「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - 人面犬と契約

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kemono

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人面犬と契約


男「おいおい!なんなんだよあれは!!?」タッタッタッ

口裂け女「待ちなさいよおおぉ」バタバタバタ

男「包丁持って口が耳まで裂けた女に言われて待つ奴がいるか!!」

口裂け「逃ぃがぁさないわよおおおぉ!!!」ダダダダダ

男「スピードアップしやがった!?」

男「と、とにかく近くの公園に隠れよう!!」

*



~公園~

口裂け「どこに隠れたのかしらぁ?」

男(あ、慌てて茂みに隠れたはいいが…これからどうする?)
男(とりあえず隙を見てここから離れるか…)

口裂け「そっちかしらぁ?」キョロキョロ

男「今だ!!」ダッ!
男「これで逃げ切れうおわあああぁぁ!!?」ズルッズザザザザザ

男「い…ってぇぇ…」

男「なんかに躓いたみたいだな…一体何に――」

人面犬「いてえじゃねえか馬鹿野郎!!!」

男「――っひいいいいぃぃぃ!!??変な犬が喋っててててて…」ガタガタ

人面犬「変な犬とはなんだ変な犬とは!!!」

男「ひいっ!すいません!!」

人面犬「俺様は変な犬じゃなくて人面犬だ!解ったか!!!」

男「じ、人面…犬…?」

人面犬「そう、人面犬だ」

男(確かにおっさんみたいな顔してるな…)

人面犬「…ったく、犬様の尻尾踏ん付けといて謝りもしねぇ、おまけに変な犬呼ばわりときたもんだ」

人面犬「お前、少しは礼儀ってもんを…ん?」クンクン

男「な、なんですかいきなり?」

人面犬「お前追われていたな?都市伝説に」

男「!! そうだ!俺はあの女に追われてたんだ!!!」

人面犬「うんうん、やっぱりな。匂いからして相手は口裂け女ってとこか」

男「は、早く逃げないと…!!」

人面犬「まあ待て、少し俺の話を聞いてけや」

男「何だよ!?急いでるんだから早くしろよ!?」

人面犬「お前、俺と契約する気は無いか?」

男「契約…?」

人面犬「…あと、後ろ気をつけた方がいいぞ」

男「え?」クルリ

口裂け「みぃつけたあぁぁ…!!」

男「ひ……いいいいいいいいいぃぃぃぃぃ!!!!??」

男「く…来るな…!」ダッ!

口裂け女「ふふふ…」タタタッ

人面犬「どうする?このまま逃げるか?まあすぐに追い付かれると思うが」タッタッタッ

男「じゃあどうしろってんだよ!!?」

人面犬「だから言ってるだろ?俺と契約しろ、そうすりゃ助かる」

男「契約契約って!大体契約ってなんだよ!?したらどうなるんだよ!?」

人面犬「契約ってのはな…まあ、とにかくすごいことが起こるんだよ」

男「なんだよその説明は!?解る訳ねえだろ!!」

人面犬「まあ契約するにしろしないにしろ、早く決めろよ。もう残り距離10m無いぞ」

口裂け女「まぁぁぁてぇぇぇ!!!」

男「ッ!!解ったよ!契約する!!」

人面犬「それが懸命だな」

男「どうすりゃいい!?どうしたら契約できるんだ!?」

人面犬「何、簡単さ。俺の都市伝説を色んな奴に話して広める、それだけだ」

男「それだけでいいんだな!!?わかった!そうするよ!!!」

人面犬「よし、契約完了だ。そこの広場で止まれ」

口裂け女「ふふ…やっと諦めたのね」

口裂け女が立ち止まる、それに距離を開けて向かい合い立っているのは俺と、おっさんの顔をした変な犬

男「…で、どうやってあいつを蹴散らすつもりなんだ?」

人面犬「俺達都市伝説はな、話の大きな内用は一緒だが語り継がれる内に細かい所が変わった…進化したものがある」

人面犬「俺…人面犬は人の顔をして言葉を話すってとこまでは全てに共通している」

男「じゃあお前も特別な能力が…?」

人面犬「ああ…その能力とは…危ねぇ!右だ!!」

男「え?うわっ!!」

咄嗟に左に体を翻す、人面犬が教えてくれてなければ今頃俺は真っ二つだっただろう

口裂け女「あんたたち…話長いのよ…!」

流石にずっと待ってはくれないようで

男「で!?お前の能力はなんなんだ!?早めに頼むぞ!!」

口裂け女は包丁を構え、じりじりと距離を詰めてくる
多分あっちもいらついているんだろう

人面犬「わかったわかった…ったく、最近の若者は皆せっかちでいかん」

男「いいから早くしろおおおぉ!!」

口裂け女が包丁を振り回す、それを俺が必死にかわす
そして頼りの綱は頼りにならない

男「俺が何をしたってんだよおおおぉぉ!!!!」

人面犬「ちっ、落ち着いて説明もできねぇ、か…」

男「溜め息ついてんじゃねえ!!こちとら命かけてんだよ犬こら!!」

口裂け女「話してる余裕があるのかしら?」

突如口裂け女がもう一つ包丁を取り出し、突き出す
体を翻しなんとか致命傷は避けた、が

男「いっっっ…てええええぇぇ!!!」

人面犬「腹を少し切られたぐらいで大袈裟な…」

男「ふざけんな糞犬!!お前はやられてねぇからそんなこと言えんだよ!!」

男「ちくしょう!助かるって聞いたから契約してやったのに、とんだハズレクジだぜ!!!」

人面犬「む…?」

ハズレクジという言葉に人面犬がピクリと反応する

男「ハズレって言われて怒ったか!?はっ、悔しいなら!!俺を助けてみやがれってんだ糞犬が!!!」

人面犬「…よかろう」

人面犬が一歩足を踏み出す、やっと動く気になったか…

口裂け女「ふん、こんな犬一匹に……!!!??」

…と思うと、口裂け女の右腕が肩から無くなっていた

人面犬「これでいいか?」

人面犬が無くなった口裂け女の腕をくわえ、こちらを向く

口裂け女「わ…私の腕がああああああああ!!!??」

男「…は?…え…?」

人面犬「俺の説明がまだだったな、俺は人面犬の中でも近接戦闘に特化している」
人面犬「大方、『物凄い速さで走り人間を噛み殺す』とかから生まれたんだろう」

男「す…すげぇ…」

さっきまでの頼りにならない感じがどっかに吹っ飛んだように人面犬がかっこよく見えた

口裂け女「く…そ…犬畜生があああああぁぁぁ!!!!」

口裂け女が怒り狂い、残った腕で包丁を振り回しながら突進してくる

男「おいおい!やばいんじゃないか!!?」

人面犬「安心しろ」

噛みちぎった腕を脇に吐き捨て、人面犬はまた飛び掛かる
振り下ろされる包丁を華麗にかわし、腕を踏み台にして、今度は口裂け女の喉笛に噛み付いた

口裂け女「ぎっ…!やああああぁぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……」

喉を噛みちぎられ、口裂け女は倒れた
いくら都市伝説でも、弱点は人間と同じなのだろう

人面犬「どうだ?助かったか?」

その光景に圧倒されていた俺を、人面犬の言葉が現実に連れ戻した

男「う…あ…うん」

人面犬「そうか、俺と契約してよかったろ?」

『よくねーよ、切られたわボケ』と言いかけたが助けられた事に代わりは無いので黙ってる事にした

男「ふう…ま、助けてくれてありがとな、犬」

人面犬「犬じゃねえ人面犬だ」

男「同じようなもんだろ?…さて、と。もう夜も遅いし帰るか」

人面犬「お前、腹は大丈夫なのか?」

男「ん?ああ、薄皮一枚切れただけだ、包帯でも巻いとけば治るだろ」

人面犬「そうか、泣かなくて偉いな」

男「馬鹿にしてんのか?」

人面犬「さて、一つ聞きたい事があるのだが」

男「なんだ?言ってみろ」

人面犬「お前の家に犬小屋はあるか?」

男「ああ…昔使ってたのがあるが…って!お前まさか!?」

人面犬「契約したんだ、パートナーと一緒にいるのがあたりまえだろ?」

男「ああ…いや…でもなぁ…」

人面犬「嫌と言っても無理矢理付いていくぞ」

男「…はあ…仕方ないか…んじゃ、改めてよろしくな、人面犬」
人面犬「ああ、よろしく」

~終~




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