わんわん物語
ストーリー
ニューイングランドに住む
ジム・ディアと
ダーリング夫妻のもとにやってきた、コッカースパニエルの
レディはお嬢様として育てられる。ある日、夫妻のもとに赤ちゃん(
ジム・ジュニア)が生まれて戸惑うが、それでもレディは家族に愛されて暮らす。
夫婦の旅行中に、ベビーシッターとして犬嫌いの
セーラおばさんとシャム猫の双子
サイと
アムがやってきて、レディは嫌がらせを受けてしまう。家を飛び出したレディは陽気な野良犬の
トランプと出会う。二匹は、身分の違いを越えて惹かれ合う。
概要
ディズニー長編アニメーション映画第15作。
当時の長編としては珍しい完全オリジナルストーリーで、映画化を視野に入れてディズニーが
ウォード・グリーン*に依頼して執筆してもらった小説が原作となる。
歴史
1937年、ストーリー担当の
ジョー・グラントは、赤ちゃんが生まれたことで家族における飼い犬レディの立ち位置が変わったことに目を付け、
ウォルト・ディズニーにスケッチとアイデアを見せた。ウォルトはこれを楽しみ、グラントに『Lady』という新作アニメーションのストーリー作りを依頼する。
その後、なかなかウォルトの満足する物語は生まれなかった。1945年のある日、ウォルトは雑誌『コスモポリタン』に掲載されていた
ウォード・グリーン*の小説『
口笛を吹く犬、陽気なダン*』を読み、
レディがダンのような野良犬と恋に落ちればより良くなると提案。早速、権利を購入し、ヒーロー犬の名前をホーマー、ラグズ、ボゾ等の候補の中から
トランプに決定する。
製作中、いくつかのキャラクターに変更があった。レディのご近所さんのヒューバートは後に
ジョックと
トラスティという二匹の犬に変更された。
セーラおばさんのシャム猫であるニップとタックは
サイと
アムに改名した。レディの飼い主の名前はジム・ブラウンとエリザベスの予定だったが、犬の視点を考慮してミスターとミセスとなり、結局
ジム・ディアと
ダーリングに落ち着いた。
犬の視点を意識し、飼い主の顔はほとんど登場しないようになっている。ちなみにネズミは漫画的に描かれている。また、レディとトランプには恋の三角関係を成す
ボリスというキャラクターがいたが、設定は破棄され野犬収容所のシーンに登場することとなった。
オープニングでレディが帽子用の箱に入ってプレゼントされるシーンは、ウォルトが妻の
リリアン・ディズニー*とのデートをすっぽかしたお詫びに子犬を帽子用の箱に入れてプレゼントしたエピソードがモチーフとなっている。
1949年、グラントがスタジオを去ると、スタッフたちは4年かけて物語を完成させた。ウォルトはグリーンに映画用のノベライズを執筆してもらい、あらかじめ観客に物語に親しんでもらおうと考えた。
アニメーション
『
バンビ』(1942年)で本物の鹿をスタジオへ連れてきてスケッチをしたように、本作では様々な品種の犬の研究が行われた。ウォルトは犬がスパゲッティを食べるシーンを馬鹿馬鹿しいという理由でカットしようとしたが、
フランク・トーマス*がレイアウトなしでロマンチックなシーンを実現したことに感銘を受け、採用に至ったという。
本作の背景画は
メアリー・ブレア*が担当していたが、彼女は1953年に絵本作家になるためにディズニーを退社した。跡を引き継いだ
クロード・コーツ*は犬の視点を重視して人間の家を描いた。後に『
眠れる森の美女』(1959年)で印象的な背景画を描く
アイヴァンド・アール*もスパゲッティのシーンのために50枚ものコンセプト・スケッチを描き、映画史に残る名シーンに貢献した。
キャスト
- 初公開版:1956年8月8日公開。出典:『ほぼ日刊イトイ新聞』
- 再公開版:1989年7月22日公開。※Blu-ray・DVD・VHS収録
スタッフ
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楽曲
最終更新:2024年03月27日 13:35