Klythios (詳細・ネタバレ編)


  • ギガース、巨人フェイス(黒ボディ)、通常配置無し
  • 凶暴で有名な「ウラノス兄弟」の一人。
  • その兄弟達は現代ヴァナ・ディールのデルクフの塔でNMとして活躍中。


  「敵」である獣人も数多く登場するヴァナ・ディール。もちろんNPCの一部としても登場し、物語に関わってくる。敵意をむき出しにする者、獣人の中でも特異例とされ独自の思考で動く者、実は心優しく人と獣人の間の諍いに心を痛める者……獣人と一口にいっても、様々である。彼らの存在は「人」の視点からは見えてこない新たなヴァナ・ディールの一面を見せてくれる事もある、貴重な存在だ。

脳筋対決・命がけの遊び(クエスト『巨人偵察作戦II』)

  サンドリアの裏路地にある少年騎士団秘密基地を再び訪れた冒険者(プレイヤー)。そこでRholontから、現在作戦会議は延期中だと聞かされる。団長Excenmilleの気まぐれ、もとい命令により、現在は彼と副団長Rahalと共にブンガール浦にて潜伏中、「ゲアルバン島の巨人偵察作戦II(ツー)」を展開中だということを聞かされる。

Rholont : 団長たちはふたりだけで大丈夫でありましょうか?以前の作戦のとき……灰色の巨人を見て腰を抜かしてしまったのは我輩にとって苦い想い出であります……。
Bistillot : まあ、いくらあの無謀な団長でも、まさか巨人を相手に力くらべを挑んだりはしないでしょう。
Rholont : もしかしたら、団長たちは、その灰色の巨人を見にいったのかもしれないであります。

  もともと暴走しがちなExcenmille、過去のクエストでの行動を見ても危険に晒されている可能性はありそうだ(むしろBistillotの発言がフラグを立ててしまっているようにも見えるが)。冒険者は二人の後を追いブンガール浦に向かった。

  ブンガールの巨大な橋に差しかかった辺りで、冒険者の目に飛び込んできたのはRahalの後姿。そして彼の隣にはなぜかゴブリンが。


Leadavox : 巨人と子供のチカラくッらべ~ッ♪ 勝つのは巨人? それとも子供? 気になる 気ッになる 気ッになるぅ~う♪

  冒険者の姿に驚くRahalだが、情報の出所がBistillot達と知り、納得してしまう。そして隣にいるゴブリン、Leadavoxを冒険者に紹介してくれる。

Rahal : あ、彼女はリーダヴォクス。えーと、いいゴブリンだよ。
Leadavox : リーダ、巨人のコトバわかる賢いゴブリンよ。


  二人は交互に現状を冒険者に伝えていく。凶暴な巨人を観察しに来たExcenmilleRahalは、黒い肌の巨人を見つけて茂みに隠れた。しかしそれは 釣り好きのクリュティオス(Klythios)、平和に橋で釣りをし続けていたようだ。それを見ていたExcenmilleは、クリュティオスに釣り勝負を持ちかけに飛び出していったのだという。


Rahalの指差す先には、Excenmilleと巨人の姿が。

Excenmille : 今に見てろよ。お前の釣った魚なんかより、何十倍もでかい魚を釣りあげてやるからなッ!

  通りかかったLeadavoxは半ば興味本位で通訳を引き受け、クリュティオスとExcenmilleの釣り勝負は成立したようだ。ルールは単純明快、「大物を釣りあげた方が力持ち」。純粋に力じゃ勝てない巨人だが、釣り勝負ならなんとかなるかもしれないと思ったのか、Excenmilleも張り切っている様子。しかし、ここでLeadavoxは思わぬ発言をした。

Leadavox : リーダ、素直な子、好き。だから、いいこと教える。あの巨人、神の血引く、とぉっても、怖い巨人。ウラノス兄弟のひとり。ウラノス兄弟、皆恐れる。誰も近寄らない、あたりまえ。
Rahal : そんなに危険な巨人なのかい?
Leadavox : 負けたらきっと 食っわれるぅ♪ 食っわれるぅ♪

  茶化すように歌いだすLeadavoxの様子に一抹の不安を隠せないRahalと冒険者だが、勝負を見守る事しかできない。遠巻きにExcenmilleを見守る三人だが……。


Excenmilleの表情で戦況が見て取れる。もともと釣りにあう性格とは思えない。

しかしここで奇跡が。釣り竿にアタリがきたのだ。

  しかも予想以上の大物が当たったようで、なかなか釣り上がる様子をみせない。

Excenmille :……。…………。……根がかり。
Klythios : グヴァッハッハッハッハ!


痺れを切らし、ガッと橋の手すりに足を掛け、力を込めるExcenmille。背中も弓反りに……。

Excenmille : こうなったらヴァナ・ディールごと釣りあげてやらあ~!!

その声に応えるかのようなタイミングで、一帯に地震が起きる(偶然だが)。

その衝撃でクリュティオスは尻餅をついてしまう。

  地震のあまりの衝動で、一同はその場にうずくまる形になった。最近この世界では地震が頻繁に起きているようだ。


ようやっと地震が収まったのを確認するExcenmille

隣で立ち上がる素振りを見せないクリュティオスに気づく。

Excenmille : って、あれ?お前、そんなところで何座ってんだ?
Klythios : ウググァン、グェッグ、グゥッダグ!ガガッガ! ガガッガ!!
Rahal : なぁ、リーダ。なんて言ってるんだ?
Leadavox : リーダ、通訳のプロ。お金、必要。
Rahal : ちぇっ、ケチだなぁ……
Leadavox : でも今回、特別サービス。出世ばらいね。 巨人、子供に負けたと悔しがってる。子供、ヴァナ・ディール動かした。勝負、だから子供の勝ち。
Rahal : ええっ!? そんなバカな!?

  「ヴァナ・ディールごと釣り上げる」。もちろん、それはその時の気迫を表現したものであって、本当にヴァナ・ディールを釣った訳ではない。地震も偶然に起きたものである。しかし、巨人クリュティオスはそれを信じてしまったようだ。Leadavoxの通訳したクリュティオスの意思を伝えに現場に向かったRahalの言葉に、さすがのExcenmilleも呆れ気味である。


Rahal : 釣糸引っ張ってヴァナ・ディールごと動かしたから、勝負はエグセニミルの勝ちらしいぞ。
Excenmille : はぁ?

  しかし一向に立ち上がる様子を見せない巨人。よくよく観察してみると足を手で抑えているのにExcenmilleが気付いた。地震の時に転んだクリュティオスは、その拍子に足を怪我してしまったのだ。それを見て考え込むExcenmilleは、前にBistillotから聞いた、ブンガールに生える特殊な薬草の話を思い出した。
  その薬草に関してのメモを、Rahalがたまたま持っていたのだが、その「特殊」という理由は、摘む時間帯によって葉の色を変える珍しい植物であり、時間帯にあった色の葉を摘まないと訳そうとしての効果が発揮しないようだ。つまり時間と無関係の色を摘んできても、それはただの雑草と変わりがないというもの。その色と時間帯に関する暗号はExcenmilleには解読できないようだが、そのヒントを元にとって来い、と冒険者に「団長命令」として依頼する。


勝負に釈然としないのか、Excenmilleはクリュティオスの足の怪我を治したいようだ。


種族と言葉を超えた友情が生まれる時

  広大なブンガール浦を、薬草を求めて走り続ける冒険者。見つけた Leafy Patch から薬草を摘み取る時にメモのヒントを手がかりに、対応する色の葉を入手する。それを手に、再び橋へと戻ることになる。


Excenmille : おーい、こっちだこっち!

薬草を受け取ったExcenmilleは自らクリュティオスの足にそれを使い怪我を治療する。

  ここで、薬草とならない(クリア条件とならない色)の葉を持ってきた場合、クリュティオスの様子に変化が出ないのでExcenmilleに怒られながら再び手に入れる為に走らないといけなくなるので注意だ。薬草をちゃんと持ってきた場合は、痛みが引いた足から手を退け、クリュティオスがゆっくりと立ち上がる。


Excenmilleのお陰で痛みも収まったようだ。

見守るExcenmilleもどこか安堵した様子。


Excenmille : なんだ?まだ勝負をあきらめてないのか? ふッふッふッ。世界を一本釣りしたオレにリベンジを挑むとは、お前もなかなか根性あるじゃねーか。


Excenmille : でも、お前は足にケガもしていることだしここはいったんお預けだ。心配してるわけじゃねーぞ。オレはフェアな勝負しかやらないタチだからな。
Klythios : ウガ、ウゴゴ。
Excenmille : なんだ? これをオレに?

  クリュティオスがこの時Excenmilleに渡したのは、愛用のカーボンロッドだった。これは怪我を診てくれたお礼なのか、それとも再戦を望む誓いの証なのか……あるいは、その両方なのかもしれない。Excenmilleがそれを受け取ったのを確認すると、クリュティオスはゆっくりと立ち去って行った。


Excenmille : おい! 無理しねぇでとっととケガ治せよ!

  言葉は通じずとも、巨人と少年は心を通わせたのだ。そしてお互いの気持ちを汲み取り、再会・再戦を約束して別れた。それをずっと見守っていたLeadavoxも驚いた様子だった。


Leadavox : アイツ、すごい。 巨人の気持ち、わかってる。 巨人もアイツの気持ち、理解する。 通訳、いらない。リーダ、ばいばい。


下手な解釈や茶々は無粋と感じたのか、Leadavoxは自分の役目が終わった事を宣言し帰る。

Leadavox : 巨人と子供の チカラくッらべ~ッ♪ 勝つのは巨人? それとも子供? 気になる 気ッになる 気ッになるぅ~う♪

  再びこの歌を歌いながら去って行く彼女。実はこのクエストを通してこの歌は二回(と途中で亜種が登場)登場するが、前後で意味合いが変わる事にも注目したい。最初に歌う時は、負けは死を意味する巨人の性質と、それを知らない子供(Excenmille)が無謀にも勝負に挑んだ愚かしさを面白おかしく茶化す感じで歌っていた。これは、途中で「負けたらきっと 食っわれるぅ♪ 食っわれるぅ♪」と追加している辺りからも伺える。しかし去り際に歌う彼女の意図は、この後二人は再び「力比べ」をすることになるのを暗示しているのと、その決着が純粋に「気ッになるぅ~う♪」と解釈できる。言葉と種族を超えた二人の絆を彼女も感じた上で退場しているのだ。


Excenmille : よし、「ゲアルバン島の巨人偵察作戦II(ツー)」は完了だ!

  ともかく、一連の出来事で満足した様子のExcenmilleRahalと冒険者に任務完了を宣言し、サンドリアへ帰って行く。

今後の伏線?クエスト『巨人偵察作戦II』が示す意味とは

  前クエスト『オーク軍団掃討作戦』や、次に続く『ちいさな勝利、ひとつの決意』で見るExcenmilleは、オークへの憎悪と、それによる感情の爆発が色濃く出ているのに対し、この『巨人偵察作戦II』はそんなExcenmilleが見せる、他の獣人との交流が主軸になっている。元々平和的な「釣り勝負」という設定というのもあるが、このクエストでのExcenmilleは巨人であるクリュティオスに理解を示し、怪我をした時は心配する優しさや頭の柔軟さを見せる。オークが絡んだ前途のクエストでの彼とはえらく違う印象すら受けるかもしれない。そこで、ここではこのクエストが含んでいるかもしれない意味合い、そして今後予想される展開について語りたいと思う。
  クリュティオスに見せた理解がオーク達とのやりとりと違うのは単純に「獣人でも種族が違うから」と思われる。つまりExcenmilleはオークに対して明快な嫌悪感は抱いているが、他の獣人にはそこまで凝り固まった敵意は抱いていない事を思わせる。クリュティオス自身も比較的穏やかな巨人だったというのは言うまでもないが、一応、負けたらとって食うつもりだった(かもしれない)わけで、それなりに凶暴のはずである。それを言葉をお互い理解できないまま、意思が通じたのは二人に敵意が無かったからと解釈できる。


怪我を心配する優しさと、それを診てくれた恩義を感じる心が通じたから結ばれた友情とも言える。

  そしてなんといっても、Excenmilleの今後の展開はクエスト『ちいさな勝利、ひとつの決意 』の終盤、そして現在語られる史上でも明らかになっている。

Excenmille :……親父。
Alphonimile :……?何だ、エグセニミル。
Excenmille : 次の遠征にオレを連れていけ。

  ここでは元々、反発していた父Alphonimileに「遠征に連れて行け」と発言している。遠征しがちなところこそが父へ反発する要素のひとつだった(これにより妻でありExcenmilleの母親の窮地・死因を救う事ができなかった)。それをExcenmilleに上記のような事をいわせた心境の変化は、冒険者らと立ち向かうハプニングを通して、少し成長をし、「敵の大将を目の前にしてもくじけない、勇気と智略」が欲しいと渇望するに至った。
  そして現在のExcenmilleは「北方の戦線から戻ってきた」とされ、史実にも「父Alphonimileと共に北の戦線に向かい、その意思を継いで北辺の辺境領主エグセニミル卿として活躍を続け、終戦後もそのまま手勢を率いて北方のオーク帝国に侵攻し、各地を転戦しながらもゲリラ戦術を繰り広げている」事になっている。つまり、今後彼は北国へと活躍の場を移して行くのは「アルタナの神兵」発売前から描かれた「運命」なのである。
  そして北国といえば、巨人族も遙か北方の地を祖国としている設定である。クリスタル大戦時は傭兵のような役割で獣人血盟軍に参加しており、ブンガール浦にいる一派もその一部にすぎない(クリュティオスはここに配属されていると思われる)。
  今後北へ向かう事になるのがストーリー的にも濃厚になってきたExcenmille。そしてそこはオークだけではなく巨人族の本拠地。この友情が示すものは何か……。今後クリュティオスの登場はあるのか、どのような立場で登場するのか、楽しみである。

最終更新:2008年05月01日 15:54