アストラル(あすとらる)
「勝利の方程式は完成したぞ!」
遊馬がシャークとデュエルしている最中に突如出現した扉を、超かっとビングした遊馬が「皇の鍵」を使って開けたことがきっかけで現れた正体不明の存在。
普段は遊馬以外では一部の人間しか認識できない(*1)。触れることは遊馬にもできず、壁などもすり抜けてしまう。
見た目の特徴として、中性的な人間型だが、体表は透き通るような水色をしており微弱ながら全身発光している。
瞳の色は金色だが、オーラを纏っている間は光の加減なのかオーラと重なる部分(右目)が銀色に見える。(*2)
また、身体や顔のいたる部分に模様らしきものが確認できる上、常時ふわふわと滞空している。
一目で人外と解る青い身体でしかも全裸となると、どこぞのネオスペーシアン(アレとかコレとか)を彷彿させるが恐らくは関係ない。はず。
その記憶がナンバーズ・カードとなって飛び散ってしまったため自身に関しての一切の記憶を失ってしまう。
但し、アストラルという自分の個体名とデュエルに関する記憶だけははっきり覚えており、遊馬の住む世界の文化や生活様式など、
ありとあらゆる事象をデュエルに関連付けるという叩き上げのデュエル脳を体現している。それ故、涼しい顔でトンデモない台詞をさらっと言ってのけたりもする。
一例を挙げると、アストラルの姿が自分以外の誰にも見えない事を悟った遊馬が
「まさかお前、幽霊だろ!?」と訊ねた折りに真顔で返した第一声が、
「落ち着け。幽霊とはどんな効果だ?いつ発動する?」。(*3)
キャッシーが遊馬の部屋へ忍び込んできたときにも何をするでもなく静観していた(自身も類似した状況であるためか、その家の住人でない者が侵入するという事態を異常だと思わなかったらしい。)
遊馬と出会って間もない頃は記憶障害のためかそれとも単に小馬鹿にしていたのか、遊馬の事を「トンマ」と呼ぶこともあった。(*4)
特に、ナンバーズとの決闘ではアストラルの生命は遊馬のLPと連動しており、
ナンバーズ所有者との決闘で遊馬のLPが0になる事は即ち彼の消滅を意味している(*5)。
表裏徳之助に《No.39 希望皇ホープ》と《No.17 リバイス・ドラゴン》をコントロール奪取されてしまった際には苦しそうに跪き、
青い卵のような繭のようなものに身を包んでいた。
Dr.フェイカーからは「ナンバーズのオリジナル」、又は単に「オリジナル」と呼称されている。また、ホープはオリジナルの分身らしい。
自身の記憶と半透明だった体表の一部を少しずつ取り戻すと共に遊馬の所有カードとなる。
遊馬の肉体を乗っ取って自らの使命を全うするつもりだったらしい。
主人公の年齢を下げたというのに物語序盤から恐ろしいことをさらりと言ってくれるが、これも遊戯王だから仕方ないのかも知れない。
また、鍵の中に居るときに鍵の所有者が遊馬から別の者となると、外に出てこられなくなるようだ。
但し、遊馬が風魔とのデュエルに単身挑んでいた際には、この状態の際に鍵を持っていた小鳥ちゃんに対しては、謎空間にて彼女と会話することが可能だった。
皇の鍵の内部にいない時は遊馬から離れる事が出来ないらしいが、25話で出現した異世界の太陽の影響が続いているのか、最近ではかなり上の方から降りてきたりしている。(*7)
暫く意気消沈している時期が続き、ジンとのデュエルではカイトの人形に威圧されていた事もあった。
その後、彼とのデュエルにおいて一度は勝利を諦め、自らも遊馬とともに消滅する事を覚悟したが、
最後まで希望を捨てなかった遊馬の「かっとビング」によって自らも希望を取り戻し、皇の鍵から発射された謎のビームによって力が覚醒、
《No.39 希望皇ホープ》をカオスエクシーズ・チェンジし、《CNo.39 希望皇ホープレイ》に進化させた。
自身の危険をも顧みず謎の扉を開いてアストラルを助けに来た遊馬と、アストラル自身でオーバーレイ・ネットワークを構築し、アストラル世界を救うとされる奇跡の力・ZEXALへと姿を変え、カイトを追い詰めた。
このデュエルでは最終的にカイトに引き分けに持ち込まれてしまったものの、以降カイトのほうもアストラル(と遊馬)のことを「強敵」と認めたようだった。
アストラルは前述のとおり記憶を失っているため、しばらくは何のために人間世界に来たのかも分かっていなかった。
デュエル脳故か、彼の持ち合わせている知識には相当な偏りがあり、食事やトイレすら彼にとっては物珍しい「観察対象」と成り得るようだ。
しかし、猫を知らなかったかと思えば、女性(女の子)の心理につい心得ているような口振りを見せたりと、
デュエル以外で彼の持ち合わせている知識には偏り云々以前に謎に思える部分も多い。
その他に人間世界の文化にも興味を示しているようで、放送中のヒーロー番組「異次元エスパー・ロビン」に夢中になっているようで、
夜も更け遊馬がぐっすり眠りについている時間帯に一人、テレビの前で体育座りをしながら無言で番組を眺めるという、
これまでの印象を覆すには充分な何とも形容しがたい一面を見せた。(*8)
安眠を妨害された苛立ちから視聴中のテレビを消した遊馬に対して珍しく抗議したり(*9)、フィクションという概念を知らないために
同番組の主人公・ロビンを「自分と同じく異次元からやって来た仲間」と思い込んだ挙句に遊馬を振り回したり、
さらには続くエスパー・ロビンこと風也とのデュエルでは彼が召喚した《野獣戦士ピューマン》《No.83 ギャラクシー・クィーン》などといった
モンスター達をエスパー・ロビンの世界の設定に基づいて真面目な顔で紹介・アドバイスしていた。
尚、記憶が飛び散る以前には人間世界のことをある程度知っていたらしく、Ⅲから取り戻したナンバーズの記憶としてハートランドの規模・概要について遊馬に解説していた。
とくにショーベェ戦では音声はないがつけるなら「へぇ~」「ふ~ん」「ほー」と言ってそうな顔をした。
他には遊馬や六十郎と共に風呂に入ってみたり(*10)、Good Job!とかを覚え始めている。 (゜-゜)b
トロンとの決戦で、遊馬がZEXALに変身した状態で食事フェイズに突入し、デュエル飯を遊馬が頬張った際には、
はじめての「食事」を体験し、食事を通じて「これが生きる実感!」と嬉々とした表情で大いに感激。もっとデュエル飯を食べたい、という思いを胸に再び闘志をたぎらせた。
最近は遊馬の部屋に入り込んだネズミをデュエリストに育て上げた。名前はチュー馬。
どうやらアストラル世界の住人には人間と同じく性別・世代といった概念が存在するようだ。
しかしアストラル自身の性別は監督曰く「設定に関わること」であるらしく、はっきりとは明言されていない(*12)。
しかし自身がカイトとの勝負で追い込まれ、遊馬との別れを覚悟した瞬間にはその頬に「涙」を流した。
自身とは対照的な性格の遊馬や、周囲の人々に触れることで、熱い気持ち・友情・諦めない心・人間の温かさ・そして「かっとビング」の精神などを汲み取っている。
今では遊馬のことを立派な相棒として認めており、ナンバーズを失えば消えてしまうかもしれない自身の命運さえも「キミが選んだ道に従う」と語っている。
ちなみに遊馬の言葉などに感銘を受けると一瞬眼を閉じ、体が光る。
遊馬が真月に協力したのも、それをアストラルに隠し続けてきたのも、あくまでもアストラルを助けたい一心であったのだが、
そうとは知らないアストラルのほんのちょっとの「勘違い」や「ひっかかり」をベクターは言葉巧みに「遊馬への懐疑の念」へと変貌させる。
結果、友情を築き上げてきてからは遊馬をまっすぐに信じ続けていたアストラルの心に、ほんの小さな疑いの「黒いシミ」ができてしまう。
そして感情・性格を持たないアストラルは同時に非常に純粋な存在であった。
その後、唯一言葉を通わせることが出来る遊馬の「かっとビング」を信じる真っ直ぐで絆を大事にする心意気に多大な影響を受け、
アストラルも遊馬同様真っ直ぐな性格に成長していたのだろう。
しかし、真月零の登場によって、唯一心を通わせることが出来る存在であった遊馬が微妙に変化したことで、
アストラル自身の心も自身でも気づかないうちに非常に微妙な変化をしてしまったのだと思われる。
そして、遊馬以外では初めて自身の心に(ムリヤリ)介入してきたベクターにより、アストラルの心の非常に微妙な変化は、
明確な「遊馬への疑いの念・心の黒いシミ」となり、アストラルに悪の心を抱かせる要因となる。
黒く染まってしまったアストラルはムリヤリ遊馬を引き込んで「ダーク・ゼアル」へと姿を変え、更なる力を求めて自身のライフポイントも顧みずに暴走する。
この時のアストラルは、「遊馬に裏切られた」という思いを引きずり、怒り・疑い・悲しみをもたらす遊馬を悪だとして完全に遊馬を信じる心を失い、
同時に憎悪や怒りといった悪がもたらす力にただただ溺れるだけの異常で凶悪な性格に変貌していた。
それでも積み重ねてきた思いの力と希望を信じ、諦めず戦う遊馬のことを「私はもう、これまでのように君を信じることは出来ない」とした上で、
「だが、どんな窮地に陥っても希望を信じて戦う君を、私は信じたい」と、
今まで触れあうことができなかったお互いの手と手を初めて重なり合わせ、一度は途切れてしまった絆、そして「かっとビング」の思いを今までとは違う真の意味で繋ぎあわせた。
それでも遊馬を信じたいとはじめて自分の意志で願ったことで、アストラルと遊馬はこれまでとは違う真の絆で結ばれたのだった。
二人は新たなる奇跡の力・「ZEXALⅡ」へと姿を変え、
二人のすれ違いの心の象徴《
新たなる希望《CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー》を手にし、再びベクターを打ち倒したのだった。
ベクターは「汚されたという思いは永久に残り、それがお前たちの絆を蝕んでいく…」という言葉を残していった。
ブラック・ミストもまた、「悪を必要とする未来が待っている」と言い残している。
果たしてアストラルの心はどう変化してしまうのだろうか…
サルガッソからさかのぼってZEXALⅡ89話、
バリアン世界との戦い、バリアンズ・スフィア・フィールドの影響で傷ついたアストラルの前に、たびたび遊馬の前に現れる謎の扉が現れた。
突如鍵の中へと呼び寄せられた遊馬や、自らの封印の開放と引き換えに協力を申し出たブラック・ミストの力を以て影の巨人を打ち倒したアストラルは、
WDCにて得た50枚のナンバーズ・カードと謎の扉が導く記憶への道の先に、自身の使命を思い出す。
また、あらゆる世界はこのヌメロン・コードと呼ばれるたった1枚のカードから生まれたそうだ。
アストラル本人は相変わらず記憶を完全には取り戻せておらず、あくまで又聞きの情報でしか無いのだが、
ブラック・ミストもあくまでアストラルの記憶の一部には間違いないことや、ナンバーズには心の闇を増幅させたり、世界を滅ぼす力が備わっているらしいことから、アストラル自身は自分の正体について懸念している様子。
前述の悪の力に染まり、ひたすらに力を求めるようになってしまったアストラルも、もしかしたら「本当のアストラル」に近い存在なのかもしれない。
事実、ドン・サウザンドもアストラルのことを覚えており、アストラルの方もドン・サウザンドの復活に呼応してその時の記憶の一部を思い出した。
ということは数千年前からアストラルは存在していたのだろうか?そしてバリアン世界の神をも封印してしまうアストラルの正体とは一体…
続く111話、No.96が発動した《カオス・フィールド》の力にダウンした遊馬を引き継いでデュエル。
さらに、ZEXALⅡに変身し、新たなZWで、No.96を倒すことに成功した。
アストラルは遊馬が被害を受けないよう、とっさに合体を解除。しかし、No.96の攻撃はアストラルに直撃。
そのままアストラルを乗っ取ろうとするNo.96。そして自身が乗っ取られるのを防ぐために、アストラルが選んだ決断とは…
結果、No.96も消滅し、(*14)遊馬に自分の思いを伝え、No.を託し消滅した…。
遊馬と共に、長くデュエルしてきた相棒が消えたこと、さらにこの回のEDが、遊馬とアストラルが一緒にいるシーン集だった故に、多くの視聴者の涙を誘った。
根本的に相反するカオスの力をまともに受けたこと、そして受けたダメージが大きすぎたこともあって目覚めることはできず、さらにアストラル世界の総意の化身たる人造神・エリファスは「カオスに穢された」アストラルを抹消・再構築しようとしていた。
そして、アストラル世界の人々から分け与えられた力によって傷は癒され、目覚めたアストラルはようやく遊馬と再会。
「バリアン世界からアストラル世界を守る」という目的を、遊馬とともに新たな形で成し遂げるべく人間世界へと戻って行った。
どうにか追撃の手を振り切った遊馬とともに、元は人間であった彼らをも救うべく、全ての元凶たるドン・サウザンドを撃破することを決断。飛行船でバリアン世界へ急行した。
真の姿を現したドン・サウザンドを前に、遊馬、ナッシュとともに最後の戦いに臨むことになる。
真実
遥か古の時代、アストラル世界から追放されたカオスの化身であるドン・サウザンドは、アストラル世界を滅ぼすべく攻撃を開始。
これに対し、迎撃に出たアストラルは半ば相討ち同然の勝利を収めるが、この時にアストラル自身の存在が真っ二つに分離してしまい、その力の半分は、ヌメロン・コードのありかを刻んだ50枚のナンバーズとなって人間の世界に飛散してしまった。
七枚の封印のナンバーズやラッキー・ストライプなど、明らかに1話で遊馬と衝突するより前から存在していたものについては、この時散らばった「力のナンバーズ」と考えられる。
ここまでの戦いで、参戦した仲間たちはほぼ全滅、救うはずだった七皇もいなくなってしまったという状況下、アストラルは遊馬に、ヌメロン・コードを用いて歴史を書き換え、彼らを救済することを提案する。
最終的には遊馬は「望む未来のために、仲間は誰も見捨てない」という答えに至るが、皮肉にもそれがナッシュにトドメを刺してしまう結果となる。
反発する遊馬はデュエルを挑み、これを受けたアストラルは遊馬を相手に、歴史そのものをかけた「戦いの儀」を開始した。
バリアンとの戦いが始まって以降、遊馬を取り巻く状況は坂道を転がるように悪化し続けた。
それらに苛まれながらも大事なものを守るために足掻き続ける中、気付けば、いつでもかっとビング魂を胸に突き進み、アストラルを変えてくれた九十九遊馬はそこにはいなかった。
最後の最後にようやくそれに気づいた遊馬は自力でのシャイニングドローを発動。
バリアン世界と統合されたことで発生した新たな危機に対抗すべく、遊馬直伝のかっとビングを胸に、次なる戦いへ向かって行った。
そんな彼を助けるために、かつての仲間が、かつての敵が、肩を並べて向かっていることを。
古の戦いで分かれたもう一人の自分自身、九十九遊馬との再会の時が近いことを。
デュエリストとして
ディスアドバンテージが全体的に酷い遊馬デッキで天城カイトとほぼ互角に渡り合うほどの実力を見せ付けた。
現在のデュエルのパラダイムに漏れず、《ゴゴゴゴーレム》をセットするように指示するなど、攻撃力より効果を優先していることが多い。
また確率の計算が得意であり、サイコロを振ったときに6の目が11回連続で出る確率を瞬時に計算している(1/6^11 = 1/362797056)。
「デュエルの記憶だけが残る」ほどデュエル脳であると考えれば、アストラル世界では6進数(*15)も使われているのかもしれない。
ひょっとしたら遊馬のデッキ内容を完全に把握していたり、逆転カードをドローする確率を計算していたりするのかも。
アストラルの人間界観察結果
- :君(遊馬)のデュエルタクティクスは私より遥かに劣るようだ(*16)。
- :君は変だ。
- :人間は食べては出すという永久コンボをする。しかし、出す瞬間を見られたら死んでしまう…人間は完全なコンボで生きている。
- :これ(遊馬の持つ鍵の中の世界にある、謎のオブジェ)は、この世界の物ではない。→何かメッセージの隠されているパズルのような物か?
- :人間は心が痛くなる。
- :人間は褒められると頑張る。
- :私の記憶のピース「ナンバーズ・カード」、それに触れた者は心の中の欲望や闇が増幅するようだ。
- :遊馬はデュエルを禁止されている。
- :遊馬にも裏があるようだ。 ……ウラ。
- :人間の親子の愛情は私には理解……してもいい。 or テストの答えを勘で書くのは、かっとビングが通用しない。
- :どうやら、まだ遊馬には女性の気持ちを理解出来ないようだ。
- :(協力してデュエルを行った遊馬とシャークに対して) コレが、キミ達のデュエルか……
- :仲間がいれば、希望を信じることができる。
- :遊馬、 君はみんなに愛されてるようだ。
- :サッカーとは、なかなか奥深いもののようだ。
- :かっとビングは、トマト嫌いにも効くようだな。
- :人間は、思わず言った言葉で人を傷つける。しかもそれを覚えていない。→言われ損だな、小鳥。
- :キャットビングにドッグビング。かっとビングは色々と呼び名を変えて広まっている。(*17)世界中に広まる日もそう遠くはないだろう。
- :(デュエル・コースターで罠レーンへ進み続ける遊馬に対して)やっぱり遊馬は・・・バカだ。
- :(男兄弟が欲しかったと言う遊馬に対し)明里は……女だった。
- :気持ちのいい敗北も、どうやらあるらしい。
- :人間は時折、自分の気持ちを素直に表さないことがある。
しかし、そのすべてを記憶しているかどうかはかなり怪しい(*18)。
このセリフも遊馬と過ごす時間が経つごとに本旨を変えてきており、初期は「自分が消えないためにもなんとしても勝つぞ」という意味合いが強かったが、
最近では「相手がどんな強敵でも力をあわせて一緒に勝つぞ」といった意味に聞こえる。
同じセリフだが、こちらも上述の観察結果同様、使用されるシーンが変わることでどういうふうに意味が変わっていくのかたどっていくと面白いかもしれない。
遊戯王キャラとしてはこれが初出演だが、GX放送時はアイシールド21で主人公の小早川瀬那を演じておりGXとの放送時間帯の関係で十代とコラボでアイシールド21の番宣をしていた。
十代「ヒーロー召喚!!」
小早川瀬那「アイシールド21!!」