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連載 - 我が願いに踊れ贄共・彼は閃光のごとく-08

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匿名ユーザー

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 皆が、一気に動き出した
 …エイブラハム・ヴィシャスの周囲のガードが、完全に解ける

 腹心も、子飼いも、エイブラハムの傍にいない
 役目を果たす時が、来た



「…おや、トライ・ミニッツ・ライトニング。あなたは、外に出ていなかったのですか?」
「………確認したい事が、ありまして」

 …屋内に残り、「仕上げ」に関して考えていたエイブラハム
 その背後に、トライ・ミニッツ・ライトニングが、姿を現した

 いつも通りの、黒尽くめの服装
 銀のロザリオも、服の下に隠れて見えない
 ……この黒尽くめの服装に関して、リュリュやマドレーヌが好奇心に任せて、尋ねた事があった
 「教会」関係者らしからぬ、その服装に
 トライ・ミニッツ・ライトニングは、その問いかけに関して、答えた事は一度もない
 ただ、これは彼なりに意味のある服装であり、故に任務の時は常にこの黒尽くめの服装なのだ

 そう
 「任務」の時は「常に」
 「13使徒」入りした時から、常にこの黒尽くめの服装をしているトライ・ミニッツ・ライトニング
 ……今こそ
 その、「任務」を果たす時

「…エイブラハム様は、この街を「ソドムとゴモラ」に見立てるおつもりですね」
「えぇ、そうですよ」

 それがどうかしましたか?と
 当たり前のように、エイブラハムは言い切った
 学校町と言う場所を犠牲にする事に、何の罪悪感も抱いていない
 ただ、己の欲望を果たす、それだけの為に

「……焼き尽くす事で、あなたが手に入れようとしている淫魔を確保できなくなっても?」
「あぁ、あの淫魔ですか……大丈夫、問題はありませんよ」
「………そうですか」

 揺らり、とトライ・ミニッツ・ライトニングの体が、揺れた
 ………エイブラハムは、彼に背を向けている
 彼の動きに、気づいていない

「…淫魔探しは、ここに来るための言い訳、ですか」
「まぁ、確保するにこした事はないのですけれどもね……手に入らなければ、それはそれで。私のもとに戻らぬのなら、「己が原因でこの街に災厄が訪れた」と絶望させる、それだけですよ」
「………なるほど」

 ゆらり
 もう一度、トライ・ミニッツ・ライトニングの体が、揺れる
 ばち、と
 その拳に、わずかに……電流が走る

「確認したい事は、それだけですか?」
「…………はい」

 ばち、ばち、と
 電流は、どんどん強くなっていく

「…これより、任務に戻ります」

 その言葉と、ほぼ同時
 トライ・ミニッツ・ライトニングは、能力を発動した


 トライ・ミニッツ・ライトニング
 本名 ロリス・カスティリオーニが契約している存在は「神の慈悲」ラミエル
 シンボルは雷霆であり、彼はラミエルのいくつかある能力の内、雷を操る能力に長けている
 カスティリオーニ家は、長きにわたって「教会」に仕え続けた一族である
 代々ラミエルを継承し、その生涯を「教会」に捧げた一族
 ロリスもまた、例外ではない …雷そのものを身にまとう、己の身を雷へと変える
 そのような芸当も、長きにわたる鍛練で可能にした
 雷を身にまとい、その電流の流れを利用し……雷の如き速さで動き回る
 それが、彼がよく使う能力


 ほんの、一瞬
 一秒も、かかっていない

 エイブラハムの胸元に、穴が開いた
 雷を纏った拳が、胸元を貫いたのだ
 雷を纏い、強化された拳は、人間の肉体にあっさりと穴をあけ………雷の熱が肉を焼き、血を流す暇さえ、与えなかった

 通常ならば、これで命を落とすだろう
 …心臓を、完璧に破壊されたのだ
 通常の生物ならば、それで死ぬ
 だが

「……おや」

 エイブラハムが小さく笑ったのが、ロリスに伝わる
 心臓を貫かれ、しかし、全くダメージを受けていない

 奇跡の体現者
 「教会」が探し続けている「救世主」の候補
 一度は死の淵に追い詰められながらも、「奇跡」によって起き上がったこの男は、以来、死から遠い存在となった
 そして、数々の奇跡を起こし続けている
 故の、「救世主」候補筆頭
 死の淵より這い上がり、不老不死に……神に近い存在になったのだと言う、この男
 この程度では、死なない

「これは、どういう事でしょう?」

 エイブラハムが、振り返る
 魔眼が向けられた先に……ロリスの姿は、ない

 エイブラハムが振り返るのと、ほぼ同時
 いや、もしかしたら、振り返ったのよりも、早かったかもしれない
 ロリスは、エイブラハムの背後に、回り込んでいて
 その拳が、今度は、エイブラハムの頭を破壊した
 頭蓋骨が打ち砕かれ、血飛沫が飛び散る
 びちゃびちゃと肉片がまき散らされ、エイブラハムの体が一瞬だけ、揺れた

 直後
 ロリスが破壊したその箇所が、瞬時に再生していく
 いや、再生、と言うより、「自力で治癒した」と言うようにも見える
 自己再生能力ではなく、「奇跡」による治癒行為だろう
 ロリスは、エイブラハムの肉体が再生する様を見て、そう理解した

「私を裏切るのですか?トライ・ミニッツ・ライトニング」

 魔眼の効果範囲には、入らない
 入ってしまえば、それに耐えきるのは難しい
 常に、視界の死角に
 手刀で、エブラハムの首を切り落とす
 ごろん、と頭が転がった

 エイブラハムの体は、迷うことなく頭を拾い上げ、斬られた首に乗せる
 奇跡の力で、即座に再生してきた

「……お前に仕えていた訳ではない」
「あぁ、なるほど………はて、誰の命令でしょうかね」

 どうすれば殺せる?
 心臓は違う、頭は違う
 …核がある訳ではないのか?
 かつて、未完成の賢者の石と契約した相手と戦った事がある
 あれは、核が存在しなかったが、その代わり、いくらでも再生してきた
 あれのように自己再生ならば、死ぬまで殺せばいい
 実際、あれはそうやって殺した
 だが、核がないのならば、どう殺す?

「…あぁ、あなたの家の直接の上司は、法王様でしたね」

 再び、頭部を破壊する
 だが、即座に治癒で再生してきた
 …言葉をしゃべることができないから、再生するのか?
 それとも、長時間頭部を失うと致命傷に至るのか
 どちらとも、判断できる

「なるほど、あの方は、私を疑っていましたか」

 ……いっそ、その全身、同時に破壊してみるか?
 一度に、消滅レベルのダメージを叩き込めば……

「…困ったお方だ」

 魔眼で、ロリスを捕えることをあきらめたのか
 エイブラハムの手中に、巨大な大鎌が生成された
 その口元に、獰猛な笑みが浮かぶ


「本気で私を止めるつもりならば、処分するつもりならば、自ら動けば良かったと言うのに」


 エイブラハムが振るった大鎌
 それが、ロリスが放った音速の一撃を………受け止めた










to be … ?






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