「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-51

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匿名ユーザー

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 明かりもつけていない資料室の中で、小さな音が響く
 いくつもの資料を確認し、目当ての資料を探し続けた

(これは違う………これも、違う。これじゃない……)

 あの件の資料が、この辺りにあるはず……

 ………がちゃり

「何をしているんだい、君は」
「!?」

 ぱちり、と部屋の明かりがつけられた
 慌ててそちらへと視線を向けると、呆れた様子の郁が立っており、じっと、こちらを見つめてきてた

「…あらまぁ、郁君。びっくりさせないでちょうだいな」
「それはこっちのセリフだよ。この資料室はCNoの管轄なんだから……ANoは許可を得ないと入ってはいけないはずだよ。許可はとったのかい?」

 すたすたと近づいてくる郁のスカートの裾が、ひらひらと揺れる
 男性であるにも関わらず、何故、黒のゴシックロリータ服を好んで着るのかはあいにく、愛百合には理解できない世界なのだが、仕事はきちんとやっているらしいからよしとしよう

「忙しそうでしたもの、許可はもらってないわ。資料を持っていく訳ではないのだし、いいでしょう?」
「良くないよ。SNoが管理しているような閲覧制限はいるような資料はないにしろ、ここには大事な資料だってあるんだから」

 近づいてくる、近づいてくる
 これ以上は無理か。そう判断して、手にしていた資料を戻した

「まぁ、いいわ。私が探してた資料、見つからなかったし」
「そうかい。だが、どの辺りの資料に目を通したのかは、確認しなければいけないね。誰がどの資料お見たのか、記録をとらなきゃ」
「もう、面倒ねぇ」
「仕方ないだろう………近頃、上がピリピリしているからね」

 そう言って、郁は肩をすくめてきた
 仕方ない、と溜息をつく
 流石に、上層部に目をつけられたくはない

「わかったわ。話す。話すけれど、私、ここで資料探すの無理だってなったら急にお腹減ってきちゃったわ。食堂で、なにか食べたいんだけど」
「あぁ、構わないよ……というか、君は食べながら話してくれればいい。今の時間、食堂は空いているだろうしね。話しても問題ないさ」

 「組織」の本部の中には、当然のように食堂も存在している
 何らかの料理に関係した都市伝説に飲まれた黒服が調理係だ……もちろん、他者の命を奪うような都市伝説ではなく、美味であったり健康状態を整える能力者が、だが

「…ねぇ、愛百合」
「ん、なぁに?」
「君は、今回の「狐」の件、首を突っ込むつもりなのかい?」

 資料室を出る間際、郁がぽつり、そう呟いた
 そうねぇ、と考えるふりをしてみせる
 答えは、最初から決まっていた

「上の指示次第ですわね」

 表向きは、そういう事にしよう
 けれど、上からどう言われようとも、「狐」の件では動くことにしている
 ANo強行派の今の肩身の狭さを、少しでも改善すべきだろう
 甘い考えでは、「組織」に敵対行動をとる者に「組織」が舐められる事となる
 もっと、もっと、以前の「組織」のように、「組織」所属以外の契約者や都市伝説を支配していくような動きをするべきなのだ

 その考えが正しいと、証明する為にも。自分が「狐」の件を片付けられるように動く必要が、ある
 慶次にも、協力してもらう必要があるだろう
 いざとなれば、郁や郁の担当契約者である紅 かなえの力も利用させてもらうとしよう
 …全ては、「組織」の為に

 愛百合の返答に、郁はそうかい、とため息を付いて

「こちらは、現状、学校街に入り込んでいる「狐」の手駒の調査だよ。見つけても戦闘はするな、と言われてはいるが、どうなる事やら」
「へぇ……」

 …これは、好都合かもしれない
 郁に気づかれぬようにこっそりと笑い、愛百合は郁と共に資料室を後にした

 再び、資料室の中は闇に包み込まれて


 小さく、笑い声が、響いた


to be … ?



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