The sadness will never end◆S33wK..9RQ
ショッピングモールをでたあと、結構ゆっくりと移動を続けた。朝日が私を照らし、夜中に冷えた体を温めてくれた。
目的地は無い。しかし行ってみたい所も沢山あった。『遊園地』とか『カジノ』とか。
外の世界の建造物の名称だ。たしか『楽しいけどお金が無くなる』場所と『お金が無くなる場所』だった様な気がする。
一度ぐらいはそういう外の建造物を見てみたい。どうせあの紅白も白黒も珍しがって外の建造物の観光でもしてるだろう。出会ったら一緒に行動すればいいし。
しかし、外の世界の建造物の名前が地図に載っているという事は、幻想郷の外に連れてこられたということだ。マルクには相当な力を持っているらしい。侮ってはいけないか。
「……しかも弾幕が放てないなんてね。人形が無ければ魔法の糸も意味ないし。襲われたらどうしようか」
弾幕が放てないというのはスペルカードルールに慣れている幻想郷に住む者にとっては結構なハンデであった。(勿論吸血鬼と華の妖怪は含めない)
それにこの銃もよく使い方がわからないもの。安全装置を外してなんやらかんやら。
よく弄っておいてその時が来るのを待とう。極力使いたくないが。
で、移動をまだ続ける。どこに向かうかは自分でもわからない。しかし知らないことで困ることは無い。寧ろこの方が私の性にあってる。
「……あら?あれはなにかしら」
そこに唐突に現れたのは、太陽光が爛々と降り注ぐ場所に蒼髪の凛々しい青年がいた。虹色に輝く剣を持ち、仁王立ちをしていた。その顔は決意に満ちていた。しかしなにかが可笑しい。
その顔は少し下に向いており、そして目はずっと閉じられたままである。まるで作りかけの人形の様に。
そして、その後ろには黒髪の、それもとても可愛い少女が倒れている。そしてその傍らには、別の意味で可愛い……妖怪か?なんなんだろう。
無視する理由はなかった。近くに駆け寄り、声を掛ける。
「……………もうたべられないよ~」
そのピンク玉は寝言を言う。持ち上げ、ペチ、と顔を叩いた。
「……ふわぁ?お姉さんだれ?……雪子ちゃんは~?」
よだれをふきながらそのピンクの玉はあたりを見回す。そして、私の手から降りて、それに気付いた。
「……アイク?なんで立ちながら寝てるの?」
私はピンク玉のその言葉を聞いたとき、全てを理解した。なぜこの青年はこの二人を背にして立ちながら寝ているのか。答えは簡単だった。この青年は二人を守ったのだ。そして死んだ。
まだ地面に突っ伏したままの少女を急いで揺さぶり起こす。
「……うぅん……」
「起きなさい。大変なことになってるわよ」
少女はフラフラを立ち上がる。頭に傷が出来ているので頭を強く打ったと伺える。
そして、ピンク玉の様にその単語を口に出した。
「…………アイクさん?どうしたんですか?」
目的地は無い。しかし行ってみたい所も沢山あった。『遊園地』とか『カジノ』とか。
外の世界の建造物の名称だ。たしか『楽しいけどお金が無くなる』場所と『お金が無くなる場所』だった様な気がする。
一度ぐらいはそういう外の建造物を見てみたい。どうせあの紅白も白黒も珍しがって外の建造物の観光でもしてるだろう。出会ったら一緒に行動すればいいし。
しかし、外の世界の建造物の名前が地図に載っているという事は、幻想郷の外に連れてこられたということだ。マルクには相当な力を持っているらしい。侮ってはいけないか。
「……しかも弾幕が放てないなんてね。人形が無ければ魔法の糸も意味ないし。襲われたらどうしようか」
弾幕が放てないというのはスペルカードルールに慣れている幻想郷に住む者にとっては結構なハンデであった。(勿論吸血鬼と華の妖怪は含めない)
それにこの銃もよく使い方がわからないもの。安全装置を外してなんやらかんやら。
よく弄っておいてその時が来るのを待とう。極力使いたくないが。
で、移動をまだ続ける。どこに向かうかは自分でもわからない。しかし知らないことで困ることは無い。寧ろこの方が私の性にあってる。
「……あら?あれはなにかしら」
そこに唐突に現れたのは、太陽光が爛々と降り注ぐ場所に蒼髪の凛々しい青年がいた。虹色に輝く剣を持ち、仁王立ちをしていた。その顔は決意に満ちていた。しかしなにかが可笑しい。
その顔は少し下に向いており、そして目はずっと閉じられたままである。まるで作りかけの人形の様に。
そして、その後ろには黒髪の、それもとても可愛い少女が倒れている。そしてその傍らには、別の意味で可愛い……妖怪か?なんなんだろう。
無視する理由はなかった。近くに駆け寄り、声を掛ける。
「……………もうたべられないよ~」
そのピンク玉は寝言を言う。持ち上げ、ペチ、と顔を叩いた。
「……ふわぁ?お姉さんだれ?……雪子ちゃんは~?」
よだれをふきながらそのピンクの玉はあたりを見回す。そして、私の手から降りて、それに気付いた。
「……アイク?なんで立ちながら寝てるの?」
私はピンク玉のその言葉を聞いたとき、全てを理解した。なぜこの青年はこの二人を背にして立ちながら寝ているのか。答えは簡単だった。この青年は二人を守ったのだ。そして死んだ。
まだ地面に突っ伏したままの少女を急いで揺さぶり起こす。
「……うぅん……」
「起きなさい。大変なことになってるわよ」
少女はフラフラを立ち上がる。頭に傷が出来ているので頭を強く打ったと伺える。
そして、ピンク玉の様にその単語を口に出した。
「…………アイクさん?どうしたんですか?」
☆ ☆ ☆
一人の男がこの殺し合いの場では相応しくない演舞をしていた。それは忘れた何かを思い出すように、何度も同じ事を繰り返していた。
動きやすくなっている服は上半身だけ脱いでおり、そして露出したその肉体は日々の鍛錬の賜物か、完全に鍛えられていた。
汗が飛び散る。そしてその汗は太陽光により光り輝きながら地面に飛び散っていく。
いつもなら子供達がわいわいと遊ぶ空間ではあるし、例え早朝でもこれぐらいの大きさなら一人ぐらいは居るだろう、しかし今は小鳥の囀る声しか聞こえなかった。
奥にはショッピングモールが見え、母親が子供をここに置いてショッピングを楽しむ、なんてこともできるだろう。(公園で演舞しているような不審者が居なければの話だが。)
この公園は運動するのにはぴったりだったが、この殺し合いの場では大変危険な行為であった。銃で狙われたらひとたまりもないだろう。
しかし、男が確信していた。この公園の近くには誰もいないことを。彼は忍術を極めた者でだった。気配も直ぐに感じることができた。
ポケモンがいる世界では、彼の様に忍術を極めたり、或いは超能力を極めたり、また或いは空手を極めたりする者はごく少数であった。
人間はスポーツや格闘術、超能力を極めても、特定のポケモンには劣るし、またそういうものを極めても、結局ポケモンで勝負することが多いのだ。
だから極めても趣味程度に終わる者が多かった。しかし、男は、キョウは違った。忍術を己の限界までに極め、また限界を超えようと今も修行に日々であった。
勿論、ポケモンバトルについても彼は極めていた。主にどくタイプのポケモンを操り、強さだけではないポケモンの奥深さ等を学び、日々、極めていく。
しかしだ、最近は色々事件がありすぎた。ロケット団解体により、カントー地方に平和が訪れたと思った矢先にサカキの失踪。
サカキはロケット団党首であった。失踪するのも当然のことであった。この事はジムリーダーと四天王、そしてごく一部にしか知られていない。失踪した理由は正式には公表されてなかった。
トキワジムは蛻の殻となり早急に代役を立てることになった。ポケモンリーグチャンピオンになった(数分間だが)グリーンに決定された。
この事が決定してやっと安堵できると思ったら、今度は四天王、キクコが引退するという話が持ち上がり、カントー地方のジムリーダー達や関係者は仕事や会議に追われることになった。
そして昨日も会議があり、何ヶ月も忍術もポケモンに関する事も勉強する時間もなかったのだ。
だからキョウは体が訛っていた。公園で演舞をしていた理由はそこに尽きた。
引き続き、キョウは演舞を続ける。そしてそれを唐突にやめた。人の気配に気付いた。
いや気配の問題ではなかった。歩くとガシャン、ガシャン、と音を発するのだ。
そしてフェンス越しにそれは現れた。向こうの道路は公園よりも地面が低くなっておりその鎧の男は今は頭部しか見えなかった。
「…………何者でござるか?」
「……私は修羅だ。どうしようもない修羅だ」
「……もしやこの遊戯に乗った者でござるか?そうだとしたら拙者はお前を打ち倒さなければならぬ」
「打ち倒せるものなら打ち倒してみせろ」
ゴルベーザは飛び上がり自分の何倍もあった段差、そしてフェンスを飛び越える。これでやっとキョウの視線とゴルベーザの視線の高さはほぼ同一となった。
キョウはラグネルを構える。
「……来い」
「御意」
動きやすくなっている服は上半身だけ脱いでおり、そして露出したその肉体は日々の鍛錬の賜物か、完全に鍛えられていた。
汗が飛び散る。そしてその汗は太陽光により光り輝きながら地面に飛び散っていく。
いつもなら子供達がわいわいと遊ぶ空間ではあるし、例え早朝でもこれぐらいの大きさなら一人ぐらいは居るだろう、しかし今は小鳥の囀る声しか聞こえなかった。
奥にはショッピングモールが見え、母親が子供をここに置いてショッピングを楽しむ、なんてこともできるだろう。(公園で演舞しているような不審者が居なければの話だが。)
この公園は運動するのにはぴったりだったが、この殺し合いの場では大変危険な行為であった。銃で狙われたらひとたまりもないだろう。
しかし、男が確信していた。この公園の近くには誰もいないことを。彼は忍術を極めた者でだった。気配も直ぐに感じることができた。
ポケモンがいる世界では、彼の様に忍術を極めたり、或いは超能力を極めたり、また或いは空手を極めたりする者はごく少数であった。
人間はスポーツや格闘術、超能力を極めても、特定のポケモンには劣るし、またそういうものを極めても、結局ポケモンで勝負することが多いのだ。
だから極めても趣味程度に終わる者が多かった。しかし、男は、キョウは違った。忍術を己の限界までに極め、また限界を超えようと今も修行に日々であった。
勿論、ポケモンバトルについても彼は極めていた。主にどくタイプのポケモンを操り、強さだけではないポケモンの奥深さ等を学び、日々、極めていく。
しかしだ、最近は色々事件がありすぎた。ロケット団解体により、カントー地方に平和が訪れたと思った矢先にサカキの失踪。
サカキはロケット団党首であった。失踪するのも当然のことであった。この事はジムリーダーと四天王、そしてごく一部にしか知られていない。失踪した理由は正式には公表されてなかった。
トキワジムは蛻の殻となり早急に代役を立てることになった。ポケモンリーグチャンピオンになった(数分間だが)グリーンに決定された。
この事が決定してやっと安堵できると思ったら、今度は四天王、キクコが引退するという話が持ち上がり、カントー地方のジムリーダー達や関係者は仕事や会議に追われることになった。
そして昨日も会議があり、何ヶ月も忍術もポケモンに関する事も勉強する時間もなかったのだ。
だからキョウは体が訛っていた。公園で演舞をしていた理由はそこに尽きた。
引き続き、キョウは演舞を続ける。そしてそれを唐突にやめた。人の気配に気付いた。
いや気配の問題ではなかった。歩くとガシャン、ガシャン、と音を発するのだ。
そしてフェンス越しにそれは現れた。向こうの道路は公園よりも地面が低くなっておりその鎧の男は今は頭部しか見えなかった。
「…………何者でござるか?」
「……私は修羅だ。どうしようもない修羅だ」
「……もしやこの遊戯に乗った者でござるか?そうだとしたら拙者はお前を打ち倒さなければならぬ」
「打ち倒せるものなら打ち倒してみせろ」
ゴルベーザは飛び上がり自分の何倍もあった段差、そしてフェンスを飛び越える。これでやっとキョウの視線とゴルベーザの視線の高さはほぼ同一となった。
キョウはラグネルを構える。
「……来い」
「御意」
☆ ☆ ☆
「……アイク。僕達の事をまもってくれたんだね。ごめんね。ぜったいに悪い奴を倒すからね」
「グスッ……アイクさん……ありがとうございました」
雪子とカービィは泣きそうになりながら(雪子は完全に泣いていたが)アイクに土を被せる。
アリスの支給品にスコップがあったのでそれで少し移動し郊外の住宅街にあった空き地の地面を掘り返し、即席の墓を作っていたところである。
本来ならばもう少し手厚く弔うべきだが、この状況でそんな事は出来なかった。だからアイクの遺留品である虹の剣も剥ぎ取った。
「……残念だけど、こんな所でグズグズして泣いてる場合じゃないわ。それで、何があったのか詳しく教えてくれないかしら?」
気を使い、雪子達を傷つけないように質問した。人間と価値観が違うには違うが、アリスは元は人間だ。
ただ「何があったのか」なんて聞いたら私の印象は悪くなるだろうし、雪子達は精神的にも悪いだろうし。
「えっと、私とカービィちゃんの他に、セシルさんっていう方がいたんですよ。そして情報交換している時に……。」
「襲われたのね。それでそいつはどんな奴だった?」
「えっとね、藍色の鎧を着た人間の男の人だよ。名前はカインっていう人。見るからに悪そうだったんだ。その後、セシルが消えたの」
カービィが怒りながら言う。藍色の鎧の男。気をつけなければならない。
「(……結構、沢山の馬鹿がいるのね)」
アリスがそう思った理由は一つ。この殺し合いに乗った人物が意外に多かったことである。
雪子から聞いた黒い鎧の男、ゴルベーザに、私を襲ってきたシルバー。最後に藍色の鎧を着た男、カイン。3人もいるのだ。
この三人が殺し合いに乗っていて、そして人を殺し、そして扇央しながらなら尚更危険である。その三人に感化され殺し合いに乗る者もこれからでるかもしれない。そう、セシルの様に。(あくまで予想だが)
「……私が思ってたより、自体は深刻なようね。早い所脱出方法を見つけなくちゃ。それで、アンタ達はこれからどうするの?」
「え……?私は……これから……えっと……」
「僕はこれからセシルを探して説得するよ」
戸惑う雪子の言葉を遮りカービィがそれを言った。その顔は決意に満ちている。
しかしアリスはその顔を見ては呆れた。純粋すぎる。この妖怪は『悪意』とか『憎しみ』とか知っているのだろうか。
「カービィ。アンタ達の話を聞いてる限り、セシルはこの殺し合いに乗った様にしか聞こえないわ。それなのに
「それなのに?アリスは何を言ってるの?」
セシルが殺し合いに乗ったという事は彼らでも予想はできたが、その事を口に出すのは少々気に入らなかった。
だがカービィはまだそのことを理解できて無い様に振舞ってきた。その事を指摘しようとすると、今度は私の言葉を遮ってきた。
「セシルはね、恋人を失って凄く悲しんでたんだ。だから、助けなくちゃいけないよ」
「……カービィちゃん。」
雪子は目に涙を溜めたままカービィを見つめる。
……心底、呆れた。純粋すぎる。欲望や憎悪などをも知らない子供の様に、そして絵本に出てくる様な勇者の様に。
こいつは、それを言ってのけた。呆れた。確かに呆れたが……この妖怪は好きだ。
決意に満ちていて、そして不思議な力を感じる。こいつならそのセシルを説得できるんじゃないか、という錯覚に襲われる程であった。
「……わかったわ。それで、私も一緒に行っていいかしら?ホントは一人で行こうって思ってたけど、アンタ達二人だと凄い不安だしね」
「え?アリスさん、いいんですか?ありがとうござ……」
「グスッ……アイクさん……ありがとうございました」
雪子とカービィは泣きそうになりながら(雪子は完全に泣いていたが)アイクに土を被せる。
アリスの支給品にスコップがあったのでそれで少し移動し郊外の住宅街にあった空き地の地面を掘り返し、即席の墓を作っていたところである。
本来ならばもう少し手厚く弔うべきだが、この状況でそんな事は出来なかった。だからアイクの遺留品である虹の剣も剥ぎ取った。
「……残念だけど、こんな所でグズグズして泣いてる場合じゃないわ。それで、何があったのか詳しく教えてくれないかしら?」
気を使い、雪子達を傷つけないように質問した。人間と価値観が違うには違うが、アリスは元は人間だ。
ただ「何があったのか」なんて聞いたら私の印象は悪くなるだろうし、雪子達は精神的にも悪いだろうし。
「えっと、私とカービィちゃんの他に、セシルさんっていう方がいたんですよ。そして情報交換している時に……。」
「襲われたのね。それでそいつはどんな奴だった?」
「えっとね、藍色の鎧を着た人間の男の人だよ。名前はカインっていう人。見るからに悪そうだったんだ。その後、セシルが消えたの」
カービィが怒りながら言う。藍色の鎧の男。気をつけなければならない。
「(……結構、沢山の馬鹿がいるのね)」
アリスがそう思った理由は一つ。この殺し合いに乗った人物が意外に多かったことである。
雪子から聞いた黒い鎧の男、ゴルベーザに、私を襲ってきたシルバー。最後に藍色の鎧を着た男、カイン。3人もいるのだ。
この三人が殺し合いに乗っていて、そして人を殺し、そして扇央しながらなら尚更危険である。その三人に感化され殺し合いに乗る者もこれからでるかもしれない。そう、セシルの様に。(あくまで予想だが)
「……私が思ってたより、自体は深刻なようね。早い所脱出方法を見つけなくちゃ。それで、アンタ達はこれからどうするの?」
「え……?私は……これから……えっと……」
「僕はこれからセシルを探して説得するよ」
戸惑う雪子の言葉を遮りカービィがそれを言った。その顔は決意に満ちている。
しかしアリスはその顔を見ては呆れた。純粋すぎる。この妖怪は『悪意』とか『憎しみ』とか知っているのだろうか。
「カービィ。アンタ達の話を聞いてる限り、セシルはこの殺し合いに乗った様にしか聞こえないわ。それなのに
「それなのに?アリスは何を言ってるの?」
セシルが殺し合いに乗ったという事は彼らでも予想はできたが、その事を口に出すのは少々気に入らなかった。
だがカービィはまだそのことを理解できて無い様に振舞ってきた。その事を指摘しようとすると、今度は私の言葉を遮ってきた。
「セシルはね、恋人を失って凄く悲しんでたんだ。だから、助けなくちゃいけないよ」
「……カービィちゃん。」
雪子は目に涙を溜めたままカービィを見つめる。
……心底、呆れた。純粋すぎる。欲望や憎悪などをも知らない子供の様に、そして絵本に出てくる様な勇者の様に。
こいつは、それを言ってのけた。呆れた。確かに呆れたが……この妖怪は好きだ。
決意に満ちていて、そして不思議な力を感じる。こいつならそのセシルを説得できるんじゃないか、という錯覚に襲われる程であった。
「……わかったわ。それで、私も一緒に行っていいかしら?ホントは一人で行こうって思ってたけど、アンタ達二人だと凄い不安だしね」
「え?アリスさん、いいんですか?ありがとうござ……」
雪子がアリスにお礼を言おうとした時、それは唐突に鳴った。
破裂音。
「いまの音は!?」
「セシルがいるかもしれない!」
カービィが音の方向に駆けて行く。
「カービィ、一人じゃ危ないわよ!」
アタシと雪子はそれを追い駆ける。向かう場所は私が先ほどいたショッピングモールだった。アクリルで出来た屋根に太陽光が当たり私達を照らす。それはとても眩しかった。
破裂音。
「いまの音は!?」
「セシルがいるかもしれない!」
カービィが音の方向に駆けて行く。
「カービィ、一人じゃ危ないわよ!」
アタシと雪子はそれを追い駆ける。向かう場所は私が先ほどいたショッピングモールだった。アクリルで出来た屋根に太陽光が当たり私達を照らす。それはとても眩しかった。
☆ ☆ ☆
「……お主、何者でござるか?その火炎の技、そして流氷の技。……そして、何故本気を出さぬ?」
「お前こそ何者だ?その動き、実戦は少ないと見た。しかし体術がそれをカバーしている。……戦えば戦うほどわからないな」
「お前こそ何者だ?その動き、実戦は少ないと見た。しかし体術がそれをカバーしている。……戦えば戦うほどわからないな」
キョウは消耗していた。火炎の術や、隠れ身の術、などの忍術は何年も忍術を学んだキョウは楽々と使える。
……しかしだ。忍術は魔法ではない。火炎の術には火薬や火種を必要とし、隠れ身の術にはそれを使用するための布が必要だ。
悪く言えば手品だった。キョウは魔法は使えない。そしてキョウが住んでいる世界には魔法なんて存在しなかった。
もし、キョウに忍術を使うための種や準備が万端ならば戦いは直ぐに決着が付いてたかもしれない。
それにキョウは実戦が少なかった。襲われることは余り無かったからである。ポケモンに襲われたとしても忍術や体術ではなくポケモンで撃退していた。
忍術が使えないキョウと魔法が使えるゴルベーザ。どちらが有利なのかは目に見えていた。それに、ゴルベーザは、まだ本気を出していなかった。
キョウには絶望的な状況だった。
「……もういいだろう。諦めろ」
「……負ける訳にはいかないでござる。」
だが、ゴルベーザはキョウを相手していなかった。いや、相手にする必要はなかったかもしれない。
ゴルベーザの目的は参加者の結束を固める。そしてキョウには断固たる意思がもうあったので、必要がなかった。
それにキョウを殺すわけにはいかない。主催に反抗する者が減ってしまっては困るのだ。例え自分が殺し合いに乗っていたとしても。
しかしこちらが手をひこうとしても、キョウは諦めなかった。
「……これで終わりにしよう。殺しはしない。『ブリザガ』」
氷の塊がキョウを襲う。……様に見えたが、その近くにあったドラム缶に衝突した。
破裂音が豪快になり、ドラム缶の中にあった得体のしれない液体が公園に飛び散る。
公園は舗装されており、子供が転んでも怪我をしないように少し柔らかい素材が使われていた。
舗装されているので液体は地面に吸収されなかった。
「(外したでござるか?いや違う!)」
急いで地面から離れようとするが、手遅れだった。
足袋が凍り、身動きが取れなくなる。
「……出直して来い。私を倒すのはお前では無理だ。次、会ったときは容赦しない」
「……く、不覚。……!?、お主、拙者を殺さないのかっ!?」
キョウは殺されると思っていたが、ゴルベーザは殺そうとしてこなかったことに驚いた。
しかし、ここで逃すわけにはいかない。脚を動かすが、動かない。足袋も脱ぐこともできない。
キョウはゴルベーザが去っていくのを指を咥えてみてるしかなかった。
先ほどと同じように、アイクを見逃す様に、またその場から離れようとする。しかし、そこにまた、唐突に何かが現れた。
「あ!見るからに悪そうな奴!」
そう言ったのはピンク色の球体。カービィであった。
「しゃ、喋るポケモンでござるかぁ?」
「……見るからに悪そうな奴、か。そう言われるのも仕方ないかもしれんな。それで、お前は何者だ?」
驚くキョウを尻目に鎧の中で苦笑いをしたゴルベーザはキョウに背を向けながらカービィに言葉を放つ。
「僕の名前はカービィ!そこのオジサンを助ける為にここまで来たんだ!……本当はセシルを探しにきたんだけどね」
「!?……セシル、だと?……ふむ。」
ゴルベーザは一瞬だけ驚嘆の意に襲われるが、それは微少な物だったので誰にも気付かれなかった。
「カービィちゃん!一人で行ったら危な……あなたは!」
「……あら、人間なのに、強い魔力を感じるわね。何者かしら?」
続いて雪子達も続いて集合した。
「先ほどの小娘ではないか。あの男はどうした?見当たらないが」
カービィとキョウとアリスが警戒しながらゴルベーザを睨む。しかし、雪子の視線は沈んでいた。
「……死んだのか?小娘よ。召喚士としての才を持ちながら尚、死なせたのか。私に猛り、退かせてみせた少年を?……なんてザマだ」
「雪子は悪くないよ!悪いのは
「悪いのは殺した者とでもいうのか?くだらん事を言う。ここは戦場だ。戦いはもう始まっている」
カービィの主張も遮り、雪子に罵声を浴びせる
「っく!なんて非道でござるか!?歳もいってない少女にそんな酷い事を言うとはっ!?下衆めっ!お主は拙者が打ち倒してみせるぞ!」
足場が凍り、動けないキョウが叫ぶ。キョウの視線にはゴルベーザの後ろ姿しか見えていないが。
アリスは黙ってゴルベーザを睨み続ける。
「……確かに、私は……なにがおきたかも理解できなかった……」
数秒間の沈黙の後、雪子がボソボソと喋り始めた。
「アイクさんの事を守れなかった。いや、守ってもらってた。ペルソナを使えるのに、守ってもらった。」
ゴルベーザは鎧の中から雪子を見つめる。キョウもカービィも何かを察したようで、黙り始める。
「守ってもらってばっか。アイクさんが死んだのを知ったとき、どうしようもない何かが私を襲った。このまま絶望の淵に立った状態で居た方がマシだった。」
雪子は長く喋ったせいか、息継ぎをする。今聞こえるのは雪子の声の残響音と風が吹く音だけ。
「でも。カービィちゃんがね。とても強くて良い子だった。あんな事になっていても、カービィちゃんだけは諦めてなかった。だから、私も、諦めちゃだめだって」
「雪子ちゃん……」
カービィが名前を小さく呟く。照れ隠しの様なものだった。
「だから、泣くのは、もうちょっと、後にしたいの!!!!ペルソナ!」
泣くのは後にしたい、なんて言った雪子だったが、顔はまだ涙に濡れていた。
コノハヤサクヤが現れ、ゴルベーザに戦闘態勢をとる。
「これはなんと面妖な……?……な!?」
キョウが驚いた声を張り上げると、足場を凍りつかせていた氷はアギラオの炎により溶け、動けない体を自由にした。
「私は、この殺し合いが終わるまで、アイクさんの様に、強く、そして優しくなって、泣かない!そう決意するわ!」
雪子が叫び、決意する。その目は真っ直ぐゴルベーザを見据えていた。その目は絵本に出てくる様な勇者の様に、カービィの様に輝く。
「……ほう、面白いじゃないか。もう一度聞きたい。それでお前らの名はなんだ?」
「天城雪子よ」
「アリス・マーガトロイド」
「僕はカービィ」
「拙者はキョウでござる」
「……そうか。お前らなら私は、――――――打ち倒されてもいい。だが、私はまだやらなければいけないことがある」
ゴルベーザが進むのは、戦闘態勢を取る雪子たちではなく完全に明後日の方向だった。
「アンタ逃げる気?」
「逃げるのではない。お前らではまだ、私を打ち倒せない。もう少し、力をつけて、私に挑んで来い。私は……」
確かに、雪子達は勝てる気がしなかった。アリスは弾幕を放てないし持っている銃では鎧を突き抜けることはできない。カービィはコピーを出来る物が周辺にはなかった。
キョウは忍術を使えない。雪子はペルソナ能力が使えるが、一人ではゴルベーザの相手は出来ないだろう。彼らが勝利をもぎ取るのは難しかった。
「……そうだ。二つ失念していたことがあった。名を名乗ろう。私の名はゴルベーザ。覚えておくがいい。それと、」
思い出したかの様に踵を返す。名を名乗った後、ゴルベーザは息継ぎをした。それは何か戸惑いを感じさせた。
「聞きたいことがあった。……セシルに会ったのか?最後の姿はどうだったのだ?」
…………聞きたくはなかった。だが、聞かずにはいられない。ゴルベーザは直接ではなく、間接的に聞く事にした。
「……最初は僕と一緒に居たんだけど、カイン・ハイウィンドっていう奴に襲われた。その後、セシルの鎧が黒くなって……」
「……それ以上は言うな。つまらぬことを聞いたな。すまぬ。それでは」
また明後日の方向に向き、そこから去ろうとした。
「ゴルベーザ!君もセシルが殺し合いに乗ったと思ったの!?」
そこにカービィが大声で質問をゴルベーザにする。ゴルベーザは脚を止めた。
カービィはなぜか、ゴルベーザとセシルの関係を知っていたかの様だった。実際は何も知らないのだが……
「そんなことないからね!セシルは、強い子なんだよ!僕はセシルを信じてる!」
その言葉をカービィが言い終えると、ゴルベーザはまた歩き始めた。
……しかしだ。忍術は魔法ではない。火炎の術には火薬や火種を必要とし、隠れ身の術にはそれを使用するための布が必要だ。
悪く言えば手品だった。キョウは魔法は使えない。そしてキョウが住んでいる世界には魔法なんて存在しなかった。
もし、キョウに忍術を使うための種や準備が万端ならば戦いは直ぐに決着が付いてたかもしれない。
それにキョウは実戦が少なかった。襲われることは余り無かったからである。ポケモンに襲われたとしても忍術や体術ではなくポケモンで撃退していた。
忍術が使えないキョウと魔法が使えるゴルベーザ。どちらが有利なのかは目に見えていた。それに、ゴルベーザは、まだ本気を出していなかった。
キョウには絶望的な状況だった。
「……もういいだろう。諦めろ」
「……負ける訳にはいかないでござる。」
だが、ゴルベーザはキョウを相手していなかった。いや、相手にする必要はなかったかもしれない。
ゴルベーザの目的は参加者の結束を固める。そしてキョウには断固たる意思がもうあったので、必要がなかった。
それにキョウを殺すわけにはいかない。主催に反抗する者が減ってしまっては困るのだ。例え自分が殺し合いに乗っていたとしても。
しかしこちらが手をひこうとしても、キョウは諦めなかった。
「……これで終わりにしよう。殺しはしない。『ブリザガ』」
氷の塊がキョウを襲う。……様に見えたが、その近くにあったドラム缶に衝突した。
破裂音が豪快になり、ドラム缶の中にあった得体のしれない液体が公園に飛び散る。
公園は舗装されており、子供が転んでも怪我をしないように少し柔らかい素材が使われていた。
舗装されているので液体は地面に吸収されなかった。
「(外したでござるか?いや違う!)」
急いで地面から離れようとするが、手遅れだった。
足袋が凍り、身動きが取れなくなる。
「……出直して来い。私を倒すのはお前では無理だ。次、会ったときは容赦しない」
「……く、不覚。……!?、お主、拙者を殺さないのかっ!?」
キョウは殺されると思っていたが、ゴルベーザは殺そうとしてこなかったことに驚いた。
しかし、ここで逃すわけにはいかない。脚を動かすが、動かない。足袋も脱ぐこともできない。
キョウはゴルベーザが去っていくのを指を咥えてみてるしかなかった。
先ほどと同じように、アイクを見逃す様に、またその場から離れようとする。しかし、そこにまた、唐突に何かが現れた。
「あ!見るからに悪そうな奴!」
そう言ったのはピンク色の球体。カービィであった。
「しゃ、喋るポケモンでござるかぁ?」
「……見るからに悪そうな奴、か。そう言われるのも仕方ないかもしれんな。それで、お前は何者だ?」
驚くキョウを尻目に鎧の中で苦笑いをしたゴルベーザはキョウに背を向けながらカービィに言葉を放つ。
「僕の名前はカービィ!そこのオジサンを助ける為にここまで来たんだ!……本当はセシルを探しにきたんだけどね」
「!?……セシル、だと?……ふむ。」
ゴルベーザは一瞬だけ驚嘆の意に襲われるが、それは微少な物だったので誰にも気付かれなかった。
「カービィちゃん!一人で行ったら危な……あなたは!」
「……あら、人間なのに、強い魔力を感じるわね。何者かしら?」
続いて雪子達も続いて集合した。
「先ほどの小娘ではないか。あの男はどうした?見当たらないが」
カービィとキョウとアリスが警戒しながらゴルベーザを睨む。しかし、雪子の視線は沈んでいた。
「……死んだのか?小娘よ。召喚士としての才を持ちながら尚、死なせたのか。私に猛り、退かせてみせた少年を?……なんてザマだ」
「雪子は悪くないよ!悪いのは
「悪いのは殺した者とでもいうのか?くだらん事を言う。ここは戦場だ。戦いはもう始まっている」
カービィの主張も遮り、雪子に罵声を浴びせる
「っく!なんて非道でござるか!?歳もいってない少女にそんな酷い事を言うとはっ!?下衆めっ!お主は拙者が打ち倒してみせるぞ!」
足場が凍り、動けないキョウが叫ぶ。キョウの視線にはゴルベーザの後ろ姿しか見えていないが。
アリスは黙ってゴルベーザを睨み続ける。
「……確かに、私は……なにがおきたかも理解できなかった……」
数秒間の沈黙の後、雪子がボソボソと喋り始めた。
「アイクさんの事を守れなかった。いや、守ってもらってた。ペルソナを使えるのに、守ってもらった。」
ゴルベーザは鎧の中から雪子を見つめる。キョウもカービィも何かを察したようで、黙り始める。
「守ってもらってばっか。アイクさんが死んだのを知ったとき、どうしようもない何かが私を襲った。このまま絶望の淵に立った状態で居た方がマシだった。」
雪子は長く喋ったせいか、息継ぎをする。今聞こえるのは雪子の声の残響音と風が吹く音だけ。
「でも。カービィちゃんがね。とても強くて良い子だった。あんな事になっていても、カービィちゃんだけは諦めてなかった。だから、私も、諦めちゃだめだって」
「雪子ちゃん……」
カービィが名前を小さく呟く。照れ隠しの様なものだった。
「だから、泣くのは、もうちょっと、後にしたいの!!!!ペルソナ!」
泣くのは後にしたい、なんて言った雪子だったが、顔はまだ涙に濡れていた。
コノハヤサクヤが現れ、ゴルベーザに戦闘態勢をとる。
「これはなんと面妖な……?……な!?」
キョウが驚いた声を張り上げると、足場を凍りつかせていた氷はアギラオの炎により溶け、動けない体を自由にした。
「私は、この殺し合いが終わるまで、アイクさんの様に、強く、そして優しくなって、泣かない!そう決意するわ!」
雪子が叫び、決意する。その目は真っ直ぐゴルベーザを見据えていた。その目は絵本に出てくる様な勇者の様に、カービィの様に輝く。
「……ほう、面白いじゃないか。もう一度聞きたい。それでお前らの名はなんだ?」
「天城雪子よ」
「アリス・マーガトロイド」
「僕はカービィ」
「拙者はキョウでござる」
「……そうか。お前らなら私は、――――――打ち倒されてもいい。だが、私はまだやらなければいけないことがある」
ゴルベーザが進むのは、戦闘態勢を取る雪子たちではなく完全に明後日の方向だった。
「アンタ逃げる気?」
「逃げるのではない。お前らではまだ、私を打ち倒せない。もう少し、力をつけて、私に挑んで来い。私は……」
確かに、雪子達は勝てる気がしなかった。アリスは弾幕を放てないし持っている銃では鎧を突き抜けることはできない。カービィはコピーを出来る物が周辺にはなかった。
キョウは忍術を使えない。雪子はペルソナ能力が使えるが、一人ではゴルベーザの相手は出来ないだろう。彼らが勝利をもぎ取るのは難しかった。
「……そうだ。二つ失念していたことがあった。名を名乗ろう。私の名はゴルベーザ。覚えておくがいい。それと、」
思い出したかの様に踵を返す。名を名乗った後、ゴルベーザは息継ぎをした。それは何か戸惑いを感じさせた。
「聞きたいことがあった。……セシルに会ったのか?最後の姿はどうだったのだ?」
…………聞きたくはなかった。だが、聞かずにはいられない。ゴルベーザは直接ではなく、間接的に聞く事にした。
「……最初は僕と一緒に居たんだけど、カイン・ハイウィンドっていう奴に襲われた。その後、セシルの鎧が黒くなって……」
「……それ以上は言うな。つまらぬことを聞いたな。すまぬ。それでは」
また明後日の方向に向き、そこから去ろうとした。
「ゴルベーザ!君もセシルが殺し合いに乗ったと思ったの!?」
そこにカービィが大声で質問をゴルベーザにする。ゴルベーザは脚を止めた。
カービィはなぜか、ゴルベーザとセシルの関係を知っていたかの様だった。実際は何も知らないのだが……
「そんなことないからね!セシルは、強い子なんだよ!僕はセシルを信じてる!」
その言葉をカービィが言い終えると、ゴルベーザはまた歩き始めた。
☆ ☆ ☆
「ちょっと。カービィとキョウ、アッチに行っててちょうだい。ほら、パン屋があるわよ。そこで食料でも確保してなさい」
「え、ホント?わ~い!」
「む?なぜでござるか?女子を二人きりにするわけには……」
「いいから向こうに行ってて!そんなんじゃ娘に嫌われるわよ!」
アリスはキョウに激昂する。キョウは慌ててカービィの後を追った。
アリス達はショッピングモールに戻ってきていた。あれから時間は結構たったのでシルバーはもういないだろう。
出入り口に血とモデルガンが落ちていたのが気になるのが、キョウが気配がしないので安全だ!……というので安全なんだろう。
雪子は、ショッピングモールの中心の噴水にあるベンチに腰掛けていた。
隣に座り雪子の顔を見る。
「アンタまだ泣いてるの?泣かないんじゃなかったの?」
「アリスさん…ぐす、ぐす、ええええん!!」
「あー……はいはい。泣いていいのよ。」
雪子はアリスに抱きつき、身に着けている服を濡らし、そして自分よりデカイ胸を押し付けてきて不快感があったが、怒るに怒れない。
「なかな、いって、ぐす、決めたのに、」
「出来ないことを無理に約束したりするんじゃないのよ。ほら、アイツら今パン屋の方だから好きなだけ泣いてもばれないし。私が言わなければ、泣いたことにはならない」
鼻水をすすりながら泣く雪子を励まして元気つける。
「ありが、とう、ぐす、ごZぁいます」
「なにをいってるんだか……」
だが、こんな事をしてる場合じゃなかった。
「アリスさ、ん。ぐす。アリスさんは怖くない、んですか?」
泣きながら聞いてくる。
きっとこの子はこうやって泣いたりすることはあまりないんだろうと感じた。泣くのに、慣れてないというか。(いや、慣れてたらそれはそれで関わりたくない)
いや、そんなことも考える暇もない。
「何が怖くないって?」
「知り合いが、死んじゃう、のは、ぐす、怖くない、んですか?」
「大丈夫よ。ていうかアイツら殺しても死ななさそうだし。」
「え、ホント?わ~い!」
「む?なぜでござるか?女子を二人きりにするわけには……」
「いいから向こうに行ってて!そんなんじゃ娘に嫌われるわよ!」
アリスはキョウに激昂する。キョウは慌ててカービィの後を追った。
アリス達はショッピングモールに戻ってきていた。あれから時間は結構たったのでシルバーはもういないだろう。
出入り口に血とモデルガンが落ちていたのが気になるのが、キョウが気配がしないので安全だ!……というので安全なんだろう。
雪子は、ショッピングモールの中心の噴水にあるベンチに腰掛けていた。
隣に座り雪子の顔を見る。
「アンタまだ泣いてるの?泣かないんじゃなかったの?」
「アリスさん…ぐす、ぐす、ええええん!!」
「あー……はいはい。泣いていいのよ。」
雪子はアリスに抱きつき、身に着けている服を濡らし、そして自分よりデカイ胸を押し付けてきて不快感があったが、怒るに怒れない。
「なかな、いって、ぐす、決めたのに、」
「出来ないことを無理に約束したりするんじゃないのよ。ほら、アイツら今パン屋の方だから好きなだけ泣いてもばれないし。私が言わなければ、泣いたことにはならない」
鼻水をすすりながら泣く雪子を励まして元気つける。
「ありが、とう、ぐす、ごZぁいます」
「なにをいってるんだか……」
だが、こんな事をしてる場合じゃなかった。
「アリスさ、ん。ぐす。アリスさんは怖くない、んですか?」
泣きながら聞いてくる。
きっとこの子はこうやって泣いたりすることはあまりないんだろうと感じた。泣くのに、慣れてないというか。(いや、慣れてたらそれはそれで関わりたくない)
いや、そんなことも考える暇もない。
「何が怖くないって?」
「知り合いが、死んじゃう、のは、ぐす、怖くない、んですか?」
「大丈夫よ。ていうかアイツら殺しても死ななさそうだし。」
大丈夫じゃない。知り合いは私の様に力が抑えつけられているだろう。知り合いが死ぬ。この殺し合いを打破しようとしているものが死んでいく。それだけは阻止しなくてはいけない。
雪子の様に、カービィの様に、キョウの様に、そして私の様に、特殊な能力を持ち、その人にしかない良い所がある。
もしかしたら、一人欠けてしまったら、この殺し合いを打破する事ができなくなるかもしれないのだ。
「アリス、ぐす、さん、?」
「大丈夫よ。大丈夫……」
どうやら私の思っていたより深刻な事態である。(先ほども同じ表現をしたが、今はそれ以上の事態ってことだ)
焦るのは何年ぶりだ?そしてこうやって知り合いを心配するのは初めてだったか?
「アリス殿!パンをカービィが全て食べてしまったでござる!しかし、心配するな!まだ食品コーナーは手付かずでござる!」
「え?食品コーナーもあるの?わーい!」
「し、しまったでござる!」
キョウとカービィが戻ってきた。急いで雪子の顔をハンカチで乱暴に拭いて何事もなかったように振舞わせる。
「アンタ達。もう少しで放送よ。メモの準備をしなさい。食品コーナーはあーと。それと、放送が終わったらまた情報交換を始めましょうか。まだ把握できてないことが沢山あるでしょ?私も教えてもらってないこと沢山あるしね」
「む、承知したでござる。それではカービィ。メモの準備……む?そういえばデイパックは?雪子殿の物もないではないか」
「キョウさん、今頃気付いたんですか……」
雪子の様に、カービィの様に、キョウの様に、そして私の様に、特殊な能力を持ち、その人にしかない良い所がある。
もしかしたら、一人欠けてしまったら、この殺し合いを打破する事ができなくなるかもしれないのだ。
「アリス、ぐす、さん、?」
「大丈夫よ。大丈夫……」
どうやら私の思っていたより深刻な事態である。(先ほども同じ表現をしたが、今はそれ以上の事態ってことだ)
焦るのは何年ぶりだ?そしてこうやって知り合いを心配するのは初めてだったか?
「アリス殿!パンをカービィが全て食べてしまったでござる!しかし、心配するな!まだ食品コーナーは手付かずでござる!」
「え?食品コーナーもあるの?わーい!」
「し、しまったでござる!」
キョウとカービィが戻ってきた。急いで雪子の顔をハンカチで乱暴に拭いて何事もなかったように振舞わせる。
「アンタ達。もう少しで放送よ。メモの準備をしなさい。食品コーナーはあーと。それと、放送が終わったらまた情報交換を始めましょうか。まだ把握できてないことが沢山あるでしょ?私も教えてもらってないこと沢山あるしね」
「む、承知したでござる。それではカービィ。メモの準備……む?そういえばデイパックは?雪子殿の物もないではないか」
「キョウさん、今頃気付いたんですか……」
しかし、この喧騒を聞いていればどうとでもなる気がした。強く決意をしたカービィと雪子。そして忍術に長けたキョウ。
「(見てなさいマルク。アンタのつまらないゲームは私が潰して見せるわ。これなら紅白も白黒も必要ないかもね)」
もうすぐ放送が始まる。
【E-5 ショッピングモール/一日目/早朝】
【アリス・マーガトロイド@東方project】
[状態]:健康
[装備]:シングル・アクション・アーミー(5/6)@メタルギアシリーズ
[道具]:基本支給品一式、スコップ、不明支給品×2 、調達したもの(不明)
[思考]
基本方針:脱出の手立てを探す。
0:知り合いが心配。
1:早急に知り合いと再開
2:人殺しは基本的にしないつもり。正当防衛及び危険人物排除はするけど。
3:操れる人形が欲しい。
4:魔理沙と霊夢は……別に探さなくてもいいか。
5:アシュナード、漆黒の騎士、足立、ゴルベーザ、カイン、サカキに警戒
※ショッピングモールで何か調達したようです。
※雪子、カービィ、キョウと少しだけ情報交換しました。
【アリス・マーガトロイド@東方project】
[状態]:健康
[装備]:シングル・アクション・アーミー(5/6)@メタルギアシリーズ
[道具]:基本支給品一式、スコップ、不明支給品×2 、調達したもの(不明)
[思考]
基本方針:脱出の手立てを探す。
0:知り合いが心配。
1:早急に知り合いと再開
2:人殺しは基本的にしないつもり。正当防衛及び危険人物排除はするけど。
3:操れる人形が欲しい。
4:魔理沙と霊夢は……別に探さなくてもいいか。
5:アシュナード、漆黒の騎士、足立、ゴルベーザ、カイン、サカキに警戒
※ショッピングモールで何か調達したようです。
※雪子、カービィ、キョウと少しだけ情報交換しました。
【天城雪子@ペルソナ4】
[状態深い悲しみ、強い決意、SP消費(小)
[装備]なし
[道具]なし
[思考]基本方針:殺し合いを止める
0:アイクさん、私頑張ります。
1:瀬多君、花村君、千枝を捜す
2:セシルを探す。
3:アシュナード、漆黒の騎士、足立、ゴルベーザ、カイン、サカキに警戒
※真ENDルート、イザナミと出会う前からの参戦です。
※ペルソナはコノハナサクヤです。
※アイクと情報交換しました。
またアリス、カービィ、キョウと少しだけ情報交換しました。
[状態深い悲しみ、強い決意、SP消費(小)
[装備]なし
[道具]なし
[思考]基本方針:殺し合いを止める
0:アイクさん、私頑張ります。
1:瀬多君、花村君、千枝を捜す
2:セシルを探す。
3:アシュナード、漆黒の騎士、足立、ゴルベーザ、カイン、サカキに警戒
※真ENDルート、イザナミと出会う前からの参戦です。
※ペルソナはコノハナサクヤです。
※アイクと情報交換しました。
またアリス、カービィ、キョウと少しだけ情報交換しました。
【カービィ@星のカービィ】
[状態]腹二分目、強い決意
[装備]なし
[道具]虹の剣@星のカービィ
[思考]基本方針:ゲームには乗らない。困った人は助けたい
0:パンうめえ
1:マルクはたおしたはずなのに……?
2:セシルを探す。殺し合いに乗っていたら……
3:アシュナード、漆黒の騎士、足立、ゴルベーザ、カイン、サカキに警戒
※名簿、支給品は確認済みです
※銀河に願いをクリア~の時期での参戦です
※気絶中にコピー能力は解除されてしまったようです。
※アリス、キョウ、雪子と少しだけ情報交換しました。
[状態]腹二分目、強い決意
[装備]なし
[道具]虹の剣@星のカービィ
[思考]基本方針:ゲームには乗らない。困った人は助けたい
0:パンうめえ
1:マルクはたおしたはずなのに……?
2:セシルを探す。殺し合いに乗っていたら……
3:アシュナード、漆黒の騎士、足立、ゴルベーザ、カイン、サカキに警戒
※名簿、支給品は確認済みです
※銀河に願いをクリア~の時期での参戦です
※気絶中にコピー能力は解除されてしまったようです。
※アリス、キョウ、雪子と少しだけ情報交換しました。
【キョウ@ポケットモンスターシリーズ】
[状態]:疲労中
[装備]:神剣ラグネル
[道具]:基本支給品一式、
アドレーヌの絵描き道具一式@星のカービィ、 コイキング@ポケモン 、神剣ラグネル@FE蒼炎
[思考]
基本方針:マルクに天誅。
1:放送を聞くでござる
2:ゴルベーザを打ち倒すでござる
3:レッドとグリーン、タケシを見つけたら保護。
4:アシュナード、漆黒の騎士、足立、カイン、サカキに警戒
※アリス、雪子、カービィと少しだけ情報交換しました。
[状態]:疲労中
[装備]:神剣ラグネル
[道具]:基本支給品一式、
アドレーヌの絵描き道具一式@星のカービィ、 コイキング@ポケモン 、神剣ラグネル@FE蒼炎
[思考]
基本方針:マルクに天誅。
1:放送を聞くでござる
2:ゴルベーザを打ち倒すでござる
3:レッドとグリーン、タケシを見つけたら保護。
4:アシュナード、漆黒の騎士、足立、カイン、サカキに警戒
※アリス、雪子、カービィと少しだけ情報交換しました。
☆ ☆ ☆
あの小娘は、雪子はもう心配がないだろう。少し行き過ぎた事を言ってしまったが……
カービィ、アリス、キョウ、雪子。もしかしたら殺し合いに乗っていない者の結束を固めるのは必要なかったかもしれない。
最初から強く決意した者がいたのだから。
カービィ、アリス、キョウ、雪子。もしかしたら殺し合いに乗っていない者の結束を固めるのは必要なかったかもしれない。
最初から強く決意した者がいたのだから。
嗚呼、我が弟よ。セシルよ。なんということだ。
あの厳しい試練を乗り越え、パラディンになったというのに、お前はまた闇の道へと行くというのか。
今のお前はなんと醜い姿なのだろう。兄弟揃って闇の道など、なんて悲しい事なのだろう。
お前がそのまま闇の道へ、闇の果てへ堕ちるとういうのならば。
あの厳しい試練を乗り越え、パラディンになったというのに、お前はまた闇の道へと行くというのか。
今のお前はなんと醜い姿なのだろう。兄弟揃って闇の道など、なんて悲しい事なのだろう。
お前がそのまま闇の道へ、闇の果てへ堕ちるとういうのならば。
だが、セシルよ。お前はまだ完全には死んではいない。お前を思う、友、そして仲間がいる。
しかし、お前を思う、友、仲間が居なくなり、孤独に闇に身を任せるのなら。
せめて、私の手で、葬ろう。もはやこれまでだ。
嗚呼、マルクよ。お前はなんてことをしてくれた。我が愛しい弟に何をしてくれたのだ。
お前も、私の手で、葬ろう。お前も悲しき道に進んでいる事に気付け。気付くのだ。
闇に進む者は全て、闇の道に進んでしまった私が打ち倒そう。
私が葬っても、尚、闇の道へ進むというのならば。
【ゴルベーザ@ファイナルファンタジー4】
[状態]:鎧に少し焦げ目、鎧に傷、魔力消費(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品(1~3)
[思考]
基本方針:殺し合いにあえて乗り、殺し合いに抗う者たちの結束を固める
0:セシルよ……
1:殺し合いに抗う者たちと戦う。
2:殺し合いに乗っている者達も抗う者達に有利になるように力を削ぐ
3:闇の道に行ったセシルに会ったら……?
4:セシルが本当の意味で孤独になったら引導を渡す。
※エンディング後からの参戦です
※セシルが殺し合いに乗ったのを確信しました。
[状態]:鎧に少し焦げ目、鎧に傷、魔力消費(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品(1~3)
[思考]
基本方針:殺し合いにあえて乗り、殺し合いに抗う者たちの結束を固める
0:セシルよ……
1:殺し合いに抗う者たちと戦う。
2:殺し合いに乗っている者達も抗う者達に有利になるように力を削ぐ
3:闇の道に行ったセシルに会ったら……?
4:セシルが本当の意味で孤独になったら引導を渡す。
※エンディング後からの参戦です
※セシルが殺し合いに乗ったのを確信しました。
※ショッピングモール内のパン屋のパンは消滅しました。
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