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死神少女は修行中-11.命消ゆる光の中、死神少女は死を拒む

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だれでも歓迎! 編集
 銀の鎌の一振り毎にジャガー人間達が四散する様を、極はただ見つめていた。
(これが・・・『死神』)
 父の実家に代々伝えられた都市伝説。
 朧気な記憶の中に残る「あの男」の話では、七代だか十代前の先祖リリス・マリアツェルが、「彼」と交わした血の誓約。
 それ以来、マリアツェル家に生を受けた少女には、ふたつの道しか存在しなかった。
 ひとつは、「死神」の契約者・・・否、傀儡として心の力が尽きるまで死を振りまきやがて飲まれて一体化するか。
 「死神」との契約を拒み或いは契約を破棄し、その瞬間に命を奪われるか。
 ノイ・リリス・マリアツェルという少女が何れの運命を辿るのか、知る者は未だ誰も居ない。


(どのような心地よなぁ?我が契約者の末裔よ)

(愉しかろう?我に命ずる毎にそなたの敵が消えてゆく)

(我が力を振るえば振るう程、敵を滅すれば滅するほど)

(我が力は高まり、そなたは死の女神に近付くのだ)

―聞いてはいけない

 ジャガー人間。
 都市伝説に存在を与えられた、かりそめの生命。
 きらきら。きらきら。
 さながら舞い散る花のように、彼らは光の粒となり、何処へか消えてゆく。

 彼らは敵だ。
 町の人を、罪のない人を殺し傷つけ、自分やイタルも害そうとした。
 その彼らはもう、みんな光と消えてしまう。

(命ありしものを刈るのが我が務め)

 髑髏の面が、ゆっくりと極に向き直る。

(其処には老いも若きも、男も女も、善きも悪しきも無い)

―だめっ!

 次の瞬間、極の瞳に映ったのは、銀の鎌を振り下ろさんとする死神の手元を、必死で押さえるノイの背中だった。

(我が意に逆らうか・・・我がリリスの末裔)

「あたしは、死の女神なんかにはならないから」

「だからイタルを、なにも悪くない人を殺したりなんか、しない・・・もう絶対」

 真一文字に口を結んで歯を食いしばり、きっと彼女の都市伝説を見上げる瞳には、一片すらも折れる気配はない。
「もしこのまま、イタルを・・・殺すって言うなら」
 これが所謂「火事場の馬鹿力」か。精一杯の腕力を振るい、鎌の刃先を自らの胸元に引き寄せる。
「その前にあたしを殺せ!契約したまま死んで、あんたも消してやるー!!」

(死を司る我を、死を以って脅すと言うか・・・!)
 少年の眼前で、少女と髑髏が睨み合う。
 やがて周囲の空気に生の気配が戻り、髑髏の姿が掻き消える。
(勝手にするがよい・・・!)
 捨て台詞ともとれる一言を残し「死神」が姿を消すと、ぺたりと座り込んだ少女の背中に向かって、極がぽつりと言った。
「もしあのまま、死神がお前も殺そうとしたら、どうするつもりだったんだ」
「うん。あのね・・・考えてなかった」
 何も考えずに、自分の命を取引材料にしただと!?
 極は仰向けにずっこけそうになった。思わず失笑を洩らしてしまう。
(あ・・・)
 イタルが笑ってる。ちょっと嬉しくなったノイが
(あたしやったよ!)
 と、ピースサインを見せて極を振り返った、その瞬間。

 光線の束が、ノイの肩口を音もなく貫いた。

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