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さくら、さくら。空に舞い散るのは…… ◆UcWYhusQhw


「……畜生……いてえな、おい……まだなんかよ……」

ボクは智代と別れた後、祭具殿の奥を進んでいた。桜を散らすために。
それは思ったより長い道で下りの階段が延々と続いている、先は未だ見えない。
でもここで諦めるなんてできるもんか。皆の為にも。
皆、脱出為に頑張っているんだ、ボクがここで止まってどうするよ。

「なんだ!?……今の音……智代達……頑張れよ」

ボクが進んでいる途中凄まじい音が響いた。
きっと智代達の戦いが激しくなっているんだろう。
智代達はきっとあのロボットみたいな奴と戦っているんだ。それこそ必死に
急がなくちゃ。
あいつらが必死に戦ってるのにボクがのんびりしていられる訳がないんだ。
足が痛い? そんな辛さあいつらに比べればまだまださ。

「急がなきゃ……純一……見てろよ」

そしてボクはポケットからボタンを出す。
その輝きは以前にまして強くなっている。まるで進む事に強くなっているような。
まさか純一からもらったボタンがこんな事になるとは思わなかった。
そして純一から聞いて夢で見たあの枯れない桜。まさかここにあるなんて。
正直こんなファンタジーみたいな事が起きるとは思わなかったよ。
でも桜にボタンを持っていくのはボクしか考えられなかった。
だってこのボタンは純一から貰ったんだ。他の仲間には渡したくは無い。
そして純一はボクだからこそ託したんだろう、この役目を。
自惚れではなくてそう思う。

「なら……ボクがやんなきゃな……」

思えばこの島で色々あった、悲しい事も、苦しい事も。
レオ達と会わないまま一生会えなくなった。
土見、そして放送で知ったつぐみ達の仲間の死。
そして純一との別れ。

でも決して悲しみばかりじゃなかった。
それはやっぱ純一との出逢い。
純一がいて一緒にいて楽しかった。
こんな殺し合いの中でも幸せを感じた。
そして好きになった。
何処に惚れたのか未だにわかんねー。あんなヘタレに。
でも純一のことを思うとこころが暖かい。
それが好きなった証拠なのかも。

だからこそボクがやらないと。
それが僕に残された命の使い道。
諦めちゃ、歩みを止めちゃいけねーんだ。
なあ、これがボクがとるべき道なんだろ?
純一?
だからさ、見てろよ。
ボクの思いを。
最後の頑張りを、さ。


「はっ……はっ……見え……た!……後もう少しで……」
どれくらいほど階段を下りたんだろう。
兎も角凄い長かった気がする。
そしてやっと見えた。出口が。
もう少し先に明かりが漏れている。
やっとやっと辿り着いた。
さあ行こう。もうちょっとなんだ。
「……あれ?……足が……うごかねー?……もうちょっと……なんだよ……しっかりしろ……ボク」
遂に怪我した足が動かなくなってきた。何か痺れる
だけどここで諦める事なんかできないんだ。
だから
「もう……ちょっと……頑張れ……ボク」
足を引きずりつつもしっかり進む。

一歩。また一歩。
少しずつも確実に。
短くても確実に。
皆の為に。
自分の為に。
進んでいた。

そして
「つ……い……たぞ」
ついに辿りついた、光の先に。
そして光が明ける先に見えたのは


「なんだ……これ……すごい……綺麗」


なんとも幻想的な風景なんだろう。
この世の景色とは思えないぐらい。

まずは見えるのは綺麗な湖、いや池か。
とても澄んで底が見える。
濁りなんか全く無い。
きらきら輝いているようだった、

そしてその中央には小さな島が浮かんでいる。
その島を覆うのは色とりどりな無数の花。
そう無数に咲き誇ってる、地面は全く見えない。
種類も様々で見たことないのもある。

そしてその花畑の中央に位置するもの。
それはボクの目的。
やらなければいけない事。

「……あれが……桜……」

そうそれは夢で見た桜。
夢と変わらない大きくそして儚く咲いてる。
だが夢と違うのは少しずつ散り始めているという事。
一つ、また一つと散っていく。
でもそれで枯れる事はないんだ。
完全に散らせるにはこのボタンが必要なんだ。
ボタンはさらに光を強め眩しい位だ。

いつまで見入って訳には行かない。
決着をつけなきゃ、ボクの手で。

「行くしかないだろ……っ水が……しみる……つめてーな……オイ」

気合を入れて池に入るもその冷たさ、そして傷口に水がしみて尻込みしてしまった。
その水は非常に冷たく少し足をつけただけでも、もう凍えそうなぐらい。
幸いにも深さは僕の腰ぐらいまでそこまで深くはない。
島までに長さは20メートルあるかないか。
それでも冷たい水は僕の体力を奪っていくのには十分なくらいだった。
少しずつ進むにつれ残り少ない体力すら無くなっていく。

「畜生……なんで……っ……あきら……める訳……いかねーんだよ!」

でも諦めない。
どんなに体力を失ってもこんな所で力尽きる訳にはいかねー。
ただボクにあるのは執念。
それのみがボクを突き動かしている。

「ボク……が……やるんだ……純一……ボクが」

傷口から流れる血が水面を染めるのを見つつ少しづつ水を掻き分け進み続ける。
どんなに痛くても。
どんなに辛くても。
ただ進む。

なぜだろう?
純一が背を押してる感じがする。
応援してくれるような。
頑張らなくちゃ。

一掻き、一掻きと進む。
ただ、黙々と。

そして

「…………はぁ……今畜生……付いたぜ……オラ……」

辿り着く、その花が咲き誇る島へ。
また時間が掛かったかもしれない。
でも遂についたんだ。
あともうちょい、もうちょいなんだ。
休む暇なんかない。
ボクは立ち上がろうとするも
「……おろ?……遂に……立てなくなっちまったか……」
力が全く入らない。
体力を使い果たしたのか?
もう動けないのか?

違う!

「なら……這ってでも……辿り着くんだ……こんにゃろ」

ボクは諦めない。そう誓った。
だから這ってでも進む。
桜までの距離は30メートルぐらい。
進めない距離じゃないんだ。
純一なら絶対諦めない。
最後まで抗ってみせる。


傷口からは血が止め処なくながれ、綺麗な花を紅く染める。
ボクが通った花は全て深紅に染まる。
まるでボクが生きていた証の様に。

「なんで……こんな時……いろんな事思い出すんだよ……まだ……走馬灯には早いぜい……」

少しずつ進むにつれて今まであった事が頭をよぎる。
この島に来る以前にレオ達と過ごした事。
もう二度と戻らない楽しい日々。

純一とつぐみに出会い騒いだ事。
この島であった仲間との楽しい喧騒。

純一との触れ合い。
最愛の人との一つ一つが大切な触れ合い。

他にも楽しい事、悲しい事全部含めて沢山思い出す。
その全てがボクにとってとても大切なんだ。
一生なくしたくはない。

その思い出がボクを進ませる。
楽しみも痛みも悲しみも全ての力にして。

這って、這って、ただ這って。
もうボクに残ってるのは大切な思いなんだ。
その全てが力をくれる。
ボクはそれだけを考え進む。


ただ進む

「ぐぅ……お……い……這う……ぐらい……できろよ」
だけどまたしても止まる。
体が限界らしい。
のこり5メートルも無いのに。
駄目だ、体が言う事を聞かないんだ。

諦めたくない。
だから必死に足掻く。
なのにどうしても動かない。

「動け!……動け!……動いてくれよお!」

諦めたくないんだ。
なあ動けよ。
このまま何もせずに死ぬ訳にはいかないんだよお。
頼むよ。
頼むからさ。


その時、ボクは池の向こうからありえないものを見た。
そう、こんなことあってはいけない。
だって、人が水の上に立ってるのだから。
いくら幻想的なものを見てきたってこれはねーよ。

その人はそのまま水の上を歩いてこっちに歩いてくる。
水面には波紋が広がるだけで決して沈んだりしない。
一歩ずつしっかりと歩いて来る。


そして島に降り立った。
ボクはさらにありえないものを見た。
羽が生えてる、あの人。

おいおい天使かよ……冗談じゃねーって。
まだお迎えは早すぎるって。
まだなにもしてないんだよ。
諦められないんだよ。

その人をそのままこっちに歩くのを続ける。
その人が地面に足を触れるたび花が一気に咲いた。
だが地面に足が離れるとその花は一気に枯れた。
完璧、人間じゃない。
まるで神。
神そのままだった。
なんかアニメで見たことあるような気がする。

その天使みたいなのはボクにちかづき
「ほう、ここまで来たか」
ボクにそう重々しくいった。
ボクはそんな男にただ戸惑って
「なんだよ……お前は」
「我が名はディー。汝に問おう」
ディーはそう応えボクに射抜くような視線を向け

「汝は何故そこまで抗う? 己が命を犠牲にしてまで。その行為にどんな意味、価値があると言うのだ?」

意味、価値だって?
そんなのボクにだってわかりやしない。
ただ理由があるのなら
「……ただ……ボクがしたいだけさ。それだけ」
「……わからんな……そんなの為に死ぬのか。汝が無理をしなくても桜を枯らす者が来るというのに」
「違うね……ボクがやらないと駄目なんだ……そう……ボクが……どんなに止める奴が来ても……お前、ボクを止めるのか」
「我が汝を止めても他の者が来る……歯車はもう狂っているのだから、我はそれを見届けるだけだ」
「なら……黙ってみてろ」
「ふん……せっかく皆から生かされたというのに、それでは純一なる者の無駄死にだな」

なん……だと
ふざけるな!
何も知らないお前が、純一を語るな!
ボクは瞬時に激昂した。
痛みなんて気にならない。それよりも純一を馬鹿にしたこいつが赦せない!

「黙れ……お前に純一の何がわかるんだよ! 何も分からないお前が純一を馬鹿にすんじゃねーよ!! 純一の事を言うんじゃねー!!」
「汝こそそうではないのか。彼は生きろと言った筈だ」

確かに純一はそういった『生きろ』と。
でも純一は今のボクを見て馬鹿にするか?
違う、あいつはそんなんじゃない。
純一ならきっと応援する。
だってあいつは頑張ろうとする奴の頑張りを馬鹿になんか絶対しない。
そういう奴だから、だから
「違う、純一は絶対に応援する、今のボクを! 誰よりも解るからあいつの事。だから今、ボクがやるんだ!」
そうだよな! 純一!
ボクはボタンを取り出す。ボタンはもう眩しい位に光ってる。

飛び出せ! ボク!
体の限界なら超えろ!
体で動かないなら心で動け!

大丈夫。皆応援してる。
土永さんも、乙女さんも、よっぴーも、姫も。
つぐみも、土見も、ハクオロも、美凪も。
フカヒレ、スバル、レオも皆見てくれてる。
そして純一。絶対見てくれてるよな。

だからボクは
「頑張んなきゃいけないんだよーーーーーー!!!!!!!」

そして体が動く。心が動かす。
本当は動けないはずなのに。
一歩一歩を力強く。
もう直ぐ!
ボタンを翳し吼える。

「これが! ボクの頑張りだあああああ!!!!!!!!!」

その瞬間桜の木から光が発し始め
「これは……」
ディーが何かを呟いた瞬間、ボクの視界は光に覆われた






――さくら、さくら。
  空に舞い散るのは悲しみ?
  それとも……






ボクやったのか? 桜を枯らす事できたのか?
第一ここ何処よ? 目の前には桜が広がってるけど。
ああ、ボク、死んじゃったのか。
じゃなきゃこんな光景ある訳ない。
だって今、目の前に純一がいるんだから。それに金髪の少女もいる。
「蟹沢……よく頑張ったな」
「……本当に純一なのか? それにここは」
そして純一は笑顔で穏やかに話し始めた。
間違いない。あの時の純一のままだ。でもどこか存在が儚い。

「ここは……なんて言えばいいかな? まあ桜が見せてる夢って考えればいいよ。俺は純一だけど純一じゃない」
「はあ!? どういう意味よ」
「お前に渡したボタン。そこに植えつけられた残留思念つーか残留意志みたいなものだな。……ずっと応援してた」
「なんだかよくわかんねーけど純一なんだろ? どうしてボタンなんかに?」

そうボクの当然質問に答えたのは純一ではなく金髪の少女だった。
「それは私が答えるよ」
「ばあちゃん」
はあ!? 今なんていった? この少女が純一のばあちゃんなのか?
若すぎる……むしろ幼女。
そのばあちゃんらしき少女はすました顔で
「別に年取った姿で出なくてもいいだろ……ここは夢なんだから……まあそれはおいといてきぬと言ったね、よくやってくれた。ありがとう」
「そこまで事はやってないぞ」
「いいや……私をこの呪縛から解き放ってくれた、本来何にも無いあなたが。
 本当は純一に任せるべきなんだけど……死が確実なった時私は遺された力で純一の意志とほんの少しの魔力をボタンにつけた。
 そして貴方に託した……純一が大切にした貴方に……本当にありがとう」
そうばあさんは言い切り深くお辞儀をした。
ボクはなんだか恥ずかしくなり手をぶんぶんふって気になったことを聞いた。
「べ、別にたいした事じゃないって……それになんで純一のばあさんがここに?」
「それは……私が桜の木そのもの……残留思念だからさ」

え? どういうこと?
じゃ、じゃあこのばあさんが殺し合いの元のなのか?
そんな……どうして! なんで!
そのせいで純一が! 皆が! 僕はただ行き場のない怒りであふれて
「どうして……なんで? こんな悲しいのに協力したんだよ! そのせいで純一が……アンタの孫なんだろ!」
涙が溢れて止まらない。
違う。
これは怒りよりも悲しみ。
やりきれない。どうして? なんでということばが頭の中でグルグル繰り返される。
ばあさんは悲しそうにそうとても悲しそうに話し始めた。
「すまないね……赦してほしいとは思わない……だけど聞いて欲しい私の罪を」
「罪?」
「そう、決して赦されない罪……私は願ってしまった。もっと生きて桜の木じゃなく生きた魔法使いとして人に役に立ちたい。夢を叶える手助けしたい、と。
 でもそれは叶わない願いのはずだった。もう私は残された意志しかないのだから。
 でも突然声が聞こえた。『その願いをかなえたいか?』と。そして欲した、その手を。嬉しかったさ。もう一度出来るんだって。
 そして私はここに連れてこられた、そしてただ終わるまで力を縛っておくだけでいわれた。そうしたさ。
 でもその後愕然としたさ。自分の孫がいた。それだけじゃない。殺し合いを行なうことも知った。
 そして私は絶望した。子供達が殺しあいを始めたんだ。自分の孫ですら一時期乗ったのだから。そして失った、大切な孫を。
 その時気付いたんだ。私はそんな自分の願いで苦しめていた。子供達を。
 そしてここで行われてるのは私の夢見た夢の世界とはほど遠い物。
 だからもう終わらせようと思った。こんなの私の願いじゃない。だから私は枯れたと思った。私はもういてはいけないから。
 その時にはもう取り返しのつかないぐらい死んでしまった。悔やんでも悔やみきれない。そして辛い役目をあなたにおしつけた。
 そう、それが私の罪。私のせいで沢山の命が失われた。取り返しの付かないぐらい。願いのせいで。すまない……本当にすまない」

そうばあさんは言い切ってまた頭を下げた。
その顔には涙が溢れて止まらない

ボクはただ何も言葉が思いつかない。
想像絶する苦悩があったんだろう。
この人も被害者なんだ。
しらずしらずのうちに巻き込まれて。
この人に罪があるかなんかボクは分からない。
でもこれだけならいえる。
それは純一とボクが繰り返してきた事。
「罪とか……解らない。でもこれだけは思う。一度、後悔して苦しんでそれで貴方は何とかしようと思った……立ち止まらなかった……進もうと思った
 ならいいんじゃないのかな? それで。皆そうだぜ、ボクも純一も。後悔は誰でもする。でもそれから進もうとするなら決して悪い事じゃないよ、たぶん」

そう後悔なんて誰でもする。
問題はその後。進むか、止まるか。
純一は躓いても進んだ。ボクもそうできた。
諦めなきゃきっと何とかなるって。
進もうとすればきっと悪いことなんかないから。
辛くてもそれは悪くないから。

だからそういえたんだ。

「……そうかい……そう……思えばいいのか……ありがとうね、なんだか心が軽くなったよ……この年で教えられるなんてね」
ばあさんは微笑んでそういった。
なんか憑き物が落ちた様な感じがする。
ばあさんはそのまま口を開き
「なら夢は終わらせなきゃね……私が望んだ夢を」
「おばあさん……」
「いいんだよ……元々死んでるんだから。貴方はもっといきなさい」
「でも……ボク」
「ほら……純一! アンタの出番だよ」
ばあさんは純一の背を押し純一は前に出し
「ったく……荒いぞ、ばあちゃん。蟹沢、俺がお前と別れるとき何を望んだ?」
純一は笑いながらそう言った。

え? 最後って、まさか

『だから……生きろ……蟹沢……生きて……生きて……いき続けろ……それが……願……い……だ……』

あ、え?
「……あ……あ……嘘……」
「そう……俺の残留意志そのものは最後の時同じ。『蟹沢を守り通す事。生きてほしい事』そうことさ。変わらない。
 だから蟹沢。俺は最後までお前を守り通す。生かす!」
「で……でもどうやって」

純一は笑って手を大きくかがけて
「見ろよ。出来損ないの魔法使いの一世一代の魔法を。大切な人のためにさ!」
「馬鹿もん……アンタの魔力じゃたりんだろ。少し手伝うよ……それときぬ。私の魔力をほんの少しだけそのボタンに別けてあげる何かあったら使いなさい」
「ばあちゃん……サンキュ」
「これでお別れだ蟹沢。頑張れよ」

純一はそう手を振り言った。
もうお別れなんて嫌だよ、純一。
もっともっと話したい。
「まだ話したい……純一! ボクは!」
「駄目だ……これは夢なんだ。いつかさめなきゃおかしいんだ……大丈夫、また会えるさ」
「え?」
「夢で会おう、さよなら」

その瞬間純一たちはあやふやになりよく見えなくなる。
夢が醒める。
駄目だ。これだけは伝えないと。


「純一ーーーーーーー!! お前の事、大好きだからーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

やっと伝えられた。
そして視界が開ける。






これはきっとダカーポのような終わりとはじまりの夢。
また、いつか。夢で逢いましょう。
ありがとう、大好き。さよなら。





――さくら、さくら。
  本当に空に舞い散るのは希望。
  いつまでもそれは舞散る。
  果てのない空の先まで。



桜は光が広がった後、直ぐに全て舞散った。
それはすべてきぬを包み桜で覆う。
まるで癒すように。

一つの風が吹く時、桜の花はどこかに行った。
そしてきぬの傷はなおされすやすやと寝ていた。
ボタンには優しい光が宿っている。


それは小さいでも温かい魔法。
出来損ないの魔法使いが見せた優しい魔法。



  •  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



夢が終わった以上、私は消えなければいけない。
純一はもう去った。最後に笑みを浮かべて。
何かをやりとげた顔だった。
彼の最後の意志、きぬを生かす事。それが出来たのだ。当然なのかもしれない。
どうかきぬには生きて欲しい。
純一のこの島で出会い命がけで救った少女なのだから。
そして私の道を教えてくれた少女なのだから。

しかし未だに私は消える事はできない。
それはおそらく彼の仕業だろう。
「そうだろう? ディー?」
私をここへ連れてきた張本人。誘った張本人。

「……ふむ、さすが、魔法使いといわれだけはあるな」
「茶化さないでおくれ……それで何のようだい?」
ディーはあたかもそこに居た様に姿を表した。
相変わらず恐ろしい奴だよ。
ディーは能面のように表情を出さずに
「何……聞きたいことがあるだけだ……何故……抗った? 何故手に入れられる願いを捨てた?」


何だ、そんな事かい。
簡単な事さ、ディー。
いやディーだからこそ分からないのかもしれないね。
「簡単さ……思い出したんだよ、人の強さを……ディー」
「何……?」

そうそれは誰もが持つ人がもつ強さ。
それは色々なカタチ。人によって違う。
「ある子は自らの命を懸けて修羅に落ちた愛しい人を救った……ある子はその自らの信念で仲間を救った……ある子は苦しみながらも最後には自ら生き方に満足して逝った
 ある子はそれが修羅の道だと知りつつも愛してる男の為に戦い続けた……ある子はそれがたとえ外道といわれても自らの道を進み続けた己が信念の為に……
 そんな色々の生き様、色々な強さ。誰もが持つ強さ。皆、自分の信念、思いを糧に強さになってる。それをここで思い出したのさ。 
 それを思い出したらなんかちっぽけになっちゃってさ。なら私はすこしでも抗わなくちゃいけないと思ったのさ。
 一生懸命生きている子供達にせめて自分ができる事をって思っただけ、ただそれだけなのさ」

ディーは少し怪訝な顔をし
「解らぬな……それが強さだというのか……そんなもの為に願いを捨てたか……解せぬ」

そうさあんたはわかんないかもね。いつも上に立っていたあなたは。
でもね気をつけなよ
「その強さは小さいかもしれないけど集まれば強靭なものになるのだから……驕ると身を滅ぼすよディー」
「我が負けると?」
「子は……親を越すというだろ? ディー……いやウィツアルミネティア」

彼はおどろき
「ほう……知っていたのか……まあよい……我に解らぬが汝が言う強さ、この目で確かめるのを楽しみにしてよう……さらばだ魔法使い」
「ああ……さよなら」
そのまま去っていた。まるで何もなかったように。
その瞬間私もおぼろげになってきた。

遂に終焉か。
長かった……。
でもいい。私の願いは叶ったもんだから。
私が望んだもの。それはきっときぬは生き残った人間が叶えてくれる。
私はその手助けを出来た。
そう思うだけでもう十分幸せ。

だからはいなくても大丈夫だって思えた。
夢が醒める。

ありがとう、さよなら。


そうして私は散った。
それはまるでほんの一瞬。されどまるで永遠のよう。

……また、いつか。夢で逢いましょう



 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・






ボクが目を覚ました時にはもう桜があったところにはいなかった。
どうも神社の外らしい。
そして傷が治っていた。
きっと純一が……そう思った瞬間心が温かい。
ありがと、純一。
生きよう、この命の最後まで。


「クソオオオオオオォォォォォォォ!」
そのとき武の咆哮が聞こえた。
何があったのか?
ボクは駆け出しその声の元に言った。

「武! あ……智代」
ボクが辿り着いた先に見えるのは武がひざを付いて悔やんでいた。
そして倒れてる智代。
瞬時に理解した。

戦いが終わり智代が死んだのだ。
そんな……なんで。
ボクが生きて智代が。

「……蟹沢!? お前なんで生きてるんだ」
武が気付きボクのほうを向いた。
当然だ、死んでおかしくなかったから。

ボクは武の方を向いた。
話さなければいけない。
「それは……」
ボクは話し始めた。
桜を枯らした事。
純一とあって最後に傷を直してもらったらしい事。
全部。


「そんな事が……なんか信じられねえけどここいるから確かなんだよな」
「うん……また生かされた……ボクだけ」
「そうか……こっちは」
武からも全部聞いた。
あゆと戦った事。
智代は命をかけて武を救った事。
そして智代は死んだ。

なんて皮肉。死にそうだったボクがいきて智代が死ぬなんて。

「俺も生かされた……また」
武はうなだれている。

でも僕らは生きている。
ならやることは単純。

「生きようぜ、武。皆の分まで。ボクは戦う。もう守られてばっかじゃない。生きるために戦うんだ。第一ボクを守るナイトはもう一杯いるんだ。」
今も傍にいると思う。純一やレオ達が。
だから戦う。生きるために。


「ああ、俺も生きる! 皆の分まで! 生きて生きて生き延びてやる!」
武も顔を上げて誓った。

それが生かされたものたちのやるべき事なんだから。
皆の分まで、最後まで。
だから誓う、ボクらは。

空に桜がまだ舞散っている。
僕らにはそれが祝福にも思える。

だから進む。
諦めない事を知ってるから。

諦めなければ道は開かれるから。

そうだよな? 純一?




――さくら、さくら
  空に舞散れ、永久に。
  それはきっと未来へ続く希望。



【D-4 神社付近/二日目 夕方】

【倉成武@Ever17 -the out of infinity-】
【装備:永遠神剣第三位"時詠"@永遠 のアセリア-この大地の果てで-、貴子のリボン(右手首に巻きつけてる)】
【所持品1:支給品一式x24、天使の人形@Kanon、バール、工具一式、暗号文が書いてあるメモ、バナナ(台湾産)(3房)】
【所持品2:C120入りのアンプル×5と注射器@ひぐらしのなく頃に、折れた柳也の刀@AIR(柄と刃の部分に別れてます)、キックボード(折り畳み式)、
      大石のノート、情報を纏めた紙×9、ベネリM3(5/7)、12ゲージショットシェル50発、ゴルフクラブ】
【所持品3: 洋服・アクセサリー・染髪剤いずれも複数、食料品・飲み物多数】
【所持品4:謎ジャム(半分消費)@Kanon、『参加者の術、魔法一覧』、イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×7 9ミリパラベラム弾58発】
【所持品5:銃火器予備弾セット各100発(クロスボウの予備ボルト80、キャリバーの残弾は50)、 バナナ(フィリピン産)(5房)】
【所持品6:包丁、救急箱、エリーの人形@つよきす -Mighty Heart-、スクール水着@ひぐらしのなく頃に 祭、
      顔写真付き名簿(圭一と美凪の写真は切り抜かれています)、永遠神剣第六位冥加の鞘@永遠のアセリア -この大地の果てで-】
【所持品7:IMI デザートイーグル 10/10+1、 IMI デザートイーグル の予備マガジン6、多機能ボイス レコーダー(ラジオ付き)】
【所持品8:サバイバルナイフ、トランシーバー×2、、十徳工具@うたわれるもの、スタンガン、 九十七式自動砲 弾数7/7
      九十七式自動砲の予備弾85発、デザートイーグルの予備弾85発】
【状態:肉体的疲労大、脇腹と肩に銃傷、全身打撲、智代に蹴られたダメージ、胸部を中心に体が切り裂かれている、女性ものの服着用】
【思考・行動】
基本方針:仲間と力を合わせ、ゲームを終わらせる
1:電波塔へ援護に行く
2:合流後、廃坑南口に向かう
3:瑞穂たちを心配
4:自分で自分が許せるようになるまで、誰にも許されようとは思わない
5:ちゃんとした服がほしい

【備考】
※制限が解かれたことにより雛見沢症候群は完治しました。
※キュレイにより僅かながらですが傷の治療が行われています。
※永遠神剣第三位"時詠"は、黒く染まった『求め』の形状になっています。
※海の家のトロッコについて、知りました。
※ipodに隠されたメッセージについて、知りました。
※武が瑞穂達から聞いた情報は、トロッコとipodについてのみです。
※武器の配分をしました。


【蟹沢きぬ@つよきす-Mighty Heart-】
【装備:純一の第2ボタン、永遠神剣第七位"献身" S&W M37エアーウェイト弾数4/5】
【所持品1:S&W M37エアーウェイト弾数4/5、S&W M37エアーウェイトの予備弾85、コンバットナイフ、タロットカード@Sister Princess、出刃包丁@ひぐらしのなく頃に 祭トカレフTT33の予備マガジン10】
【所持品2:クロスボウ(ボルト残24/30)竜鳴館の血濡れのセーラー服@つよきす-Mighty Heart-、地図、時計、コンパス 釘撃ち機(10/20)】
【所持品3:食料品沢山(刺激物多し)懐中電灯、単二乾電池(×4本)、ジッポライター、富竹のカメラ&フィルム4本@ひぐらしのなく頃に】
【所持品4:可憐のロケット@Sister Princess、 朝倉音夢の制服 桜の花 びら コントロール室の鍵 ホテル内の見取り図ファイル】
【所持品5:、コルトM1917の予備弾25、コルトM1917(残り2/6発)、トカレフTT33 0/8+1、ライター】
【状態:強い決意】
【思考・行動】
基本:殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出 、ただし乗っている相手はぶっ潰す。
1:電波塔へ援護に行く
2:合流後、廃坑南口に向かう
3:瑞穂たちを心配
4:戦う決意。
5:純一の遺志を継ぐ
6:ゲームをぶっ潰す。
7:殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出


【備考】
※純一の死を乗り越えました。
※純一の第2ボタンは桃色の光を放っており多少の魔力があるようです。
※武器の配分をしました。


204:そして、「  」 投下順に読む 206:守りたいもの/さよならの囁き(Ⅱ)(前編)
204:そして、「  」 時系列順に読む 206:守りたいもの/さよならの囁き(Ⅱ)(前編)
203:命を懸けて(後編) 蟹沢きぬ 210:We Survive(前編)
203:命を懸けて(後編) 倉成武 210:We Survive(前編)
203:命を懸けて(後編) ディー 209:ワライ






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