銀河に集う星たち(前編)◆.dRwchlXsY
◆
「十人か……」
想像以上に死んだな。
それほど血気盛んな奴らが多いということか。
もっとも、加害者の一人はこの私なのだが。
最初の放送で呼ばれた死者の内、私が知る人物はバルバリシアのみだった。
残りは27人。
殺し合いはまだ始まったばかり、序盤戦が終わったに過ぎない。
残りの参加者も曲者揃いだろう。
最初に出会った吸血鬼、レミリア・スカーレットもまだ生きている。
あの女は私を殺すつもりだったのだろうか。
それとも何か他の目的があったのか。
いずれにしろ、奴も放送で私がまだ生きていることを知ったはずだ、何をしでかすか分からないな。
乱入してきた少年はどうだろう?
彼も生きているとしたら、私は二人の人物に顔を知られていることになる。
特別不利になるわけではないが少し心配だな。
それほど血気盛んな奴らが多いということか。
もっとも、加害者の一人はこの私なのだが。
最初の放送で呼ばれた死者の内、私が知る人物はバルバリシアのみだった。
残りは27人。
殺し合いはまだ始まったばかり、序盤戦が終わったに過ぎない。
残りの参加者も曲者揃いだろう。
最初に出会った吸血鬼、レミリア・スカーレットもまだ生きている。
あの女は私を殺すつもりだったのだろうか。
それとも何か他の目的があったのか。
いずれにしろ、奴も放送で私がまだ生きていることを知ったはずだ、何をしでかすか分からないな。
乱入してきた少年はどうだろう?
彼も生きているとしたら、私は二人の人物に顔を知られていることになる。
特別不利になるわけではないが少し心配だな。
ポケモンチャンピオンのレッド(?)もまだ生きている。
チャンピオンになったほどの少年だ、その能力は高いだろう。
そしてサカキ。
サカキ――カントー地方のトキワシティのジムリーダーだった男。
しかしその正体は、悪名高いロケット団の首領であると耳にしたことがある。
カントーを中心に悪行を重ねる集団、ロケット団。
つまり、同じ穴のむじな、か。
勿論、顔を合わせたことなど無いが、おそらく向こうも少なからず感づいてはいるはずだ。
目的は不明だが、危険人物であることは確実。
接触は危険か。
チャンピオンになったほどの少年だ、その能力は高いだろう。
そしてサカキ。
サカキ――カントー地方のトキワシティのジムリーダーだった男。
しかしその正体は、悪名高いロケット団の首領であると耳にしたことがある。
カントーを中心に悪行を重ねる集団、ロケット団。
つまり、同じ穴のむじな、か。
勿論、顔を合わせたことなど無いが、おそらく向こうも少なからず感づいてはいるはずだ。
目的は不明だが、危険人物であることは確実。
接触は危険か。
あとはタケシ、彼はもう既に死んでいるが確かカントー地方のジムリーダーにそんな名前があった気がしたが――まあいい。
既にこの島には陽の光が燦々と降り注いでいる。
殺し合いをするには不似合いなほどに明るく。
辺りの様子がすっかり視界に入るようになった。
闇に潜んだ参加者が姿を見せ、殺し合いは更に加速するだろう。
視界の先、西の方には、幾重にも連なる木々が樹林となって現れ、その先には重厚でそして高大な山脈がそびえ立っている。
地図を取り出し、あそこがノーム・マウンテンであることを確認するが、私の目的地はそこではない。
今は仲間と情報の確保が最優先事項だ。
殺し合いをするには不似合いなほどに明るく。
辺りの様子がすっかり視界に入るようになった。
闇に潜んだ参加者が姿を見せ、殺し合いは更に加速するだろう。
視界の先、西の方には、幾重にも連なる木々が樹林となって現れ、その先には重厚でそして高大な山脈がそびえ立っている。
地図を取り出し、あそこがノーム・マウンテンであることを確認するが、私の目的地はそこではない。
今は仲間と情報の確保が最優先事項だ。
もしこれが私に課せられた『試練』なのだとしたら、絶対に死ぬわけにはいかない。
あと少しで野望を達成するところだったのだ。
こんな所で命を落としてなるものか。
逆に言えば、この『試練』を突破したら私の野望は達成されるということだ。
この殺し合いが伝説のポケモンによるものだという確証はない。
だがこんなことができるのはあの二匹のポケモン以外には考えられない。
多くの人間を、しかも世界も違うとされる人々を一つの場所に呼びよせるなんてことができるのは。
シンオウ地方に伝わる時空伝説、時間と空間を司る伝説のポケモン。
あと少しで野望を達成するところだったのだ。
こんな所で命を落としてなるものか。
逆に言えば、この『試練』を突破したら私の野望は達成されるということだ。
この殺し合いが伝説のポケモンによるものだという確証はない。
だがこんなことができるのはあの二匹のポケモン以外には考えられない。
多くの人間を、しかも世界も違うとされる人々を一つの場所に呼びよせるなんてことができるのは。
シンオウ地方に伝わる時空伝説、時間と空間を司る伝説のポケモン。
時間ポケモン、ディアルガ。
空間ポケモン、パルキア。
空間ポケモン、パルキア。
ディアルガの力を使えば、時間の流れを自在に操り、過去や未来へ移動することができる。
パルキアの力を使えば、空間の繋がりを自在に操り、遠くの世界や異空間へ移動することができる。
パルキアの力を使えば、空間の繋がりを自在に操り、遠くの世界や異空間へ移動することができる。
この二匹の力を使えば全ての説明はつく。
だが理由は何だ?
もしこれが全て伝説のポケモンによる試練だとしたら、殺し合いさせることに何の意味があるというのだ?
私の力を試しているのか?
それともさんざん好き勝手暴れた人間への罰か?もしくはただの神の悪戯とでもいうのか?
――いや違う、もう一つの可能性。
もしディアルガとパルキアが第三者に利用されているとしたら―――――。
その可能性も否定できない。
ディアルガとパルキアを手中に収め、私利私欲のために何者かが利用した……。
ならば、この事件の発端はディアルガとパルキアの存在する世界の住人、いわばポケモンの存在する世界の住人の仕業ということか?
いや、そもそもディアルガとパルキアは時間と空間を自在に操る事ができるのだから、世界がどうのこうのは関係ない。
マルクか?奴も伝説のポケモン?それとも奴も傀儡でしかないのか?理由は?
だが理由は何だ?
もしこれが全て伝説のポケモンによる試練だとしたら、殺し合いさせることに何の意味があるというのだ?
私の力を試しているのか?
それともさんざん好き勝手暴れた人間への罰か?もしくはただの神の悪戯とでもいうのか?
――いや違う、もう一つの可能性。
もしディアルガとパルキアが第三者に利用されているとしたら―――――。
その可能性も否定できない。
ディアルガとパルキアを手中に収め、私利私欲のために何者かが利用した……。
ならば、この事件の発端はディアルガとパルキアの存在する世界の住人、いわばポケモンの存在する世界の住人の仕業ということか?
いや、そもそもディアルガとパルキアは時間と空間を自在に操る事ができるのだから、世界がどうのこうのは関係ない。
マルクか?奴も伝説のポケモン?それとも奴も傀儡でしかないのか?理由は?
今は考えがまとまらないな……。
伝説のポケモンによる『試練』か、他者によるそれ以外の『何か』か。
事の発端が何であるかは想像もつかないが、私にできるのは有益な情報と、強力な道具を集めることだ。
カードが揃えば何かが見えてくるかもしれない。
伝説のポケモンによる『試練』か、他者によるそれ以外の『何か』か。
事の発端が何であるかは想像もつかないが、私にできるのは有益な情報と、強力な道具を集めることだ。
カードが揃えば何かが見えてくるかもしれない。
さて、そろそろ動くとしよう。
今は仲間の確保が最優先事項だ。
情報の交換もしておきたい。
優秀な手足に成りうるかどうか私が直々に判断してやろう。
今は仲間の確保が最優先事項だ。
情報の交換もしておきたい。
優秀な手足に成りうるかどうか私が直々に判断してやろう。
◆
「スネークが死んだ……!?」
放送でソリッド・スネークの名が呼ばれた。
放送で名前を呼ばれるということ、それは即ちその者の死を意味している。
ソリッド・スネークが死んだという事実、雷電はその事実に驚きを隠せなかった。
幾つもの戦場を駆け抜け、銃火の中、死をも厭わず己の為、人の為に自らを犠牲にし全てを尽くした男、ソリッド・スネーク。
放送で名前を呼ばれるということ、それは即ちその者の死を意味している。
ソリッド・スネークが死んだという事実、雷電はその事実に驚きを隠せなかった。
幾つもの戦場を駆け抜け、銃火の中、死をも厭わず己の為、人の為に自らを犠牲にし全てを尽くした男、ソリッド・スネーク。
ビッグ・シェルのときも何度も助けてくれたあの男が本当に死んだのか?
たちの悪い冗談だ、悪い夢でも見ているに違いない。
たちの悪い冗談だ、悪い夢でも見ているに違いない。
勿論、これは夢でもないし、冗談でもない。
それは雷電も分かっていた。
だが否定したかった。
戦場に身を置く柄、死は別に珍しくも何ともない。
それでもスネークは、ソリッドスネークはどんなに危険で困難と思われる戦場でも決して死にはしなかった。
銃弾を浴びようとも、刃に傷つけられようとも決して。
その彼が死んだ。
それは雷電も分かっていた。
だが否定したかった。
戦場に身を置く柄、死は別に珍しくも何ともない。
それでもスネークは、ソリッドスネークはどんなに危険で困難と思われる戦場でも決して死にはしなかった。
銃弾を浴びようとも、刃に傷つけられようとも決して。
その彼が死んだ。
「くそッ……!」
雷電は右の拳で思い切り地面を殴った。
疲労と傷が残る体に痛みが広がったが、雷電は気にしない素振りで、そのまま何度かまた地面を殴った。
拳の跡がついた地面に膝を立て、首を下げる。
その顔には悔しさと悲しみ、そして怒りの色がはっきりとにじみ出ていた。
空から降り注ぐ陽の光が嫌なほど眩しかった。
疲労と傷が残る体に痛みが広がったが、雷電は気にしない素振りで、そのまま何度かまた地面を殴った。
拳の跡がついた地面に膝を立て、首を下げる。
その顔には悔しさと悲しみ、そして怒りの色がはっきりとにじみ出ていた。
空から降り注ぐ陽の光が嫌なほど眩しかった。
「許しません!雷電さんの知り合いを襲うなんて!これも全部妖怪のせいです!雷電さん安心して下さい!妖怪はこの私が全部まとめて退治してあげます!」
相変わらず自信たっぷりに言う早苗に、雷電はほんの少し救われた気がした。
出会ってまもない彼女のことはまだよく分からないが、彼女の行動の全ては善意で行われていることは確かだ。
時折、見ていて不安になるが。
出会ってまもない彼女のことはまだよく分からないが、彼女の行動の全ては善意で行われていることは確かだ。
時折、見ていて不安になるが。
「……ありがとう早苗。だがまさかスネークが、しかもこんなに早く……それに―――――」
放送で呼ばれた名の一つに「サイボーグ忍者」とあった。
サイボーグ忍者。
雷電は二人のサイボーグ忍者を知っている。
サイボーグ忍者。
雷電は二人のサイボーグ忍者を知っている。
一人、グレイ・フォックス。
過去にソリッド・スネークも所属していた組織FOXHOUNDに在籍時、隊における最高位であるFOXのコードネームを与えられた伝説の傭兵。
既にシャドー・モセス島事件において死亡したはず。
過去にソリッド・スネークも所属していた組織FOXHOUNDに在籍時、隊における最高位であるFOXのコードネームを与えられた伝説の傭兵。
既にシャドー・モセス島事件において死亡したはず。
一人、オルガ・ゴルルゴビッチ。
雷電自身も大きく関わるビッグ・シェル占拠事件という名の大規模演習において、アメリカを裏から支配する組織「愛国者達」に子供を人質にされ、サイボーグ忍者として演習の調整役を強要されていた人物。
演習の成功が子供を助けることに繋がるため、何度も雷電を助けてくれたが、彼女も事件で既に死亡したはずだ。
雷電自身も大きく関わるビッグ・シェル占拠事件という名の大規模演習において、アメリカを裏から支配する組織「愛国者達」に子供を人質にされ、サイボーグ忍者として演習の調整役を強要されていた人物。
演習の成功が子供を助けることに繋がるため、何度も雷電を助けてくれたが、彼女も事件で既に死亡したはずだ。
どういうことだ?既に死んだ者が何故ここに?
殺し合いに巻き込まれてから中々落ちつく暇がなかったので、気にする余裕もなかった。
参加者が二人のどちらかなのかは分からないが、すでにサイボーグ忍者は死んでいる。
今は確認の仕様がない。
殺し合いに巻き込まれてから中々落ちつく暇がなかったので、気にする余裕もなかった。
参加者が二人のどちらかなのかは分からないが、すでにサイボーグ忍者は死んでいる。
今は確認の仕様がない。
雷電は複雑な感情を押し殺して頭を上げ、デイパックの中から名簿と地図を取り出した。
放送で呼ばれた名と、指定された禁止エリアに斜線を引いていく。
ソリッド・スネークとサイボーグ忍者の名に斜線を引くのは躊躇いがあったが、少し惜しむように、そしてそのまま引いた。
指定された禁止エリアは今いるB-3エリアには直接影響は無かった。
また放送で大切な仲間の一人であるオタコンことハル・エメリッヒが無事なことが分かったので、それに関してはほっと胸をなで下ろした。
放送で呼ばれた名と、指定された禁止エリアに斜線を引いていく。
ソリッド・スネークとサイボーグ忍者の名に斜線を引くのは躊躇いがあったが、少し惜しむように、そしてそのまま引いた。
指定された禁止エリアは今いるB-3エリアには直接影響は無かった。
また放送で大切な仲間の一人であるオタコンことハル・エメリッヒが無事なことが分かったので、それに関してはほっと胸をなで下ろした。
彼ほど優秀な発明家ならすでに何か行動に起こしているかもしれない。早くオタコンと合流して情報を集めなければ。
だが、悪いことにリボルバー・オセロットもまだ生きている。
掴みづらい性格、考えの持ち主だが、少なくともこと殺し合いにおいて極めて危険な人物であることは言うまでもない。
それからあの風の使い手、妖怪?はまだ生きているのか?
少年を手にかけたことは絶対に許してはおけない。彼が犠牲になったのは全て俺の責任だ。
今もその手を血に染めているかもしれない。早く仕留めなければまた犠牲者が増えることになる。
必ず仇は取る。
だが、悪いことにリボルバー・オセロットもまだ生きている。
掴みづらい性格、考えの持ち主だが、少なくともこと殺し合いにおいて極めて危険な人物であることは言うまでもない。
それからあの風の使い手、妖怪?はまだ生きているのか?
少年を手にかけたことは絶対に許してはおけない。彼が犠牲になったのは全て俺の責任だ。
今もその手を血に染めているかもしれない。早く仕留めなければまた犠牲者が増えることになる。
必ず仇は取る。
そう言えば…、ローズ、ローズは今頃どうしているだろうか……。
雷電の脳裏に恋人の名がよぎった。
ローズマリー。
彼女は今では雷電の恋人だが、もともとは「愛国者達」の命を受けて雷電に接近していた下級工作員であった。
ローズマリー。
彼女は今では雷電の恋人だが、もともとは「愛国者達」の命を受けて雷電に接近していた下級工作員であった。
冷静になって考えてみれば、俺はいつここに連れてこられたんだ?
ニューヨークでソリダス・スネークを倒したあと、彼女と、ローズと共に生活を始めた。
ここまでは覚えている。
だが、それ以降の記憶がほとんどない……。
ローズと生活して――、そう、彼女の作る料理はお世辞にも美味しいとは言えなかったが、それでも温かかった。それは覚えている。
迷惑もかけた。ビッグ・シェル事件以降、俺は自身の忘れていた記憶を思い出し、そのショックの影響でローズを度々傷つけた。それも覚えている。
それぐらいしか分からない。
自分がここに来るまでの経緯が全く思い出せない。
気が付いたら、あの部屋にいた。何者かに突然連れてこられたのだ。
ローズは無事なのか?彼女は、ローズは今どうしている?
そもそも今回の事件にも「愛国者達」が絡んでいるんじゃないのか?
もしそうだとしたら何の為だ?最初の道化もただのホログラムか?
―――――クソッ!
とにかく、とにかく今は絶対に生きぬくことだ。
俺が死んだらローズと、オルガの子が死ぬ。
ニューヨークでソリダス・スネークを倒したあと、彼女と、ローズと共に生活を始めた。
ここまでは覚えている。
だが、それ以降の記憶がほとんどない……。
ローズと生活して――、そう、彼女の作る料理はお世辞にも美味しいとは言えなかったが、それでも温かかった。それは覚えている。
迷惑もかけた。ビッグ・シェル事件以降、俺は自身の忘れていた記憶を思い出し、そのショックの影響でローズを度々傷つけた。それも覚えている。
それぐらいしか分からない。
自分がここに来るまでの経緯が全く思い出せない。
気が付いたら、あの部屋にいた。何者かに突然連れてこられたのだ。
ローズは無事なのか?彼女は、ローズは今どうしている?
そもそも今回の事件にも「愛国者達」が絡んでいるんじゃないのか?
もしそうだとしたら何の為だ?最初の道化もただのホログラムか?
―――――クソッ!
とにかく、とにかく今は絶対に生きぬくことだ。
俺が死んだらローズと、オルガの子が死ぬ。
ローズとオルガの子の体内には「愛国者達」により、ナノマシンが埋め込まれており、雷電が死亡すると彼女らも死ぬようになっている。
俺が生きていれば彼女たちは死なない。
こんな訳の分からない所で死ぬわけにはいかないんだ。
こんな訳の分からない所で死ぬわけにはいかないんだ。
思考の整理を終え、雷電は早苗のほうを見上げる。
早苗は何か妖怪への不満や怒りをぶつぶつと呟いていた。
ある意味、彼女はここまでずっと落ちついた状態である。何か悲しんだり、落ち込んだりというようなことは一切無かった。
時折少し不安になるが、真面目で笑みを絶やさずそしていつも自信たっぷりな彼女。
雷電自身、彼女がいなければ生きてはいられなかっただろう。既に命を落としていたに違いない。
命の恩人である彼女に出会えたことは、雷電にとって最大の幸運だったと言える。
実際、彼女に出会って雷電は色々な意味で救われた。
雷電は少年グリーンを救えなかったことに責任を感じていた。か弱い少年をしなせてしまったことに。
だが早苗に助けられ彼女と行動を共にして以来、彼女の発言や態度、放つ雰囲気が自然と気を紛らわさせてくれた。
少し行きすぎたところも見られるが、それでも雷電は彼女を悪くは思わなかった。
だが雷電は思った。
もしかして彼女は俺を励まそうと無理しているんじゃないだろうか?俺に気を遣って必死になっているんじゃないか?
自分を元気づけようとする為に。
彼女は見かけは明るく振る舞っているが、内心疲れているのかもしれない。
もしそうなら心配だ。
早苗は何か妖怪への不満や怒りをぶつぶつと呟いていた。
ある意味、彼女はここまでずっと落ちついた状態である。何か悲しんだり、落ち込んだりというようなことは一切無かった。
時折少し不安になるが、真面目で笑みを絶やさずそしていつも自信たっぷりな彼女。
雷電自身、彼女がいなければ生きてはいられなかっただろう。既に命を落としていたに違いない。
命の恩人である彼女に出会えたことは、雷電にとって最大の幸運だったと言える。
実際、彼女に出会って雷電は色々な意味で救われた。
雷電は少年グリーンを救えなかったことに責任を感じていた。か弱い少年をしなせてしまったことに。
だが早苗に助けられ彼女と行動を共にして以来、彼女の発言や態度、放つ雰囲気が自然と気を紛らわさせてくれた。
少し行きすぎたところも見られるが、それでも雷電は彼女を悪くは思わなかった。
だが雷電は思った。
もしかして彼女は俺を励まそうと無理しているんじゃないだろうか?俺に気を遣って必死になっているんじゃないか?
自分を元気づけようとする為に。
彼女は見かけは明るく振る舞っているが、内心疲れているのかもしれない。
もしそうなら心配だ。
雷電は早苗に声をかけた。
「早苗、大丈夫か?」
「何がですか?」
「いや、少し疲れたりはしてないか?」
「何がですか?」
「いや、少し疲れたりはしてないか?」
心配そうな表情を浮かべる雷電に、早苗はにっこりと笑った。
雷電が自分のことを気遣ってくれたことが分かり嬉しかったのだ。
雷電が自分のことを気遣ってくれたことが分かり嬉しかったのだ。
「大丈夫です、この通りピンピンです!雷電さん優しいんですね。ありがとうございます!」
相変わらず自信たっぷりで満面の笑みをこちらに向ける早苗を見て、雷電の表情も自然と穏やかになった。
雷電も微笑んで答える。
雷電も微笑んで答える。
「そうか。ならいいんだ」
「しっかりして下さいよもうー」
「しっかりして下さいよもうー」
男女が仲睦まじく会話を交わすほのぼのとした光景。
ここが殺し合いが行われているような場所とはとても思えない程、それは不似合いに映った。
そんな時だった。
二人の前に予期せぬ来訪者が現れたのは。
ここが殺し合いが行われているような場所とはとても思えない程、それは不似合いに映った。
そんな時だった。
二人の前に予期せぬ来訪者が現れたのは。
◆
雷電は視界の先を目にした瞬間、すぐさま腰のナイフを抜き、構えた。
早苗は硬直した体を少し後ろに下げた。
男はそれでもゆっくりとこちらに歩み寄って来る。
視線が交錯する。
三人の間に張り詰めた空気が広がった。
早苗は硬直した体を少し後ろに下げた。
男はそれでもゆっくりとこちらに歩み寄って来る。
視線が交錯する。
三人の間に張り詰めた空気が広がった。
「待て、私は殺し合いには乗っていない。落ち着け」
二人の前に現れた男が静かに言った。
「私の名はアカギ。もう一度言う。私は殺し合いには乗っていない」
アカギはそう言って両手を上げ、自分に敵意がなく友好的であることを表した。
それでも雷電は頑なにナイフを向け続ける。
それでも雷電は頑なにナイフを向け続ける。
「簡単に信じられると思うか?この状況で。アカギと言ったな。目的は、俺たちに近づいた目的はなんだ?」
状況が状況である。
いくら自分は安全だと言おうとも、おいそれと信じることなどできるはずもなく、疑わないわけにはいかなかった。
雷電はナイフを構えたままアカギを睨み続ける。
だが突然、隣にいた早苗が想定外のことを言い出した。その長い髪を揺らせて。
いくら自分は安全だと言おうとも、おいそれと信じることなどできるはずもなく、疑わないわけにはいかなかった。
雷電はナイフを構えたままアカギを睨み続ける。
だが突然、隣にいた早苗が想定外のことを言い出した。その長い髪を揺らせて。
「大丈夫ですよ。私はこの通りです。安心してこちらに来て下さい。そして私の信仰を受けるのです!」
突然、無防備な笑顔で訳の分からないことを言う早苗に雷電は驚嘆した。
「おい馬鹿何を言っている!?」
早苗の無防備な発言に、雷電は何を言っているんだこいつはと驚嘆した。
こんな状況でよくそんなことが言えるなと。
こんな状況でよくそんなことが言えるなと。
「馬鹿とは何ですか、馬鹿とは!」
いきなり理由も無く馬鹿と言われ早苗はむっとする。
二人のやり取りは無視し、アカギは冷静に言葉を続けた。
二人のやり取りは無視し、アカギは冷静に言葉を続けた。
「仲間を作る為にここに来た。この殺し合いを打開する為のね(正確には駒だがな)」
アカギは胸の内で軽々とそう呟いた。
彼にとっては自分以外の人間は全て自分の道具でしかないのだろうか。
緊張感が漂う中、彼らは互いに相手を観察することは忘れなかった。
相手の放つ雰囲気や口調、外見から予測できる身体能力など把握可能な情報は全て確認しようとした。
彼にとっては自分以外の人間は全て自分の道具でしかないのだろうか。
緊張感が漂う中、彼らは互いに相手を観察することは忘れなかった。
相手の放つ雰囲気や口調、外見から予測できる身体能力など把握可能な情報は全て確認しようとした。
物静かな、しかし堂々とした佇まい。
容姿や体型は一般的、特別鍛えているようには見えない。
言葉や態度にも焦りや動揺の色はない。
だが、少し落ちつきすぎているところがどこか怪しく感じられる。
容姿や体型は一般的、特別鍛えているようには見えない。
言葉や態度にも焦りや動揺の色はない。
だが、少し落ちつきすぎているところがどこか怪しく感じられる。
雷電はアカギをそう評した。
「何故俺たちが安全だと思った?」
「放送が終わってから、君たちを少し遠くから観察していた。様子や雰囲気で君たちが安全で信用できる人物だと思った。だから近づいた」
(焚き火をしていたのはお前たちだろう?接触すべきかどうか迷ったが私もゆっくりしてはいられない。実際、男の方は見るからに強そうな人物だ。仲間にすれば便利な他ない)
「放送が終わってから、君たちを少し遠くから観察していた。様子や雰囲気で君たちが安全で信用できる人物だと思った。だから近づいた」
(焚き火をしていたのはお前たちだろう?接触すべきかどうか迷ったが私もゆっくりしてはいられない。実際、男の方は見るからに強そうな人物だ。仲間にすれば便利な他ない)
本当にこいつの言うことを信じていいのか。俺たちを騙そうとしている可能性は?今は殺し合いが行われているんだぞ。
疑心暗鬼に捕らわれ、なかなか口を開かない雷電を見かねてアカギは言った。
疑心暗鬼に捕らわれ、なかなか口を開かない雷電を見かねてアカギは言った。
「安心しろ。私は君たちを襲うつもりは一切ない。それに私は文字通り普通の人間だよ。超能力だとか化け物じみた力なんてこれっぽっちもない普通のね」
「……分かった。まずは肩のデイパックを下せ。何か衣服に着けているのならばそれもだ。それから手を上げたままゆっくりとこちらへ来い」
「……分かった。まずは肩のデイパックを下せ。何か衣服に着けているのならばそれもだ。それから手を上げたままゆっくりとこちらへ来い」
アカギはデイパックを地面に置き、ゆっくりとこちらに歩を進める。
超能力、化け物という単語に雷電は気になった。
既にそのような参加者に遭遇しているのか?
超能力、化け物という単語に雷電は気になった。
既にそのような参加者に遭遇しているのか?
「よし、両手はあげたままでいろ。今からボディチェックをする。もしお前がこちらに危害を加えるつもりなら生死の保障はないと思え」
「どうぞ」
「どうぞ」
アカギは特に抵抗することなく素直に体を差し出した。
雷電は、アカギが自分の身体や衣服に何か隠していないかどうか調べた。
両手を使って念入りに調べたが特に何も隠していない。
その際、衣服越しに身体に触れたがいたって普通の肉体であることが分かった。
雷電は、アカギが自分の身体や衣服に何か隠していないかどうか調べた。
両手を使って念入りに調べたが特に何も隠していない。
その際、衣服越しに身体に触れたがいたって普通の肉体であることが分かった。
「次だ。荷物の中身も確認させてもらう」
依然としてアカギは落ちついたそぶりで頷く。
何の躊躇も見られない。本当に信用していいのか?
アカギの荷物を確認すると、中には基本支給品が一式と栄養ドリンク、救急セットが見られた。
そしてその隣、地面に置かれたデイパックの横に見慣れない球体が二つそこにはあった。
見たことの無いものだった。
手の平に収まるぐらいの大きさ、赤と白の二色で構成され、中央にはボタンがついている。
球体以外の全ては、一つ一つ念入りに調べたがどれも特別怪しくは感じられない。
だがこの球体だけは何なのか雷電には想像がつかなかった。
手榴弾か?スタングレネードや催涙弾?そのどれとも異なる形状。迂闊に触るのは危険だ。
何の躊躇も見られない。本当に信用していいのか?
アカギの荷物を確認すると、中には基本支給品が一式と栄養ドリンク、救急セットが見られた。
そしてその隣、地面に置かれたデイパックの横に見慣れない球体が二つそこにはあった。
見たことの無いものだった。
手の平に収まるぐらいの大きさ、赤と白の二色で構成され、中央にはボタンがついている。
球体以外の全ては、一つ一つ念入りに調べたがどれも特別怪しくは感じられない。
だがこの球体だけは何なのか雷電には想像がつかなかった。
手榴弾か?スタングレネードや催涙弾?そのどれとも異なる形状。迂闊に触るのは危険だ。
「この球体は何だ?」
雷電の問いにアカギはにやりと笑い、やはりなと呟く。
何がやはりなのかは雷電にも早苗にも理解できなかった。
何がやはりなのかは雷電にも早苗にも理解できなかった。
「この球体はモンスターボールと言う。これ自体に害は無い。どうやら二人とも知らないようだ。今から詳しく説明するが、どうかな。もう信用してくれただろうか?それ以外にも色々と話したいことがあるのだが」
真っすぐ見据えてアカギは尋ねる。
その目も態度も嘘を言っているようには見えない。
今のところ危険な感じはないが……。
話を聞くぐらいなら大丈夫か?
だが……。
しばらく考え抜いた結果、結局、雷電はアカギの話を聞くことにした。
その目も態度も嘘を言っているようには見えない。
今のところ危険な感じはないが……。
話を聞くぐらいなら大丈夫か?
だが……。
しばらく考え抜いた結果、結局、雷電はアカギの話を聞くことにした。
「いいだろう。話を聞こう」
「信用してくれて助かる。私の名はアカギだ。」
「雷電だ」
「私は東風屋早苗、現人神です。妖怪には負けませんよ!」
「雷電だ」
「私は東風屋早苗、現人神です。妖怪には負けませんよ!」
早苗はいつものように自信たっぷりに答えた。
「妖怪?すると私がさきほど出会った彼女も妖怪なのかもしれない」
「彼女?」
「ん、ああ。先程研究所を探索中に遭遇してね。風を操るという文字通り化け物みたいな奴だ。名は確かバルバリシアといったか」
「バルバリシア?放送で呼ばれた名前。ん?風を操る女性……!?まさか、あの女のことか!?そいつを知っているのか!?よく無事だったな、いやまさかお前が――」
「そうだ私が殺した」
「彼女?」
「ん、ああ。先程研究所を探索中に遭遇してね。風を操るという文字通り化け物みたいな奴だ。名は確かバルバリシアといったか」
「バルバリシア?放送で呼ばれた名前。ん?風を操る女性……!?まさか、あの女のことか!?そいつを知っているのか!?よく無事だったな、いやまさかお前が――」
「そうだ私が殺した」
アカギはただ淡々と答えた。
雷電の目が見開いた。
アカギのような一般人があの化け物を倒したこともそうだが、何より当たり前のように殺人を犯したことを告白したことに驚いた。
こいつは本当に普通の人間なのか?
雷電の目が見開いた。
アカギのような一般人があの化け物を倒したこともそうだが、何より当たり前のように殺人を犯したことを告白したことに驚いた。
こいつは本当に普通の人間なのか?
「奴は私を見るなりいきなり襲ってきてね。仕方が無いので正当防衛に出ることにした」
「そうか……。いや実は俺も奴に遭遇したんだ。奴に襲われていた少年を助けようとしたんだが返り討ちにあった……。結局その少年は救えなかった……。そうかお前が倒してくれたのか。礼を言う」
「いや気にするな」
「しかし、一体どうやって奴を?本当にただの一般人なのか?」
「こいつだ」
「そうか……。いや実は俺も奴に遭遇したんだ。奴に襲われていた少年を助けようとしたんだが返り討ちにあった……。結局その少年は救えなかった……。そうかお前が倒してくれたのか。礼を言う」
「いや気にするな」
「しかし、一体どうやって奴を?本当にただの一般人なのか?」
「こいつだ」
そう言ってアカギはふところから先程の球体、モンスターボール取り出し、手の平にかざして見せた。
「手榴弾か?それとも地雷か?」
「そんな物騒な物ではない」
「では早速、モンスターボールについて説明しよう。出てこいケーシィ」
「そんな物騒な物ではない」
「では早速、モンスターボールについて説明しよう。出てこいケーシィ」
突然赤い光を発するモンスターボールに雷電は驚き、飛び退いたが、アカギは大丈夫だ、とだけ答えた。
光が消えるとそこには一匹の生物が地面に伏せていた。
光が消えるとそこには一匹の生物が地面に伏せていた。
「なんだこの生き物は!?」
「これはポケモンと言って――」
「これはポケモンと言って――」
驚きを見せる雷電に、アカギは相変わらず落ちついてその問いに答えた。
否、答えようとした瞬間だった。
先程まで静かにしていた彼女が激高の声を上げたのは。
否、答えようとした瞬間だった。
先程まで静かにしていた彼女が激高の声を上げたのは。
「妖怪!!あなたやっぱり敵だったんですね!」
早苗が突然大声をあげた。とても出会った瞬間に信仰を受けろといった人間の台詞とは思えない。
それほど彼女の様子が一変した。
怒りで震えているのが分かる。
それほど彼女の様子が一変した。
怒りで震えているのが分かる。
「何を言っている?これは妖怪では――」
「問答無用です!グレイソーマタージ!!」
「待て落ちつけ!」
「問答無用です!グレイソーマタージ!!」
「待て落ちつけ!」
アカギを無視し早苗は星型の弾幕を妖怪、否、ポケモンのケーシィに向けて放ち、アカギもろとも仕留めようとする。
こいつも化け物なのか?アカギは突然のアクシデントに対応しようと距離を取り、そしてケーシィに命令を下した。
こいつも化け物なのか?アカギは突然のアクシデントに対応しようと距離を取り、そしてケーシィに命令を下した。
「ケーシィ、リフレクター!」
ケーシィが両手を構えると、一瞬のうちにそこには一枚の透明な壁が現れた。
早苗の放った弾幕がその壁に当たると、それは全て反対の方向に弾かれ、勢いよく早苗に向かって飛んでいく。
早苗の放った弾幕がその壁に当たると、それは全て反対の方向に弾かれ、勢いよく早苗に向かって飛んでいく。
「え?」
一瞬、何が起きたのか早苗には分からかった。
相手に向けて放った弾幕がそっくりそのままこちらに向かってきている。
何で?
想定外の出来事に戸惑うことしかできず、当然為す術は無く――。
相手に向けて放った弾幕がそっくりそのままこちらに向かってきている。
何で?
想定外の出来事に戸惑うことしかできず、当然為す術は無く――。
「きゃあッ!」
早苗の放った弾幕は全弾全て彼女のもとへとはね返った。
「早苗!!」
「おい雷電!こいつをどうにかしてくれ!」
「今何をしたんだ…!早苗は!?」
「おい雷電!こいつをどうにかしてくれ!」
「今何をしたんだ…!早苗は!?」
突然の攻防に対応できず驚く雷電は見もせず、アカギは巻きあがった煙の一点を見つめていた。
煙の中からゆっくりと影が浮き出てくる。
煙の中からゆっくりと影が浮き出てくる。
「許しません……許しませんよ……!妖怪ーーーーーーーーーー!!」
早苗はアカギの方へと走りながら、再びグレイソーマタージを発動させようとする。
あれをくらったら流石に危ない!
危険を察知したアカギはケーシィに次の命令を下す。
あれをくらったら流石に危ない!
危険を察知したアカギはケーシィに次の命令を下す。
「ち、仕方がない。ケーシィ、ばくれつパンチ!」
ケーシィが勢いよく早苗に迫る。
一方、彼女のほうはまだ攻撃の準備が終わっていなかった。
そんなことはお構いなしに容赦なくケーシィは攻撃を与えた。
一方、彼女のほうはまだ攻撃の準備が終わっていなかった。
そんなことはお構いなしに容赦なくケーシィは攻撃を与えた。
「え?きゃあーーーッ!」
ばくれつパンチが早苗の腹に炸裂した。
「うう……」
一瞬だけ悲鳴をあげ、よだれを垂らしながら早苗はそのまま横たえた。
その様子を見て、雷電はアカギに激昂した。
その様子を見て、雷電はアカギに激昂した。
「彼女に何をした!?」
「落ち着け、力は弱めてある」
「何をしたと言っているんだ!?」
「落ちつけといったはずだが。何を言っても無駄なら、無理矢理黙らせるほかないだろう?大丈夫だ彼女は死んではいまい。すぐに目を覚ます」
「生き死にの問題じゃない!」
「落ち着け、力は弱めてある」
「何をしたと言っているんだ!?」
「落ちつけといったはずだが。何を言っても無駄なら、無理矢理黙らせるほかないだろう?大丈夫だ彼女は死んではいまい。すぐに目を覚ます」
「生き死にの問題じゃない!」
やれやれといった表情でアカギは雷電に一瞥を送る。
それと隣で疲れ果てた様子で佇むケーシィに気づくと、それをモンスターボールに戻した。
少し無理しすぎたか。このケーシィ相当疲れているな。
そもそもケーシィは一日に18時間眠るそうだ。こいつはここに来て8時間近くほとんど休みなしで働いている。
ゆうに活動時間は越えている。
だが、そろそろ進化してもいい頃合いだろう。
そうなれば、睡眠の制限は無くなり、また私の力は強くなる。
それから思い出したように雷電に返事をした。
それと隣で疲れ果てた様子で佇むケーシィに気づくと、それをモンスターボールに戻した。
少し無理しすぎたか。このケーシィ相当疲れているな。
そもそもケーシィは一日に18時間眠るそうだ。こいつはここに来て8時間近くほとんど休みなしで働いている。
ゆうに活動時間は越えている。
だが、そろそろ進化してもいい頃合いだろう。
そうなれば、睡眠の制限は無くなり、また私の力は強くなる。
それから思い出したように雷電に返事をした。
「ちゃんと息もしているだろう。それより彼女は何なんだ?さっきの力といい、妖怪、幻想郷……」
「俺も詳しいことは知らない。だが少なくとも悪ではない、と思う。しかしやりすぎじゃないか!?」
「……そうか。まあいい、ちょうどいい機会だ。彼女が目覚め次第、私たちの現状について、そしてこれからのことを話そう――」
「俺も詳しいことは知らない。だが少なくとも悪ではない、と思う。しかしやりすぎじゃないか!?」
「……そうか。まあいい、ちょうどいい機会だ。彼女が目覚め次第、私たちの現状について、そしてこれからのことを話そう――」