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連載 - 夢幻泡影-44

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Retsuya

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だれでも歓迎! 編集
ONIの裂邪視点


「鬼はー外ー! 福はー内ー!」

放課後に、早くもそんな声が響き渡る
流石は学校町、今日も平和で何より

2月3日は節分
本来節分ってのは立春・立夏・立秋・立冬の前日、つまり年4回行なわれていたらしい
室町時代から1回だけになったんだとか
立春は昔でいう1年の始まりだから、今でいう大晦日の代わりになってたみたいだぜ

(裂邪>―――――って、この間テレビで言ってた
(少女>へぇ、黄昏クンってホントに何でも知ってるのね
(裂邪>ただし力学の方程式とかは訊くな;

と言う訳で、俺達は現在下校中・・・ん、なんだその目は?
隣? あぁこの子? 水無月 藍那、同じクラスの女子だよ、中1も一緒だったか
誕生日が1日違いでね、それから仲良くなったんだ
 ・・・誤解すんなよ? 浮気じゃないからな? 確かに可愛いけどさ
てか、藍那の弟がこいつのことを溺愛してるから、好きだったとしても手は出せんし
なんか、師匠扱いされちゃってるし
で? じゃあ何で一緒に帰ってるのかって?
仕方ないだろ、家が同じ方向なんだから

(藍那>黄昏クン?
(裂邪>え、あぁごめん、何だっけ?
(藍那>「鬼」って、何で虎のパンツを穿いてるのかなぁ?、って・・・
(裂邪>えっと、それは『鬼門』っていう方角に関係があって―――――ん?

それは丁度、丑寅の方角だったかも知れない
何かの気配を感じる
甘く、そして優しい香り・・・そう、ロリの香り!
直ぐ傍に同世代ロリはいるんだけど、もっと若いロリの香りがする
俺は近くの公園に入っていった

(藍那>ね、ねぇ黄昏クン、どうしたn
(裂邪>シッ! 静かに・・・

「鬼火伝承」の一つ、「ジャック・オ・ランタン」の力を呼び起こす
シェイドにバレたら大目玉を食らうだろうなぁ
とか考えていると、俺は引き寄せられるように草むらへと歩いていった
微かに、すすり泣く声を聞きながら

(藍那>あっ・・・

藍那が思わず声をあげる
草むらを掻きわけると、女の子が蹲って泣いていた
赤みがかった髪に二本の角の飾りをつけた、虎柄ワンピースの少女

(裂邪>お嬢ちゃん、何があったの―――
(少女>きゃっ・・・!

俺が手を伸ばすと、彼女はお尻を地につけて、細い腕で必死に後退った
髪で目は見えなかったが、頬は涙で濡れていた

(裂邪>怖がってる・・・虐められてたのかな?
(藍那>あ、そうだ、学校で貰った大豆、まだあるけど・・・

藍那はパッケージに包まれた大豆を鞄から取り出し、少女に差し出した
でも、少女はそれを見て余計に後退り、それだけでなく呼吸が乱れてきた

(藍那>・・・もしかして・・・
(裂邪>あぁ・・・

格好と、その態度を見て俺達は納得した
きっと、鬼の役をさせられて虐められたのだろう
よく見ると、靴を履いてなくて足は泥だらけだった
この小さな足で、色んな所を逃げ回ったのだろう
俺の心は限界だった

(少女>ゃ・・・ゃ・・・・・・っ?

その小さな身体を、そっと抱きしめた
最初は怯えていたが、少しずつ呼吸が安定していくのが分かった

(裂邪>落ち着いて・・・怖がらなくていいから・・・何があったか、話せる?
(少女>・・・・・皆、豆、投げる・・・・・豆、嫌い、逃げる・・・・怖い・・・・ぐすっ
(裂邪>分かった、話してくれてありがとう
    もう泣かないでいいよ、俺達は君を虐めたりしないから

少女は俺の胸の中でゆっくりと顔をあげた
髪の奥から、綺麗な瞳がちらっと覗かせていた

(裂邪>家は分かるか? 俺達が一緒に―――
(少年>あ! 姉ちゃーん! 師匠ー!

聞き覚えのあるショタボイス
一度立ち上がり振り返ると、胸に水晶を提げた少年――藍那の弟、水無月 清太が走ってきた

(藍那>清太! どうしてこんなところに?
(清太>いや、それは、その・・・

丁度良かった、この子と同年齢っぽそうだし、何か知ってるかも

(裂邪>清太、お前この子のこと何か知らないか?
(清太>え? この子って・・・誰もいないっすよ?

「へ?」という声も出ず
もう一度振り返ると、虎柄ワンピースの少女は何処にもいなかった

(裂邪>・・・あれ?? 藍那、俺は夢でも見てたのか?
(藍那>そんなこと、無いと思う・・・私も、見てたし・・・??

頭にクエスチョンマークが無数に浮かぶようだった
首を傾げながら、清太はそそっ、と寄って来て俺の耳元で囁いた

(清太>・・・ところで師匠、そちらは無事でしたか?
(裂邪>無事? 何の話?
(清太>いえ、先程「鬼」退治をしたんすけど・・・ほら、今日節分でしょ?
(裂邪>あぁ、そういうこと。俺達は特に・・・・・・・・あ゛

 ・・・2本の丑の角、身に纏うは寅の皮
あの子、もしかして・・・

(清太>師匠、どうかしたんすか?
(裂邪>ん、いや何も?
(藍那>2人とも、どうかしたの?
(裂+清>いや何も?

ちょっとあれだな
隠し事をする対象が多すぎる
逃げよう

(裂邪>あ、藍那ごめん、今日母さんに頼まれた事あったの思い出した! 先に帰るね!

返事も聞かずに、俺は早々にその場を離れた
逃げるように・・・いや、マジで逃げてる
まぁ、清太は鬼退治したようだし、御褒美にもなるだろう

(裂邪>・・・しまったなぁ、ロリコンだってバレてたらどうしよう

ロリを抱きしめるのは暫く控えよう、うん



―――――ありがとう



(裂邪>ん・・・?

声を聞いた気がした
風の音か、それとも・・・

(裂邪>ま、いっか

俺は歩を緩めてまた歩き出す
もし子供が生まれたら、我が家は豆撒き禁止にしようかな

   ...To be Continued

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