「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - 人工知能搭載水陸両用蛇型大量殺戮兵器

最終更新:

kemono

- view
だれでも歓迎! 編集
まだ陽も昇らない時刻
深く白い霧が立ち篭める静かな湖の辺に、ゆらりと揺れる無数の黒い影

「ここだったな、「シーサーペント」が目撃された湖というのは」
「探査系の契約者によれば、間違いないかと」

ずらりと並ぶ、黒いスーツと黒いサングラスの男女――「組織」の黒服達だ
ざっと、100、いや200人以上だろうか
彼等は、「村正」、「魔弾」、「ワーウルフ」等々、各々の能力を発現または発動し、待機していた
「シーサーペント」とは、海洋に生息するとされる大蛇のような未確認生命体である
そのUMAの目撃例が後を立たず、こうして「組織」が隠蔽する為に討伐にやってきたのだが、

「しかし妙ですね」
「あぁ、“シー(海)”なのに何故湖に現れるんだ?」
「んなもん噂の所為だろ、じゃなくとも海に飽きて越してきたとかな」
「前者の方が尤もらしいな」

などと仲間内で真面目なのかふざけているのか分からない会話をしている時だった
湖面に、ぼこり、と気泡が浮かび、破裂した
全員が身構え、神経を研ぎ澄ませる
複数人の心臓の鼓動がよく聞こえ、その所為で霧が揺らめいているように見える
気泡は徐々に徐々に量と勢いを増し、遂に、

「来るぞ!!」

湖から、それは姿を現した
だが、直後に飛び交ったのは黒服達の弾丸ではなく、

「なっ!?」
「おい、何だこいつは!?」

大いなる、驚きの声だった
それもその筈である
今、黒服達の目の前にいる影は、「シーサーペント」どころか“生物”ですらない、鋼鉄の塊だったのだ
周囲の風景を綺麗に映し出す程美しい光沢を放つ装甲を持ったその機体は、
ムカデのように幾節にも分けられており、各部位には無限軌道(キャタピラ)が1対、機関砲(マシンガン)が2基ずつ装備されている
そして最も目を引くのが、機体の最前部にある、4基の回転式削岩機(ドリル)
まるで獣の牙のように伸びるそれは、金属音を響かせながら回転していた
眼前に突如出現した鉄の蛇に、黒服は戸惑わざるを得なかった

「・・・な、なぁ・・・こいつは、都市伝説、なのか?」
「それらしい気配はあるのだが・・・どんな都市伝説なのか、まではさっぱりだ」

口々に、疑問をぶつけているが
次の瞬間、彼等は1つの答えに辿り着くことになる

《――――――――目標、捕捉》

感情の籠っていない、冷たい機械音声
明らかに、目の前にいる鉄の蛇のものだ

《射殺》
「ッ!! 全員、戦闘配置につk」

声は最後まで届かなかった
連続的に響く射撃音、断末魔、血の噴き出す音、肉の飛び散る音
思わず目を覆う者も居た
思わず吐き出す者も居た

「くっそ、やりやがったな!!」

「魔弾」を始めとした射撃を得意とする黒服が反撃を開始する
だが、彼等の弾丸は、その鉄の蛇には通らない
逆に、鉄蛇の弾丸は、黒服達の身体を貫き、壊し、面影さえもなくしてしまう

《射殺・・・射殺・・・射殺、射殺、射殺、射殺、射殺射殺射殺射殺射殺射殺射殺射殺射殺射殺射殺射殺射殺射殺射殺射殺射殺射殺射殺》

壊れた機械のように連呼しながら、壊れた機械のように乱射しながら、鉄の蛇はゆっくりと、岸に上陸した
水から出たことによって、初めてその巨大さが分かる
全長はおよそ500メートル、節で分かれたユニットは70にも上る
人工物のような殺伐とした風貌と、自然の生物のような柔らかな動き
そんな矛盾している事柄が、尚一層不気味さと恐怖を駆り立てる

「怯むな!! 何とか、こいつを食い止めろ!!」
「ち、ちくしょおおおおおおおおおおお!!!」

今度は、格闘専門の黒服達が動き出す
ある者は刀を振るい、ある者は獣に姿を変え、蛇に襲いかかる
彼等が、蛇の装甲から何かが落ちてくることに気づくのは、少しばかり遅すぎた

《・・・爆、殺》


発光


爆裂


炎上


飛散


屍臭


成す術も無く、木っ端微塵にされていく仲間に続いて、巨大な3つの影が立ち上がる
「だいだらぼっち」、「手長」、「足長」に飲まれた黒服達だ
その巨体から繰り出される怪力で、鉄の蛇を湖に押し返していく

「ど、どうだ! このまま捻り潰しt―――――――」

そこまで口にした後、「だいだらぼっち」の頭部は存在していなかった
何があった、と疑問を声に変換する前に、4つの牙は「手長」の胴体を穿ち、
154の機関銃を以って「足長」の全身を真っ紅な蜂の巣にした
轟音と共に、巨大な骸に成り果てたそれは、緋色の海に沈んでいった

「あ・・・あぁ・・・・・・」

湖が文字通り血の海となり、辺りには火薬と血の匂いが充満していた
余りにも凄惨で衝撃的な光景に、黒服達は戦う気力も、立つ力も失せていた
それでも、蛇は止まらない

《轢、殺》

幾つものキャタピラを使い、長い身体で岸辺を這いずり回り、戦意を喪失した者達を次々と潰していく
少しでも肉片が残っていれば、機関銃で跡形もなく消し去る
服の切れ端さえも、爆薬によって跡形もなく消し飛ばす
後には何も残らない、何も残させない
残るものは鮮血と、圧倒的な力の象徴だけ

《圧殺・・・焼殺・・・惨殺、蔑殺、虐殺、殺、殺、殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺》

静かな湖に、陽の光が差した

   ...fin





タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー