唯×紬 @ ウィキ

4-353~

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
いつもの交差点で、信号が変わるのを待っていた。

唯「信号…待ちでーす」

どうにも落ち着かない。隣で信号を見つめる顔が見られない。

唯「青になりましたー」

紬「じゃあ唯ちゃんまた明日」

声につられてやっと顔を向けると、いつもの笑顔が見えた。

唯「うん、またね」

そんなことを言いながら手を振ってるなんて。

こんなところまで来て、まだ迷ってる。
どうするの?信号が変わっちゃうよ。

点滅する信号に急かされるままに、私はその背中を追いかけた。

紬「唯ちゃ、」

唯「急いでムギちゃん、もう赤になるよ!」

立ち止まったままの左手をつかんで気付いたら、横断歩道の向こう側にいた。

紬「はぁ…びっくりした…」

唯「えへへ、ごめんね」

驚いた顔をしたのはほんの数秒で、今はもうわくわくに目を輝かせてる。

紬「ねぇ唯ちゃん。どこに連れてってくれるの?」

唯「え、えーっとね…」

でも私はまだどこか逃げ腰で、弱気な質問をする。

唯「ムギちゃん、駅はどっちに行くの?」

紬「駅は…そうね。ここをまっすぐ、かしら」

唯「おっけー。送ってくね」

紬「でもね、唯ちゃん。今日はここを曲がってみたいな」

唯「え…?」

いいの?なんて尋ねなくても、もう私たちは手をつないだまま歩き出していた。

唯「どこか行きたいとこあるの?」

紬「うん、知らないところ」

唯「よーし、行ってみよう!」



――――

そして見事に道に迷った私たちは、どこか知らない喫茶店に。

唯「やっぱり迷っちゃったねー」

紬「そうね。でもなんか楽しいねっ」

ムギちゃんは、知っているのかな。
私が必要以上に紅茶をくるくるかきまぜている理由を。

唯「ムギちゃん、お茶飲まないの?」

紬「じゃあそろそろ…」

そう言ってティーポットから紅茶を注いで、手を延ばした先は。

紬「とってもおいしいわ。唯ちゃん」

唯「あ…うん!よかったぁ」

ムギちゃんは、スプーンに何の願い事をかけるの?
私とおんなじかな。だったら嬉しいな。

紬「さぁ次は唯ちゃんの番。召し上がれ」

でもなんにもかきまぜないまま、紅茶を差し出そうとするムギちゃん。

唯「え、え、私はあんなに…」

つい悔しくなって言った言葉に、返ってきたのは満面の笑み。

紬「だってね。もう叶っちゃったの」

紬「唯ちゃんが追いかけてこないかなって、ずっと考えてたんだよ」

切なさも願いも悩みも迷いも、全部ぜんぶとかしきった透き通った紅茶。

最後の仕上げに笑顔から、ぽとんと一粒透き通った雫が落ちた。

おしまい



もちろん元ネタはあの曲です




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー