めて僕は歩き回ります。心の中にも光明が届かなくて不安と焦燥でいっぱいです。二人がもしかして──と、証拠もないのに変な妄想だけがどんよりとしたラメ色に彩られて膨らんでいきます。これがもしまったくの杞憂で、静希ちゃんと浦野君は本当にゆっくり進んでただけで今頃神社を折り返して何事もなく山を下りていたりしたら、僕はかなりこっ恥ずかしい妄想バカ一代になるわけですが。

 でも、それはそれでいいのかもしれません。これが徒労で終わればどんなにいいことか。

 ──と。

 暗闇の奥から、かすかな音が聞こえたような気がしました。

 僕はとっさに歩みを止めました。

 辺りは真っ暗闇に静まり返ります。

 猫のように耳の感覚を鋭く研ぎ澄ませます。


〈…………ヤッ!〉

 

 あ! やっぱり聞こえてきました! ちょっと離れた樹木と茂みの向こうからです。微かだけど、静希ちゃんの声のようにも思えました。

 僕はソロリソロリと音を立てないようにして、そちらの方に近づいていきました。

 え、なぜそんな潜むように行くのかって? そりゃあ、もし二人でなくとも誰かが本当にいて、そこへ堂々と僕が乗り込んでいこうものなら、かなり怪しいし恥ずかしいし場違いな居心地の悪さを感じちゃうからに決まってるからじゃないですか! そんな時に言い訳に使う言葉が思いつきません。それだったらバリバリ怪しくとも気付かれないように隠行するのが一番無難です。我ながらやたらと忍び足が上手いですがソッチ方面の素質があるんじゃないかとか生温かく想像するのは禁止です。

 だけど、茂みの隙間から“それ”を覗いたとき、全ての思考は瞬時に頭の中から吹っ飛びました。

 その一瞬、驚きさえも湧いて来なかったのです。

 

 

 うだるような暑い闇の中、大きな樹の幹に寄り添って、静希ちゃんと浦野君が抱き合っていたのです……!

 

 

 

 

 

  2

 

 悪い夢でも見ているでしょうか。

 それとも、僕は知らず知らずのうちに魔女の森に入り込んでしまって悪ふざけの過ぎる幻覚を見せられているのでしょうか。

 信じられるわけありません。ほっぺたをギュインッとつねります。
(いでででで千切れる千切れる!)

 痛すぎです! これは夢じゃない。現実の光景だ!
(わ、わ、わ、わ、わ――――――!!!!)

 どれだけ叫びそうになったことか。

 いや叫ぶべきだ。むしろ飛び出して浦野の野郎をぶん殴るべきだ。甘いマスクなどこの夏を境に語られなくなるぐらい殴打するべきだ。エスカリボルグはどこだ。

 進みすぎです。いくらなんでもチュ、チュ、チュウガクセーでこれは進みすぎです!

 妄想が当たったどころか、想像以上の展開でした。

 あまりの衝撃に全身の血がサア──ッと引いていき意識が遠のきかけます。

 静希ちゃんが……静希ちゃんが……こんな……こんな……あれ?

 よく見れば、静希ちゃんは厭がってるように浦野の体を離そうと努めているみたいです。抱き合ってるわけではなく、浦野が強引に抱き寄せているのです。

 無理矢理迫られてるんだ……って、それも大変ですが、とにかく僕はホッとしました。

 そりゃそうだ。あの静希ちゃんがあんな奴とこんな所でこんな行為をするはずがないッッッ!!

 ……ですが、男の腕力を発揮する浦野には敵わず、抗いながらもますます抱きしめられてしまう、という構図が出来上がっているようでした。

 う、ううう浦野ォォォォォ!! こ、このクソ破廉恥変態ドスケベ野郎が! 貴様に明日はない! 今すぐおまえをシベリア奥地の永久凍土地下一千万キロメートルに埋めてドツいて封印して殺したい!(突き抜けてます)

 マグライトの光もない完全な暗闇の中、二人はもつれ合っていました。

 ちなみに僕の位置はというと、ちょうど二人の真横にあたる茂みの中です。皮肉なことにベストプレイスです。
「やっ……浦野君いや……! 離して……!」
「いやだね。俺マジなんだよ。水上にマジ惚れたんだ」

 浦野は甘いマスクをキリリとさせて静希ちゃんの耳元に口を寄せて熱っぽくそう言っています。光源もないのになんで表情まで分かるのかって? そりゃもうすっかり目が暗闇に慣れたからに決まってるじゃないですか。二人がどれだけくっつき合ってるかまで手に取るようにわかっちゃうんですよ! あああド畜生!

 暗い茂みの中に身を潜めている僕に二人はまったく気付いた様子がありません。人目を憚ることなく展開されていっているのです。目ざとい親ならマッハの指さばきでテレビのチャンネルを速攻替えるようなオトコとオンナのイケナイ抱擁シーンが!!
「随分前からおまえのことが頭から離れないんだ。な、いいだろ? お願いだ、俺と付き合ってくれよ」

 ふ、ふふふ──ふざけんな──────ッッッ!!!!

 静希ちゃんの体にべたべたとくっつくどころか、よりにもよって付き合ってくれだとおおお──────ッッッ!!??

 そんな最凶にたちが悪くてふてぶてしくて厚顔無恥な一ピコメートルも笑えない冗談は、宇宙が一回りして次のビックバンが起こって新たな宇宙開闢を迎えても通用しないよ!!

 僕は叫びました。宇宙の果てまで届くぐらい。

 ──心の中で。

 なんででしょう。もうなりふり構わず出ていくべきなのに……か、体が動きません! 止めるべきだっていう心の叫びを聞いてくれません。それどころかむしろ目を皿のようにして伏兵潜伏モードバッチリです。

 なんてことだ! まるで僕の中に違う僕がいて反逆ののろしを上げているようだ! 勘弁してくれ妖精さん! 今僕に必要なのは勇気ある行動なんだ! 雄々しく猛り立つ赫怒たる心だ! えいえい、動け、動けよ、動いてくれ、動けってコンチクショウ──────!!

 でも、九十九.九九九──(エンドレス)──パーセントの激怒で包まれた僕の心の隅っこで、わずかな正常心が縮こまって怯えながらもこう提議してたんです。
『とりあえず、他人の告白タイムを邪魔するのは男としてどうかな』
はったおすぞぉぉぉこの野郎ぉぉぉぉぉ!!
ぐううう……そんなの、そんなの認めたくないですが……ぐぬおおおおお!

 その理屈はスゴク理解できます!

 僕も男です!

 僕だってせっかく一世一代の告白してる所へ他人がのこのこ現れて邪魔しやがったら、問答無用で八つ裂きにしたくなります!

 だからその0.000──エンドレス──001パーセントのハイパーマイノリティロンリーウルフを簀巻きにして吊し上げたりなんてしない!

 だって冷静に考えてみれば、僕は静希ちゃんが好きで、静希ちゃんもそんな僕を気にしてくれているようないないような、そんな微妙な関係ではあっても、えいもうこの際はっきり明言してしまえば付き合ってるわけじゃないし! 「ちょっといい雰囲気かな?」ってぐらいまでしか仲を進展させていない自分が憎いィィィ!

 この場面、もしもう僕と静希ちゃんが自他共に認める恋人同士だったりしたら、こうして留まる理由なんて己が発毛力の下り坂に嘆息するオヤジの細く儚い毛髪一本の先っちょほどもありません。

 僕は拳が真っ白になるほど握りしめました。

 もし静希ちゃんがここで巧みに口説かれたりして、思わず、うん、なんて言って頷いて返事しちゃったりしたら……!?
ノオオオオオ! それはダメだ! そんなの許せない!

 僕のッ僕の静希ちゃんが他の男に取られるなんてダメだああぁぁぁァァァ!!

 そんなことになったら僕はどうすればいいんだあああァァァッッッ!!??

 でも男が! 僕の男らしい心がッ! 無粋で見苦しい真似はするなとッ!

 しかしこういう場合は女を選んだ方が生き物として正しいんじゃないでしょうか!? 恋敵出現ですよ今まさに奪われようとしてますよ! これは防ぐべきなんじゃないでしょうか妖精隊長!?

 女々しい奴めバカモノッ! おまえは何者だッ草壁桜! 他人の意志を尊重できる大人になれ! 清濁併せ呑む大器になれ! 静希ちゃんを信じるんだ! 俺たちの希望を信じるんだ!

 そういう問題ですか!?

 いや自信ないけどね!

 どっちなんだよ!?

 一体僕はどうすればいいんだああッッッ!!??

 そんな風に僕が烈しい葛藤に苦しんでいる(傍目にはただのノゾキ屋)最中にも、二人のもつれ合いはいよいよ佳境に入ります。
「い、いや……こんなのやめて……!」

 静希ちゃんは本当に厭そうで、今にも泣きそうです。何とか逃れようと懸命にもがいています。

 やっぱ出て行った方が正解かも!
「何度言われても……やっぱり、わたし……おことわ」

 静希ちゃんの言葉が不意に消えました。

 その瞬間、僕の目は眼球の毛細血管をプチプチと破って少女漫画の瞳さながらまでめいっぱい広がりました。固い地面の土をモリモリと鷲掴みです。





 

 静希ちゃんの唇が……奪われた。





 

 ブリザード。

 

 

 

 

 

 全ての音が遠ざかりました。景色も。暑さも。時間も。僕の内なる妖精さんたちも。

 二人がキスしている光景しか見えて来ません。
「──ン──ン──ンンンッ!!」

 口を塞がれた静希ちゃんのくぐもった悲鳴。

 あまりの出来事に、静希ちゃんも目をまん丸にして、抵抗する思考すら回りません。

 ハゲタカのように静希ちゃんの唇を貪る浦野。

 うっすらと口の端から唾液のようなものが垂れたりして。

 いつまでもその汚らわしい口を離しません。

 し、ししし、舌は入れてないよねッ!?

 …………やっと離れたのは、永劫とも思える時間が過ぎた後でした……。

 

 浦野は品のない薄ら笑いを浮かべながら、何かを成し遂げた満悦感が表れた熱っぽい目で静希ちゃんを見つめます。
「水上……俺が本気だってこと、わかったか?」

 静希ちゃんは答えません。答えられません。

 浦野を見上げていながら、彼の顔を半分見ていませんでした。

 その潤んで輝く綺麗な瞳からツーッ──と、ひとすじの涙がこぼれました。

 もうダメです。我慢の限界です。尋常ならぬ殺意が湧いてきました。必ず殺すと書いて浦野を必殺です。キスオブマーダーです。

 僕は腰を上げようとしました。

 

 でも──そこからさらに、日本で唯一人のマーダーライセンスを持つ者と化したかもしれない僕の動きを止めてしまう、信じられない段階に物語は進んでいったのです!

 

 僕の体は再び硬直しました。

 まだショック醒めやらぬ静希ちゃんも、ハッと意思を取り戻します。
「……やっ!? やあ!? やめてっ! なにするの!?」
「ナニするのって……決まってんだろ。一夏の思い出ってやつ。キスだけじゃダメそーだし。……完全に俺のモノにする。俺を受け入れさせてやる」

 それまでの浦野は、静希ちゃんを不埒に抱き寄せていても、それはあくまでも告白するためのアクションな感じがありました。僕にはそれすら到底マネできませんが。ナンパ野郎のやることはいちいち進んでます。

 それが……それが……奴はあろうことか、一足飛びに禁断のステップへ──静希ちゃんのむ、胸と、か、かか、下半身にぃぃぃィィィッッッ!! 手を、手を! エッチスケッチワンタッチどころじゃないです! 恐れげもなく! いたってごく自然なふりで! モミモミモミモミと破廉恥ここに極まれし悪魔の動作をををおおおォォォゥゥゥッッッ!!!!

 ふぬおおが;tぃgはいおthがjkgじゃ;lちあっはkl!!!!!!!!!!

 なんという暴挙でしょうか!

 飛び出さないうちに昂奮の極地を体験しすぎて全身の穴という穴から噴血しながら卒倒しそうです!

 静希ちゃんは半分これが現実なのかと信じられない顔つきで驚き、恥ずかしそうに暴れます。服の上からであっても、いやらしい手つきで触られ、とてつもない羞恥に違いありません。

 今度こそなりふり構わず逃れようとしますが、恐怖と混乱のためか、その動きはぎこちないものでした。
「はっ――離して……っ! お願い……こんな……だめ! やめてっ……!」

 だけど、浦野は少しも動揺する素振りを見せません。いやむしろ彼も容赦なく静希ちゃんの体をシッカリ押さえつけるように掻き抱き、脇から手を出して静希ちゃんの胸を横から揉みしだきます。いやらしい手から逃れようと股をきつく閉じ、くりんくりんと回る静希ちゃんの腰をものともせずに触りまくります。な、なんて強兵(ツワモノ)でしょうか。いや変態です。別次元からの招かれざるべき異端者です。
「なんとでも言えよ。俺はこの通り本気でおまえが好きなんだ」
「いやぁ……エッチ……! やだ……離して!」
「優しくするからさ静希……」
「や……! な、名前なんかで呼ばないで!」
「いーや呼ぶね。好きだ静希、好きなんだ静希。絶対に離さないね」

 まるでバーゲンセールの投げ売りのように好き好きと静希ちゃんの名前を交互に連発しながら、浦野はいらやしい手の動きを止めません。厚顔無恥とはこういうことでしょうか。なんかちょっと違う気がしますが浦野の態度も細かいことを超越している気がするのでこの際どうでもいいです。

 おまえは静希ちゃんを好きだと言うのにイヤな事をするのか。

 矛盾してるじゃないか!

 それどころか、浦野はあろうことか再び静希ちゃんの唇を求めようとします。それだけは絶対にイヤと静希ちゃんは必死に顔を背けますが……あ、あ、あ、捕まっちゃった! ま、ま、まままた二人は唇同士をおおぉぉぉ……!

 ノンンオオオゥゥゥガガガガガ──────────ッッッッ!!!!!!!!!!!!

 ギギギギギギギギギギギギギギギィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!

 グゲゴゲゴゲグググゴゴゲゴグググノオオオウウウウ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「ンンンンッ……!」

 ポロポロと涙を溢れさせる静希ちゃん。

 な……なんでこいつは……女の子を泣かせてるのに、ここまで少しも動ぜずにヒドイ事を続けられるんでしょうか……!?

 浦野は静希ちゃんの体を押しやって樹の幹と自分の身体で挟み逃がさないようにします。とても中学生とは思えない手練で静希ちゃんを追いつめていきます。この野郎は普段からこんなコトをしていやがるのでしょうか!?

 だとしたら──

 全身の血が凝固剤を注入されてストンと落ちるような想像が僕の脳内を巡ります。

 静希ちゃんがこのまま逃れられなかったら……!?

 それがどういうことになるのか、青春群青色妄想思念絶好調連載中な僕の頭脳は量子コンピュータよりも早く計算結果を打ち出します。即ち、

 

 逃げられない → 暴虐の限りを尽くす浦野 → レイプ

 

 うおーーーーーッッッ!!!!

 魂の雄叫びです。
今だ! 今こそ飛び出すんだ! 暴漢浦野の許すまじ冒涜行為を打ち破らねば! これは健全な道徳社会に牙を剥いた快楽原理主義者の反逆テロだ! 強敵エロ大魔怪人登場だ! 桜華絢爛ゲルニカ天使特戦隊ソロレンジャークサカベ第一話『人類の危機だよ! ドクロちゃん!』じゃない、『人類の危機! ヒーロー誕生!』の瞬間じゃないか草壁桜!

 今、静希ちゃんを助けないでいつ助けるというのだ!!

 草壁桜ァァァァァーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!

 

 

 

 でも足が動きませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

  3

 

 

 うう、ううう……。

 僕は……僕は……エロ妄想は逞しいけどでも一般中学男子なら普通そんなものですそうです普通の中学生なんです僕は。ガチンコの本番にはまだ全然耐性のないしごく平凡な男の子なんです。
こんなめくるめくエクスレイテッドを見せられちゃあ、ドキドキしすぎて動けるものも動けなくなっちゃうんです!

 心臓が次の鼓動を打つ前にその次の鼓動が打たれてるような状態です。もう周囲に注意を向けるどころじゃない二人でもこっちに気付いちゃうんじゃないかというぐらい息が荒げられてます。喉はカラカラ、目はギラギラ。膝はガクガク。ななかけるよんはにじゅうはち、ななかけるごにさんじゅうご、ななかけるろくはえ~とえ~といくつだっけ。

 もうすごいことになっている二人の行為以外目に入りません。
(助けなきゃ……静希ちゃんを助けなきゃ……)

 でも──でも足が動かないんです。体が言うことを聞かないんです。
なんで……なんで……なんでえぇぇぇ──────!?

 

 チュ……チュ……

 

 なんかキスの音までが明瞭にしてきました。

 浦野は静希ちゃんの頭と腰に腕を回してその細い体をきつく抱き締め、静希ちゃんのふっくらとした唇に音が立つまでたっぷりと吸いつき、辱めているのです。

 静希ちゃんの動きがすくんだように止まりました。

 また茫然とした状態に戻ったようです。
「ン──ン──!」

 静希ちゃんの涙がとめどなく流れ、体が小刻みに震えています。

 ──僕にとっても悪夢の時間が、ゆるやかに過ぎてゆきます。

 さっきよりも長く……どれぐらい続いたんでしょうか。

 大きく見開いていた静希ちゃんのまぶたが、開きっぱなしでいるのに疲れたのか、徐々に垂れ下がってゆきました。
「ン……ン……ンフ………………」

 鼻に掛かるような鳴き声。

 苦しくてぼんやりし始めたのでしょうか。いつしか涙も止まり、頬も紅潮してゆきます。

 僕の方が先に呼吸困難に陥りそうなぐらいの間、浦野は静希ちゃんとキスしていました。

 やがて、ゆっくりと――唇が離れていきました。

 僕は驚愕の破城槌に脳天をかち割られました。

 し、しし舌……舌が……

 ぽっかりと開いた下唇に、赤い舌がたらんと乗っていました……

 ディープキスまでやってたんです……

 スローモーションのように離れていったため、二人の舌の間に糸が引いて垂れて消えてゆくところまでじっくりと観察できてしまいました。
「あ……あ…………」

 半ば信じられない思いが、半ば夢でも見ているかのような、そんな静希ちゃんの惚けた顔が浦野を見上げています。

 遠く遠くから、芝居がかったような女の子の悲鳴が聞こえてきます。

 ザワリ──と、空気が粟だっているような気がしました。

 それからは……静希ちゃんはまるで抵抗する力を吸引されてしまったかのようにぐったりとして、ほとんど浦野のなすがままでした。

 浦野は静希ちゃんの体を裏返して樹の幹と対面させると、その後ろにピッタリとくっつうて腕を回し、押さえつけると同時にジャージの上下両方の隙間から手を突っ込みました。

 なんら躊躇することなく。
「な──────ッッッ!!??」

 僕は蒼くなり、ガタガタと震えました。

 ちょ、直接──静希ちゃんのからだに直接触ってる──!
「静希……静希ィ……」
「あっ……あっ……やだ……こんな……こんなのダメ……! わたしイヤ、いや、やめてぇ……!」

 樹に手を沿わせてまぶたをきつく閉じ、恐怖に震えながら、自分のからだをまさぐるおぞましい感触を堪える静希ちゃん。

 ジャージの下の体操服のさらにその下にある下着まで……いや……さらにその下に……突っ込んでいるんでしょうか!? 突っ込んでいるんですね!? ふぬおおおお!!

 昼間の川での光景が鮮烈に蘇ってきました。

 スクール水着に包まれた静希ちゃんのすべすべした肢体。陸上部で鍛えたスレンダーな身体には無駄な脂肪分はまったく見あたらず、すらりと伸びる手足は夏の太陽を照り返してまぶしく輝く健康的な地肌でした。おそらく隠された部分も同じでしょう……! それでいて実に柔らかそうに成長した胸の膨らみ……腰のくびれ……女らしくなったからだの曲線……!

 断言できます。静希ちゃんの身体データは、全国調査統計平均値を遙かに上回る数値を叩きだしておりますッ!

 それが……ああああ……そんな静希ちゃんのからだに、他の男の手が這いずり回っているのです。微塵の遠慮もなく、この上なきいやらしさで。静希ちゃんの恥ずかしくて仕方ないところを侵し嬲っているのです。

 僕は身悶えました。

 あぁ……静希ちゃんが……静希ちゃんが……男のヨコシマな欲望によってどんどん汚されてゆくぅ……!

 あの黒ジャージの下はどこまでも静希ちゃんの熱くも甘い体臭薫るなめらかな肌色の沃野が広がるパラダイスで、浦野の指はそのパラダイスの極みである柔らかい乳肉やぽちっとした乳首をいやらしく揉みしだいたり圧し擦ったり、あまつさえ、禁断の領域であるあ、あ、あああ、アソコまで畏れげもなくうううぅぅぅ────!!!!

 ハアー……ハアー……

 あ、この臨終間際の病人のような息づかいは僕です。

 もう精神がどうにかなりそうでした。

 それに比べて、浦野はますます元気になっていくようでした。欲望にまみれサカりのついた動物のようなせわしなさで、静希ちゃんのからだをまさぐっています。求愛行動をする獣のオスのようでも、エロビデオで女優さんに取り付く男優さんのようでもあります。きっと頭の中も動物的な性欲本能でいっぱいなんでしょう。僕っていうか普通と違うのは、それが何のためらいもなく行動と直結しているところです。これがヤリチンの実態なのでしょうか?

 浦野は静希ちゃんの耳に熱い吐息を吹きかけながら、襟の中からたちのぼる彼女の香りを嗅いだり、耳たぶを甘噛みしたり、首筋に舌を這わせたりとやりたい放題です。

 そして、
「静希……静希……」
と、まるで恋人の名を呼ぶように、腕の動きにもますます磨きがかかってゆきます。
「うう……ううん……んんん……ッ」

 静希ちゃんはただ身を固くし、震えながら、浦野のいやらしすぎるペッティングを恥ずかしそうに堪え忍んでいます。

 端からはジャージがモゾモゾと動いているだけなので、中ではどんなコトになってしまっているのか、もう気になって気になって仕方ありません。
「うはは……服を脱がずに弄くるのもなんか昂奮するな。静希のおっぱいがすげー柔らかくて気持いいぜ……」

 浦野はそう言ってもう片方の手も胸に持ってきました。ジャージの上からでも分かる両手分がプラスされた膨らみよう。静希ちゃんの双乳を粘土のようにこねまわしまくります。ジャージの裾がめくり上がり、雪のように白い脇腹が見えます。
「いやあ……こんなのぉ……いやあああ……!」
「はぁ……はぁ……柔らかくてたまんねえ……たまんねえ触り心地だ……はぁはぁ……乳首もいじってやるよ……」
「いやぁそんなの……ッ! ンッ! ンンン! ンアア!」

 あ、あの胸の先が異様に膨らんだかたちは……乳首を、乳首をッ!!

 コリコリとつねってるぅぅ!

 金庫のダイヤルを回すよううな感じでクリクリとおおおぉぉぉ!!

 ぬッはあああぁぁああーーーーーッッッ!!!!

 敏感なところを弄くられて、静希ちゃんのからだがビクビクと弾むように揺れます。
「いや……や……いたい……いたいからやめてぇ……」
「えーそうかあ? なんかビクビク反応してるけど?」
「いたい……から……よ……!」
「その痛みが快感に変わってくんだよ。ほら……」

 クリクリクリクリ。
「んあああッ!」

 たまらずにビクンとのけぞって悲鳴を上げる静希ちゃん。
「うひひ、静希のちっちぇえ乳首が固くなって膨らんできたぜ……へへへ。乳首感じるんだろ? 感じてくるぜ? こうされるとさ」
「はあぁ──や、やめて……か、感じない……から……ああぅん……! い、いたいだけ……はあああ……!」

 浦野の手の分が盛り上がった静希ちゃんの胸は、まるで怪虫が蠢き回っているかのようです。
「はぁ……はぁ……やめて……やめてぇ……はあぁ……!」

 哀しくも切なそうな声を漏らす静希ちゃん。
「やめらんねえなあ……それ!」
「あっ……ああ!」

 浦野は静希ちゃんのジャージの裾を掴んで一気に引き上げました。下の体操服ごとめくり上げられ、下着も巻き込まれたようです。

 恥じらう間もあらばこそ、です。

 静希ちゃんのおへそから胸までが露わになってしまいました。
しず……静希ちゃんの生乳……!!

 ちょっとツンとしてて、ちょっと控えめで、見事に整った張りのありそうなそれでいて優しげな稜線の実に形のいいバストが!!

 ぷるんとひと揺れし、その神々しいまでのご本尊を顕わしました!

 そしてそこには、魅惑の丘陵の頭頂部には、執拗に弄くられた証のように痛々しく膨らんだ乳首が確かにありました。

 しかし浦野は敬虔の心を抱くこともなく、むしろ昂奮度を増し、剥き出しになった静希ちゃんの乳房をたぷたぷと揉み始めます。柔肉を鷲掴みにし、乳房全体をこね回します。

 さっきまでも……ジャージの下であんな……あんなコトをしてたんだ……!

 あああうらや──じゃない、なんてひどいことを!
「あうう……いや……いやぁぁ……」
「へへへ……いいぜぇ静希。サイズ充分、揉み心地充分の合格おっぱいだ」

 静希ちゃんは目を固く閉じています。頬が朱に染まり、睫毛がかすかに震えています。
「んッ……んんッ……!」

 震える唇を噛み、声を漏らすまいとしますが、形が変わるほど思い切り揉みしだかれ、乳首を弄くり回されると、苦しそうに眉根を寄せ、どうしても喉が鳴ってしまいます。

 相変わらず後ろから羽交い締め同然の密着状態なので、逃げることは難しそうです。

 そんな痛々しい静希ちゃんの様子を、浦野はむしろ楽しんでいました。そして、獣欲にまみれた乳辱を飽くことなく続けました。

 なんというサディストでしょうか。

 やがて、浦野の乳責めは乳首中心になっていきました。

 こんな感じにするんです。
「舐めろよ」
と、静希ちゃんの口に無理矢理自分の指を突っ込んでしゃぶらせ、唾液で濡らします。静希ちゃんは目に涙を溜めながらも言うとおりにします。
その指で乳首をつねり、つまみ、擦り上げたり、引っ張るようにしごいたり、こね回したりするんです。

 静希ちゃんの可憐な蕾のような乳首は、嵐のような陵辱を受けてぷっくりと赤く膨らんでいきます。

 乳首は本当に敏感な所らしく、乳首ばかり責められるようになるともう、静希ちゃんはしきりに脚をもじもじとさせ、声を抑えていられないようでした。
「ハアッ、ウウ、アァ──だ……だめ……いやぁ……変……へんよ……あぁ……からだが……おかし、い……へんになっちゃう……!」
「ン、ンン、そんな、そんないじらないでぇ……ぃやあぁ……!」
「だめ、だめ、ホントにだめなの……へになる……許して……お願いもうやめてぇ……!」

 乳首に刺激を受け続けると体内に異様な感覚が湧き上がるみたいで、まぶたを伏せ気味に口を小さく開けて、
「あっ──あっ──ん、ん──あっ──」
と、かすかに上擦った声を漏らします。

 その声音がエロいのなんの……

 浦野のニヤケ面がますます崩れます。
「へへへ、乳首だけだとたまんないか? じゃ、そろそろコッチも……いじめてやるか」

 そう言うと、浦野は静希ちゃんのズボンに手を掛け、一気に足下まで引きずり降ろしました。
「イヤアッ!」

 時が止まるような……光景でした。

 肩胛骨から足首にまでかけての真っ白な裸身が、闇のキャンバスに描かれていました。

 腰からお尻にかけての柔らかくくびれた曲線が実に女の子らしくて……!!

 ああもう……

 毛細血管に至るまでの血流が完全に狂ってどうにかなりそうです……。

 浦野はまた静希ちゃんのからだを裏返し、向き合う形になりました。
「おいおい、あんまり大声出すなよ。そんなにこんな格好を誰かに見られたいのか?」

 途端に静希ちゃんの顔が蒼白になり、フルフルと横に振られます。
「イヤ……!」
「だろ? だったらもう諦めて気分切り替えろよ。楽しんでみろって」
「こんなの……楽しくなんかない……!」
「俺は草壁みたいな童貞野郎じゃないからな。女の扱いは充分知ってっから。安心しろよ。ま……楽しいっていうか……気持ちよくさせてやるからさ……」

 浦野はしゃがみ込むと、目の前にしたモノをまじまじと眺めます。
「おおー……これが静希のオマンコか……」
そう──奴の眼前にはもはや何一つ隠すものなく、静希ちゃんのアソコが露わになっているのです!
「み、見ないで!」

 静希ちゃんは両手で隠そうとしますが、手首を掴まれてぐいっと「なおれ」の姿勢にされてしまいます。浦野は腕力も充分あるようです。
「う、ううう……」

 生まれてからこのかた味わったことのない恥辱に唇を噛みしめ涙を流す静希ちゃん。
「じっくり見せろよ……うへへ……」

 煩悩にギラついた目と笑い。

 僕はというと──

 鼻血を流していました。

 だってこんな……こんな……!

 唇を濡らす生暖かくて濃い鉄の味が気にならないほど目を爛々と輝かせ、静希ちゃんの剥き出しになった女の子の部分を穴の開くほど見つめてしまいます。吸い込まれて絡め取られたように、そこから目を離すことが出来ませんでした。

 横から見たかぎりでは、静希ちゃんのソコの体毛は薄いものでした。これからなのかもしれません。

 そして……おまんじゅうのように膨らんだ中央には縦に走るひとすじの割れ目が……!

 ア、ア……アレガ……宇宙ノ彼方ニ隠サレテルトイウ深淵ノ神秘カッッッ!!
「イヤッ……見ないで……!」

 静希ちゃんは死ぬほど恥ずかしそうです。
「うは……静希のオマンコ……すげえ綺麗だ……全然弄くってねえんだな……可愛いぜ……」

 浦野は感激した口ぶりでそう言うと、秘裂を指で左右に拡げました。
「本当に綺麗なピンク色だ……」
「あ……あ……い、息がぁ……!」

 アソコに直に息がかかるというのは、いまだかつて経験したことがないんでしょう。ていうか、今されること全てが初体験のはずです。静希ちゃんの許容適応能力はとっくに飽和していました。あまりの恐怖と恥辱に半ば思考能力も停止し、ヨレヨレ状態です。

 浦野が顔をさらに近づけます。
「──ヒッ……ヒィッ……!」

 おぞましい感触が走ったのでしょう。ゾワワッと背筋を凍え震えさせる静希ちゃん。
「そんな……汚いトコロ舐めないでぇ……!!」
「汚くなんかねえよ。たまらねえぐらい甘い匂いと味だ……ウハァ……」

 浦野は静希ちゃんのアソコに顔を突っ込み、舌で舐め始めたのです。

 

 ペチョ、ペチャ、ペチャ、ペチョ、ペチョ……

 

 お……おぅおぅおぅおぅおぅおぅおぅおぅ…………

 その時の僕の脳内には、群れからはぐれ波濤に洗われる岩上に乗った孤独なアシカが遠吠えしてました(なぜアシカ?)。しかし世界はあまりの錯乱ぶりに黄色い救急車でもケツまくって逃げす始末。サイケデリックな海でサメに変身した妖精さんがアシカと化した僕の周りを泳いでいます、食べる気だね! 食べる気満々だね! いいよ! いいよ食べなさい! 静希ちゃんのように食べられちゃいますよイダイダダッそんな鋭すぎるアギトで食いつかないでもっと優しくしてえぇぇ!

 なんて、なんていやらしい…………!

 浦野は大好物の蜜蜂の巣を手に入れた熊のように静希ちゃんのアソコにすっかり顔を埋め、舌を熱心に蠢かせるのです。表面を舐めるなんてのはもうしてません。

 静希ちゃんの脚が、力が入らないようにわなわなと震え出します。ぷるぷると揺れる胸。浦野の頭を離そうと──するでもなく──手で抑えます。そうでもしないと立っていられないのかもしれません。
「あ……いやぁ……あ……ぁあ……ぁ……あああ……ッ!」
ほとんど言葉にならない声。
ああ……静希ちゃんのアソコってどんな味がするんだろう……どんな匂いがするんだろう……
「静希の処女マンコは格別の味だぜ……」
「あぁ……ああぁ……舌が……舌が……はうぅぅん!」

 静希ちゃんは正常な意識がどっか逝ってしまったような虚ろな視線を、浦野の頭頂と中空へ交互に彷徨わせます。
「ここも──」

 浦野が割れ目の上の方へキスをすると、

 ビク、ビクビク!

 静希ちゃんのからだが跳ね上がるように反応しました。
「ハアァァンッ!──そ、そこだめぇ……ッ!」
「おぉ……静希の奥から蜜がしたたってきたぜ……」

 僕には何のことか分かりませんが、浦野はそう言って再びアソコの奥に舌を突き入れます。

 

 ペチャ、ペチャ、ペチョ、ペチョ……


「ふわッ……! ふわわッ……!」

 今にも砕けそうなほどに静希ちゃんの脚が震えます。

 ──そうして、浦野はしばらくの間飽きもせずに静希ちゃんの股間に取り付いていました。

 

 ペチャ、ペチャ、ペチョ、ペチョ……


「あッ……あ、あ……ん、んあ……ぁあ……ぁああぁ……!」

 静希ちゃんの抑えられないあえぎ声が、だんだんと蕩(とろ)けていくような響きを含んできます……
「……これだけ濡らせば充分だな」

 そう言うと、浦野は三度静希ちゃんを裏返し、再びバックの姿勢を取らせました。

 そして、唾液だけにしてはやけに濡れている割れ目にギンギンにおっ勃ったペニスが擦りつけます。

 ナニをされるのか分かった静希ちゃんは、
「あぁ……それだけは……許して……」
と、哀願するように言いました。
「何言ってんだよ。本当はイヤじゃないんだろ。期待してるんだろ?」
「期待してなんか……! わたしそんなの……!」
「だったら、なんでもっと抵抗しないんだ?」

 浦野はそう言うと、静希ちゃんのクリトリスと乳首に手を伸ばし、交互に撫で回すように弄びました。

 途端、静希ちゃんのからだがビクビクと弾んで反応します。
「ひあっ!──ひあぁぁん……!」
「ほら、こんなに敏感になってさ……気持ちいいんだろ? 俺に弄くられるのが気持ちいいから逃げないんだろ? 諦めて認めろよ……。俺は別に酷いコトなんてこれっぽっちもしてねえ。むしろおまえが気持ちよくなるコトだけしかしてないぜ……? 静希が好きだからこんなコトするんだ……」

 それはまるで悪魔の甘言のようでした。
「……ちがう……ちがうぅ……!」

 必死に首を振る静希ちゃん。
「フン……」

 浦野は嘲るように口端を歪め、それ以上は追及しませんでした。
「まぁいいさ。どうあがこうがもう遅い。おまえは俺のモノになるんだ」
「モノだなんて……ヒッ──! ヒヤァアァ……!」

 静希ちゃんの言葉が終わるのを待たず、浦野の勃起したペニスが静希ちゃんの花弁に突き刺さってゆきました……!

 

 ズブ……ズブ……ズブ……

 

 静希ちゃんのからだの中に埋(うず)まってゆくように、はちきれんばかりの肉塊が……

 静希ちゃんの穢れを知らないからだが……犯されてゆきます……

 少し、また少しと醜悪な肉塊が埋まっていくにつれ、静希ちゃんの声が、
「あっ……あっ……ああああッ!!!!――い――いたァッ……いぃぃ……!」
と、徐々に高くなってゆき、木立に吸い込まれていきます。

 しかし、浦野は構うことなくぐいぐいと腰を進めます。

 静希ちゃんの顔が痛みに歪んでいくのと正反対に、浦野は目尻を下げ、ケツをぶるぶるさせ、処女を奪った喜悦に口をだらしなく歪ませます。
「くふうぅ……正真正銘の処女の膣(あな)だ……すげえ締まりだ……」
「あ……ぁ……ああぁあ……!」

 結合部から静希ちゃんの内股を何かがツーッ――と伝い、垂れてゆきました。

 暗闇に慣れきってしまった僕の目に、それはハッキリと映りました。

 

 血。

 破瓜の血。

 純潔が散らされた証。

 

 

 静希ちゃんが僕以外の男に奪われた現実……。

 

 

「それっ!」

 浦野は途中でさらに力を籠め、ズニュッと一気に刺し込みました。
「────!!」

 静希ちゃんのからだがこれでもかというぐらい強張り、痙攣します。
「────ァ──ァ──ァアアア…………アアア……!!」

 言葉にならない痛さでした。

 静希ちゃんの体内に深々と突き刺した浦野は、勝利の雄叫びのように言いま
した。
「ハハハ! 根元までズッポリ膣内(なか)に入ったぜ! 静希、俺がおまえの初めての男だ! ハハ……ハハハハ!」

 ──僕はガックリと肩を落としました。

 終わった。

 全身はおろか魂からも力が抜けていきます………………

 

 浦野はしばらくの間、そのままで静希ちゃんの膣内の感触を堪能しているようでしたが、
「……さあて、そろそろ子猫ちゃんの味をみてみますか」
と、サカッたオス犬のような往復運動を開始しました。
「あっ! あっ! あっ! あっ!」

 浦野のペニスが出し入れされるたびに激痛が走るのでしょう、静希ちゃんは苦悶の呻きを上げます。

 ですが、浦野は苛烈さを与える動きを和らげようとはしません。
「いたい、いたい、いたいぃ……!」

 

 ズッチュ……ズッチュ……ズッチュ……ズッチュ……

 

 浦野は一定のミディアムテンポで抽送し続けました。
「うああ……こりゃすげえ……!」

 まるで猿のように腰を動かしますが、その顔は快感に惚けながらも楽しんで静希ちゃんのアソコを味わっているようで、なんとなく余裕を残しているように感じます。
「うおお……たまらねえ締め付けだ……すぐに出ちまいそうだぜ……」
「あ、あ! な、中だめぇ! 中に出さないでぇ!」

 翻弄されながらも、静希ちゃんは声を振り絞って何とかそれだけを言葉にします。
「へへ、へへ、大丈夫まだ我慢できるからよ、ふぉうら!」

 浦野はふざけるように大きなストロークを描いて打ち込みます。

 

 グチュウッ!


「うあぁぁぁッッ!!」

 深いところまでえぐられた痛みに目も口も大きく開き、背中を折れんばかりにしならせる静希ちゃん。
「――あ、あ、ああ、ああああ……」
「体の力抜いて、少しでも楽になれよ。そうすれば痛みから早く開放されるぜ」
「うああ……そんなの無理ぃ……ぁあううぅ……」

 樹の幹にしがみつき、息も絶え絶えの静希ちゃん。
「最初の痛みさえ無くなればこんな気持いいコト他にないんだぜ? 病みつきにさせてやるよ……」

 浦野は静希ちゃんに顔を近づけ、胸を揉み乳首を弄りながら囁きます。
「草壁みたいなネンネの坊やじゃあ、絶対にこんなコトしてくれねえって。百年経ってもキスひとつも満足に出来なかったりしてな。アハハハ!」

 突然僕の名前が出たのでドキッとしましたが、同時に怒りもこみ上げてきました。

 僕はそこまで能なしじゃない──はずだ!
「さ……くらくん……あぁ……は……ン……あなたとは……ちがう……あ……ぁあぁ……」
「どうちがうんだ? あいつもこんなイイコトしてくれるってのか?」

 

 ズッチュ……ズッチュ……!


「ハアァァウウッッ!!」
「ハハ、やれるわけねえだろ。まだガキだぜ、あんな奴。セックスがどんなコトかも知ってるわけがねえ」
「さくらくんは……ん、こ、こんな酷いコト……ウウァ……し、しないわ……んんん!」
「ハッ。せっかく女にしてやったのによ」

 ニヤリと唇を歪める浦野。
「今は痛いだろうけどな……回数を重ねるうちに段々と気持ちよくなってくんだよ、これが。いくら我慢したってカラダがそう変わっていくんだ」

 

 ズッチュ……ズッチュ……!


「ウウウ……アアア……!」
「もう俺からは逃げられないぜ。今のところは早く慣れることが先決だな。ハハハハ!」
「ぁあ……あぁぁ……」

 静希ちゃんは何かを諦めたように目を瞑り、がっくりと頭を垂れました。
〈…………くん………………〉
え……?

 静希ちゃんの唇がわずかに開き、何か呟いたようでしたが、僕の所までは届きませんでした。

 そして、それ以後は呻き声を上げ続けながらも、からだの力を抜こうと努めていったようでした――

 

 ――どれぐらいの間、二人は繋がった腰を揺れ動かしていたでしょうか。

 周囲を木立で覆い隠された真っ暗な闇の中で二つのしろいからだが浮かび上がり、揺らめいています。二人の荒い息づかいと悲喜交々の呻き声、肉体が重なり合い、夜の森に溶けてゆきます……。

 それは正味三十分にも満たないぐらいのことだったと思います。

 でも、僕にとっても、静希ちゃんにとってはなおさら、地獄に堕とされたような苦しみの時間でした。

 からだの力を抜いても痛みは引かないようで、静希ちゃんはしまいにはぐったりしたまま低い呻き声を漏らし続け、浦野の動きに合わせて機械的にビクビクと反応するだけになりました。

 

 明らかな変化があったのは浦野でした。

 静希ちゃんの膣内を貪り続けながらも、
「うう、今度はもう本当に出ちまう……!」
と、切羽詰まった声で言い出しました。
「ああ……いや……! お――お願い、中には出さないでぇぇ……!」

 静希ちゃんの悲痛な叫び。
「へへ、どうすっかな……うう……!」
「いや……いや……中はやめて……ホントに……妊娠しちゃう……! お願い外に出してぇ……!」
「ま……じゃあ……外に出してやる……かッ……!」

 浦野は浅いところを性急に擦りつけるような細かい動きに変わります。
「あッ! あッ! あッ! あッ!」
「ウウァッ!」

 達する寸前に浦野は静希ちゃんの膣内からずるりとペニスを引き抜きました。

 静希ちゃんのお尻の裂け目に何回か擦りつけ、仕上げの刺激を与えると、
「くうっ……静希ッ!!」

 背中が形作るなだらかなくぼみの端に先っぽを押し付けました。

 

 ドピュッドピュッドピュッ!

 

 浦野のパンパンに張った肉棒の先端から、白濁とした体液が勢いよく噴き出してきました。まるで口を圧し狭めたホースから噴射される水のようにビュッビュと、静希ちゃんのなだらかな背筋を疾(はし)っていきます。
「うはあああああぁぁッッッ!!」

 たまらずに静希ちゃんはビクビクと仰け反り、悲鳴を上げます。
「うああ、熱い、熱いぃ……!」

 浦野の吐き出した精液はびっくりするぐらいの量でした。まくし上げられたジャージまで達し、静希ちゃんの背中に一本の薄汚い白線を作り出しました。

 

 ビュッ! ビュッ! ビュッ!

 

 醜悪な肉塊は元気よく白濁液を射ち出し続けました。
「おおぅ……」

 浦野は心地よく虚脱しながら、静希ちゃんの背中でまだゆるゆると腰を動かして残り汁までも全て搾り取り、
「――ふぅぅ……」

 満足げな深い溜め息をつきました。

 ようやく淫獄の責め苦から開放された静希ちゃんのアソコは消えぬ痛みに打ち震えるようにヒクつき、赤いものが混じってぬるぬると濡れていました。
「……熱い……熱いわ…………」

 静希ちゃんは半ば魂が抜けたような惚けた表情でうわ言のようにつぶやき、ガックリと首を落としました…………

 

 ――コトが終わって、どことなくグッタリとした二人。

 二人分の乱れた息がやけに耳につきます──僕の息と鼓動も。

 行為が終わった後の空気は、昂ぶった熱がすっぽり抜け落ちたような、退廃的な淫靡さが匂うようでした。こんなこと言うと不謹慎ですが、弛緩した二人を見ると、なんだかあっけない感じすら抱いてしまいます。でもそれがなぜか同時に、暗い森の中で人知れず体を重ね合わせた男女をとてもいやらしげに浮き立たせるのです。
「……よかったぜ、静希。すげえ昂奮していっぱい出た。やっぱりおまえは最高だよ」

 静希ちゃんはからだを震わせたまま、答えませんし動きませんし反応らしい反応もありません。震えに合わせてゆらゆらと乳房が揺れています。

 浦野はジャージからポケットティッシュを取り出し、静希ちゃんの背中を穢(よご)すぬるぬるした精液を拭き取り始めました。
「ちょっとジャージ汚しちまったけどまあ、これぐらいなら拭けば誰にもバレねえな」

 なんて用意がいいんでしょう。ああっ静希ちゃんのアソコまで……! さすがに静希ちゃんもこそばゆそうにからだを揺らします。
「ん……ん……」

 なんかすごくエロチックな光景です……ていうか絶対わざとエロい手つきで拭いてます。

 でも、こんなアフターケアが行き届いてるからといって静希ちゃんを無理矢理犯した大罪まで拭えるわけがありません。

 どちらの体もいちおうキレイになると、浦野は空になったヘニャヘニャなティッシュ袋を握りつぶして投げ捨てました。

 すると、静希ちゃんはゆっくりと静かに──ずるずると崩れ落ちていきました。木の根元で亀のように丸まると、顔を伏せたままもぞもぞと体を動かし、ジャージの上下を元に戻します。

 ──その喉から静かに嗚咽が漏れてきました。

 浦野はそんな静希ちゃんの姿をしばらく見下ろしていましたが、
「……また学校で会おうぜ」

 そう言い残し、サッサとその場を去ってゆきました。

 

 静希ちゃんはいつまで経っても動きませんでした。

 僕は──

 僕も動けませんでした。

 何もかもが地の底に堕ちたような罪悪感で。

 僕の手には、いつのまにか自分のペニスが握られていました。

 股間の下の地面には白濁とした水溜まり。

 ──浦野が出したのは一回だけですが、僕は四回も出していました。止まりませんでした。特に最後は浦野がフィニッシュし静希ちゃんの背中にザーメンを浴びせたのと同時に………………これまで味わったことのないぐらいの物凄い快感でした………………

 これが僕のしたこと。

 僕は静希ちゃんを助けずに、それどころかこんな──

 静希ちゃんがこれを知ったら、どう思うでしょうか。

 考えるまでもありません。

 僕は…………僕は………………

 死にたい。

 

(終)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最終更新:2020年02月23日 17:27