Joseaneaut (詳細・ネタバレ編)


  • エルヴァーン♂、7b(赤毛)、通常配置無し
  • ヴァナ・ディール トリビューンで連載されていた「修道士ジョゼの巡歴」の主役。
  • サンドリア聖堂の命により各地の獣人部族を訪ね、布教活動に邁進した。
  • 最終的に布教活動そのものは結果を残す事が出来なかったが、多くの獣人部族の情報をサンドリアへ持ち帰る事に成功する。


  連載当初も一部では人気が高いシリーズとして読まれていた。ジョゼとリーダの漫才のようなやりとり、育まれていく友情を主軸に、各地の獣人たちと交流を図る旅をする。時にはヴァナ・ディールに登場するNPCも出演していたりして話題も呼んだ。また、ゲームの中で語られることがなかった獣人達の知られざる一面や歴史、価値観等が分かる設定的補足の要素も強く、連載はヴァナデイール・トリビューンでも長寿連載の一つとなっていった。後半は当時実装されたデュナミスやレリック武器の伏線を絡ませつつクリスタル大戦前後を時代背景に進み、最終的にジョゼの旅路の果てを描いていく。

特記事項
  • ヴァナディールトリビューンにて連載されていたシリーズ物の主人公。
  • 全13話という長寿連載だった。
  • 通訳のゴブリン♀・Leadavoxと共に各国旅をしていた。連載は彼の日誌形式。
  • 獣人の生活を研究しながらアルタナ教を布教する危険な仕事を受け持った。
  • 当初任務に疑問を抱いていたが、獣人の生活をみるうちに彼らに親近感を抱くようになる。
  • 日誌の最後は基本的に「女神よ、~」と、その日の出来事から女神アルテナに加護を祈ったり、問いかけたりしている。
  • 帰国後にその功績が称えられて修道院長に神殿騎士団へ推薦され入隊。
  • 監査役として赤狼騎士隊に従軍しザルカバードの激戦を乗り越える等功績を残した。
  • その時の赤狼騎士隊隊長・Mieuseloirと意見は違えど戦友として語り合っている。
  • クリスタル大戦後はロ・メーヴへの巡礼団へ参加、危険を乗り越え本殿への参拝に成功。

  なおトリビューン掲載時の画像は、ジョゼの冒険をリアルタイムで感じる為に制作されたものであるようで、ゲーム内で似たものを撮影するのは不可能の為、トリビューンまとめ部分は公式画像を使用していることを事前に明言しておきたい。

ヴァナディール・トリビューン連載「修道士ジョゼの巡歴」

  「まだ、人間と獣人との間に決定的な対立がなかった頃、各地の獣人部族を訪ね、布教を試みた修道士がいた。」
  連載は「獣人拠点を巡礼する」前編と、「巡礼を終えサンドリアに戻ったその後」を描く後編に大きく別れている。ジョゼが旅・経験を通じて獣人との関係や当時の時代へ感じる疑問や発見を主軸に、知られざる獣人達の生態や文化、当時のヴァナ・ディールの状況等、数多くの面で新たな情報を提供し続けた。
  そして彼の巡礼が舞台となった時代の前後に位置する「アルタナの神兵」が発売された現在も、その伏線と思われるものや、実際に話に出てくるアイテムや思想、キャラクターが多く登場していることがわかる。後編は「アルタナの神兵」後と思われる時間軸だが、当事の兵士の思考や生き様が描かれていて、今読み直しても興味深い。


通訳ゴブリンLeadavoxとのやりとりも見所だった。

前編・獣人拠点の巡礼

  なるべく大まかな要点と、分かった獣人の生態をまとめたいと思うが、連載と内容が非常に長く濃い為に長くなることを詫びたい。また細かいやりとりは敢えて記載しないので、興味がある方は是非今からでも連載を楽しんでもらいたい。

  • ゲルスパ砦が最初の巡礼先。巡礼自体に不安と絶望を隠せないジョゼは、通訳がゴブリンという事で裏切りに怯える様子も見せる。
  • Leadavoxの賄賂により客として迎え入れられるが、尋問に近いやりとりを族長と展開。
  • オークは元々北の大地から遠征しており、北にはオーク帝国があるという。
  • 3年で成長、軍に入隊。8年で言葉を理解する。全員が戦士である故に短命。
  • 転生を信じており、勇敢に死んでいった者は再びオークに生まれ変わると思っている。拠点で見る赤い丸に中心に点があるマークは、それを記号としたもの。
  • 基本的に飽きっぽい種族で、飽きたら殺す。長居は禁物というLeadavoxのアドバイスで布教活動ができないまま下山。
  • しかし今回のやりとりで自信と意欲をつけたジョゼ。

  • バルクルムからアルテパ砂漠に潜入。
  • アンティカの死体を発見。埋葬しようとするが、もう一人現れたアンティカは装備を剥ぎ取り、去っていった。(死者を弔う概念がない)
  • 尾行した二人は、アンティカの闘技場を発見。数百いるアンティカだが、空間がほぼ無音という事に気付く。敗者は止めを刺され、上記と同様に装備を剥ぎ取られた。
  • その際の勝者だけが、ジョゼ達に気付いた。Leadavoxは取り出した棒をすり合わせ、摩擦音で彼と会話。これが過去バストゥーククエストに登場する「シフート」と思われる。
  • "セクトル2734"と名乗った彼は二人を部屋に案内し、「半透明な食べ物」を与えた。
  • 帝国と呼ぶアンティカの国は、集団を機能的に運営することを目的として、高度に組織化。
  • 徹底的な全体主義であり、個性や感情、個人という概念もなかった。
  • 孵化する前から、仕事と階級そして識別番号を定められ、数ヶ月で成人。集団の中で特定の役割を果たすことに専念。
  • その機能が不可能となった場合は組織のために死に、解体され、防具の素材や食糧となる。
  • ジョゼらとのやりとりに興味を示した"セクトル2734"は自我が芽生えた「異端児」と自らをコメント。"セクトル2734"は「剣闘士」の階級で、武力向上や人口調整等の理由で毎日闘技場で闘う。
  • ジョゼとの会話の翌日、"セクトル2734"の闘い方に躊躇が生まれたようで、結果的に敗北。このときのやりとりでジョゼの獣人への概念、先入観が大きく変わる。


  • エルシモ大陸に渡り、ユタンガの森を抜けた二人は辻強盗のゴブリンに襲われるサハギンを助ける。
  • 人間の言葉を話すこのサハギンは、二人にお礼がしたいと岩窟へ案内。
  • 岩窟は魚の腐敗臭がひどく、魚油でランプが照らされている事が分かる。
  • 新たに誕生したサハギンの赤子を祝福する為に宴が開催。ジョゼ達も客として歓迎された。
  • この時サハギンの大半は人間の言葉が理解できることが判明。
  • もともと海水・淡水関係なく水辺で暮らしていたサハギン。近年の獣人や人間が水辺を汚す為に次々に病に冒されて倒れているという。
  • 自然のあらゆるものに神・女神が宿ると信じている。
  • 葬儀は、海藻で死者をぐるぐる巻きにし、海に流すというもの。祈祷師がその際に砂を振り掛ける儀式もする。
  • サンドリア形式で、国教会の葬礼に従い葬送歌を口ずさんだジョゼを見たサハギン達は、その歌詞は知らずも、死者を弔うものと理解し、ともに大合唱になるまで歌った。それにジョゼは感動したようだ。
  • その後も、出立までサハギン達は熱心にジョゼの話に耳を傾け、理解に勤めた。そしてサハギンの少女は死者へのお供え物に「アルナナ」人形を作っていた。
  • 獣人の中でも比較的友好的で、他種族に対しても好奇心旺盛、異なった文化や思考も受け入れやすい性質のようだ。

  • ウィンダスに到着した二人。当時は王国と和戦を締結していたが、まだまだ警戒されていた時代だった。
  • タルタルに変装した(つもりの)Leadavoxが入国審査で引っかかり、ジョゼも入国許可を取り消された。「ララブのしっぽ亭」に滞在する事に。
  • 翌日天の塔で星の神子との謁見を依頼するジョゼだったが、既にゴブリンと同行しているエルヴァーンとしてZubabaの耳に入っており、拒否される。
  • 連日門前払いを食らうジョゼ。街のタルタルたちは基本的に友好的で笑顔を向けてくれ和むが、アルタナ教徒として星の神子を崇拝しているウィンダスの姿勢を「騙されているかもしれない」と、宗教の違いを見せる。
  • ジョゼのしつこさに観念し、Zubabaが対談に応じる。ウィンダスの伝承と、街の人々の笑顔を思い描き、自分がやっている布教活動に疑問を抱くジョゼ。形は違えど女神を信じている事は一緒、という一つの結論を見出す。
  • 翌日それをZubabaに伝えて別れる際「またウィンダスに来たら顔を出すんだね」と言われる。双方の歩み寄りが伺える。
  • 港で不謹慎な歌を歌うゴブリンに珍しくキレるジョゼも見られる。


  • 突然、捕らえられて死刑の執行を待つ、囚われの身のジョゼの日記から始まる。ヤグード族の都市ギデアスに向かったはずなのに記憶が曖昧のようだ。
  • ヤグードの野蛮な教義と、時に狂信的ですらある信心深さは当事からサンドリアでも知られており、今回の旅の最難関となるだろう、と予想はしていた。
  • 最初に出会ったヤグードは親切で、慣れない人間の言葉で「ここから危険」と注意してくれた。それに感謝し、ジョゼは「女神の祝福を」と礼を述べた。
  • しかし「異端の神であるアルタナの祝福は呪いにも等しいもの」であり、ジョゼの行動は冒涜と写ったのだ。そのヤグードは襲い掛かってきた。
  • ギデアスの塔が牢獄にになっており、各部屋に一人ずつ収納されている。捕らえられている者の中にヤグードもいた。
  • 尋問はジョゼの巡礼の旅についてだけなく生い立ちまでに及んだ。
  • ウィンダスも訪れたと判るとカタカタと笑い出し「黄色い液体」を無理やりジョゼに飲ませた。聞かれたことに意思とは関係なく答える媚薬のようなものだったようだ。
  • ヤグードの神へ寝返り間諜となるよう指示されるも、ジョゼは服毒中でもこれをきっぱり断った。
  • それ以降「尋問」は「拷問」になったという。「爪の隙間から走る激痛、自分の皮膚が焦げる臭い。気絶するたびに水がかけられ、そのたび、僕は体に傷が増えたことを痛みで知った。拷問は何日にも渡って、執拗に続けられた。」
  • 10日以上続いた拷問を乗り切ったジョゼを待っていたのは死刑。岸壁に鎖で縛りつけられ、そのまま死鳥についばまれるのを待つばかりだったはずが、現在包帯を巻かれ何者かが助けれてくれたようだ、と締めている。詳細はジョゼ本人にもわからない。

  • 鼻歌を歌いながらLeadavoxが鍋を作っていた。ギデアスから彼を救い、今まで看護していたのは彼女だったとわかる。獣人・人間の間で商業をするゴブリンだが、ヤグードに敵視されてでも助けに来たLeadavoxにジョゼは感謝した。
  • 彼が意識を取り戻したのに気付きLeadavoxが渡したのはパンとミルク。体力回復を優先しろと声を掛けた彼女は、胃に優しい食べ物から与える心遣いをみせる。
  • 紹介された他のゴブリンは、ウィンダスにいた連中だったようで、Leadavoxがジョゼ救援の為に協力を頼み込んだという。
  • Leadavoxの昔なじみ、錬金術師(花火職人)、天晶堂と繋がりがある者等、ゴブリンでもさまざまだったようだ。
  • 近々人間同士で戦争が起きると予想していたゴブリン達は、大規模な徴募をする為に人間語に流暢な通訳がほしかった。ジョゼを助ける代わりに彼らがLeadavoxにつけた条件は、彼女がゴブリン達と今後行動をともにする事、すなわちジョゼとの別れだった。
  • 別れる前に、Leadavoxは「得体の知れない肉と魚の骨」を使った(おそらくは精一杯の得意料理)シチューをジョゼの為につくり、マウラで新しいガイドを探して欲しいと言い残した。突然の別れに呆然としていたジョゼの、シチューへのコメントは「紫色に濁ったシチューは、ものすごく不味かった」。
  • シチューを数日かけて完食し、再び旅を続ける準備をしていたジョゼのもとにLeadavoxが戻って来た。「せっかく助けたのにのたれ死なれたら残念」と照れ臭そうに彼の荷物を担いだ。


  • パシュハウ沼に到着した二人だったが、Leadavoxが風邪をひいてしまった。彼女の注意を無視して(風邪で容態が心配だったのを優先した)焚き火を炊いたら、焚き火に気付いたクゥダフの戦士が二人の前に現れた。
  • クゥダフの言葉は理解出来なかったが、Leadavoxとやり取りをしたクゥダフは彼女を抱き上げて運んでくれた。敵ではないようだ。
  • トパーズと名乗った彼は、地下都市ベドーへと案内した。金属で作られた住居や、複雑な造りの風車など、その高い技術にジョゼは驚いた。トパーズは司祭であり、Leadavoxの風邪が治るまで二人を客として歓迎すると伝えた。
  • 二人に興味を持ったトパーズは、翌日朝食を運んできて、ジョゼを質問責めにした。主に家系に関係するものだったようだ。二人を「背甲を持たざる子ら」と呼び、クゥダフの伝説について語ってくれた。
  • 原初の火の海から、2人の巨人“グ・ダ”と“ド・ヌ”が生まれた。グ・ダは大地と植物を作り、身ごもったド・ヌは卵を産む。この時の涙が海と川になった。
  • グ・ダの作り出した世界を愛したド・ヌ。その卵からは二人の子供クゥダフ以外に他の獣人や人間も生まれた。グ・ダは、すべてを平等に愛したが、己の姿を模した、背甲を身に着けることだけはクゥダフだけにしか許さなかった。
  • 「不義とはいえ」人間を兄弟として教義で認めていた事にジョゼは驚いた。
  • 伝説は続く。背甲を羨んだ他の兄弟たちは、クゥダフが寝ている時に殺し、その背甲を盗んだ。悲しみのあまり全能の母ド・ヌは溶けてしまった。それに悲しみ怒り狂ったグ・ダは、「いつか我、“闇”となりて舞い戻らん」と言い残し、地中深くに消えていった。(※一部のクゥダフは特殊WS「グ・ダの怒り」を使うが、この伝説が由来と思われる)
  • 武装親衛隊を率いて北方に遠征していた“金剛王ザ・ダ”が翌日ベドーに戻って来た。トパーズが他のクゥダフを説得していた効果がなくなると判断し、二人にベドーを発つように助言する。
  • ク・ダの再来と言われる金剛王の存在に、言い知れぬ不安を感じるジョゼ。修道院に帰還することを決意。

  • ゲルスパの山陰に差し掛かった頃、Leadavoxは血の匂いを感じ、街道を外れる。そこで発見したのは神殿騎士団の青年とトンベリの死体。エルシモ大陸の獣人がここにいる事に疑問を抱く二人。
  • 急いで王都にたどり着いた二人は、門兵に事情を話し現場まで案内したが見つかったのは騎士団の青年の遺体だけで、トンベリの姿はなかった。
  • 門兵は即座にLeadavoxを容疑にかけた。彼女の無実を訴えるジョゼの言葉も聞き入れなかった。それどころか庇ったジョゼも監視塔の監房に押し込んだ。
  • その日の夜、司祭の証言によりジョゼの身元や任務は明かされ釈放された。しかしジョゼはまだ無実が晴れず独房に入れられたLeadavoxを心配していた。
  • 翌日ジョゼはトンベリについて研究を始めた。ウガレピという寺院に棲み付き、女神を激しく憎んでいること。そして度々刺客として史上に登場した事に不安を隠せないジョゼ。
  • トンベリがこれ以上暗殺をしないために捕らえられる前に説得しようと王都を走るジョゼだが、見つかった時には騎士団の兵士4人に包囲されていた。割れたランタンから、先日見かけたトンベリ(の遺体と思っていたもの)だったのが判明。
  • 無益な殺生を好まないジョゼはトンベリを救って説得しようと試みるが、そのままトンベリは自爆をし、兵士に重症を負わせて果てた。
  • Leadavoxはその夜、司祭の証言により無実が晴れ、ジョゼの部屋に泊まる。
  • しかしLeadavoxの無実を兵士に説得出来なかった事、トンベリを救えなかった事にジョゼは己の無力さに心を痛めていた。


  • 司祭に旅の経緯を説明する為に、巡礼中の日誌を読み返したジョゼは、自分の心境の変化に驚く。「旅立つ前の僕は、獣人を邪悪で野蛮な存在だとしか考えていなかった。 確かに彼らは野蛮かもしれない。だけど、今の僕は彼らが決して邪悪な存在ではないことを知っている。 たとえ彼らが、人と戦うために創られたのだとしても……。人は、もっと獣人に歩み寄れるはずだ。僕が、彼らを理解できたように。 」
  • 報告の為に司祭の部屋を通されたジョゼ。司祭だけではなく修道院の院長と神殿騎士団長のムシャン氏もその場におり、錚々たる面子にジョゼは驚く。
  • 一同は熱心に彼の話を聴いてくれた。そして最後にムシャン氏は、戦争が続いた三国の歴史、そしてエルヴァーン同士もかつては争いあった歴史を振り返り、「100年後でもいい、君は人と獣人が共存できる未来を信じているのか?」とジョゼに問うた。ジョゼは目頭が熱くなるのを感じながら「はい」と答えた。
  • 神殿騎士と双璧を成す王立騎士団について聞かされるジョゼ。勇猛である反面、時に規律を乱し、教義に反する行動をする事もある王立騎士団を監視・律する為に神殿騎士を監察としてつける事になり、深く汚れなき信心と妥協しない強い意志が要求される。その役目に院長はジョゼを推薦し、今回の報告でムシャン氏も適任と判断し神殿騎士団に迎え入れる事にした。
  • 漠然と未来を考えるジョゼは、北国のギガース族を訪ねたいと考えた。新たな使命でそのような機会があることを願う。
  • 翌日、おずおずとしたLeadavoxがジョゼの助力を乞う。同行した先にいたのは、かつてジョゼを助けたゴブリンの一人だった。傷付き仲間とはぐれた彼は、王都に忍び込んで黒パンを盗もうとしたところ、神殿騎士に見つかり追われているのだという。
  • 当事の王都はゴブリンの入国を取り締まっていた為、これは捕まれば重罪になるのは明白。しかし「彼を助けたい」というLeadavoxの願いをジョゼは断れなかった。そして、それは二人の別れをも意味していた。
  • ムシャン氏の信頼を裏切る事になってもLeadavoxを手伝う事を決意したジョゼ。王都を抜け出し、小船で逃げるLeadavoxと別れ、ジョゼは一人修道院で、その罪が裁かれるのを待っていた。しかし「人と獣人の掛け橋となる行為」をしたと納得しているジョゼに後悔はなかった。

後編・クリスタル大戦後期の記録

  年月は少し流れ、舞台はクリスタル大戦勃発後に飛ぶ。ジョゼは無事に神殿騎士となり、この頃には教皇勅令でMieuseloir卿率いる赤狼騎士隊と同行している。

  • 冒頭から、隊長のMieuseloirとジョゼの意見が合わない事がわかる。「今日、情けをかけた敵は、明日オレの部下を殺すかもしれん。」と訴えるMieuseloirと、獣人といえど無闇に殺すことに反対するジョゼ。二人は、捕虜の処罰について口論していた。
  • 「自分の意志とは無関係に免罪され、神殿騎士に叙任された僕は、王立騎士団の一中隊の監察役として、今では毎日、獣人と人間が殺し合うのを目の当たりにしている」と、ジョゼ自身が現状を憂いている。
  • バストゥーク軍とサンドリア軍の連携により、バタリアからボスディンに掛けて混乱した獣人軍は敗戦色濃くなっていた。後追いする王立騎士団を追うようにジョゼは少しでも無益な殺りくを止めさせようと、ボスディン氷河へと通じるトンネルにチョコボを走らせた。
  • トンネル内で、獣人人間関係なく転がる無数の死体に絶望を感じるジョゼ。その先の北側に抜ける出口の手前で、ひとりの巨人と戦う赤狼騎士隊を発見した。
  • 騎士隊の連携にも怯まず闘い続けるその巨人から、ジョゼは目を離せずにいたと語る。「命に代えてもここを守る理由があることを、その雄姿は物語っていた。」
  • 力尽き、倒れこんだ巨人に止めを刺したのはMieuseloirだった。歓声が上がり、切りかかろうとする従騎士を一喝したのも、Mieuseloir。「彼は仲間を撤退させるため、盾となった勇者だ。その名誉を汚すこと、このミュゼルワールが許さん!」
  • それよりも残党に部下たちの意識を向かせて、奮い立たせるMieuseloirを見つめるジョゼ。それに気付いた彼は、ジョゼに倒れていた、この名もない巨人の勇者の弔いを頼む。
  • その日ジョゼが行った葬儀には王立騎士隊だけでなく、近くに宿営していた銃士隊や魔戦隊の将兵も数多く参加。そして、味方の戦没者の名と共に巨人やその他、名も知れぬ敵兵たちのことも称え挙げたが、ジョゼに抗議する者はいなかったという。
  • その日ジョゼはMieuseloirと夕食を共にしたが、「武人たるもの、かく散りたきものよ」とつぶやいたのを聞いたジョゼは、彼もまた獣人を人と対等に見なした上で、敵として敬意を払いながら戦っている事に気付く。


  • ウィンダス魔戦隊と共に雪原を進む赤狼騎士隊は、雪が晴れた時に、獣人軍の包囲陣に迷い込んでおり、数百の敵兵に囲まれていた。
  • 混乱に悲鳴を上げるタルタル達。その上空を敵の指揮官と思われるデーモンが飛び、突撃を指示。今までにない獣人軍の猛攻に混乱する連合軍。
  • その状況に驚き呆けていた様子のジョゼをMieuseloirは庇いながら「後ろの峡谷まで戻るぞ!」 と撤退命令。
  • 峡谷に差し掛かったタルタル達を襲う敵の放った矢の雨。それを見てMieuseloirは、この場で敵軍を食い止める事を指示。致命傷は逃れたものの倒れて身動きが出来ないタルタルを庇うジョゼを(更に)庇うように、赤狼騎士隊が峡谷の入り口に集った。
  • やがて騎士団も一人ひとり倒れていく中、残って闘ったのはMieuseloirただ一人。その姿はかの巨人の勇者と重なったと語るジョゼ。
  • Mieuseloirに興味を示し、舞い降りて大剣を抜いたデーモン。一斉に武器を下げる獣人勢に、大将の一騎打ちを直感したMieuseloir
  • Mieuseloirは速度では勝っていたものの、デーモンに追い詰められる。イチかバチかの賭けに出、デーモンに自らの剣をはじかせ、油断を誘い逆にデーモンの剣を奪った。そのままデーモンの右腕を切り落とした。
  • 一騎打ちに敗北したものの、そのまま獣人軍に追い討ちを指示したデーモン。全滅を予感する展開だったが、そこで援軍が現れる。マントに刺繍された多頭蛇(ハイドラ)が、彼らが連合軍最強とも言われる多国籍教導部隊だということを物語っていた。
  • このときの戦いで、王立騎士中隊の7割もの兵が命を落としていた。しかしMieuseloirらの活躍もあり、ズヴァール城攻略の要となる魔戦隊の被害は最低限に留めていた。ジョゼは明朝、そのタルタル達をノルバレンへ送ることになった。
  • 一方、先日の活躍が認められたMieuseloirは、このままザルカバードに残るという。彼の台詞から、部隊で生き残ったのはMieuseloir一人だけだった事が判る。
  • 御守にしていたランペール金貨をジョゼに手渡し、「お前だけは死ぬなよ」とだけ残して、去ってしまった。ちなみにこの時のMieuseloirの武器は、デーモンの将軍から奪ったあの大剣である。

  • 時は更に進み、クリスタル大戦後。大戦終結間もないサンドリア郊外の巡回を行っていたジョゼはチョコボを止める。残党狩りと称して獣人を襲う男たちを見かけたのだ。囲んでいたのはゴブリンの子供だった。
  • その場を諌めたジョゼを神殿騎士と気付いたようで、男たちは逃げるように立ち去った。
  • 気絶し、マスクや衣服に血をにじませたゴブリンの子供を介抱する為に近くの村を訪れたジョゼ。司祭の配慮により近くの小屋を提供してもらったものの、村人がジョゼ達に向けた瞳は「かつて僕が出会った獣人たちと同じように、今にも襲いかかってきそう」と語った。
  • 翌日意識を取り戻した子ゴブリンは、ジョゼに気付き逃げ出そうとする。ジョゼは暴れるのも構わずにその子を抱きしめて、「ここは安全だから」と何度も語りかけた。
  • 人間の言葉が理解できたそのゴブリンの子供。名前Nuttrixから少年である事がわかる。「あいつら、オレ、うらむか? 殺したい? オレ、殺す、ないぞ」とつぶやく彼を、ジョゼは再び抱きしめてやる事しか出来なかった。
  • 翌日、Nuttrixはお礼を言い残し、そっと小屋を去って行った。それに気付き外を飛び出したジョゼは、風に乗って聞こえてくるゴブリンの少年の歌に涙した。それは、かつての親友Leadavoxの歌っていたものだった。
  • この出来事で獣人と人がいち早く、共に歩める日が来るように祈るジョゼは、修道院時代に聞いたうわさを思い出す。聖地ジ・タの奥深くにあるという聖地ロ・メーヴ神々の間。そこを訪ねてみようと、決意した。


  • それから更に月日は流れ、ジョゼはロ・メーヴを目指す巡礼団と共に旅をしていた。家族や恋人など大切な人を戦災で失っていた彼らは、ロ・メーヴへの過酷な道程が、楽園の扉を開くための試練と考えているらしい。
  • その夜、共に火の番をしていた神学者の老人と共に、髭の長い獣(クァール族と思われる)に襲われるジョゼは、老人を庇う為に獣の注意を引き付けて逃げるが、逃げている間に巡礼団とはぐれてしまう。
  • 聖地を目指して北へと進み続けたジョゼは、遂にロ・メーヴにたどり着いた。暁の時を待って本殿に参ることにし、その日は野宿。巡礼団が後からくるかもしれないからという配慮もあった。
  • 夜半過ぎに、名前を呼ばれた気がして目を覚ましたジョゼだが、巡礼団の姿もない。何者かに導かれている気がして、ジョゼはこのまま本殿に入る。その神々しい雰囲気に身震いをしながらも、ジョゼはポケットに忍ばせたランペール金貨を握り締め、進む。
  • 神々の間で見上げた女神像。その姿に涙するジョゼ。「なぜ! 私たち人と獣人は憎しみ合い、争わねばならないのでしょうか!?」という問いに、勿論女神像は答えない。しかしその視線が彼のいる祭壇に向けられていない事にジョゼは気付いた。
  • その視線を追って振り返るジョゼが見たものは、暁の女神と向かい合う、黒き翼の神。黄昏の男神プロマシアだった。 戦を仕向けたといわれるその神の、戒めのように束縛された姿をただじっと見つめるジョゼ。
  • やがて夜が明け、神々の間を朝日が包み込んだ。それが女神の慈悲深い愛、と解釈したジョゼはついに答えを見つけた気がした。「僕が求めるべきは、人と獣人が争う理由ではなく、互いに理解し合うことなのだ、と。」
  • ここでジョゼの物語は途絶える。しかしジョゼは締めくくりとしてこう書いている。「生きてサンドリアへと戻ることができたなら、僕は人々が獣人への理解を深めることに生涯を捧げよう。」

  簡潔にまとめるつもりが、やはり長くなってしまった。なお、この連載はジラートミッションが追加され続けている時期にヴァナディール・トリビューンに掲載されていたと記憶している。当時は「ロ・メーヴ」も非常に珍しい場所だった。そして当時の「ジラートの幻影」だけでなく、「プロマシアの呪縛」そして「アルタナの神兵」に関する伏線や情報も、驚く程多かったことに改めて驚いた。
  また、この「修道士ジョゼの巡歴」の人気の為か、関連するアイテムやキャラクターがNPCとして登場しただけでなく、他のヴァナディール・トリビューン発祥のNPCもヴァナ・ディールにさまざまな形で登場するようになった。ゲーム内では語りつくされない設定や時代背景の表現として、そしてある意味マルチメディアとも言える展開を見せたのはヴァナ・ディールの事例としてはこの連載がきっかけなのかもしれない。

心優しき修道士(クエスト「憂国の使者」)

  「アルタナの神兵」の実装と同時にカンパニエ参加キャラクターとしてMieuseloirが、そしてクエストに登場するキャラクターとしてLeadavoxが登場した。連載を知っている者はその名前にニヤリとした人も多いのではないだろうか。そして3/11/08 に追加されたクエストの一つに、とうとうジョゼ本人がキャラクターとしてその姿を見せてくれた。時間軸としては巡礼の旅直後と思われるが、Leadavoxは通常ブンガール浦に配置されている等、矛盾点もある。しかし二人のやり取りを実際にサンドリアで見ることが出来る事もあるので、サンドリア脱走を図り今生の別れを交わしたシーンより前かもしれない。厳密に時間軸を考えるよりもカメオ登場を喜ぶべきシーンである、と言える。
  またジョゼが白AFのままであり、戦時が舞台だった時期のホーリーブレスト系ではないので、Mieuseloirら赤狼騎士団と合流する前だったと思われる。


普段はHouseの中にいるのか、クエスト以外で見ることは残念ながら不可能。

  任務中に行方不明となったRachemaceがサンドリアに戻ったと聞き、喜んで出迎えてくれる。その際、彼を助けたと紹介される冒険者(プレイヤー)やTihl MidurhiMihl Pakorhma を快く歓迎してくれる。ソロムグにてヤグードの秘密が隠されていると思われるキープスを入手しており、その解読をジョゼに依頼することになる。縄文字まで「彼女」が精通しているかわからないといいながらも、ジョゼはとある人物を呼ぶ。



連載中に歌っていた鼻歌と共に登場するLeadavox

  解読をすぐにしてほしい一行の為にLeadavoxに依頼するジョゼ。「こいつら客か?」と尋ね、一人金貨一枚ずつ要求するLeadavoxだが、こちらが返事する前にジョゼが「立て替えて払う」と言ってしまう。


名コンビ復活。相変わらずお人よしのジョゼに呆れるリーダ。

Leadavox : 愚かなりジョゼ。いつも、損してばっか。まぁ、いい。読んでやる……ふんふんふん……

  他のクエストではその面影は見せながらも、ここまでぶっちゃけた事は無かったLeadavox。やはりジョゼ相手だと好き放題言ってしまうのか。ジョゼもまた、その嫌味に一切怯まない。早急に通訳、というより翻訳を始めたLeadavoxは、その内容を皆の前で読み始める。ヤグードが耐魔装備を完成させて喜んでいる様子が書かれていたようだ。驚くジョゼとRachemace。実はかつてウィンダスと敵対するサンドリアも似たような装備の開発を行っていたが、実用にはいたってなかったようだ。それをヤグードが完成したと伺わせる内容なのである。
  翻訳は「カミサマ、都へ道しめし……ウィンダス……滅亡」と続いている。不吉な、予言めいた内容に静まる一同。Rachemaceは、先ほどジョゼに会う前に出会ったウィンダスから訪れた特使からYrvaulairへ援軍の要請を訴え、それを彼が断っている事をジョゼに説明し、「王立騎士団が援軍を出さないと取り返しのつかないことに……。」と語った。義に厚いYrvaulair団長がそのような返答をした事に驚くジョゼ。


  そして、命の恩人であるTihl MidurhiMihl Pakorhma の為にもウィンダスに馳せ参じる覚悟であると語り、騎士団を除名される覚悟で進言する事を表明した。ジョゼもそれに同意し、共に団長の説得に向かうと言い、冒険者に急いでウィンダスに戻って危機を知らせるように頼む。


  助けれてくれた人達の為に、そして同盟国となったウィンダスの危機を救う為に、説得に向かう事に合意する二人。穏やかな二人ならではの決心である。冒険者達がカルゴナルゴ城砦に向かい、ヤグードの新防具、現神人が参戦するかもしれないという報せを軍に運ぶ一方で、この二人もサンドリアで軍の説得に走り回ったと思われる。


  そしてカルゴナルゴ城砦防衛戦にて、劣戦を強いられているウィンダス軍の前に現れたサンドリア王国騎士団の援軍。その中にRachemaceと、一瞬だけどジョゼの姿も見られる(実際上の写真を撮るのに管理人は10回程同じイベントを見る事になってしまい、色合いを考慮してヴァナ朝から同じシーンを撮影したにもかかわらず、ジョゼの顔がまともに映った写真を撮れたのはヴァナ夜だった……)。二人の説得は騎士団を動かし、友達の危機を救うことになった。


最終更新:2008年11月01日 15:10