「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代ーズ-03

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03 馬鹿者共




「ワタシ、キレイ?」



 夜道、前方に立ちはだかったのは
 真っ赤なコートに口元を大きなマスクで覆った女だった

 尋ねられたのはこれまた真っ赤なコートに鍔広の麦わら帽子を被った人物だ
 人気のない路地、その中央に立ち止まり、突如現れた女を睨んでいるではないか


「ワタシ、キレイ?」


 再び質問
 同時に麦わらの人物が動いた

 女との距離を一気に詰めると、不意に――そのマスクを引き千切るようにむしり取ったのだ!
 何ということだろう! 女の口は耳元まで裂けているではないか!
 この女こそ、かつて一世を風靡した「口裂け女」である!

 いきなりの事態に女は固まるが、麦わらは一気に畳み掛ける!


「貴様はッ!! 醜いッ!!」


 言うが速いか麦わらはコートを肌蹴ると同時に腰に差していた得物を抜刀!
 女が動く隙も与えず一気に叩き斬ったのである!
 これこそ、俗に言う袈裟斬りである!

「ええい! 噂には聞いていたが、これ程とは!」

 麦わらはそう吐き捨てると、ぐっと帽子の鍔を持ち上げ、振り返った
 やや離れた街灯のおぼろげな明かりに照らされたその顔面は真っ赤な包帯によって覆われていた

 それだけではない
 刀を握る手も、肌蹴たコートから覗く身体も、真っ赤な包帯が幾重にも巻かれているのだ

「今の御時世で真正面から吹っ掛ける口裂けは久々に見たぜェ! しかし兄者、やはりこの町は地獄ではないのかァ!?」
「何度も言うがヤッコよ、地獄と極楽は何ら矛盾せんのだ」

 麦わらの後方に控える、ヤッコと呼ばれた者もまた顔や手が真っ赤な包帯で覆われている

「『学校町はケダモノの如く襲い掛かる分別無き魑魅魍魎の巣窟』……、それもまたこの町の一面よ」
「俺は『地獄の一丁目』とも聞いたぜェ兄者ァ!!」
「然らばヤッコよ、この町のもう一面を忘れたわけではあるまいな?」

 兄者、そう呼ばれた麦わらの男はおもむろに刀を鞘へ納める
 やはり人の気配がしない路地に、遠くからの遠吠えが幽かに響いた

「応よ兄者! 『学校町には人も妖も美女が多い』! まさに桃源郷ォ!」
「然れば嫁探しを疎かにしてはならぬのは道理だろう
 無論、俺達は団長より受けた命を成し遂げねばならん
 しかし本分には出精するが嫁は探せなかった、では許されんのだ!
 命を成し遂げ、浮世の連れ合いも獲る! こうでなければ『師団』の剣客とは言えん!
 いや! これが出来なくして焉んぞ我が生を知らんや!!」
「おお! 惚れ直したぜ兄者ァ!! 恰好いいぜェ兄者ァ!!」
「そうだろう、そうだろう
 然れば本分を全うし嫁探しも為し得る、というのが正しき道よ」

 今やこの怪しい二人組は何やら威勢の良い話で盛り上がっている

「いざ征かん! 嫁獲りの道を!」
「応ォ!!」

 光の粒となって滅した口裂け女には最早目もくれず
 彼らは夜道の路地にて決意を新たにするのであるが

 この二人組は現在、学校町に潜伏中の身
 その正体は、都市伝説集団「朱の匪賊」に属する都市伝説、「トンカラトン」である!





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