2010.12.9 14:26
当欄で“受けすぎ傾向”を取り上げ、「会社を絞り込み、よりのめり込んだ就職活動をしてはどうか」と投げかけた記事に対し、今年の就活を経験した学生の方々から多くのご意見をいただいている。
特定の業種に絞って10社にエントリーし、採用が決まった大学生の男性(22)は《周囲は少なくとも30社以上受けているのが普通で、「いまどき、えり好みしている場合か」と友人、親戚(しんせき)、採用担当者から忠告された》という。
そのうえで、《中途採用の門が開かれていた以前とは違い、今は新規採用以外に雇用の道がない。業種を問わず何社もエントリーするのは当然》と、いくつも受験せざるを得ない、就活生の苦しみを代弁した。
学生の方からこれまで寄せられたご意見では、この男性と同様、企業が新卒者を対象に年度ごとに一括求人する「新卒一括採用」に異論を唱える内容が目立つ。つまり、新卒一括採用が厳しい就職戦線の要因になっている-というのだ。
広島県の大学院生の男性(25)は《新卒で就職できないと日本社会からつまはじきにされる恐怖感や焦りがある》と指摘。
来年3月卒業予定という大学生は、国が企業側に卒業後3年以内を「新卒」扱いにするよう企業側に求め、奨励金制度を設けたことにも言及し、《同じように新卒扱いされても、「卒業後に何をしていたのか」と面接で言われるのが目に見えている》と否定的だ。
一方、企業側の考えはどうか。採用コンサルティング会社「レジェンダ・コーポレーション」が74社を対象に制度の賛否と理由を尋ねたインターネット調査によると、「自社の企業文化を一括で育成できるので賛成」が50%、「効率的で賛成」が45.9%と賛成意見が上位を独占。「多様な経験を持つ学生を採用できないので反対」は13.5%にとどまった。
新卒一括採用は韓国でも実施されているが、海外では極めて珍しい制度とされる。こうした“日本的な雇用文化”は、やはり就活の妨げなのでしょうか。多様なご意見をお待ちしています。(佳)