はじまりの物語・Ⅰ
長靴下のピッピ
スウェーデンの作家、アストリッド・リンドグレーンの作品。1945年出版。「世界一強い女の子」のピッピが文字通り「型破り」な活躍をするお話。
少し例を挙げれば、ピッピは片手で馬を持ち上げ、タイマンで大男を打ちのめし、無造作に金貨をばらまき(ちなみにピッピはトロルみたいに金持ち)、火事の家から子供を救出し、そして何の前触れもなしにピストルを撃ち放つ。時には人の役に立つこともするが、大抵は荒波を立てながら嵐のように過ぎ去っていくので、他の人々はひたすらピッピに振り回されることになる。
少し例を挙げれば、ピッピは片手で馬を持ち上げ、タイマンで大男を打ちのめし、無造作に金貨をばらまき(ちなみにピッピはトロルみたいに金持ち)、火事の家から子供を救出し、そして何の前触れもなしにピストルを撃ち放つ。時には人の役に立つこともするが、大抵は荒波を立てながら嵐のように過ぎ去っていくので、他の人々はひたすらピッピに振り回されることになる。
このピッピの破天荒ぶりは、可愛らしい服を着せられて親に素直に従うおとなしい「よい子」のアンチテーゼだ。そして、この種の「よい子」が概念もろとも失わつつある現代では、ピッピもまた存在の意味を失っていくことになる。灰流がこの物語を「古びてしまった」と表現する理由はここにあるのだろう。
名前は魔法の源だ。
元ネタはゲド戦記。相手の真の名前を知ることは相手の根源を知ることであり、それは相手を支配するための重要な足がかりとなる。
真の名前を知っているのは自分自身とその名付け親くらいのものであり、誰かに教えるとしたらそれは本当に信頼した相手でなくてはならない。
真の名前を知っているのは自分自身とその名付け親くらいのものであり、誰かに教えるとしたらそれは本当に信頼した相手でなくてはならない。
ゲド戦記
脱線して転げ回ったお話だな。
狙ったところへ落ちなかったっつーか、
狙いそのものがズレちまったっつーか灰流 『Forest』
第3巻「さいはての島へ」から15年以上の隔たりを経て出版された第4巻「帰還 -ゲド戦記最後の書-」はそれ以前の3作と作風が大きく変わっている。これを逸脱と見る読者も少なくない。
参考:出典辞典:ゲド戦記
ピッピの名前
たとえばピッピはそういう名前だ。
ものすごく長い名前なんだ。『Forest』
ピッピの本名は「Pippilotta Viktualia Rullgardina Krusmynta Efraimsdotter Långstrump」。
日本語の訳書では
日本語の訳書では
- 「ピッピロッタ・タベルシナジナ・カーテンアケタ・ヤマノハッカ・エフライムノムスメ・ナガクツシタ」(岩波版)
- 「ピピロッタ・デリカッセ・ブラインダ・ペパミント・エフライムスドッテル・ナガクツシタ」(ポプラ社版)
などと訳されている。
それに対して、灰流が雨森につけた名前は「ママジョ・マドレーヌ・ママレードノコノコマジョ・オコチャマドレーヌ・オコチャママレード・オコチャマジョ・マ・ココ」。
それに対して、灰流が雨森につけた名前は「ママジョ・マドレーヌ・ママレードノコノコマジョ・オコチャマドレーヌ・オコチャママレード・オコチャマジョ・マ・ココ」。
ちなみにピッピの名前を分解してみると、
- Pippilotta: Pippi(ピッピ) + lotta(lot of=たくさん)
- Viktualia: victual(食糧)
- Rullgardina: Roller blind(巻き上げ式カーテン)
- Krusmynta: spearmint(ハッカ)
- efraimsdotter: Efraim's dotter(エフライムの娘)
- Långstrump: Longstocking(長靴下)
共通項は、関係のない単語をあたかも名前のように見せかけて混ぜ込んでいるところだろうか。
参考書籍
- 長くつ下のピッピ(アストリッド・リンドグレーン,1945)
- ゲド戦記(アーシュラ・K・ル=グウィン,1968)