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ロビン・フッド

原題:Robin Hood
公開:1973年11月8日
時間:83分
監督:ウォルフガング・ライザーマン*
原案:ケン・アンダーソン*

1999 2003



  • 目次

ストーリー

国民から慕われているイングランドのリチャード王*が十字軍遠征の捕虜となっている間、弟のプリンス・ジョンが国を治めることになった。わがままで傲慢なプリンス・ジョンは貧しい者から税金を搾取する生活をしていた。

義賊のロビン・フッドと相棒のリトル・ジョンは、プリンス・ジョンの手下から金を盗み、貧しい群衆に分け与えていた。ある日、プリンス・ジョン主催の弓のコンテストが開かれることになる。優勝者にはリチャード王の姪マリアン姫からのキスが贈られるという。弓の名人ロビンはマリアンの幼馴染で、互いを想い合っていた。

お尋ね者のロビンは、正体がばれないようにコウノトリに変装し、コンテストに挑む。ロビンの正体を見抜き、喜ぶマリアン。見事優勝の座を射止めるものの、プリンス・ジョンの側近サー・ヒスがロビンの変装を見抜いてしまい、捕まってしまう。マリアンの世話役レディ・クラックとリトル・ジョンの機転で脱出したロビンはマリアンと森へと逃げてゆく。

その夜、ロビンを慕う国民が集まり、森でダンスが行われた。翌日、この森のプリンス・ジョンをバカにする歌が流行り、プリンス・ジョンの手下・ノッティンガムのシェリフの耳にも届く。シェリフとサー・ヒスもご機嫌に歌いだすが、プリンス・ジョンはもちろん激怒。国民を片っ端から捕まえて逮捕してしまう。さらに、税金の取り立ても厳しくしていく。

概要

ディズニーの長編アニメーション映画第21作。イギリスのロビン・フッドの伝説を擬人化した動物で表現した作品。

制作費を抑えるべく、過去の作品のモデリングを再利用する手法(リサイクル・アニメーション)が用いられている。『白雪姫』(1937年)、『ジャングル・ブック』(1967年)、『おしゃれキャット』(1970年)を利用したおかげで、森のダンスシーンは非常に大きな削減を果たしている。デザイン面では『ベッドかざりとほうき』(1971年)のレオニダス王や『ピーター・パン』(1953年)のピーター・パンのコスチューム(ロビン・フッドに継承)なども大きな役割を果たしているように見える。他にもサー・ヒスの催眠術は、『ジャングル・ブック』のカーの催眠術と同じ動きをしていたりする点も見受けられる。また、音楽面においても、ラストシーンの結婚式の教会の鐘の効果音は『シンデレラ』(1950年)のものを利用している。

悪党プリンス・ジョン役に俳優ピーター・ユスティノフを起用している。彼はドイツ語吹き替え版でも同役を担当している。『ジャングル・ブック』に登場するバルーとよく似ている熊リトル・ジョンが登場しているが、どちらも同じくフィル・ハリスが声を担当している。『ジャングル・ブック』(1967年)、『おしゃれキャット』(1970年)に引き続き、ハリスが3作連続で出演している。

次回作『くまのプーさん 完全保存版』(1977年)に教会のネズミ夫妻を演じたジョン・フィドラーバーバラ・ルディが2作連続出演している。

カントリー・ポップの鬼才ロジャー・ミラーが挿入歌全5曲を提供しており、自身も語りを担当するオンドリの吟遊詩人アラナデール役として出演し、3曲を歌っている。

また、現在一般にDVDが出回っているディズニーの長編アニメーション映画の中で唯一、日本語版の声優が伏せられている作品である。

歴史

白雪姫』(1937年)を製作した頃からウォルト・ディズニーは12世紀の狐のレナードのアニメ映画化に関心を持っていたが、レナードは主人公にふさわしくないという懸念から実現しなかった。1938年2月12日の会議では「子供を怖がらせてしまうのではないか」といった議論をしている。ウォルトは『宝島』(1950年)の中で、ジョン・シルバーがジム・ホーキンスに物語を聞かせるシーンに狐のレナードのアニメーションを挿入することも考えたが、スタジオ初の完全実写映画にするためこの案は棄却された。のち、『Chanticleer*』というニワトリを主人公にした長編アニメーションにレナードを悪役として登場させようとしたが、製作自体が中止となりお蔵入りとなってしまった(代わりに製作されたのが『王様の剣』(1963年))。

おしゃれキャット』(1970年)の製作中、ケン・アンダーソン*は次回作の構想を練るにあたり、古典を原作にしようと考え、『ロビン・フッド』を選ぶ。アンダーソンは主人公をキツネにすること、舞台を南部にすることを希望した。上層部は『南部の唄』(1946年)が叩かれたことから慎重であった。結局、ウォルフガング・ライザーマン*の決定によって舞台はイギリス*となり、ベテランのラリー・クレモンズ*が脚本に参加することとなった。

ライザーマンは悪役をオオカミにするなどステレオタイプに基づいた分かりやすいキャラクター設定を行った。アンダーソンはロビン・フッドの一党(メリーメン)を出したがっていたが、ライザーマンが『明日に向って撃て!』(1969年)のようなバディ・ムービーを希望したため、ロビンの相棒はリトル・ジョン、友人にタック神父、そしてアラナデールをナレーションに回すという対応がとられた。

製作は声優のオーディションなどによって遅れてしまったため、ライザーマンは過去作である『白雪姫』(1937年)、『ジャングル・ブック』(1967年)、『おしゃれキャット』(1970年)のダンスシーンをリサイクルしてコストや製作期間の削減を図った。

キャスティング

1970年10月の時点で、声優はほぼ決まっていた。ロビン・フッドは『最高にしあわせ*』(1967年)に出演したトミー・スティール*プリンス・ジョンには生前ウォルト・ディズニーが絶賛していた『黒ひげ大旋風』(1968年)のピーター・ユスティノフが内定した。しかし、スティールは英雄らしさが出せないという理由で降板し、候補のバーナード・フォックスブライアン・ベッドフォードのうち、ベッドフォードが引き継ぐこととなった。

キャスト

初公開版 旧録版
ロビン・フッド ブライアン・ベッドフォード 大宮悌二
稲葉実
江原正士
リトル・ジョン フィル・ハリス 八木光生 吉水慶(台詞)
世良明芳(歌)
プリンス・ジョン ピーター・ユスティノフ 川久保潔 内田稔
サー・ヒス テリー・トーマス 槐柳二 牛山茂
マリアン モニカ・エヴァンズ 新道乃里子 土井美加
レディ・クラック キャロル・シェリー 平井道子 北村昌子
タック神父 アンディ・デヴィン 小山武宏
ノッティンガムのシェリフ パット・バトラム 沢りつお 遠藤征慈
トリガー ジョージ・リンゼイ 北村弘一
長島雄一
岡田吉弘
ナッツィ ケン・カーティス 作間功
鈴木勝美
金尾哲夫
チャーチ・マウス ジョン・フィドラー 二又一成 牛山茂
マザー・マウス バーバラ・ルディ 麻生美代子 後藤真寿美
マザー・ラビット バーバラ・ルディ 小沢寿美恵
スキッピー ビリー・ウィテカー 土井美加
シス ダナ・ローリタ
タガロング ドリー・ウィテカー
トビー・タートル リッチー・サンダース 林泰文 牛山茂
クロコダイル* キャンディ・キャンディード 雨森雅司
島香裕
オットー J・パット・オマリー 仲野裕
リチャード王* ピーター・ユスティノフ
アラナデール ロジャー・ミラー 上條恒彦 西本裕行
ナンシー・アダムズ* 伊集加代子

  • 初公開版:1975年7月19日公開。※VHS(BVHE)収録
    • DVD版:2003年2月21日、初公開版に一部追録して発売。※DVD収録
  • 旧録版:1984年ごろ製作。旧ビデオ用に新録→廃盤

タグ:

長編映画
最終更新:2022年11月05日 18:32
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