剛三郎

失望したぞ乃亜

死んだ?確かに、私の肉体は滅びた。だが、その精神は死んでおらん。
死期の迫った私は乃亜に試したシステムで、
記憶の全てをコンピュータに移し変え、バーチャルな存在として蘇ったのだ

お前にもう用は無い

ふっ、相変わらず威勢がいいな、瀬人。よかろう、全てを話してやる。
初めは不慮の事故で死んだ我が息子、乃亜を生きながらえさせるのが目的だった。
乃亜は私の意志を継ぎ、海馬コーポレーションを世界に君臨させるために生まれたのだ。
簡単に死んでもらっては困るのでな・・・

だが所詮、バーチャルはバーチャル。生きている人間と同じという訳にはいかなかった

【回想】
だがその計画が完了したとき、どのくらいの人間が生き残っているのかね。

・・・少し少なすぎないか?

やがてバーチャルが現実となった乃亜と、
現実に生きる私らの間には、いかんともしがたい価値観の違いが生まれたのだ

そこに瀬人、お前があらわれた

ふっ、違うな、瀬人・・・お前は乃亜の器だったのだよ

そうだ、バーチャルに限界を感じた私は再び乃亜を蘇らせるための肉体として、
瀬人、お前を選んだにすぎんのだ

かませ犬か、ははは、だが、皮肉にも噛まれたのは私の方だったな・・・
私は、私から海馬コーポレーションを奪ったお前がどうしても許せなかった。
そこで私は死の間際に自らの記憶を全てコンピュータに移し変えたというわけだ。
その時からお前は乃亜のための器ではなくなった。
この私が、憎き貴様の身体を乗っ取り、再び蘇って海馬コーポレーションを取り戻すための器となったのだ

状況が変わったのだ。瀬人のおかげでな。憎むなら瀬人を憎め

だが貴様の肉体も今や必要ではなくなった。なぜなら、
肉体など無くても私は海馬コーポレーションのコンピュータネットワークをハッキングして自由に操り、
世界を我が物にするすべを手に入れたのでな

これを見ろ
フフ、あれは某国の命を受け、海馬コーポレーションが密かに建設していたミサイル衛星だ

フフフフフ・・・もともと、この海底移動要塞はその発射基地としてつくられたものだ。
このミサイルの照準は世界の主要都市にセットされている。フフフフフ・・・

なにをいまさら驚いている。私にそのアイデアをくれたのは、乃亜、お前ではないか

わかったか、私はバーチャルな存在のまま世界中のコンピュータネットワークにハッキングし、
世界を意のままに操れるのだよ

たった今、この世界のプログラムを改竄し、バーチャル世界と現実世界を繋ぐ出入り口は消去した。
お前等はもう二度とこのバーチャル世界から出ることはできん

瀬人、乃亜、お前たちはこの箱庭で仲良く暮らすがいい。
永遠に死なず、苦痛も悲しみも空腹すらもない、天国のようなこの箱庭でな・・・
海馬コーポレーションは私のものだ。誰にも渡さん。フハハハハハ!・・・

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最終更新:2009年04月07日 22:28