英雄伝説6空の軌跡エロパロSS3
『オリビエのエステル寝取っちゃえ大作戦4』
1
結局のところマジ逝きさせてしまったのだが、(ま、なるようになるか)と、オリビエは成り行き上仕方ないと意識を切り替えた。
絶頂の波が鎮まり、時間もないので後始末に入るべく、肉棒がぬ"る"ぅ――と引き抜かれると、エステルの股間からごぽごぽ、ぼたぼたと、大量の白濁液が便器の中にとめどもなく流れ落ちていった。
その有様を、エステルは呆れ半分の顔で眺め下ろした。
「いくらなんでも出し過ぎじゃないの……?」
「ハハハ、でも、それでエステルは試合するんだよねえ」
「あっ――!?」
エステルの顔がみるみる紅潮し、ブンブンと首を振った。
「やっ……こ、こんなので戦えないよ……一発でバレちゃう……! みんなに見られちゃう……!」
「まあ、さすがに手練れの遊撃士相手にこんな状態で臨んじゃ、いくらなんでもマズいしねえ。お仕置きも最後までちゃんと受けたことだし、今回は特別にこれで赦してあげないこともない」
「ホント!?」
「ああ」オリビエはニッコリと笑った。「フフ、ボクが本気でやると思ってたかい?」エステルのジト目。「……思ってたようだね」
「当たり前じゃない! オリビエのやることはどこからどこまでが本気で冗談なのかわからないんだから!」
エステルの非難を柔らかい笑みにくるみながら、
「すべてはキミのためだよ……」
と、オリビエはエステルの首すじに顔を埋(うず)め、淡雪を溶かすように、ゆっくりと舐め上げていった。
「ヤッ――ハッ――ア――ア……♥!」
エステルはゾクゾクと震えてしまう。
「も、もう……だめ……時間が……!」
オリビエは懐中時計を取り出し、チラと見た。確かに、そろそろ戻らないとマズいだろう。
オリビエはエステルを離し、二人は個室の中でゴソゴソと支度を始めた。
エステルはまずアソコの掃除をしなければならなかった。
便座をまたぎ、女の孔に指を入れて自ら拡げる。
「ん……!」
孔の中から出されたばかりのドロドロと白濁した熱い粘液が溢れ出し、一本の太い糸となってボタボタボタボタと真下に垂れ落ちてゆく。さすがに四発分の量だけはあった。
(まるでミルクを放尿しているみたい……)
昨夜と昼前に洗った時よりも多く、こんな状態でもし試合に出ていたら……と思うと、改めて安堵の気持ちが湧き上がる。
それが済むとエステルは床からパンツをつまんだが、
「うわ……パンツもぐしょぐしょだぁ……」
と、そのあまりの状態にビックリしてしまった。
両手で包んでギュッと絞ると、指の間からうじゅうじゅと淫液がにじみ出し、便座の真ん中を落ちてゆく。
絞るだけ絞って脚を通しても、股間がぬるぬるして気持ち悪かったが、この際仕方なかった。注がれるだけ注がれて、衆人環視の闘技場で汁を垂らすよりは遙かにマシだ。
トイレットペーパーでズボンを拭いていたオリビエが、ふと思い出したように言った。
「……あ、そういえばやってる最中キスしちゃったけど。よかったのかい?」
「あ……!」
スカートを持ち上げていた手が止った。
あまりに気持ちよすぎる快楽の中に置き忘れた大事なもの。
言われて初めて気付き、エステルは身を固くした。
(そういえばあたし……オリビエとキス……しちゃったんだ…………)
なんで、そのままにしようとしていたんだろう。
どうしよう……はじめてのキスは……ヨシュアとするつもりだったのに……
エステルは動揺し、困り果てた顔でオリビエに振り返った。
すがるような目で見つめられ、オリビエは唇を柔らかく引き結び、優しげな笑みを作った。
(あたしのファーストキス…………オリビエにあげちゃったんだ………………)
そんなに大事なものかといえば、ことさら騒ぎ立てるのも恥ずかしい気がする。それにオリビエも以前と印象が全然違って、すごく好く見えるから、彼とキスしたことは、嫌、という気分ではなかった。
だけど……自分で決めたことを守れなかったのが悲しかった。
ヨシュアを裏切ったような気がする……。
エステルの落胆した顔を見て、オリビエは「よしよし」とその頭を撫でた。
「え……?」
「そんなに気になさんな。やりたくなっちゃったものは仕方がない。ボクとのキスはノーカウントってことにすればいいじゃないか。キスも練習の一環と考えてさ。キス下手じゃ、ヨシュア君とせっかくいいムードになってもぶち壊しになるかもしれないしね」
「……うん…………」
エステルは徐々に顔色を持ち直してゆき、目をうっすらと細めてオリビエに感謝の気持ちを浮かべた。
「ありがとう、オリビエ……でも、これからはなるべく気を付けることにするから……その……キスはもう……」
「そうかい。エステルがそう望むなら、こっちも気を付けるよ」
「ん、お願い……」
エステルはちょっとはにかむように笑うと、
「でも、オリビエとキスするなんて、夢にも思わなかったな……」
と言い、頬を赤らめたてまた俯きがちな視線になる。
「本当かい? それはちょっと残念だな」
「え……」エステルはわずかに目を見開いた。「それってどういう意味……?」
「……こういう意味、さ…………」
オリビエはエステルのまだスカートを履いていない腰をグイッと引き寄せると、少女の驚いた目を捕えたまま、顔をゆっくりと近づけていった。お互いの息が熱くかかる距離までにはあっという間だった。
「ちょ、ちょっと……オリビエ……!?」
エステルは思わず身をよじったが、オリビエはしっかりと抱いて離さなかった。「あ……!?」
じっとオリビエの瞳が見つめている。
「あ………………」
なんか――オリビエの瞳に吸い込まれそう――
オリビエの指がそっと顎端に触れ、つ……と、顎のラインを撫で下ろし、下唇に触れるか触れないかのところをうっすらとなぞると、
「……あ……ぁ……!」
そのくすぐったさに、エステルは頬を薄桜に染め、目を霞ませたように、ふるふるとからだを震わせた。
そうされただけで、また体の芯が熱くなってきてしまう。
(こ……これって…………)
まさか……本当に……キスするつもり……!?
たった今、気を付けるって言ったばかりなのに……!?
「オ……リ……ビ…………エ…………!」
意思がはっきりと顕れる明るい双眸は、情事の熱も去ろうとし、涙の滓がまだ少し残っていたが、オリビエの真摯な瞳に見つめられると、溶けるように目尻が下がってまた潤んでくる。唇が蕾のように小さく開く。
やめて――そう言おうとしたが、何故か、言葉が出なかった。
オリビエの唇が近づいて――――触れちゃ――あ………あ……………
――だが、唇の先が触れるか触れないかというところで、オリビエの口端が可笑しそうにニッと吊り上がり、
「……なーんてね」
エステルの体を離し、悪戯っぽそうに笑うオリビエ。「ハハハハ、冗談冗談」
「……ッ!!」
エステルの顔が耳たぶまで真っ赤になった。
「……冗談って……ッ……バカァッ!」
避けるまもなかった。
腰の入った渾身のボディーブローが砲弾のようにオリビエの鳩尾に入り、
「うごぉ!」
これにはたまらず、オリビエは顔面蒼白二つ折れとなってトイレの床にくずおれた。
「あっ!?」
自分のした事に、拳を握りしめたまま我に返って驚くエステル。
「あ、ご、ごめん、ついカッとなって……大丈夫!?」
「ハ……ハハハ、ハグゥ……うぐぐ……こりゃ……キッツ~……」
もうすぐで床に溜まった自分のザーメンを舐めるところだった。さすがは英雄カシウスの娘。
エステルはおろおろと手を貸して助け起こし、
「ゴメン! ホントにゴメン!」と何度も謝る。
「フフ……フフフ……効いたよ……さすがは腕力で頂点を目指す女だ……」
「目指してはないけど……あ、確か選手用の医療室ってあったよね。行こ!?」
「ああ……いや、大丈夫、一人で歩けるから。エステルは先に戻ってていいよ」
「でも……」
「ハハ、これぐらいで……参るボクではないのさ。このオリビエ・レンハイムの勇姿を心待ちにしているグランセルの麗しき婦女子たちのためにも……ボクは負けていらない!」
「……あ、そう」エステルは半眼で手を離し、
「ぬお!?」
バランスを崩してまたもや床に倒れかけた。
2
エステルから医療室の場所を聞いたオリビエは、腹を押えながらふらふらと歩いて行った。
その後ろ姿を、エステルはじいっと見つめ続けた。オリビエと同じように下腹部に手を当てて、ズクズクと温かい、彼が入っていた感触がまだ鮮明に残っているお腹の奥を感じながら。
「……そういえばあたしって、オリビエのこと何も知らないな……」
帝国から来たって言ってたけど、あっちではどんな仕事して、どんな生活してるんだろう。サニーベル・インで聴いたピアノはすごく上手だったし、やっぱり本当に演奏家なのかな。自分で天才って言うのはどうかと思うけどね。
でも、あれだけ音楽の技量があって、他にも射撃やアーツの腕前も凄いんだから、多芸なことは間違いない。軽そうに見えても、無駄に人生を重ねてはいないってことよね。
「ふざけてはいても……大人……かな……」
服の着こなしや仕草なんかはキザったらしいけど、長身白皙にはピッタリさまになってる。プラチナブロンドの髪の毛はいつもサラサラ光ってて、正直うらやましいと思ったこともあった。あたしに金髪は全然似合わないだろうけど。
ルックスもいい部類――よね。たまにキリッとした顔をすると、けっこう美形だと分かる。目元は涼やかだし、すっきり通った高い鼻とか、整った顔立ちだった。
あの性格と口さえまともだったら、絶対にほっとかれやしないのに。
(――って、なにそこまで考えてるんだろ、あたし)
エステルはそっと、オリビエのなぞった下唇に触れた。
さっきのは……ふざけてやるんだもの。本当に驚いちゃった……今思い出しても、腹が立つ。
医療室送りにしてしまったのはさすがに悪いけど、自業自得よね。
(でもどうして……あんなにドキドキしちゃったんだろ……)
気分がフワッとして、すごいあせっちゃった。本当にキスしそうな感じで……
唇が触れ合う寸前のことを思い出すと、頬が熱くなる。お腹の奥も。
(んー……まだヘンな気分が残ってるのかな……)
そうと言えばそんな感じがするし、でも……微妙に違うような気もした。
「………………」
ひょっとして……あたし……
ううん。
エステルは心に浮かんだ考えを振り払うように頭(かぶり)を振った。ツインテールがくねくねと舞う。
(あたしが好きなのはヨシュアなんだから……!)
そのために、オリビエに協力して貰ってるんじゃない。
ヨシュアを絶対に振り向かせるんだから。
だから、オリビエが好きってわけじゃ……そりゃ、ずいぶんと印象は変わったけどさ……
――って、なんか横道逸れはじめてない?
「ハァ……なんか疲れた…………」
エステルは肩を落とした。
精神的な疲労――より、身体が重かった。主に腰が。さすがにやりすぎだった。股になにか挟まってるような感じは一晩寝たらずっと楽になったけど、またぞろぶり返してきたし、腰の周りに泥がまとわりつくような気怠さが生まれはじめていた。オリビエが無理のある姿勢でやるからだ。そりゃまあ、気持ちよかったけど……。
こんな調子で試合大丈夫かな……。
いや!
エステルはぐっと拳を握り、眼に炎と闘志を宿らせる。
「弱気なこと言ってられないわ! せっかくの大舞台、頑張らないと!」
自分の身体を叱咤し、気炎を吐きながら控え室に戻っていった。
結果から言えば、試合はエステルたちの勝利に終わった。
アネラスたちベテラン遊撃士チームは、連携も巧みで個々の実力も高かったが、作戦を見誤った。エステルとヨシュアの若いコンビが穴だと二人を集中的に狙ったのだが、彼らの想像を遙かに超えて二人は猛攻を粘り防いだのだ。エステルの動きが多少悪く、一時窮地に立たされたが、ヨシュアの巧みな助けとオリビエの的確なタイミングでの回復支援もあり、一角の崩壊を免れた。
見習いを攻め崩すことが出来ないベテラン遊撃士たちの間に判断の迷いが生じた気勢の変化を見逃さず、オリビエのアーツで派手に作られた突破口を縫ってジンが後方で補助に徹していたクルツを強襲、ノックアウトし、観衆の大歓声も衰えない間に転身して挟撃の態勢が決まったところから試合が傾いてゆき、縁の下と戦機を失ったベテラン遊撃士チームはそれから崩れていくままになってしまった。
試合が終了し、再び整列した時には、両チームのメンバー全員がボロボロの様相であった。
「はあはあ……あたしたち、勝ったの……?」
「うん、何とか……足を引っ張らずにすんだね」
集中攻撃を受けたエステルとヨシュアが一番疲弊しており、特にエステルは棒をつきヨシュアの肩を借りている状態であった。アーツで回復したとはいえ身体の至る箇所に苛烈な攻撃を浴びせられた痕跡が残っていて、勝利者にはとても見えなかった。
八人は互いの健闘をたたえ合い、敗れた側も笑顔で握手を交わした。
「ふう……さすがシェラ先輩の教え子だなあ……それに、そこのお兄さんがそこまでやるとは思わなかったよ……」
細身細剣の女剣士――アネラスは素直に惜しみない賞賛を送った。オリビエのアーツで二番目に沈んだのだが、手数が一番多かったのが彼女だ。
オリビエは前髪を梳く得意のポーズを決め、優雅に微笑んだ。最後まで遠くからアーツばかり使っていたので、彼だけはほとんど汚れてない。
「フッ、お嬢さんの方もなかなか痺れさせてもらったよ。よければ試合の後にお互いの強さを讃えて乾杯でも……」
「おっ。いいね」グラッツがニヤッと笑い返し、杯を傾ける仕草をする。「俺たちはもう試合もないしな。大いに歓迎だぜ。なあ?」
重剣使いが仲間を見回すと、一様に肯定の頷きが返ってきた。ジンも大いに楽しみな表情で一緒に頷いていた。
「え、男性陣も来るの?」
心から残念そうなオリビエの言葉に、
「えーかげんにしときなさい……」
エステルがその後ろ頭をはたく。
が、
「あ――?」
エステルの体がグラリとそのまま前のめり。
闘技場にいる全ての人々の環視の中、ゆっくりと倒れていった。
どよめく場内。
驚いたヨシュアがよろめくようにしゃがんで抱き起こした時にはもう、すでに少女は昏睡していた。
3
ポロン――ポロン――……
ポロロン……ポロロ――……
ひどく優しげに震える音色が聞こえる。ハーモニカではなく、弦の音だった。
緑深い森をせせらぐ小川のように、穏やかに細く、閑かに――すうっと染み渡っていくような――
いつだったか。季節の変わり目の終わり頃だったと思う。天気も良かったので、外履き用スニーカーでその時一番お気に入りだったモデルを履いて夜釣りに出かけた。
糸を垂らしていて、ふと気付いた。
寒さの感じない夜。
ゆっくりと見上げると、池の水面に輝いていた光円が、空にぽっかりと浮かんでいた。
月が夜空にあるなんて、当たり前のことなのに。
でも、他のあらゆるものが遠のき、月とあたしだけがその夜の世界にいるような、あれは不思議な感覚だった。
なんだったんだろうな……。
帰りが遅いからって、父さんに頼まれてヨシュアが迎えに来たんだっけ。
あの頃はまだ、ヨシュアの態度もどことなくぎこちなくて、呆れたように言われたものだ。
「女の子がこんな時間に一人で出歩くなんて、普通はしないよ」
ふふ……でも、今とあんまり変わらないね――ヨシュア――
エステルがしずかに目を開けてゆくと、ここ数日見慣れた天井が視界に入ってきた。
右を向き、左を向き――あ、部屋に置いてきたあたしの荷物だ。
もう一度右を向いた。
膝に抱えたリュートを鳴らすのを止め、ベッドの傍らに座っていた男の人が柔らかく微笑み返してきた。
「やあ、目が覚めたようだね」
「オリビエ……」
エステルは目をもう一度ギュッと瞑ってからパッチリ開けると、もそもそと上半身を起こした。
(あれ……?)
いつの間にか替えのシャツに替わっていた。掛け布団をめくって下を見ると、こちらも同様で、股間はサッパリと乾いて気持ちよくなっていた。ブラはないけど……誰が替えてくれたんだろう。ちょっと気になった。
「おっと、起きても大丈夫かい」
オリビエは枕をずらし、腰に当たるようにしてくれた。
「喉が渇いてれば」
と、サイドボードの水差しを指す。
「ホワイトグレープウォーターがあるよ」
そのさりげない気遣いがなんだか嬉しくて、
「うん、ありがとう」
あたしはニッコリ笑った。言われてみれば喉がカラッカラで、体が水分を要求していた。
オリビエがコップに注いでくれ、あたしは喉を鳴らしながらそれを一気に飲み干した。
白葡萄のほのかな酸っぱさがとても美味しく、二杯目も一息で飲んでコップを口から離すと、ホッと息をついた。
ああ、瑞々しい水分が体内に染み渡る……。
全身の筋肉がグッタリと重く、骨がまだ熱さを帯びていたが、痛みや苦しさはそれほどではなかった。
「大丈夫そうだね」
オリビエは水差しを元の場所に置くと椅子の背にもたれ、微笑みを湛え続けて再びリュートを震わせはじめた。
ポロン……
ポロロン……
六弦の繊細だがゆったりとした奏でが室内にたゆたう。
「今日はよく頑張ったよ。手練れの戦士達を相手に、よくあそこまで耐え抜いた」
「あたし、気絶しちゃったの?」
「そうだよ。ヨシュア君が医療室に運んでね、ジン殿がこのホテルまで背負ってくれたんだ。フフ、ヨシュア君には悪いが、彼のキミを心配する様はなかなかの見物だったよ」
「そうだったんだ。ごめん、みんなに迷惑かけちゃったみたいね……」
倒れた時の記憶は定かではない。試合ではやっぱり身体の動きが悪く、終わり間際には立ってるのがやっとの状態だった。最後に残ったカルナさんをジンとヨシュアがフィールドの端まで追い詰めていくのを、あたしは追っていけなかった。カルナさんが万事休すで両手を上げてギブアップ宣言する光景を、棒に寄りかかりながら霞んだ目で眺めていただけ。熾烈なラッシュ攻撃の最中、一撃でも意識が朦朧としてしまうような痛打の連続に防戦一方で、ヨシュアに助けて貰わなければ、絶対にあたしから崩れていっただろう。あまりに疲れて、並ぶ時はヨシュアに肩を貸してもらったんだっけ。
「いやいや、相身互いだし、エステルはよく頑張った。気にすることはないよ」
「ありがとう……そういえば、試合中はオリビエにもかなり回復アーツかけて貰ったっけ」
「彼らはあからさまに君たちから崩そうとしていたからね。つまり、真剣モードだった。ボクもいつになく、頑張って働いてしまったよ」
「え?」ジト目になるエステル。「いつになく……?」
「おっと……」
オリビエはさりげなく話題を変えた。
「そういえば、エステルが倒れた原因だけど。医者は単なる疲労とダメージのせいだろうだって。特に悪いところはないみたいだよ。ま、昨日今日と一気に運動量が増えたからねえ。さすがにピークが来たんじゃないの?」
「え?……あ……あ、あはは…………」
エステルは恥ずかしそうに視線を逸らした。「ヨ、ヨシュアは?」
「何か大事な話があったんだろ? さっき出ていったばかりさ。遊撃士協会に寄ってから帰るって」
「そっか……」
エステルは壁時計を見た。六時を回っている。カーテンの閉め切られた窓の隙間から漏れる光は乏しくなりつつあった。
ヨシュアひとりで行ったんだ……。
「……あ! そういえば、第二戦はどっちが勝ったの?」
「特務隊の顔に自信のない皆さんみたいだね。一度、ヨシュア君が様子を見に行って知らせてくれたよ」
「うげ、あいつらかぁ……」
エステルとヨシュアがこのグランセルに来るまでに、幾度となく対峙した暗躍集団。国を裏で支える役目を担っていながら、何か良くない事を企んでいるらしい連中。戦闘のエキスパート揃いでもあるのは確かだろうが、その戦い方はどこか陰気があった。日の当たらない職務に徹しているといえばそうだろうが、エステルはああいう風に武術を使うのは好きになれない。カプア一家と戦う方がよっぽど面白そうだ。
だけど、あいつら負けたってことは、ボクッ子たちは今ごろまた要塞に連れ戻されてるのかな……。
「明日は決勝戦だし、今日より容赦ない闘いが予想される。今晩はゆっくり休むといいよ。……ま、アッチの方はまた暇が出来た時にでも」
「──ッ!!」
オリビエの言う「アッチ」というのが何を指すのか、エステルはすぐに解ってしまい、とたんに顔を真っ赤にした。
「……そ、そういえば、今夜もって約束してたんだよね…………」
オリビエの演奏で平静に満ちていた心に、急に「あの」感覚が沸き立ち始め、焦ったようにもじもじするエステル。
このホテルで……グランアリーナのトイレで……あんな事を…………したんだよね…………
思い出すだけで動悸が高まり、全身が火照ってくる。
疼く――
これだけ体力を消耗したっていうのに、あんなに恥ずかしいのに……あたし、心のどっかで……ちょっと残念に思ってる……?
ふいに気付く。「あ……オリビエ、ずっと看ててくれてたんだ……ありがとうね」
「フッ、大したことじゃないさ」
オリビエは懐に手を入れ、香水入れのような小瓶を取り出した。
「体調がおもわしくないようだったら、これを飲みたまえ」
「なにこれ……?」
受け取ってしげしげと眺めてみる。厚みのあるガラスの中には、無色透明の水にしか見えない液体が朝露を摘んだ程度入っていた。
「肉体疲労時の栄養補給さ。それを飲んでグッスリ眠れば、エステルぐらいの年の子だったら疲労なんて一晩で吹っ飛ぶよ」
「へえ~。服用時間とかってあるの?」
「うーん……別に食前食後とかないみたいだし、いつでもいいんじゃない?」
蓋をキュポンッと抜くと、鼻が麻痺しそうなツンとした刺激臭が溢れ出し、エステルは思わず顔をしかめて引いた。
「うわ、すごい匂い…!」
「そりゃあ薬液だからね」
「そっかあ……ありがとう、オリビエ。いざとなったら飲ませてもらうわ」
「お大事に。じゃ、ボクは自分の部屋に戻るよ」
オリビエは軽く手を振り、エステルとヨシュアの部屋を後にした。
自分の部屋に戻ったオリビエが少ない荷物をまとめていると、部屋のドアがコンコンコンコンとせわしげにノックされたので、
「はーい、どなたかなー?」
と愛想よく出てみると、ドアの前にいたのは、バスローブに身を包み、赤らめた顔でモジモジと彼を見上げるエステルであった。
「オ、オ、オリビエ~ッ!」
エステルは息を乱し、瞳を潤ませ、抜き差しならない声色でふらふらとオリビエにしがみついてくる。
「エステル……どうしたんだい?」
「さ……さっきの薬……飲んだら……体が……体がカッカッしてきて……仕方ないのぉ……!」
まるで急病を発したようにゼェゼェと上気した息のエステル。何かに堪えきれないように、小刻みに震える背を丸める。
(あ……なるほど……)
と、オリビエはすぐに理解した。
開発されはじめたばかりの十六歳の若い肉体には、効き目が強すぎる代物だったらしい。
目を細める。旅のとっておきの薬だった。今日の彼が異様に元気なのはそのおかげでもある。
そんな強いクスリをエステルのような健康な肉体の持ち主に使えばどうなるのか、予測して然るべきだったが。
(いや……こうなることを望んでいたのかもしれないな……)
オリビエは誰かに見られないようエステルを扉のこちら側へ招いて閉めると、少女のバスローブの紐に指を掛けた。
「あ……」
はだけた下にはシャツとパンツ。ヨシュアが出かけている間に、意識のないエステルを裸にして汗と汚れを拭き、着替えさせたのはオリビエだった。ベッドから抜け出した足でここに来たのだろう。
バスローブを着崩させてするすると床に落とすと、肩と腰に腕を回してピッタリと抱き寄せた。
「あ……♥!?」
抱き締められただけで甘くからだを震わすエステル。うっとりと目を瞑り、安堵したようにオリビエの胸に頬をあてる。
その体は茹だるように熱く、温められた甘やかな体臭がオリビエの鼻腔を心地よくくすぐった。
女の匂い。少女の匂い。少女の匂いの方がまだまだ色濃い。だがそれだけに、背徳感が相まった蠱惑的な痺れを喚起させる芳香であった。
薄いシャツは汗を吸ってしっとりとした湿りを感じさせた。ブラをつけていないので胸の感触がありありと伝わってくる。パンツは履かせたが、ブラはわざとつけなかったのだ。つけなくてもいい張りようでもあるし。
硬くなっている乳首の向こうから張りつめたような心臓の鼓動が感じられる。
「どう?」
と、オリビエが様子を尋ねると、
「うん……いい……ギュッとされると安心する……」
頬をスリスリするエステル。
「……ねえオリビエ……」目の端に雫を溜め、エステルはオリビエを熱っぽく見上げた。「お願い……して……くれないかな…………」
「え。でも、明日に響くよ」
「だ、だって……身体が熱くて……オリビエの薬のせいなんだからね……!」
体内で逆巻く熱気に耐えられないように、エステルの息が不規則に弾む。
「あ……あふぅ……! このままじゃ……耐えられないよ……!」
ついっと人差し指で顎を上げさせると、エステルの瞳には拭いきれない情欲の潤みが埋火のように燻っていた。我慢しきれずに溢れる雫はさしずめ、パチパチと跳ね舞う火の粉か――オリビエは親指でそれをぬぐった。
「わかった…………」
衣服のボタンを外しながら、エステルをベッドへ招いた。
全裸になったオリビエがベッドの中でシャツをめくり上げ、パンツをずり下ろし、まずはペッティングしていくと、それだけで堪えきれないようにエステルはジタバタと、
「ア、ア、ダメ、ダメェェッ……からだが……爆発しそう……♥!」
と、半脱ぎのまま悶え乱れ、甲高い悲鳴を上げる。
「さわられるだけで……イ、イッちゃうぅ……ッ♥!」
「そうか……それじゃ」
オリビエはエステルのからだを俯せにし、その腰を持ち上げた。裏側から指を入れて秘園をなぞり撫でる。
「あ……あ……?」エステルの声が色っぽく変わる。「アンンッ……♥! ア、ア、ア、ア、ア……♥!!」
触れられただけでビク、ビクと震え、ぐにゃりとベッドに突っ伏すエステル。オリビエの指が生み出す快感が手足の小指の爪の先まで痛いぐらいに鋭敏に伝わり、一瞬息が詰まるほど苦しくなるが、すぐに柔らかくとろけるような痺れに薄まってゆき、オリビエの優しい手触りは肌に心地よく残留しながら、熱とともに霧散していくのだった。
「ン……ン……ンン……ンン……♥!」
「フフ、思ったとおりもうグッショリ。外までヌチュヌチュした愛液で濡れてるじゃないか。蒸すぐらい熱くて、なんかもうさんざんイッた後のような感じだね」
「ア……ア……ホン、ホントに、ヘンなの、ヘンなのぉ……! 助けて……!」
「落ち着いてエステル……」
オリビエは背中からエステルを掻き抱き、髪や頬、首の裏などにキスをすると、そのからだをまたひっくり返して向かい合うかたちになり、同じように抱きながら唇以外にキスの雨を降らす。
(ああっ……♥!)
オリビエにのしかかられ、密着されながら色んな所にキスをされると、体内を暴れ回っていた昂奮が出口を見つけたように「かたち」になり、散じていく。
「どう? 強く抱き締められると苦しい?」
エステルはブンブンと激しく首を振り、蕩けたように顔を緩ませ、自分からもオリビエのからだに手足を絡め、ギュッと強く抱き返した。
「もっと……もっと抱いて……♥」
オリビエは頷き、さらにキスを続けた。
口づけ、甘噛み、時には舌でなぞり上げられながら、気持ちよさそうにからだをくねらせ、吐息をつくエステル。口づけられた所から、肌と肌が触れ合う所から、余分な熱が吸い取られていくようであった。しなやかな指も、敏感になった肌を優しく温かくまさぐる。そんなオリビエの情が籠もった愛撫に癒されるように、苦しみが和らいでゆく。体内を埋め尽くそうとしていた灼き焦げるような情動のさらに内側から、殻を破るようにして、心地よい快感が膨れあがってゆき、エステルの苦痛の表情も段々と快楽の安らぎに転じていった。
(ああ、ああ、ああ♥!!)
自分でパンツを全部脱ぎ、秘裂をオリビエの太腿の付け根に押し当て、クリトリスも当たるように腰をくゆらす。気付いたオリビエも脚を押し付けるように動かす。
「ン……ンン……♥」
腰が引きつるような甘い快感の高波。異様な昂奮で血が沸騰しそうになる。
いい。
もう……全身が熱く蕩けそう……!
なんて気持いいの――気持ちよすぎて……あ……あ、あ、あ――――!
「ンくゥんんンンッッ♥♥!!」
ビクン、ビクン!
(落ちる――落ちちゃう――!!)
方向感覚までおかしくなったようで、オリビエのからだに必死にしがみつきながら、からだをビクビクと弾ませ、エステルはイッてしまった。
数秒間、強張ったまま息を詰め、何も考えられず、絶頂以外感じなくなる快楽に包まれて至福の世界を漂う。
(あ――あ――あ――……♥
――イッちゃった――――…………♥)
オルガズムの潮が引き、徐々に意識が戻ってくると、オリビエは彼女のからだを離さずに、しっかり抱いて背中を優しく撫でさすってくれていた。
肌がピリピリして、頭の裏側が痺れるように熱かったが、オリビエに抱かれ、肌が擦れ合っても全然不快じゃなかった。
じんわりと幸せな気持ちが胸に広がっていく。
いつまでもこうしていたいという誘惑に駆られてしまう……。
「あっ……!?」
その気持ちに刺激されたのか、抑制の効かない情動がまた盛り上がり始めた。
お腹が……お腹の奥が熱く疼く。
どうしようもなくオリビエが欲しくて堪らなくなる。
「あ……あ……♥!」
もっと……もっとしたい……オリビエと……
女の欲求に潤み、今まで以上に熱っぽく見つめる瞳を、オリビエは見つめ返した。
さっきから絡み合っている二人の目と唇の距離は、ほんのわずかでしかない。
「エステル……」
オリビエは眼差しで囚(とら)え続けたまま、覆い被さるように唇を近づけていった。
「あ……あ……!?」
だめ――だめ――だめ――
頭の中で繰り返す言葉は、しかし、行動には表れなかった。恍惚とした感覚がからだ中の力を持ち去ってしまったかのように、四肢が痺れて動かせなかった。近づいてくるオリビエの唇に吸い込まれたように目が離れず、ゆるやかな吐息が感じられるほどにまで接近すると――
――エステルは瞼を閉じてしまった。
だめ――なのに――……とめられない…………!
ヨシュア……!
「あ――」
――言葉になるまえに、柔らかく塞がれた。
(――――――――ッッ♥!!)
一気に頭の裏の痺れがからだ中に広がって、オリビエとキスしてることだけしか考えられなくなった。
ンチュ――ンムゥ――チュウ、チュウ――
「ファ……ハムゥ……♥」
オリビエの舌が入ってきて、あたしの口の中を侵すように動き回る。唇の裏や歯茎をなぞり、あたしの舌に絡み、吸い、唾液が流れ込んでくる。あたしの唾液が彼の口の中に吸い込まれてゆく。
息が苦しくなって口を離しても、オリビエはすぐに追ってきて奪ってしまう。
ンムァ――ピチャ、ペチャ――ンハァンム――
「ンプァ……ンンン……ンチュ……♥♥」
スゴイ……キスだけでまたイッてしまいそう……。お腹の奥を突き揺さぶられるぐらい凄いかもしれない。
オリビエの舌があたしの舌をさんざんに弄くる。ぐるぐる動く。大きな音で吸い立てて、口の外でも舌を踊らせ合って、あたしたちの口の周りは唾液でぬるぬるになる。それでもやめようとせず、貪るようにあたしの唇を、舌を、口の中を求めてくる――あたしは嬉しいのか悲しいのかわからない涙が溢れて、夢中でオリビエの真似をすることしかできなかった。
お腹の奥が熱かった。キュンキュンして、震えるほど切ない気持ちで満たされる。
いつの間にかあたしはまた、オリビエの太腿を挟んで腰を揺さぶっていた。
恥ずかしかったけど、オリビエなら許してくれる……そう思って、あたしの腰が止まることはなかった。
頭の中が真っ白に――ホワイトシチューのようにとろけてしまいそうだった。
ギュウギュウと苦しいぐらい抱き締め、抱き締められて。
(ン――――――――――――ッッッ♥♥♥!!!!)
キスしたままで頭の中に白い炎が噴き荒れ、光の世界へ翔(か)けあがるように、あたしは二度目の絶頂を迎えてしまった。
ビク……ビク…………!
今度はそれほど大きな波ではなく、頂点に達してもなんとか意識が少し残るほどだった。あたしがイッている最中も、オリビエはあたしの唇を侵し続けていた。すごく痺れて、すごく気持ちいい………………。
全身の筋肉が痙攣しながら、からだが弛緩していく――
だめ……このまま骨まで溶けていってしまいそう…………
……キモチ……イイ――――
レニョ――と舌を抜き、唾液を垂らしながらオリビエの唇が離れていっても、ベッドにぐったりと伸びたまま動けず、エステルは蕩けきった眼で胸を大きく上下させて、オルガズムの余韻に浸りっぱなしだった。
「ハァー……ハァー……」
「……どう? 少しは落ち着いてきた?」
尋ねられると、エステルは答えずに視線を背け、枕の横に目を落とした。
「………………バカ…………」
「え?」
「…………キス……した…………もう……しないって言ったのに……」
オリビエは横を向いているエステルに顔を寄せ、再びくっつくほどに、頬に息をかけながら喋った。
「……ボクにされるのはイヤかい?」
少し赤みが薄らいできていた頬がまた色濃く鮮やかに染まってゆく。
視線を逸らし続けながら、
「そ、そうじゃなくて、キスって、好きな人同士が……するものでしょ……?」
「そうとは限らないよ」
「えっ……? あっ……!」
オリビエはエステルの顎を捕まえ、ぐいっと自分に向かせた。
その拍子に、色々な感情が煌めく瞳から雫がこぼれ、眼の横を伝って流れた。
涙で腫れはじめている目は、悲しみを現わしながらもわずかに睨み上げ、しかし性愛への希求はいぜん燻り続けていた。
キスは好きな人同士がするもの、か。
エステルはこれまでに、こういう風に男に求愛されたことなどない……のだろう。恋の告白さえ経験がない。男女の愛を知らなければ、愛のない男女が成立するのもまだ知らない。
恋する翼すらまだ満足に生え揃っていない少女。
空に飛び立とうと羽根を広げようとしてた少女を騙し、体だけを先に大人にしてしまったわけだ。
エステルがそれに気付いた時、どんな反応を返すだろうか。
少女の上唇を唇で柔らかくはみながら、オリビエは言った。
「これから好きになる者同士がしてもいい……」
それ、どういう――
エステルの言葉は、また口に出せなかった。
「ん――っ…………!!」
腕を伸ばし、ベッドの端を掴んで身体を逃がそうとしたが、シーツをキュッと掴んで、開き、広げた指を震わせ、わなわなと痙攣し、これから好きになる者同士――オリビエの言葉が頭に木霊し、その情熱的な口づけをはね除けて逃げることが出来なかった。
淫靡に湿った吸音と熱い吐息が絡まる。
「あ……んむ……はぁう……んふ…………」
キスの甘い誘惑から逃れられない――「オ、オリビエ……!」
違う。なんか、違う……よ……
……でも、からだが……熱くて……拒め……ない――!
オリビエはそんなエステルの力が入らない両脚を大きく拡げ、M字に全開して引き寄せた。
「……!!」
エステルは羞じらいを含んだ表情で顔を背けた。汗まみれの火照ったからだ。顔は淫色が浮かび上がるのを抑えられず、物欲しそうにヒクつく秘陰の媚肉から愛液がとめどなく溢れ、後ろの穴の上を通ってシーツにまで広がっている。
して、と言ったのは、確かにあたし……でも、なんか……なんか……!
(『特訓』の成果が、徐々に現れてきたみたいだね……)
心の中で黒く笑うオリビエ。ここまで来たならば後はもう、決して忘れられないほどに……その肉体に刻み込むだけだ。
「エステル、入れるよ……」
エステルはためらないながらも頷くと、オリビエがゆっくりと腰を進めて秘裂に亀頭が埋(うず)まってゆく光景を、肩を震わせてながら、懼れと期待が隠せない目で見つめた。
ズニュゥ――ズニュヂュブゥッ――
「ン……ンンン……ッッ♥♥!!!!」
オリビエが……オリビエが入って……くる……ぅ……!!
身が砕け、溶けていくような快感――!!
ずり、ずり、と、先端がまだ狭い肉孔を掻き分け、硬い陰茎が膣襞を擦り上げていくだけで、からだの中が満たされてゆくような気持ちよさが脳天まで貫いた。
「ハアッ♥! ハアァァッッ……♥!!」
これまでと違って、色々な感情が複雑に混じり合い、湧き上がってくるのは快楽だけではなかった。
しかし、決して悪い気分ではなかった――むしろ――
(オリビエ……オリビエはあたしのことを…………)
どうしようもなく、今、一つになりゆく男に惹かれていってしまう。
抑えきれない感情が膨れあがってゆく。
「エステルの中、すごく熱い……溶けてしまいそうだ…………」
そう言いながら、オリビエはゆっくりと動き始めた。
「ンッ――♥! ンン、ンア……ンンン…………ッ♥!」
体内に巻き起こる快楽のスパーク。これまでのようなただただ気持いい感覚だけではなく、より深いところが掻き回されるような、長く鋭い牙でメチャクチャにされるような刺激――!
オリビエの剛直はあっという間にねちょねちょとした愛液にまみれる。緩やかな腰の動きだったが、容赦なく奥まったところまで侵入し、ぐるぐると小さく円を描くように回し、膣奥を突っつくと、エステルは頭を振り乱し、翻弄されるがままに身をよじり、苦悶にも似た表情で涙を流して喘ぐ。
「ああっ、だめ、だめ、だめぇ……ッ♥!
そんな、奥に……奥にぃぃ…………♥!!」
だが、オリビエは薄くも濃い笑みを顔に張り付けながらエステルの腰を押え、さらに腰を振り立てる。
グッチュ、グッチュ、グッチュ、グッチュ……
「ンンッ、ンンンッ、ンアアッ……!! ンア、ンア、ンアアッ、ンンンッ♥♥!!」
エステルの瞳から、次第に理性の光が失われてゆく。
腕が、脚が、覆い被さる男をどうしようもなく抱き留めてしまう。
身も心も奪われる愛欲の大渦の中へ飲み込まれていくのに、そう時間はかからなかった……
4
ヨシュアがナイアルに会い、そこで得られた情報を報告するため遊撃士協会でさらに話をし、ホテルに着いた頃には九時になろうとしていた。だがこれでも急いだ方だった。表面はいつもの様子を保っていたが、内心エステルの容態が気が気ではなく、無駄な話はほとんどせず手短に済ましてきたのだ。
しかし部屋に戻ってみると、ベッドはもぬけの殻であった。
「あれ……こんな時間にどこへ行ったんだろう。食事……かな?」
今夜から夜間パトロールが強化されたらしく、外には呆れるほどの数の兵士が巡回しており、実質の外出禁止であった。エステルが外に出たならば、遅くならないうちには帰って来るだろう。オリビエたちが飲むと言っていたから、サニーベル・インに行ったのかもしれない。
一瞬、軍部に連れ去られた――などという想像が頭の隅を過ぎったが、それは妄想に近い考えとすぐに切り捨てた。もしそうならば、ホテルに戻ってきた時点で自分も兵士たちに取り囲まれるか、部屋に伏兵でも潜んでいるはずだ。
検問はアルバ教授の助けによって上手く通り抜けることができたし、要塞に侵入したのが自分たちだとバレていないかぎり、情報部が自分やエステルに対して何らかの行動を起こすことはないだろう。結果的に各所で情報部の活動を阻害している形にはなっているものの、もし自分たちの人相を憶えられていたとしても、たかが遊撃士見習い二人と、おそらくは排除の必要があるほどの脅威とまでは判断されてもいないはずだ。まさか、自分らの計画を嗅ぎつけた者たちが武術大会を足がかりに女王に近づこうとしているなどとは、夢にも思わないだろう……。
と、その時、コツ、コツという音が、カーテンで覆われた窓から立った。
「……?」
ヨシュアはさっと振り向き、わずかに緊張を走らせた。
カーテンの向こうに、何かがいる。
人? ……まさか。ここは二階だ。
ヨシュアが油断なく窺っていると、「何か」は、コツ、コツと、再び窓を叩いた。
「……」
ヨシュアはまるで氷上を滑るように音もなく歩き、大きく迂回して窓の横の壁に張り付くと、カーテンの端を掴み、スナップだけでカーテンを開いた。
「あっ……」
黒々とした鷹の目がヨシュアを見つめた。厚い胸の誇らしげな純白の羽毛。
ガラス窓の外にいたのは、巨鳥――シロハヤブサのジークであった。
猛禽の脚に結わえられていた手紙には、『10時に大聖堂へ』とだけ書かれてあった。署名はない。
(クローゼ……? 王都に来たのか……?)
でも、なんで僕たちが泊まっている場所を知っているのだろう。それに、こんな風に連絡を取る必要があるのか。いや……本当にクローゼだろうか。
筆跡は女文字で、端麗で高雅な匂いが香り立ってくるようであった。
しかし誰にしろ、ジークが携えてきたのならば顔見知りの可能性は高い。油断は出来ないが、少なくとも敵ではないだろう。
手紙を丁寧に折り畳んで懐にしまいながら、エステルの空のベッドを見た。
こうなるとエステルがいないのは好都合だった。危ない事は出来るだけやらせたくない。
ただ――
なんだろう、この、胸の隅がもやもやするような、妙な感覚は……?
昨夜、エステルは一人で部屋を出て行ったかと思ったら、かなり遅くなって戻ってきた。今朝、どこに行ってたのかそれとなく尋ねてみたら、「ちょっとプライベートな用事」で出かけていたとだけ返ってきて、何をしていたかまでは分からなかった。エステルがそういう風にはぐらかすのは滅多にないことで、少し気になったが、プライベートな事であれば深い詮索はできない。
午前中は久しぶりに一人の時間を過ごした。旅に出てから彼女と行動を共にしないのは、思い返してもそう多くはなかった。本屋で興味の湧いた書籍を買い、カフェで過ごした。傍らにエステルがいないのはなんとなく落ち着かない気分で、何もない隣の空間をチラチラと気にする自分に我ながら可笑しさを感じてしまった。
そして、闘技場では時間ギリギリまで戻ってこなかったエステル。試合ではいつになく動きが鈍かった。何かあったんだろうか。
今も……エステルはいない。
「……」
ヨシュアはその時、彼が動き出すのを待つように、ジークが大人しく翼を畳んだまま窓枠からじいっと見つめているのに気付いた。
「あ……ごめん」
いつのまにか、エステルのことばかり気にしている自分がいるのに、少しばかり恥ずかしくなった。
自嘲気味な微笑みを浮かべ、目を瞑って二三回ゆっくりと首を振る。
「……よし!」
ぐずぐずせず、さっさと行こう。危険は少なそうだが、エステルが帰ってこないうちに。
そう決めると、ヨシュアは窓辺に立ってジークの脇から顔を出した。落ち着いた空間を演出する整えられた園庭を挟んだ塀の向こうには、街灯によってわずかに浮かび上がって見える公園とエーデル百貨店が見える。ここからでは確認できないが、周りの路には少なくない数の兵士たちが警邏していることだろう。
塀の近くに背の高い樹木が幾つか枝葉を広げていた。その一帯は真っ暗で、あの木々を使えば塀からの出入りは容易い。
一旦ホテルの外に出ることが出来れば、大海に点在する小島のような街灯の明かりなど、あって無きがごとしだ。
(行けそうだな……)
ライトアップされた中庭にはしんと静まりかえり、人影ひとつ見当たらない。ヨシュアが窓を開け広げると、ジークが窓枠を蹴り、翼をばたばたと羽ばたかせて夜空に舞い上がった。煌々と輝く満月の中でさらに羽ばたくと、西南へと方角を変え、すぐにホテルの向こうに見えなくなった。
その後を追うように、ヨシュアは一階分ある高度を平然と飛び降り、音もなく着地した。
闇を縫いながら園庭を横切っている時、ふと――
立ち止まって振り返った。
「……」
どこからか、女の悲鳴のような声を聞いたような気がしたからである。
中庭に面したホテルの壁には、地階から最上階までたくさんの窓が連なっている。灯りが点いている部屋もあれば真っ暗な部屋もあり、人が話す声が漏れている部屋もあったが、ヨシュアが耳を澄ませても悲鳴が聞こえてくるような場所はなかった。
首を傾げる。空耳……かな?
なんとなく、またエステルのことを考えてしまう。本当に何処へ行ったんだろう。体は大丈夫なんだろうか……。
いや――と、また首を振る。
いないってことは出歩けるほどしっかりしているということだ。心配はないだろう。エステルは僕が考えるほど弱くない。つい悪い方へばかり偏りがちな僕を笑い飛ばしてくれるぐらい、元気な姿でいるはずだ。願わくば、僕の帰りが遅いからといって自分まで出歩こうとしないで欲しい。
ここで突っ立っていても仕方がない。
何であれ早々に済ませようと、踵を返して木を登り、誰もいない隙をついて塀を越え、ヨシュアは夜陰に紛れて大聖堂に向かった。
──彼が求める少女は、着地した場所から壁一枚隔てただけの向こうにあったのだ。
降り立ったところですぐ振り返れば、閉めきられてないカーテンの隙間から覗けたことだろう。
その部屋のベッドの上で――心の大部分を占める少女が、他の男によって組み敷かれ、深く繋がり、肉と汁と熱を絡ませながら、彼の想像する少女の姿とは思えないほど淫らに爛れた嬌態を晒しているのを。
5
「アッ♥! アッ♥! アッ♥! ア、ア、アアアアッッ♥!」
四つんばいにされた少女は、白皙の青年に背中から潰されるほどのしかかられながら、感じるところをさんざんに責め立てられ、時折、ひときわ大きいよがり声を上げて喜悦にからだを震わせていた。
つい昨日まで処女の清らかさを保っていた性器は、オスの性臭がタップリ染みこんだ男根でどこもかしこも突き回され、最奥まで貫かれる悦びにねとねとの淫汁を垂れ流しながら、長大な肉棹を根元までズッポリと咥え込んでしまう肉壺に、すっかり変わり果てていた。
「ンッ、ンンッ、ンハァッ、ア、ア、アァッ、ンアアッ♥!」
と、心底蕩けきった声で、股をブルブルと震わせ、満面に喜悦を浮かべている。
「ダメェェ、イッちゃうぅ、イッちゃうぅぅぅ♥!
そこイッちゃうぅぅぅッッ♥♥!!」
「どこだい、どこでイッちゃうんだい?」
オリビエが腰を動かし続けながらそう訊ねると、
「もうドコもっ、ドコも熱くてぇ……ッ! も、もうぅ――イイの、イイのぉッ♥!!」
エステルは堪えられず、ほとばしるように答える。
暗い部屋の底で、想い人のためにという気持ちはもはや跡形もなく、めくるめく快感に酔い痴れながら、淫液を染みこませたベッドのシーツをしわくちゃにして、何も考えられなくなるぐらいの快楽に沈み込み、腰を打ち付けられ、これでもかというぐらい気持ちいいトコロを擦られ、突きまくられて、燃え立つような官能によがり狂い、喘ぎ悶える。
肉欲という、酩酊するばかりの液体で満ちてゆくだけのグラスと化したエステル。
すると、オリビエはパッと体を離し、ベッドの後ろに引いてしまった。
「ア、ア……ア、ア、アアァ……!?」
悲鳴にも似た声を高く上げたエステルは、頭をひねって自分から離れた男を切なげな目で見やった。
涎で濡れる唇で、
「や……やはぁ……お願い……今やめないでぇ……! ね、ね、中に……中に入れてぇ……突っ込んで掻き回してぇ……ッ!」
と、腰を揺らしながら呂律怪しくも懇願する。キスで動揺していた先ほどの姿は微塵も見当たらない。全身が快楽という呼吸にあえぐように震え、どこまでも本気の顔つきだった。
オリビエはニヤニヤしながら、エステルの脇に回った。
「やめるわけないじゃないか。もっともっと欲しくて堪らないんだろう?」
エステルはヘッドボードから手を離して身を降ろし、水のように沈む枕を掻き抱き、
「うん……♥! もっと……もっとして欲しい……♥」
と、妖しい期待に満ちた瞳で、ためらいなど微塵もなく男を見つめ上げ返す。
「フフ……とても女らしいよエステル……なんて上達ぶりなんだ……教える身として、驚かずにはいられないよ……」
斜め上から少女のからだを覆い、愛おしそうに乳房と脇腹を撫で回し、背すじに舌を這わすオリビエ。
「ン……ン……ク……クゥゥン……♥ せ、背中も気持ちいい……♥」
ゾクゾクとからだを震わせ、恍惚に上擦るエステルの鼻声。
オリビエは手をさらに伸ばし、秘陰に指を差し挿れた。
そこはもはやいつ挿れてもすんなり入っていく洪水状態だった。午前中から幾度となく男を突き入れられ、すっかりほぐれきった淫孔は、メス汁とオス汁が混ざり合ってどろどろのびちゃびちゃに濡れ、侵入してきた指へ汁気たっぷりの媚肉をまとわりつかせてくる。
エステルの目もまた、けぶるように蕩けてゆく。
「ア……ンン……♥」
エステルは嬉しそうに尻肉を揺らし、腰を突き上げるように浮かした。オリビエが動かす前に、二本の指は蜜壺の中へと呑み込まれていった。
「ンン……♥」
そして、少女はそのまま腰を振り始める。
ズュッチュ……ズュッチュ……ズュッチュ……ズュッチュ……
「ン……ハ……ゥ……ンンゥ――♥!」
「ハハ……もうすっかり病みつきだね」
「だってぇ……! 気持ちよすぎて……何も考えなくても体が勝手に動いちゃうのぉ……♥」
オリビエのしなやかな指をまるでこの世で一番の好物であるかのように、自ら腰を振って貪るエステルのその姿は、言いようのない浅ましさと純粋な快楽に耽る美しさが相まって、匂い立つような淫靡さを発散していた。
「いいっていいって」微笑みながら首を振るオリビエ。「何も考えなくていい
と言ったのはボクだからね。心が悦ぶままに、体が感じるままに動いて構わないんだ……」
エステルは嬉しそうに頷き、口を半開きにしながら腰を振り続けた。指を付け根まで呑み込み、本当に気持ちよさそうな甘いあえぎ声を発する。
「ア……アン……ア……ア……♥ オリビエのほっそりした長い指が、わたしの膣内(なか)の深くまでえぐり入ってくるよぉ……♥」
キミが尻をぐりぐり振って貪欲に頬ばってるからじゃないか――と、口には出さなかったが、可笑しみで頬が緩んだ。
「フフ……昨日まで何も知らなかった人間とは思えないよ、まったく」
「ア……ン……オリビエが……教えるの……上手だからよ……」
「それは光栄だね……」
オリビエは指を抜かないまま顔を近づけ、エステルの唇を求めた。
「あ……だめ……」
そう言いながらも、求めに応じてしまうエステル。
チュ……ピチュ……
オリビエはエステルのからだを寝転がして仰向けに変え、顔を押し付けながら今度は自分から指を動かしはじめた。
グッチュ、グッチュ、グッチュ――
「あ……んん……んむぅ……♥! あぁ……あむぅ……んぷぁ……」
上下からの痺れるような歓喜に挟み撃たれ、指も唇も夢中で貪るエステル。
「あぁ……♥ いい、いいよぉ……こんなに気持ちいいなんて……もっ
と早く知ってれば……もっと早く女らしくなれたのに……」
「まあ、これは誰でも教えられるわけじゃないよ。そういう意味では、エステルはボクと出会えてラッキーだったかもしれないね」
唇を触れ合わせながら会話する二人。
エステルのヴァギナは相変わらずのキツさだった。二日目にしてもう信じられないほど回数を重ねているとはいえ、まだまだ孔は狭い。それに加え、膣圧がすごいのだ。
オリビエはエステルの腹部に胸を乗せ、秘陰への責め戯に両手を動員した。恥丘を這い舐めながら二本指を出し入れ、もう片方の掌の腹でクリトリスを撫で、指で肉庭をわやわやと漉すように遊泳する。同時にGスポットのある辺りを特に刺激し出す。エステルの反応が微妙に違うところを見つけると、指のピストン運動をやや速め、膣壁のその部分を撫で回すように押し上げはじめる。
「どう、ここは?」
「アアン……なんか、なんかヘンな感じ……スゴク気持いい……
ンン……ンンッ♥!」
「良さそうだね。もうちょっと速くするよ」
ジュプッジュプッジュプッジュプッ
ひっきりなしのいやらしい音とともに、淫液が白く泡立ち溢れる。
「ンン、ンン、ンンンンッ♥! ンアッンアッダメ、ダメ、ダメェッ……!
あ、あ、あ、そ、そこ、お、お、おしっこが……漏れちゃう……ッ♥♥!」
いい。いい。意識がどうにかなりそうなほど、ひたすら気持ちよかった。
エステルの嬌声が乱れ咲き、オリビエの後頭部を掴み、首を振り振り、随喜の涙をこぼしながら、痺れ死んでしまうような淫苦に全身を震わせるが、オリビエは逆に、さらに指の動きを激しくしてゆくのだった。
ジュプッジュプッジュプッジュプッ
まるで尽きることのない泉のように掻き出されてくる愛液が、シーツに大きな染みを作り出す。
「ヤアッ、ヒッヒグッ、お、おしっこ、おしっこ出ちゃう……ッ♥♥!!
ンアッ、ン、ン、ン、ンア、ンアアッ、ンアアアッッ♥!!」
悶えるように脚を屈伸させていたエステルだが、やがてGスポットが膨らみはじめたのを皮切りに、オリビエはエステルの脚を曲げさせ、くるぶしが尻肉について股を大きく広げ、腰がやや浮き上がる格好にさせた。指を痛いぐらいキュウキュウと締め付けるヴァギナ。オリビエは指を軽く曲げ、プックリしたところをさらに擦り上げていった。
ベッドに入ってから、これでもう何回目かのアクメがエステルの内奥から突き上げてくる。
尿意も圧倒する快感が全身に広がり、
(イ"グッ♥! イ"グッ♥!
イ"ッちゃうううう~~~~~ッッッ♥♥!!!!)
ジュプジュプジュプジュプジュプジュプジュプジュプウッ!
「ンゥ、ンゥ、ンンンゥゥゥ~~~ッ♥! ンンッ、ンンゥッ、
ンア、ンアー、ンアアアーーーーーッッッ♥♥♥!!!!」
ビクビク、ビクビクと全身を痙攣しながら、エステルは激しくイッてしまった。
オリビエがネットリと粘ついた白糸を垂らしながら指を引き抜くと、
「アアア…………アアアア……♥…………♥」
絶頂醒めやらぬ惚けたうわ声を上げながら、快楽に蕩けた瞳でビクン、ビクンとからだを震わせ続け、大きく開かれた股の間から、
プシャッ、プシャッ、プシャアーーーッ
勢いよく潮が噴き出し、放射状に飛散していった。
「……アアァ……! おしっこ……おしっこ出ちゃったよぅ…………♥」
「フフ……可愛いよエステル……恥ずかしがることはない。潮吹きは女には珍しくない現象さ」
「そ、そうなんだ……でも、こんなにシーツ汚しちゃった……」
「それじゃ、あっちに移るか」
と、オリビエはエステルをお姫様だっこする。
「……ん……♥」
少女はオリビエの首に腕を絡ませ、幸せそうに肩に頭を預けた。
窓側のベッドに移ると、二人は絡み合うようにイチャイチャしていたが、またオリビエがゆるゆるとエステルのからだを愛撫しはじめ、
「あ……あ……♥」
エステルもうっとりと享受しながら、唇から熱い吐息を漏らしはじめる。
すっかり膨らみ勃った乳首を淡く丹念に舐めながら、
「ね、また入れてもいいかい……?」
と訊くと、エステルはコクンと恥ずかしそうに頷く。
健康的な肉つきの肢体を広げて腿を割り、物欲しそうにヒクつく華の園へ遠慮なしに腰を当てた。
ニュブ、ニュブブブゥ……
「ああっあああ、あ、んん……♥! これ……これェ♥♥」
オリビエの首に腕を回し悦びにからだを震わせて、熱くたぎる肉棒を迎えるエステル。
下腹までくっつけ、クリトリスも擦るように、あまり激しくない抽送でオリビエは動いた。
ズニュッ、ズニュッ、ズニュッ、ズニュッ……
「くふぅん……んふぅ……んんん……♥」
お腹を密着した状態で、秘孔の奥を突かれながらクリトリスも刺激され、エステルは甘く蕩けたような声を出す。膣ヒダもまた肉棒に甘く絡みつき、二人は肉欲を充分に満たされる幸せに浸りながら何度も唇を触れ合わせる。
「ああ…………やっぱり寝床でやるのが一番いいねえ…………しかもこんな上物のベッドでやれるなんて、教える立場を忘れて…………ついついのめり込んじゃいそうさ……」
腰を動かし続け、言葉の合間にねっとりとした口づけをしながら、オリビエはそう言った。
「くぅぅん…………昼間のオリビエは、ひどかったわ…………んん……あん……」
「あれはお仕置きだったってことを忘れてないかい、エステル?」
「それにしても……すごくいじわるだった……」
「ハハ、でもあんなに気持ちよくしてたじゃないか。お仕置きにならなかったんじゃないかな?」
オリビエはエステルの脚をさらにグイッと押し拡げ、長いストロークでやや強めに腰を打ち下ろす動作に変えた。
ジュブッズチュッズチュッズニュブブッ
「くぁんっ♥! んはっ、んあっ、んああっ、んんあはあぁぁッ♥!
あ、あ、こんなぁ……昼間みたいに……ムリヤリやられてるみたいだよぉ……♥!」
「でも、昂奮するだろ……?」
奥を突き掻いたり、入り口をこね回すようにグリグリしたりと、エステルの反応を愉しみながら様々に動きを変えて責め立てるオリビエ。
「く、ん、ん、ん、んあ、んあ、ん、ん、んんん……ッッ♥!!
んあ、んあ、んあああぁ……ッッ♥♥!!!!
あ、あ、だめ、だめ、また、あ、ああ、だ、だめぇぇ――……ッッ♥♥♥!!!!!!」
オリビエの手を握ってせっぱ詰まったような表情で激しく頭を振ると、エステルのからだがビクビクと痙攣し、背がぐーんとしなった。キュウキュウと膣壁が締め付けてきて、ヒダヒダが強く吸い付くようにうねる。
またイッてしまったようだった。
オリビエも少し気を緩めればすぐにイッてしまいそうなほどの、熱くねろねろに潤った蜜壺状態に、射精感をなんとか先延ばしにするべく大きく息を吐いて気を鎮めてゆく。それは同時に深い満足の証でもあった。
オリビエは最初の下腹部をくっつけた正常位に戻って抽送を止めると、エステルを優しく掻き抱いて、薄布に触るように少女の熱いからだを撫でさする。
「またイッちゃった……?」
「――――ハァッ……ハァッ……ハァッ…………」エステルは目端に涙を溜め、
「うん…………♥」と頷いた。
その唇に口づけると、クチュ……と水っぽい音がして唇が開いて濡れた赤い舌が覗き、熱に浮いた目でオリビエを見つめる。誘うような表情であった。
(フッ、もうこんな表情できるようになったのか……女の子ってコワイね……)
オリビエはその期待に応え、エステルの舌をぞんぶんに吸いながら、お預けをくらい熱くたぎっている肉棒を深く挿し込んだまま、絶頂の高原を夢心地で舞う少女のからだに優しい愛撫を加えていった。
しばらくしてまたエステルが落ち着いてくると、にゅぶゅうっと肉棒を抜いてエステルの隣に寝転び、
「さあ、お次はフェラチオの時間だ」
と、天にそそり立つイチモツをピクピクと揺らした。
エステルは起きあがるとむしゃぶりつくように怒張へ取り付き、オリビエの頭の脇で尻をくねらしながら、ねっとりとした唾液で溢れた口唇を開き、奉仕し始めた。
ムチュウ――ピチュ、ピチャ、ピチュ――
「ふぁ……あふぅ……ん……っ♥」
「どうだい、自分の愛液でまみれたチンポの味は?」
「んん……美味しいよ……チンポ美味しい……♥」
エステルはオリビエから教えられた口技を思い出して実践しながら、愛おしそうに擦り、舐めまわしていった。
それにしても、エステルがこれほどの淫色に染まり、快楽を求める姿はどうであろうか。陥穽に貶めるのに成功したとはいえ、性的行為とは全く無縁だったあの元気溢れる闊達な少女が、たった二日間で、ここまで淫乱に変わるとは思ってもみなかった。
しかし、好色な女は嫌いではない。彼自身がかなりスケベな女好きだと自認しているので、濃厚な責めを飽くことなく受け入れてくれる相手は貴重だった。
たった数日でこれほどなら、将来はかなり有望だろう。
ますますエステルを手放したくなくなる。
「エステル、ボクの顔をまたいで腰を落とすんだ」
「え……?」
エステルは少しびっくりしたような顔で振り向いたが、すぐに恥ずかしそうな表情になり、
「は……はい……」
と、おずおずと、しかし期待に溢れた動作でオリビエの頭をまたぎ、その股をオリビエの上に降ろしていった。
愛液で濡れぼそった秘陰に口をつけると、ラブジュースを舐め、すするようにオリビエはクンニしはじめた。
「ふあッ♥! ふぁああッッ♥!」
握りしめた肉棒に頬を押し付け、下肢からの快感に切なげに身を悶えさせるエステル。
「エステルのおまんこもとても美味しいよ……どっちが先にイカせられるか競
争してみるかい?」
「ず、ずるいよぉ……オリビエが勝つに決まってるじゃん……」
「フフ、武術大会での意気込みはどうしたんだい。勝つ気で頑張らないと」
「わかったよぉ……」
と、熱に浮かされたようにフェラを再開するエステル。
亀頭から口の奥いっぱいに入るところまで、頬をすぼめてたっぷりと丁寧にしゃぶり、鈴口、裏筋、カリ首とチロチロ舐めながら肉茎を五本指で包み込んでしごき上げる。陰嚢を揉み、指で鈴口を刺激しつつ、肉茎を横笛に咥えて舐め滑り、甘噛みする。
「んむ……んぁ……んちゅ……♥」
まだたどたどしさが残るが、積極的な口唇奉仕であった。
「ああ……いいよエステル……段々と上手くなってる……」
フェラの動きでゆらゆらと揺れる腰を少し押し上げ、皮を被っているクリトリスに舌をのばし、先っぽでコロコロと転がすように弄ぶと、少女の双臀がビクビクと跳ね、
「ンンンッ♥! ンンンンンッッ♥♥!!」
咥えたままくぐもった嬌声を上げるエステル。喉の震えが亀頭から伝わるのが何とも気持ちよかった。
「手がお留守になっちゃダメだよ。どんどんしごいてドピュドピュ搾り出す勢いでやるんだ」
オリビエは舌をいっぱいに突き出し、肉ビラを拡げて艶かしく濡れる膣口にこじり入れると、ぐにぐにと押し拡げるように舐め回してより深く肉を割り、ピストン運動のように素早く出し入れしはじめた。溢れてくる愛液で、彼の顔はあっという間にずぶ濡れ状態になってしまう。
これにはエステルも堪らず、また口を離して嬌声を上げてしまう。
「ンアア! ンフ、ンファ、ンンーッ♥! ンアアア……ッ♥!」
「フフ、それそれ」
オリビエは少女の腰が跳ねるのを押さえつけ、さらに情熱的に舌を蠢かせていった。
しばらくエステルの熱い吐息とあえぎ声、お互いの性器への愛戯の水音だけが部屋に沈んでいたが、
「ねえ、オリビエ……」
と、エステルは尻を高く持ち上げ、股の間から逆さまにオリビエを見つめた。
蒸されるような熱が籠もった眼差し。
「また……我慢できなくなってきちゃった……。あたしの負けでいいから……
来てぇ……欲しいの……」
そう言うと、自ら肉唇を指で拡げ、オリビエの目の前に広げた尻をおねだりするようにふるふると振るわせた。
「ここに……かい?」
笑みの彫りを深くしたオリビエは、エステルを見つめたまま、少女の手で開かれたメス孔に指を三本も潜り込ませ、きつい狭まりの中でぐねぐねと動かす。
「アアアッ♥! アアッ♥!」枕に頭を埋(うず)め、ビクビクと背中をしならせるエステル。「うッうんッ……! オリビエのおちんちん欲しくて堪らないのォッ……♥!」
「フフ、仕方ないなぁ……」
枕とシーツを重ねて背もたれにしてヘッドボートに寄りかかり、エステルを膝の上に乗せて対面座位になると、その張りのある尻の肉を揉み掴みながら肉棒を挿入し、全身汗まみれのエステルのからだを前後に揺さぶりはじめた。
「あっ……ふっ……あうっ……あっ……あ……♥!」
グチュウ――グチュウ――グチュウ――
エステルはうっとりとオリビエを見つめながら、腰を振るリズムを合わせ、自分の中を気持ちよく往来する肉棒を締め付けて、もう痺れるぐらい蕩けているアソコの感覚に耽溺する。
エステルのからだをグイッと引き寄せ、膨らみの中心で痛いぐらいに張っている乳頭を自分の胸に擦り付け、歓喜にあえぐ口を強く吸うオリビエ。
背中を優しげに撫でさすりながら、その耳元で、こう囁いた。
「好きだよ……」
途端、エステルのからだに何かが奔(はし)ったように、
「ああっ♥!?」
ヴァギナがキュウキュウと強く締まり、腰がビクビクと引きつる。
「あ……あぁ……♥」
へなへなと首にしがみつくエステルの頭を包み込み、耳の裏や耳朶に舌を這わせながら、
「エステル、好きだ、エステル…………」
と、さらに少女のからだを揺さぶり、ぬめり締まる奥を掻き回してゆく。
「だめ……だめ……ハァ……ァ、ア、ア……♥!!」
好きだと囁かれるたびにビクビク、ビクビクとそのからだは甘く震える。言葉では拒絶しながらも、離れる素振りはまったくなかった。目はさらに濃くとろみ、首まで真っ赤になって、深く繋がった下半身の動きはますます粘湿に高まってゆく。
「ハァッ……ハアッ……ア、アァ……♥ だめぇぇ……あ、あたし……あたし
……もう……死んじゃう……死んじゃうぅ……♥♥!!」
「エステル……好きだ……いくよ……中に出すよ……!」
オリビエはエステルの双臀を鷲掴んで根元まで埋まるほど密着させ、ぐねぐねと幾重もの円を描き出した。
グチュン! グチュン! グチュン! グチュン!
「――ッ♥! ――ッ♥!」
エステルのからだが強張り、肉棒が痛いほど締め付けられると同時に、両腕が回されていたオリビエの首もぐいぐいと締め付けられ、
(ち、窒息する……!?)
すると今度は、
「クゥゥゥン――――――ッッッ♥♥!!!!!!」
首から手を離して背中をグーンと仰け反らせ、喉を晒し、豊かな頭髪をまっすぐ垂らしながら恍惚の表情で天井を見上げた。
「エステルッッ!!!!」
同時にオリビエも、煮えたぎった溶岩のような白濁液を、同じぐらい熱く熔けた蜜壺にぶちまけていた。
ビュグッッ! ビュグッッ! ビュググッッ!!!!
ビュルルルルルッッッビュルッビュルッビュルルッッ!!!!
ビュルルルーーーーーーッッッ!!!!!!
「――――――ゥアアアッッ♥!
アアッ、アグ、アグゥゥゥ~~~~~ッッッ♥♥♥!!!!!!」
ビクン! ビクン! と、エステルのからだが何度も跳ね上がり、腹の底から出てくるような押し殺した声が部屋じゅうに響き渡る。
ビュルーーーーーッッ!!!!
ビュルルッビュルルゥッビュルルルッッ!!!!!!
かたちをなさない意識の片隅で、オリビエ自身もおかしく思ってしまうほどの量のザーメン噴射。濃厚な粘液がエステルの膣奥に勢いよく叩きつけられ、肉壁の隅から隅まで汚してゆくのを感じる。エステルのヴァギナも負けず劣らず肉ヒダ一枚一枚がオリビエの肉茎を絞り上げる。すっかりと精液搾取器に化したようにヒダヒダを絡みつかせ、ギュウギュウと締まる肉孔の奥に熱い種汁を飲み込んでゆくのだ。
(フフ、そんなにボクの子種が欲しいのかい――!!)
オリビエはエステルの胸に顔を埋(うず)めながら、少しでも深く繋がろうとグイグイ腰を押し付けた。
「――――ッッ♥♥!!!! ――――ッッ♥♥!!!!」
ビュクッ……ドクッ……ドププッ……!!
結合部から早速にじみ出てくるザーメンが、二人の股間を濡らしながらシーツに垂れ流れてゆく。
昨日からこれで何回目の膣内射精だろうか。今夜中に二ケタ台に届いたら面白いかもしれない。
射精回数を重ねても孕む確率が高くなるわけではないが、もうとっくに受精していてもおかしくない……とは思ってしまう。エステルは何も知らずに騙され、気持ちよさに流されるままに、好きな人以外の男に処女を捧げ、肉がこなれるほど男を迎え入れ、子どもを孕む生殖器に他の男の子種をドプドプと注ぎ込まれているのだ。
十六年間何人にも穢されず清純を守ってきたヴァギナは、たった二日ですっかりオス臭いザーメンで隅々まで真っ白に塗りたくられ、秘腔の奥まで征服された。
欲望の爆発だけで吐き出された精子は、遮るものもなくエステルの子宮の奥まで到達し、卵子と結ばれる場所を悠然と蠢いていることだろう。その卵子は、今、どんな状態であろうか……。
不謹慎この上ないが、そう想像することによって、濃密な劣情がとめどもなく湧き上がってくるのは確かだった。
たとえ子供が出来ても、責任を取れるぐらいの生活力は充分すぎるほど持っている。エステルさえ良ければ本国に連れて帰るのも悪くない……。
そう考えていると、肉棒がエステルの中でムクムクとさらに大きくなり、最後まで勢いよく白濁液を射ち込んでゆく。
ドクン……ドクン……ドクン……!
「ああっ……♥」エステルが声を震わせる。「もっと大きくなって……いっぱい出てるよぅ……♥ おなかの中が熱い……熱くて……とけちゃう……ひとつになったみたい……あぁ……あはぁぁ……♥!」
今度は逆に背を丸め、ウウッと唸るように、また恍惚の顔になった。
「あれ、またイッちゃった? 本当に中出しが好きなんだね……」
「ア……ア…………♥ ……だって……だって……これ……すごく気持ちいいんだもん……♥」
「フフフ……確かに美味しそうに呑み込んでる。エステルも自分で感じるかい? 君の膣内(なか)の肉襞がボクのペニスを奥へ招き入れるように、キュウキュウと搾り上げてるよ。一滴残らず飲み干したいみたいだね」
「ウン……ウン……♥」
エステルは夢遊病者のように何度も頷き、ぐったりとしたまま、自分の中に深く打ち込まれた快楽の楔の感触をいつまでも愉しむように、虚ろな目を動かさなかった。
「そんなに気に入ったかい?」
またもや何度も頷く。嬉しそうに頬を緩ませながら。
「ぜんぶ……ぜんぶ好きぃ……♥」
「ボクも?」
少し間をあけてから、目を伏せたままエステルは小さく頷いた。
6
大聖堂からの帰路、まさかあんな人物と再会するとは考えもしなかったと、ヨシュアは改めて思い返した。
彼を待っていたのは、シスター・エレン、いや――ルーアンで知り合った女性士官、王族親衛隊中隊長のユリア・シュバルツ中尉であった。
彼女がヨシュアとエステルを密かに呼び出した用件とは、奇しくも二人の目的と一致していた。
(女王の力になって欲しい、か……)
ホテルの裏手まで来ると、中庭の木々の真下で立ち止まり、周囲を見やる。パトロールの姿は無かった。
ぐっと腰を落としバネをためてジャンプすると、重厚な石組みの出っ張りに指を引っ掛け、壁を蹴って易々と乗り越え、枝に跳び乗る。
枝は小揺るぎもしなかった。
樹木の闇に完全に隠れたヨシュアは、ベストの裏ポケットに触れ、そこに入れたもう一通の手紙――ユリア中尉から貰った王宮の女官長への紹介状が失われてないことを確かめた。
女王の身の回りの世話をする侍従を取り仕切る人物に渡りが出来たのは心強い限りだ。
特務部隊が何を画策しているのかはまだ判らないが、女王に面会することがかなえば、何らかの進展があるだろう。
出て行った時と同様、中庭に人の気配はなかった。照明も落とされ、月の灯だけが園庭を仄暗く照らし出している。こんな寂しい場所にわざわざ出てくる酔狂な人間はいないだろう。
(エステル、もう戻ってるかな)
月明かりに当たらないよう気を付けながら歩き、ホテルを見上げる。灯りが漏れる窓は少なくなっていた。二階の自分の部屋を見る。
開けっ放しのままの窓。
「あれ、まだ帰ってないのかな……」
部屋の窓の真下まで来ると、左右を見渡す。人の気配――相変わらずなし。石壁の溝に手足を掛けながら登れば、容易く戻れる。
しかし考えてみれば、わざわざ窓から帰る必要はもうないのだ。
ロビーに回って何食わぬ顔で部屋に戻ればいい。
そうして館内に通じるドアに身体を向けた時。
(――アッ……――ァッ……!)
ヨシュアの歩きだそうとした足がはたと止まった。
眉をひそめる。
(まただ……)
顔を横に向ける。目の前の部屋の窓が目につく──泊まっている部屋の真下。
今度ははっきりと、その中から聞こえてきたのだ。
ここからだったのか……。
部屋の灯りは点いていない。カーテンは中途半端に引かれていた。
「……」
ヨシュアはわずかに目を細め、じっと暗い窓を見つめた。
どうしようかと、しばし迷う。
悲鳴……にも聞こえる。中で何かやっているのか。ジークに誘(いざな)われてホテルを出てから一時間は経っていた。その間じゅうずっと?
なんとなく気になるが……だからといってまったく無関係な部屋を覗くのもどうかと思った。
けど、悲鳴というのも尋常じゃない……。
(確認するために少しだけなら、仕方ないか……)
そう心の中で呟きながら、ヨシュアは窓の傍に立った。
閉め切られてない隙間から中を覗く。
ほとんど何も見えない部屋の中のベッドで、わずかに差し込む月の光に白く浮き上がった、ほとんど一つに重なった二つのからだ。
(――!?)
男と女、とわかっただけで、何をやっているのか瞬時に理解してしまう。
さすがのヨシュアの顔にもグラリと動揺が走った。
が、鋼のような自制心が沸き立とうとした血を瞬時に鎮め、本能のざわめきを密封する。覗きはよくないという、常識的なのか、それとも常人からかけ離れているのか、どちらにしろ彼らしいそんな判断を下しながら、ヨシュアの表情は鉄面皮のように平静と変わらぬものに戻った。
そうして窓から離れようと――
「……ッッ!?」
ヨシュアの目が見開かれた。
闇をよく見通してしまう目が早々に薄暗い室内に慣れてしまい、絡み合った二人のはっきりとした顔かたちを認識してしまったのだ。
見えてしまった――彼にとってこの世で一番信じられない光景――
ヨシュアのよく知っている男女。
オリビエ・レンハイム。帝国から来た飄々然とした音楽家。
そして……そして。
エステル。
エステル。
エステル……!?
(エ、エステル……!? こッ――な――な……ッ!?)
嘘だ。
ヨシュアは頭を振り、瞼を裂けんばかりに見開いてもう一度よく見た。
「ア、ア、アアッ! イイ、イイ、イイようぅッ♥!」
だいぶ溺れて変わっているが、この耳に馴染んだ明るさを帯びた声は。
あの、動きに精彩さを感じさせるしなやかな四肢は。
ほどけてはいるが、月の光に輝き浮かぶ、あの特徴的な栗色のロングヘアは。
時折こちらに向いて見えてしまう陶然とした横顔。
悦びに泣き濡れた愛らしい瞳――
嘘だ。
嘘だ。
嘘だ。
嘘だ。
脚がふらつき、もうすぐでよろめき倒れそうなところを、やっとの思いで踏ん張る。
頭の裏からじんわりと、虫の体液のような痺れが広がってゆく。
嫌な汗が出る。
嘘だ。
嘘だ。
嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。
嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!!!!!
だが――
いくら目をこすっても、瞑ってもまた開いても、否定の言葉で意識を磨り潰そうとしても、目の前に広がる現実は変わらなかった。
白い肌の金髪男――そうだ。間違いない。
もう一方も……
「ン、ン、ン、ン、ン♥!!」
まんぐり返しにされ脈打った剛直をえぐり込まれるたびに、快感のさえずりを奏で、豊かなブラウンのロングヘアを枕にまき散らす。
間違いなく――エステル・ブライトだった。
昼間の溌剌とした面影などどこにもない――真裸で男を深くくわえ込んだ、女として変わり果てた姿。
「……………………嘘だ…………………………」
その時、ヨシュアは常時で初めて、痺れて剣を抜け落としてしまったかのように周囲への警戒を失い、完全に無防備な状態に陥ってしまった。
目の前の光景しか映らない。
全身を快楽の朱に染め、オリビエにのしかかられながら、気持ちよさそうな顔であえぎまくっているエステル。
嘘だ――
信じられない――
信じられない――
明るくて、真っ直ぐで、朗らかで元気な女の子で――
陽光のように汚れをしらない存在で――
まだこんな事したことなんかないと思ってたのに――
「あ…………くっ………………」
四肢から、意識から、力が抜けてゆく。
手が――手が震えて――収まらない――
「エステル…………………………!」
今たとえ誰かがすぐ傍に来たとしても、肩でも叩かれなければまったく気付けないだろう。
全身性のショックを受けたように、ぽっかりと虚ろな穴となった目で。
ヨシュアはその場に固まったまま動けなかった。
周囲に気を配ることなどもはやとっくに忘れ、狂おしいほどに身も心も交歓
に没入した二人は、窓の外の様子など少しも気付くことなく、快楽の淵に沈むままにますます燃え上がっていた。
ヨシュアが窓の外からそっと覗き見る中、オリビエはエステルの姿勢をひょいひょいと変えてゆき、様々に体位と緩急を駆使しながら、ハメたり、ハメなかったり、エステルを夢中でよがり狂わせ続けた。
正常位に組み敷いていたかと思えば、寝バックから上半身も愛撫し、からだを絡ませて濃密なキスを交わす。あるときはエステルを四つんばいにさせて突き責め、横臥位で片脚を抱くように腰を振る。いいところで抜いた淫液まみれの肉棒をしゃぶらせ、シックスナインになり、騎乗位で腰を振らせ、まんぐり返しで突き下ろし、膝立ちで壁に手をつかせ上体を同時責めながら後ろからの突き上げ。
オリビエがエステルの股の間から赤黒い怒張を出し入れさせるたびに、グチャグチャパンパンと卑猥な音がたち、透明で粘り気のある愛液が飛び散った。
エステルは顔を真っ赤にしながら、快楽に堕ちた目で随喜の涙を流し、はしたないほどの嬌声を上げ、股を大きく拡げ、あるいはぴっちり閉じ、腰を擦りつけ、オリビエの肉棒を奥深くまで受け入れていた。
さんざんに突きまくられ揺さぶられ、触られ吸われ撫でられしゃぶられ揉まれ擦られしごかれ舐められ、泣き腫らす目をトロンとさせ、からだ中から色々な淫液を溢れさせ、口は痴呆のように開きっぱなし、理性を蕩けさせる快感に涎を垂らしながらひっきりなしに喘ぎ悶える。責め嬲る律動が緩くなっても、それは代わりにオリビエの愛撫がどこかしらに来る証なので、気持ちよさそうに肢体を甘く震わせながらそれを享受するばかりだった。
ヨシュアの頭がクラクラするほどの濃厚な性交渉であった。
こんな――これが、これが男と女の行為なのか。
まるで獣の交わりだ――
発情したメスになったようなエステルを目の当たりにし、本当に信じられない気分だった。
長い情交だった。よく見れば、ほとんどオリビエが主導権を握り、エステルをいいようにリードしている。自分が疲れればエステルに動いてもらい、限界が来る前にまた交代する。エステルはそれに嬉々として悦び従っていた。
オリビエはエステルを責め嬲るのを愉しんでいるようで、何遍もアクメに追いつめ、エステルはその度に悲鳴にも似た嬌声を上げ涙を流しながら達してゆくのだった。昇り詰めるとゆるやかなインターバルを挟み、再び徐々に加熱してゆき、いつの間にかまた激しく貪る交わりになってゆく。
エステルの秘肉も乳房も唇も蹂躙され尽くされ、後ろの穴さえもオリビエの指によってほぐされ、まだ剛直を受け入れられるほど開発されてなくとも、快楽を生み出す一部分となっていた。エステルの目に宿る光りは、絶頂を経るごとに淫辱に沈んでゆき、別の光が強くなってゆく。全身で肉の悦びを表す。涙も涎も鼻水も汗も、アソコから洪水のように垂れ流す体液も、何もかも気にしなくなる。心底気持ちよさそうにオリビエに貫かれ、奥まで招き、唇を吸い、唾を流し込み合い、汗を交わらせ、胸を吸われ、胸板にもたれ、肉棒を美味しそうにしゃぶり、愛撫の快感にからだを妖しくくねらせる。どんな体位にされようが、エステルの昂奮が醒めることはなかった。
エステルは、隅から隅までオリビエのものになっていた。
手足の先から冷たくなっていく。寒い……。ヨシュアはゆっくりと指を閉じ開きする。全身の感覚が、痺れたようにハッキリしない。
喉が渇く。
胸が張り裂けそうだった。
最悪の気分なのに、目と耳だけが鋭敏すぎるほどに働いていた。
やがて、オリビエはエステルのからだを仰向けにし、よく発達した太腿に手を当てて少女の股を押し拡げた。まだ瑞々しい稚(おさな)さが溢れた色花が咲き開く。
内股までしとどに濡れた秘部。いやらしく呼吸している肉の岩戸を指でパックリと開帳すると、ほぐれきった媚肉はその指さえ物欲しそうにヒクついた。二言三言、エステルの耳元で何か囁く。エステルの目元にわずかに理性が戻り、恥ずかしそうな顔で首を振ったが、「今さら恥ずかしがることもないだろう」
と、そのまま首すじから耳まで舌でなぞり上げられながら、指先で乳首をちろちろと弄られると、
「ひゃっ♥!――ふぁ――あ――あ――♥」
と、それだけでイッてしまいそうな嬌声を上げ、涙をこぼしながらふるふるとわなないた。そして、
「あ……あ……その……オリビエの……熱くてドロドロした白いお汁……あたしの奥に……またいっぱい注いで……! あたしの子宮に……オリビエの精液、一滴残らず注ぎ込んで欲しいのぉッ……!」
ヨシュアの時が緩慢に――止まる。
うそだ……
周囲の密度が剥げ落ちてゆき、皮膚の感覚がなくなり、虚無に取り囲まれ、そうして質量のない闇に落ちていくような、ポッカリとした衝撃。
オリビエは満足そうに頷くと、腰を推し進めた。淫液でぬめりきった桃色の肉洞に、はちきれんばかりに反り返った男根がずぶずぶとすんなり入っていく。
これでもう今日何度目かわからない挿入される感触に、心底気持ちよさそうにからだを悶えさせるエステル。
根元までズッポリ入ると、オリビエはエステルの腰を掴んで遠慮なく突き始めた。
今までよりも速い、射精に向かって突き進む激しい律動。
エステルの顔が苦痛にも似た快楽に歪み、ひときわ大きなあえぎ声を迸らせる。脚ががくがくと震え、髪は海に注ぐ川のように広がり、女としての反応が板に付き始めたからだが、溶けるようにマットに伸びてゆく。
オリビエは構うことなくさらに猛然と突き回す。
エステルのやや小振りな胸が激しく揺れる。その双つの頂はオリビエの唾液で濡れぼそる尖塔となっていた。
腰が打ち付けられる高く短い音が屋内に響き渡る。膣内で肉と肉がたっぷりと擦られる、くぐもり湿った音もそれに混じっていた。
オリビエは獣のうなり声のような低い声を上げると、エステルの脚を両脇に抱え上げ、いよいよ腰を振り立てて抜き差しする速度を加熱させ、迸るように叫んだ。
「キミの奥に……出すぞエステルッ!」
オリビエの責め立てにエステルも我慢できないのか、脚をぶるぶると痙攣するように震わせながらオリビエの胴を締め、もう何もかもかなぐり捨てたよう
に、「来て、来てぇッ!」と悦淫に染まりきった声で叫ぶ。
最後、大きくグラインドし、脚から手を離して身体を伸ばし、エステルの秘部全体、引いてはからだ全体を圧し潰すように体重をかけ、エステルを抱き締めて、深々と刺し込んだ。
腰と腰が、これ以上ないほどに密着する。
「────ンアアアアアアアッッッッッ♥♥♥!!!!!!!!」
エステルは背中と脚を突っ張るほどに伸び上がらせ、足の指をギュウウッと締め、喉奥から絶頂に昇り詰めたケダモノのような叫び声を発した。
室内に満ちていた淫気が破裂せんばかりに膨張して、二つのからだが一つになる。
腰を深く押し付けたまま、オリビエの尻がキュッと引き締まって強張り、
ビク、ビク
と、しぼるように痙攣していた。
射精が行われているようだった。
ヨシュアの瞳孔が凝縮する。
かかしのように突っ立ち、目の前の光景を見つめ続ける。
そんな…………中で…………出しているのか………………
エステルの中に、他の男の精液が注ぎ込まれている。エステルの子宮に他の男の子種が蒔かれている。
引き抜かれる気配など微塵もなかった。あんなにいやらしくセックスした結末に、あんなに深く繋がって、一つに溶け合うように、子どもができる器官に子どもができる体液をたっぷりと放出しているのだ。
エステルはとっくに子どもが産める身体になっているだろう。それをわかった上で、中に出されるのを受け入れているのか。いや、この年頃になってセックスや妊娠のことを知らないなんて思えない。オリビエの子を孕むかもしれないのをわかってて悦んでいるとしか受け取れなかった。
(そんな…………エステル………………)
エステルの顔が見えた。
新鮮な空気を求めるように口を大きく広げ、舌を垂らして恥も外聞もなく感極まった悲鳴を絞り出し、顔じゅう色んな体液で濡れながら、底まで潤みきったルビー色の瞳をただただ快感に沈ませ、焦点の合わない視線で中空を見上げていた。
深い深い喜悦に身も心も奪われた恍惚の表情。
「……………………………………………………」
僕は…………
ここで何をしているんだろう……………………
二人の結合は長く長くいつまでも続いた。
やがてオリビエのからだから力が失せ、エステルにぐったりと覆い被さった。オリビエのしなやかな指がエステルの手の位置を探ると、エステルはそれに気づいて握り返した。
両方とも荒い息を吐きながら、絶頂後の余韻に心地よく打ち震えているようだった。
しばらくして、繋がったままのアソコから、白く濁った体液がねろねろと溢れ出てきた。
それでもなお、二人は上気したからだを重ね合わせ、しばらくすると互いのからだに腕を回し、気持ちを確かめ合うようなキスを交わしはじめた――
7
「……………………」
ショックは徐々に収まっていった──が、その代わりに来たのは重い気怠さであった。
ヨシュアは窓の下にくずおれると、壁にもたれかかってがっくりと力無く俯いた。
エステルとオリビエがまさかこんな関係になっていただなんて、つゆぞ知らなかった。
オリビエと出会ったのは、この旅を始めてからなのである。
しかも、彼とはボーズで別れ、再び会ったのはつい数日前である。
まさか、前に会った時からもうすでに……。
でも、エステルにはそんな気配少しもなかった……はずだ。
オリビエを気にしていた素振りがあっただろうか。
むしろ、帝国から来た放浪楽人の冗談ばかりで調子の良い言動に呆れていた気がする。
彼と一緒に過ごした日数だって、トータルで一月にも満たない。
それでも、彼を選んだのか。
どうして? なんで? どうやって?
僕に知られないように……隠していたのだろうか……?
エステルは……僕の知らないエステルがいたのか……?
確かに、誰と彼とと恋仲になったなんてことは、進んで誰かに喋るものでもないだろう。
でも……ショックだ………………。
「ハハ……僕は今までいったい……何を見てきたんだろうな………………」
エステルのことは、プライベートな部分を除いてかなり把握していると我ながら思っていた。その性格や趣味、食べ物の好き嫌いから料理のレパートリー、何気ない仕草の意味や細かな癖まで、出会った時からこれまでの間に、かなり精細なエステル像を作り上げていた筈だ。
僕にとって、それがエステルのすべてだった。
あんなに表裏のない子はいないと思っていた。
太陽のように眩しく、彼女のそばにいるだけで暖められ、癒された。
僕みたいな暗い男に、エステルはいつも輝くような笑顔と元気をくれた。
――まったく知らないエステルがここにいた。
お笑いぐさだ。僕はエステルの何をわかっていたつもりだったんだろうか。僕はエステルの何だと自惚れていたのだろうか。
なんにもわかっちゃいなかった。
僕は馬鹿だ。どうしようもない馬鹿だ。
すぐそばにいる女の子一人のことだってまるでわからない、愚かで滑稽な男だったんだ。
「エステル………………」
ヨシュアは夜空を見上げた。月夜の晩に瞬く星は少ない。
月の光が眩しすぎて、ぼやけて、僕の星の在り処はどこにも見つからなかった。
重い腰を上げてもう一度室内を覗いてみると、ベッドに二人の姿はなかった。
奥の浴室から光が漏れ、シャワーの音が聞こえていた。時折話し声が混じる。
(一緒に……入ってるのか…………)
ヨシュアは拳を固めて震わした。嫉妬の炎が燃え上がる。
滑稽なのは自分自身痛いほどよくわかっている。でも……抑えきれない――
エステル…………。
その時、気づいた。
覗いている窓の錠が外れている。
一瞬逡巡したが、ヨシュアは目の前の窓をそっと開き、音もなく部屋の中に入り窓を元に戻した。
何故こんなことをするのか、自分でもわからなかった。
止めた方がいい。自分が酷く情けないじゃないか。
しかし、そんな意思とは裏腹に、足が動いてしまう。エステルの声に吸い寄せられていくように……止まらなかった。
真っ暗な部屋の中、服が散らばる間を抜けて歩き、奥の壁へ近づいていく。ちらとベッドに目を落とすと、二つともかなり乱れているのに半ば呆れた。どれほどやっているんだ……。
自分が泊まっている部屋と同じ構造ならば、前のこの壁の向こう側が浴室だ。脇のドアへの通路の途中にカーテンの仕切りがあり、導力ランプの灯りが漏れるとともに、実際、声や音はそこから聞こえていた。
ヨシュアは気配を殺し、カーテンのすぐそばに立った。中から出てくる水気を孕んだ生暖かい空気が頬や首すじにまとわりつく。
勢いのあるシャワーの音に混じって、やはり二人の声が聞こえた。
「や……自分で洗えるって…………」
「フフ、いいからいいから」
「あ……ちょっと……そこ……だめ……やぁ、こんなところで……!」
エステルの甘く震える声。
ヨシュアは喉が鳴る音を必死に押し殺した。
(風呂場で……やってるのか……!?)
カーテンの端のよれた箇所に出来ていた隙間から中を覗くと、浴槽に入ってシャワーにあたりながらくっつき合っている二人の裸体があった。ちょうど斜め後ろ横からよく確認できるアングルであった。
オリビエがエステルの背中にくっつき、石けんで泡だった垢すりでエステルの体を洗っている。シャワーはオリビエの後頭部から背中にかけて洗い流していた。
愛しそうだが、さもいやらしい手つきだった。もう片方の手は乳房を揉みながら乳首をつまみ、形の良い尻に腰を押し付けているので、まさかここでもハメているのか――と思ったが、勃起した肉棒をエステルの股間に通しているだけのようであった。オリビエの脚の方が長いため、肉棒は股の間の肉に埋(うず)まっているようなかたちだった。その肉茎はエステルの体内から漏れてくる白い体液に塗られ、時折あたるシャワーのお湯がそれを洗い流していた。
エステルは上腕の裏を壁につきながら目を瞑り、まるでオリビエと壁の間に挟み取られて痴漢されているのを堪えているような構図であった。
ヨシュアは息を呑んだ。暗い部屋の中ではっきり見えなかったエステルの肢体が、ランプの灯りに照らされて、淫靡な陰影を作ってまざまざと目に焼き付いてくる。脇から覗き見える乳房や、怒張を挟み込んでいる尻などの揺れ具合が何ともいやらしかった。たるみなどまったくない張りのあるからだにおろした長い髪の毛がまとわりつき、朱に染まってくねる様など、気がどうにかなってしまいそうなぐらい卑猥な光景だった。
エステルの裸は、エルモ村の温泉でも見たことがある。湯煙などでよくは見えなかったが、でも、今のような印象は受けなかった……。
(女の体って、あんなに柔らかな曲線を描くんだ――)
と、ヨシュアはハッとし、わずかな間でも注意力を失って目を奪われていた自分に我ながら腹が立った。
エステルが拒んでいるのは口だけのようであった。オリビエの愛撫を交えた手の動きに堪えられないといった風に上擦った声を漏らし、
「あ……あ……♥! だ、だめ……すごくイッた後だから、まだ……からだが……♥!」
「フフ、じゃあもっと優しくやってあげるよ」
「あっ……あッ……♥!」
オリビエはエステルの首すじにキスし、舌を這わせ、腰をゆっくりと動かしていやらしく素股をしはじめ、空いた方の手でエステルのあちこちを飛び回りながら愛撫する。身体を洗う方がついでのようにしか見えなかった。
わざとらしく弄ぶように、乳肉を揉みしだきながら胸の先端を垢すりで軽く擦り回すと、
「ああ、あ、あ、だめ……だめ、そこ……! 感じちゃう……♥!
オリビエ……オリビエェ……!」
と、すべすべとした喉を見せながらあえぎ悶える。
張りつめたように勃起し、肉の悦びに赤く充血する乳頭は、さらにもう片側も同じように責められ、
「ハゥンン……♥! ンン、ンン、ンンンクゥ……ッ♥!」
エステルの頬を喜悦の涙が伝い、そのからだがピクピクと熱く甘やかに反応して、股に挟んだものをギュッと締める。
「また感じてきちゃった?」
「あ……あ……あ、当たり、前……じゃない……! い、意地悪……ぅ……ン……ンッ♥!」
「ハハ、ゴメンゴメン。でも、本当は泡踊りやって欲しかったんだよね。まだ早いと思うから諦めたけど」
「あ、泡踊りってなに……?」
ヨシュアも知らなかったが、きっとひどくいやらしい事に違いない。
「ん、まあ慣れてきたらそのうち教えてあげるよ。焦らない焦らない♪」
そうして愛撫を続けながら、エステルの体をあらかた洗い終わると、
「最後は……ココかな」
と、背中越しに、下に亀頭がニョキッと生えているエステルのアソコにソッと触れた。
「も、もういいよぉ……ソコは自分で洗うから……」
「フフ、遠慮しないで」
両手で花弁を包み込むように親指で肉ビラを左右に割って孔を拡げると、中に溜まっていた粘質な精子がデロデロと団塊状に溢れ出て、肉棒の先端を白く塗りたくった。
その格好のまま、後ろに下がって浴槽の縁に腰を下ろし、膝の上に脚を水平に開かせたエステルを乗せ、秘部にシャワーが当たるように角度を調整すると、
「さ、エステル、ボクの指と交代して。自分で拡げてるんだ」
「う、うん……」
恥ずかさに頬を染めながらも、オリビエと入れ替わり、柔らかくほぐれた肉唇を自ら拡げるエステル。視線は熱っぽく、秘腔と肉棒を交互に泳いでいた。
「イイ子だ……フフフ、中からどんどんとボクが注ぎ込んだザーメンが溢れてくるね……こんなにタップリとチンポ汁飲み込んじゃって……フフフフ……。
さあ、もっと拡げて……孔の中のヒダが見えるぐらい拡げるんだ……」
「い、いやぁ……」
口では厭がりながらも、エステルはオリビエの言うとおりに手を動かしてしまう。
ヨシュアの位置からはまったく見ることは出来なかったが、シワが伸びきるまで開げられ、美事なピンクサーモンの庭園が肉唇の裏側の粘膜まで丸見え状態になってゆく。守られるように秘されていた雌しべの入り口が、あられもなく覆いを取り外され、その姿を剥き出しにされる。主とともに羞じらいに震える秘洞は、だが、肉の宴を過ごした証をその孔の奥から尽きることなく垂れ流しているのであった。
ぽっかりと大きな口を開けた空洞にシャワーが当たり、オリビエが少し腰を前に浮かせて下に向けると、お湯と混じって薄まった粘液が浴槽の底に流れ落ちていった。
せっかくエステルの体内に中出しした精液をこうして外に放出してしまうのは少し勿体ない気もしたが、
(なに、また注げばいいのさ……)
と、オリビエのご満悦さは少しも損なわれなかった。
入り口の周りが綺麗になると、奥の方に溜まっている白濁液を掻き出すため、膣内へさらに指を沈みこませ、膣壁の上部分を擦るように往来した。
オリビエの指がぬちゃぬちゃと抜いたり差されたりし、淫水が股間から滴り落ちるたびに、エステルのからだが切なげに幾度もピクピクと反応し、背すじをしならせ、小刻みに弾む。
「は……あっ……あっ……あんんっ……あひっ……んんぅん……♥」
「ん? お汁を掻き出してるだけなのに、随分と気持ちよさそうだね」
「だ、だって……こんな……んんっ♥! んあっんあ……♥
な、膣内(なか)でそんなにグリグリしないでぇ……♥!」
「そんなこと言っても、こうしないと綺麗にならないじゃないか」
オリビエが掻き回すように指を動かすと、
「ヒゥゥゥンッッ♥♥!!!!」
ビクッビクンッ!
エステルの仰け反りが増し、全身が発作を起こしたように淫悦に震える。
「ああぁ……だ……だめぇ……いひゃぁ……♥」
「フフ……」
エステルの反応に気をよくして弄(もてあそ)ぶのを止め、オリビエは足元に転がっている石けんを取るために体を横に倒そうとすると、
「ね、ねえ……」
と、エステルはオリビエの熱く勃った肉棒を両手で包み込んだ。
「ん?」
「オリビエ……な、なんかまた……我慢できなくなってきちゃった…………」
ねだるような甘えた声で亀頭を撫で、秘肉に擦りつけ、腰を左右にゆらゆらさせる。
オリビエはそんなエステルの様子をニヤニヤと眺め下ろした。
「なんだい、イヤじゃなかったのかな? あれだけやったのにまだして欲しいのかい?」
「だ……だって……」顔を赤くしながらも、エステルは言う。「もう……回数なんて関係ないでしょ……も、もっと女らしくなりたいし……オリビエだって……やりたいんでしょ? 楽しそうじゃない……こんな風になっちゃったの、オリビエのせいなんだからね……」
「フフ……ずいぶんと素直になってきたね」
「いけないの……?」不安そうに問うエステル。
「いや、全然。それじゃ、自分で入れてごらん」
「うん……」
エステルは素直に頷き、開脚の角度を狭めて腰を持ち上げ、肉茎を握り割れ目に誘導すると、
「ん……」
と、熱い吐息を漏らしながら腰を落としていった。
ちゅぷり──
「ンンンン……ッ♥!!」
さんざんに突き回されてほぐれた孔は、ヌプヌプ……と美味しそうに肉棒を呑み込んでゆき、エステルは気持ちよさそうに表情を蕩けさせ、喉を鳴らす。
「入って……くる……入ってくるよぅ……♥!」
熱くぬるまった秘園は、ふたたび侵してきた剛直を歓迎するかのように肉壁をうねらせる──半分も挿れないうちに、再び肉棒を迎え入れた気持ちよさのあまり脚から力が抜け、後ろへ倒れ込むようにオリビエという椅子に腰を降ろしてしまった。
ヌ"ブブゥッッ!
「ヒゥゥンンッッ♥♥!!??」
予期せず子宮に轟いた激しい淫撃に、浴室内に鋭く反射する甲高い嬌声を上げるエステル。
「ア──ア──♥」
涙をこぼし、惚けたあえぎ声を出す。
痛み──は生まれてこなかった。痺れるような甘い疼きだけが、腹の奥からズクズクと全身に広がってゆく。無数の肉ヒダが歓喜に打ち震え、根元まで埋まった肉棹をジットリと絞るように締め上げる。
「イ──イィィ──……♥」
早くも意識がどうにかなりそうだった。
(こんな……こんなのってぇ……♥)
後座位で繋がった二人は、シャワーに打たれながら満足げな吐息をついた。
「フゥ……あんなにさんざん突き回したっていうのに、エステルの孔はまだまだキツいね……でも、いっぱいヌルヌルヒダヒダしてるし、もういい感じにほぐれてきたよ。何度やっても飽きそうにないな……」
「よ……喜んでいいのかしら……?」戸惑いを目端に浮かべるエステル。
「モチロンさ。どんどん女らしくなってるってことなんだから。じゃーまあ、それじゃご要望通り、ボクの大事なお姫様を悦ばせて差し上げますか……」
と、オリビエは腰を揺すり始めた。
あまり激しくは動かさず、主に円運動で腰を回しながらエステルの反応を見つめ、乳房とクリトリスにも手を伸ばし、やわやわと撫でなぞるように揉み上げ、触れ弄ぶ。豊かなロングヘアを掻き分け、首の裏や背すじに舌を這わせるのも忘れない。
「あ……あ……あ……あ……♥!」
エステルは幸せそうな吐息をつきながら、からだを弛緩させ、オリビエの羽交い締めに悦んで捕えられ、なされるがままに身を任せた。
そうしてまた、二人は深く結合し、絡み合いながら、身体を清める場所に淫湿な空気を醸し出しはじめる。
ヨシュアは奥歯を噛みしめながら、その光景を見続けた。
グチュ……グチュ……
「あぁ……あふぅぅ……♥」
キュウキュウ締め付けてくる狭い肉壺をオリビエの肉棹が拡げるようにぐるぐると回る。初めは小さな円だったが、そのうちにいつしか、エステルがひき臼のようにぐりんぐりんと腰を大きく回し出していた。
「これ、これ……ヘンになるぅぅ……♥ ハアァァ……イイよぅ……♥」
体のあちこちを叩くシャワーがだんだんと気にならなくなる。
さらに上下運動も合わせ、オス肉を味わい尽くさんばかりに貪欲に腰を振るエステル。オリビエはそんな淫乱化した少女の乳房や腰を撫で回す手を支えにもし、エステルが倒れずに大きく動き、いよいよ乱れていくのを助ける。
グチュ、グチュ、グチュ、グチュ
「んあ、んあ、んあああ……♥!」
ヨシュアの位置からでもよく耳を澄ませば、肉と肉が粘っこい音を出しているのが聞こえそうだった。
「さ、エステル姫……どこをどうして欲しいのか言ってごらん……?」
「あ、あ、あぁ……♥ も、もっと……ち、乳首も弄くってぇ……あぁッ♥!」
オリビエの手が薄い乳肉を軽く絞るように揉み、勃起した乳頭を抓んでしこる。
「はっ、あっ、はっ、はっ、はぁ、はぁ、はぁぁぁ……♥!」
「どうだい? こうやっておまんこ責められながら、キミがボクのチンポを擦り上げるように乳首を弄くられるのは?」
そう言って、乳首のしごきをさらに強めると、
ビク、ビク!
と、エステルの腰が跳ねる。
「んあ、あ、ああぁ……♥ いや……だめぇ……おかしくなっちゃう……♥」
エステルの目から急速に理性が失われてゆく。さっきまで何度もイッたからだが再び快楽に堕ちてゆくのは早かった。
「また……気が……おかしく……あぁ……あはあぁぁ……♥!」
「フフ……膣内(なか)の動きも一段と活発になってきたよ。もっと奥までえぐり込もうか? 乳首ももっと強くしごいてあげようか?」
「うん……♥ うん……♥ アアッ、アアアッッ♥♥!!」
オリビエが腰を押し込んで前後左右に揺さぶり、深いところを揺さぶる律動の中、あくまで柔らかく乳首を絞るようにしごき始めると、エステルは身も世もない嬌声を上げ、全身をガクガクと震わせた。
「アアッ……アアッ……♥! いいッ、いい、いいよう……ッ♥!」
「どうだい、奥までえぐられながら乳首絞られる感じは? ベッド以外でやるのもなかなかオツでしょ」
「うん……♥ うん……♥ い……い……いい……いぃよぉ……♥!」
顔を真っ赤に紅潮させ、涎を垂らしながら何度も頷くエステル。
「あぁ……ああぁ……♥ お腹の奥と頭の裏がすごくジンジンして……もう……全身がおまんこになったみたいぃ……♥」
「へえ……そいつはいいね……。で、全身おまんこ娘になったエステル姫は、もっとどうされたいかな?」
「も、もう好きにしてぇ……♥」
「そうか……ようし、じゃあ、まずはこのまま昇り詰めるんだ。おまんこになった全身に熱い精液をビュクビュクかけてあげるよ」
「うん、そうする、そうするぅぅ……♥!」
オリビエは本格的に腰を振り立て始めた。乳首をしごき続けるのも忘れない。
「あ、あ、あ、あ、あ♥!!」
エステルはもう堪えられないといった風に、目の前にあるシャワーの鉄管に取りすがって支えにした。いたぶられているようによがり泣き、からだをくねらせ、まるで辛苦の懲罰を受けている罪人のような風情だったが、オリビエの動きに合わせて腰を振るのは忘れなかった。
またもすっかり正体をなくし始めたその姿をニヤニヤと眺めながら、オリビエはエステルの敏感なところをさらに貪り続けてゆく。
グチュ、グチュ、グチュ……!
「フウゥ……エステルのおまんこ、ひどく熱くて気持ちいいよ……こんなにボクのチンポを全部美味しそうに咥え込んで……」
「あ、あたしも……だめ……だめ……ま、また……おかしくなっちゃう……ッッ♥♥!!」
エステルは導管を掴んだままビクビクとからだを湾曲させ、シミターのように張りつめて痙攣する。「う、う、ううゥ~~~ッッ♥!!!!」
痛いほど締め上げられ、オリビエの動きが緩やかになった。
「あれ? もうイッちゃった?」
オリビエが尋ねると、エステルは荒い息をつきながら徐々に弛緩してゆき、オリビエの脚の間を滑り落ちて浴槽の中にズルズルとくずおれながら――肉棒もその拍子に抜け――コクコクとうなだれ頷いた。
「そっか……」そろそろエステルも体力の限界かもしれない。だけど、こっちはまだもうちょっとやりたいんだよね……と、オリビエはギンギンの状態でお預けをくらった愚息を見下ろす。
「じゃあ、今度は口でしてもらおうかな」
エステルをこちらに向かせ、その眼前に天高くそそり立った愛息を見せつけた。
ウットリと潤み輝く瞳で、自分の体液で濡れぼそった赤黒い肉棹を見つめると、エステルは何の躊躇もなく口の中に含み、愛おしげに舐めしゃぶり始めた。
ムチュ……ペチャ……ペチュ……チュバァ……
エステルのすぼめた頬の内側からいやらしく卑猥な音が立つ。含みきれない根元の方は指を使ってしごき、もう片方の手で陰嚢を揉む。
「ウン……フェラチオもだいぶ上手くなってきた……気持ちいいよエステル……」
エステルはオリビエを見上げ嬉しそうに目を細め、さらに情熱的にしゃぶり出した。
「おお、おお……! そう、その調子……! 今のエステルの口はおまんこだ……口まんこだよ……口まんこにチンポがズポズポ出入りしてるんだ……」
「ンン……♥! ンン……♥!」
エステルの反応が変わった。恥ずかしそうに眉がひそめられたが、明らかに昂奮したように口唇の動きがよりなめらかになった。醜悪な肉塊をためらいもなく喉奥まで呑み込み、美味しそうにしゃぶる。
ムチュ、ムチュ、ヌチュウ……
「そう……もっと強く吸って、下のおまんこのようにねっとり絡みつくように吸うんだ。さっき搾り取れなかった分、カラッポにするほどいっぱい吸って……うああ、いい……いいよエステル……エステルの口まんこたまらない……!」
オリビエの言うとおりに頬をすぼめ、激しいバキュームフェラをするエステル。オリビエはたまらず、浴槽の縁を強く掴み、肩を大きく上下させながら深い吐息を何度もつく。
この、おまんことはまた違う弾力に満ち溢れた口腔粘膜の気持ちよさったら!
「うああ、いいよエステル……最高だ……すごくいい……たまらないよ……も、もう……ウアアッ!!」
エステルの媚肉に嬲られてもう少しでイクところだった肉棒は、遠慮のない愛戯の前にあっという間に高みへ到達し、オリビエの腰がビクビクと震えた。
ビュルルッッビュルビュルッッ
ビューッビュッーッ
ビュクッビュクッビュクッ
シャワーのうるささにも関わらず、精液が迸る音がヨシュアの耳まで届いた気がした。
今度はエステルの口の中に、夥しいほどのザーメンがこれでもかというぐらい発射されているのだ。
上も、下も。
どちらも真っ白になるぐらいに。
男根にむしゃぶりつき、しっかりと咥え、精液を美味しそうに飲み下すエステル。
んぐ……んぐ……
大量の体液噴射にエステルは苦しそうな顔になったが、その周りからだらだらと白濁粘液を溢れ返らせても、決して口を離さずに嚥下し続けた。
「おぉう……そうだよエステル……」腰を震わせながらウットリしたように言うオリビエ。「口まんこにザーメン受け止めるんだ……ぜんぶ呑み込むんだ……うあ……うあぁ……!」
「んふ……! んふぅぅん……!」
エステルはオリビエの股間から離れず、ビクビクと脈打つ肉茎を包んだ手のひらから精液が通っていく感触を受けつつ、ずっと吸い付いたままだった。
ビュクン、ビュクン、ビュクン
(スゴイ……こんなに暴れてる……)
口腔いっぱいに広がるザーメンペーストの食感や味わいにエクスタシーを感じてしまい、脳内にまで充満しそうな精液のむせかえる臭さもまったく気にならなかった。
射精が終わった後も、濃厚な精子を胃に落とすためにしばらく咥え込んだまま喉を鳴らしていたが、やがて唇を離し、最後のひと含みを、頬をもごもごと動かして、
「ん……んぐ……んぐぅ……!」
と、やっとのことで口を開くことができた。
顔面を精液まみれにしながら、惚けたように満足げな吐息をつくエステル。
何かを成し遂げたような喜びに輝いた瞳でオリビエを見上げ、
「んぷぁ……ぜ、ぜんぶ飲んだよ……」
と、真っ白な口で嬉しそうにそう言った。
オリビエは優しげに目を細め、少女の頭を撫でた。
「偉いぞ、エステル。よく頑張ったね。最後の仕上げだ。ボクのペニスを綺麗にしてくれないか。尿道に残ってるザーメンも吸い取るんだ」
「はぁい……♥」
エステルは再び肉棒にしゃぶりつき、少し柔らかくなった淫液まみれのペニスを丹念に舐めはじめた。
肉茎をシコシコと擦り上げられながら尿道口を吸われると、射精後の脱力感に包まれていた身体に最後の肉悦が心地よく浸透した。
8
エステルが部屋を出て行った後、ルームサービスでワインを頼み、火照った体を冷やすために何もつけず、シーツのしわを直したベッドに寝そべりながらくつろいでいると、ふいに冷気を感じた。
「ん?」
いつのまにか窓の一つが開いていた。夜半に起きた強い風に、鍵を掛け忘れた窓がひとりでに開いたのだろうか。
が、オリビエの目が止ったのはそこではなかった。
窓の傍に立つ影。暗闇に棲まう瞳。
月光がほのかに煌めく抜き身の剣──羽ばたく寸前の双翼のように揺らめいている。
漆黒の少年。
意外と早かったなと、オリビエの口端がわずかに、引きつるように歪んだ。
「いつからそこにいたんだい?」
だが、ヨシュアは答えなかった。闇からにじみ出るような声で、真綿で首を絞めるような低さで、緩慢に言葉を紡いだ。
「……教えてください……エステルとは……いつからこんな関係になっていたんですか…………」
「……そうかい。見られちゃったんなら、仕方ないな」
依然、剣の切っ先は力なく垂れたまま、ゆらゆらとしていた。わずかに腰を落としてのやや前傾。完全な戦闘態勢――それはいつでも殺到することができる――そのワンアクション手前であった。
だが、オリビエはベッドに寝そべったまま身体を横にしてヨシュアに向き、くつろいだ姿勢を崩さなかった。
「意外や意外、つい昨夜からさ。あんなに乱れるエステル君を見たら、昨日の今日なんて信じられないかもしれないけどね。本当のことだよ。彼女は上達も早いし、随分とのめり込んだみたいだね。ボクの教え方も上手いのかな、ハハハ」
「……」
ヨシュアの殺気は膨らみ続けている。それに反比例して表情は欠けてゆく。人形の顔でももっと温かみがあるだろう。無防備に身を横たえているだけで、今にも両断されそうな寒々しい想像が容易に働いた。おそらく、今のヨシュアならば、眉根一つ動かさずにオリビエをなます斬りにするに違いない。いや、したくて堪らないのではないか。
喉を潤したくなってきた。サイドテーブルのワインに手を伸ばしたいが、できなかった。
それでもオリビエは悠然としていた。狼狽える理由はない。
「……もう一つ……これは……合意の関係……ですか……? 彼女は……望んで……あなたと関係を……?」
オリビエはポリポリと髪を掻いた。背中に鳥肌が立っているのは寒さのせいではなかったが、エステルとの交歓後の心地よい微睡みがまだ体内にたゆたっていた。
「もちろん。いつ頃から見てたか知らないけど……分かるだろう? エステルは何ら拒んじゃいない。実に楽しい一時だったさ。お互い合意の上での行為だ」
一瞬、殺気が部屋中に膨満し飛びかかってくる衝動を感じたが、ヨシュアは何とか理性を保ち、あとわずかのところで踏ん張ったようだった。
「……………………。
…………責任……もちろん取りますよね……?」
「責任? ああ……子どもが出来たらってことだね。無論さ。これでも本国に帰れば生活は安定してるつもりだし、このままこの国に留まってこの腕で稼いでもいいし」
さきほどから狂った乱気流のように室内に渦巻くヨシュアの殺気で、オリビエは何回殺されているだろうか。ふと数えてみたいという悪戯心に駆られる。
「ところで、さっきからボクへの質問責めばかりだけど……こっちからも少しいいかな」
「…………」
ヨシュアは視線だけで惨殺しそうな目つきで黙ったままだったが、それが返事だった。
「えーと、それじゃあ。ヨシュア君、キミはなんでここにいるのかな?」
「……ここに……いる……?」
オリビエの言葉を呑み込めないように、その声音に戸惑いが混じった。
「ボクとエステルの関係に、ずいぶんカッカッきてるみたいだけど……エステルは、キミの恋人か何かかい?」
「……ッ!!」
オリビエの目の前に現れて初めて、ヨシュアはその表情に動揺を見せた。
「ボクが聞いたところによれば、キミとエステルは血は繋がってないとはいえ、家族であり兄弟だという話だけど……違うのかい? 恋人でもなければ、現場に血相変えて乗り込んでくるなんてことはないだろうし」
「……それは……」
「それとも、愛する家族が信用のおけない男に誑かされているとでも……? それはちょっとショックかな。そんなに信用なかったとは。これでも身元は明らかだし、ちゃんと責任は取るよ。何なら、空の女神(エイドス)に誓ってもいい」
ヨシュアの殺気が急速に萎えてゆく。
「……僕は…………ただ…………」
「ただ、なんだい?」
「…………あなたの真意を……確かめたかっただけです。なんでエステルを……抱いたのか……。あなたの普段の態度からは、エステルを好きだという印象は受けなかった……。
……エステルは……僕の大事な…………かけがえのない家族だから…………」
「かけがえのない、か……」
「返答次第によっては……本気で斬るつもりでした……」
そう言いながら、のろのろとした手つきで剣を鞘に収めるヨシュア。手の中が空っぽになっても、去らせ難い剣の重みをどこに持って行けばいいのかという、所在なげな軽さが腕に漂っていた。
孤影――
今のこの少年を言い表すに相応しい、ただ一つの言葉。
この少年の孤独を纏う姿は、あまりにも美しすぎる。
カーテンを開いて窓の前に立ったヨシュアは月明かりにぽつねんと浮かんだ。オリビエはそう思わざるをえなかった。
言おうかどうか迷った。それを告げてしまえば、ヨシュアの怒りに消せさざる火種を付けるかもしれない。今度こそ容赦なく斬られるかもしれない。
しかしやはり、言うことにした。言わなければ後々、もっと酷いことになるだろうし、今の彼には必要でさえあるだろう。
オリビエは体を起こし、ベッドに片膝を立てた。
「ヨシュア君……エステル君がなんでボクに抱かれたか分かるかい?」
ヨシュアは背を向け、おぼつかなげな所作で窓に足を掛けようとしていた。
もう問答する気力もないような、肩が落ちた後ろ姿。
「…………わかりませんよ、そんなこと……」
「キミに抱かれたかったからさ」
「………………」
ヨシュアの動きが止まった。薙ぐように振り返った双眸が蒼光に煌めきオリビエを射抜いた。
「……それこそ、理解不能ですが…………」
「キミが好きなんだ、エステル君は。彼女も彼女なりに悩んでたんだよ。だけど、エステル君はキミに家族として大事だと言われたらしいね。今のキミの台詞にあったように。だから、どうしたらキミと男女の仲になれるか、ボクに相談してきたんだ。でも、恋のレクチャーをゆっくりしてる暇はなかったからね。手っ取り早く女らしくなる方法を教授したのッさッ!!」
オリビエはとっさにベッドから飛び退いた。オリビエの頭頂と心臓があった箇所にヨシュアの体重があらん限り乗せられた双刀が垂直に突き落ち、ベッドを深々と貫いた。埋まった剣の柄頭を支軸にしてベッド上を息を呑む宙返りで美しい弧を描きながら向こう側に移るヨシュアの眼前に広がったのは、オリビエが避けた時に掴んだシーツ。
床に足が着く前に引き抜かれた双刀が交差し闇に牙が閃くような横薙、着くや否やの逆胴で合計四閃、一刀にしか見えない迅(はや)さでシーツをバラバラに切り裂き散らし視界が拓けると、額から拳何個分もない距離にオリビエの銃口があった。
微塵の狼狽もみせずに動きを止め、眉間を狙い定めている銃口の暗い孔を、より深い暗さを湛える瞳で見つめるヨシュア。
「…………」
「ふう、死ぬかと思ったよ。って――」
オリビエの喉元にまで、黒髪の少年の刃先は到達していた。信じられないスピードと拍子の取り方だった。
(なんて気配の殺し方だ――)
オリビエの肌がゾワッと粟立つ。
殺気を微塵も揺るがすことなく、この少年は人の喉を切り裂こうとしている――!
シーツを斬られた時点で手にした銃の照準を定めていたつもりだったが、タイミングがそれよりも遅れていれば、照準を決めている間にかっ切られていただろう。今も、オリビエの気の緩みを狙って一瞬の間断もなく、殺気で圧倒しようとしながら機を窺っている。
これほど凝り固まった殺意の塊は、今まで見たことがなかった。
これがヨシュア・ブライト――か?
(年不相応すぎるねえ……)
気負いは全く見られない。怒りで飛びかかってきたはずなのに、その衝動すらも支配する、純水のように磨かれた殺意。
オリビエの命が軋みを上げる。死神の顎(あぎと)の冷たさが喉に触れている。濡羽色の闇が冥府の底で蠢く死の崖っぷちに立っている。
命が、暖かい。
気を抜けば白いのど元から鮮血のシャワーが噴き出すだろう。
陶酔しそうなほどの死の恐怖が、オリビエの脳裏に歓喜を帯びて彩り華咲いた。
これは、芸術かもしれない――。
それほどの殺気と身のこなしだった。
そしてようやく、シーツの破片と剣が抜かれた際に飛び散った羽毛が、間の抜けた速度で二人の周りを落ちてゆく。
「……あなたは最低の人間だ。万死に値する男だ」
「キミにそこまで憎まれるなんて光栄だねえ」
「死んでください」
「なんで?」
「言わなくてもわかるでしょう。あなたは人として許せない存在だ」
「そうかい? ボクはこれでも我ながらナイスガイだと自負してるつもりだが」
「エステルを……あなたは慰み者にしたっ…………!!」
「キミだったらよかったのかい?」
「……僕を好きだと言ったのならば……なんで……エステルを抱いた……!? なんで……あんな……! こんなに心底人を憎めるなんて……いまだかつてない……!」
憎い、と言ったヨシュアの指が震えた。
「それはね、ボクも彼女が好きになったからさ」口を動かすたびに、のど仏が刃の切っ先に触れる。だが、オリビエは喋り続けた。「さっきも言っただろ、責任は取るって。男女の関係なんてこんなものさ。誰と誰がくっつくか……そんなものは誰が決め付けるものでもない。行動した者こそが得られる栄誉の宝冠だ。キミの言葉は女々しい泣き言にしか聞こえない。それどころか、キミは彼女とそういう距離にはなりたくなかったんだろう? 家族のままでいたかったんだろう? キミは彼女を兄弟としか思ってないって、ボクは彼女の口から聞いたんだ。なんでそんなに怒るんだい」
「あなたはエステルを騙した……騙して彼女を抱いたんでしょう! 騙しといて……エステルが……エステルがあんまりにも可哀想だっ!」
「青いね、少年。恋愛模様は十人十色。騙し騙されなんてのはこの世の常さ」
「ふざけるなッ!」
ヨシュアは踏み込み、オリビエの喉を裂こうとした。が、激昂と動揺が動作を大きくさせてしまった。オリビエは上半身をわずかに捻って薄皮一枚でそれを避け、トリガーを引いた。
バン、ギィンという大きな音響とオーブメントの発光現象。
一瞬、室内に闇と光の狂騒劇が浮き彫られる。射った先はヨシュアの躯ではなく、もう少しでオリビエの脇腹をえぐろうとしていたもう片方の剣だった。腹が横になっていたため、まともに剣身に命中した。
「ぐうっ……!」
銃撃のパワーをいなすことはさすがに出来ず、剣を弾き飛ばされないようヨシュアの身体のバランスが傾き崩れた。第二射。首の皮を裂いた剣に当たり、
「うわっ!」
ヨシュアは剣を離す寸前でその方向に身体を捻って回転し、体勢を大きく崩しながらも横薙いだが既にオリビエは一歩退いていたため空を斬り、そのまま回転しながら腰を落としてバネの力に換え、後方に跳んだ。宙に咲く複雑な錐揉み。なんと二つのベッドを一気に跳び越し、転げることなく窓の側に見事に着地した。そのままガクッと膝をつき剣を落としたが、すぐさま持ち直しベッド越しに頭だけ出てるのを双刀交差で盾として、細く作った合間からオリビエを睨み貫く。
曲芸のようなヨシュアの動きにオリビエは感心してしまった。銃弾の衝撃を至近で受けてなお剣を離さず、一矢報いようとさえし、あっという間に距離を取るとは――
正規の遊撃士に匹敵する実力があるとは確信していたが、さきほどの殺気といい、これほどまでに練達した戦士だったのだろうか。
油断なく銃口を向け続けた。
「惜しかったね。動揺しなければ殺せてた」
「くう……!」
「でもね、聞いて欲しい。そんなにボクを殺したいほどエステルが大事だったら、なんでもっと前に彼女にその気持ちを告げなかったんだい。チャンスはいくらでもあったはずだ。キミはエステルとの関係に甘え、状況を何も変えようとしなかった。時は流れるんだ。彼女も多くの男性と巡り会う。彼女を射止めるチャンスがあるのはキミだけじゃない。キミはチャンスをみすみす見逃し、ボクはそれをものにした。許せないのは、本当にボクだけかい?
改めて言っておくよ。ボクはエステルを好きになった。彼女を家族として大事ならば、邪魔をせずに指をくわえて見ていたまえ。エステルが誰を選ぶかは彼女のみぞ知る、だが、彼女がボクを求めるならば、決して拒まないよ」
「卑怯だ……あなたは……卑怯だ……絶対に許せない……!」
徐々に痺れが広がる肩から下を叱咤しながら、ヨシュアは低く吠えるようにオリビエを睨み付けた。
「卑怯なのはキミさ、ヨシュア君」
「僕が……卑怯だって……!?」
「一人の男として好きだという気持ちを打ち明けず、家族という絆をそのままにしておくことで、いままでのようにエステルの中で心地よい位置を占められていられると……そうとでも考えてたのかい。それともただ、キミとエステルの関係は幸福なままに、常世の春のようにいつまでも続くと思ってたのかい」
「……ッ!」
まだ十六歳の少年がまさかそこまで考えてはいないだろうとは思ったが、オリビエは構わずに言葉を続けた。
「恋人というと聞こえはいいが、結局は赤の他人同士の繋がりだからね。心がすれ違い、醒め、時には傷つけ合う……。そして離れてしまえば、繋ぎ止めるものは何もなくなる……。恋とは儚いものだよ。ひょっとして、キミはそれが怖くて一歩踏み出せないのかな? その点、家族という繋がりはいつまでも暖かいものだ。エステル君はかけがえのない家族の一員として、キミにいつまでも暖かい笑顔を向けていてくれるだろうからね」
ヨシュアはオリビエの目を見返してはいられず、俯いてしまった。剣が震えているのは、腕が痺れているだけだろうか。
あるいは、オリビエの言ったことを考えた事があるのかもしれない――この聡すぎる少年は。
「でも、恋愛ってのは理で考えるものじゃない。心で決めるものだよ。キミが本当に彼女のことを好きなら、その思いの丈を、ありのままに彼女にぶつけるといいじゃないか。君たちの場合、家族という関係は本当の縛めにはならないんだから。傍を離れない口実にするよりは、遙かにマシじゃないかい」
ヨシュアの肩がビクリと震える。
「彼女はそんなにヤワじゃない。そもそも、その年頃の恋愛なんてものは、少しはこましゃくれてはいるだろうけど、要は想いのぶつけ合いなんじゃないかな?」
「……そんな……あなたは……エステルが好きだと言ったじゃないですか……!? あんな……関係にまでなってるのに……なんで、なんでそんな事が言えるんですか……!? あなたにとって、エステルはその程度の存在なんですか……!?」
ヨシュアの口調に剣呑さが蘇ってきた。
「んー……恋愛観の違いかな。至純の相愛……あらゆる困難をものともしない二人だけの世界……なんて酔い痴れそうな詩的情緒に満ち溢れた純粋な観念だろうね。ボクもそういうロマンティックかつドラマティックな想いは嫌いじゃないよ。どちらかといえば好きなほうさ。だって、恋愛は美しい幻想だから。だからこそ、欲望に満ちた肉体の繋がりが必要なんだけどね。
再度言うが、選ぶのは彼女だ。彼女の心が他に向いているのならば、こちらに向くようアプローチするだけだが、それをどういう風にやるかはボクの自由さ」
「欺瞞だ……! だったらなぜ……!」
ヨシュアは憤然と立ち上がると、真半身に双刀を構え直した。
「責任が生まれるような事をするんだ……!?」
「それは――」
堂々巡りになりかけている展開に心中ため息をつきながら言いかけた時、
コン、コン
と、おそるおそるといった感じで入り口のドアがノックされた。
「あ、あのー……お、お客様……どうされましたでしょうか……?」
銃声を聞きつけたホテルの従業員らしく、オリビエは銃を下ろさないまま、頭を振って「行け」と促した。
ヨシュアはほんのわずか逡巡したが、オリビエを睨みつけたまま、窓枠に手を掛けた。
「ヨシュア君」
オリビエは窓を乗り越える少年の背中に言った。
「明日の決勝戦も頑張ろう」
ヨシュアの肩が怒ったように盛り上がった。
「僕は……あなたを許しません……絶対に……!」
「だったら、男として彼女を奪い返してみたまえ。刃傷沙汰なんていう最悪な方法以外で、ね。そうでないと困るのは彼女だ。キミの男もすたる。こちとらまだ二日目なんだ、笑っちゃうほど簡単だと思うけどねえ」
それには何も言い返さず、暗がりへてんてんと転がった疵玉が乱反射するような一瞥を去り際にくれると、黒髪の少年は月夜の闇に消えた。
フッと笑みを浮かべて銃を下ろすオリビエ。
「ウフフフフ」自然と笑いがこみあげてくる。「わっかいねえ~。ゾクゾクしてきちゃうよ。願わくばもう少し剣の腕前が劣っていてくれれば助かるのだけど……」
無惨な有り様のベッドを見、後ろを向く。廊下に人の気配が多くなってきていた。
「これから……色々と大変になりそうだねえ」
(終わり)