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連載 - 女装少年と愉快な都市伝説-16c

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宴会の風景~姫さん(合わせ鏡のアクマ 50合わせ鏡のアクマ 51より)


…………い。お…………い。………きてー。起きてってばー」

 そんな呼びかけと、ほっぺをぺちぺち叩かれる感触に、こっちは目を覚ました。

「う、ん………あさですかー?」

 まだぼんやりしている頭をなんとか動かし、体を起こす。
 呼んでたのは誰なのかなー、と横に目を向けると、

「おーい、寝ぼけてないのー」

 目の前に、手をひらひら振っている姫さんの姿が。

「あ、ごめんなさい………って、ん?」

 あれ、確か連絡先交換してもらって、それから………?
 どうしたんだっけ? と首を捻ると、

「ああ、あなたいきなり寝ちゃったのよ。顔赤かったし、お酒でも飲んでたの? 未成年なのに」
「えっと、あの……その。これにはちょっと事情がありまして………」
「飲んでたの? 未成年なのに。ダメなのに」
「いえ、あの、その………すいません」

 うなだれるこっちを見て、姫さんはアハハ、と笑う。……うぅ、ひどい。絶対面白がってるよこの人!

「アハハハ、ごめんごめん。宴会だし、そのくらい別にいいわよ」

 それより、と姫さんは言葉を切り、

「なんで××だけじゃなくて、あなたまで"姫さん"って呼ぶのよ?」

 ちゃんと名前あるのに、と口を尖らせる姫さん。
 いや、そういわれても………。

「××さんもそう呼んでましたし、呼びやすいので………。えっと、ダメですか?」

 とりあえず訊いてみる。
 "姫さん"って呼び方、覚えやすいし呼びやすいし、それに可愛らしいしでいいことづくめだと思うんだけどなあ………。

「や、まあ……別に絶対ダメってわけじゃないけれどね………」

 ちょっと複雑そうな顔でそういう姫さん。
 なんだか悪いけど、これからも"姫さん"と呼ばせてもらおう。

「……まあ、それはそれとして! 体、大丈夫?」

 本当にいきなりコロっと寝ちゃったから少し心配してたのよねー、と姫さんはいう。
 ……いい人だなあ、この人。
 体は………なんともない。頭は少し痛い気もするけど、たぶん大丈夫だと思う。
 なので、

「えっと、大丈夫です。心配してくれて、ありがとうございます!」

 笑顔でそう答える。
 誰かに心配してもらえるというのは、とても嬉しいことだ。

「そう。だったらよかったわ。私は××達が待ってるだろうし、戻るけど……あなたはどうするの?」

 うーん、どうしよう?
 もうちょっといたいけど、時間が時間だしなあ………。

「えーと、もう少しだけ顔を出して、それから帰ろうと思います」
「そっか。じゃあ、先に行ってていいわよ。私はこの布団返してくるから」
「え、いいですよ! 悪いですし……自分で返してきます!」
「いいのよ、遠慮しない! 宴会なんだし、これくらいはサービスよ!」

 そういってくれる姫さん。
 まだちょっとふらふらするから、とってもありがたいんだけど、やっぱ悪いよなあ。
 でも、断るのも失礼な気がするし、ここは甘えさせてもらおう。

「えと、じゃあ、お願いします」
「よし、私に任せなさい!」

 元気よく答える姫さん。
 そのままお布団を抱えて歩いていこうとする姫さんに、あわてて声をかける。

「あ、あの、姫さん!」
「? なに?」

 振り返って、聞いてくれる姫さん。

「えっと………また今度、一緒に遊んでもらえませんか?」

 そんなこっちの言葉に、姫さんはにっこりと、とても魅力的な笑顔で、

「ええ、もちろん! だって私達、友達でしょ?」

 そう、いってくれた。
 …友達、かあ。
 どうしよう。ホントに、すごく、ものすごく嬉しい。
 精一杯その嬉しさを表すように、満面の笑顔を浮かべて―――。

「―――うん! ありがとう!」

 様々なことがあった、その宴会の日に。
 こっちに、とても大切な友達ができた。







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