聖者の行進 ◆Qz0e4gvs0s
傷を治療するため、商店街の南部の薬局に入った圭一と美凪は、包帯や消毒液を回収する。
圭一の肩にある刺し傷には、赤黒い塊が付着していた。
美凪は、そこに消毒液を染み込ませると、手早く包帯を巻いていった。
「遠野さん。ありがとうな」
「えっへん」
和ませるように、胸を張って自慢する。
先程まで沈んでいた圭一の心にも、温かい炎が宿る。
二人は薬局から出ると、大きく深呼吸して気持ちを改めた。
「よし! それじゃあ仲間を集めるために学こ――」
圭一の宣言を掻き消すような衝撃音が、二人の耳に届く。
「な、何だ!?」
「前原さん……あれ」
美凪が指差した先は、煙の上がった建物――自分達が行く先を残した場所だった。
「燃え、てる?」
「たぶん病院です」
圭一は悩むより走り出そうとしていた。
もし誰かいるならば、もしそこで誰かが争っているならば、そんな事はやめさせたい。
そんな圭一の袖を、美凪がギュッと掴む。
「待って下さい」
「止めないでくれ遠野さん! 誰かいるかもしれないんだ!」
「止めません」
「なら――」
「だから、これで行きませんか?」
美凪の掌の上には一本の鍵。そして、指差した先には一台の原付車。
どうやら薬局の主の物らしく、白いボディに薬局名がペイントされていた。
「遠野さん、運転できるのか!?」
「いえ。残念ながら。だから、前原さんにお願いします」
「で、でもよ。それで遠野さんに怪我なんかさせたら」
「大丈夫」
美凪は圭一の拳を両手で包むと、労わるように触れた。
「私が後ろから支えます」
「遠野さん……」
「夜ではありませんが、盗んだバイクで走り出しましょう」
悪戯っぽく微笑むその姿に、圭一は破顔した。
「よっしゃぁ! しっかり掴まってくれよ遠野さん!」
「ごーごー」
勇気をもらった圭一は、運転席のシートに腰を下ろす。
その背中から支えるように、美凪は圭一の腰に手を回した。
二人を乗せた原付車は、任せろと言わんばかりに排気ガスを吐き出す。
バーハンドルを握った圭一は、臆する事無くフルスロットルで走り出した。
圭一の肩にある刺し傷には、赤黒い塊が付着していた。
美凪は、そこに消毒液を染み込ませると、手早く包帯を巻いていった。
「遠野さん。ありがとうな」
「えっへん」
和ませるように、胸を張って自慢する。
先程まで沈んでいた圭一の心にも、温かい炎が宿る。
二人は薬局から出ると、大きく深呼吸して気持ちを改めた。
「よし! それじゃあ仲間を集めるために学こ――」
圭一の宣言を掻き消すような衝撃音が、二人の耳に届く。
「な、何だ!?」
「前原さん……あれ」
美凪が指差した先は、煙の上がった建物――自分達が行く先を残した場所だった。
「燃え、てる?」
「たぶん病院です」
圭一は悩むより走り出そうとしていた。
もし誰かいるならば、もしそこで誰かが争っているならば、そんな事はやめさせたい。
そんな圭一の袖を、美凪がギュッと掴む。
「待って下さい」
「止めないでくれ遠野さん! 誰かいるかもしれないんだ!」
「止めません」
「なら――」
「だから、これで行きませんか?」
美凪の掌の上には一本の鍵。そして、指差した先には一台の原付車。
どうやら薬局の主の物らしく、白いボディに薬局名がペイントされていた。
「遠野さん、運転できるのか!?」
「いえ。残念ながら。だから、前原さんにお願いします」
「で、でもよ。それで遠野さんに怪我なんかさせたら」
「大丈夫」
美凪は圭一の拳を両手で包むと、労わるように触れた。
「私が後ろから支えます」
「遠野さん……」
「夜ではありませんが、盗んだバイクで走り出しましょう」
悪戯っぽく微笑むその姿に、圭一は破顔した。
「よっしゃぁ! しっかり掴まってくれよ遠野さん!」
「ごーごー」
勇気をもらった圭一は、運転席のシートに腰を下ろす。
その背中から支えるように、美凪は圭一の腰に手を回した。
二人を乗せた原付車は、任せろと言わんばかりに排気ガスを吐き出す。
バーハンドルを握った圭一は、臆する事無くフルスロットルで走り出した。
◇ ◇ ◇ ◇
崩壊しかけている病院内で争いが起きる少し前
咲耶は病院から離れ、次の目的地をどこにするか悩んでいた。
人が集まりそうで、かつ近い場所といえば住宅街だ。
だが、最初の地点から倉庫を経由し病院まで歩いた事で、体力を大きく消耗していた。
さらに、この島で動き回るには時間が掛かり過ぎる。
今この瞬間に、妹が危機に陥っているかもしれないのだ。
だから、時間も疲労も少なく出来る『足』が必要になる
(ま、どっちにしても住宅街までは徒歩よね)
そんな事を考えていた咲耶の耳に、耳障りな音が届く。
敵襲かと周囲を警戒するが、誰かが近くにいる様子はない。
だが、音は段々と大きくなっている。
動くものが無いか注意深く凝視して、ようやく咲耶は音の正体に気付く。
それは、馴染みはないもののよく目にする原付車だった。
「バイクのエンジン?」
普通のバイクと原付車の違いが判らない咲耶は、遠目から見た原付車をそう判断した。
乗っている人間までは確認できなかったが、二人なのは間違いない。
その二人は原付車を降りると、片方が何か叫びながら病院内へと入っていった。
一人は残っているようだが、それならばむしろ好都合だ。
「飛んで火に入る夏の虫ね」
咲耶はデイパックから銃を取り出すと、再び病院へと近付いていった。
思わぬ『足』と『虫』が、文字通り炎に包まれた『病院』に飛び込んだのだから。
咲耶は病院から離れ、次の目的地をどこにするか悩んでいた。
人が集まりそうで、かつ近い場所といえば住宅街だ。
だが、最初の地点から倉庫を経由し病院まで歩いた事で、体力を大きく消耗していた。
さらに、この島で動き回るには時間が掛かり過ぎる。
今この瞬間に、妹が危機に陥っているかもしれないのだ。
だから、時間も疲労も少なく出来る『足』が必要になる
(ま、どっちにしても住宅街までは徒歩よね)
そんな事を考えていた咲耶の耳に、耳障りな音が届く。
敵襲かと周囲を警戒するが、誰かが近くにいる様子はない。
だが、音は段々と大きくなっている。
動くものが無いか注意深く凝視して、ようやく咲耶は音の正体に気付く。
それは、馴染みはないもののよく目にする原付車だった。
「バイクのエンジン?」
普通のバイクと原付車の違いが判らない咲耶は、遠目から見た原付車をそう判断した。
乗っている人間までは確認できなかったが、二人なのは間違いない。
その二人は原付車を降りると、片方が何か叫びながら病院内へと入っていった。
一人は残っているようだが、それならばむしろ好都合だ。
「飛んで火に入る夏の虫ね」
咲耶はデイパックから銃を取り出すと、再び病院へと近付いていった。
思わぬ『足』と『虫』が、文字通り炎に包まれた『病院』に飛び込んだのだから。
◇ ◇ ◇ ◇
それよりも少し前、病院の入り口では武が呆然と立ち尽くしていた。
貴子の遺体の前で佇む武は、自嘲的な笑みを浮かべている。
起こってしまった悲劇を認める自分と、あの時こうすればと言う後悔が心を揺さぶる。
後悔しても貴子は蘇らない。頭では理解できても、すぐに納得できるはずもないのだ。
もし奇跡があるのならば、武は全てを投げ出し、それにすがりたかった。
だが、首を切断されながらも気高く笑っていた貴子の姿が、心の奥底に沈殿した決意を呼び起こす。
「ああ……そうだったな」
貴子にも言ったではないか。自分はつぐみと合流し、子供達のもとに帰るまで死ねないと。
貴子の髪を結んでいたリボンの片方をほどき、それを拳で強く握ると、武は自身の顔面を殴った。
一度目は新たな決意表明。二度目は貴子への誓い。三度目は生き抜くという覚悟。
殴っている最中折れた歯を口から吐き出すと、武は病院の中へと戻ろうとする。
貴子の死体を野ざらしには出来ない。だからせめて、シーツで覆っておく事にしたのだ。
だが、入り口に立ったところで気付く。中にはまだ土見稟という危険な男がいるのだ。
(慎重にいくか)
武器は投げナイフしかないが、素手で飛び込むよりマシだ。
いまだにあちこちで火の手があがる中、武は階段の手前まで進む。
どうやら、まだ一階まで降りてきてはいないらしい。
音を立てないように階段に足を掛けていく。
と、階段を登る最中、爆音が鳴り響き病院を大きく揺らす。
手すりに掴まりながら二階に到着して、音の原因に気付いた。
下の階から火が移ったのか、給水所らしき場所が黒い煙をあげて燃え盛っているのだ。
(こりゃ、早い所立ち去らないと不味いな)
階段の近くにあった備品室の扉に手を掛けるが、振動で歪んだのか扉が開かない。
仕方がないので、病室からシーツを拝借する事にする。
徐々に煙が充満しつつある廊下を走りながら、武は近くの病室へ入ろうとする。
その時、窓の外から炎とは少し違う音が微かに聞こえた気がした。
(何だ!?)
気になって窓に近寄ると、病院に向かって走ってくる原付車が目に映った。
運転しているのも、後ろに乗っているのも自分より小さな少年少女だ。
その後ろに乗っていた少女が、こちらに向かって指を差す。
運転していた少年も武に気付いたらしく、何かを叫んでいる。
「馬鹿! 入ってごほッ、ごほっ」
叫ぼうとしたものの、煙が気管に入り大きな声が出ない。
結果、武の声が聞こえていなかった二人は、原付車を降りて走り寄ってくる。
「何考えてんだ!」
崩壊しかかっている場所に入るなんてどうかしている。
武は急いで病室に入りシーツをデイパックに詰めると、病室から出た。
この時、早く二人を退避させる事で頭が一杯だった武は、警戒すべき人物を忘れていた。
病室から武が飛び出すのと、一直線に飛んでくる凶器が重なるのはほぼ同時。
「いッ、ぐぁ」
襲い掛かってきた投げナイフは、武の頬を貫通して口内まで侵入してくる。
「げはっ、っは」
突き刺さるナイフに気を取られて、近付いてきた稟の影に気が付かない。
「殺されてたまるかぁぁぁぁあああああ!!」
稟は鉄扇を畳んだまま、武の頭を力一杯殴りつけようとする。
痛みに負けそうになりながら、瞬間的に危機を感じた武は頭を伏せる。
鉄扇を持った腕は空振り、稟は勢い余って転倒してしまう。
「ごぉ……ぉぁあッ!」
頬のナイフを両手で抜き取る。抜き去った際に口の中に血の海となったが、吐き出して我慢した。
転倒した稟も、すぐさま立ち上がり鉄扇を武に向ける。
「やっぱり、殺し合いに乗ってたのか……」
「黙れ! お前さえいなければ! くそっ! どうあっても俺を殺す気だな!?」
血を抜いて冷静になった武と対照的に、稟の言動は支離滅裂だった。
武も抜き取った投げナイフを構え、稟を警戒する。
とは言え、投げナイフと鉄扇では、間合いも強度も違い過ぎる。
どちらも身動き一つせず睨み合い続けた。その最中、武の背中から別の声が響く。
「二人ともここは危険だ! 武器を収めて避難してくれ!」
貴子の遺体の前で佇む武は、自嘲的な笑みを浮かべている。
起こってしまった悲劇を認める自分と、あの時こうすればと言う後悔が心を揺さぶる。
後悔しても貴子は蘇らない。頭では理解できても、すぐに納得できるはずもないのだ。
もし奇跡があるのならば、武は全てを投げ出し、それにすがりたかった。
だが、首を切断されながらも気高く笑っていた貴子の姿が、心の奥底に沈殿した決意を呼び起こす。
「ああ……そうだったな」
貴子にも言ったではないか。自分はつぐみと合流し、子供達のもとに帰るまで死ねないと。
貴子の髪を結んでいたリボンの片方をほどき、それを拳で強く握ると、武は自身の顔面を殴った。
一度目は新たな決意表明。二度目は貴子への誓い。三度目は生き抜くという覚悟。
殴っている最中折れた歯を口から吐き出すと、武は病院の中へと戻ろうとする。
貴子の死体を野ざらしには出来ない。だからせめて、シーツで覆っておく事にしたのだ。
だが、入り口に立ったところで気付く。中にはまだ土見稟という危険な男がいるのだ。
(慎重にいくか)
武器は投げナイフしかないが、素手で飛び込むよりマシだ。
いまだにあちこちで火の手があがる中、武は階段の手前まで進む。
どうやら、まだ一階まで降りてきてはいないらしい。
音を立てないように階段に足を掛けていく。
と、階段を登る最中、爆音が鳴り響き病院を大きく揺らす。
手すりに掴まりながら二階に到着して、音の原因に気付いた。
下の階から火が移ったのか、給水所らしき場所が黒い煙をあげて燃え盛っているのだ。
(こりゃ、早い所立ち去らないと不味いな)
階段の近くにあった備品室の扉に手を掛けるが、振動で歪んだのか扉が開かない。
仕方がないので、病室からシーツを拝借する事にする。
徐々に煙が充満しつつある廊下を走りながら、武は近くの病室へ入ろうとする。
その時、窓の外から炎とは少し違う音が微かに聞こえた気がした。
(何だ!?)
気になって窓に近寄ると、病院に向かって走ってくる原付車が目に映った。
運転しているのも、後ろに乗っているのも自分より小さな少年少女だ。
その後ろに乗っていた少女が、こちらに向かって指を差す。
運転していた少年も武に気付いたらしく、何かを叫んでいる。
「馬鹿! 入ってごほッ、ごほっ」
叫ぼうとしたものの、煙が気管に入り大きな声が出ない。
結果、武の声が聞こえていなかった二人は、原付車を降りて走り寄ってくる。
「何考えてんだ!」
崩壊しかかっている場所に入るなんてどうかしている。
武は急いで病室に入りシーツをデイパックに詰めると、病室から出た。
この時、早く二人を退避させる事で頭が一杯だった武は、警戒すべき人物を忘れていた。
病室から武が飛び出すのと、一直線に飛んでくる凶器が重なるのはほぼ同時。
「いッ、ぐぁ」
襲い掛かってきた投げナイフは、武の頬を貫通して口内まで侵入してくる。
「げはっ、っは」
突き刺さるナイフに気を取られて、近付いてきた稟の影に気が付かない。
「殺されてたまるかぁぁぁぁあああああ!!」
稟は鉄扇を畳んだまま、武の頭を力一杯殴りつけようとする。
痛みに負けそうになりながら、瞬間的に危機を感じた武は頭を伏せる。
鉄扇を持った腕は空振り、稟は勢い余って転倒してしまう。
「ごぉ……ぉぁあッ!」
頬のナイフを両手で抜き取る。抜き去った際に口の中に血の海となったが、吐き出して我慢した。
転倒した稟も、すぐさま立ち上がり鉄扇を武に向ける。
「やっぱり、殺し合いに乗ってたのか……」
「黙れ! お前さえいなければ! くそっ! どうあっても俺を殺す気だな!?」
血を抜いて冷静になった武と対照的に、稟の言動は支離滅裂だった。
武も抜き取った投げナイフを構え、稟を警戒する。
とは言え、投げナイフと鉄扇では、間合いも強度も違い過ぎる。
どちらも身動き一つせず睨み合い続けた。その最中、武の背中から別の声が響く。
「二人ともここは危険だ! 武器を収めて避難してくれ!」
◇ ◇ ◇ ◇
目的地に辿り着いた圭一と美凪は、最初とは全く違う病院の姿に驚いていた。
所々から火の手が上がり、窓ガラスは割れ、壁が崩壊しかかっている。
「遠野さんは、ここで待っててくれ」
「前原さん……」
「大丈夫。中にいる人を助けたら、すぐ戻ってくるから」
圭一の目をジッと見つめる。
死地に行く目をしていたら止めていたが、圭一の目はその逆で、曇りなく輝いていた。
「解かりました」
美凪は手を振り圭一を送り出す。
その視線を背に受けて、圭一は再び病院へと足を踏み入れた。
病院内は既に煙で覆われており、温度もかなり上がっている。
「ごほっごほっ」
油断して煙を吸ってしまったが、気にせず階段へと向かう。
途中、自分達が写真と名前を貼り付けた場所を見つけたが、ちゃんと残っていた。
(あの二階に居た人、この写真見てくれたのかな)
階段の一段目に足を掛けた所で、二階から二つの叫び声が聞こえてきた。
(二人いるのか!?)
悩むより前に、圭一は全力で階段を駆け上がっていた。
廊下に飛び出すと、二人の男が緊張の面持ちで睨み合っていた。
片方は見たこと無いが、もう片方は先程窓から顔を出した男だ。
その手には、赤く染まったナイフが握られている。
(まさか、殺し合いに乗ってるのか!?)
双方に危険を感じつつも、避難するほうが先だと結論付ける。
意を決して、大声で呼びかける。
「二人ともここは危険だ! 武器を収めて避難してくれ!」
圭一の声に先に反応したのは、奥に居た男だった。
「お前も、この男と同じく乗った人間かぁ!」
「な」
男の怒声に、圭一は一瞬怯んでしまう。
やはり、最初に見た男は殺し合いに乗ってしまっていたのだろうか。
「この男のように殺し合いに乗ったんだな!」
圭一を責める様に、男は憎しみを込めて言葉を発する。
「違うッ! 俺達は殺し合いなんか――」
「煩い! くそっ、そっちがその気なら」
こちらの話を一方的に断ち切った男が、デイパックから銃を取り出しこちらに向けた。
「うぉぉぉぉぉおおおおお!!」
その男に対して、ナイフを持った男が突撃を仕掛けていく。
所々から火の手が上がり、窓ガラスは割れ、壁が崩壊しかかっている。
「遠野さんは、ここで待っててくれ」
「前原さん……」
「大丈夫。中にいる人を助けたら、すぐ戻ってくるから」
圭一の目をジッと見つめる。
死地に行く目をしていたら止めていたが、圭一の目はその逆で、曇りなく輝いていた。
「解かりました」
美凪は手を振り圭一を送り出す。
その視線を背に受けて、圭一は再び病院へと足を踏み入れた。
病院内は既に煙で覆われており、温度もかなり上がっている。
「ごほっごほっ」
油断して煙を吸ってしまったが、気にせず階段へと向かう。
途中、自分達が写真と名前を貼り付けた場所を見つけたが、ちゃんと残っていた。
(あの二階に居た人、この写真見てくれたのかな)
階段の一段目に足を掛けた所で、二階から二つの叫び声が聞こえてきた。
(二人いるのか!?)
悩むより前に、圭一は全力で階段を駆け上がっていた。
廊下に飛び出すと、二人の男が緊張の面持ちで睨み合っていた。
片方は見たこと無いが、もう片方は先程窓から顔を出した男だ。
その手には、赤く染まったナイフが握られている。
(まさか、殺し合いに乗ってるのか!?)
双方に危険を感じつつも、避難するほうが先だと結論付ける。
意を決して、大声で呼びかける。
「二人ともここは危険だ! 武器を収めて避難してくれ!」
圭一の声に先に反応したのは、奥に居た男だった。
「お前も、この男と同じく乗った人間かぁ!」
「な」
男の怒声に、圭一は一瞬怯んでしまう。
やはり、最初に見た男は殺し合いに乗ってしまっていたのだろうか。
「この男のように殺し合いに乗ったんだな!」
圭一を責める様に、男は憎しみを込めて言葉を発する。
「違うッ! 俺達は殺し合いなんか――」
「煩い! くそっ、そっちがその気なら」
こちらの話を一方的に断ち切った男が、デイパックから銃を取り出しこちらに向けた。
「うぉぉぉぉぉおおおおお!!」
その男に対して、ナイフを持った男が突撃を仕掛けていく。
◇ ◇ ◇ ◇
(あの少年……確か前原圭一?)
背中越しにみたその顔は、一階に貼り付けてあった写真と同一人物だった。
その圭一に銃を向けた稟を止めるため、武は怯まずに正面から突撃した。
そして、銃を持つ左手と鉄扇を持つ右手を何とか押さえる。
もの凄い力で剥がしに掛かる稟に潰されそうな武は、背中の圭一に声を掛ける。
「神社行け!」
「え?」
「俺の仲間が……脱出しようと誓った仲間が、まだそこにいるかもしれない!」
「で、でもアンタを助けなきゃ」
「早くしろ!」
武の怒声に、圭一はどうするべきか悩んでしまった。
そんな中、圭一より先に稟がその言葉に反応する。
「神社かぁぁ! お前達殺し合いに乗った参加者全員神社にいるんだな!」
「しまっ――」
「そんな事させるか! 誰もお前達に殺させはしない」
焦っていた武は、自分の犯してしまった重大なミスに気付く。
押さえつけている稟にまで、集合場所を教えてしまったのだ。
こうなったら、絶対に稟を逃がすわけにはいかない。
「行かせる……か!」
口に溜まった血を吐きつけ、稟を怯ませようと試みた。
だが、それより先に喉に銃口が当てられる。
予想していた弾丸では無いものの、何かがチクリと突き刺さる感触。
同時に、体内を不気味な蟲に占領されていく錯覚を起こす。
その不気味な感触で、押さえつけていた腕から力が抜けたのを見逃さず、稟は鉄扇を武の額に叩き込む。
「――」
額から鮮血を噴き出し、音も無く崩れ落ちる武。
そして、そのまま反応できないままの圭一を突撃して押し倒す。
左肩を怪我していたのか、押さえつけると苦痛で顔を引き攣らせた。
「お前もかぁぁぁぁぁああああ!!」
稟の振り上げた鉄扇が、圭一の頭上へと襲い掛かる。
「駄目!」
声挙げたのは、今までいなかった少女だった。
階段の影から突然現れた少女は、体ごと突撃して稟を突き飛ばす。
少女はそのまま廊下に転倒し、稟も遠くへ弾き飛ばされた。
「くそぉ! まだいたのかよ!」
よろめきながら立ち上がり、少女に銃を向ける。
だが、どこかで再び起きた爆発に、稟は頭を切り替えた。
(冷静になれ! ここでの無駄な時間は命取りだ!)
銃口を倒れる圭一と少女に向けながら、稟は階段へ向かい下へと降りていく。
襲い掛かってくると思い込んでいた圭一と少女は、稟がいなくなったの途端寄り合う。
「遠野さん! どうして付いてきたんだ!? 危ないからって――」
遠野と呼ばれた少女は、圭一が全てを言い終わる前に、武を指差した。
「それより、この人を助けましょう」
「あ、ああ」
二人が武に近付こうとする前に、倒れていた武は、壁を支えにしながらゆっくり立ち上がる。
「まてっ……ぐ」
立ち上がろうとするが、脳震盪を起こしているため膝に力が入らない。
「だ、大丈夫ですか!?」
圭一は、恐れる事無く武に肩を支える。
同じように、遠野と呼ばれた少女が反対側の肩を支えた。
ようやく立つ事が出来た武が窓の外を見ると、丁度稟が入り口に降り立った所だった。
そして、外に停めてあった原付車に飛び乗ると、即座に走り去っていってしまう。
(なんてこった)
武は二人に支えられながら、どうするべきか悩む。
そんな武を支えながら、二人は階段を下りて入り口を目指した。
現在の病院内は、殆どに煙が充満している。
風の流れで出口が判別できるが、扉が開いてなければ危険だった。
煙を必死で堪えながら、なんとか外に脱出したものの、すでに原付車の姿はどこにも無い。
(どうすればいい)
いくら原付車とはいえ、どんなに急いでも人間の足では追いつけるはずがない。
武は迂闊な発言をした自分に後悔していた。
「すみません。俺が飛び出さなけりゃ……」
隣で支えていた少年が、詫びるように言葉を掛ける。
「いや。むしろ助かった。ありがとうな前原圭一君。それに遠野美凪さん」
「ど、どうして俺達の名前を!?」
「びっくり」
「病院に顔写真を張ったのは君達だろ?」
まさか写真を見ていたとは思わなかったのか、圭一はかなり驚いていた。
「見てくれたんですね」
「素晴らしいで賞」
突然手渡されたお米券に戸惑いながらも、武は真剣な目で山のほうを見た。
「……ともかく、あの男を早く追わないとまずい」
「それより治療しませんか? 倉成武さん」
急ぐ武の頬に、美凪はそっとハンカチを当てる。
「っと、そいつはありがたいが……どうして俺の名を?」
「これです」
そう言って空いた手でデイパックを探る。
取り出したのは、島にいる参加者全員の顔写真付きのリスト。
「なるほどな。ああ、俺の傷なら心配しなくても平気だぜ」
「どうしてですか!?」
「ちょっと特殊な体でね。治りは遅いけど、ほれ」
二人に殴られた額を見せる。完治はしていないものの、出血は既に治まっていた。
「だから、手当てよりも神社に向かうほうが先決だ」
「でも、頬の傷は危険です。せめて応急処置だけでも」
譲らない武と美凪を見ていた圭一は、どちらも可能な状況はないか悩んでいた。
「あの男を追いながら、応急処置するには……」
「おいおい、移動しながら手当てって――」
だが、その言葉に何か閃いたのか、武はそれが実現可能か思案する。
「ナイスだ圭一!」
それが可能と判断した武は、二人から離れ得意げに胸を張った。
「ちょっと待っててくれ」
「え、あ、ちょっと!」
そう言うと、武はふらつきながらも、足早に病院の建物を通り過ぎて、その奥へと走っていった。
背中越しにみたその顔は、一階に貼り付けてあった写真と同一人物だった。
その圭一に銃を向けた稟を止めるため、武は怯まずに正面から突撃した。
そして、銃を持つ左手と鉄扇を持つ右手を何とか押さえる。
もの凄い力で剥がしに掛かる稟に潰されそうな武は、背中の圭一に声を掛ける。
「神社行け!」
「え?」
「俺の仲間が……脱出しようと誓った仲間が、まだそこにいるかもしれない!」
「で、でもアンタを助けなきゃ」
「早くしろ!」
武の怒声に、圭一はどうするべきか悩んでしまった。
そんな中、圭一より先に稟がその言葉に反応する。
「神社かぁぁ! お前達殺し合いに乗った参加者全員神社にいるんだな!」
「しまっ――」
「そんな事させるか! 誰もお前達に殺させはしない」
焦っていた武は、自分の犯してしまった重大なミスに気付く。
押さえつけている稟にまで、集合場所を教えてしまったのだ。
こうなったら、絶対に稟を逃がすわけにはいかない。
「行かせる……か!」
口に溜まった血を吐きつけ、稟を怯ませようと試みた。
だが、それより先に喉に銃口が当てられる。
予想していた弾丸では無いものの、何かがチクリと突き刺さる感触。
同時に、体内を不気味な蟲に占領されていく錯覚を起こす。
その不気味な感触で、押さえつけていた腕から力が抜けたのを見逃さず、稟は鉄扇を武の額に叩き込む。
「――」
額から鮮血を噴き出し、音も無く崩れ落ちる武。
そして、そのまま反応できないままの圭一を突撃して押し倒す。
左肩を怪我していたのか、押さえつけると苦痛で顔を引き攣らせた。
「お前もかぁぁぁぁぁああああ!!」
稟の振り上げた鉄扇が、圭一の頭上へと襲い掛かる。
「駄目!」
声挙げたのは、今までいなかった少女だった。
階段の影から突然現れた少女は、体ごと突撃して稟を突き飛ばす。
少女はそのまま廊下に転倒し、稟も遠くへ弾き飛ばされた。
「くそぉ! まだいたのかよ!」
よろめきながら立ち上がり、少女に銃を向ける。
だが、どこかで再び起きた爆発に、稟は頭を切り替えた。
(冷静になれ! ここでの無駄な時間は命取りだ!)
銃口を倒れる圭一と少女に向けながら、稟は階段へ向かい下へと降りていく。
襲い掛かってくると思い込んでいた圭一と少女は、稟がいなくなったの途端寄り合う。
「遠野さん! どうして付いてきたんだ!? 危ないからって――」
遠野と呼ばれた少女は、圭一が全てを言い終わる前に、武を指差した。
「それより、この人を助けましょう」
「あ、ああ」
二人が武に近付こうとする前に、倒れていた武は、壁を支えにしながらゆっくり立ち上がる。
「まてっ……ぐ」
立ち上がろうとするが、脳震盪を起こしているため膝に力が入らない。
「だ、大丈夫ですか!?」
圭一は、恐れる事無く武に肩を支える。
同じように、遠野と呼ばれた少女が反対側の肩を支えた。
ようやく立つ事が出来た武が窓の外を見ると、丁度稟が入り口に降り立った所だった。
そして、外に停めてあった原付車に飛び乗ると、即座に走り去っていってしまう。
(なんてこった)
武は二人に支えられながら、どうするべきか悩む。
そんな武を支えながら、二人は階段を下りて入り口を目指した。
現在の病院内は、殆どに煙が充満している。
風の流れで出口が判別できるが、扉が開いてなければ危険だった。
煙を必死で堪えながら、なんとか外に脱出したものの、すでに原付車の姿はどこにも無い。
(どうすればいい)
いくら原付車とはいえ、どんなに急いでも人間の足では追いつけるはずがない。
武は迂闊な発言をした自分に後悔していた。
「すみません。俺が飛び出さなけりゃ……」
隣で支えていた少年が、詫びるように言葉を掛ける。
「いや。むしろ助かった。ありがとうな前原圭一君。それに遠野美凪さん」
「ど、どうして俺達の名前を!?」
「びっくり」
「病院に顔写真を張ったのは君達だろ?」
まさか写真を見ていたとは思わなかったのか、圭一はかなり驚いていた。
「見てくれたんですね」
「素晴らしいで賞」
突然手渡されたお米券に戸惑いながらも、武は真剣な目で山のほうを見た。
「……ともかく、あの男を早く追わないとまずい」
「それより治療しませんか? 倉成武さん」
急ぐ武の頬に、美凪はそっとハンカチを当てる。
「っと、そいつはありがたいが……どうして俺の名を?」
「これです」
そう言って空いた手でデイパックを探る。
取り出したのは、島にいる参加者全員の顔写真付きのリスト。
「なるほどな。ああ、俺の傷なら心配しなくても平気だぜ」
「どうしてですか!?」
「ちょっと特殊な体でね。治りは遅いけど、ほれ」
二人に殴られた額を見せる。完治はしていないものの、出血は既に治まっていた。
「だから、手当てよりも神社に向かうほうが先決だ」
「でも、頬の傷は危険です。せめて応急処置だけでも」
譲らない武と美凪を見ていた圭一は、どちらも可能な状況はないか悩んでいた。
「あの男を追いながら、応急処置するには……」
「おいおい、移動しながら手当てって――」
だが、その言葉に何か閃いたのか、武はそれが実現可能か思案する。
「ナイスだ圭一!」
それが可能と判断した武は、二人から離れ得意げに胸を張った。
「ちょっと待っててくれ」
「え、あ、ちょっと!」
そう言うと、武はふらつきながらも、足早に病院の建物を通り過ぎて、その奥へと走っていった。
◇ ◇ ◇ ◇
原付を目一杯加速させながら、稟は走り続けた。
倉成武という男の話が真実ならば、神社には危険な参加者が多く存在する事になる。
もしそんな場所に、楓やネリネや亜沙がいれば、巻き込まれて危険な目にあってしまうだろう。
そうなってしまう前に、誰よりも先に神社に到着して探さなければならない。
(頼むっ、三人ともいてくれるな!)
喉を掻き毟りながら、稟は走り続ける。
ふと、喉を掻いていた爪を見て、慌てて手を振り払う。反動で、思わずブレーキをかけそうになった。
一瞬、爪の隙間に赤い幼虫がこびり付いている様に見えたのだ。
しかもその幼虫が、稟の指を這いずり回り、体内に侵入して来たのである。
頭を振り、もう一度爪を見てみると、そこには幼虫などおらず、わずかに血が付着しているだけだった。
(気のせいか)
この島に来てから、あまり休んだ記憶がない。それで幻覚が見えたのだろうと納得した。
両手でバーハンドルを握ると、再び速度を上昇させる。
そんな稟の背中からは、大量の汗が流れ落ちていた。
風を切っているのに、熱を帯びた肉体は一向に火照りが治まらない。
それどころか、ますます呼吸が荒くなり汗が噴き出る。
頭痛も殴られた様に酷くなり、酔ってもいないのに酷い吐き気がする。
(病院で風邪にでも感染したか?)
だからと言って休む暇などない。稟は地図を頭に浮かべながら走った。
(ここを曲がれば)
住宅街を駆け抜け、見えた先は『通学路』と表示される看板。
一度停車して、武器の確認を行う。こちらに敵意は無いといって、相手もそうだとは言い切れないからだ。
デイパックから銃を取り出し、念のため片方の薬を装填しておく。
同時に重たい鉄扇も腰に差して、再びバーハンドルを握り走り出す。
ガリッ、ガリッ……と左手で喉を掻きながら。
倉成武という男の話が真実ならば、神社には危険な参加者が多く存在する事になる。
もしそんな場所に、楓やネリネや亜沙がいれば、巻き込まれて危険な目にあってしまうだろう。
そうなってしまう前に、誰よりも先に神社に到着して探さなければならない。
(頼むっ、三人ともいてくれるな!)
喉を掻き毟りながら、稟は走り続ける。
ふと、喉を掻いていた爪を見て、慌てて手を振り払う。反動で、思わずブレーキをかけそうになった。
一瞬、爪の隙間に赤い幼虫がこびり付いている様に見えたのだ。
しかもその幼虫が、稟の指を這いずり回り、体内に侵入して来たのである。
頭を振り、もう一度爪を見てみると、そこには幼虫などおらず、わずかに血が付着しているだけだった。
(気のせいか)
この島に来てから、あまり休んだ記憶がない。それで幻覚が見えたのだろうと納得した。
両手でバーハンドルを握ると、再び速度を上昇させる。
そんな稟の背中からは、大量の汗が流れ落ちていた。
風を切っているのに、熱を帯びた肉体は一向に火照りが治まらない。
それどころか、ますます呼吸が荒くなり汗が噴き出る。
頭痛も殴られた様に酷くなり、酔ってもいないのに酷い吐き気がする。
(病院で風邪にでも感染したか?)
だからと言って休む暇などない。稟は地図を頭に浮かべながら走った。
(ここを曲がれば)
住宅街を駆け抜け、見えた先は『通学路』と表示される看板。
一度停車して、武器の確認を行う。こちらに敵意は無いといって、相手もそうだとは言い切れないからだ。
デイパックから銃を取り出し、念のため片方の薬を装填しておく。
同時に重たい鉄扇も腰に差して、再びバーハンドルを握り走り出す。
ガリッ、ガリッ……と左手で喉を掻きながら。
◇ ◇ ◇ ◇
病院まで近付いていた咲耶は、原付車にまであと少しと言った所で慌てて立ち止まる。
爆発音と共に、病院内から一人の男が飛び出してきたからだ。
男は咲耶が攻撃を仕掛ける隙も与えぬまま、原付車に跨り立ち去ってしまった。
(油断したわ)
もっと早く到着すれば、原付車を奪えたうえ一人殺せたかもしれない。
移動手段が奪われた以上、ここにいる意味はない。
咲耶は踵を返して住宅街を目指そうとしたが、病院の奥にある建物に目が留まった。
同時に、煙の充満する病院内から三つの影が浮かび上がり警戒する。
ここでダイナマイトを投下しても良いが、その中に妹がいれば危険だ。
(ともかく、あれを確認するべきね)
三人の処理は後回しにして、咲耶は奥にあった倉庫に移動した。
そこには、三台の救急車が配備されており、どれもが真新しく輝いていた。
(目立ってしまうけれど、時間短縮にはなるわね)
その中の一台に駆け寄り、運転席のドアを開ける。
鍵は掛かっていないようで、すんなり進入する事が出来た。
だが、すぐさま別の問題にぶち当たってしまう。
「おかしいわね。ペダルを踏んでも動き出さないなんて」
車の運転などしたことが無い咲耶は、エンジンのかけ方すら解かっていない。
近くにあったサイドブレーキやギアを適当に動かすが、救急車は全く動いてくれない。
そもそも、車のエンジンキーが刺さっていない事に気付いていないのが失敗だった。
何かヒントは無いかと念入りに周囲を見渡す。
石油の入ったポリタンクは、今後利用価値がありそうなので回収したが、収穫はそれだけだ。
実は、咲耶の死角に小さなキーボックスがあるのだが、彼女はそれに気付いていない。
「中に何か無いかしら」
救急車で移動する事を半ば諦めた咲耶は、救急車の後ろの扉を空けて中に進入する。
中は意外と広く、作りもしっかりしていた。
右端には頑丈なベットが備えてあり、左端には山になった毛布が積まれている。
(役に立ちそうなものはない……か)
体を屈めて車内を点検していた咲耶の耳に、何かぶつける様な音が飛び込む。
(誰か来た!?)
思わず叫びそうになった口を両手で押さえ、積んであった毛布の中に隠れる。
こちらは見つかれば袋の鼠状態である以上、下手に動いて見つかってはマズい。
暫くすると、扉が開いて誰かが車内に入ってきた気配がする。
「これは……よっと」
何か割れる音がする。警戒し過ぎて動きそうになるが、必死で押さえる。
どうやらその人物はこちらに気付かなかったらしく、すぐに車内から出て行った。
だがその数秒後、咲耶を乗せた救急車が突然動き出してしまう。
(誰かが運転してる?)
毛布から運転席を確認すると、見たことの無い青年がハンドルを握っていた。
「これなら追いつけるな」
青年は独り言を呟くと、喉を掻きながらハンドルを切った。
「よっと。おーい二人とも!」
助手席の窓を開け、誰かに声をかけている。
(さっきの三人組ね)
そのうち一人が、どうやってかは知らないが救急車を動かしたのだろう。
青年は車を停車させると、窓を開けて外の二人に声をかけた。
「これって」
「目立っちまうけど、徒歩よりは効率的だろ。治療器具も完備されてるしな」
窓の外から飛び込んできた声に、咲耶は複雑な表情を浮かべる。
(男が二人)
飛び出して虚を突く作戦も考えていたが、男が二人ではそれも難しい。
そもそも、車の外にいる男がどんな武装をしているかも判断できないのだ。
「圭一。悪いが後ろの扉を開けてきてくれ」
「あ、はい」
外に居た男の名は圭一と言うらしい。
毛布から後ろの扉を覗き見ると、自分と同じくらいの少年が姿を現す。
「この下は……何も無いんだな」
圭一と呼ばれた少年が、車内に入り右端のベットに掛けられたシーツをめくる。
ベットの下には、人が一人入れそうなスペースがあるだけで、他には何もない。
次に圭一が目をやったのは、運転席と後部席を隔てていたはずの窓だった。
「会話できないと寂しいだろ?」
車の外に降りたらしい青年の言葉は、おどけたような声だった。
「圭一はそこから毛布を二枚とってくれ。その間、美凪は手当てを頼む」
「はい」
「わかりました!」
車内から返事をした圭一は、自分の上に被さっている毛布を一枚、一枚と剥ぎ取っていく。
(こうなったら!)
緊張で息が詰まる中、咲耶は奇襲を仕掛けようと銃を強く握り締める。
だが、飛び出す前に圭一は車から降りてしまい、扉は一方的に閉められてしまう。
毛布から飛び出したときには、室内は暗くなっていた。
(出遅れた……)
ここまで思い通りにいかないと、さすがに腹が立ってくる。
いっそ飛び出してしまおうかと考えるが、唇を噛んで冷静さを保つ。
(下手に返り討ちされるよりも、この人達に付いて行くのが無難かしら)
外から聞こえてくる会話には、『仲間』と『集合』と『神社』という単語が多く含まれている。
現状の事だけを考えるならば、今すぐ三人を殺してしまうのが手っ取り早い。
だが、こちらの武装は十分とは言え、逃走手段が確実でない状態だ。
出来れば無傷で島から出たい以上、ここで三人を相手にする様な分の悪い賭けは出来ない。
やはり頃合を見て、三人が車から離れた隙に仕掛けるのが理想的か。
リーダー格らしい男の話が真実ならば、神社には相当の人数が集まるはず。
もしかしたら妹達がいれば合流できるし、いなければまとめて始末できる。
「よし、二人とも後ろに乗ってくれ!」
(マズい!)
少し考えているうちに、三人は出発の準備を整えてしまったらしい。
毛布の中に隠れるのをやめ、今度は右端に設置されたベットの下に潜り込む。
それと同時に、四本の足が自分に近付いてくる。
咲耶は飛び出しそうな心臓を押さえ、ジッと息を潜める。
そんな事とは露知らず、二人は自分の真上に腰掛けた。
(貴方達の命、到着まで預けておくわ)
ベットを支える柱に身を預けながら、咲耶は銃を真上に向けて笑った。
(それまで、よろしくね)
爆発音と共に、病院内から一人の男が飛び出してきたからだ。
男は咲耶が攻撃を仕掛ける隙も与えぬまま、原付車に跨り立ち去ってしまった。
(油断したわ)
もっと早く到着すれば、原付車を奪えたうえ一人殺せたかもしれない。
移動手段が奪われた以上、ここにいる意味はない。
咲耶は踵を返して住宅街を目指そうとしたが、病院の奥にある建物に目が留まった。
同時に、煙の充満する病院内から三つの影が浮かび上がり警戒する。
ここでダイナマイトを投下しても良いが、その中に妹がいれば危険だ。
(ともかく、あれを確認するべきね)
三人の処理は後回しにして、咲耶は奥にあった倉庫に移動した。
そこには、三台の救急車が配備されており、どれもが真新しく輝いていた。
(目立ってしまうけれど、時間短縮にはなるわね)
その中の一台に駆け寄り、運転席のドアを開ける。
鍵は掛かっていないようで、すんなり進入する事が出来た。
だが、すぐさま別の問題にぶち当たってしまう。
「おかしいわね。ペダルを踏んでも動き出さないなんて」
車の運転などしたことが無い咲耶は、エンジンのかけ方すら解かっていない。
近くにあったサイドブレーキやギアを適当に動かすが、救急車は全く動いてくれない。
そもそも、車のエンジンキーが刺さっていない事に気付いていないのが失敗だった。
何かヒントは無いかと念入りに周囲を見渡す。
石油の入ったポリタンクは、今後利用価値がありそうなので回収したが、収穫はそれだけだ。
実は、咲耶の死角に小さなキーボックスがあるのだが、彼女はそれに気付いていない。
「中に何か無いかしら」
救急車で移動する事を半ば諦めた咲耶は、救急車の後ろの扉を空けて中に進入する。
中は意外と広く、作りもしっかりしていた。
右端には頑丈なベットが備えてあり、左端には山になった毛布が積まれている。
(役に立ちそうなものはない……か)
体を屈めて車内を点検していた咲耶の耳に、何かぶつける様な音が飛び込む。
(誰か来た!?)
思わず叫びそうになった口を両手で押さえ、積んであった毛布の中に隠れる。
こちらは見つかれば袋の鼠状態である以上、下手に動いて見つかってはマズい。
暫くすると、扉が開いて誰かが車内に入ってきた気配がする。
「これは……よっと」
何か割れる音がする。警戒し過ぎて動きそうになるが、必死で押さえる。
どうやらその人物はこちらに気付かなかったらしく、すぐに車内から出て行った。
だがその数秒後、咲耶を乗せた救急車が突然動き出してしまう。
(誰かが運転してる?)
毛布から運転席を確認すると、見たことの無い青年がハンドルを握っていた。
「これなら追いつけるな」
青年は独り言を呟くと、喉を掻きながらハンドルを切った。
「よっと。おーい二人とも!」
助手席の窓を開け、誰かに声をかけている。
(さっきの三人組ね)
そのうち一人が、どうやってかは知らないが救急車を動かしたのだろう。
青年は車を停車させると、窓を開けて外の二人に声をかけた。
「これって」
「目立っちまうけど、徒歩よりは効率的だろ。治療器具も完備されてるしな」
窓の外から飛び込んできた声に、咲耶は複雑な表情を浮かべる。
(男が二人)
飛び出して虚を突く作戦も考えていたが、男が二人ではそれも難しい。
そもそも、車の外にいる男がどんな武装をしているかも判断できないのだ。
「圭一。悪いが後ろの扉を開けてきてくれ」
「あ、はい」
外に居た男の名は圭一と言うらしい。
毛布から後ろの扉を覗き見ると、自分と同じくらいの少年が姿を現す。
「この下は……何も無いんだな」
圭一と呼ばれた少年が、車内に入り右端のベットに掛けられたシーツをめくる。
ベットの下には、人が一人入れそうなスペースがあるだけで、他には何もない。
次に圭一が目をやったのは、運転席と後部席を隔てていたはずの窓だった。
「会話できないと寂しいだろ?」
車の外に降りたらしい青年の言葉は、おどけたような声だった。
「圭一はそこから毛布を二枚とってくれ。その間、美凪は手当てを頼む」
「はい」
「わかりました!」
車内から返事をした圭一は、自分の上に被さっている毛布を一枚、一枚と剥ぎ取っていく。
(こうなったら!)
緊張で息が詰まる中、咲耶は奇襲を仕掛けようと銃を強く握り締める。
だが、飛び出す前に圭一は車から降りてしまい、扉は一方的に閉められてしまう。
毛布から飛び出したときには、室内は暗くなっていた。
(出遅れた……)
ここまで思い通りにいかないと、さすがに腹が立ってくる。
いっそ飛び出してしまおうかと考えるが、唇を噛んで冷静さを保つ。
(下手に返り討ちされるよりも、この人達に付いて行くのが無難かしら)
外から聞こえてくる会話には、『仲間』と『集合』と『神社』という単語が多く含まれている。
現状の事だけを考えるならば、今すぐ三人を殺してしまうのが手っ取り早い。
だが、こちらの武装は十分とは言え、逃走手段が確実でない状態だ。
出来れば無傷で島から出たい以上、ここで三人を相手にする様な分の悪い賭けは出来ない。
やはり頃合を見て、三人が車から離れた隙に仕掛けるのが理想的か。
リーダー格らしい男の話が真実ならば、神社には相当の人数が集まるはず。
もしかしたら妹達がいれば合流できるし、いなければまとめて始末できる。
「よし、二人とも後ろに乗ってくれ!」
(マズい!)
少し考えているうちに、三人は出発の準備を整えてしまったらしい。
毛布の中に隠れるのをやめ、今度は右端に設置されたベットの下に潜り込む。
それと同時に、四本の足が自分に近付いてくる。
咲耶は飛び出しそうな心臓を押さえ、ジッと息を潜める。
そんな事とは露知らず、二人は自分の真上に腰掛けた。
(貴方達の命、到着まで預けておくわ)
ベットを支える柱に身を預けながら、咲耶は銃を真上に向けて笑った。
(それまで、よろしくね)
◇ ◇ ◇ ◇
「武さん、一体どうしたんだろ」
「わかりません」
二人に「ここで待ってろ」と残して病院の奥へと走っていった武。
かれこれ10分は経つが、いまだ現れる気配がない。
気になって仕方ない圭一は、武の登場を今か今かと待ち望んでいる。
「わかりません」
二人に「ここで待ってろ」と残して病院の奥へと走っていった武。
かれこれ10分は経つが、いまだ現れる気配がない。
気になって仕方ない圭一は、武の登場を今か今かと待ち望んでいる。
数分後、圭一と美凪が病院から離れたところで待っていると、一台の救急車が近寄ってきた。
一瞬身構えてしまうが、運転席の窓が飛び出した手に安堵する。
「おーい二人とも!」
二人の傍で救急車を停止させると、武は運転席から顔を出した。
「これって」
「目立っちまうけど、徒歩よりは効率的だろ。治療器具も完備されてるしな」
車から降りた武は、圭一に声をかけた。
「圭一。悪いが後ろの扉を開けてきてくれ」
「あ、はい」
圭一は救急車の後ろまで近寄ると、勢い良く扉を開ける。
「へぇ~。あ、こりゃベットか? この下は……何も無いんだな」
中を覗くと、消毒の匂いが鼻を突き抜ける。
驚いた事に、患者を乗せる席と運転席を遮る窓ガラスは取り外されていた。
「会話できないと寂しいだろ?」
おどけながら、小型のハンマーを見せる武。ガラスの破片は助手席に散乱しているらしい。
あまり馴染みのない救急車を覗き込む圭一に、武は声を掛ける。
「圭一はそこから毛布を二枚とってくれ。その間、美凪は手当てを頼む」
「はい」
「わかりました!」
車内から返事をした圭一は、左隅に詰まれた毛布を二枚剥ぎ取る。
(ん? なんか軟らかかった気が)
もう一枚めくろうと手を伸ばすが、先に毛布を渡すため急いで車内から出て扉を閉める。
頭に包帯を巻き、頬にガーゼを当てた武は、圭一から毛布を受け取ると、病院の入り口へ向かった。
そして、安らかに眠る貴子の死体に毛布を二枚重ね、手を合わせる。
(必ず瑞穂達と共に生きて帰るからな)
武に習い、圭一と美凪も手を合わせる。
「よし、二人は後ろに乗ってくれ!」
その言葉に、二人は同時に頷く。再び後ろの扉を開け、先に車内に入った圭一は美凪に手を貸す。
「行こう! 遠野さん!」
「はい!」
その手をしっかりと握り、美凪も車内へと乗り込んだ。揺れても大丈夫なように、二人は寄り添うように腰掛ける。
「これから行く所は、相当危険だ。今のうちに休んでおけよ」
「だ、大丈夫です!」
「私もへっちゃらです」
元気だとアピールするように、二人は後部席から武に詰め寄る。
「……そっか。なら、しっかり掴まっててくれよ!」
何か驚いたような表情を浮かべる武だったが、気を取り直して前を向いた。
アクセルペダルを一気に踏み、救急車は勢良く動き出す。
(気のせいか? 一瞬だけこいつらから敵意を……ちっ、何考えてんだ俺は!?)
「どうしたんすか武さん?」
心配そうに覗き込む圭一の顔は、敵意がない少年の顔だった。
「あ、いや、何でもない」
武は気のせいだと頭を振りつつ、運転に集中する事にした。
今は一刻も早く土見稟を追わなければならないのだ。
まだ生きている仲間を信じ、彼は額に汗を流しながらハンドルを握る。
(瑞穂、陽平、茜。間に合ってくれ)
圭一も深くは問い詰めず、美凪と肩を並べるように右端のベットに腰掛ける。
その真下では、一人の少女が息を潜めていると気付かずに。
商店街を通過するとき、ミラーに写った圭一と美凪の顔が悪鬼のように見えた。
(なっ)
驚いて目を擦り再度確認する。が、次に見えた二人の顔は、最初に見たときと同じ年相応の子供の顔だった。
(どうしたってんだ……)
体に異常は無いはずなのに、心の危険信号は鳴り止まない。
服の袖で汗を拭う。気付けば、背中は水を浴びたように汗で湿っていた。
顔の汗を服の袖拭うと、右手のハンドルを持ち直した。戻したのは右手だけ。
一瞬身構えてしまうが、運転席の窓が飛び出した手に安堵する。
「おーい二人とも!」
二人の傍で救急車を停止させると、武は運転席から顔を出した。
「これって」
「目立っちまうけど、徒歩よりは効率的だろ。治療器具も完備されてるしな」
車から降りた武は、圭一に声をかけた。
「圭一。悪いが後ろの扉を開けてきてくれ」
「あ、はい」
圭一は救急車の後ろまで近寄ると、勢い良く扉を開ける。
「へぇ~。あ、こりゃベットか? この下は……何も無いんだな」
中を覗くと、消毒の匂いが鼻を突き抜ける。
驚いた事に、患者を乗せる席と運転席を遮る窓ガラスは取り外されていた。
「会話できないと寂しいだろ?」
おどけながら、小型のハンマーを見せる武。ガラスの破片は助手席に散乱しているらしい。
あまり馴染みのない救急車を覗き込む圭一に、武は声を掛ける。
「圭一はそこから毛布を二枚とってくれ。その間、美凪は手当てを頼む」
「はい」
「わかりました!」
車内から返事をした圭一は、左隅に詰まれた毛布を二枚剥ぎ取る。
(ん? なんか軟らかかった気が)
もう一枚めくろうと手を伸ばすが、先に毛布を渡すため急いで車内から出て扉を閉める。
頭に包帯を巻き、頬にガーゼを当てた武は、圭一から毛布を受け取ると、病院の入り口へ向かった。
そして、安らかに眠る貴子の死体に毛布を二枚重ね、手を合わせる。
(必ず瑞穂達と共に生きて帰るからな)
武に習い、圭一と美凪も手を合わせる。
「よし、二人は後ろに乗ってくれ!」
その言葉に、二人は同時に頷く。再び後ろの扉を開け、先に車内に入った圭一は美凪に手を貸す。
「行こう! 遠野さん!」
「はい!」
その手をしっかりと握り、美凪も車内へと乗り込んだ。揺れても大丈夫なように、二人は寄り添うように腰掛ける。
「これから行く所は、相当危険だ。今のうちに休んでおけよ」
「だ、大丈夫です!」
「私もへっちゃらです」
元気だとアピールするように、二人は後部席から武に詰め寄る。
「……そっか。なら、しっかり掴まっててくれよ!」
何か驚いたような表情を浮かべる武だったが、気を取り直して前を向いた。
アクセルペダルを一気に踏み、救急車は勢良く動き出す。
(気のせいか? 一瞬だけこいつらから敵意を……ちっ、何考えてんだ俺は!?)
「どうしたんすか武さん?」
心配そうに覗き込む圭一の顔は、敵意がない少年の顔だった。
「あ、いや、何でもない」
武は気のせいだと頭を振りつつ、運転に集中する事にした。
今は一刻も早く土見稟を追わなければならないのだ。
まだ生きている仲間を信じ、彼は額に汗を流しながらハンドルを握る。
(瑞穂、陽平、茜。間に合ってくれ)
圭一も深くは問い詰めず、美凪と肩を並べるように右端のベットに腰掛ける。
その真下では、一人の少女が息を潜めていると気付かずに。
商店街を通過するとき、ミラーに写った圭一と美凪の顔が悪鬼のように見えた。
(なっ)
驚いて目を擦り再度確認する。が、次に見えた二人の顔は、最初に見たときと同じ年相応の子供の顔だった。
(どうしたってんだ……)
体に異常は無いはずなのに、心の危険信号は鳴り止まない。
服の袖で汗を拭う。気付けば、背中は水を浴びたように汗で湿っていた。
顔の汗を服の袖拭うと、右手のハンドルを持ち直した。戻したのは右手だけ。
……無意識に喉へ左手を当てた事に、彼は気付いていない。
【E-4 学校への通学路 /1日目 午前】
【土見稟@SHUFFLE! ON THE STAGE】
【装備:麻酔銃(IMI ジェリコ941型)】
【所持品:支給品一式x2、投げナイフ一本、ハクオロの鉄扇@うたわれるもの、拡声器、
麻酔薬入り注射器×3 H173入り注射器×2、炭酸飲料水、食料品沢山(刺激物多し)】
【状態:L5侵蝕中。背中に軽い打撲。頚部にかなりの痒み(出血中)。腕に痺れ。酷い頭痛】
【思考・行動】
基本方針:参加者全員でゲームから脱出、人を傷つける気はない。
1:L5侵攻中(かなり危険)
2:襲ってくるならば戦うしかない?
3:神社へ向かう(ネリネ、楓、亜沙がいれば救出)
4:ネリネ、楓、亜沙の捜索
5:水澤真央が気になる
6:もう誰も悲しませない
【備考】
※シアルートEnd後からやってきました。
※H173が二本撃たれています。今後のL5の侵蝕状況は次の書き手さんにお任せします。
※倉成武を危険人物と断定
※稟の乗っている原付車の燃料は残り半分です。
【装備:麻酔銃(IMI ジェリコ941型)】
【所持品:支給品一式x2、投げナイフ一本、ハクオロの鉄扇@うたわれるもの、拡声器、
麻酔薬入り注射器×3 H173入り注射器×2、炭酸飲料水、食料品沢山(刺激物多し)】
【状態:L5侵蝕中。背中に軽い打撲。頚部にかなりの痒み(出血中)。腕に痺れ。酷い頭痛】
【思考・行動】
基本方針:参加者全員でゲームから脱出、人を傷つける気はない。
1:L5侵攻中(かなり危険)
2:襲ってくるならば戦うしかない?
3:神社へ向かう(ネリネ、楓、亜沙がいれば救出)
4:ネリネ、楓、亜沙の捜索
5:水澤真央が気になる
6:もう誰も悲しませない
【備考】
※シアルートEnd後からやってきました。
※H173が二本撃たれています。今後のL5の侵蝕状況は次の書き手さんにお任せします。
※倉成武を危険人物と断定
※稟の乗っている原付車の燃料は残り半分です。
【G-4 商店街北部 /1日目 午前】
【倉成武@Ever17】
【装備:投げナイフ2本】
【所持品:支給品一式 ジッポライター、貴子のリボン@乙女はお姉さまに恋してる】
【状態:L5侵蝕中。軽度の疲労。頭蓋骨に皹(内出血の恐れあり)。頬と口内裂傷(出血中)。頚部に痒み】
【思考・行動】
1:L5侵蝕中(軽度)
2:土見稟を追い神社へ、参加者殺害を防ぐ
3:知り合いを探す。つぐみを最優先
4:土見稟をマーダーと断定
5:金髪の少女(芳乃さくら)をマーダーとして警戒
6:佐藤良美を警戒
7:余裕があれば救急車の燃料を入れる。
【備考】
※キュレイウィルスにより、L5の侵蝕が遅れていますが、発症はしています。侵蝕状況は次の書き手さんにお任せします。
※前原圭一、遠野美凪の知り合いの情報を得ました。
※救急車(鍵付き)のガソリンはレギュラーです。現在の燃料は残り2/3です。
【装備:投げナイフ2本】
【所持品:支給品一式 ジッポライター、貴子のリボン@乙女はお姉さまに恋してる】
【状態:L5侵蝕中。軽度の疲労。頭蓋骨に皹(内出血の恐れあり)。頬と口内裂傷(出血中)。頚部に痒み】
【思考・行動】
1:L5侵蝕中(軽度)
2:土見稟を追い神社へ、参加者殺害を防ぐ
3:知り合いを探す。つぐみを最優先
4:土見稟をマーダーと断定
5:金髪の少女(芳乃さくら)をマーダーとして警戒
6:佐藤良美を警戒
7:余裕があれば救急車の燃料を入れる。
【備考】
※キュレイウィルスにより、L5の侵蝕が遅れていますが、発症はしています。侵蝕状況は次の書き手さんにお任せします。
※前原圭一、遠野美凪の知り合いの情報を得ました。
※救急車(鍵付き)のガソリンはレギュラーです。現在の燃料は残り2/3です。
【前原圭一@ひぐらしのなく頃に祭】
【状態:精神安定、右拳軽傷、腹部に軽度の打撲、左肩刺し傷(左腕を動かすと、大きな痛みを伴う)】
【装備:柳也の刀@AIR】
【所持品:支給品一式×2、キックボード(折り畳み式)、手榴弾(残4発)】
【思考・行動】
基本方針:仲間を集めてロワからの脱出、殺し合いには乗らない、人を信じる
1:美凪を守る
2:美凪や武と共に稟を止めるため神社に向かう
3:知り合いとの合流、または合流手段の模索
4:良美を警戒
5:土見稟を警戒
【備考】
※倉成武を完全に信用しました
※宮小路瑞穂、春原陽平、涼宮茜、小町つぐみの情報を得ました
【状態:精神安定、右拳軽傷、腹部に軽度の打撲、左肩刺し傷(左腕を動かすと、大きな痛みを伴う)】
【装備:柳也の刀@AIR】
【所持品:支給品一式×2、キックボード(折り畳み式)、手榴弾(残4発)】
【思考・行動】
基本方針:仲間を集めてロワからの脱出、殺し合いには乗らない、人を信じる
1:美凪を守る
2:美凪や武と共に稟を止めるため神社に向かう
3:知り合いとの合流、または合流手段の模索
4:良美を警戒
5:土見稟を警戒
【備考】
※倉成武を完全に信用しました
※宮小路瑞穂、春原陽平、涼宮茜、小町つぐみの情報を得ました
【遠野美凪@AIR】
【状態:健康】
【装備:悟史のバット@ひぐらしのなく頃に】
【所持品:包丁、支給品一式×2、救急箱、人形(詳細不明)、服(詳細不明)、顔写真付き名簿(圭一と美凪の写真は切り抜かれています)】
基本方針:圭一についていく
1:知り合いと合流する
2:佐藤良美を警戒
3:土見稟を警戒
【備考】
※病院のロビーに圭一のメモと顔写真が残されています。
※倉成武を完全に信用しました
※宮小路瑞穂、春原陽平、涼宮茜、小町つぐみの情報を得ました
【状態:健康】
【装備:悟史のバット@ひぐらしのなく頃に】
【所持品:包丁、支給品一式×2、救急箱、人形(詳細不明)、服(詳細不明)、顔写真付き名簿(圭一と美凪の写真は切り抜かれています)】
基本方針:圭一についていく
1:知り合いと合流する
2:佐藤良美を警戒
3:土見稟を警戒
【備考】
※病院のロビーに圭一のメモと顔写真が残されています。
※倉成武を完全に信用しました
※宮小路瑞穂、春原陽平、涼宮茜、小町つぐみの情報を得ました
【咲耶@Sister Princess】
【装備:S&W M627PCカスタム(8/8)地獄蝶々@つよきす】
【所持品:支給品一式 食料・水x4、可憐のロケット@Sister Princess、タロットカード@Sister Princess
S&W M627PCカスタムの予備弾61、肉まん×5@Kanon、虎玉@shuffle、ナポリタンの帽子@永遠のアセリア
日本酒x3、工事用ダイナマイトx3、ポリタンク石油(10L)×3、発火装置、首輪(厳島貴子)】
【状態:身を隠しています。極度の緊張】
【思考・行動】
基本方針:自分と姉妹達が死なないように行動する
1:衛、千影を探し守る。
2:首輪を解析する能力を持つ参加者を探して利用する
3:三人(武、圭一、美凪)の向かう先に妹、もしくは利用できそう参加者がいなければ皆殺し
4:姉妹以外の参加者は確実に皆殺し
5:余裕がある時は姉妹の情報を得てから殺す
6:宮小路瑞穂に興味
【装備:S&W M627PCカスタム(8/8)地獄蝶々@つよきす】
【所持品:支給品一式 食料・水x4、可憐のロケット@Sister Princess、タロットカード@Sister Princess
S&W M627PCカスタムの予備弾61、肉まん×5@Kanon、虎玉@shuffle、ナポリタンの帽子@永遠のアセリア
日本酒x3、工事用ダイナマイトx3、ポリタンク石油(10L)×3、発火装置、首輪(厳島貴子)】
【状態:身を隠しています。極度の緊張】
【思考・行動】
基本方針:自分と姉妹達が死なないように行動する
1:衛、千影を探し守る。
2:首輪を解析する能力を持つ参加者を探して利用する
3:三人(武、圭一、美凪)の向かう先に妹、もしくは利用できそう参加者がいなければ皆殺し
4:姉妹以外の参加者は確実に皆殺し
5:余裕がある時は姉妹の情報を得てから殺す
6:宮小路瑞穂に興味
※【F-6】病院は半壊しています。いつ全壊してもおかしくありません。
※【G-8】カルラの死体の近くに、羽リュック@Kanon、ボトルシップ@つよきす、
ケンタ君人形@ひぐらしのなく頃に 祭、が放置されています。
ケンタ君人形@ひぐらしのなく頃に 祭、が放置されています。
090:無垢なる刃 | 投下順に読む | 093:恋獄少女 |
090:無垢なる刃 | 時系列順に読む | 093:恋獄少女 |
078:彼女は戦士だった | 咲耶 | 101:それぞれの出会い。 |
078:彼女は戦士だった | 土見稟 | 099:CROSS††POINT |
078:彼女は戦士だった | 倉成武 | 101:それぞれの出会い。 |
075:信じる者、信じない者(後編) | 前原圭一 | 101:それぞれの出会い。 |
075:信じる者、信じない者(後編) | 遠野美凪 | 101:それぞれの出会い。 |