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戦い、それが自由 ◆A6ULKxWVEc


「…少し急ぎの用事がありますのでそこを退いて下さらない?」

戦闘の現場に急行しようとしていたとき、いきなり斬撃を放ってきた人形のように無表情な少女に問いかける。
ただでさえ不調のお陰で足が遅いのだ、これ以上引き離されては追いつくのは絶望的になる。
「……」
対する少女は無言のまま構えを崩さない。
「ちょっと、聞くいてらっしゃる?私、あまり気の長いほうではありませんの。さっさと退かないと、力ずくで押し通りますわよ?」
最初の斬撃、そして今の構えを見るにかなり戦い慣れしているようだ。そしていきなり斬りかかって来たことから、恐らくこの殺し合いに乗っているのだろう
自分より強い、とは言わないが相手は刀、此方は酒瓶と人形。実力以前の問題だ。
だがそれでも下手には出ない。その様な生き方をカルラは好まない。
「好きにすればいい。あなたが何をしても、私は殺すだけ」
わかっていたことだが相手に引く気は無いようだ。そして当然自分にも引く気はない。
確かに戦闘している所でアルルゥ、エルルゥが襲われているかもしれない。
しかし、それを言うならこの危険人物を見逃したことでその二人が殺されるかもしれない。
どちらを選んでも危険があるなら楽しそうな方を選んでも問題にはならないだろう。
そして何より───挑んでくる強者に背を向けて、何が戦闘民族だ。
「では好きにさせていただきますわ。先にも述べたとおりあまり時間がありませんの。ですから───手短に行かせて貰いますわッ!!」
そう言いつつ酒瓶を投擲する。
当然そんな物は容易く切払われる、だがそれは計算の内。
砕けた破片が少女を襲い、その隙に拳で───
「───ッ!?」
だがその計算は破られた。確かに酒瓶の破片は少女を襲った。
しかし少女はその程度の破片など恐れない。まるで痛みを感じない人形のように。
ガラスの破片は少女を傷つけ、しかしそれに怯むことなく彼女はカルラへと肉薄する。
そしてその刃がカルラの胸元へと───

届く直前、カルラの拳が少女へと届いていた。
先に当たったとは言えその拳は振り抜きも踏み込みも足りないその場しのぎの物に過ぎない。
当然少女はすぐに立ち上がり刃を構える。
先ほどの酒瓶の所為で体中到る所に出血が見られる。しかし目の前に立つ少女はまるで痛みを感じてないかのように、気負うことなく、怯むことなく平然と構えている。
「中々いい根性してますわね。貴方、お名前は?」
故に、今こそカルラは眼前の少女を敵と認める。この闘いが終った後でも記憶に残しておく価値のある敵だと。
「アセリア。アセリア・ブルースピリット」
少女───アセリアは淡々と自分の名を告げる。
「アセリアですか。中々いい名前ですわね。私はカルラと申します。戦闘民族ギリヤギナの末裔にしてハクオロ皇の奴隷ですわ。それと───」
歌うように彼女は続ける。
「先程急ぎの用事があると申しましたが、あれはキャンセルしますわ。今はただ───貴方と全力で踊りましょう」
それで話は終わり?そう問いかける代わりにアセリアが切り込んでくる。
そう、最早私達の間に言葉は要らない。
相手はは刀、此方は拳で語るのみだ。
刀と拳。言うまでも無く絶望的なまでに不利なのはこちらだ。

だが、それでも。カルラの顔にははっきりと笑みが浮かんでいた。







体が思うように行かない苛立ちを斬撃に込め、目の前の女──カルラと言うらしい、に斬りかかる。
だがその斬撃は肌を掠るのが精々だ。
そしてその攻撃に被せて来る相手のカウンターは確実にアセリアを蝕んでいく。
しかしその攻撃はアセリアを止めるにはあまりに浅すぎる。
もう何度このやり取りを続けたのだろう?
カルラの体には無数の切り傷があったし、アセリアもカルラの拳が、そして最初の破片による傷の所為で着実にダメージを負傷させていく。
もしも思う通りに体が動けばすぐにでもカルラを切り捨てられるのに。
どうもこの島に来てから思うとおりに体が動かない。
その所為で後一歩のところでぎりぎり攻撃を避けられてしまう。
そのことを疎ましく思う反面、少しだけ感謝もしていた。
本調子だったらすぐに決着がついてしまう。
それは───少しだけ勿体無い。

心底楽しそうに戦うカルラの笑顔が伝染したかのように、アセリアの顔にも小さな笑顔が浮かんでいた。








一体どれだけの時が立ったのだろう。
両者の集中力は極限に高まり、自分と相手以外の雑音は一切耳に入っていなかった。
当初両者互角に見えた戦闘は今や完全にアセリアが押していた。
出血による疲労、拳と刀の間合いの差、理由を数え上げればきりが無い。
しかし一番の決定打はアセリアの成長だろう。
当初アセリアは地獄蝶々を自らの永遠神剣“存在”と同じように扱っていた。
当然の事だが大剣と日本刀の扱いは大きく違う。
しかしアセリアは天性の才能と戦場で培った経験でその2つの武器の差を埋めていく。
少しずつ、しかし着実に彼女は日本刀を使いこなす。
徐々にアセリアの刃はカルラを捉えはじめ、カルラの拳は空を切りはじめた。







アセリアは思う。
こんなものか、と。
自分が優位に立っているにも関わらず喜悦は何処にも無く、ただ理由の無い失望感だけがあった。
最早当初の昂揚は何処にも無い。
唯、何時ものように刃を振り下ろす。
そしてその刃は───カルラを捉えた。
悲鳴ひとつ上げることなく、カルラは崩れ落ちる。
恐らくは致命傷。
仮に死んでなくとも、これ以上戦闘する力はないだろう。
故に彼女は倒れ臥した女に背を向け、次の敵を探す。
このもやもやした感情をぶつけれる対象を。

「おまちなさい、まだ勝負は終ってませんわ」

だが。
彼女を止める声があった。

「どうして?」
立ち上がれる筈は無い。
そして立ち上がったところで意味も無い。
振り向いてみれば、カルラは立ち上がった物の、満身創痍。
特に先程の一撃を受けた右腕はだらりとぶら下がっている。
それなのに。
「どうして?」
どうして彼女は笑っているのだろう。
「どうして、と聞かれましても何のことだが分かりませんわ」
息も荒く、今にも倒れそうな眼前の女は、しかし決して崩れないのだろう。
理由も無くアセリアはそう感じた。
「そうですわね……敢えて言うなら私が私らしくあるため、でしょうか」
自分らしくあるために戦う、というのはアセリアにはある意味で尤も分かりやすく、そして尤も分かりにくいものだから。
アセリアにとって戦いは自分そのもの。そもそも戦わない自分、というものが想像できない。
「あなたも……戦い以外に自分が無いの?」
ならば何故彼女は笑うのだろう。
何故彼女はあんなにも楽しそうなのだろう?
もしかしたら、自分も唯の義務や手段ではなく、戦いを楽しめるようになるのだろうか
しかしそんな少女の期待はあっけなく裏切られる。
「まさか。戦って、酒を飲んで、仲間と騒いで、トウカをからかって、そして夜になったら主様にご奉仕する。それら全てを含めて私ですわ」
結局、カルラも悠人と同じ種類の人間なのか。自分と同じ様に感じていたのは錯覚だったのか。なぜかは分からない、だがアセリアはカルラに裏切られたような気がした。
何度切っても立ち上がるなら、何度でも切ろう。
理由は分からない。
それでも、もうカルラを見ていたくなかった。
カルラの声を聞きたくなかった。
だがそれでも彼女は語りかけてくる。
「あなたは、戦いしか知らないんですのね」
煩い。
普段は誰に何を言われても気にはしない。
だが何故か眼前の女の言葉はやけに気に触った。
「だったら、何?」
目の前の女は不適に笑う。
「いえ、ならそんな女相手に私が負けることは無いと安心しただけですわ」
もはや問答する気は無かった。
ただ目の前の気に食わない女を斬る。
まるで何か吹っ切ろうとする一刀両断の一撃。
その一撃はカルラの左手を捉える。
そして刀を引き、今度こそ首を飛ばそうとする。
だが、刀が動かない。
そして、カルラの目は死んでいない。








「ギリヤギナを舐めないでくださいます?この程度の一撃、最初から覚悟してれば耐えられますわ」
肉を切らせて骨を断つ、と言う言葉がある。
しかしこの行為はその程度のレベルではない。
これは、骨を断たせて骨を断つ、という行為。
恐らくもう二度とこの左手は動かないだろう。
我ながら無茶をしていると思う。
だが、この小娘に負ける訳には行かない。
自分のためにも彼女のためにも。
そしてカルラは拳を振り上げる。
もはやまともに動かない右腕を。

「私に勝ちたかったら、戦い以外の自分を見つけて出直してくることですわね。」

その拳はアセリアの顔面を完全に、捉えた。








朦朧とする意識の中、アセリアは彼女の言葉を聞く。
「ここで立ち上がってこれるかこれないかが私とあなたの差ですわ」
何故私は立てないのだろう。
そして何故彼女は立てるのだろう。
「せん……ます………。」
もはや彼女がなにを言ってるのかほとんど聞こえない。
それでも最後の一言だけははっきりと聞こえた。
「次に会うときに、まるで成長してなかったらそのときは私があなたをぶち殺して差し上げますわ」
その言葉を聞き終わると同時に彼女の意識は途絶えた。








「少々お節介が過ぎたかもしれませんわね」
アセリアとの戦闘は思ったよりも時間を食った。
そして何よりも血を流しすぎた。
意識ははっきりとしないし、歩くのもままならない。
「……まあ、武器も入手したことだし、良しとしますわ」
『戦利品としてこの刀は貰っていきますわ』
一応そう告げて武器は貰っておいたし、誰かを襲うことは無いだろう。
「けっこう歩いたのですが…戦闘の跡らしきものは見えませ───」

その言葉を言い終わる前に、弾丸が彼女の胸を貫いた。
そして倒れ落ちる間に、2発、3発と弾丸が彼女を貫いていく。
アセリアの刃を受けても挫けることなく立ち上がった彼女は、突然現れた少女、咲耶の放った凶弾を受け、二度と立ち上がることは無かった。








「ごめんなさい、とは言わないわ。あなたも誰かを殺したんでしょうし」
咲耶が殺した女は全身血塗れで、刀を持っていた。恐らく誰かと戦って、負傷はしたものの勝利したのだろう。
───相手を殺して。
誰かを、妹達を殺しうる人間は殺さなければならない。
妹の為に、みんなでお兄様の所に戻る為に。
だから、後悔なんてしない。しちゃいけない。
全てが終る、その時までは。



【G-7海岸側1日目 早朝】



【アセリア@永遠のアセリア】
【装備:無し】
【所持品:支給品一式(ランダムアイテム残り不明)】
【状態:気絶・ガラスの破片による裂傷。殴られたことによる打撲】
【思考・行動】
1:???
※戦闘に集中していたので拡声器の声は聞いていません。

【G-81日目 早朝】
【咲耶@Sister Princess】
【装備:S&W M627PCカスタム(8/8)地獄蝶々@つよきす】
【所持品:支給品一式 可憐のロケット@Sister Princess S&W M627PCカスタムの予備弾61 肉まん×5@Kanon】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:四葉、衛、千影を探し守る。
2:姉妹を傷つける可能性をわずかでも持つ者を殺す
3:脱出を具体的に計画している人物は放置。
4:脱出の具体的計画がなくとも、100%姉妹を傷つけない確証が得られた場合は殺さない。
5:3の際に脱出が現実味を大きく帯びた場合のみ積極的に協力する。
基本行動方針
自分と姉妹達が死なないように行動する

※カルラのディパックはG-8に放置されてます。

【カルラ@うたわれるもの 死亡】
[残り57人]


042:宣戦布告 投下順に読む 044:偽りの贖罪
040:希望は爆発と共に 時系列順に読む 050:夢と決意と銃声と――
025:傀儡のアセリア アセリア 078:彼女は戦士だった
027:【二人の岐路】 咲耶 067:少女連鎖
031:魔女 カルラ






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