ロリベ先生の作品が読めるのは
第二回 賢人会議
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/ghard/1270991333/
だけ!

第一部
東の空を灰色の分厚い雲が覆っている。
(ひょっとしたら雪が降るのかもしれない)
二の腕まである手袋を引き上げながら、フェリスは考えた。
格別に寒い年の一月の事である。恐らくフェリスの予想は当たるだろう。
冷たい風に煽られて耳元ではためくローブのフードが煩い。フェリスは右手を上げてフードを背中に追い遣る。
すると光を映じて輝く雪のような見事な銀色の髪が風に舞う。余計に煩わしくなったというように、フェリスはアイスブルーの瞳を曇らせた。左手で乱れる髪を押さえつける。
まだあどけなさを残す顔立ち。しかし、緊張の為か口元は硬く結ばれ表情は硬い。
「そろそろかしらね」
フェリスの左前方に立ち、望遠鏡を覗いていたアーヤが言った。
彼女はフードを背中に落とし、フェリスのほうに顔を向ける。
背中まである長い黒髪がふわりと揺れた。

第二部
横目で睨むトレイに、ザックは歯を剥き出しにして言った。
トレイは無言で正面に向き直り、歩き始める。フェリスは遅れないように早足で付いて行く。人が多すぎて目を離すとはぐれてしまいそうだ。
彼女はロート村出身で人込みに慣れていない。村の人口は少ないからである。従って人を避けて歩くのが下手だった。何度も人にぶつかっては謝りながら歩いている。
「あっ! ごめんなさい」
もう何度目か分からない衝突。彼女は反射的に謝ったが、そこにあるべき相手の姿がない。フェリスが怪訝そうに首を廻らせると、その理由は直ぐに分かった。
相手の身長が低かったからである。彼女は大人にばかりぶつかっていたので、相手の姿を上方にあるものだと思い込んでいたのだ。
フェリスがぶつかった少女は、彼女の腰ほどもない女の子だった。年齢は五、六歳ぐらいだろうか。妹のエリスよりも幼い。
薄汚れた白いワンピースを着ていて長い黒髪も埃まみれだ。せっかくの祭りだというのに少女の目は異様に暗い。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年05月13日 12:33