「飛鳥カナ配列」関連文書を読む上で、「解りにくい」と思われる言葉を収集しています。
解らないコトバがありましたら、適当に追記していただければ、それに対応する解説を追記させていただきます。
「親指シフト方式」
「親指シフト方式」とは、文字キーを4倍活用する方法です。
現在JIS規格として広く普及している「ひらがな入力(JIS X 6002)」方式では、
- シフトキーを押さずに、文字キーだけを押す。
- 小指では【Shift】を押し、そのままほかの指で文字キーを押す。
- 親指で【無変換】を押し、一緒にほかの指で文字キーを押す。
- 親指で【変換】を押し、一緒にほかの指で文字キーを押す。
という操作も活用することで、「より多くの文字を、ワンアクションで指定する」ことが可能になっています。
飛鳥カナ配列では、小指で押す【Shift】キーは英字入力で利用し、ほかの操作はひらがな入力で利用します。
この技術のオリジナルは、富士通の「親指シフト」であり、「親指シフト」の改訂版である
日本語入力コンソーシアムの「NICOLA(ニコラ)」にも受け継がれています。
その後、TRONプロジェクトのBTRONで採用された「TRONカナ配列」と、NECが製作した「M式」でも、類似の方式が採用されました。
「親指シフトエミュレータ」、「キー入力入れ替えソフト」
普通のパソコンは、そのままでは「親指シフト方式」による操作を受け付けません。
そこで、何らかのソフトウェアを導入して、「普通のパソコンが解釈できる入力へと逐次翻訳する」必要があります。
この翻訳動作を行うソフトは、一般的には「親指シフトエミュレータ」と呼ばれています。
「キー入力入れ替えソフト」の中にも、「親指シフトエミュレータ」を搭載するものがあります。
「飛鳥カナ配列」を利用するためには、親指シフトエミュレータの中でも「連続的なシフト」という機能に対応したものが必要です。
対応するソフトについては、このWikiのトップページにある【飛鳥カナ配列をパソコンで使うための設定方法】をご覧ください。
「親指シフトキーボード」
「親指シフト方式」といえば、専用のキーボードが必要……と思われがちですが、「専用のキーボードが必要か否か」は「専用キーボード向けに入力法が設計されたかどうか」を元に判断するべきでしょう。
オリジナルの親指シフト入力法である「NICOLA(ニコラ)」は、「親指シフトキーが盛り上がっている」専用のキーボードで使うことを前提に設計されていますので、これは専用キーボードを使って入力する方が、快適に入力できることになります。
もちろん、普通のキーボードでも大丈夫なはずなのですが、今でも専用キーボードに対する支持は根強いものがあります。
一方で、近年制作されている親指シフト方式の入力法は軒並み「普通のキーボード向けに入力法が設計されています」。このため、入手の簡単な普通のキーボードから「使いやすいものを選択して」利用することをオススメします。
大手メーカー製のパソコンに付属している「普通のキーボード」は、たいていが「一番下の真ん中に、3キー幅弱のスペースキーがある」「スペースキーの左隣に無変換キーが、右隣に変換キーがある」はずです……こういうキーボードであれば、飛鳥に限らず、近年設計された親指シフト方式の入力法は、まず満足につかえるはずです。
「連続シフト」、「連続的なシフト」、「連続同期シフト」
小指で押す【Shift】キーを押したまま、文字キーをいくつか押せは、普通は「全ての文字が【Shift】修飾される」のですが、親指シフト方式にとっては、従来「シフトキーに対する常識」が通用しませんでした。
通常の親指シフトエミュレータは、「親指シフトキーを押し続けて、その間に文字キーを複数押す」か、「文字キーを複数押し、その間に親指シフトキーを押し続ける」という操作を行った場合、「親指シフトキーの押し続け」については【利用者による誤操作】だと認識し、「押された文字キーのうち、もっとも適切なひとつだけを親指シフト修飾する」様になっています。
これは、富士通が「親指シフト」を製作したときに作られたルールで、いまの「NICOLA(ニコラ)」にも継承されています。
このルールはもちろん悪いものではなく、すくなくとも「NICOLA(ニコラ)」にとっては、こういう挙動とするほうが、打ち間違いとなる確率は低くなります。
ところが、「親指シフトエミュレータ」のひとつである「親指ひゅんQ」には、ある時期にリリースされていたバージョンに限って、ルールとは異なる動作をする「プログラム上のミス」がありました。
それは、「親指シフトキーを押し続けて、その間に文字キーを複数押す」という操作を行った場合に、本来であれは「ひとつの文字キーだけを親指シフト修飾し、あとはシフトを無効にする」はずの挙動が働かず、「親指シフトキーが押されている間は、全ての文字キーを親指シフト修飾してしまう」という挙動にすり替わっていたのです。
この「連続的にシフト修飾してしまう」という挙動は、小指で押す【Shift】キーによる操作と似たところがあり、一般には馴染み深いものです……しかしながら、「親指ひゅんQ」が採用している「NICOLA(ニコラ)」という入力法にとっては有用ではなく、また「親指ひゅんQ」にとっては「設計とは異なる挙動」であったため、後にこの挙動は修正されました。
一方で、飛鳥カナ配列の設計者は、この「【利用者による誤操作】を防ぐことができない、プログラム上のミス」を、むしろ積極的に利用することを思いついたようです。
「誤操作ではなく、明確に意図して親指シフトキーを押し続ける」ことが許容されれば、「シフトキーは押しっぱなしのままで、連続してシフト側に割り当てた文字を出す」ということが可能になります。
飛鳥カナ配列では、これを利用して「シフトを使わない場面のみではなく、シフトを使う場面においても、文字キーを連続して打ちやすい」状態を目指して、試行錯誤を続けてきました。
なお、「親指位置にあるキーを使う場合、連続的なシフトがやりやすい」という話については、かな入力系に限った話ではなく、英字入力においても活用されている事例があります。
英字入力版については、
「SandS」という名前で公開されていますので、そちらをごらんいただくことで、かな入力系における連続的なシフトについての可能性を確認できるかもしれません。
「表」、「シフト無し」、「アンシフト」
これらは同義であり、すべて
操作の事を指しています。
「逆」、「クロスシフト」
これらは同義であり、すべて
- 親指以外の指で文字キーを押し、一緒に逆側の手にある【親指シフトキー】を押す。
操作の事を指しています。
「NICOLA(ニコラ)」では「片手操作か、両手操作か」の違いが「清音か、濁音か」の違いに直結していたため、必ずこの表現方法が使われています。
しかし、飛鳥カナ配列は異なるルールで文字を割り当てているため、場合によっては後述する「右シフト・左シフト」で説明するほうが、解りやすい場合もあります。
「裏」、「ストレートシフト」
これらは同義であり、すべて
- 親指以外の指で文字キーを押し、一緒に同じ側の手にある【親指シフトキー】を押す。
操作の事を指しています。
「NICOLA(ニコラ)」では「片手操作か、両手操作か」の違いが「清音か、濁音か」の違いに直結していたため、必ずこの表現方法が使われています。
しかし、飛鳥カナ配列は異なるルールで文字を割り当てているため、場合によっては後述する「右シフト・左シフト」で説明するほうが、解りやすい場合もあります。
「左シフト」、「左親指シフト」
これらは同義であり、すべて
- 親指では【左親指シフトキー】を押し、一緒にほかの指で文字キーを押す。
操作の事を指しています。
一般的には「無変換キー」を左親指シフトキーとして使いますが、これは「親指シフトエミュレータ」の設定を変えることで、「スペースキー」などに変えることもできます。
左シフトと左側文字キーを一緒に押す操作は【裏】と呼ばれることもあります。
左シフトと右側文字キーを一緒に押す操作は【逆】と呼ばれることもあります。
「右シフト」、「右親指シフト」
これらは同義であり、すべて
- 親指では【右親指シフトキー】を押し、一緒にほかの指で文字キーを押す。
操作の事を指しています。
一般的には「変換キー」を右親指シフトキーとして使いますが、これは「親指シフトエミュレータ」の設定を変えることで、「スペースキー」などに変えることもできます。
右シフトと左側文字キーを一緒に押す操作は【逆】と呼ばれることもあります。
右シフトと右側文字キーを一緒に押す操作は【裏】と呼ばれることもあります。
「小指シフト」、「小指外方シフト」
これらは同義であり、すべて
- 小指で押す【Shift】キーに続けて、文字キーを押す。
操作の事を指しています。
「NICOLA(ニコラ)」では、半濁音(ぱぴぷぺぽ)を入力するために使われています。
飛鳥カナ配列では、英字や英記号類を入力するために使われます。
和文に交ぜて英字や英記号類を打つ場合は、「英数・かな」切替を行わずとも、Shiftキーを押しながら文字キーを押すことで、大抵の入力作業を処理できます。
親指位置にシフトキーを2つ追加した理由。
私たちは、ひらがなを学ぶために「50音表」を見て育ってきたはずです。
一方で、「かな漢字変換」のために使われる文字類は、少なくとも【あぁいぃうぅヴえぇおぉかがきぎくぐけげこごさざしじすずせぜそぞただちぢつづってでとどなにぬねのはばぱひびぴふぶぷへべぺほぼぽまみむめもやゃゆゅよょらりるれろわをん、。】の83文字あります。
日本語入力をするためには、少なくとも「何らかの方法を使って、83文字を打ち分けることが必要」なのです。
普通のひらがな入力・ローマ字入力では、
- 決められた順序でいくつかキーを押していって、はじめて必要とするひらがなが出る
のですが、「親指シフト方式」では
- 特定の組み合わせでキーを押して、はじめて必要とするひらがなが出る
ようになっています。
「親指シフト方式」では、30~32個の文字キーを使い、必要に応じて2個の親指シフトキーを併用することにより、90~96個の文字をワンアクションで打ち分けることができます。
そのため、先に示した83文字だけではなく、和文入力で必要となる和文記号(カギカッコ・カッコなど)&英文記号(!・?など)を含めて、余裕を持って収容することができます。
最終更新:2007年12月16日 02:37