ライカンスロープとは、動物や半人半獣の姿に変身する能力を持つ人型生物のことである(訳注:“ライカンスロープ”とは本来、ギリシア語で“狼人”の意)。先天性ライカンスロープはこの能力を生まれつき持っていて、変身能力を完全に制御できる。後天性ライカンスロープは別のライカンスロープから呪いや病気のようにこの能力をうつされた。そうした者たちは時に意図せず変身してしまう。
ライカンスロープの作成
“ライカンスロープ”はどのような人型生物にでも追加できる先天性(生まれつきのライカンスロープの場合)ないし後天性(罹患したライカンスロープの場合)のテンプレートである。
脅威度:基本クリーチャーか基本動物の脅威度(いずれか高い方)に+1したものと同じ。
サイズと種別:クリーチャー(以下これを“基本クリーチャー”と呼ぶ)は
(変身生物)の副種別を得る。ライカンスロープは基本クリーチャーとサイズ分類差が1段階以内の、ある種の動物(以下これを“基本動物”と呼ぶ)の特徴を備える。ライカンスロープの中間形態のサイズは、基本動物と基本クリーチャーのどちらか大きい方に等しい。
AC:中間形態あるいは動物形態の時、ライカンスロープの外皮ボーナスは基本動物の外皮ボーナスが+2上昇したものとなる。
防御的能力:動物形態あるいは中間形態の先天性ライカンスロープは“
DR 10/銀”を得る。動物形態あるいは中間形態の後天性ライカンスロープは“
DR 5/銀”を得る。
移動速度:そのライカンスロープがとっている形態によって、基本クリーチャーか基本動物と同じ。中間形態の時は基本クリーチャーの移動速度を使用する。
近接:動物形態および中間形態のライカンスロープは基本動物に応じた
肉体武器を得る。
特殊攻撃:ライカンスロープは基本クリーチャーの特殊攻撃およびその他の特殊能力および能力をすべて保持する。中間形態あるいは動物形態のライカンスロープは基本動物の特殊攻撃およびその他の特殊能力および能力を得る。ライカンスロープは“
夜目”、“
鋭敏嗅覚”、および以下の能力も得る:
変身(超常)ライカンスロープは人型生物形態、中間形態、動物形態の3つの姿を持つ。人型生物形態と中間形態との
変身では装備品が新たな姿にとけこむことはないが、人型生物形態あるいは中間形態と動物形態との
変身ではとけこむ。先天性ライカンスロープは3つのどの別形態にでも1移動相当アクションで
変身できる。後天性ライカンスロープは、DC15の【耐久力】判定を行なって1全ラウンド・アクションで動物形態あるいは中間形態をとるか、DC20の【耐久力】判定を行なって1全ラウンド・アクションで人型生物形態をとることができる。満月が見える夜になると、後天性ライカンスロープは動物形態あるいは中間形態をとるための【耐久力】判定に+5の士気ボーナスを得るが、人型生物形態をとるための【耐久力】判定には-5のペナルティを受ける。次の日の出を迎えるか8時間の休息の後のどちらか早い方になると、後天性ライカンスロープは自動的に人型生物形態に戻る。殺されたライカンスロープは人型生物形態に戻るが、
死亡状態のままである。
ライカンスロピーの呪い(超常) 動物形態あるいは中間形態の先天性ライカンスロープの
噛みつき攻撃は目標の人型生物にライカンスロピーを伝染する(頑健・無効、DC15)。犠牲者とライカンスロープのサイズ分類差が1段階以内でなかったら、この能力は何の効果もない。
ライカンスロープの共感(変則) どの形態であっても、ライカンスロープは自分がとることのできる動物形態と関連のある動物と意思疎通し、交感することができる。ライカンスロープはその種の動物の態度に影響を与える際に
〈交渉〉技能を使用でき、しかもその場合はその判定に+4の種族ボーナスを得る。後天性ライカンスロープは動物形態あるいは中間形態の時にしかこの能力を得ない。
能力値:どの形態でも【判断力】+2、【魅力】-2;中間形態あるいは動物形態の場合、【筋力】+2、【耐久力】+2。ライカンスロープは感覚が強化されるが、感情と動物的な衝動を完全には制御しきれない。基本クリーチャーの能力値に対するこうした修正に加えて、ライカンスロープの能力値は中間形態あるいは動物形態をとった場合にも変化する。人間形態のライカンスロープの能力値は基本クリーチャーの形態のものから変化しない。動物形態および中間形態のライカンスロープの能力値は基本クリーチャーの能力値と基本動物の能力値のどちらか高い方と同じ。
ライカンスロピー
ライカンスロピーに罹患したクリーチャーは後天性ライカンスロープとなるが、次の満月の夜に犠牲者が動物形態になって自我を喪失するまでは、いかなる症状も見せない(そして、テンプレートの修正や能力は一切得ない)。そのキャラクターは次の夜明けまで動物形態を取り続け、DC20の意志セーヴに成功しなければ、何があったのか(もしくは何が起こるのか)一切思い出せない。セーヴに成功した場合、キャラクターは自分の置かれた状況に気づく。
12レベル以上のクレリックにより発動された
リムーヴ・ディジーズあるいは
ヒール呪文であれば、ライカンスロープの攻撃を受けてから3日以内にキャラクターが呪文を受けることができればこの病気を治療できる。それ以外にも、
トリカブト(
ベラドンナ、『用語集』の『毒』を参照)を1服ぶん服用すると、後天性ライカンスロープはライカンスロピーから回復するための新たな頑健セーヴを行なうことができる。
この猫背のクリーチャーはスタデッド・レザーを着た人間のように見えるが、その身体は毛皮に覆われている。容貌はネズミのようで、長くて毛のない尻尾を持つ。
ワーラット(人間形態)脅威度2 Wererat (Human Form)
防御
AC 16、接触13、立ちすくみ13(+1回避、+2【敏】、+3鎧)
hp 18(2d8+6)
頑健 +2、反応 +5、意志 +3
防御能力 身かわし
攻撃
移動速度 30フィート
近接 ショート・ソード=+3(1d6+1/19~20)
遠隔 ライト・クロスボウ=+3(1d8/19~20)
特殊攻撃 急所攻撃+1d6
一般データ
生態
出現環境 気候問わず/都市
編成 単体、2体、小さな群れ(5~10)、ギルド(11~30、加えて
ダイア・ラット5~12)
宝物 NPCの装備品(高品質のスタデッド・レザー、ショート・ソード、ライト・クロスボウとボルト20本、その他の宝物)
ワーラット(中間形態) Wererat (Hybrid Form)
防御
AC 19、接触14、立ちすくみ15(+3鎧、+3【敏】、+1回避、+2外皮)
hp 20(2d8+8)
頑健 +3、
反応+6、
意志+3
防御能力 身かわし;
DR 10/銀
攻撃
移動速度 30フィート
近接 ショート・ソード=+4(1d6+2/19~20)、
噛みつき=-1(1d4+1、加えて“
病気”および“ライカンスロピーの
呪い”;DC15)
遠隔 ライト・クロスボウ=+4(1d8/19~20)
特殊攻撃 急所攻撃+1d6
一般データ
特殊能力
病気(変則)/Disease 汚穢熱:
噛みつき-致傷;
セーヴ 頑健・DC14;
潜伏期間 1d3日;
頻度 1回/日;
効果 1d3【敏】
ダメージおよび1d3【耐】
ダメージ;
治癒 2回連続のセーヴ成功。このDCは【耐久力】修正値に基づいて算出されている。
先天性ワーラットは背が低くて強靭なことが多く、その目は常にあたりを素早くうかがい、頻繁にぴくぴくと神経質に痙攣を起こす。男性はしばしば薄くて不ぞろいな口ひげを生やしている。
ワーラットは人型生物やラットの集団にとけ込みやすい都市部を好む。その能力により、ワーラットは盗みと密偵に特に長けていて、多くの都市で盗賊ギルドがワーラットのメンバーを多数抱え入れている。
この筋肉質なクリーチャーは人間の身体を持つが、頭部は牙がむき出しで、全身が狼の毛皮に覆われている。
ワーウルフ 脅威度2 Werewolf
防御
AC 17、接触11、立ちすくみ16(+1【敏】、+6鎧)
hp 19(2d10+4)
頑健 +5、反応 +1、意志 +2([恐怖])に対しては+3
防御能力 武勇+1
攻撃
移動速度 30フィート(鎧装備時20フィート)
近接 ロングソード=+5(1d8+4/19~20)
遠隔 ライト・クロスボウ=+3(1d8/19~20)
一般データ
生態
出現環境 気候問わず/地上
編成 単体、2体、小さな群れ(3~6)
宝物 NPCの装備品(チェインメイル、ロングソード、ライト・クロスボウとボルト20本、その他の宝物)
ワーウルフ(中間形態) Werewolf (Hybrid Form)
防御
AC 22、接触12、立ちすくみ20(+6鎧、+2【敏】、+4外皮)
hp 21(2d10+6)
頑健 +6、
反応+2、
意志+2([恐怖])に対して+3
防御能力 武勇+1;
DR 10/銀
攻撃
移動速度 30フィート(鎧装備時20フィート)
近接 ロングソード=+6(1d8+6/19~20)、
噛みつき=+1(1d6+1、加えて“
足払い”および“ライカンスロピーの
呪い”)
遠隔 ライト・クロスボウ=+4(1d8/19~20)
一般データ
人間形態では、ワーウルフは普通の人のように見えるが、やや野性的な顔立ちをしていて髪がボサボサに伸びているふしもある。眉毛がつながっている。人差し指が中指よりも長い。手のひらに奇妙なあざがある。これらはすべて、その者が実はワーウルフであるというしるしだと、広く一般に認められている。もちろん、そういった告発のしるしは常に正しいとは限らず、こうした肉体的特徴は普通の人にも見られるのだが、ワーウルフがありふれた問題となっている地域では、こうした特徴はうかつな事に動かぬ証拠となり得る。
多種多様なライカンスロープの亜種の中で、ワーウルフは最も広く分布し、最も恐れられている。ひとり森の小道に出没したり、田舎の共同体の外れの霧のムア(荒れ丘)をうろつき回ったり、大都市の影に潜んでいたりするワーウルフの話もまた広く知れ渡っている。ほとんどの共同体でワーウルフは恐れられ軽蔑される。それには充分な理由がある。典型的なワーウルフは、ライカンスロープの野蛮さと獣性をすべて体現しているのだから。善属性のワーウルフが知られていないわけではないが、そういった者たちはワーウルフの間では間違いなく少数派で、ほとんどのワーウルフは狩りと汁気の多い生肉の味に喜びを見出す悪の殺人者である。
ウルフが群れを作る動物であるのとまったく同様に、ワーウルフは集落にまとまって同族だけで生活し、日中は人型生物の姿、夜は獣の姿をとることで知られている。ワーウルフの村を訪れる者は一般に、住民たちの後ろ暗い秘密に気づかれずにすむよう、日が暮れる前に町から追い出される。もちろん、戻らなくても誰も気づかない不幸な客人と群れが判断すればその限りではない。
ライカンスロープのプレイヤー・キャラクター
PCがライカンスロープになった場合、GMたる君は選択しなければならない。大抵の場合、どんな場合でもPCが中間形態か動物形態でいる時は常に君がそのPCの行動を管理すべきだ。ライカンスロピーがPCのパワーを増やす手段であってはならないし、なにせ、中間形態か動物形態でいる後天性ライカンスロープがすることと、そのキャラクターが実際に望んでいることとが、しばしばせめぎ合うことになるのだ。プレイヤーがライカンスロープでプレイしたいと言う場合、そのプレイヤーは先天性ライカンスロープでプレイすべきで、かつ強力な種族のキャラクターでプレイする際の指針に従うべきである。 |
最終更新:2016年10月30日 04:43