Luzaf (ミッション編)



  • エルヴァーン♂、独自グラフィック、通常配置無し
  • 200年前にエラジア大陸西部に存在したイフラマド王国の王子。
  • 母国イフラマド王国を滅ぼされ、ブラックコフィン号を駆りアトルガン皇国に抗った。
  • 現代では故人であるはずが、「漆黒のルザフ」「腹黒ドゥザフ」等としてアトルガン白門で噂になっている…。


漆黒のルザフの軌跡

  ルザフの物語は、時系列的に前後したり(説明や詳細が後でモノローグなどで明らかになる)するので、よりわかり易くルザフのミッションでの行動がわかるように時系列順にまとめた。彼の過去・世界観等はこちら参照→Luzaf (詳細・ネタバレ編)


暗躍する過去の亡霊
  現在に蘇ったルザフは最初Flitに命じ、アトルガン皇国内での状況を偵察させた。ミッションで見られるFlitは、時々冒険者らをも盗み見している様子で描かれている。そして皇国が現在も他国と戦争を繰り返している事と、皇国内部にスパイが潜んでいる事(四国からの傭兵である冒険者ことプレイヤーと、東の国からの傭兵Gessho等)を知る。一艘の船だけでは皇国に抵抗する力も知れている。ルザフはまず、皇国に仇なす軍勢、すなわち獣人に目をつけた。

  まず向かったのはトロールの本拠地、ハルブーン。そこの権力者Gurfurlur the Menacingとの面会を果たしたルザフ。何故最初にトロールと手を組もうとしたか。それはGurfurlur the Menacingの発言に隠されている。

Gurfurlur : カオカコヘラバソ、ウルレマ、エミオレマ、エブウロトムナ、テラケアセオ。(以下翻訳スレより:皇国滅ぼし、俺らも、お前らも、奪われたもの、取り返そう。)

  すなわち、エラジア大陸にいるトロール族は、何らかの形で皇国に裏切られ、おそらく火山地帯で不毛の大地とも言えるゼオルム火山へ追いやられたのかもしれない。(元はエラジア大陸の中央の山岳地帯に住んでいた種族と公式で明らかにされている)共通の痛みを分かち合い、共通の敵を相手に手を組むのは望ましいといえる。しかもルザフ自身の狙いは皇国の頂点である聖皇の首だけであり、トロール(および契約している雇い主モブリン)の狙いでもある魔笛や財宝には興味を示さない。トロール軍としては、ここでルザフらと手を組むのは美味しい話以外何でもないのだ。
  しかしハルブーンのトロール傭兵団の雇い主兼通訳家を勤めるモブリンMegomakの発言が状況を一変させてしまう。無欲な取引相手との条約成立に気をよくした彼は、同盟の記念に「スペシャルな武器」をルザフに与えると言い出したのだ。それは最新技術の結晶ともいえる生命体兵器「キマイラ13」であった。錬金術にも精通しているMegomakはアトルガン皇国の錬金術に興味を抱き、ハザルム試験場にある「皇国の秘密施設」に忍び込み、合成獣を作り出す技術を盗み出した。彼が自ら作り上げたのがキマイラ13だった。しかしルザフはMegomakの合成獣に関するうんちくを語っている間にその場を去っていた。
  現在でこそ皇国に仇なす勢力として知られる「死の軍団」。それを束ねるラミアもまた、合成獣なのである。禁断の錬金術を用いて作り出された人工生命兵器。これこそがルザフが200年前敗北を喫した「作戦」に使われた「兵器」であり、ルザフにとっては憎悪の対象であるアトルガン皇国の象徴であり、また自分の復讐の前に立ちはだかった生前最大の壁だった。


ラミアの本質を知るルザフにとって「不死の軍団」との同盟は端から「あり得なかった」といえる。

  ルザフにとって、残る同盟候補はマムージャ蕃国と、東の国である。東の国は(この段階では)遠過ぎるため、頭領と謁見をし協力を呼びかけるには時間が掛かると思われる。しかしマムージャ蕃国もまた、ルザフにとってはアトルガン皇国と共に祖国を滅ぼした「敵」である。しかし200年もの年月の間にマムージャ蕃国は独裁者を掲げ、アトルガンに反旗を翻し、現在の敵対勢力になっている。ここに納得したかは定かではないが、ルザフは少なくともその独裁者 Gulool Ja Jaと、その四天王と作戦会議を開く位の仲になることに成功する。
  更に、ルザフにとっては幸運にも東の国からきた間者Gesshoとも、マムージャとの接触を経て出会ったものと思われる。Gesshoもまた祖国の為にアトルガン皇国の様子を探りながら獣人と同盟する機会をうかがっていた。同じようにアトルガン皇国と戦う勢力を探し、義を重んじる気質であるルザフとGesshoは意気投合をし、同盟を結ぶことに成功する(もっとも、これはFlitの策略によりルザフの意思とは無関係に「裏切る」ことになってしまう)。
  東の国との同盟、そしてマムージャ蕃国も味方につける可能性が出て来たところだったが、ルザフは作戦会議に遅刻してしまう。しかし、逆にマムージャの首脳陣はそこにはおらず、残されていたのは真っ赤なオートマトンだけであった。更にそのオートマトンを助ける為にマムージャの建築物をよじ登る少女ともう一体、純白のオートマトンの姿が。この二体のオートマトンこそが「厄災の双人形」として獣人たちが捜し求めていたOvjangMnejingであった。


遅刻の侘びに指一本でも「詰める」覚悟だったルザフだが、逆にタナボタ状態に。

  すぐにルザフはFlitと共にオートマトンを二体とも手に入れ、Flitの作り出す魔方陣を通って「ブラックコフィン号」へ戻ろうとした。しかし、そこでオートマトン達の主と思われる少女が彼らを追って魔方陣に飛び込んだのだ。ルザフらと共に魔方陣に飲み込まれた少女。ここからルザフの計画は僅かにだが、ずれていく。

アフマウとの出会い
  OvjangMnejingを追って魔方陣を抜け、「ブラックコフィン号」に乗る結果になってしまった少女、Aphmau。しかし、この状況をまるで楽しむかのようにマトンと共にはしゃいでいた。ひとしきりはしゃいだ部屋の中で彼女の目に留まったのは一枚の絵画。燃え盛る町並み、聳え立つ白い塔。そして、空を翔る騎士。Aphmauはその絵が「審判の日」を示すものだとつぶやいた。部屋に入ってきたルザフは、少女がそれを知っていることに驚いた。


「審判の日」とはOdinAlexanderが戦った900年前に起こった惨事を描いたものだった。

  そんなルザフの解説よりもAphmauは、彼が彼女を「マウ」「お前」と馴れ馴れしく話しかける事に講義した。最初は「勝手についてきたのは、お前ら……。」と言い出したルザフだが、やがて観念したのか「アフマウ……たち、だろう?」と続ける。ルザフがオトナなのか、Aphmau達に害がないと判断したのか、それとも実は優しいのかは不明である。現状はオートマトン二体に何かしら「用」があるルザフは二体とその主と思わしきAphmauを手放しでこのまま釈放する事は不可能だと告げるが、同時に船に居る間は自由にうろついて構わないと付け加える。
  Aphmauとマトン達の天真爛漫さは死者である「ブラックコフィン号」にも影響があるようで、Mnejingの軋む金具に油を差したり、元々ルザフが「危害を加えないように」と指示をしているのもあるが、それ以上に優しく「客人」を持て成しているようだった(その話を聞いてルザフも驚いたようだった)。それは、Aphmauの持ち前の分け隔てない優しさと好奇心が成せた事かもしれない。そしてルザフもまた、彼女の優しさに触れることになっていく。
  「ブラックコフィン号」がドゥブッカ島に差し掛かった辺りで、AphmauOvjangMnejingに「昔、この近海で商船を襲ってた恐ろしい海賊……イフラマドのコルセアの根城だった」と語った。それは、彼女が宮廷で聞いたアトルガン皇国の「歴史」から見た当時の説明なのだろう。ルザフは更にそれに解説を加えた。そして、そこには今は亡きイフラマドの亡霊が居るかもしれない、とAphmauを脅す。しかしその反応は、とても意外なものだった。

Aphmau :そうね、楽しみよ!!
Luzaf :なぜだ?命を奪われるかもしれんぞ?
Aphmau :だって、だって……亡霊になったとはいえ、元は海賊さん。家族やお友だちがいる人間だったわけでしょう?だから……寂しくて、悲しくて、会いたくて……。 長いあいだ、ずーっと苦しんできたんじゃないかな……。だから、反省してもう悪いことなんてしないと思うの。


憎しみだけでこの世に舞い戻ってきたルザフ達。純粋に死んだコルセア達を想い、知らずに接しているからこそ、ルザフや部下達の心にも浸透していったAphmauの優しさなのかもしれない。

  逆に、Aphmau達は元々アトルガン皇国に流れる「幽霊船」に興味を抱き、皇宮を抜け出した身。実際にこうして船に乗り、彼女の知らない、イフラマド視点での歴史を語るルザフの話は充分刺激的といえる。お互い思わぬ形で無意識に求めていたものが満たされていたのかもしれない。
  しかしペリキアの風に乗って流れてきた不思議な音色で、そんな和やかな会話も打ち切られてしまう。ルザフにとっては忌まわしい記憶を呼び覚ます音色……「国軍がラミアを操るために用いる笛」だったのだ。それを信じられずに居るAphmauOvjang、そしてMnejing。ラミアが率いる「不死の軍団」は今のアトルガン皇国にとっては敵。無敵の皇国にラミアを使役する必要は無いと叫ぶAphmau。その真実をその目で確かめさせる為にルザフは彼女とマトン達を連れ、笛の音色の出所を探りに出かけた。

暴かれるそれぞれの秘密
  ペリキアの岩陰に隠れ、二人と二体は遠くに見える人の群れを観察する事にした。そこで見たものとは……。笛を弾くアトルガン錬金術ギルドの面子、Aphmauの兄Razfahd、そして笛の音に操られるように頭をたれるラミアの姿だった。


Razfahdからしたらラミアを使ってでもAphmauを見つけたい、必死な兄心だった。

  皇国の宰相であるRazfahdは皇国の国家機密であるラミアを操る技術を使い、行方不明になったAphmauを必死に探している場面だったのだ。しかしそのような事実を知らないAphmauは、先ほど言い争ったルザフの話が正しかった事を思い知らされた事の方がショックだった。元々、彼女が何かしら皇宮縁の者と気付いてはいたが、この時ルザフはAphmauが皇国の宰相であるRazfahdの血縁者と知る。
  その光景を否定しようとするAphmauだが、(Razfahdに半強制的につれてこられた)冒険者(プレイヤー)を発見し、「何か複雑な事情があるのかもしれない!」と事情を聞きに飛び出していく。


彼女を(念力のような力で)保護しながら同行するルザフ。皇国とコルセア、因縁の初対面だ。


  兄Razfahdに詰め寄るAphmau。その会話の中でAphmauこそがアトルガン聖皇NashmeiraII世という事が判明し、当然その場に居たルザフもその事実を知ることになる。RazfahdAphmauをなだめ、無事に皇国に戻す為の説得の一部として自らの忌まわしい過去も語る(詳細はRazfahd (詳細・ネタバレ編)参照)。兄妹喧嘩が終息を迎えた・・・・・・と思ったその時、ルザフの感情が爆発する。


Luzaf : いい加減にしろッ!このまま帰すと思うか?アトルガンの皇族どもめがっ! 冥路の騎士よ……このルザフ、礼を言おう!ついにここで我が民の……我が仲間の仇を討つことができる。貴様らを、根絶やしにすることによって、な……!?


ルザフの憎悪に呼応するかのようにOdinがその姿を現した。

  Odinは、笛の音色に操られ次々と襲い掛かってくるラミアを吹き飛ばした。Flitは主人の「予定より早い」登場により喜ぶが、それもすぐさま掻き消されてしまった。ルザフに呼びかけるAphmauの声に反応するかのようにOdinはその身をルザフに戻したのだった。


その衝動で意識を失い倒れるルザフ。

  Flitに気付いたAphmauは、そのまま倒れたルザフのもとへ駆け寄り、Razfahdに「兄さま。ごめんなさい。……マウは 今は、この人の側にいたいの。」と告げた。そして再び、自らの意思で、Flitの魔方陣によってルザフとオートマトン達と共にその場から消えていった。


  無事に「ブラックコフィン号」に戻ったルザフ達だったが、ルザフは依然意識を取り戻さないままだった。船長室のベッドに寝かされた彼をずっと見守っていたのはAphmauだった。自分の素性を知り、憎しみを露にするルザフを目撃している彼女が自らの意思で再び彼と同行することを決めた意味とは・・・・・・。


Nashmeira : けど、この人もきっと夢にまで見てしまう、つらい経験をたくさんしてきたんじゃないかしら。

  前ほどうなされなくなったと、少し安堵している様子すら見せる。ルザフの様子を見に来た乗組員も「審判の日も近いというのに……。」と心中ルザフの意識が戻らない事に苛立ちを持っていたが、親身に看病を続けているAphmauに感謝の言葉を述べた。


胸の中の焦りを隠しながら、敬礼する部下のSalabwahn。

  冒険者がサラヒム・センチネル社で、皇国から指名手配が出た「漆黒のルザフ」の捜索の命令を受けている頃、ルザフは意識を取り戻していた。Flitに「あのお方もお待ちかねです。早いところ始末して、ハザルムに行き叙任式を執り行いましょうよ。」と急かされたが、答えなかった。そう、ルザフが意識を取り戻した現在もAphmauは「ブラックコフィン号」に乗っていたのだ。彼女は憎むべきアトルガン皇国の聖皇。しかしイフラマドの過去に心を痛め、意識不明だったルザフを看病し続けていたのも事実だった。船の掃除が終わったと部屋に駆け込んできたAphmauと話がしたいとFlitに人払いをするルザフ。その態度に不快感を感じながらもFlitは大人しく従った。

Aphmau :あの……具合は、どうなの?
Luzaf :ああ、もう大丈夫だ。一睡もせずに、看てくれていたそうだな。感謝する。
Aphmau :……うん。……あっ、でもあの……マウのこと……。
Luzaf :ああ……アトルガンの聖皇、ということか?
Aphmau :……ええ。
Luzaf :以前の俺なら、もう、君を斬っているだろう。
Aphmau :!!
Luzaf :案ずるな。君を斬り、小さな復讐を果たしたところで俺の心は浮かばれない……。


「以前」なら、とルザフは心境の変化を込める。

  ルザフはAphmauに、祖国滅亡のその時について語りだした。その時何が起きたのか、彼が何を感じたのか。そして自分がその時死んだこと、現在は亡霊と呼べる存在かすら判らない、と胸のうちを語った。ペリキアでルザフから出た陰についても彼女に説明をした上で、Odinとの契約についても話した。そして、現代で活動をする中で自分の中で芽生えてきた疑問についても。復讐をするべき相手は、彼の祖国を滅ぼした時代の聖皇であり、現代の聖皇ではない。つまり復讐する対象すら、もうこの世界には居ない。今後どうすべきか、答えが見出せず、迷っていたのだ。

Aphmau :マウは、寺院にいたからいろいろ知ってるの。皇都に暮らすイフラマドの末裔の人たちが、今でも王国時代を懐かしんでることとか……。そのために、戦ってる人たちがいること……。ルザフが、その人々が幸せに暮らせる道を探しだせばいいのよ。
Luzaf :……そうか……。今でも、イフラマドの民は……だが、それは再びアトルガン皇国と戦火を交える血塗られた道だろう?
Ovjang :オイ、ていとく。 イヤ、るざふおうじヨ。オまえハ、だれトはなシテイルノダ?
Luzaf :!
Aphmau: わらわに、任せるがよい!
Luzaf :ふっ。 ははは。そうだった、俺もコルセアだ。君の大きな賭けにのってみよう。

  復讐のみを考えていたルザフは、その矛先を現代の聖皇、すなわちAphmauに向けるのに違和感を感じ、迷っていたのだ。Aphmauはそんな彼に現代も行き続けるイフラマドの民について話し、新しい道を示す。二人とも「王位継承者」という責任を将来背負う立場だからこそ悩み、己の真実を貫こうとし、その範囲外の真実に直面した(ルザフは時代の違い、Aphmauはイフラマドという、皇国以外の視点)似たもの同士ともいえる。しかし、それに向き合う姿勢が全く違う。Aphmauの励ましにより一抹の希望、そして新たな道を見出そうとしていたルザフは初めて笑顔を見せた。幼く、理想を交えたポジティブな思考かもしれない。しかしそんな彼女が聖皇だからこそ成し得る事かもしれない。
  それに割り込んできたのはFlitだった。復讐を諦めかける発言をするルザフは、主Odinの復活の妨げになると思ったのかもしれない。

Flit :復讐をあきらめるのはあなたの勝手ですよ。でも、こちらは部下共々復活させてさしあげましたしブラックコフィン号だって浮かべてあげた……もう、契約は履行済みなんですよ?あなたは、ハザルムに行き新たな冥路の騎士への叙任……つまり、オーディンの化身となるしか道は残されていないんです。でないと、どうなるかわかってますね?あなたも、あなたの手下も……。

  「ハザルム」という単語について問うAphmau。先日のラミアとの一件の時も出た言葉だった。それを皮肉交じりに説明し始めたFlit。そこで行われた、合成獣を生み出すための錬金術の研究。それは偶然にも冥界へと繋がる門を開いてしまっていたのだ。
  ルザフはハザルムへ向かう事に合意する。しかしそれはあくまで契約を破棄する為だと念を押した。Aphmauにかつての自分の面影を見出したルザフは、己の宿命と向き合うと同時に、Aphmauにもそこで真実を見極めるように助言をする。かくして、Flitの言動に一抹の不安を感じながらも次の目的地、そして目標は決まった。しかしそこで船の乗組員が思わぬ報せを持ってくる。船に侵入者がいたのだ。そこで他の乗組員達に包囲されていたのは「Aphmauの傭兵」こと、冒険者だった。その姿に安堵すると同時にAphmauはルザフにその身元を保証し、開放を願う。しかしまだ怪しむFlitは、冒険者を、一行がハザルムへいく間、イフラマドの財宝の護衛をするように仕向ける。その場をしのぐ為にAphmauと冒険者もそれに同意をし、冒険者はタラッカ入江で降ろされることになった。ルザフも、Aphmauの言葉を信じ、念を押しながらも財宝のありかへの結界を打ち破る「冥衆の護符」を冒険者に託した。
  なお、これは冒険者視点でその後ミッションが進む為に明かされる事実であるが、FlitGesshoにも「財宝の護衛」を命じていた。恐らくはルザフと意気投合し「腹を割って話せる」信頼を得たGesshoが万が一ルザフに復讐心を削ぐような事を吹き込む前に引き離したと思われる。そして同様に「ピンチの時に駆けつける」Aphmauの傭兵である冒険者も邪魔と感じ、あわよくばGesshoと冒険者を相打ちにし葬る予定だったものと思われる。そして同様に計画の為に始末したいAphmau(ルザフの決心を鈍らせている素)を手にかけようとする時も、邪魔が入らないようにする為でもあると予測される。

ハザルム試験場で出した一つの選択
  それぞれの思惑を隠しながら、一行はハザルムの奥にある不思議な魔方陣にたどり着いた。そこは既に冥界の影響が色濃くでた空間。錬金術で偶然開いてしまった空間のようだが、皇国側も結局封鎖して合成獣たちに守らせる事位しか出来なかったのだろう、と語るFlit。その中で降臨が始まった。(※この付近から台詞上のAphmauの表記が物語の展開上Nashmeira になる場合がありますが、ルザフは一部を除いて一貫して彼女をAphmauと呼ぶので、あらすじ部分はそれで統一します)


ついに「冥路の騎士」がその姿を現した。

  その時魔方陣から噴出した異界からの風に吹き飛ばされ、Aphmauとオートマトン達は意識を失った。Flitの「そんなことより、オーディン様のお怒りを買わぬようお出迎えに集中すべきでは? 従騎士さん。」に怒りを見せながらもルザフはAphmau達を気にしながらも、神
Odinを迎えるべく頭をたれた。


Odin :……余を呼んだのは……汝なりや?
Luzaf :……御意。
Odin :……存念を申すがよい。
Luzaf :光を遮り、時を作り賜うた……オーディンよ!私に残された時を教えていただきたい。
Odin :……汝は怒りを晴らせしか?
Luzaf :……怒り?怒りとはなんだ?
Flit :……まったく、もう!しっかりしてください。皇国への復讐のことですよ!
Luzaf :……いいえ。俺の怒りは……私の怒りは……もう消えました。
Odin :……汝は怒りを晴らせしか?
Luzaf :?……ですが、我が神オーディンよ。私は、復讐よりも成すべき大切なことを見いだしました。それは、イフラマドの末裔たちです。彼らが誇りをもって暮らせるよう、私は残された命を王国の再建に捧げたい……今ではそう願うようになったのです。ですから、私に時を……今しばらくの自由を私に!

Flit :やれやれ。ずいぶんとまた、都合のよいお願いですねぇ。
Odin :……汝は怒りを晴らせしか?
Luzaf :……?……どういうことだ?
Flit :くすくすくすっ……だから、言ったでしょう?あなたの願いはもう叶えられた後。契約は履行済みなんですよ。
Luzaf :……。
Flit :あのオーディン様の化身は、ルザフさんが騎士になる用意ができたか否か、それ以外を裁定されることは決してありません。
Luzaf :化身……だと?では、契約の破棄は……。
Flit :不可能です。でも、いいことを教えてさしあげましょう。たしか、騎士に叙任された者には……冥界の力が馴染むまでの間、しばらく、自由時間が与えられるはずですよ。……来たるべき日に備えてね。
Luzaf :……俺が、契約を果たすにはどうすればいい?
Flit :簡単なことです。もう1度、思い出せばいいんですよ。皇国の卑怯な策略によって虫ケラのように死んでいった、あなたの部下たちの悲惨な末路を……。ルザフさんは、昨日のことのように覚えているはずですよ。その怒りをぶつけるのです……あの者に!

  Flitが指差す先に居たのは、気絶したままぐったりと倒れたAphmauだった。そしてルザフを挑発し続け、その復讐心を煽った。


無言で銃を構えるルザフ。

  そこでルザフは唐突にFlitに問う。「冥衆の護符」がこの世に二枚しか存在しないこと。ルザフが持っていたものは冒険者に渡したこと。少々苛立ちながらFlitは、それらが正しいと答えた。そしてルザフはFlitの「冥衆の護符」を持っているか、と問う。そこでFlitはあせったのだ。実際にはGesshoを遠ざける為に渡しているために、持っていないわけで、当然ここにも無い。Flitはその場を誤魔化す発言を繰り返す。


Luzaf :これで、心置きなく処分できる。

Luzaf :貴様をなっ!
Flit :はいっ!?

  Flitが皮肉のように口にし続けた「コルセアの掟」。それに反する行為「裏切り」を行ったのだ。ルザフの誘導尋問を誤魔化すように濁そうとしたFlitだったが、ルザフは容赦なく銃口を向け、そして引き金を絞った。銃口から立ち上る煙から見えた人影、それは冒険者の姿だった。Gesshoと共にFlitにハメられて戦う事になった冒険者だったが、その後話し合った結果、二人ともFlitの策略に掛かった事に気付いた。Gesshoは本国・東の国に一旦報告に戻るとつげ、そして冒険者はそのままAphmauらを追ってここまで来たのだ。そしてそれに気付いたルザフは、Flitの思惑に気付いたと判る。


銃声でAphmauも意識を取り戻した。

  Aphmauを冒険者に託し、ルザフは再びOdinの分身に向き直った。ルザフの現在成すべき事は契約の破棄である。それが言葉の届かない幻では意味が無い。ルザフは今一度Odinの分身に問いかけたが、その返事は以前と変わらなかった。

Luzaf :俺の言葉は届いていない……か……。
Nashmeira :ルザフ……。
Luzaf :<PC Name>よ。俺は、けりをつけねばならん。……アフマウを頼む。 そいつは、俺の……いや、イフラマドの希望だ。
Nashmeira :……な、なにを!?
Luzaf :これが化身ならばっ!


Luzaf :戦って神体を引きずり出すまでっ!

己の道を切り開こうとするかのように、短剣を構えるルザフ。

  しかしOdinの分身はその攻撃を受け止め、ルザフをはじき返した。


Odin Prime :ハハハハハハハハッ!汝は怒りを晴らせり!余は、汝を騎士に任ぜよう。審判の日……ラグナロクに馳せ参じ、アレキサンダーを討ち果たすその日まで!

  そういい残し、Odinの分身は魔方陣へと溶けていった。結果的に契約は破棄どころか、成就してしまったのだ。しかし、ルザフはこれを逆にしばらくは自由が利く身体になると解釈し、改めて冒険者に礼をいい(冒険者のお陰でFlitの奸計に気付いたと明かす)、Aphmauに次に何をすべきか語りだす。随分と前向きになったような印象のルザフだが、これもAphmauの影響かもしれない。
  いずれ復活すると思われる「アトルガンの守護神」鉄巨人Alexander。元々はアトルガン皇国を平和へと導くと信じ、Razfahdはその部品を集め、Aphmauもまたその伝説を信じ、復活を望んでいた。しかしもしそれが実現した場合Odinはルザフの身体を媒介にこの世に姿を見せる事になる。そして、二神が再び衝突することが起きれば、再び世界を業火に包む「審判の日」、すなわちラグナロクが起こってしまう。ルザフは、それまでに残された時間を、ラグナロクを阻止するために使いたい、と語った。
  しかしそこで思わぬ報せが飛び込む。「ブラックコフィン号」を守っていたはずの部下の一人、Salabwahn が傷付きながらその場に現れた。

Salabwahn : て、提督。早く、早くお逃げください!!ふ、不滅隊がそこまで……グワァァァ!!


無残にも不滅隊の青魔法に焼かれて力尽きるSalabwahn。

Razfahd : お手柄だぞ。ナシュメラ。
Nashmeira :……兄さま!
Razfahd :次期冥路の騎士と、外国の密偵を一網打尽にするとは。
Luzaf : くそっ。
Razfahd :下手なことはやめてもらおうか。漆黒のルザフ……それとも、冥路の騎士とお呼びすべきか? ハザルムに潜り込んでいた貴様の手下はすべて、捕らえさせてもらったよ。 それから、貴様の噂を聞きつけてこの付近に参集しつつあった、イフラマド系の民衆もね。我々に非協力的とはいえ、あやつらも我が皇国の民ではある。無益な流血は避けたい。わかるな?
Luzaf :くっ。


民は人質に取られ、部下は全滅させられ、残るルザフは不滅隊に包囲されていた。死の間際の彼の境遇に偶然にも似ている。

  急な展開と状況に抵抗できない一行。ルザフは反アストラル拘束帯で縛られて連行されることになった。


Luzaf : アフマウ……いや、聖皇ナシュメラよ。これが、君の国のやり方なのか?皇国は、やはり200年前からなにも変わってはいないのか!?

  これは、おそらくルザフはAphmauを責めている訳ではなく、聖皇として奮い立たせるための叱咤と思われる。それに応えるかのように、今まで兄に抵抗出来ずにいたAphmauが必死に不滅隊にルザフの開放を命令する。しかしそれを振り払うかのようにRazfahdは彼女に現実を突きつける。

Razfahd : 聞け、ナシュメラよ。お前は聖皇の身でありながら国政を放棄し、あまつさえ反皇国勢力と行動を共にした。故に、法に則り全権の象徴たるザッハークの印は宰相である私が預からせてもらった。
Nashmeira : そんなっ!!
Razfahd : 残念ながらお前には、もう何の権限もない。

  更に信じていた「傭兵」の冒険者も実はAphmauにではなくRazfahdの命により動いていた事をほのめかす(これは物語上、脅迫に近い形で合意させていたものであり冒険者の真意はプレイヤー自身に委ねられていると思われる)。


ルザフ、そして冒険者をあくまで信じ、Razfahdと言い争いを続ける。

  そしてAphmauは、Razfahdに自分の気持ちをぶつける一方で、冒険者に「輝金の短剣」を託し、サラヒム・センチネルに向かうように伝え、魔法で冒険者をその場から逃がす事に成功する。逆に言うと、この状況ではそれが彼女の精一杯でもあった。

  この後冒険者はサラヒム・センチネルに戻り、皇宮から抜け出したAphmauと合流。Naja Salaheem社長らに事情を説明し、二手に別れてAlexander降臨の媒介となる鉄巨人ゴルディオスの破壊と、ルザフ救出の為に動くことを決意。更に冒険者はジュノに赴き四国の協力も仰ぐ事になる。

審判の光・ラグナロク
  一方、ルザフはこのまま不滅隊に拘束された身柄となり、Aphmauの協力を得るための駒としてRazfahdに扱われていた。その為特殊な手錠ははめられているが、拷問等の形跡はない。


しかし隔離されている為、物語の進行からしばらく外れてしまう。

  四国はアトルガン皇国の動きを危惧し、連合し飛空艇にて皇国の様子を伺う事にする。しかし上陸する前にRazfahdは、出来上がったばかりの鉄巨人ゴルディオスを使い、それを打ち落とす。この時空を駆ける光を見上げ、ルザフはAlexanderが復活間近だと悟り、「審判の日」が迫っている事に気付き絶望する。
  この段階で、Aphmauは既にサラヒム・センチネルで冒険者達の協力を得、二手に別れる作戦を開始していた。Aphmauと冒険者はRazfahdのもとへと向かい、Alexander復活の阻止をすべく説得をする為に向かっていた。Naja Salaheemはこの後(ミッションのイベント等は冒険者の行動に焦点が当たる為に描写は無い)、ルザフを救い出す事に成功し、ルザフはそのままAphmauと合流する為に向かったようだ。
  一方、Aphmauの説得は失敗に終わり、話は決裂してしまった。Razfahdは起動した鉄巨人に「白き神」Alexanderを宿らせ、それに乗り込み冒険者に襲い掛かった。しかし所詮人間の作った器に媒介させても神の意思を止める事は不可能である。AlexanderRazfahdの操縦を無視し暴走を始める。元々優れたからくり師であるAphmauは、外部操縦が可能だった筈のパネルを操り必死にゴルディオス=Alexanderを止めようと試みる。結果、Alexanderは沈黙した。中にまだいる筈の兄RazfahdAphmauが助けようとAlexanderに歩み寄った時、ルザフが部屋に飛び込んできた。
  無事に救出されたルザフの姿を見て安堵するAphmau。思わず無邪気な笑顔を浮かべ、ルザフの方に駆け出した。彼女自身の手でAlexanderを止めた事、そしてそれによりOdinが復活することも無くなったからルザフは自由になった、そう言いながら。
  しかし、ルザフは身体の中に潜むOdinの存在を感じ取っていた。それはすなわち、Alexanderも消滅しきっていない証拠でもあった。その事をAphmauに注意しようとしたその時だった。


突然起動したAlexanderが放った光線が背後からAphmauの体を貫いた。

  目の前で崩れ落ちるAphmauの体を見つめるルザフ。その瞬間、彼の身体中から深く黒い霧が立ち込めた。ルザフの激情を感じOdinが復活したのだ。


周りの努力も空しく、二神はここで対峙する結果となってしまう。

  怒りに我を忘れたルザフから目覚めたOdin、そして壊れかけた体ながらもまだこの場に留まっているAlexander。結局二神は復活し、ラグナロクが始まってしまう。


まさに人間に立ち入る余地を与えない、神と神のぶつかり合い。


膨れ上がる「審判の光」を感じ、Aphmauは最後の力を振り絞り叫ぶ。

Nashmeira : やめてぇえええーーーーっ!

  そしてその声が奇跡を引き起こした。「審判の光」を放つ手前でAlexanderは沈黙し(体内のRazfahdによるものと思われる)、ルザフもまた自我を取り戻し、自らの意思で内なるOdinの存在を掻き消した。少女の呼びかけによりラグナロクは寸での所で回避された。Odinの意に背いたルザフだが、その意識はまだハッキリしていた。しかし歩み寄ったAphmauは動かなかった。


Luzaf :……くっ、アフマウッ。……君にはまだ、なすべきことが山ほど残されている……

  ルザフは、神の意思が理解できない、直接それを問いにヴァルハラへ向かうと宣言し、その体内の、仮初の魂を取り出した。そして、自分の全てを託すかのように、Aphmauの体内へと沈めた。


200年の時を経て見出した希望を託す。

  Aphmauは無事に命を取り留め、目を開けた。ルザフはそれを見て安堵し、彼女にもっと話しをしたかったが、もう時間が残されていないと告げる。

Luzaf : 君には、未来がある。いや、君だけじゃない……皇国の民、イフラマドの民……君は、みんなの未来を背負わなければ……。君はひとりじゃない。愛すべき将兵や民がいる。頼りになる<PC Name>も……。

  最初は「行かないで」と呼びかけるAphmauだったが、彼の心、そして流れていく残り僅かな時間を感じ取った。涙を我慢し「任せるがよい!」と強がるのが精一杯だった。


ついには力尽き、倒れこむルザフ。Aphmauは泣きながら彼の体を抱き止めた。

Luzaf :……おお、海が見える! おもしろい、今度の戦場は冥界の海のようだ。

そういい残し、現世での全てを託した少女の腕の中で、ルザフはヴァルハラへと旅立った。


最終更新:2008年11月09日 20:27