戦の前。 ◆jWwIlynQcU
「あれから10分、動きはありませんね……」
ホテルのコントロール室に戻ったネリネは、室内の照明を落とし防犯カメラモニターと
システム制御用コンピュータのディスプレイを交互に見て各階の状況を監視していた。
だが、いずれの階にも動きは無い。
やはり自分以外の人間はこのホテルにいないのだろうか……。
システム制御用コンピュータのディスプレイを交互に見て各階の状況を監視していた。
だが、いずれの階にも動きは無い。
やはり自分以外の人間はこのホテルにいないのだろうか……。
(そんなことは無いはずです。これだけの規模ならば、休息の場としてすでに何人か
隠れていると考えるべきでしょう)
隠れていると考えるべきでしょう)
だが、客室から誰かが出てくる様子は無い。
これだけの客室があるホテルならどこかの階の廊下に誰かの姿が映ってもいいはずだ。
これだけの客室があるホテルならどこかの階の廊下に誰かの姿が映ってもいいはずだ。
「もし出てこられないのでしたら……いやでも出てきていただきましょうか」
そう言うやネリネは制御コンピュータの空調を受け持つ一台のマウスを握り、
マニュアルにあったとおりの操作を行ないはじめた。
マニュアルにあったとおりの操作を行ないはじめた。
数分後、ネリネは全ての作業を終えたのか再び監視モニターの前にある椅子へ座り、
モニターを眺める。
モニターを眺める。
「これで、嫌でも出てくることになりますよ……」
ネリネが操作した空調制御コンピュータの画面上にはどのエリアの空調がON/OFF
のいずれになっているのか表示されている。
その画面をよくみると、客室の空調部分は全て「OFF」の文字を表示していた……。
のいずれになっているのか表示されている。
その画面をよくみると、客室の空調部分は全て「OFF」の文字を表示していた……。
どれほど冷房がきいていたところで、遠隔操作で空調のスイッチを切られては、客室の
中は蒸し風呂状態となるだろう。
そうなったら、客室内にいる者達は皆暑さに耐え切れず廊下へ出てくるのは確実だ。
客室内の窓を開けるという方法もあるだろうが、コントロール室にあったマニュアルに
よると、このホテルの客室階については基本的に事故防止の為、窓を開けると客室から
このコントロール室へ警報が飛んでくる仕組みになっているそうだ。
中は蒸し風呂状態となるだろう。
そうなったら、客室内にいる者達は皆暑さに耐え切れず廊下へ出てくるのは確実だ。
客室内の窓を開けるという方法もあるだろうが、コントロール室にあったマニュアルに
よると、このホテルの客室階については基本的に事故防止の為、窓を開けると客室から
このコントロール室へ警報が飛んでくる仕組みになっているそうだ。
つまり、客室にいる人間はどんな行動をしても、ネリネに自分の居場所を知られる事に
なるのだ。
ネリネは自分からホテル内をしらみ潰しに調べることもなく一直線に目的地へ向かえば
それで事足りるというわけだ。
なるのだ。
ネリネは自分からホテル内をしらみ潰しに調べることもなく一直線に目的地へ向かえば
それで事足りるというわけだ。
「情報を制するものは戦場を制する。という言葉がありましたね……」
コントロール室の鍵を握り締めるネリネはそう呟く。
「このホテルという戦場の情報を握っているのは私……。つまり、この
ホテルに限れば、勝者は私をおいて他にいないでしょう」
ホテルに限れば、勝者は私をおいて他にいないでしょう」
美しくオレンジに染めた髪をポニーテールにまとめたネリネは、そこで言葉を切ると
モニターの一つに注目する。
モニターの一つに注目する。
遂に先客が動いた。
「あぢぃ……。一体どうなっていやがる?」
同じ頃、先客である大空寺あゆと時雨亜沙の両名は極めて不快だった。
特にあゆの方は、客室備え付けの冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを消費し、
ベッドの上に寝転んでいたが、やはり暑さには耐えられないのか空調用のリモコンを
しきりに操作し始めた……。
特にあゆの方は、客室備え付けの冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを消費し、
ベッドの上に寝転んでいたが、やはり暑さには耐えられないのか空調用のリモコンを
しきりに操作し始めた……。
ここで幾らか時間をさかのぼると、シャワーを浴び終わったあゆがようやくの事で泣き
止んだ亜沙から第一回の放送で呼ばれた禁止エリアその他もろもろについて聞き出した。
もっともそれは「情報交換」というよりも、あゆによる一方的な亜沙に対する質問攻めと
でも称すべきものだったが。
止んだ亜沙から第一回の放送で呼ばれた禁止エリアその他もろもろについて聞き出した。
もっともそれは「情報交換」というよりも、あゆによる一方的な亜沙に対する質問攻めと
でも称すべきものだったが。
そもそも、あゆの方は持っている情報が少なかった事もある。
あゆは開始からごく短時間、相沢祐一と行動を共にした他は亜沙達と出会うまでの間
ずっと単独行動をとっていたし、他の出来事といえば若い男が女の子を殺して埋めて
しまおうとしているのを目撃したぐらいだ。
ずっと単独行動をとっていたし、他の出来事といえば若い男が女の子を殺して埋めて
しまおうとしているのを目撃したぐらいだ。
亜沙の方は泣き止んだものの、まだ楓の死というショックから抜け出せてないのか、
あゆの質問には素直に答えるものの、あゆからの情報については生返事を返すばかりで
あった。
あゆの質問には素直に答えるものの、あゆからの情報については生返事を返すばかりで
あった。
(とりあえず禁止エリアがわかっただけでも収穫かね)
情報交換を終えたあゆの感想というのは以上のようなものだった。
禁止エリアがわかった以上は移動の上で色々と厄介ごとが少なくなる。
禁止エリアがわかった以上は移動の上で色々と厄介ごとが少なくなる。
一方、魔法を使える参加者がいるという話についてはそれほど信用していない。
亜沙の話によると、少し前に一ノ瀬ことみが話したとおり、彼女が一緒に行動していた
という恋太郎という男の失明を魔法で治療したとのことだが、その恋太郎も先ほどの
放送で名前がよばれた以上、真実を確かめる事もできないからだ。
亜沙の話によると、少し前に一ノ瀬ことみが話したとおり、彼女が一緒に行動していた
という恋太郎という男の失明を魔法で治療したとのことだが、その恋太郎も先ほどの
放送で名前がよばれた以上、真実を確かめる事もできないからだ。
(あのことみとかいうヤツはともかく時雨が嘘をついているとは思えないけど、実際に
目の前で見るまでは魔法がどうとかいう話は信用できないさ……)
目の前で見るまでは魔法がどうとかいう話は信用できないさ……)
そして彼女が亜沙から聞いたもう一つの情報、一ノ瀬ことみに関する情報とここまでに
到る一連の出来事。
むしろあゆにとって重要なのは、こちらの方だったと言える。
到る一連の出来事。
むしろあゆにとって重要なのは、こちらの方だったと言える。
亜沙がことみと恋太郎に四葉の三人と出会ってから、仲間だった四葉という少女が
ハクオロという人物に殺された上、その場に現われた大石という男の撃った銃が暴発し
恋太郎がその為に失明したこと。
ハクオロという人物に殺された上、その場に現われた大石という男の撃った銃が暴発し
恋太郎がその為に失明したこと。
更にその後、彼女の後輩であるというネリネという少女と一戦交えた後、恋太郎の目を
魔法で治療したことで魔力と体力を消耗して気絶してしまい、あゆと佐藤良美が現われ
る直前まで眼を覚まさなかったというところまでのほぼ全てを聞く事ができた。
魔法で治療したことで魔力と体力を消耗して気絶してしまい、あゆと佐藤良美が現われ
る直前まで眼を覚まさなかったというところまでのほぼ全てを聞く事ができた。
(気絶するまでの話は、あの一ノ瀬ことみが言っていたのとほぼ同じということか)
魔法云々についてはやはり信用できないが、四葉という子を殺したのがハクオロという
人物であり、他にネリネという亜沙の後輩が危険人物であると判明したのだから、結果は
上々というところか。
人物であり、他にネリネという亜沙の後輩が危険人物であると判明したのだから、結果は
上々というところか。
気絶していた間の出来事については覚えてなくて当然だが、そうなるとその間に起こった
「恋太郎の殺害」と「彼を殺したのは(先ほどの放送で名前が流れた)芙蓉楓」という
一ノ瀬ことみの発言には彼女の証言のほかにそれを証明できる人物がいないということに
なる。
なにより、亜沙は芙蓉楓のことを「虫も殺せない」と言っていたではないか。
「恋太郎の殺害」と「彼を殺したのは(先ほどの放送で名前が流れた)芙蓉楓」という
一ノ瀬ことみの発言には彼女の証言のほかにそれを証明できる人物がいないということに
なる。
なにより、亜沙は芙蓉楓のことを「虫も殺せない」と言っていたではないか。
(こりゃますますクロってことかね……。時雨が殺されなかったのは多分あの性格と気絶
していたからか……まぁ、気絶している人間を運んで殺すのは一苦労だろうさ)
していたからか……まぁ、気絶している人間を運んで殺すのは一苦労だろうさ)
真相はどうであれ、他に証人がいない以上最も怪しいのはことみということになる。
それがあゆの出した結論であった。
それがあゆの出した結論であった。
(でも、何か忘れてないか?)
あゆはそこまで考えて何か思い出そうとする。
どうしても心の奥底に引っかかることがあったのだ。
どうしても心の奥底に引っかかることがあったのだ。
部屋の空調が切れたのは丁度その時のことであった。
そして話は再び今に戻る。
「あ~~~~~、まったくどうなってんのさ!」
空調用のリモコンを操作しても一向に冷風が流れてこないことに腹を立てたあゆは
とうとうリモコンを放り出すと、床にあったディパックを手にすると扉の方に向かう。
とうとうリモコンを放り出すと、床にあったディパックを手にすると扉の方に向かう。
「あ、あゆちゃんどこ行くの?」
「ルームチェンジするのさ。時雨、アンタもこんな蒸し風呂みたいなところにいたら
体力も回復しないし、ついて来た方がいいさ」
「うん、そうだよね……」
「ルームチェンジするのさ。時雨、アンタもこんな蒸し風呂みたいなところにいたら
体力も回復しないし、ついて来た方がいいさ」
「うん、そうだよね……」
確かに空調が止まってから部屋の温度は急速に上昇していった。
亜沙にすれば窓を開けて換気すれば済む事と思ったが、それはあゆに止められたからだ。
亜沙にすれば窓を開けて換気すれば済む事と思ったが、それはあゆに止められたからだ。
「窓を開ければ警報が出るらしい、そうなったらこっちの居場所を他の連中に知らせる
事になっちまう。止めといた方がいいさ」
事になっちまう。止めといた方がいいさ」
あゆが彼女に言った言葉である。
結局、亜沙もあゆの後を追って少しだけ名残惜しそうにロイヤルスィートルームをあとにする。
二人が廊下に出ると、そこは入室前と変わらず涼しい風が流れていた。
二人が廊下に出ると、そこは入室前と変わらず涼しい風が流れていた。
「ほらな、やっぱりあの客室のエアコンは壊れちまったのさ」
あゆにしてみれば最上階の客室は全て最高級のロイヤルスィートであるから、少し前まで
滞在していた部屋が駄目なら他の部屋に移ればいいだけのことだった。
滞在していた部屋が駄目なら他の部屋に移ればいいだけのことだった。
だが、二人は気付いていない。
自分たちの姿が廊下に出たところで監視カメラによって捉えられ、その画像がコントロール室の
モニターへ映し出されているということに。
自分たちの姿が廊下に出たところで監視カメラによって捉えられ、その画像がコントロール室の
モニターへ映し出されているということに。
「先客は、時雨先輩でしたか……」
モニターに映る二人の姿を見たネリネはそう呟く。
確認できたのは、亜沙と金髪の見知らぬ少女。
多分、途中で合流したのであろうが、その一方で亜沙と戦った時一緒にいた男と少女の
姿が見当たらない。
確認できたのは、亜沙と金髪の見知らぬ少女。
多分、途中で合流したのであろうが、その一方で亜沙と戦った時一緒にいた男と少女の
姿が見当たらない。
(もし、時雨先輩達をおいてホテル内を探索しているなら、残る二人がここに来る可能性も
ありますね)
ありますね)
ならば、両者が合流する前に各個撃破するのがいいだろう。
そう考えたネリネが、その残る二人が何処にいるのかと他のモニターへ目を向けた時、
ホテル外周の監視モニターがこちらに向かってくる人物を映し出す。
そう考えたネリネが、その残る二人が何処にいるのかと他のモニターへ目を向けた時、
ホテル外周の監視モニターがこちらに向かってくる人物を映し出す。
モニターに映し出されたその人物にネリネは見覚えがあった。
「なるほど、館内ではなく外にいたのですね」
モニターに映っているのは少女が一人、男の姿は見えない。
大方更に外で二手に分かれて外周を見回っているのか、或いは探索しているのか。
どっちにしろ単独行動しているのなら、倒しやすくなる。
大方更に外で二手に分かれて外周を見回っているのか、或いは探索しているのか。
どっちにしろ単独行動しているのなら、倒しやすくなる。
そう思ったネリネはもう一度モニターで相手の位置を確認すると、ディパックを手にして
コントロール室を後にする。
もちろん、鍵をかけるのは忘れずに。
コントロール室を後にする。
もちろん、鍵をかけるのは忘れずに。
(朋也くん……)
その頃、自失状態となったことみはどこへともなく歩き続けていた。
坂上智代にとってもそうであった様に、岡崎朋也の死は彼女の精神に大きすぎるダメージを
与えていた。
それゆえに彼女は今、頭がまるで回らず自分がどこをどう歩いているのかも判らない
まま、このホテルの近くにまで来ていたのである。
坂上智代にとってもそうであった様に、岡崎朋也の死は彼女の精神に大きすぎるダメージを
与えていた。
それゆえに彼女は今、頭がまるで回らず自分がどこをどう歩いているのかも判らない
まま、このホテルの近くにまで来ていたのである。
だが、彼女はホテルの存在に気付いてないのか、ホテルの側を素通りする格好で南へと
歩き続ける。
まるで夢遊病者のような歩調で。
歩き続ける。
まるで夢遊病者のような歩調で。
(おかしいですね。どういうことでしょうか?)
一方、ホテルの外に出てことみの後をつけていたネリネは、その様子がおかしい事に気付いた。
相手がサブマシンガンを持っていることから足音を立てぬよう慎重に近づきつつ様子を伺って
いたが、ことみの歩みがひどく機械的なものである事に気が付いたのだ。
相手がサブマシンガンを持っていることから足音を立てぬよう慎重に近づきつつ様子を伺って
いたが、ことみの歩みがひどく機械的なものである事に気が付いたのだ。
それに加えて、ホテルの横を素通りするような歩き方。
もし外周を探索、監視しているのならばホテルの方を振り返ってもいいのにそんな様子も
感じられない。
もし外周を探索、監視しているのならばホテルの方を振り返ってもいいのにそんな様子も
感じられない。
何より周囲の様子に注意する様な感じも無い。
(どんどんホテルから遠ざかりますね……。どうしましょう?)
ことみの明らかに変な様子を見ながら、ネリネは思案する。
このまま彼女の後をつけてホテルを離れるのも限度がある。
それに、もう一人行方のわからないあの男がホテルに戻って亜沙達と合流する可能性も
捨てきれないし、今彼女が向かっている先にいる可能性もある。
このまま彼女の後をつけてホテルを離れるのも限度がある。
それに、もう一人行方のわからないあの男がホテルに戻って亜沙達と合流する可能性も
捨てきれないし、今彼女が向かっている先にいる可能性もある。
(ならば、ここで襲った方がいいでしょうね。それに……あの武器は惜しいです)
ネリネの視線はことみの右手に握られたイングラムM10に向けられる。
あれがあれば、今まで以上に戦いやすくなるだろう。
しかも、それなりの時間をかけて追跡したが、彼女はこちらに気付く様子も無い。
あれがあれば、今まで以上に戦いやすくなるだろう。
しかも、それなりの時間をかけて追跡したが、彼女はこちらに気付く様子も無い。
仕掛けるならば今しかないだろう。
そう考えたネリネは隠れていた木陰から一気に飛び出し、ことみの背後に迫る。
そう考えたネリネは隠れていた木陰から一気に飛び出し、ことみの背後に迫る。
そして、手にしていた“献身”の柄でことみの後頭部を思いっきり殴りつけたのである。
一方、殴られたことみは遂に最後までネリネの方を振り返ろうとはしなかった。
殴られるやイングラムを取り落とし、後頭部に右手をあててうつ伏せに倒れ、そのまま
気絶してしまったのである。
殴られるやイングラムを取り落とし、後頭部に右手をあててうつ伏せに倒れ、そのまま
気絶してしまったのである。
「ここまで上手くいくと、なんだが拍子抜けしますね……」
地面に落ちたイングラムを拾い上げ、ことみの持っていたディパックを回収したネリネは、
まだ倒れたままのことみを見下ろしながら呟く。
まだ倒れたままのことみを見下ろしながら呟く。
背後からの一突きで仕留めなかったのは血の臭いで他の参加者を呼び寄せたくなかったからである。
シャワーを浴びてから気付いた事だが、やはり血の臭いというのは時間が経ってもかなり臭うものだ。
それなら、心臓への一突きよりもむしろ打撃によって気絶させた方がいいというもの。
ネリネの判断はそういうものだったのである。
シャワーを浴びてから気付いた事だが、やはり血の臭いというのは時間が経ってもかなり臭うものだ。
それなら、心臓への一突きよりもむしろ打撃によって気絶させた方がいいというもの。
ネリネの判断はそういうものだったのである。
「さて、どうしましょうか?この方を」
ネリネは“献身”をことみの後頭部へむけたまま考える。
本来の目的からすれば、ここで後腐れなく殺してしまうのが普通。
だが、武器をとりあげた以上は抵抗されても簡単に排除できるだろう。
それに、あの男がいつこちらに来るかわからないというのもある。
本来の目的からすれば、ここで後腐れなく殺してしまうのが普通。
だが、武器をとりあげた以上は抵抗されても簡単に排除できるだろう。
それに、あの男がいつこちらに来るかわからないというのもある。
(死体を発見してホテルに戻られるより、負傷したこの方を介抱するのに時間を潰してくれれば、
こちらとしても時間稼ぎができますね)
こちらとしても時間稼ぎができますね)
時間稼ぎというのは、勿論ホテル内にいる亜沙ともう一人の少女を始末する為の時間である。
(ですが……、ここに転がしておいてはすぐ発見されますし……)
それならばとネリネはことみの背中、その首根っこを掴むとズルズルと茂みに引きずり込んだ。
ここだったらまず見つかることはないだろう。
ここだったらまず見つかることはないだろう。
(本来なら殺しているところですが、今回だけはこの銃に免じて見逃してさしあげますわ)
ことみを一瞥したネリネはその場から足早に離れ、ホテルへと戻っていった。
コントロール室に戻ったネリネはすぐに奪い取ったディパックの中身を確認する。
入っていたのは支給品一式にイングラムの予備マガジンが4本、オレンジ色のジャムと
さらにもう一つのディパック。
そして最後に『参加者の術、魔法一覧』とタイトルのついたファイルが出てきた。
入っていたのは支給品一式にイングラムの予備マガジンが4本、オレンジ色のジャムと
さらにもう一つのディパック。
そして最後に『参加者の術、魔法一覧』とタイトルのついたファイルが出てきた。
(これはまた……すごいものですね)
そのファイルを開いたネリネは思わず笑みをこぼす。
ファイルにはタイトルに違わず、参加者の使う術や魔法に関してが細かく記されている。
リストの中で魔法を使えるものを倒して魔力を奪いとれば、自分の魔力を回復するのも
容易いだろう。
ファイルにはタイトルに違わず、参加者の使う術や魔法に関してが細かく記されている。
リストの中で魔法を使えるものを倒して魔力を奪いとれば、自分の魔力を回復するのも
容易いだろう。
「それならば、まず最初は時雨先輩の魔力をいただきましょうか」
そう言ったネリネはディパックからウィンドブレーカーを取り出すとそれを私服の上に
羽織る。
せっかく着替えた服をまた血で汚すのはいい気がしないし、なにより変装にもなる。
羽織る。
せっかく着替えた服をまた血で汚すのはいい気がしないし、なにより変装にもなる。
既に髪を染め、髪型も変えたのだから亜沙といえどもそう簡単に今の自分の姿をみて、
ネリネその人であると見破る事は出来ないであろう。
ネリネその人であると見破る事は出来ないであろう。
そして、武器類を除く他の支給品を一つのディパックにまとめたネリネは再び制御コンピュータの
前に座り、再び制御システムの操作を開始したのである。
前に座り、再び制御システムの操作を開始したのである。
【D-5 ホテル1階コントロール室 /1日目 午後】
【ネリネ@SHUFFLE】
【装備:永遠神剣第七位“献身” コントロール室の鍵、ホテル内の見取り図ファイル】
【所持品1:支給品一式 IMI デザートイーグル 9/10+1 IMI デザートイーグル の予備マガジン10 九十七式自動砲 弾数2/7
S&W M37 エアーウェイト 弾数1/5 出刃包丁@ひぐらしのなく頃に 祭 コンバットナイフ イングラムM10(9ミリパラベラム弾17/32)
イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×4】
【所持品2:支給品一式 トカレフTT33の予備マガジン10 洋服・アクセサリー・洗髪剤いずれも複数、食料品・飲み物多数】
【所持品3: 朝倉音夢の生首(左目損失・ラム酒漬け) 朝倉音夢の制服 桜の花びら】
【所持品4:謎ジャム(半分消費)@Kanon、『参加者の術、魔法一覧』、四葉のデイパック】
【状態:肉体的疲労はほぼ解消・魔力消費中、腹部に痣(消えかけ)、左腕打撲、右耳に裂傷、左足首に切り傷、非常に強い意志】
【思考・行動】
1:ホテルにやって来る者、あるいは既にいる者を監視。発見次第、稟以外は皆殺しにする(当面の標的は亜沙とあゆ)
2:稟を探す。その途中であった人間は皆殺し。知人であろうとも容赦無く殺す(出来る限り単独行動している者を狙う)
3:ハイリスク覚悟で魔力を一気に回復する為の方法、或いはアイテムを探す
4:トウカを殺し、楓の仇を討つ
5:純一に音夢の生首を浸したラム酒を飲ませ、最後に音夢の生首を見せつけ殺す
6:つぐみの前で武を殺して、その後つぐみも殺す
7:亜沙の一団と決着をつける
8:桜の花びらが気になる
9:稟を守り通して自害
10:最悪、稟が死亡した時は稟の遺体を持ち帰るために優勝を目指す。
【装備:永遠神剣第七位“献身” コントロール室の鍵、ホテル内の見取り図ファイル】
【所持品1:支給品一式 IMI デザートイーグル 9/10+1 IMI デザートイーグル の予備マガジン10 九十七式自動砲 弾数2/7
S&W M37 エアーウェイト 弾数1/5 出刃包丁@ひぐらしのなく頃に 祭 コンバットナイフ イングラムM10(9ミリパラベラム弾17/32)
イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×4】
【所持品2:支給品一式 トカレフTT33の予備マガジン10 洋服・アクセサリー・洗髪剤いずれも複数、食料品・飲み物多数】
【所持品3: 朝倉音夢の生首(左目損失・ラム酒漬け) 朝倉音夢の制服 桜の花びら】
【所持品4:謎ジャム(半分消費)@Kanon、『参加者の術、魔法一覧』、四葉のデイパック】
【状態:肉体的疲労はほぼ解消・魔力消費中、腹部に痣(消えかけ)、左腕打撲、右耳に裂傷、左足首に切り傷、非常に強い意志】
【思考・行動】
1:ホテルにやって来る者、あるいは既にいる者を監視。発見次第、稟以外は皆殺しにする(当面の標的は亜沙とあゆ)
2:稟を探す。その途中であった人間は皆殺し。知人であろうとも容赦無く殺す(出来る限り単独行動している者を狙う)
3:ハイリスク覚悟で魔力を一気に回復する為の方法、或いはアイテムを探す
4:トウカを殺し、楓の仇を討つ
5:純一に音夢の生首を浸したラム酒を飲ませ、最後に音夢の生首を見せつけ殺す
6:つぐみの前で武を殺して、その後つぐみも殺す
7:亜沙の一団と決着をつける
8:桜の花びらが気になる
9:稟を守り通して自害
10:最悪、稟が死亡した時は稟の遺体を持ち帰るために優勝を目指す。
【備考】
現在は髪を鮮やかなオレンジに染め、髪は赤いリボンでポニーテールにしています。
私服(ゲーム時の私服に酷似。ただし高級品)に着替えました。(汚れた制服と前の私服はビニールに包んでデイパックの中に)
ネリネの魔法(体育館を吹き飛ばしたやつ)は使用不可能です。
私服の上からウィンドブレーカーをはおっています。
※これはネリネは魔力は大きいけどコントロールは下手なので、 制限の結果使えなくなっただけで他の魔法を使えるキャラの制限とは違う可能性があります。
※永遠神剣第七位“献身”は神剣っていってますが、形は槍です。
現在は髪を鮮やかなオレンジに染め、髪は赤いリボンでポニーテールにしています。
私服(ゲーム時の私服に酷似。ただし高級品)に着替えました。(汚れた制服と前の私服はビニールに包んでデイパックの中に)
ネリネの魔法(体育館を吹き飛ばしたやつ)は使用不可能です。
私服の上からウィンドブレーカーをはおっています。
※これはネリネは魔力は大きいけどコントロールは下手なので、 制限の結果使えなくなっただけで他の魔法を使えるキャラの制限とは違う可能性があります。
※永遠神剣第七位“献身”は神剣っていってますが、形は槍です。
※永遠神剣第七位“献身”は制限を受けて、以下のような性能となっています。
永遠神剣の自我は消し去られている。
魔力を送れば送る程、所有者の身体能力を強化する(但し、原作程圧倒的な強化は不可能)。
魔力持ちの敵に突き刺せば、ある程度魔力を奪い取れる。
以下の魔法が使えます。
永遠神剣の自我は消し去られている。
魔力を送れば送る程、所有者の身体能力を強化する(但し、原作程圧倒的な強化は不可能)。
魔力持ちの敵に突き刺せば、ある程度魔力を奪い取れる。
以下の魔法が使えます。
尚、使える、といってもウインドウィスパー以外は、実際に使った訳では無いので、どの位の強さなのかは後続の書き手に委ねます。
アースプライヤー 回復魔法。単体回復。大地からの暖かな光によって、マナが活性化し傷を癒す。
ウィンドウィスパー 防御魔法。風を身体の周りに纏うことで、僅かな間だけ防御力を高める。
ハーベスト 回復魔法。全体回復。戦闘域そのものを活性化させ、戦う仲間に力を与える。
アースプライヤー 回復魔法。単体回復。大地からの暖かな光によって、マナが活性化し傷を癒す。
ウィンドウィスパー 防御魔法。風を身体の周りに纏うことで、僅かな間だけ防御力を高める。
ハーベスト 回復魔法。全体回復。戦闘域そのものを活性化させ、戦う仲間に力を与える。
※古手梨花を要注意人物と判断(容姿のみの情報)
※音夢とつぐみの知り合いに関する情報を知っています。
※音夢の生首はビニール袋へ詰め込みラム酒漬けにした上、ディパックの中に入れてます。
※魔力が極端に消耗する事と、回復にひどく時間がかかる(ネリネの魔力なら完全回復まで数日)という事に気が付きました。
※トウカと、川澄舞(舞に関しては外見の情報のみ)を危険人物と認識しました。
※千影の“時詠”を警戒。ただし“時詠”の能力までは把握していません。
※魔力持ち及び永遠神剣の持ち主を献身で殺せばさらに魔力が回復する仮説を思いつきました。
※ある程度他の永遠神剣の気配を感じ取れます。
※桜の花びらは管理者の一人である魔法の桜のものです。
※見取り図によってホテルの内部構造をかなり熟知しています。
※現在、コントロール室の鍵は内側からかけられています。
※回収したディパックは武器を入れたものに丸ごと突っ込んで移動に支障が無いようにしています。
※音夢とつぐみの知り合いに関する情報を知っています。
※音夢の生首はビニール袋へ詰め込みラム酒漬けにした上、ディパックの中に入れてます。
※魔力が極端に消耗する事と、回復にひどく時間がかかる(ネリネの魔力なら完全回復まで数日)という事に気が付きました。
※トウカと、川澄舞(舞に関しては外見の情報のみ)を危険人物と認識しました。
※千影の“時詠”を警戒。ただし“時詠”の能力までは把握していません。
※魔力持ち及び永遠神剣の持ち主を献身で殺せばさらに魔力が回復する仮説を思いつきました。
※ある程度他の永遠神剣の気配を感じ取れます。
※桜の花びらは管理者の一人である魔法の桜のものです。
※見取り図によってホテルの内部構造をかなり熟知しています。
※現在、コントロール室の鍵は内側からかけられています。
※回収したディパックは武器を入れたものに丸ごと突っ込んで移動に支障が無いようにしています。
【D-5 ホテル(最上階・ロイヤルスイート/1日目 午後】
【大空寺あゆ@君が望む永遠】
【装備:S&W M10 (2/6) 防弾チョッキ】
【所持品:予備弾丸17発・支給品一式 閃光弾セット(発煙筒(白)x1 催涙弾x1)】
【状態:肋骨左三本骨折・右一本骨折、肉体的疲労軽度】
【思考・行動】
0:空調のきいた部屋へルームチェンジする
1:当面の目的地を決める(ホテルに留まる気持ち大)
2:なるべく神社方面には行かない
3:良美を警戒
4:一応殺し合いに乗るつもりはない
【装備:S&W M10 (2/6) 防弾チョッキ】
【所持品:予備弾丸17発・支給品一式 閃光弾セット(発煙筒(白)x1 催涙弾x1)】
【状態:肋骨左三本骨折・右一本骨折、肉体的疲労軽度】
【思考・行動】
0:空調のきいた部屋へルームチェンジする
1:当面の目的地を決める(ホテルに留まる気持ち大)
2:なるべく神社方面には行かない
3:良美を警戒
4:一応殺し合いに乗るつもりはない
【備考】
※亜沙から第一回放送の禁止エリアについて聞きました。
※赤坂が遥を殺したかもしれないと疑っています(赤坂と遥の名前は知りません)
※ことみが恋太郎を殺害したと判断しています
※亜沙を信用。ことみが人殺しという疑惑が強まっています。良美も危険人物として警戒。
※ハクオロを危険人物と認識。
※閃光弾セット
発煙筒(白)二本と催涙弾一本、閃光弾一本のセット。
※亜沙から第一回放送の禁止エリアについて聞きました。
※赤坂が遥を殺したかもしれないと疑っています(赤坂と遥の名前は知りません)
※ことみが恋太郎を殺害したと判断しています
※亜沙を信用。ことみが人殺しという疑惑が強まっています。良美も危険人物として警戒。
※ハクオロを危険人物と認識。
※閃光弾セット
発煙筒(白)二本と催涙弾一本、閃光弾一本のセット。
【時雨亜沙@SHUFFLE! ON THE STAGE】
【装備:無し】
【所持品:支給品一式、C120入りのアンプル×8と注射器@ひぐらしのなく頃に】
【所持品2:イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×4、ゴルフクラブ】
【状態:悲しい、体力限界(少し回復)、精神的疲労大、魔力消費大。左肩軽傷。ロングヘアー】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
1:楓……
2:ことみを心配
3:ネリネを止める
4:可能ならば稟と合流
5:同志を集めてタカノたちを倒す
【装備:無し】
【所持品:支給品一式、C120入りのアンプル×8と注射器@ひぐらしのなく頃に】
【所持品2:イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×4、ゴルフクラブ】
【状態:悲しい、体力限界(少し回復)、精神的疲労大、魔力消費大。左肩軽傷。ロングヘアー】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
1:楓……
2:ことみを心配
3:ネリネを止める
4:可能ならば稟と合流
5:同志を集めてタカノたちを倒す
【備考】
※あゆを信用。ことみと微妙なすれ違い。良美に対しては困惑の感情。
※ハクオロが四葉を殺害したと思っています
※楓が恋太郎を殺したという事実を認める事が出来ていません
※C120は『雛見沢症候群』治療薬だが、健常者に使用すると10分以内に全身の発疹、発熱、瞳孔の拡大、妄想を引き起こす薬です。
症候群を抑えるには1日数回の注射が必要です。
亜沙・ことみはC120の効果を知りません。
※あゆを信用。ことみと微妙なすれ違い。良美に対しては困惑の感情。
※ハクオロが四葉を殺害したと思っています
※楓が恋太郎を殺したという事実を認める事が出来ていません
※C120は『雛見沢症候群』治療薬だが、健常者に使用すると10分以内に全身の発疹、発熱、瞳孔の拡大、妄想を引き起こす薬です。
症候群を抑えるには1日数回の注射が必要です。
亜沙・ことみはC120の効果を知りません。
※亜沙の回復魔法は制限を受けて以下のような感じになっています。
回復魔法の発動には、魔力と体力の両方を大きく消費する。
治す怪我が酷ければ酷いほど、亜沙の消耗は激しくなる。
命に関わるような重傷は治せない。また切り落とされる等して、失った部位も治せない。
回復魔法の発動には、魔力と体力の両方を大きく消費する。
治す怪我が酷ければ酷いほど、亜沙の消耗は激しくなる。
命に関わるような重傷は治せない。また切り落とされる等して、失った部位も治せない。
※設定はゲーム版。よってアニメ版の黒楓は知らず。
【D-5の茂みの中/1日目 午後】
【一ノ瀬ことみ@CLANNAD】
【装備:なし】
【所持品:なし】
【状態:気絶中、肉体的疲労中、腹部に軽い打撲、精神的疲労中、後頭部に打撲】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
0:気絶中
1:朋也くん……
2:亜沙を心配
3:身体を休ませる
4:神社から離れる
5:工場に向かい爆弾の材料を入手する(但し知人の居場所に関する情報が手に入った場合は、この限りでない)
6:鷹野の居場所を突き止める
7:ネリネとハクオロを強く警戒
8:ハクオロに微妙な罪悪感
【装備:なし】
【所持品:なし】
【状態:気絶中、肉体的疲労中、腹部に軽い打撲、精神的疲労中、後頭部に打撲】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
0:気絶中
1:朋也くん……
2:亜沙を心配
3:身体を休ませる
4:神社から離れる
5:工場に向かい爆弾の材料を入手する(但し知人の居場所に関する情報が手に入った場合は、この限りでない)
6:鷹野の居場所を突き止める
7:ネリネとハクオロを強く警戒
8:ハクオロに微妙な罪悪感
※現在気絶しています。目が覚めれば自失状態は回復します。
※ことみがどちらに向かうかは次の書き手さんにお任せします。
※ハクオロが四葉を殺害したと思っています。
※首輪の盗聴に気付いています。
※魔法についての分析を始めました。
※あゆは亜沙とっては危険ではない人物と判断。自分にとっては危険人物。
良美に不信感。
※良美のNGワードが『汚い』であると推測
※ことみがどちらに向かうかは次の書き手さんにお任せします。
※ハクオロが四葉を殺害したと思っています。
※首輪の盗聴に気付いています。
※魔法についての分析を始めました。
※あゆは亜沙とっては危険ではない人物と判断。自分にとっては危険人物。
良美に不信感。
※良美のNGワードが『汚い』であると推測
ホテルについて
建物は高さ数十メートル、地上15階建てぐらい。
1階のコントロール室からはホテル内の照明、空調などを制御可能。
さらに監視カメラで人間の動きを知る事が可能。
地下はテナントエリアと従業員のエリア、他に駐車場や倉庫が存在する。
建物は高さ数十メートル、地上15階建てぐらい。
1階のコントロール室からはホテル内の照明、空調などを制御可能。
さらに監視カメラで人間の動きを知る事が可能。
地下はテナントエリアと従業員のエリア、他に駐車場や倉庫が存在する。
133:ミエス・カウート(高位の剣) | 投下順に読む | 135:青空に羽ばたく鳥の詩 |
133:ミエス・カウート(高位の剣) | 時系列順に読む | 135:青空に羽ばたく鳥の詩 |
125:魔法少女の探索。 | ネリネ | 138:Hunting Field(前編) |
127:放送がもたらしたもの | 一ノ瀬ことみ | 138:Hunting Field(前編) |
127:放送がもたらしたもの | 大空寺あゆ | 138:Hunting Field(前編) |
127:放送がもたらしたもの | 時雨亜沙 | 138:Hunting Field(前編) |