「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 三面鏡の少女-10

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

三面鏡の少女 10


「ダメだ」
首塚の宴会当日
待ち合わせに一番適している事と、運転手が送迎を務めてくれるという事から診療所で待ち合わせをしたのだが
「ダメって何がですか?」
「パーティーに行くんだろう? いささかラフ過ぎやしないかね」
そう言われた三面鏡の少女の格好は、ふわりとしたシフォンブラウスにタイトジーンズ、細いシルバーのブレスレットとワンポイントのネックレス
可愛らしくはあるが割と普段着的な格好だ
「だ、ダメですか? 宴会って言うぐらいだしそんなに気張らない方がいいと思ったんですけど?」
「もっと華やかな方がボクが楽しい」
「ドクターの趣味の話じゃないですか!? というかドクターもいつもの格好で白衣のままじゃないですか!」
「ボクは『第三帝国』という組織の一員としてありのままの姿を見せる必要があるからな」
ふふんとボリューム満点の胸を張るドクターに、通り掛かったバイト青年が呆れた声をかける
「ありのまま過ぎますよ。襟と胸元のボタン、ちゃんと閉じてその上でネクタイ締めてって下さいよ」
「仕方なかろう。日本で買ったシャツはどれもサイズが合わないのだから」
「むぅ……」
その言葉に、思わず少女は自分の胸に視線を落とす
「バイトくん、君が余計な事を言うから少女が気にしてしまったではないか」
「俺のせいですか!?」
「別にバイトさんのせいじゃないですよ!? というか話がズレてますよ!」
「そういえばそうだったな。宜しい、本題である君の服装に戻ろうではないか」
そう言ってドクターがぱちんと指を鳴らすと、奥に控えていたメアリーとミツキがいそいそと大きめの箱を運んでくる
「ボクは君のちゃんとした浴衣姿を拝んでいないので、その代替案だと思ってくれればいい」
箱から取り出されたのは、浴衣と同じ淡い空色をしたホルターネックのワンピースドレスだった
膝下ほどまでの裾に合わせて、色の合うストッキングやパンプスなども用意されていた
「単純にボクが見たいというのもあるが、君に似合うと思ってな」
「えーと……サイズは」
「女性の身体なら服の上からでもミリ単位で判別可能だよボクは」
「凄いけどちょっと怖い!?」
晴れやかな笑顔でドレスを広げ、少女の身体にあてがうドクター
確かに色合いもデザインも少女の趣味でありとても似合うものではある
「折角用意したんだ、今日だけでもいいから着てみてくれないかね?」
「その言葉、私達からもドクターに差し上げます」
「ふむ?」
少女のドレス姿を思い浮かべ楽しそうにしていたドクターに、メアリーとミツキが同じような箱を手渡す
「折角の晴れ舞台ですもの。私達も魅力的なドクターの姿を世間にお披露目したいですわ」
「彼女のドレスと一緒に、私達が選んで注文しておいたんですよ?」
すらりと取り出されたのは、ボディラインを強調したワインレッドのチャイナ風ドレス
「いや待て。ボクは組織の一員として挨拶に向かう上でだな? あと保護者兼医師として」
「それでもやっぱり正装した方が先方には失礼はないですよね?」
「ドクターってばいつも白衣にワイシャツにスラックスですし。折角のパーティーですから」
ドレスを手にしてじりじりとにじり寄る二人に、ドクターは珍しく冷や汗を流しながら後退る
「いやボクは女性が大好きで男性が嫌いという男性的な精神構造であり似合う似合わないで言えば割と似合わない方だと思うんだほら髪もいつも短くしてるしあとドレスとか着方もよくわからないからね?」
そんなドクターの言葉を、いつもドクターが浮かべてるような満面の笑顔でスルーする二人の都市伝説女性
そして始まる脱がしたり着せたりのドタバタに、少女は呆気に取られていたが
「済まんが、折角だし着てやってくれないか? ドクターもあの二人も、割と本気で選んでたんだ」
バイト青年はそう言うと、ドタバタの中心を見ないようにして静かに部屋から出て行った
「……ん、それじゃ折角だし」
「それじゃあ着付けは私が手伝ってあげますね。メアリー、そちらは任せます」
「任されたわ、ミツキ。さあドクター、暴れてると私達の捧げた愛がダメになってしまいます。大人しく着ちゃって下さい♪」
「待て落ち着け話せばわかる、むしろ触れ合ってる時点でわかろう。ボクにも苦手な分野というものが大なり小なり」
「ドクターもいつも言ってるじゃないですか、可愛いは正義って」
「いやいやボクはもう可愛いとかいう年齢でもないからね!?」
絡み合うドクターとメアリー
「ごめんなさいね、ドクターの我侭に付き合ってもらって。仕返しにドクターには私達の我侭に付き合ってもらうから」
そう言って微笑むミツキ
口裂け女というその個性からは随分と似つかわしくない、優しい笑顔
「いえ、あたしも楽しいですよ。あと……ドレス、選んでくれてありがとうございます」
それに釣られるように、笑顔を浮かべる少女
着付けとドタバタが終わるのは、同行者である呪われた歌の契約者が現れる数分前の事だったという



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー