第8回口頭弁論期日①(2010年6月23日):被告準備書面(5)


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第8回口頭弁論期日(2010年6月23日)
陳述書面:被告準備書面(5)
http://watashinim.exblog.jp/11400158/


平成21年(ワ)第1 9 7 1 6号
原 告  金 光翔
被 告 (株)新潮社 外2名

準備書面(5)

平成22年6月16日
東京地方裁判所・民事第5部合議係 御中

被告等訴訟代理人
 弁護士  岡田 宰
  同   広津 佳子
  同   杉本 博哉

被告佐藤優訴訟代理人
 弁護士  安田 好弘


第1 原告の準備書面(3)に対する反論

1 「1、2、3、4について」とある部分について

 原告の従前の主張の繰り返しであり、改めて反論の必要は認められない。


2 「5 佐藤発言①について」について

(1)甲3号証の141頁から142頁の「人民戦線という罠」において、「佐藤論文は1本しか引用されていないから、被告の主張はそもそも事実認識が誤っている」との原告の主張こそ誤りである。
 同部分では、佐藤の「民族の罠・第6回(世界2005年12月号)」と、佐藤優・魚住昭「ナショナリズムという迷宮(朝日新聞社2006年12月)」の2本の論文が出典に引用されている。

(2)甲3号証の143頁から144頁の「『国民戦線』としての『人民戦線』」において、「佐藤論文は1本しか引用されていないから、被告の主張はそもそも事実認識が誤っている」との原告の主張こそ誤りである。
 同部分では、佐藤の「集団自決の教科書検定問題で文部官僚を追い込め(週刊金曜日・2007年9月14日号)」と、「国家の論理と国策捜査(マスコミ市民・2007年9月号)」の2本の論文が出典に引用されている。

(3)原告は、被告佐藤優自身、その著書(「自壊する帝国」・新潮社・2007年5月30日発行)で「ラトビア人民戦線」という用語を用いているとして被告を論難する。然しながら、これは1988年10月、ラトビア  のリガで「ラトビア人民戦線」と自ら名乗る政治勢力が誕生したという歴史的事実を描写したにすぎず、佐藤がその政治勢力に「ラトビア人民戦線」と名付けたわけではないから、原告の論難は失当である。

(4)繰り返しになるが、「人民戦線」とは歴史上の概念で、1935年のコミンテルン第7回大会で採用された政策で「ファシスト独裁」と「戦争」に反対する諸党派の共同戦線戦術でさすことは明白である。これを批判するのに学術的色彩より政党色の強い新日本出版社等の文献(甲45号証)などの記述を引用しても無意味である。
 又、同様に、歴史的概念を離れて、普通名詞として使用されている「人民戦線」という用語例を探し出し、その中に「反戦」の要素が含まれていないと執拗に繰り返しても、位相の異なる概念を比較対照することに他ならず、無益である。

(5)又、乙11号証は、週刊新潮編集部の荻原記者が佐藤優を取材した際のデータ原稿(取材後に取材結果をパソコンで打ち出したもの)であるが、誤記部分もそのまま訂正しないで当時(平成19年11月下句)のまま証拠として提出したものである。
 ところで、乙11号証の1頁15行目から16行目にかけての「そもそも私は『国民戦線』なる言葉を使ったことがない。これは不当要約です。」とある部分は、それに先立つ部分、即ち、乙11号証の12行目から15行目にかけての、「例えば、佐藤が言う『人民戦線』とは『国民戦線』であるとなる箇所(P143)かありますが、」に照らしてみると、「そもそも私は『人民戦線』なる言葉を使ったことがない。これは不当要約です」の誤記であることが容易に判明する。
 又、この部分を本件記事を執筆した塩見洋デスクが本件記事中に引用しなかったことに関し、原告は種々憶測をしているが、全くの見当違いである。
 単に「人民戦線」や「国民戦線」という用語が、現在の週刊新潮の一般読者にとってなじみの薄い用語であったからその部分を使わなかったに過ぎない。


3「第2 情報提供者の責任」とある部分について

 全て憶測に基づく主張であり、失当である。
 又、2009年3月14日に、原告が週刊新潮編集部に架電した際、編 集総務の佐貫とどのようなやりとりをしたかは不明であるが、週刊新潮編集部の塩見記者と佐藤が「毎日のようにやりとりしている」ような事実は全くない。


4「『社外秘』について」とある部分について

(1)岩波書店労働組合の調査嘱託への回答(乙16号証の2)によれば、組合機関誌「カベ新聞」の「想定している読者は社内で働く組合員で(あり)」その内容が社外に公表されることがないことを前提としてい(る)」ことが明白となった。
 このことを、「組合報が『内部文書』で外部への公表を前提としていない『社外秘』扱い(乙13号証)」と評価することはなんら間違いでない。

(2)原告は、「カベ新聞」が社員食堂に掲示されることから、「非組合員である役員や管理職が読むこともあり、ごく一部においては、社外の人間の目に触れることもあります」(乙16号証の2)こと等をとらえ、「社外秘」扱いへの疑問を呈するが、このようないわば例外的事実に着目して「カベ新聞」の性格を論ずることは誤りである。
 又、原告は今回の論文で「カベ新聞」を引用したことに関し、会社から何ら注意も受けていない旨も主張するが、組合紙記載内容が就業規則上の「会社の機密」に該当しないことは当然のことであって、原告の主張は論外である。


5「『岩波書店関係者』の証言の真実性」とある部分について

 全て争う。


6「本件記事執筆経緯の真相」とある部分について

(1)2008年1月10目、弁護士安田同席の下で、被告佐藤とインパクション編集長深田卓とが面談したのは事実である。安田は、被告佐藤、深田の両人と昵懇の間柄である。被告佐藤と深田は面識がないが、両人とも安田が他とそのような関係にあることを知悉していた。

(2)面談は、被告佐藤からの申入れによるもので、その意図は、インパクションが佐藤批判の著述を掲載することを編集方針とし、今後、佐藤批判の著述を積極的に掲載していくか否かを確認することであった。

(3)面談は、20分程度、安田の事務所で行われた。挨拶の後、被告佐藤から面談の意図が説明され、深田からインパクションにそのような編集方針がないことが述べられ、後は、雑談で終わった。

(4)原告が主張するような、原告の著述の内容や本件記事に言及する会話はなく、また、被告佐藤において原告が今後も佐藤批判をやってくることに脅えているような様子もなかった。もちろん、「手打ち」というような下世話なものではなく、言論人、出版人として、互いの立場を十分にわきまえた話であった。

(5)以上のとおり、原告の上記主張は、事実に反する。

以上
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