「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある警察幹部の憂鬱-16

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 はらはら
 はらはらと
 静かに、桜が舞い落ちる

 そんな中、若干近寄りがたい集団からは、少し離れた位置で

「………」
「………」

 「組織」所属の契約者、影守 蔵人と
 「組織」と繋がり持つ警察幹部 広瀬 美緒が、一つのレジャーシートに並んで座っていた
 二人の前2置かれた弁当箱は、既に空になっている

「…あ、えぇと…お、美味しかったですよ」
「そうですか……お口にあったようなら、良かったです」

 影守に、弁当の味を褒められて
 嬉しさを感じるのだが、それをうまく表現できない美緒
 ここで、会話が止まってしまう

 …自分は、一体、何をしているのだろう
 そもそも、どうして自分は、二人分も弁当を作ってきてしまったのか
 ここで、影守と出会えるなど、決まっていた訳ではないのに
 いや、そもそも、何故、影守とである事を期待してしまったのか
 その理由に気付きながら、美緒は気付かぬふりをする
 自分がそんな感情を抱いているなど、影守に知られても…彼を、困らせるだけだ

 ぐるぐる、ぐるぐる
 美緒が、自己嫌悪に陥っていると

「……ふぁ」

 影守が、小さく、欠伸をしたことに気付いた
 見ると、少し、うとうととしていて

「…影守さん?眠いのですか?」
「え…あ、いや」

 声を駆けられ、はっと顔をあげた影守
 が、やはりどこか、眠たそうで

 どうやら、疲れがたまっているらしい
 それに加えて、弁当を食べて腹が満たされている事と
 春のうららかな暖かい陽射しが、眠気を誘うらしい

 …そんな影守の様子に、美緒はどこか微笑ましいものを覚えた
 あぁ、契約者と言っても…やはり、人間なのだな。と

「眠ってしまわれても、構いませんよ。お疲れなのでしょう?」
「あ、いや……でも」
「…時間さえ先に告げてくだされば、その時間になったら、起こしますよ?」

 それくらいは、できる
 都市伝説退治では、自分は役に立つ事などできないが
 ……それくらいは、できるのだ

 美緒の言葉に、影守は一瞬、迷いを見せたものの
 しかし、眠気が限界だったのだろう

「…すみません、30分くらいたったら、起こしてくれますか?」

 と、どこか申し訳無さそうに、言ってきて
 それに対して

「構いませんよ」

 と、美緒は短く、答えた
 もう一度、すみません、と影守は苦笑して

 ……っこってん、と
 力尽きたように、横たわった

「○×□△~~~~~!!??」

 ……正座していた、美緒の膝の上に
 頭を、置くような形で

「な、なな、ななななな………」

 ぼしゅう、と
 頬を赤らめてしまう美緒

 …恐らく、意図的に、ではない
 力尽きるように倒れこんだ結果、そうなっただけ
 ただ、それだけの事だ
 影守に他意はないのだから…起こさないよう、そっと、膝から降ろせばいい
 ただ、それだけの事だ

 ただ、それだけの事
 だと、言うのに

「~~~~~~っ」

 真っ赤になって、硬直してしまった美緒
 この、膝枕状態から…脱出、できない
 膝に頭を置いてくる形になった影守を、押しのける事が、どうしてもできない
 真っ赤になって、硬直したまま
 思考すらフリーズさせてしまった美緒


 …この
 はたから見れば「リア充もげろ」状態のまま
 二人が30分もの間、そのままの状態なのだった



終われ

そしてもげろ



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