「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある組織の構成員の憂鬱・人間だった頃-01

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だれでも歓迎! 編集
 それは、遠い昔の話
 彼らが、彼女らが、まだ自分達の身に起きる悲劇など、予感もしていなかった頃の話……



 …ぴたり
 高校生くらいの、逞しい体つきの少年と手を繋いでいた小さな少女が、ふと、脚を止めた
 少年も、釣られて足を止める

「どうした?さっちゃん」
「あ、うん…キレーだな、って思って」

 さっちゃんが、思わず足を止めたのは…その店先に展示された、綺麗なウェディングドレス
 女の子なら、一度は夢見る花嫁衣裳
 それを、キラキラ見つめるさっちゃんに、契約者たる少年は笑って見せた

「俺が大人になったら、さっちゃんにこう言うドレス、着せてやるからな」
「本当?おにーたん」
「おうよ!」

 きっぱり、言い切る少年
 さっちゃんは、嬉しそうに笑って少年に抱きついた

「ありがとう、おにーたん」


 さっちゃんは、契約者の少年が大好きだった
 少年も、さっちゃんが好きだった
 二人は、死ぬまでずっと一緒だと
 互いに信じて、疑っていなかった


「…ほら、何してるのよ!早く行くわよ?」
「あぅあぅ、早く来いなのですよ!あのお人好しをとっとと迎えに行くのです!」
「えと…ふ、二人とも、もうちょっと、優しく言おうよ」

 友人達に声をせかされ、へいへい、少年は歩き出した
 さっちゃんも、てちてち、その隣を歩き出す


 少年がさっちゃんと契約したのは、施設にいた頃だった
 四人の仲間の中で、一番最初に契約した
 今では、四人全員が都市伝説契約者だ
 そんな奇妙な縁の中、自分達はいい加減、あの地獄のような施設から脱出を果たす事ができた
 今は、まだ、最年長である青年の世話になってばかりだが、高校を卒業したら働こう、と少年は考えていた
 まずは、生活費やらなにやらで忙しいから、さっちゃんにドレスを買ってやるのは、大分後になるだろう

 でも、いつか、必ず



 少年のこの願いは、はたして叶ったのかどうか
 この時点では、まだ誰にもわからない




fin




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