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眠れる森の美女


1989 1996 2003 2008(SP) 2008(Pt) 2014



  • 目次

ストーリー

ステファン王*リア王妃*の間に生まれたオーロラ姫は3人の妖精フローラフォーナメリーウェザーから祝福を受ける。フローラとフォーナから美貌と美しい歌声を授かったところで、悪の魔女マレフィセントが現れる。マレフィセントは自分が招かれなかったことに激怒し、オーロラ姫に「16歳の誕生日に糸車の針に指を刺して死ぬ」という呪いをかける。メリーウェザーは希望の光を与え、マレフィセントの死の魔法を真実の愛のキスで解除できる眠りの魔法に変えてくれる。

ステファン王は国中の糸車を燃やさせ、3人の妖精がマレフィセントに見つからないようにオーロラをブライア・ローズという村娘に扮して育てることに。しかし、オーロラが16歳の誕生日を迎えると、ひょんなことから彼女の居場所がマレフィセントにバレてしまう…。

概要

ディズニー長編アニメーション映画第16作。ウォルト・ディズニーが生前に手がけた最後のおとぎ話であり、彼の死後は本作から30年後の『リトル・マーメイド』まで作られることはなかった。

本作の特筆すべき点は、世界初の70mmフィルムで製作されたアニメ映画であること。(2作目は1985年の『コルドロン』であった。)そのため、非常に大勢のアニメーターと時間を費やして完成させることになった。製作記録によると、1951年にストーリーボードを制作し、1952年に音声を収録。1953年から1958年までをアニメ制作に費やし、1957年にミュージカルスコアを収録したという。

1970年、1979年、1986年、1993年に再公開。1995年にはリマスター版として再公開された。

フィリップ王子を待ち受けるグーン*の音声には、一部『ドナルドとアリの王国』(1948年)のアリたちの音声が再利用されている。

歴史

スタジオの再起をかけた8年ぶりの長編映画『シンデレラ』(1950年)の大ヒットを受け、『眠れる森の美女』の執筆は1951年に開始した。物語には、囚われの王子や雲の上のダンスなど『白雪姫』と『シンデレラ』でカットされた要素が盛り込まれた。

1953年、監督のウィルフレッド・ジャクソンは音声収録を終えてアニメーション製作を開始する予定だったが、ウォルト・ディズニーは公開を1955年初頭から遅らせることを決定した。

数ヶ月かけて、ジャクソンとテッド・シアーズはシナリオを書き直し、ウォルトにも好評であった。修正にあたり、脚本家たちは原作の後半部分に違和感を覚え、キスによる目覚めのシーンをクライマックスに持ってくることにした。オーロラ姫フィリップ王子のロマンスに焦点を当てるために、王様の宝探しのシークエンスをカットし、前半部分の森での出会いを追加した。また、二人の再会に辻褄を合わせるため、眠りの呪いの効果を原作の100年から王子が助けに来るまでの数時間に変更した。

主人公の名前はピョートル・チャイコフスキー*のバレエ版から引用してオーロラ姫と名付けられた(原作では姫の娘の名前)。彼女の偽名であるブライア・ローズはシャルル・ペロー*版ではなく、グリム兄弟*版の要素である。王子の名前はエディンバラ公フィリップ王配に因んでフィリップと名付けられた。彼は初めて名前を与えられたディズニーのプリンスである。

1953年12月、ジャクソンは心臓発作を患い、エリック・ラーソン*が監督を継ぐこととなった。1954年4月には公開予定が1957年2月に延期された。ウォルトは森のシーンについて、イラストがそのまま動くようなアニメーションを要求。作業の質を高めるために公開日は1957年のクリスマス、1958年のクリスマスとさらに延期を繰り返した。延期の原因として他の事業を掛け持ちしていたウォルトがストーリー会議に出てこないことを挙げる者もいた。製作終盤になり、ウォルトは監督をラーソンからクライド・ジェロニミに交代させた。

アクションシーンを得意とするウォルフガング・ライザーマン*はドラゴンの戦闘シーンを王子を殺すつもりで演出し、迫力のある場面を作り上げた。レス・クラーク*は群衆が宮殿に到着する精巧なオープニングシークエンスを見事に完成させた。

アートディレクション

アニメーションのスタイルは『シンデレラ』のロココ調を離れ、中世の美術イメージとアール・デコの様式を融合したスタイルを確立した。『ファンタジア』(1940年)で『禿山の一夜』のスケッチを担当したケイ・ニールセン*は1952年に本作のスケッチを開始した。

ジョン・ヘンチ*はメトロポリタン美術館で見たユニコーンのタペストリーを参考に複製物を作り、映画にその様式を取り込むことを提案した。1951年からディズニーに入社したアイヴァンド・アール*は『ピーター・パン』(1953年)でアシスタントとして背景画を担当した後、『グーフィーの闘牛士』(1953年)や『プカドン交響楽*』(1953年)で背景画家として活躍し、本作に抜擢された。アールはヘンチのデザインを直線的にすることで独自のスタイルを確立していった。

アールの画法はイタリア*のルネサンスやペルシャ画、日本*の印刷画に影響を受けていた。監督がジェロニミに変更すると、彼は「アールの絵は完璧すぎて、ムードが欠けている」と苦言を呈した。アールは公開を待たずして1958年3月にディズニーを退社。ジェロニミは残されたアールの絵の中世感を薄めて使用することとした。

アニメーション

本作でも、モデル俳優が演じた映像を基にアニメーションを作成した。ヘレーネ・スタンリーシンデレラに続いてオーロラ姫も担当した。彼女が着用する衣装はアリス・デイヴィスが担当し、アリスはこれがきっかけでアニメーターのマーク・デイヴィス*と結婚した。フィリップ王子はTVドラマ『Space Patrol』に出演していたエド・ケンマー*が担当した。マレフィセントのモデルは声を演じたエレノア・オードリーのほかにダンサーのジェーン・ファウラー*も担当した。他には女優のスプリング・バイングトン*フランシス・ベイヴィア*が参加した。

キャスト

初公開版 再公開版
オーロラ姫 メアリー・コスタ 高田敏江(台詞)
牧三都子(歌)
すずきまゆみ
フィリップ王子 ビル・シャーリー 宮本昭太(台詞)
砂川稔(歌)
古澤徹(台詞)
立花敏弘(歌)
マレフィセント エレノア・オードリー 北林谷栄 沢田敏子
フローラ ベルナ・フェルトン 長岡伸子 麻生美代子
フォーナ バーバラ・ジョー・アレン 長倉茂子 京田尚子
メリーウェザー バーバラ・ルディ 堀越節子 野沢雅子
ステファン王* テイラー・ホームズ 栗本正 徳川龍峰
ヒューバート王* ビル・トンプソン 中村哲 富田耕生
リア王妃* ベルナ・フェルトン 松田トシ
グーン* キャンディ・キャンディード
ダラス・マッケノン*
ピント・コルヴィグ
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ディアブロ* ダラス・マッケノン - -
ラッキー* - - -
ナレーター マービン・ミラー 森本レオ 佐々木勝彦


スタッフ

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楽曲

タグ:

長編映画
最終更新:2024年04月07日 23:23