クレイジートレイン/約束(後編) ◆guAWf4RW62



    ◇     ◇     ◇     ◇


佐藤良美が逃亡した後も、未だ戦場の緊張感は薄れていない。
千影と悠人は肩を並べて、眼前の絶望を只眺めていた。

「不味いな……」
「ああ……まさか……あんな物まで持ち出してくるとはね……」

逸早く逃亡した良美と違い、千影と悠人は未だその場に留まっている。
千影の体力は底を突いているし、悠人は右足を撃ち抜かれているのだから、逃げようとしても無駄だろう。
機動力。
その一点に於いて、千影達は絶望的な苦境に立たされていた。
機関車は悠人達の前方100メートル程の所まで来ると、その動きを止めた。

「フフフフ……アハハハハハハハハハハハッ!!!」
「名雪くん……」

機関車に取り付けられた拡声器から、水瀬名雪の笑い声が放たれる。
名雪が手に入れた『最強の機械』とは、殺人遊戯の開始直後に発見した、機関車の事だったのだ。
千影にとっても見覚えのあるソレは、二つの客車を切り離し、機関車本体のみの状態になっていた。
線路が無くとも運用出来る仕組みになっているこの特殊機関車は、走る殺戮兵器と云っても過言では無いだろう。

「もう許してあげないよ。凄く痛かったんだから……凄く恐かったんだからあ!!
 千影ちゃん達も佐藤さんも、グチャグチャにしてやるぅぅぅぅっ!!!」

名雪はそう云って、機関車を発進させた。
点在する木々など、足止めにすらならない。
助走距離が短かった為に速度こそ緩慢だが、生身の人間に止められるような代物では無い。
圧倒的質量を誇る車体が、容赦無く千影達に襲い掛かる。

「クソッ、こんなの反則だろっ!」

悠人は毒付きながらも、傷付いた右足に鞭打って、迫る驚異から身を躱した。
直ぐ様ベレッタM92Fに予備マガジンを詰め込んで、射撃態勢へと移行する。
千影もまたショットガンを構え、二人は同時に斉射を行った。
だが、そんな抵抗など無意味だろう。
蟻がいくら噛み付いた所で、巨像を倒す事など不可能なのだから。

「っ……やっぱり駄目か」

悠人が苦々しげに奥歯を噛み締める。
機関車を護る装甲は、造作も無く銃弾を弾き飛ばした。
恐らくは刀で殴り掛かろうとも、同じ結末に終わるだろう。
あのショベルカーには窓ガラスという弱点があったが、この殺戮兵器にはそんなモノ存在しない。
爆発物でも無い限り、アレを破壊するのは不可能だ。
機関車は少し離れた場所で旋回し、休憩の時間など与えぬと云わんばかりに突撃を再開した。
迫る狂風。

「くあっ……」
「…………っ」

悠人達は今の自分達が出し得る全速力で跳躍したが、それでも間一髪の回避だった。
突風の煽りを受けて、ごろごろと地面に転がり込んでしまう。
明らかに前よりも、回避に余裕が無くなっている。

「それそれっ、どんどんいくよおおおおぉぉぉ!!」

名雪が駆る機関車は少しずつ助走距離を延ばし、それと同時に速度も上げてゆく。
周囲に生えていた木という木は根こそぎ踏み潰され、残るは平らな荒地だけだ。
名雪は自らの手により創り上げた処刑場で、小さき敵対者達を断罪する。
巨大な彗星と化した機関車は、またも突撃の余波だけで悠人達を薙ぎ倒した。

「あぐっ――く、ハァ――ハ……。千影……平気か?」
「は――あ、ふぅ……平気なように……見えるかい?」

悠人と千影は疲弊した身体を叱り付けて、よろよろと立ち上がった。
何とか直撃だけは避けているものの、少しずつだが確実に追い詰められている。
敵の突撃はどんどん鋭さを増してゆくし、自分達の体力も削られてゆく。
このままではどう考えてもジリ貧だ。
守りに徹していても道が開かぬと云うのなら――玉砕覚悟で、攻撃を仕掛けるしかない。

「――悠人くん……これを……使ってくれ」
「……時詠か」

千影が差し出したのは、永遠神剣第三位"時詠"だった。
銃撃が全く通じぬ以上、もう永遠神剣を使用するしか無いと判断したのだ。
千影はもう魔力が尽きてしまったが、悠人は未だ魔力を消費していない。
ならば唯一の打開策である時詠を、使用可能な者の手に渡すのは当然だろう。
敵が強大な機関車であるとは云え、以前悠人が見せた大砲の如き破壊力ならば、僅かながら勝機はある筈だった。
しかし、時詠を受け取った悠人の表情は苦悩に歪んでいた。

(……どうすれば良いんだ? 俺はコレを……使うしかないのか?)

千影には知る由も無い事だが――悠人は時詠を完全に使いこなす事が出来る。
自身の持ち得る全てのマナを時詠に注ぎ込めば、敵が戦闘機であろうとも負ける気はしない。
ましてや攻撃手段が体当たりのみの機関車など、相手にもならない。
だが時詠の使用には、余りにも致命的なリスクが伴うのだ。

強力な奇跡を起こすには、それだけの代償が必要。
悠人が力を引き出そうとする限り、時詠は代償としてマナを要求し続けるだろう。
悠人自身がマナ切れを起こした場合は、外部からの搾取を命じる筈。
そして身体がマナで構成されている悠人は、その命令に抗えない。
もしマナ切れを起こしてしまえば、悠人は無差別に人を襲い続けるだけの悪鬼と化してしまうのだ。

今時詠を使わなければ、確実に自分も千影も殺される。
かと云って時詠を使ってしまえば、島の人間全てに危険が及ぶかも知れない。
究極の二択。
だが――考えている暇など無い。
現に今も、狂人に操られし暴走機関車が、悠人達を押し潰すべく迫っているのだから。

(大丈夫……マナさえ切らさなければ良いんだ!)

強引にそう結論付けて、思考を中断させる。
そうして悠人は、自身が秘めたるマナの一部を、時詠へと送り込んだ。
瞬間、身体中の隅々にまで力が溢れて来る。
全身の細胞一つ一つまでもが活性化してるような感覚。
撃ち抜かれた右足の痛みすらも、今この瞬間だけは気にならない。

「よし……これなら………!」

機関車に向かって、凄まじい勢いで駆け出す。
マナを全力で注ぎ込んだ訳では無いのだから、正面から機関車に対抗するのは不可能だ。
だが、わざわざ正面勝負を挑む必要などない。
巨大な機械を打倒する方法ならば、先程佐藤良美が示したばかりだ。

「アハハハハハハッ、カトンボが自分から潰されに来たよ!! けろぴーに勝てるとでも思ってるの!?」
「…………」

名雪が見下すような言葉を投げ掛けてきたが、悠人は答えない。
時詠を何度も使えば、確実に身体を乗っ取られてしまう。
チャンスは多く見積もっても二回。
故に全神経を、この衝突に集中させる。

「……ここだッ!」
「――――――えっ!?」

機関車が前方10メートル程まで迫った所で、悠人はタイムアクセラレイトにより自身の時間を加速させた。
続けてジェット気流の如き速度で、機関車の真横にまで回りこんで併走する。
狙いは只一つ、機関車本体に飛び移って内部へと侵入し、操縦者を直接叩く事だ。
悠人はその目論見を成功させるべく、機関車の屋根に向かって跳躍する。
だが、その刹那――突如機関車が方向転換した。

「やらせないよおおおおっ!!」
「――――ッ!?」

名雪とて莫迦では無い。
そう何度も何度も、同じ手を喰らったりはしない。
名雪は悠人から見て反対側へと機関車をカーブさせて、飛び移られるのを未然に防いだ。
舌打ちしながら着地する悠人を尻目に、名雪が駆りし機関車はその場を離れてゆく。
勝負は仕切り直し。
そして今度は名雪も、すぐに突撃を仕掛けるような真似はしない。


「アハ……もう遊んであげないよ」

悠人が見せた怪物じみた動きは、名雪の警戒心を最大限にまで引き上げていた。
もう、無闇矢鱈に中途半端な突撃を繰り返したりはしない。
放つべきは、必殺にして最強の一撃のみ。

「あはっ……あははっ……私は行くんだよ……皆を殺して!!」

距離にして600メートル以上。
機関車は、先程までの数倍に値する助走距離を取った。
続けて大きく方向転換して、先端を悠人の方へと向ける。
そのまま真っ直ぐに、動力部をフル稼働させつつ疾駆した。

「祐一が待ってる黄金卿へ行くんだよ、アハハハハハハハハハハハッ!!!」

巻き起こる暴風。
機関車はあっと云う間に加速して、時速100キロを突破した。
超高速で駆ける巨大な質量は、ミサイルにも匹敵する破壊力を秘めている。


「時詠よ、俺に力を貸してくれ…………!」

本気を出した敵に呼応するように、悠人は前以上のマナを時詠に注ぎ込んだ。
激しい頭痛に襲われたが、未だ身体を乗っ取られる程では無い。
自分の身体能力が大幅に向上しているのが分かる。
今度こそ、外さない。
何としてでも機関車に取り付いて、そして激闘に終止符を打ってみせる。

「――行くぞ!!」

悠人は吹き抜ける旋風と化し、敵を打ち破るべく疾駆する。
機関車とは比べるべくも無いが、悠人の駆ける速度もまた、人間の限界を大幅に上回っていた。
数百メートルあった両者の距離は、あっと云う間に縮まってゆく。
だがそこで予想外の事態が起き、悠人は大きく目を見開いた。

「まずは……千影ちゃんからだよおおおおぉぉ!!」
「な――っ…………!?」

名雪はハンドルを大きく切って、機関車の進行方向を転換させた。
馬鹿正直に悠人ばかり狙ってやる必要などない。
戦力的に劣る者から倒して行くのが、兵法の定石だ。
横から駆け寄る悠人など気にも留めず、千影目掛けて突撃する――!


「く――――」

千影は回避を試みるどころか、逆にショットガンを構えていた。
機関車がこちらに向きを変えた瞬間、何をやっても躱せないと理解出来てしまった。
防御が不可能である以上、無意味と知りつつも、奇跡に期待して攻撃するしかないのだ。
機関車の車輪に狙いを絞って、弾切れまでショットガンを連打する。
しかし案の定、機関車の勢いが止まる事は無かった。

打つ手の無くなった千影へと、落雷の如く機関車が迫る。
回避も反撃も不可能、完全なるチェックメイト。
そして悠人は、そんな光景を前にして――


「千影ぇぇぇぇぇ――――!!」

機関車の後を追い、全身全霊の力で走る。
タイムアクセラレイトを発動させて、身体能力も強化させて。
右足の傷口から噴き出す鮮血など、まるで気にせずに。
それでも、間に合わない。
千影を抱き抱えて退避する程の時間は、とても生み出せない。
力が、足りない。


「…………っ」

悠人の左手には、唯一千影を救い得る短剣が握り締められている。
怖い。
コレを全力で使えば、確実に自分が自分でなくなってしまう。
島の人間全てに牙を剥く、只の悪鬼と化してしまう。
自分の手で、仲間の命を奪ってしまうかも知れない。
それは、自分自身の死などより余程恐ろしい。


「それでも、俺は――」

そうだ、自分は誰と約束した。
何を誓った。


――『君達二人は俺が守ってやるよ』

自分は、衛と出会った時に約束した。
なら、守らないと。
自分がどうなってしまおうと、守らないと。


――『悠人さんも千影ちゃんを守ってあげて!』

自分は、衛と別れた時に約束した。
なら、何を引き換えにしてでも、守らないと。

……例えこの身が、悪鬼と化そうとも。


「――俺はっ……! 衛を……千影を……守りたいんだああああああああああああッッ!!!!」


瞬間、時詠の刀身から激しい光が噴出した。
信じられない程の力が、止め処も無く溢れ出して来る。
即座に悠人は、視認すら困難な速度で大地を駆け抜けた。
弾丸かと見紛おうその速度は、先程までの比では無い。

「ハ――――ア――――!」

続けてタイムアクセラレイトを用いて、自身の時間を最大限に加速させ、それと同時にデイパックへと片手を伸ばした。
取り出したるはカルラの剣。
優に二メートルを超える、強力無比な大剣だ。
悠人は機関車の真横に並び掛けて、右手一本で大剣を振り上げた。
桁外れの巨重を、人間離れした力で思い切り叩き落す。

「ウォォオオオオオオオオ――――――!!!」
「ひああああああああああああッッ!?」

爆撃の如き剣戟が、次々に機関車の側壁へと打ち込まれる。
その度に機関車全体が大きく揺れ、少しずつ歪に変形してゆく。
名雪の悲鳴と悠人の咆哮、そして大気を振動させる轟音が響き渡る。

「ひ、あ、う、ああああああああああああああああっ…………!」

放たれた剣戟は実に二十発以上。
攻撃開始から決着まで要した時間は、ほんの僅か。
凄惨にひしゃげた機関車が、衝撃に耐え切れなくなって横転した事で、決戦の幕は下ろされた。




「――悠人、くん」

殺戮兵器は完全に破壊され、千影の視界には、悠人の背中だけが映っている。
千影は眼前で繰り広げられた光景を前にして、只立ち尽くす事しか出来なかった。
自分が時詠を使用した時とは、比べ物にすらならない。
時詠を持った悠人は、正しく無敵の存在だった。

しかし何故悠人は、嘗て時詠の力を試した時に、制御出来ないなどと云ったのだろうか。
どう考えても、完璧に使いこなしてるようにしか思えない。
湧き上がった疑問を解消すべく、千影は悠人に歩み寄ろうとする。
だがその動きは、突如放たれた怒声によって遮られた。

「――来るなっ!!」
「…………え?」

背中を向けたまま、悠人が拒絶の声を発していた。
良く見ると、悠人の背中は小刻みに震えている。
酷い違和感が、千影の脳裏に沸き上がる。

「頼む――今すぐ、……ぐっ、此処から……離れてくれ……!!」
「…………っ!? 悠人くん……一体、どうしたんだい……?」

苦しげな声を洩らす悠人に、千影は動揺を隠し切れない。
何かが、決定的に不味い。
背筋はおろか、身体全体が凍り付くような感覚。
ネリネが力を解放したあの時と同様、絶望的な予感が膨れ上がってゆく。
そしてその予感は、次に悠人が放った言葉で現実となった。

「俺はマナを、使い過ぎた、んだっ……! ……俺の身体は……もう直ぐ、乗っ取られるッ……!!
 全ての人を殺し尽くして、マナを奪うだけの……、ぐうぅぅっ、……悪魔になってしまう……!!」
「な――――っ……!?」

余りにも衝撃的な告白。
そこで、千影は気付いた。
時詠から放たれている光が、徐々に黒く変色している事に。
悠人から感じられる魔力の波動が、どんどん邪悪な物へと変貌していっている事に。
千影が二の句を告げぬ中、悠人は言葉を続ける。

「だからっ……早く、……ぐああっ……逃げるんだ! このままじゃ俺は……お前を、殺してしまうっ……!!」

悠人を中心に、荒れ狂う暴風が渦巻き始めた。
肥大化してゆく殺気は、悠人の言葉が決して嘘偽りでないと証明している。
それでようやく千影は、何故悠人が時詠を持とうとしなかったのか、その理由に思い至った。
恐らく悠人は、この事態を予め予測していたのだ。
マナを使い過ぎてしまえば、その反動で自分がどうなってしまうか、理解していたのだ。

「け……けど、君を放ってなんて……」
「良いから、……があああっ、行けっ……! 俺は……もう、衛を守ってやれないんだから……ッ!!」
「――――っ」

千影は俯いたまま、ぎゅっと唇を噛んだ。
そうだ――悠人は未だ、衛が死んでしまったと云う事実を知らないのだ。
見れば悠人は、滝のような汗を流しながらも、必死に衛の事を気遣っている。
その様子を見ているだけでも、悠人と衛がどれだけ深い絆を培ってきたのか、容易に推し量る事が出来た。

「アセリアだっ……! アセリアと……協力して、……俺の代わりに、お前が……衛を守ってくれ……!
 悪魔と化した高嶺悠人を……倒してくれ……!!」
「でも、悠人くん…………」

真実を伝えなければならない。
衛がもう死んでしまったと、教えてあげなければならない。
意を決した千影は、衛の死を伝えようとする。


「衛くんは――――、っ…………」


だが、最後まで云い切る事は出来なかった。
……云えない。
高嶺悠人という人格は、程無くして消滅するだろう。
最後の最後に知るのが、守りたかった者の死だなんて、余りにも残酷過ぎる。
だから千影は、一つだけ嘘を吐く事にした。

「分かったよ、悠人くん……。衛くんは……絶対に私が守ってみせるから……安心してくれ……」

悠人はもう答えない。
自我を保つのに必死なのか、唯只苦悶の声を上げ続けているだけだ。
それでも千影には、悠人の背中が少しだけ微笑んだように見えた。

「また……来世……」

最後にそれだけ告げると、千影は素早く行動を開始した。
地面に落ちていたタロットカードを拾い上げて、デイパックへと放り込む。
他に使えそうな物が落ちていない事を確認してから、一目散に走り出した。



「っ――――う、は――――」

千影は疲弊し切った体を酷使して、何とか安全圏まで離脱した。
近くに生えていた木に、力無く持たれ掛かる。
もう、何が何だか分からない。
この島は何もかもが異常過ぎるのだ。
四人居た姉妹は、もう自分一人だけになってしまった。
そして、第一回放送までに出会った三人の人間。
水瀬名雪は狂人と化して、激闘の末に死んだ。
直接確認した訳では無いが、あの状況で生きているとはとても思えない。
白河ことりも死んだ。
川澄舞は、何が原因かは分からないが、殺し合いに乗ってしまった。

この分では、どれだけの仲間が無事に病院へ辿り着けているか分からない。
高嶺悠人も、恐らくは殺人鬼へと変貌を遂げてしまっただろう。
もう、辞めたい。
全てを諦めて、只闇に融けていたい。

「けど……私は、未だ生きている。未だ……戦えるんだ」

そうして、千影は再び立ち上がった。
病院を目指して、一歩一歩進み始める。
此処で生きる意志を放棄するのは、散っていった仲間達への裏切り行為に他ならないから。
どれだけ傷付こうとも、最後まで足掻き続けよう。




【E-5下部 /2日目 早朝】
【千影@Sister Princess】
【装備:トウカのロングコート、ベネリM3(0/7)、12ゲージショットシェル103発】
【所持品1:支給品一式×7、九十七式自動砲の予備弾95発、S&W M37 エアーウェイト弾数0/5、コンバットナイフ、タロットカード@Sister Princess、
 出刃包丁@ひぐらしのなく頃に 祭 イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×7 9ミリパラベラム弾68発】
【所持品2:トカレフTT33の予備マガジン10 洋服・アクセサリー・染髪剤いずれも複数、食料品・飲み物多数】
【所持品3:朝倉音夢の生首(左目損失・ラム酒漬け) 朝倉音夢の制服 桜の花 びら コントロール室の鍵 ホテル内の見取り図ファイル】
【所持品4:謎ジャム(半分消費)@Kanon、『参加者の術、魔法一覧』、デザートイーグルの予備弾92発】
【所持品5:C120入りのアンプル×8と注射器@ひぐらしのなく頃に、ゴルフクラブ、各種医薬品】
【所持品6:銃火器予備弾セット各100発(クロスボウの予備ボルト80、キャリバーの残弾は50)、 バナナ(フィリピン産)(5房) 】
【状態:洋服の上から、トウカのロングコートを羽織っている。右肩軽傷、
 両手首に重度の擦り傷、左肩重傷(治療済み)、魔力残量皆無、肉体的疲労極大、深い深い悲しみ】
【思考・行動】
基本行動方針:罪無き人々を救い、殺し合いに乗った者は倒す。
1:病院へと向かう(疲労のため進行速度遅め)
2:アセリアと合流して、悠人への対処法を考える
3:また会う事があれば智代を倒す
4:永遠神剣に興味
5:北川潤、月宮あゆ、朝倉純一の捜索
6:舞を何とかしたい

※四葉とオボロの事は悠人には話してません
※千影は原作義妹エンド後から参戦。
※ハクオロを強く信頼。
※所持品3の入ったデイパックだけ別に持っています。





     ◇     ◇     ◇     ◇


「あ……ぐぅ……ううっ……く、っそぉぉ……!」

朝日の降り注ぐ平原の中を、名雪は懸命に這い進んでいた。
機関車が横転した際、何とか一命を取りとめはしたが、その時に負った怪我は重い。
砕け散った鉄片が、脇腹に深々と突き刺さっている。
左足の骨は粉々に砕け散って、最早まともに動かす事は不可能だろう。
それでも尚、名雪は瞳に執念を宿して、安全な場所まで逃れようとする。

「嫌、だ……。あゆちゃんを……、皆を殺すまで……死んで、堪るもんかあぁぁぁ……!!」

月宮あゆへの、そして全参加者への殺意。
それが、満身創痍の名雪の身体を突き動かしていた。
感覚の麻痺し始めた両腕を使って、少しずつ地面を進む。
まだだ。
まだ終わらない。
傷は相当深いものの、致命的なレベルにまでは達していない。
しっかりとした治療を行えば、十分に命を繋げるだろう。
そして生きている限りは、まだパワーショベルカーを動かせるのだが――

「駄目……ショベルカーじゃ足りないよ……。もっと強い、けろぴーを……見つけないとっ……」

蒸気機関車を使っても、自分は敗北を喫してしまった。
パワーショベルカー如きで、これから先の戦いを勝ち抜ける筈が無い。
更に強力な機械――例えば戦闘機や戦艦の類等を、見つけねばならない。
まずは治療、そして次に新しいけろぴーを探すのだ。
今後の方針を固めた名雪は、前方に広がる森を目指して、更に進もうとする。

「…………?」

だがそこで、名雪は右足に妙な感触を覚えた。
妙に熱い。
例えるのなら、ホッカホカのカイロを押し付けられたような感じ。
違和感の正体を確かめるべく名雪が振り返ると――右足から、短剣が生えていた。

「いぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

途端に激痛が脳へと伝達され、名雪は壮絶な叫び声を上げた。
顔を上げると、先程機関車を破壊したあの男――高嶺悠人が立っていた。
悠人は、ゾッとするくらい冷たい目を湛えている。
そして、悠人の手に握り締められた時詠が、再び名雪の身体へと突き立てられた。

「あああああああああああ」

時詠の刀身が、根元までずぶっと名雪の左腕に沈み込んだ。
冗談のような量の鮮血が、地面に生い茂る草々を紅く染め上げる。
想像を絶する苦痛は、徐々に名雪の理性を奪い去ってゆく。

「やめてッ、たすけてッ、ホント痛いの――――ひぎいいいいぃぃっっ!」

あれ程根深かった筈の憎しみすら捨てて、必死に助命を懇願したが聞き入れられない。
悠人は何処までも無慈悲に、時詠を何度も何度も振り下ろし続ける。


名雪の目に、
肩に、
腕に、
手に、
腹に、
足に、
冷たい刃が突き刺さる。


悠人がようやく手の動きを止めた時、彼の眼下には只の肉塊が転がっているだけだった。
狂気に取り憑かれた少女――水瀬名雪は、地獄のような責め苦の中で死を迎えた。


「マナ……を……」

息絶えた獲物にはもう見向きもせずに、悠人は落ちていたデイパックだけを回収する。
今の彼を突き動かすのは、只一つの衝動。
意思を封じられた永遠神剣に、唯一残されていた本能。
即ち、生けとし生ける全ての存在から、マナを搾取する事だけである。

「もっと……マナを…………!」

だから、悠人は戦い続ける。
満身創痍の身体を酷使して、目に付くモノ全てを抹殺しようとする。
守ると誓った仲間達にさえ、容赦無く牙を剥く。
ひゅうひゅうと吹き荒れる風の音。
それはまるで、彼の泣き声であるかのようだった。







【水瀬名雪@kanon 死亡】


【E-4・5境界線 /2日目 早朝】
【高嶺悠人@永遠のアセリア -この大地の果てで-】
【装備:永遠神剣第三位"時詠"@永遠 のアセリア-この大地の果てで-】
【所持品1:支給品一式×5、バニラアイス@Kanon(残り6/10)、予備マガジン×2、暗視ゴーグル、FN-P90の予備弾、電話帳】
【所持品2:カルラの剣@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄、竹刀、トウカの刀@うたわれるもの、ベレッタM92F(9mmパラベラム弾0/15+1)、懐中電灯】
【所持品3:単二乾電池(×2本)バナナ(台湾産)(1房)、発火装置】
【所持品4:手術用メス、パワーショベルカー(運転席のガラスは全て防弾仕様)】
【所持品5:破邪の巫女さんセット(弓矢のみ10/10本)@D.C.P.S.、乙女と大石のメモ、乙女のデイパック、麻酔薬、硫酸の入ったガラス管x8、包帯、医療薬】
【状態:疲労大、魔力消費極大、手足に軽い火傷(行動に支障なし)、左肩と脇腹と右太股に銃創、肋骨数本骨折、数本に皹、内臓にダメージ、
 左太腿に軽度の負傷(処置済み・歩行には支障なし)、全身に浅い切り傷、暴走】
【思考・行動】
1:全ての生物を殺して、マナを奪い尽くす
【備考】
※バニラアイスは小型の冷凍庫に入っています。
※悠人の身体は、永遠神剣の本能に支配されています
※悠人本人の意識が残っているかどうかは不明
※パワーショベルカーの窓ガラスは、一部破損しています
※暴走悠人の身体能力は、時詠にマナを注ぎ込めば注ぎ込む程強化されます。
 つまり、マナが切れ掛けている今の状態では、カルラの大剣を振り回したりするのは、まず不可能です。
※魔力持ちの相手を殺せば、マナを回復させる事が出来ます(回復量は、相手の魔力量に比例)
※暴走悠人が(時間経過により)自然にマナ回復をするか、もしくは『救心夢想少女』での推測通りにマナを失っていくかどうかは、後続の書き手さん任せ


【備考】
※機関車『トミー』は大破
※E-4・E-5境界線周辺の木々は、軒並み薙ぎ倒されています



175:クレイジートレイン/約束(中編) 投下順に読む 176:そして、闇はなお深く
175:クレイジートレイン/約束(中編) 時系列順に読む 176:そして、闇はなお深く
175:クレイジートレイン/約束(中編) 朝倉純一 179:戦う理由/其々の道(前編)
175:クレイジートレイン/約束(中編) 蟹沢きぬ 179:戦う理由/其々の道(前編)
175:クレイジートレイン/約束(中編) 小町つぐみ 181:うたかたの恋人(前編)
175:クレイジートレイン/約束(中編) 高嶺悠人 184:Ever――移ろいゆく心
175:クレイジートレイン/約束(中編) 佐藤良美 183:ファイナル・ミッション/奪う者、奪われる者(前編)
175:クレイジートレイン/約束(中編) 千影 181:うたかたの恋人(前編)
175:クレイジートレイン/約束(中編) 水瀬名雪








| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー