眠れる恐怖 ◆2ZKOUYCe4Y
リヴァイア湖の湖畔に、一人の女性が立っていた。
赤の背景に黒いチェックの洋服と翠色の髪は、どこか植物を連想させる。
しかし女性の性格は、風に吹かれ揺れるだけの植物とは正反対だった。
赤の背景に黒いチェックの洋服と翠色の髪は、どこか植物を連想させる。
しかし女性の性格は、風に吹かれ揺れるだけの植物とは正反対だった。
女性の名は、風見幽香。
花を操る程度の能力を持つ大妖怪である。
花を操る程度の能力を持つ大妖怪である。
幽香は徐に手を挙げると、掌を湖に向けた。
集中しているのか、目を細め湖をじっと見つめている。
集中しているのか、目を細め湖をじっと見つめている。
(………?)
しかし何も起きることはなかった。
本来なら大きな威力を持った"弾幕"を放つことが出来るのだ。
幻想郷の妖怪はそれが普通であり、出来ない者は滅多にいない。
はずなのだが、今の幽香は弾幕を放つどころか形成すらも出来ていなかった。
本来なら大きな威力を持った"弾幕"を放つことが出来るのだ。
幻想郷の妖怪はそれが普通であり、出来ない者は滅多にいない。
はずなのだが、今の幽香は弾幕を放つどころか形成すらも出来ていなかった。
「…面倒ね。これが『普段出来ることが難しくなる』ってことなのかしら?」
だが、そんな大きな制限を受けていても、幽香は大して驚く素振りを見せなかった。
このゲームは『殺し合い』であって、強者による『一方的な虐殺』ではない。
だから自分にも制限がかかることは重々分かっていた。
そして、弾幕が撃てようと撃てまいと幽香には関係のないことだったのである。
幽香はもともと妖怪であり、弾幕よりも肉弾戦に秀でている。
幻想郷のルールがあるから弾幕を用いるだけであって、必要はないのだ。
このゲームは『殺し合い』であって、強者による『一方的な虐殺』ではない。
だから自分にも制限がかかることは重々分かっていた。
そして、弾幕が撃てようと撃てまいと幽香には関係のないことだったのである。
幽香はもともと妖怪であり、弾幕よりも肉弾戦に秀でている。
幻想郷のルールがあるから弾幕を用いるだけであって、必要はないのだ。
「…まあ身体能力にはなにも制限がかかっていないようだし、ハンデとしては丁度良いわ。
向かってくる輩だけを適当に排除しておけば死ぬことはないでしょうし。それに…」
向かってくる輩だけを適当に排除しておけば死ぬことはないでしょうし。それに…」
幽香は目を細め、唇の端をつり上げた。
「もしかすると、強い奴と出会えるかもしれないしね。
―――ねぇお嬢さん。貴女はどうなのかしら」
―――ねぇお嬢さん。貴女はどうなのかしら」
幽香が視線を湖から後ろに移すと、その先の草むらが小さく揺れる。
しかし、呼ばれた者が頭を出すことはない。まだ気づかれていないとでも思ったのだろう。
幽香は小さくため息をつくと、その方向に歩きながら言う。
しかし、呼ばれた者が頭を出すことはない。まだ気づかれていないとでも思ったのだろう。
幽香は小さくため息をつくと、その方向に歩きながら言う。
「お嬢さん?私はお嬢さん、と言ったのよ。
あなたが女でなかったり、老婆だったら出てこなくても良いわ。
でも、もし自分のことを分かっていて、それでも尚出てこないというのなら――」
「ま、待ってくださいっ!」
あなたが女でなかったり、老婆だったら出てこなくても良いわ。
でも、もし自分のことを分かっていて、それでも尚出てこないというのなら――」
「ま、待ってくださいっ!」
草から飛び出したのは、小さな女の子だった。
見た目から察するに、年齢は霊夢や魔理沙と同じか…それ以下、と言ったところか。
しかし力はなく、精神力もない。知能に関しては情報不足だが…年齢相応だろう。
幽香はなめ回すように少女の体を見つめた後、言い放った。
見た目から察するに、年齢は霊夢や魔理沙と同じか…それ以下、と言ったところか。
しかし力はなく、精神力もない。知能に関しては情報不足だが…年齢相応だろう。
幽香はなめ回すように少女の体を見つめた後、言い放った。
「駄目ね、失格だわ」
「え…じゃ、じゃあ私、殺されるんですか!?」
「ええ、殺されるでしょうね。
でも別に私が殺す訳じゃないわ、安心しなさい」
「あ、安心できません…っていうか、どういう意味ですか」
「え…じゃ、じゃあ私、殺されるんですか!?」
「ええ、殺されるでしょうね。
でも別に私が殺す訳じゃないわ、安心しなさい」
「あ、安心できません…っていうか、どういう意味ですか」
少女の疑問に、幽香は眉をひそめる。
しかしその意味を理解すると、微笑を浮かべた。
しかしその意味を理解すると、微笑を浮かべた。
「ああ、私に殺されると思ったのね?
大丈夫よ、貴女は私が殺す程の価値はないわ。ただ他の誰かがやってきて殺されると言っただけ」
「そんな…な、なんで言い切れるんですか!」
「貴女が力も頭もないくせに武装もしないで私の前に立っているからよ。
もし力があれば隠れないわ。もし頭があれば逃げるでしょう。
もし武装していれば、少なくとも命乞いはしない。違うかしら?」
「た…確かに…」
大丈夫よ、貴女は私が殺す程の価値はないわ。ただ他の誰かがやってきて殺されると言っただけ」
「そんな…な、なんで言い切れるんですか!」
「貴女が力も頭もないくせに武装もしないで私の前に立っているからよ。
もし力があれば隠れないわ。もし頭があれば逃げるでしょう。
もし武装していれば、少なくとも命乞いはしない。違うかしら?」
「た…確かに…」
少女が理解したところを見届けると、幽香は背を向け歩き出した。
それに気づいた少女が、大きな声で呼び止める。
それに気づいた少女が、大きな声で呼び止める。
「あ、あのっ!今友達を捜してるんです。
一緒に捜してもらえませんか…?」
「そうねぇ…嫌だと言ってしまえばお終いなんだけど、それはあまりに酷かしら。
貴女が何か特技を持っていて、それが私に利益があるなら…考えてあげるわ」
一緒に捜してもらえませんか…?」
「そうねぇ…嫌だと言ってしまえばお終いなんだけど、それはあまりに酷かしら。
貴女が何か特技を持っていて、それが私に利益があるなら…考えてあげるわ」
幽香がそう言うと、少女は目を輝かせた。
きっと自信があるのだろう。幽香は、この少女の特技を思い浮かべた。
きっと自信があるのだろう。幽香は、この少女の特技を思い浮かべた。
(私に利益のある特技…ね。実は馬の扱いが上手い…とかかしら。
このゲームに馬がいるかが問題だけど)
このゲームに馬がいるかが問題だけど)
「絵が描けます!」
「………それは喧嘩を売ってるのかしら?」
「いや、えっと……私は描いた絵を実体化させることが出来るんです!」
「それはつまり…紙に剣を描けば剣が出て、食べ物を描けば食べ物が出る、ってこと?」
「はい!」
「………それは喧嘩を売ってるのかしら?」
「いや、えっと……私は描いた絵を実体化させることが出来るんです!」
「それはつまり…紙に剣を描けば剣が出て、食べ物を描けば食べ物が出る、ってこと?」
「はい!」
その答えを聞くと、幽香は顎に手を当てて思考した。
専ら武器を扱うことがないので剣などは必要ないが、食べ物は重要かもしれない。
他にも治療薬、拷問具、就寝時用の罠。
使い方によってはかなり便利であることが予想される。
専ら武器を扱うことがないので剣などは必要ないが、食べ物は重要かもしれない。
他にも治療薬、拷問具、就寝時用の罠。
使い方によってはかなり便利であることが予想される。
「ふーん…悪くないじゃない。で、じゃあなんで使わないのかしら?
そんな便利な能力があれば使った方がいいでしょう」
「それが…絵を実体化させるにはそれなりにリアルでないといけないんです。
鉛筆じゃなくて絵の具と筆がないと、作れないと思います…」
「そう。なら同行してあげるわ。友人と絵の具だったかしら?
もともと目的があるわけでもないし、貴女みたいな雑魚にはゲームに乗った奴が寄ってきそうだしね」
「本当ですか!?」
そんな便利な能力があれば使った方がいいでしょう」
「それが…絵を実体化させるにはそれなりにリアルでないといけないんです。
鉛筆じゃなくて絵の具と筆がないと、作れないと思います…」
「そう。なら同行してあげるわ。友人と絵の具だったかしら?
もともと目的があるわけでもないし、貴女みたいな雑魚にはゲームに乗った奴が寄ってきそうだしね」
「本当ですか!?」
幽香は黙って頷くと、背を向けた。
「ああ、忘れてたわ。私は風見幽香よ。短い間だけどよろしく」
「私はアドレーヌって言います。よろしくお願いします!」
「私はアドレーヌって言います。よろしくお願いします!」
豪快で自由気ままな妖怪と、大人しく友達思いな人間。
種族も性格もまったく違う二人だが、バトルロワイアルというゲーム盤を共に歩み出そうとしていた。
種族も性格もまったく違う二人だが、バトルロワイアルというゲーム盤を共に歩み出そうとしていた。
【D-3/一日目/深夜】
【風見幽香@東方project】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1~3
[思考]
基本方針:向かってくる敵は排除する。自分から殺しには行かない
1:強者を探す。見つけたら即決闘
2:アドレーヌの友人と絵の具を探す
※支給品未確認です
【風見幽香@東方project】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1~3
[思考]
基本方針:向かってくる敵は排除する。自分から殺しには行かない
1:強者を探す。見つけたら即決闘
2:アドレーヌの友人と絵の具を探す
※支給品未確認です
【アドレーヌ@星のカービィ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1~3
[思考]
基本方針:ゲームには乗らない。出来れば人殺しもしたくない
1:カービィを探す
2:絵の具と筆を探す
※支給品未確認です
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1~3
[思考]
基本方針:ゲームには乗らない。出来れば人殺しもしたくない
1:カービィを探す
2:絵の具と筆を探す
※支給品未確認です
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