「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 彷徨うみさき-06

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匿名ユーザー

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「本日、集まって貰ったのは他でもない。資料は渡っているか?」

暗い暗い部屋の中で、数人の男女が丸いテーブルに座って居る。
その全員の前に、発言者が持っているのと同じ資料――《七人みさき》に関する報告書――が置かれている。
それを確認し、次の話しに進めた。

「今回の議題は、この《七人みさき》の契約者だ。資料を読んだのなら分ってるだろうが。
 どうやらこの女は、殺害した相手を取り込む事で、配下にし使役したり、そのままエネルギーとする事が出来るらしい」
「興味深い能力ですね。大規模な破壊も出来る様ですし、使役する対象も強弱に関係ないっぽいし」
「殺した相手を取り込むんなら、戦闘中にガス欠に成る事も無いよね!」

反応した2人だけで無く、この場に居る全ての存在が《七人みさき》の契約者に対しての関心を抱いていた。
何故ならば、此処に居る契約者と黒服の全員が、ナンバーの枠組みを超えて集まった異端者達だからである。
如何言う事かと言うと、知識欲や闘争心だけで無く、正義感が強過ぎて元々のナンバーから、爪弾きにされているのだ。
だと言うのに、彼らの団結力は決して低くは無い。

「ならば、接触してみようか。なぁに、正義の、世の為になると交渉すれば、大丈夫だろう」
「良く言いますね。応じなければ、実験体として回収する積もりでしょう」
「当り前だろう? 正義を分らぬモノには、平和の為の礎としての役割しか存在せんさ。
 そうだ、この世に在る全ては平和への贄と成る事が、何よりも幸福なのだ」

その考えは、間違いなく善性を根源としているだろう。しかし、あまりにも狂い過ぎている。
正義の平和の為ならば、どんな犠牲も払って構わないと言っているのだ。そして、それを普通に受け止められている。
ここに集まった7人は、方向性の違いは有れど、いかれている事に違いは無いのだから。

「で、誰が行くんだ? 全員って訳にゃ、いかねぇだろ」
「それならば、既に決めている。私と、貴様と貴女と君の4人だ。
 もっとも、私は直接に相対する訳じゃ無いがな」
「へぇ。そう言う作戦なんだ」

仕切っていたリーダー格の男性が指差した人員を確認すると、それから外れていた1人の女黒服が、何をするか気付いたらしい。
その顔には、面白い事が起こりそうだと言う表情が浮かんでいる。

「ん? 如何言う事なの、おねーさん」
「詳しい事は、後で説明するさ。ただ、君には期待している。
 もしかしたら、君の都市伝説は《七人みさき》にとって、鬼門かも知れないからな」
「おぉ!! 僕の友達が大活躍出来るんだね! 頑張るぞー」

ただ、指された内の1人である子供は、作戦の内容を理解できなかった様らしい。
その内容を女黒服に尋ねるが、彼女が答える前にリーダー格の男が期待を告げ、それを聞いて子供は声を上げてヤル気を出す。

「では、今回はこれで解散としよう。《七人みさき》を確認次第、追って連絡する」

リーダー格の男は、そう言うと取り出した機械を操作した。すると、その場の全員の携帯に着信があり。
そのまま1人残らず、姿を消した。






そんな計画が立てられている事など、知る筈も無い《七人みさき》の契約者美咲はいつも通りにしている。
そう。いつも通りに、………襲ってきた都市伝説を撃退している。
戦闘に出せて、修復が済んでいたのは〝テケテケ〟だけだったが、相手も《口裂け女》が1体だけだったので、何とか成っているらしい。

(はぁ。何だったんでしょうか? あの人は)
(ん。この間の男の事かい? ただの、お人好しだろうよ。気にする事無いだろうさ)
(な事は、分ってるよ。気に成るのは如何して、あそこまで優しく在れるのかって事だ)
(自慢じゃないが、ボク達はかなり多くの存在を、人間・都市伝説を問わずに吸収している)
(だけどさ~。あんなに優しいのって1つも居ないし、普通じゃ無いって)
(あれは、異常)

しかし、この状況で美咲いや、《七人みさき》の7人の頭を占めるのは、先日に出会った青年の事だった。
その事に気付いた〝鬼女〟が、何故、美咲達がそこまで青年の事を引きずっている事に、疑問を言う。
それに対して、自分達の感じた青年の異常さを口に出す。
そんな、会話の裏では、


「イヤッハー!! あたいの鋏捌きの前には、敵うモノ無ーし」
「っちょ、何コイツ?! 下半身が無いのに、動きが縦横無尽過ぎ――――――」
「フィーーーーニッシュ」

〝テケテケ〟が必要以上に派手なテンションで、《口裂け女》を倒していた。

「終わったよーーーーーーー!!」
「あ、そうですか。じゃあ、さっそく取り込みますね。ちょうど、良かったですかね」

大声で、戦闘の終了を伝える〝テケテケ〟と《口裂け女》を取り込む美咲。
襲ってきたのが《口裂け女》だったのは、ラッキーだったと言える。同じ都市伝説の方が修復が早くなるのだ。
これで、〝口裂け女〟を呼び出せる様になる時間が、近づいたと思われる。

「では! あたいは、これにて退散させて貰います」
「ご苦労様でした」


と、吸収が終りかけた時、不意にこんな考えが湧いてきた。

(そうだ。あの人を取り込めば解るのかな? 如何して、あそこまで優しく在れるのかを)


続く

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