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リトル・マーメイド

原題:The Little Mermaid
公開:1989年11月17日
時間:85分
監督:ロン・クレメンツ*ジョン・マスカー*
原作:ハンス・クリスチャン・アンデルセン*

1992 1998 2006(SP) 2006(Pt) 2013(SP)
2013(DC)



  • 目次

ストーリー

アトランティカトリトン王の取り決めによって、人間の世界との接触は固く禁じられていた。しかし、王の末娘である人魚姫・アリエルは人間のハンサムな王子・エリックに一目ぼれしてしまう。アリエルは嵐によって海に投げ出されたエリックを救出し介抱する。この時、エリックもアリエルに惹かれる。

しかし、お目付け役のセバスチャンが口を滑らせてしまったことから、トリトンにアリエルが人間に恋をしてしまったことがばれてしまう。罰として人間の世界のコレクションを破壊されてしまった傷心のアリエルは、ウツボのフロットサムジェットサムにそそのかされて海の魔女・アースラのもとへと導かれる。アースラはアリエルに3日間だけ人間になる魔法をかけてもらう。だが、この取引にはアースラの海の世界の侵略計画が隠されていた。

概要

ディズニーの長編アニメーション映画第28作。

ビデオ用として、2000年に『リトル・マーメイドII Return to The Sea』、2008年に『リトル・マーメイドIII はじまりの物語』が製作された。

2023年には実写映画『リトル・マーメイド』としてリメイク版が公開された。

歴史

人魚姫*』の企画が最初に立ち上がったのは『白雪姫』(1937年)の製作開始直後であった。ウォルト・ディズニーハンス・クリスチャン・アンデルセン*の作品をまとめて長編にしようと考えていたが、実現されなかった。

時は流れ1985年、『オリビアちゃんの大冒険』の監督であるジョン・マスカー*ロン・クレメンツ*が『人魚姫』の映画化に興味を持つ。水中の世界はアニメーションにふさわしいと考えたクレメンツは2ページほどの概略を執筆し、映画部門のトップであるジェフリー・カッツェンバーグ*に披露した。当時、人魚をテーマにした実写映画『スプラッシュ』(1984年)の続編を製作中であったため、カッツェンバーグはこれを却下した。しかし翌日、『オリバー ニューヨーク子猫ものがたり』(1988年)と同時進行という形で承認された。

製作中、スタッフは前述のウォルトが企画していた『人魚姫』の1930年代当時のケイ・ニールセン*のスケッチを偶然発見し、50年前にも同様のプロジェクトがあったことを知った。当時のスタッフたちの原作のアレンジ項目の中には、現代のスタッフのアレンジ項目と偶然同じものがいくつかあったという。クレメンツとマスカーはスクリプトを具体的にするにあたって人魚の祖母をカットし、王様と海の魔女の出番を増やすことにした。『ロジャー・ラビット』と『オリバー ニューヨーク子猫ものがたり』の公開が近づくと、本作の製作は中断されることとなった。

1987年、『オリバー』に楽曲を提供した作詞家のハワード・アシュマンが参加することになった。マイナーなカニの執事のキャラクター、クラレンスをジャマイカのカニに変更し、彼にカリプソを歌わせることで映画全体の楽曲の方向性を提案した。それにより、アシュマン、マスカー、クレメンツ、カッツェンバーグは本作をブロードウェイのようなミュージカル形式にすることを決定。アシュマンは物語全体にも携わることとなり、作曲家のアラン・メンケンも歌だけでなく全体のスコアも手がけた。

アニメーション

大ヒットを飛ばす機会に恵まれなくなったディズニーとしては、ここ10年で最高となる製作費を本作に投資した。本作では原点回帰として、30年前まで使われていた「俳優の演技を基にキャラクターをスケッチする」手法を久々に使用し、ロサンゼルスのコメディグループ出身のシェリ・リン・ストーナー*とブロードウェイ俳優のジョシュア・フィンケル*がそれぞれアリエルエリックのモデルを務めた。アリエルの声はメリッサ・ファーン*が候補だったが、ジョディ・ベンソンに決まった。

アリエルの作画監督はグレン・キーン*マーク・ヘン*セバスチャンダンカン・マージョリバンクス*トリトンアンドレアス・デジャ*アースラルーベン・アキノ*が務めた。アリエルの体型と性格は女優のアリッサ・ミラノ*を参考にし、水中での髪の流れ方は宇宙飛行士のサリー・ライド*が宇宙に行った時を参考にした。モデルのストーナーも実際に泳いだという。アースラの外見はドラッグパフォーマーのディヴァイン*を参考していた。アースラの声には候補者が複数の中からエレイン・ストリッチ*に内定するも、楽曲のスタイルに合わなかったために降板、パット・キャロルが演じることとなった。エリック役にはジム・キャリースカットル役にはビル・マー*マイケル・リチャーズ*が候補に挙がっていた。

水中の表現のために、特殊効果担当のマーク・ディンダル*は何百万もの泡を作ったと語っている。エアブラシやバックライト、コンピュータアニメーションも駆使して泡が表現された。この作業の大半は中国*北京*にあるパシフィック・リム・プロダクションズ*が担当した。遠近法を撮影するディズニー伝統のマルチプレーン・カメラ*は老朽化のため使用には不向きで、外部の施設で代用した。

本作はディズニーの伝統的な手書きの手法で製作された最後の長編アニメーション映画となり、次作の『ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え!』(1990年)からはCAPS*ピクサー・アニメーション・スタジオがディズニーに開発したシステム)を用いたデジタル製作に移行することとなった。本作でも一部のシーンにCAPSが試験的に導入されており、ラストシーンの虹や、アースラ戦で破壊された船、アリエルとエリックの馬車のシーンなどで確認することができる。

音楽

本作ではブロードウェイ作品のようなアニメーションを目指し、アシュマンが作詞、メンケンが作曲を手がけた。名曲「パート・オブ・ユア・ワールド」については試写の段階で小学生が退屈して走り回ったため、カッツェンバーグはカットを要請した。マスカー、クレメンツ、キーンは『オズの魔法使』(1939年)の「虹の彼方に」のように主人公が夢を語る大事な歌だとしてこれを拒否した。このシーンはより鮮やかに作り直し、二度目の試写で子供の心を掴み、作品を代表するミュージカル・ナンバーとなった。

キャスト

アリエル ジョディ・ベンソン すずきまゆみ
セバスチャン サミュエル・E・ライト 上條恒彦
アースラ パット・キャロル 森公美子
エリック クリストファー・ダニエル・バーンズ 井上和彦
トリトン ケネス・マース 久米明
フランダー ジェイソン・マリン* 大友大輔
スカットル バディ・ハケット* 肝付兼太
グリムズビー ベン・ライト 八奈見乗児
ジェットサム パディ・エドワーズ 森山周一郎
フロットサム パディ・エドワーズ 森山周一郎
カーロッタ イーディ・マクラーグ 遠藤晴
トリトンの伝令官* ウィル・ライアン 水島裕
マックス フランク・ウェルカー* -
シェフ・ルイ ルネ・オーベルジョノワ 河東燈士
安西康高(※)
アクアータ
アンドリーナ
アリスタ
アティーナ
アデーラ
アラーナ
海賊の船長 エド・ギルバート
船員 茶風林
郷里大輔
司祭 西川幾雄
サリー・スティーヴンス
その他 パトリック・ピニー
ミッキーマウス -(カメオ出演)
ドナルドダック -(カメオ出演)
グーフィー -(カメオ出演)


※再公開版は初公開版と台詞は同じものを使用しているが、同じ声優陣(すずきまゆみ、上條恒彦、森公美子)によって挿入歌が新しい歌詞によって新録された。シェフ・ルイ役の河東燈士は1997年に逝去しており、歌の録り直しのみ安西康高が代役を務めている。

スタッフ

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楽曲

タグ:

長編映画
最終更新:2024年02月15日 00:05