Karst(詳細・ネタバレ編)


  • ヒュ-ム♂、独自フェイス、バストゥーク大工房・大統領執務室
  • 家族構成:父(Derek)、妻(死去)、娘(Cornelia
  • フルネームは「リヒター・カルスト(Hrichter Karst)」
  • バストゥーク共和国の大統領。天晶882年に就任。


特記事項
大統領直属の特務部隊ミスリル銃士隊を指揮して外政を積極的に進めており、細かい内政は大統領補佐官のルシウスや大臣のアロイスなどに任せている。官僚時代は、火事からの復興策やツェールン鉱山の開発計画などで実績を上げ、Cid工房長から推薦され、現在の大統領の座に就いた。

積極的にミッションを冒険者に任せる傾向にある。それは、私欲で動く傾向に強いバストゥーク人の信念の表れであり、また多くのミッションをこなす事で多くのチャンスを掴む機会を与える、彼なりの優しさでもある。

若い日のカルストさん(アルタナの神兵)

  若い時代の、まだ一役員として勤めている時代のカルストが3/11/08 の追加クエストで登場した。それはほんの数秒のシーンではあるが、彼の未来の姿を知っていると興味深い。


当時はヒューム♂F1だったのが判明。

  父 Derek Karst は当時の鉱務大臣にあたり、Werner軍務大臣の殺人事件に関する調査委員会のメンバーでもあったようだ。Werner大臣の策略が明らかになった重い空気の会議室の中に、Pale Eagle議長の同行を願い出に若いカルストが登場した。明らかに自分の持ってきた報告により(本人も居たし)場の雰囲気が更に重くなるのを感じたのか、カルストはこんな思想をめぐらせていた。


  形は違えど父に反発する所はCorneliaが受け継いでしまったのかもしれない。

プレジデントによる他国の評価

  カルストは、バリスタライセンス習得イベントにて、サンドリアに関してこのように述べている:

Karst: 指導者……?それはあの老いぼれのことか?それとも、ケンカばかりしている兄弟のことか?どちらにせよ、ずいぶんと立派な指導者だな。まあ、何が正しいか、優れているかなどに私は興味はない。
Karst: ただ、時代がどちらを向いているかはコンシュタット会戦以降の歴史で証明されたと思っていたのだがな。貴様のコンフリクト参加を認めよう。だが、人は時代をさかのぼることはできん。戦えばそれに気づくことだろう。
Karst: もし時間を無駄にしたくなくば、この部屋を出てすぐ左に向かえ。そこが我が国への移籍の窓口だ。

  そしてウィンダスについては、このように発言している:

Karst :文化?ほう?魔法とは便利なものだな。魔法文化とやらで国は栄えるのか?民衆を食わせていけるのか?
Karst:街並み?その街並みを作るために、どれほどの一般大衆の苦しみがあったか、貴様は考えたことがあるか?街並みは民衆を救ってくれるのか?
Karst:指導者……? ほう、ウィンダスの指導者と言うのは楽なものだな。樹の中にとじこもっておびえていればいいのか?
Karst : まあ、何が正しいか、優れているかなどに私は興味はない。


  これらを聞いて他国の冒険者は彼にひどい印象を受けただろう。そもそも効率主義者であるカルストにとってはバリスタに兵にまわす予算を新型兵器の開発にまわした方が良いと、実際はバリスタそのものに否定的なのだ(会議で承諾したのはミスリル銃士隊隊長Volker)。
  バストゥーク国民としてバリスタライセンス習得時に彼に話しかけると、このような発言が聞ける:

Karst:サンドリア?ふん、盾と槍で突進してくるだけの単細胞どもに何ができる?コンシュタットの敗北が大砲の力だけによるものではなかったことを思い知るだけのことだ。
Karst:ウィンダス?そもそも奴らは戦い方など知らんだろう?コソコソ呪文を唱えるだけしか能がない。エルシモの海戦のように奴らは傭兵や海賊の陰に隠れて震えるだけ。今度はせいぜい樹の中にこもっておびえていろ。
Karst:力と魔の時代はとっくに終わりを告げている。そんなものはただの道具に過ぎぬ。

  これらは恐らく、他国を卑下してるつもりは(さほど)なく、彼なりに分析した結果であり、バストゥークの技術に絶対的な自信があるから、といえるかもしれない。


プレジデントによる自国の評価



  バストゥークミッションにて、カルストは、自分が見据える国の実態を冒険者に明かす。

Karst:……私は自らの利益ばかりを考えると言われるこの国の体質を決して否定せんよ。嫌いでもない。そうやってバストゥークは大きく成長した。そして私自身も……。
Karst:だがそれが競争心でなく、保身につながったとき、この国はまったく機能しない。物を言う責任は問うても、物言わぬ責任を問わない……それがこの国の抱える病だ。

  それは、闇王討伐に銃士を割く事を反対し、「北国はサンドリアに任せておけ」と保身に回る役人達への不満であった。そして冒険者自身のことを案じ、このように続ける。

Karst:……おまえは英雄ではない。一介の冒険者だ。物言わぬ人々の代弁など必要ない。利己的でかまわん。自分の利益のためにミッションをこなしてくれ。その重圧に苦しむのは、どこぞの大統領や隊長の仕事だ。

  冒険者は自分の事に集中し、自分の為に動けばいい。その冒険者に依頼を出し、国を動かしていく事こそが政治家の仕事であり責任である。それこそがプレジデントの信条であり、バストゥークそのものの考え方に近いと思える。そしてこの考えはゲーム上の架空の世界の政治の話だけではなく現実の会社や社会にも通じるものではないだろうか。



国内でのプレジデントの印象


  上記の発言を続けるなら、ミスリル銃士隊Iron Eaterはこのように述べている(バリスタライセンス習得イベントより):
Iron Eater:……と、いうことだ。なんというか、相変わらずなお方だよ。最もコンフリクトに反対したが、きっと最も負けたくない人間、それがプレジデントだ。

  ストレートなあまり口が悪いとされるプレジデント。そんな彼がなぜ大統領まで登り詰め、部下たちに指示されているのか。ミッション最後のやりとりを参考に見てみる。

Karst :その結果が、間抜けな隊長の復帰報告か?
Volker :プレジデント……。
Karst :もうよい、気分が悪い。下がれ。冒険者にはおまえらの方で報酬を与えておけ……。

Naji :……プレジデント。怒らせちゃいましたかね?
Lucius :いや……あんなにプレジデントが御機嫌が良いのは、久しぶりだよ……。
Cid :相変わらず素直になれぬ奴じゃのう……。
Volker :もっと大目玉をくらうと思っておりましたが……。
Ayame :プレジデントのことですから、後で減俸の通達くらいはまわってきそうに思いますけどね。
Naji :マジっすか!?勘弁してくださいよ……今月厳しいのに。
Iron Eater :またいらぬ武器でも買ったのか、おまえは……。

  皆、彼の言葉の裏にある本心が読めている様子である。長年の付き合いがなせる業なのだろうか。ちなみに、大統領にカルストを推薦したのは工房長Cidである。その理由は、このように述べている。

Cid : 15年前のパルブロでの事故のときだ。わしが責任をとって、火薬研究所所長を退いた後も、政府は責任のなすりつけあいでゆれた。そんななか、たった1人パルブロを捨てて、ツェールン鉱山の再開発する案を提出したのがまだ新米官僚のカルストだった。そりゃひどい案だと思ったさ。パルブロで働いてた奴の気持ちも考えてない。だがな、少なくともこいつの政治家としての技術は信用できると思ったよ。技術屋の勘さ。
Cid : それに……あいつ、わかりやすいだろ?想像つかないか? あいつがその案を提出したときの功名心で必死な顔。

  若い頃は、パルブロでの事故をきっかけに、採掘の拠点を遠く事故の時に対処のしにくいパルブロではなく、身近ですぐに対応出来るツェールン(※採掘すると分かるがツェールンよりもパルブロで採れる鉱石のほうが基本的に優れている物が多い)にすべきだと一人訴えたのがカルストだったのだ。技術的な向上のために必要な資源、事故により浮上した国民の感情、それらに流されず冷静にどう対処したほうがいいか見据えていたのだ。
  自分の信念を貫き、結果を導く。その為には尽力を怠らない。そんな所がプレジデントの魅力なのかもしれない。


プレジデントの素顔・娘との距離

  思ったことをズケズケ言うカルストの性格は、当然、娘のCorneliaに対しても変わらない。主な衝突はガルカ達についてである。Corneliaはガルカ達の国内での扱いを向上させようと一人で奮闘している。が、カルストはそれを無意味と切り捨てているのだ。しかし、カルストとしてはそれは事実を述べているだけで、娘と不仲になるのは不本意なのかもしれない。娘の話を冒険者に切り出すだけでも、カルストは口ごもる。

Karst : その情報を得た人物に話を聞いてほしいのだが……。なんというか……その……。

その情報を持っているのが、娘のCorneliaである。


家庭教師に頼んでCorneliaを説得し彼女の部屋の扉を開けてもらうパパ。

  だましたと逆上して、一度あけた扉を閉めるCornelia。そのままの、扉越しの状況で親子の会話が進むことになる。

Karst : 何を勘違いしている。別にそのまま閉じこもりたいなら閉じこもっていれば良いだろう。おまえを引きずりだすつもりなどない。

  父ではなく、あくまで大統領としての情報提供を促すカルスト。それはIron Eaterが彼に調査を進言した、鉱山区の長老だったガルカの行方についての調査だった。同じ調査をCorneliaが頼んだときは、却下したらしい。

Karst:バカにするな。おまえの考えごときで国政を動かしたりはせん。
Cornelia : あんなに私が言っても聞き入れてくれなかったのに……。
Karst : おまえは何か情報を得たのではないのか? そうでないなら話はここまでだ。冒険者には別の任務を……。
Cornelia : 待って……。

  とりあえずミッションに必要な情報をCorneliaから聞くことには成功した。



扉越しの会話は続く。

  更にCorneliaは、今度は娘として、父親のカルストに話し出した。

Cornelia : ねえ、お父様……やっぱり……自分の力で何かできるなんて思い上がりなのかな?結局偽善でしか、ないのかな……。
Karst : コーネリア……。
Karst : これは昔聞いた話だ……。東方の言葉では「偽善」という言葉を、「人の為す善」と書くそうだ。元々それは批判されるべきことではなく、人が人であるための行為であったのかもしれない……それがいつのまにか悪い意味に使われるようになった……。何かを為そうとすれば常に批判がついてまわる。イヤというほど私はそれを体験してきた。それでも、私は自分が正しいと信じる結果のみを求めてきた……。何もせず文句だけを言う連中に決して私の邪魔をさせたりはしない。
Karst : それと……おまえのような小娘が自分のやっていることの善悪を論じるなど10年早い。肝に銘じておけ……。
Cornelia : お父様……。

  これは、自分の生き様からしか娘に道を示し、慰めてやることが出来ない、不器用な父親の姿にみえてならない。言葉こそはいつもの厳しいカルスト節ではあるが、最後の部分等は「だからこそ周りの評価は気にせず自分の信じるように動け」と言ってる様にも取れるかもしれない。不器用で似たもの同士な親子の、コミュニケーションである。

そしてこれは最終的にCorneliaに次へと頑張る意欲を沸き起こし、GumbahCorneliaの距離を縮める結果になる。


いぶし銀のパパの哀愁


ミッションその後「バストゥークは好きですか?」


  バストゥークミッションのエピローグで、Corneliaは様々な人にこの問いかけをし、その中で自分の進むべき道を見極めようとする場面がある(その回想は彼女の手紙を読みながら登場する)。その中で、父カルストにも同じ質問をし、照れ隠しに声を荒げる彼と、その様を見て笑うCorneliaが描かれている。二人の関係は少し、近付いたといえる。

最終更新:2008年09月14日 08:06