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二人だけの音楽会― Concerto ― ◆Noo.im0tyw


二人の美少女が、和気藹々とそれぞれの手にバナナを持ちながら談笑している。既に夜は明け始め、二人を照らし始めていた……。


◇ ◇ ◇


―――――数時間前。
もぐもぐとバナナを食べる舞と、その場に座り込みソレを見ていることり。その光景は実に微笑ましく、このバトルロワイヤルには不似合いなモノだった。
「…あなたの名前は何て言うんですか?」
ことりが質問するが、舞はバナナに夢中で、聞いてないらしい。
「えっと……」
ことりは微笑しつつこのマイペースな少女を見て、自分の友達の姉を思い出していた。これは時間が掛かるかも…と思った矢先だった。
「…………い」
舞が小さな声でポツリとつぶやいた。
「えっ…?」
「……舞」
舞はバナナの皮を丁寧に土の中に埋めながらそう答える。しばらく呆気にとられたことりだったがすぐ様反応した。
「舞さんですかっ!? 私っ私はことり! 白河ことりです!!」
声を張り上げて、自己紹介をする。まともな会話が成立したことにことりは喜びを感じていた。
「舞って呼んでいいですか?」
「……構わない」
ことりは満面の笑みで舞に握手を求めた。舞が握手を返す。
――――――そんな時だった。


『…ことり…』
舞の声がことりの頭の中で響く。その突然の出来事にことりは身体をブルっと震わせた。
「……どうしたの?」
「うっううん!何でもないよ」
舞に悟られないように元気に言ってみたつもりだった。だが、言葉とは裏腹に顔には冷や汗が流れ、心臓の音は舞に聞こえるのではないかというくらい、拍動していた。

どうして……?あの能力は失ったはずだった。でも、舞に初めて会った時もテレパシーが流れ込んだし、もしかしたらと思い舞の心の内を聞いてみようとする。
だが、ただ耳鳴りがするだけで心の声が聞こえてくることはない。そのことがことりの精神を不安定にさせた。
――――私の頭の中はパニック寸前だった。『どうして?』という単語ばかりが頭の中を駆け巡る。
わからない、わからない、わからない。いろいろな要素が混じり私はいつの間にか泣いてしまっていた。


一方、舞はことりの行動の一部始終を見て、ヤバイと本能的に感じた。ことりが何を考え、何を思っているのか―――それは私にはわからない。でも、何か話かけなければ…。
「……ことり?」
ことりの名前を呼んでみる。でも、ことりはチラっとこちらを見るが、またすぐに下を向いてしまう。
結局、舞にはその場にいることしかできなかった。ことりが泣き始めた時も、しばらくはそうするコトしかできなかった。
――――佐祐理ならどうするだろう?もっとも身近な存在である彼女を思い出す。……そして閃く。
(そうだ、佐祐理たちならきっとこうするはずだ…。)
頭で考えると同時に私の身体は自然と動きだしていた…。


「―――――舞?」
私はいつの間にか、舞に抱きかかえられる形になっていた。そしてその手はまるで私をあやすかの様に私の頭をなでていた。
「どうして……?」
「佐佑理たちならきっとこうするだろうから……」
舞の言葉はとても不器用で――――。でも、その言葉はことりを落ち着かせるのには十分だった。また、ことりの頭の中に声が流れる。でもそれは、とても心地よくことりをパニックにさせることはなかった。


◇ ◇ ◇


「私、心の声が聞こえるんです。一種のテレパシーと言ったほうがわかりやすいでしょうか?」
ことりの発言に多少驚いた顔をする舞だが、
「……そう」
とポツリ呟いただけだった。それを確認して、ことりは話を続ける。
「でも、ある日を境にその能力は消えてしまったんです。でもここに来てから、初めて舞にあった時から時々舞の心の声が聞こえてきて……。黙っていてすいませんでした。それに驚かせちゃいましたね……」

―――――そういうコトだったのか…。
と、舞はことりの言葉をほとんど理解した。出会ってすぐに見せた不審な行動。それを見て舞は少しことりのことを疑っていた。でも、今のことりの告白はどこまでも透き通っていた。今ならことりを心から信じられるとも思った。だから舞は、ことりに言葉をかけた。

「……ことりがどんなチカラを持っていても構わない。ことりは…その…もう…」
顔を赤らめる舞に、ことりは真剣な眼差しで舞をみつめる。
「……友達だから……」
自分にはとても似つかない言葉だった。言った自分が一番恥ずかしくなり、下を向いて横目でことりの方を見る。ことりはまた泣いていた。
「う…ひっく…うう……」
ことりが低い嗚咽を漏らす。その光景に舞はまたしどろもどろになる。また振り出しに戻ってしまった…。だけど、
「……ありがとう…舞」
と、小さいながらもハッキリと聞こえた声に舞は安堵した。ことりは指で涙をぬぐい、その下から満面の笑顔が現れる。その笑顔のかわいさに舞は多少、赤くなりながらもしっかりと見つめ返した。


◇ ◇ ◇


2人はこれからの行動について話し合った。『生き延びて、このゲームから脱出する』それは最優先事項で、成し遂げないといけない。そのためには頼りになる仲間が必要だった。

「では、私のほうは、朝倉純一君、妹の音夢さん、芳乃さくらさんに杉並君。舞さんのほうは、倉田佐祐理さん、相沢祐一さん、月宮あゆさん、水瀬名雪さん、北川潤さんの5人。計9人を探し出し、なおかつ脱出の手がかりも見つけましょう」
「………うん」
それぞれの参加者の特徴を教えあい(と、言っても舞のほうは全て曖昧であまりわからなかったが…)デイパックの中身を教えあう。
「私のは、さっきのバナナと食料や、コンパスなどの道具、それにこの竹刀だけっすね」
舞は?と尋ねる。
「この銃に…ことりと一緒の道具に…」
ガサゴソとバックの中を漁る舞。舞は突然ハッとした顔をする。
「何があったんですか?」
興奮して舞に聞くことりだったが、舞から返ってきた言葉は意外すぎたモノだった。
「…………バナナ……フィリピン産……」
これには苦笑するしかなかった。しかし、舞がバナナに見とれているのを見て、
「ちょっと休憩して、早すぎる朝食にしますか……?」
と、こめかみを押さえながら言うしかなかった。


◇ ◇ ◇


―――――そして今に至る。
あんまり喋ることがない舞だったがそれでもことりは楽しかった。今だけは、このゲームのことを忘れていられたから……。もう少しでまた、新たな一日が始まる。木々の間から少し見えた光はどこまでも輝き、心を明るくさせた。

「おなかも膨れたことだし、そろそろ出発しましょうか。」
ことりは立ち上がり、身体の汚れを払いつつ舞に提案する。
「……うん」
舞の反応はいつもと変わらない。そのことがことりの精神を安定させた。
「……どこに向かうの?」
「教会に行きたいんです。今更だけど、お祈りしておきたいから……」
「……構わない」
ことりの意見に反論するつもりはない。だからこそ舞は賛成した。
「良かった。じゃぁ、行きましょうか」
舞も立ち上がり、ことりの隣を歩く。
「早く私たちの仲間が見つかるといいですね。」
ことりは明るく言う。

だけど、ことりは知らない。自分が探している友達の半分は既に人殺しをし始めてしまったことを。
――――そして、何よりもその友達に自分の命を狙われているということを。


「……うん」
舞もしっかりと頷く。その瞳に光を宿しながら。
―――――だけど、舞も知らない。佐祐理は既に音夢と会っていて、しかも命からがら逃げ回っていることを。


―――――太陽の光がさっきよりも強くなり、2人の目の前にその姿を現そうとしている。
目の前に漏れている光は彼女達にとって希望の光となるのか…それとも……。



【C-6 森/1日目 黎明】

【白河ことり@D.C.P.S.】
【装備:竹刀  風見学園本校制服】
【所持品:支給品一式  バナナ(4房)】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本方針:ゲームには乗らない。 最終的な目標は島からの脱出。
1)舞と一緒に行動する。
2)仲間になってくれる人を見つける。
3)朝倉君たちと舞の友達を探す。
4)教会のあるほうへと進む。
【備考】
※テレパス能力消失後からの参加ですが、主催側の初音島の桜の効果により一時的な能力復活状態にあります。
ただし、ことりの心を読む力は制限により相手に触らないと読み取れないようになっています。
ことりは、能力が復活していることに大方気付き、『触らないと読み取れない』という制限についてはまだ気づいていません。



【川澄舞@Kanon】
【装備:ニューナンブM60(.38スペシャル弾5/5) 学校指定制服】
【所持品:支給品一式  バナナ(フィリピン産)(5房)】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本方針:ゲームには乗らない。 佐祐理を探す。
1)バナナ…いっぱい。
2)ことりと一緒に行動する。
3)ことりの友達と佐祐理たちを探す。
4)教会へ向かう。


048:『其処』に似たこの場所で― Exist ― 投下順に読む 050:夢と決意と銃声と――
048:『其処』に似たこの場所で― Exist ― 時系列順に読む 054:珍道中の始まり
004:月下の出会い 白河ことり 067:少女連鎖
004:月下の出会い 川澄舞 067:少女連鎖






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