「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 我が願いに踊れ贄共・救世主候補-07d

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匿名ユーザー

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 暗闇の世界
 神様の交差点、創造者や観測者と、ほんの一瞬触れ合えるかもしれない、最悪のVIP席
 様々な呼び名で呼ばれるそこに、サンジェルマンはいた
 さて、と辺りを見回す

「…見つかりますかねぇ」

 情報量だけは無駄に多いのだ、ここだ
 真っ暗闇のそこに、無限とも言える情報が漂っている
 以前、わかりやすく本と言う形で視覚化してみた事がある
 …うっかり自分が埋まりそうになったので、それを本棚に収まっている形で視覚化した
 結果、どこまでも本棚が続くと言う………ある意味で、本の虫にとっては天国な光景が出来上がってしまった
 その大量の情報から、自分がほしい情報を見つけ出す
 …出来るか?

「まぁ、やるしかないんですけどね」

 どうせ、ここにいれば時間だけは無限にあると言ってもいいのだ
 時間さえかければ…

 そう思った、その時
 己の足元に、何か、放り投げられた

 それは、カケラ
 黒く濁ったそれを、サンジェルマンは拾い上げた
 ……それが飛んできた方向に、視線を向ける
 そこには、こちらに背を向けた状態で、座っている少年
 …すぐに、その姿は忽然と消えてしまう

 小さく、サンジェルマンは苦笑した
 以前…K-No.0の騒動の時…ここであの少年が泣いている様子を見て以来、どうにも、避けられている気がする
 まぁ、元々「後8年から10年たったらヤらないか」と声をかけてドン引きされて以降、避けられていたような気がしないでもないが

 さて
 放り投げられたカケラを見つめる
 ……おや
 ちょうど、自分が探していた情報だ

「…これを使って聞く事聞き出して、さっさと帰れって事ですかね」

 黒く濁ったそのカケラに、意識を集中する
 それは、過去のカケラ
 誰かの過去を映し出す、誰かの過去を封じ込めた記憶媒介
 それを媒介に、魂を呼び寄せる
 この中に記憶を込められた存在の記憶を

 もう、終わった脚本
 されど、表に語られる事のない、誰かの過去
 その過去から、魂を引きずり出す

 黄金の輝きが、暗闇の中に生まれる
 ……その輝きが、消えるか消えないかの内に

「……ほぅ?なかなかに、面白い事をしてくれるではないか……サンジェルマン」

 低い声が、響いた
 輝きが消えた後、そこにいるのは、一人の男

 サンジェルマンの記憶の中では、その男はいつも白衣をまとっていた記憶があった
 だが、目の前に現れたその男は、白衣は纏っておらず……代わりに、儀礼用と思われる立派な装飾のついた衣服をまとっていた
 そして、ずいぶんと若返った姿に見える

 ……ハンニバル・ヘースティングス
 元「組織」H-No.1にして、元「教会」異端審問官
 今の外見の若さと纏っている衣服から見るに……自分は、「教会」にいた頃のハンニバルの魂を呼び出したようだ
 …いや、違うか?
 サンジェルマンがハンニバルと顔を合わせたのは、ハンニバルが「組織」入りした後の事だ
 それまで、ハンニバルはこちらの顔を知らなかった
 ならば、何故、こちらを見て「サンジェルマン」と呼んだ?
 そして、なおかつ…己がここにいる事の原因が、サンジェルマンである事を理解しているかのようなことを口走ったのだ?
 そのサンジェルマンの疑問を感じ取ったのだろう
 ハンニバルは小さく笑い、告げる

「…どうやら、お前は過去の私に関するものを媒介に、私の魂を呼び出し、視覚化したようだな?」
「……あぁ、なるほど。それで、若い頃の姿なのですか」
「そう言う事だ。姿かたちは昔のものだが、記憶自体はお前が知っている時代のものだな」

 …なるほど
 それならば、話は早い

 とりあえず、まずは

「やらn」
「あぁ、私を呼び出したのは、何らかの情報を得る為だろう?余計なことをしたら切り捨てる」

 っち、読まれていたか
 ハンニバルの腰には、酷く立派な装飾の鞘に納められた剣が下げられている
 本物の…ハンニバルを飲み込んだエクスカリバーは、ハンニバルにエクスカリバーを与えた湖の乙女が回収したと聞いている
 だが、この空間で視覚化したハンニバルの記憶は、当時の姿そのままで呼び出されたせいか、エクスカリバーもセットで視覚化されてしまったらしい
 切られた程度で自分は死なないが、痛いのは却下である
 それはそれでいい時もあるが、今回の本来の目的はそれではないのだ
 さすがに、自重しよう

「…エイブラハム・ヴィシャス。知っていますね?」
「あぁ、あの若造か。それなら、知っている」

 ……若造、と来たか
 なるほど、ハンニバルの方が、エイブラハムより年上だったらしい

「表向き、彼はサリエル、イロウル………そして、「救世主」に飲まれた存在、と言うことになっていますね?」
「あぁ、そうだ。元々、サリエルとイロウルの契約者であったのが、「救世主」との多重契約をした故、飲まれた……それ故に、「救世主」そのものとなった、そういう事になっているな」

 だが
 それは、表向き

「……実際は?」
「ここより先は、私の推測であり、真実であるとは限らない、と言っておこう」

 断りをいれてから、ハンニバはサンジェルマンの疑問に答える

「あれが契約したのは、救世主などではない……アンチ・クライストだ」
「反キリスト、ですか」
「救世主のふりをして、人の心を惑わす存在。救世主のような奇跡を起こせるそれとの多重契約を結んだようだ」

 ……なるほど
 それは、中々に厄介だ
 「奇跡」と言うものは、果たして、どこまでの事ができるのか?
 判断できないからこそ、厄介なのだ

「なるほど。それならば、救世主のふりもできるでしょうね」
「あぁ。まぁ、サタナエルとの契約による力のせいもあるかもしれんがな」

 ………
 待て
 今、さらっと重要な事を言わなかったか?

「エイブラハムは、サタナエルとも多重契約を?」
「誰が、あれが三つの都市伝説の多重契約者だと言った?」

 …まぁ、三つ、とは言っていない
 表向きそう思われているからと言って、真実がそうとは限らない
 もっとも、ハンニバルも推測でものを言っているので、こちらも真実とは限らないが

「サタナエルは、確か、いくつか解釈が存在していましたね。あなたは、どのサタナエルであると推理しますか?」
「ふむ……東方正教会の異端派、ボゴミル派の教義に語られるサタナエル…私は、そう判断しているが?」
「……よりによって、そちらですか」

 神に叛いて地に降り、物質世界の創造主=旧約聖書における「神」になった……サタナエルには、そんな逸話が存在するのだ
 しかし、暴虐かつ邪悪なサタナエルは、神との約束を反故、創造した人間を虐待し続けた…この所業が旧約聖書にある幾多の戦や、ノアの箱舟事件の真相である、とその説では語られる
 これらの出来事を経て、神はキリストを派遣して人間の救済を図ったのだ……と

 その説のサタナエルであるならば、命を作り出したり世界を生み出したり、と言った能力を扱える可能性が出てくる
 アンチ・クライストでも使用可能な能力ではあるが……サタナエルとして使用した方が、コストは小さい
 まったくもって、厄介だ

「……最後に、もう一つ。あれは契約しているな」
「五つの多重契約ですか……アンチクライストやサタナエルのような馬鹿みたいにコストの高い存在でなくとも、そこまで契約を重ねれば飲まれる可能性が高まるでしょうね」
「そうだろうな。事実、あの男は飲まれている」

 もっとも、と
 ハンニバルは、どこか意地の悪さの混じった……どこか、見下しているような笑みを浮かべ、続ける

「………あれは。神にすがり続けていた癖に、死に瀕した際、あっさりと誘惑に屈した弱い人間だからな」
「わかっていて、あなたは「教会」に報告しなかったと」
「知らん。あれが飲まれた直後に、私は「教会」を抜けたからな」

 なるほど、どうでもよかったのか
 何とも最低だ

「…その、五つ目の契約都市伝説は?」
「……正直なところ、推察とはいえ、断言しきれん。よくもまぁ、あんな愉快な解釈をして能力を得たものだ。もっとも、どうやらアンチクライストとサタナエルが、それを持ってきてエイブラハムに多重契約させたほうであるから、

 …この男がこのように言うとは、珍しい 
 そんな感想を抱きながら、サンジェルマンは次の言葉を待つ

「…エイブラハム・ヴィシャスの、五つ目の都市伝説」

 それは


「あれは、私の推察によるならば………「教皇ロバ」だ」








to be … ?





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