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連載 - 仲介者と追撃者と堕天使と-14a

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 それは、望が二人に分裂してしまった翌日の事

「………本当に、申し訳ない」
「な、直希、そんなに頭下げるなよ」
「だが、これは僕のミスだ」

 仲介者こと、直希が翼達の家を訪れ、深々と謝罪していた
 いつもの感情が薄い顔が、申し訳なさそうな表情を浮かべている

「全ては、僕の調査不足が招いた事だ。もっとしっかりと調べてから、君達に任せるべきだった」
「でも、そうなると、もっと被害者が出ていたかもしれないでしょ?」

 仕方ないわよ、とため息をつく望
 なんとも気に食わない存在が増えてしまったが、仕方ない
 ……謝罪費含めて、報酬はたっぷりと出るみたいだし

「それで……御神楽 詩織ちゃん、だったか?」
「えぇ、そうよ」

 直希の言葉に答える詩織
 彼女をじっと見つめ、直希は言葉を続ける

「君は、この世に生まれでて…望ちゃんと、入れ替わる事なくこの世に存在して。悪事を働く予定などは?」
「…普通、そう言う事聞かれて正直に答える奴、いると思う?」
「いないと思うな」

 詩織の突っ込みに、直希は淡々と答えた
 なら聞くな、と突っ込みたいところではあるが…ぱらぱら、と直希が持っている光輝の書が勝手にめくれ始めているところを見ると、誰か天使を召還して、嘘発見でもするつもりだったのかもしれない
 詩織は肩をすくめ、答えてくる

「一応、現世を楽しませてもらうつもり、そのためにも、退治されるようなことをするつもりはないわよ?」
「………なら、いいのだがね」

 ぱたん、と
 直希は本を閉じ…静かに、告げる

「僕の大切な友人や、その家族に何かあってからでは遅いのでね。何かあったら、僕は容赦しない」
「厳しいのね」
「僕のミスが、そもそもの原因だからね」

 小さく、ため息をついて
 くるり、直希は黒服に向き直った

「…それで、黒服さん。詩織ちゃんだが、この家に同居させるのかね?それが難しいのなら、彼女はこちらで引き取るが」
「え……」
「こちらも、三人であの家は少々広すぎるくらいだからな。幼女一人引き取るくらいはできる」
「直希、幼女言うな。こいつらはそうは見えないだろうけど10さがはっ!?」

 そうは見えない、は余計だ
 そうとでも言うように、望が翼に問答無用の一撃を加えた
 うめく翼の様子に、黒服と直希が小さく苦笑した

「…まぁ、答えは後でもいい。とりあえず、これは謝罪の気持ちもこめて」

 ……す、と
 直希が取り出してきたのは、手作りのケーキだった
 動物を象った、可愛らしいケーキ

 ………
 …………

「おや?望さん、詩織さん、どうしました?」
「……その」
「ちょっと、ね」

 手作りの甘い菓子
 それには、若干嫌な思い出が
 自分は被害にあっていないが、友と翼が被害にあっている訳で
 何かを感じ取ったのか、黒服は望の頭をそっと撫でて微笑む

「大丈夫ですよ、直希さんの作る菓子類は、私の友人が作るような食物兵器ではありませんので」
「以前から思っていたが、黒服さんは時折優しい顔で容赦ない事を言うな」

 まったくもって、その通りだと思う
 まぁ、それはさておき…黒服がこう言うのなら、大丈夫だろう
 そう判断して、望も詩織も、差し出されたケーキに手を伸ばすのだった



投下が被ってしまったTさんの人に土下座しつつ終わるorz


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