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連載 - 仲介者と追撃者と堕天使と-32e

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
「きゃははははははははっっ!!」

 無邪気に笑って、苦い苦い、毒の水を飛ばすレティ
 直希はゼルエルの盾でもって、辛うじてそれを飲み込むことを防いでいた
 その手元では、ぱらぱらと「光輝の書」がひとりでにページをめくり続けている

「貫け、ゾフィエル」
「きゃははははっ!無駄だよ!レティには届かないもんっ!!」

 思った以上に、レティのスピードが速い
 しかも、その体が炎に包まれているせいで、攻撃が当たりにくい
 …厄介な

「ほらほらっ!早くレティの苦いお水を飲んで、のたうちまわってみっともなく死んで、レティを楽しませてよっ!」
「だが断る。僕は、ルーニー夫妻の遺言を実行しなければならないのでね」

 アフとヘマハの燃え盛る鎖がレティに迫る
 …届かない

「もし、自分達が娘に殺されたならば」

 カマエルとゾフィエルが、同時に槍を突きだす
 届かない

「もし、娘がそのまま、ネフィリムとして邪悪に育ったならば」

 ヌリエルが雹と霰を振らせる
 ……駄目だ、レティが纏う炎で溶かされ、むしろ、彼女の武器となってしまう

「君を、殺してくれ、とな」
「きゃはははっ!殺せるの?さっきから、お兄ちゃんが召喚してる天使の攻撃、レティに届いてないよっ!」
「……やれやれ、君が呪詛に対する耐性を持ってさえいなければ、もっと楽だったのだが」

 そうすれば、ドゥマの呪いでさっさと殺しているのだが
 直希は、深々とため息をつく
 何とかレティの隙を見つけなければ、こちらの攻撃は当たりそうにない

「それに、レティはネフィリムじゃないよ?今のレティはにがよもぎだけど、レティは人間として生まれたもんっ!」
「いや、君はネフィリムだよ」

 まっすぐに、空を飛ぶレティを睨みあげながら
 直希は、静かに告げる

「君の父親は、人間ではなかった。堕天使 アザ。地上に降りた際に人間の女と恋におち、ネフィリムの親となってしまった天使の一人だ……知らなかったのか?」
「あれ、そうだったの?」

 不思議そうに首をかしげるレティ
 が、すぐに、納得したように笑う

「そっか!だから、パパはすぐに死ななかったんだ!ママはすぐに死んでつまんなかったけど、パパは面白かったんだよ!苦しんで!のたうちまわって!!レティの事、信じられない、って目で見てきて!!苦しむ姿を観察するのは、楽しかったの!!」
「…やれやれ。ネフィリムと言うと全てを喰らい尽くし、共食いすらした事で有名ではあるが……君は、その残虐性だけが表に出た訳か」

 やれやれと、直希は再びため息をつく
 ……自分もまた、一歩歪んで育てばあのようになっていたかもしれないと考えると、ぞっとする

「いい事教えてくれてありがとっ!やっぱり、人間とか、それ以上に死ににくい生き物の方が殺すのが楽しいよねっ!」

 ごぽごぽと、レティの周囲に、いくつも水球が生まれる
 …今までは、遊んでいるからだろう、一つずつ飛ばしてきた
 だが

「お兄ちゃんは、どうやって死んでくれるかなぁっ!!」

 そろそろ本気になった、と言うことか
 無数の水球が、直希に襲いかかる
 四方八方から襲い掛かるそれら
 ゼルエルでは、防ぎきれない

 別にここで自分が死んだとしても、新島 愛美を死なせた自分がここまでのうのうと生きているのがおかしいのだから、かまわないのだが
 だが、遺言を実行できないのは、困るな

 直希が、どこかピントのずれた事を考えていると

 鳴り響いた、銃声
 断続的に続くその音と共に、苦い水の水球がはじけて消える

「あれ?」
「…むぅ?」

 はらり、白い羽毛が、直希の視界の隅を、踊る

「防ぎましたー!」
「全部撃ち落としましたー!」
「一滴も逃がしませーん!!」

 きゃいきゃい
 にぎやかな少女達の声
 …武装した天使達が、直希を守るように出現した

「直希っ!」
「…天地?」

 武装した少女天使達…モンスの天使を従えた天地が、駆け寄ってくる
 直希の無事を確認して、ほっとしている様子だった

「体調が万全じゃない状態で、無茶してんじゃねぇよ…」
「あぁ、すまないね。新島 友美が無理をしている状況で、僕が大人しくしている訳にもいかんからな」

 天地の言葉に、小さく笑う直希
 …天地が、やや面白くなさそうな表情をした事に、気づかない

「…お兄ちゃん、だぁれ?レティの邪魔するの?」
「当たり前だ、糞餓鬼」

 天地が、レティを睨みあげた
 モンスの天使達が、一斉にレティに武器を向ける

「「組織」所属 「モンスの天使」契約者 門条 天地……「教会」「13使徒」 「終末の火」レティ・ルーニー、お前を危険因子として、処分する!」
「きゃっはははははははは!!やれるものなら、やってみてよっ!レティはレティは、そう簡単に殺されないよっ!!」

 マシンガンやロケットランチャーといった物騒な武器を、レティに向けさせながら
 天地は、ぽつりとつぶやく

「…映画のチケットはもう用意してんだ、死ぬんじゃねぇぞ」
「むぅ、ならば、死ぬわけにはいかんな」

 天地の言葉に、直希は小さく笑って
 自分が生き延びる算段を、ようやく考え始めたのだった



to be … ?



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