5月6日~5月末
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この期間内での大きな流れは以下
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長男さん、次男さん、姉さん の間柄
・10日、長男さん謎の失踪
・12日、元父親+三男 来訪
・15日、三男 来訪
・22日、L+Sさん 合流
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L
・7日、捨てアドに24通のメール受信確認
送信者:Sさん
・8日~15日
Sさんとのメールのやりとり
・16日、Sさんと対面
・22日、次男さん+姉さん 合流
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5月10日
長男さんが私物(着替えなど)を持って愛車で
突然姿を消した
次男さん、姉さん、叔父、叔母、母親で探して
回ったようだが見つかってはいない
次男さんの話しでは前日、長男さんとの口論が
あったというものだった
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5月12日
午後21時過ぎに突然、元父親と三男が来訪
元父親は「Rを引き渡せ」と次男さんに要求に
来ていたそうだが次男さんは断わったらしい
元父親が「Rは所詮人形だ」という中傷文句を
吐いた瞬間、姉さんの精神が保たれずに発狂
次男さんは親戚の叔父へ連絡を入れたらしい
元父親と三男は撤収
翌日には姉さんは落ち着いた様子だったそう
だがかなり怯えた様子だったとのこと
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5月15日
三男が来訪した時に家にいたのは姉さんのみ
姉さんが一人で対応したようす
三男は長男のことを話していたらしい
姉さんが「兄さんの居場所知ってるの?」と聞い
たところ三男は「お前が思ってるほど、あいつは
信用出来る奴じゃないってことだろ」と言われた
らしい
それ以上の報告はない
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5月7日
以前に報告でちょっとした悪戯を仕掛けてあたし
の捨てアドを晒してあったのだが、気づいた人は
いただろうか……?
現在は削除されているので探しても無駄だが……
その捨てアドに57通のメール(ほぼメルマガ登録
だったから見つけた人はいるようだ……ウィルス
をいれてこなかっただけほんと感謝)のうち24通
は同一のアドレスで、タイトルは「はじめまして☆-( ^-゚)v」
「こんにちは(o^-')b」「見てますか~( ̄_ ̄ i)」と……
まぁなんていうか出会い系?と思わざるえないもの
だった
無視して捨てようと思ったのだが気になったので
一通だけ開いたところ、その送信者はここのまとめ
サイトを読んで「Rちゃんは私の親友かもしれません」
という記述だった
あたしがまとめには載せていない姉さんのフルネー
ムから、色々と知っていたことで信用。
その方が後の奇跡を起こす女神のSさんである
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5月8日~15日
色々なことをメールでやりとりした。
かなり頭の回転が速いと思わされ、なおかつ洞察
力のある人だと思わされるほど痛いところを突く
方だが天然だということが分かってくる
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15日の三男の来訪によってそれをSさんにメー
ルで伝えたところ「あまりのん気にしていられませ
ん。状況は私が思っているより悪い方向へ流れて
しまったのかも」という返信を頂いた。
直接電話で話すことにした。
電話口から聞こえる声……はっきり言ってアニメ
声だった
おっとりしていながら、それでも核心を突くような
発言をする
Sさんの憶測では「長男さんは三男さん、最悪な
場合は元父親と関係が繋がっていると思うなぁ。
そうなってたらRちゃんを助けられるのは次男さん?
ん~でも頼りなさそ~」など……。
あたしが「あたしが行く」と言う前にSちゃんが
「Lちゃんも一緒に行ってみない?二人で北海道
を満喫しようよ~」
ボケボケなところが姉さんにそっくりだ……
だが決意がかなり早いところを見るとかなり頼れる
さすが元父親の暴挙を止めた人だとこの時関心
した
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16日、指定の場所に時間通りにSさんは来た
姉さんと変わらないぐらいの小柄な子……
そこらのアイドル……いや、萌えドルといったほう
が過言ではないぐらいの童顔でかわいい顔をし
た美少女だ
これで姉さんよりひとつ上の先輩だってマジかよ!
と、そのぐらい驚愕なインパクトを受ける人だった。
「航空券、渡しておくねー」といきなり渡された。
代金を払おうとしたのだが「大丈夫だよー私、いっぱ
い稼いでますから」と平然としてた
なんか……こんな幼い子に航空券をって思うと
罪悪感が生じてしまう
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飛行機の乗り継ぎで北海道を目指す
窓際に座ったSさんは景色を眺めながら「ニアミス
でごぇます~♪」などとダブーをボヤいていた
笑えない子……
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ニアミスなど起こらずに無事に到着
北海道の地を踏んだSさんは「懐かしい!でっか
いどー!!」と叫んではしゃいでいたので他人の
ふりをして次男さんに電話をかける
待ち合わせ時刻が45分後になったので、それを
Sちゃんに告げてベンチで待つことにした
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座っている間はSさんはおとなしく読書をしてい
る
そうしていると本当に輝かしい美少女だ
あたしの視線に気づくとSさんは本を閉じて
「せっかくだから御話ししましょう」と言い出した
気遣ってくれたようだ
心根の優しい人である
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あたしは「Sさんは彼氏は?」と聞いてみた
女同士の最初の話しってこんなものだろう?
Sさんは大袈裟にリアクションをとってベンチから
引き下がると、地面に膝をついて座り込んだ
まさに orz ←こんな形で……
あんなかわいいのに彼氏がいないって信じられ
ないとその時は思った
もしかして性格が悪いのかと言えば決してそう
ではない
一緒にいてすっごく楽しいし笑わせてくれるし、
気遣いもしてくれてほんと癒される子なのだ
まぁでも一緒に歩いてるとちょっと恥ずかしい
かもしれない
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次男さんと姉さんが合流
姉さんはSさんを見ると物凄い笑顔になった
「生きてたんだねー!!!」と歩み寄る姉さん
おいおい、数年ぶりの再会の挨拶の言葉がそれ?
対するSさんはというと……
「君を残して死ねるはずがないだろう?ステファニー」
姉さんの名前、ステファニーだったっけ?
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4人揃って焼く肉店へ直行した
そこで長男さんの失踪のことや今後の対策なども
色々と話そうということだ
店員さんが注文をとりにきてSさんはメニューも
見ずに一言
「上から全部」
おいおいおいおいおいおい……
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次男さんがしっかり注文をしたがSさんの食欲は
物凄いものだ
久しぶりの焼き肉を楽しみにしてた私なんかは
全然食べることなく満腹になった
次男さんもほぼ手をつけず状態だ
姉さんだけはマイペースなので全然気にせずに
Sさんと美味しく食事をしていたけどな
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話を切り出したのは次男さんだった
「兄貴が出ていってから一切、電話も繋がらない
状態なんだ」という切り出しで、あたしと姉さんの
視線は次男さんへと集中した
Sさんだけは焼く肉に集中……
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あたしと次男さんは長男さん失踪の原因追及へ
と話しを進めた
姉さんは黙ったままでも真剣に話しを聞いている
姉さんは時に鋭いことをいうのでこうして聴いている
だけでも十分なのだ
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長男さんと次男さんの口論の原因は姉さんが否定
的になったことから始まっている
それでも姉さんは少しづつ長男さんや次男さんに
歩み寄ろうとしていたことは次男さんからの報告で
聞いていた
姉さんがそう努力するようになったのは、次男さん
に真実を告げたときからだそうだ
・次男さんは姉さんが歩み寄ろうとしているのだか
らもう一度、姉さんと共に頑張る必要があるとのこ
とだったそうだ
・長男さんは姉さんがすべてを思い出した時点で
家庭は崩壊していて、今更なにを努力してもなにも
変わらないというもの
これによって長男さんと次男さんは決別状態に
なったそうだ
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この話しをしているときにSさんは焼き肉を食べ
ながらも時々冷たい視線をあたしに送って来てい
たのだが、なにを伝えたいのか分からなかったの
で無視していた
それが分かったのはあたしが「結局は姉さんが
らみだ」とボヤいた時だった
黙って話しを聞いていた姉さんの表情が暗くな
っていた
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あたしと次男さんが絶句してしまって重い沈黙の
中で助け舟を出したのはSさんだった
「カルビーってかっぱえびせん思い出すけど、
実はポテチも作ってるトリビア」
どうでもいい……。
が、直後のSさんの言葉はあたしや次男さんの
憶測をすべて崩壊させるものだった
「長男さんが失踪した原因はRちゃんにあるわ
けじゃないと私は思ってるけどね。そうだなぁ、
あるとすれば長男さんの心が原因かもねぇ。
切ないねぇ~淡い思いは。で、注文追加して
いいです?」
Sさんはなにかを勘付いているようだったが
この時は一切、口に出さなかった
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この後もSさんは関係のない話しを一人で喋りな
がらも焼き肉を焼いては食べるの繰り返し
あたしや次男さんはSさんの憶測の結果を待って
いたのだが一切口には出さない
次男さんがSさんに「そちらの考えは?」と聞いた
がSさんは「うん、そうだねぇ。やっぱ焼き肉は火
加減によって美味しさも変わるね。火力が強いけ
ればいいってものじゃないみたい」どうでもいいわ!
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Sさんがそうやってはぐらかす理由はしっかりある
隣に姉さんがいるのに……ということだろう
そこに気遣えないあたしや次男さんに比べてSさん
はしっかりした気遣いが出来る人だった
気づけば落ち込んでいた姉さんもSさんムードに
流されて再度の食事に走っている
二人の笑顔は次男さんではないけど……萌え
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帰宅路でSさんが私に紙を渡して来た
焼き肉店に置いてあったメモ用紙だ
注文とかそれに書いたりするようにあるやつ
メモ用紙4枚にびっしりとSさんは自分の憶測を
書いてくれていた
あたしは外灯のつくところで一度、足を止めて
「電話」といって三人を先に歩かせてメモに目
を通した
Sさんの洞察力は生半端ではない
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書いてあったものは以下だ
・私はLさんの報告から流れを見ていてリアルタイ
ムに参加は出来ていないので、外れてしまうところ
もあると思いますが、ひとつの参照にしてください。
Rちゃんは長男さんに告白をしている履歴を読んで
ますが、長男さんにはその時、気持ちはなかったこ
とは明白だと思います。
ですが、それから今に至るまでの流れの中で長男
さんの中に、Rちゃんへの恋心が生まれていると
考えたらどうなりますか?
報告を読む限りで私は、Rちゃんは少なくとも長男
さんより次男さんへなついているように思えます。
人は恋をすると時に愛情が憎悪に変わります。
あまい果実が鬼になるようなかんじでしょうか?
よく分かりませんが、長男さんの失踪の原因は
長男さんの心の中の問題と同時に、次男さんに
対する嫉妬心ではないかと思われます。
これはまだ憶測の範疇であり、証拠たるものは
ありませんので、あくまで参考までに。
ただ、もし私の憶測が正しいとすればRちゃんと
同時に危険に晒されているのは次男さんです。
守らなくてはいけないものをお間違えないよう、
しっかり見守って下さい。
長男さんは現在、父親と三男さんと共に生活を
していると考えられます。
理由として物件の契約、同時に敷金や礼金など
様々なものをあげられ、なら次男さんと敵対関係
にあたるものについた方が効率は良いでしょう。
父親と三男さんの要求「Rちゃんを引き渡せ」の
意味の答えを共に模索しましょう。
苦労は耐えないでしょうが、無理はなさらず。
という内容だ
そしてこのSさんの憶測が正しかったことも後
に証明される
報告を読んだだけですべてを飲み込んで先の
行動を読みとっていくSさんは、間違いなく探偵
のような職業が向いていると思うけど……
バーの店長だ
記載したかもしれないがSさんは由緒正しい
神社本家の跡継ぎである娘でもある
故に礼儀正しさもすごいのだ
初対面でボケかまされたあたしとしてはにわか
に……だが……
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この日、Sさんとあたしは姉さんと次男さんのアパ
ートを宿に借りることにした
Sさんと姉さんはベッドで一緒に眠ってたが……
お互いに寝相が悪くて床に寝てるあたしのうえに
二人とも落ちてきて、あたしは寝るどころの話しで
はなかった
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夜中に追い出されたあたしはリビングへ行くと
次男さんが起きていた
眠れないようすだったので「大丈夫?」と声をか
けると「Sさんってまじかわいいよな。やべぇ、も
ろ好みだわ」
恋愛相談に発展かおい……
これはこれで面倒なことになったわけだが
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しかしSさんはSさんで姉さん以上に辛いものを
色々と体験してきたような人に思える
と、言うのは初対面で顔を合わせた時にまず
気づいたのは……Sさんは左眼がまったく見え
ていないということだった
それは後から分かったことなのだが、Sさんは
左眼だけが深紅のような赤い瞳なのに対して
右眼は透き通るような茶系なのだ
Sさんが言うには「小学校の時にいじめられて
ね。崖から突き落とされたんだけど、枝が左眼
に刺さってからこんな状態。カッコいいでしょ?」
だった。
また三人で銭湯に行ったときにはSさんの背中
の傷が生々しくて、痛々しいものだった
古傷のようだったがなんとも言えない……
背筋が凍りつく思いだった
Sさんはさっさとバスタオルで全身を隠してあたし
と姉さんに「見ちゃった?んー…これは中学の時
のいじめで受けた傷なんだよねぇ。消えないの。
傷物一品ってね~」とおちゃらけ……。
あんな明るくて素直でかわいい子なのに……
姉さんを助けてくれたほど強い子なのに……
そういう辛い過去がSさんの正義感とか優しさ
になっているのかと思うと、それはそれでなんか
切ないものを感じた
ちなみに湯船でSさんは「いじめって社会にも
あるんだし、大人がとやかく言えた問題じゃな
いと思う。大人がいじめやってるのに、子供に
やめなさいって説得力ないよねー」「この傷とか
は大人に対するあてつけかなー」とか話してた
その後にSさんは「そんな私も大人だけどねー」
とぶくぶく言わせながら湯船に沈んでいった
他愛もない話しかもしれないけど素敵な人だ
と思わされた瞬間だった