ウィンダス手の院

Windurst Manustery


ウィンダス森の区中央の小高い丘にある。人通りも多く、日当たりも良好な場所である。

関連イベント
  • ウィンダスミッション
  • クエスト「伝説の大作戦」「NEWカーディアン君の誕生」「星の涙」等

特記事項
  • ウィンダス森の区に存在する防衛兵器製造機関。
  • 旧呼称は「魔導器製作所」。五院の一つ。
  • 英語名は「Manustery」。「Man」は「手」を指している。
  • 初代院長はリンクシェルを発明したメダダ。

  「手の院」の名は、「兵器がタルタルの『手』の延長として働く」ことに由来する。現在はパトロールと冒険者の案内を主にしているカーディアンだが、20年前のクリスタル大戦では兵士としても戦線に使われ、武器としての力も発揮していた。しかし「ある事件」をきっかけにその役割は矛としてよりも盾として使われる意味合いが強くなった。
  また現実の世界でもいえる事だが、手の院は新たな魔法の道具を作り出す「制作工房」であるが故に、その研究のためには膨大な金を必要とし、常に資金のやりくりに喘いでいる。院長Apururuが常時「赤字」で悩むのも日常風景となっているようだ。しかしApururuZonpa-Zippa の間には別の院長が存在しており、その時期「だけ」黒字が続いていたという記録がある。しかしその院長の記録は残っておらず、またその時代を記憶しているものもいない、不可思議な時間である(詳細は召喚士AFのクエスト一連で明かされている)。

主要人物



現院長:Apururu

  Apururuは前院長をに持ち、口の院院長をに持つ、いわゆるエリート一家の娘。子供時代はあまり優秀な生徒ではなかったようだが、努力を重ねて現在の地位を勝ち取った頑張り屋さんである。その為かカーディアンには特に深い愛情を示す。カーディアンにとっては母であり医者であり、カウンセラーでもある万能の専門家なのだ。


前院長:Zonpa-Zippa

  現院長Apururuの父でもある彼は、クリスタル戦争時に聖都ウィンダスを守った旧カーディアンの製作者であるが、戦争後に野良カーディアンたちに連れ去られて以来行方不明となっていた(魔動兵の乱)。彼の発案したカーディアンに改良を重ね現在の形になっている。現在は在籍していないが、彼の功績は手の院にとっては大きいものである。


  カーディアンの改造・改良を趣味のようにしているKupuro-Popuroと、カーディアンに対して比較的ドライな態度を見せるBoizo-Naizo。基本的に現在はこの二人がカーディアンの制作に携わっているものと思われる。なおKupuro-Popuroはこの中で最古株であり、常に手の院を悩ませる資金不足等、よく院長Apururuを交えて相談している。

カーディアン(Cardians)

  守衛を意味する「Guardian」と彼らの名前の由来でもある「Card」を混ぜたネーミングのこのカカシようなの魔動兵は、手の院の現在の主力であり、手の院を語る上では不可欠な存在である。
  天の塔地下で栽培されている星の木の実を取り付けたカカシの人形に、命を吹き込む魔法をかけた魔導球を埋め込んで完成する。その際カーディアンの性格は術者のものが反映されるという(あくまで命を作るのではなく「吹き込む」のである)。


ウィンダスの至る所で見かける。

  天晶暦861年1月、Zonpa-Zippaが開発。元老院はすぐさま量産を決定。実戦配備は、翌862年2月のことである。現在の形に落ち着くまでに、10体のプロトタイプが作られたが、異形であり、コスト面でも運用面でもかなり問題があった。戦闘魔導団に所属し、各個師団に100体ずつ配置されている。
  現在のカーディアンの識別ナンバーはトランプのカードが使われていて、カードはそれぞれ、スペード、ハート、ダイヤ、クラブのそれぞれ2,3,4,5,6,7,8,9,10,J,Q,K,Aを割り当てている。あるカーディアンが壊れる等でいなくなると、それより若い番号のカーディアンが識別ナンバーを引き継ぐ方式を取っていて、同じカーディアンでも時間と共に名前が異なる。
  一方クリスタル戦争時代の古いカーディアンの認識ナンバーはタロットカードが元になっていて、ソード、バトン、カップ、コインの2,3,4,5,6,7,8,9,10,J,Q,K,A(ただし本来タロットはJ,Q,Kではなくペイジ(「小姓」の意)・ナイト・クイーン・キング)を割り当てていた。古いカーディアンのもう一つの特徴として個々のカーディアンが持つ認識カードが挙げられる。これは非常事態が起ったとき、そのカードを持っているカーディアンが、対なるカードを持っているカーディアンを緊急停止させることができる機能である。どのカーディアンにも必ず対なるカードを持ったカーディアンが存在する。


手の院にはカーディアンの設計図も確認できる。

  現在は手の院により製造及び教育が続けられており、平時はウィンダス内やアウトポストでガードや道案内を務めている。ひらがなカタカナに★を交し、戦闘以外の仕事をこのようにこなせるのは現手の院の働きによるもの。また、手の院で働く者たちによると年々カーディアンの寿命が短くなっているという。
  また、まだ生命を吹き込んでいないBlank Cardというカーディアンを数体口の院に提供していたり(魔法の威力を確かめる実験台等として)、ガードとして配属したりして、非常に関わりが深い。これは院長同士が兄妹であるのと、クリスタル大戦での影響で魔道士不足になりがちな口の院の人員補充の為の代用としてカーディアンが最適と思われ採用されたからと思われる。


カーディアンと戯れる子供。それだけウィンダス国民には身近な存在なのかもしれない。

過去の大事件・現代の脅威

  Zonpa-Zippaの制作した旧カーディアンは、クリスタル大戦という事もあり現在よりも強力な力を備えて作り出されたとされている。そして「軍の兵」という概念の元で制作されていた事もあり、厳密な主従関係の概念を植えつけていた。
  これは大量に制作され、戦場に投入される為には必要なことでもあった。仕組みは、数が若い番号は、それより上の物には絶対服従する、というものであり、2<3<4<5といった具合である。そして最終的にはAceといわれるカーディアンがその最上官として(カーディアン内の)権力・実力を備えたのである。そしてAce達の主に「自分」を置く事でZonpa-Zippaは全カーディアンの行動を制御していた。


Karaha-BaruhaZonpa-Zippaからカーディアンを借りた事で事態は変わっていく。

  しかし30数年前、魔法塔の研究をしていたKaraha-BaruhaZonpa-Zippaに「魔法塔に特別な魔導器を作るために、強くて賢いカーディアンを何体か貸してくれ」と頼んだ。その際Zonpa-Zippaはエースカーディアンを彼に貸し出した。その時Karaha-Baruhaは自らJokerという新たなカーディアンを作り出し、エースカーディアン達をJokerを王として従うように勝手にプログラムしてしまったのだという。そしてそのまま「魔法塔の魔導器の全てを守る」ようにした。しかしクリスタル大戦でKaraha-Baruhaは死に、彼を主として設定されていたJokerもまた動きを止めた。
  製作者自体が違う(Zonpa-Zippa)エースカーディアン達は「主を失う」というありえない状況に混乱した。「ジョーカーが復活さえすれば、問題が解決する」という結論に至ったカーディアン達は、内乱を起こす。それは、製作者・Zonpa-Zippaを拉致することでJokerを修復・復元等して復活させようとしてものだと思われる。これはあくまで死を理解できない「物」であるカーディアンの出した結論であり、Jokerは本来製作者が既に死んだKaraha-Baruhaなため、Zonpa-ZippaではJokerを復活させることは不可能だった。そしてそのままZonpa-Zippaはウィンダスに戻されること無く「行方不明」として扱われ、主を求め続けるカーディアン達はJokerを復活させる手掛かりを求め人々を襲うようになる。後に「野良カーディアン」と呼ばれる彼らは現在主が居ない状態であり、Jokerを捜し求め続ける、いわば壊れたプログラムに近い、脅威となってしまった。


ミッションやクエストでも登場する野良カーディアンのエース達。

  その暴走の可能性・そしてそうなった際の脅威を危険視したその後の手の院は、改善を重ね教育を重視し、現在のカーディアン達を作るに至った。そして現在も野良カーディアンとの混同を防ぐために日夜厳しいチェックをしてカーディアン達を国民の平和のためにも管理している。

カーディアンに対する価値観の違い

  時代の移り変わり、そして院長の世代交代によりカーディアンの役割・扱いそのものが変わったといえる。その根底には、製作者である父と娘の価値観の違いが大きく関わっている。


Zonpa-Zippaの時代は戦時。あくまで兵器として制作した。

Zonpa-Zippa : しかし、カーディアンたちは我が娘に従ってはおらんのではないかな?我が娘は、カーディアンを個体として尊重しすぎるきらいがある。カーディアンは、我らにできない力仕事や危険な仕事をさせるためのものだ。下手に知能を与えれば矛盾に混乱し、極論へたどり着く。カーディアンは「やるべきこと」と「やらざるべきこと」の2つを見失ってしまうのだ。
そう、生みの親である我を、こんな辺境の地に捨て去るなどもってのほかだ!

  あくまで物として、そしてタルタルでは困難なことをこなす道具としてカーディアンを扱っていたZonpa-Zippaは(自分に起きた事も含めて)、その枠を超えて知恵を与えすぎると下克上を起こしてしまうと考えたようだ。これに対して娘のApururuはそれに異論を唱えるような発言もしている。

Apururu :それは、わたしのお父さん……前の手の院院長が考えた魔法のカードでね、カードの持ち主の「対となるカーディアン」の魔法を解いて、機能停止させるためのものよ。その意味がわかるかしら?古い時代のカーディアンたちは、自分が持っているカードを使って、対となるカーディアンを機能停止させることができるように作ってあるということ。……お父さんは、人間と同じように、カーディアン同士が殺し合いできるように作ったのよ。残酷よね……。


Apururuは、あくまで「生命体」としてカーディアンを扱う。

  Apururuは(一応)戦争の無い時代の院長である。カーディアンの役割も殺人兵器からパトロール等をする守衛・護衛的なものに変化していってる。そんな比較的穏やかな時代だからこそ言える事なのかもしれない。そんな彼女の、カーディアンに対する思いをまとめてみた。

Apururu:カーディアンは、人間じゃないわ。いろいろな材料から作られた人形よ。私たちが、その人形に命をふきこむ魔法をかけているの。でも、カーディアンにも個性があるのよ。魔法をかけた人の性格が、そのまんま反映されるからだけど……。

Apururu : お待たせしてごめんなさい。冒険者さん。今、一つの命が星に帰ったの……。あんなにボロボロになってもここに戻ってきてくれた……。最後におわかれができて、本当によかったわ……。

Apururu:…カーディアンは、星の力を借りて生まれた命、私たちと同じ、天から降りてきた命を持つ存在。だから、忘れちゃいけないわ。カーディアンの命は、私たちが作った命じゃない。私たちはただ、この地に呼んだだけ。だからこの地から去るときは見送ってあげなきゃね。また会いましょうって。

Apururu: カーディアンは、魔法で作られた人形だけれど、人の想いを感じる力は、私たち人と同じよ。想いは、人から人へと伝わるもの。カーディアンもまた、たくさんの想いを得て、成長して……、時には壊れてしまう。しかも、このカーディアンは戦争中に作られたもの。きっと、辛い想いをたくさん感じ取ってきたのね。

  娘を「甘い」というZonpa-Zippaも、父を「残酷」というApururuも、実際は違う立場・時代背景の元に出来上がった価値観であり、どちらも「正解」といえる。ただ、兵器として生まれたが故に苦悩し、献身的な修繕のお陰で再起が出来たカーディアンもいるのも事実である。

手の院に存在する「禁書」の存在
  ウィンダスにはカーディアンや魔法人形のような、魂を宿したり魔力を与えられた魔具が数多く存在し、使用されている。これらは今でこそ厳しく取り締まられ、技術を悪用されないように警戒されながら、ウィンダスの民の生活をより豊かにするために使われているが、手の院には実は院長しか見ることの許されない本、そしてそれに纏わる噂も存在している。

Koru-Moru : 魔法人形を作った術者が死ぬと、魔法人形は魔力を失って死ぬ。だからこそ、死んだ魔法人形にむりやり命を与えると、術者は死の闇より蘇る。それは伝説ではなく、本当にある禁術。手の院院長にのみ詳細が伝わり、代々秘密にされている術なのだ。もちろん、院長だといっても使用は禁止されている。

  これをKaraha-Baruhaが応用したトリックがウィンダスミッションで見られる。そして召喚士AFクエストでも、その禁書・禁術を求めて手の院と関わったと思われる人物が主軸で進む。どちらも、「生命」を利用したものであり、それは死をも脅かし、死者の再生や不老不死にも繋がるとも噂されているようだ。それゆえに禁じられているが、利用したい人物も居るだろう。
  カーディアンの存在自体もそうだが、この禁書の存在もまた、自然の理である生と死を歪めてしまう、危険な存在なのである。


手の院のお仕事

  ウィンダスでは欠かせない存在ともいえるカーディアン。その仕事は町の案内から危険なフィールドのOPの護衛・パトロールと幅広い。その制作、言葉などの教育、そして今後のニーズに応えられるような改良の研究等、手の院の仕事は現在ではカーディアンを中心に動いているといっても過言ではない。
  院の外、および北にある部屋では女性研究員達がカーディアンに挨拶や言葉等を教えているようだ。どの仕事に就いても人と常に接する為、コミュニケーションをしっかり教えるのはカーディアンにとってとても大事な事である。なお、一度言葉を覚えると、なかなか記憶から消去させにくいらしいので、いたずらに変な挨拶などを教えてはいけない。


院長Apururuがいる部屋には、まだ言葉を覚えていない、真新しいカーディアン達が並ぶ。


同部屋で、新米研究員Kororoが丁寧に挨拶を教えている。常に人と接するカーディアンには大事な事だ。


院の外では研究員Uuroroがカーディアンと発声練習をしている。室内の新しいカーディアンよりナンバーが上である。

  そして南の部屋はカーディアン制作の為の工房がある。こちらはKupuro-PopuroBoizo-Naizoが常駐している。新しいカーディアンを作るだけではなく、壊れたカーディアンの修復作業や、動かなくなってしまったカーディアンとの「お別れ」もここで行っているようだ。


手前に居るのはBoizo-Naizo。若いが確かな仕事に定評があるようで、ダイアモンドシリーズのカーディアンは全部彼が作ったもの。設計図や、カーディアンの胴に使われる(と思われる)乾燥藁がある。


奥はカーディアンを乗せる作業台があり、製作中のカーディアンもある。Kupuro-Popuroはここで改良案を日々考えているようだ。また、奥にはカーディアンの材料となる布等が並べられている。

手の院の日常

  日頃資金のやりくりに困っている手の院。院長Apururuは改善策を練っては失敗を続けているようだ。しかしその横で報酬に20000G出そうとしたり、協力に「手の院の資金3年分」出すのに合意する等の無茶っぷりも見られ、感情で後先考えずお金を使ってしまうのも原因と思われる。


Apururu : 赤字の山だわ……!

  壊れたカーディアンや身元不明のカーディアンもここで診てもらうことが出来る。これは基本的にカーディアンを愛するApururu院長の性分も多分にあり、時には修繕の際に術者にも危険が及ぼすような作業でも快く引き受けてくれる。


時には危険を顧みず引き受ける場合もある。

  カーディアンは寿命が訪れると、手の院に戻るようにプログラムされているようである。そんなカーディアンを愛情をもって作り出し、わが子のように育ててきた手の院のメンツは、戻ってきたカーディアンを受け入れ、手厚く「お別れ」をしてあげるようにしている。


Queen of Hearts : アオイ オソラの シタ……トテモ タノシ カッタ です……。

  しかし時には何かしらの理由で、手の院に辿り着けずにその寿命を終えてしまうカーディアンもいる。そんな志半ばで倒れてしまったカーディアンの「心」にあたる痛んだ星の木の実を手の院に持ってきてあげたら、奇跡が起きるときもあるかもしれない。



日々カーディアン達を巡って、地味かもしれないが慌しい毎日を送っている。


最終更新:2008年10月24日 17:49