第1回口頭弁論期日①(2009年9月2日):原告訴状


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

第1回口頭弁論期日(2009年9月2日)
陳述書面:原告訴状
http://watashinim.exblog.jp/10176086/


訴状

2009年6月12日

東京地方裁判所民事部御中

事件名  
損害賠償等請求事件


原告

住所 <略>   (電話番号<略>)
氏名 金光翔


被告 

住所 〒162-8711 東京都新宿区矢来町71
氏名 株式会社新潮社
     代表者代表取締役 佐藤隆信

住所 〒162-8711 東京都新宿区矢来町71 株式会社新潮社気付
氏名 早川清

住所 <略>
氏名 佐藤優


訴訟物の価額 626万円
印紙額 3万6千円


請求の趣旨

一,被告株式会社新潮社,被告早川清は原告に対し,『週刊新潮』誌上に,別紙1記載の謝罪広告を,①見出し9ポイントのゴシック体②本文9ポイントの明朝体で,目次から二頁後の奇数頁に設定されたヨコ2/5Pのスペースの中に,1回掲載せよ。

二,被告佐藤優は原告に対し,『週刊新潮』誌上に,別紙2記載の謝罪広告を,①見出し9ポイントのゴシック体②本文9ポイントの明朝体で,第一項の謝罪広告が掲載されるスペースの中に,1回掲載せよ。

三,被告らは原告に対し,金600万円及びこれに対する,2007年11月29日より支払済みに至るまで年5分の割合による金員を連帯して支払え。

四,訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決及び第三項につき仮執行宣言を求める。


請求の原因

第一 当事者

1 原告

 原告は,株式会社岩波書店の社員であり,首都圏労働組合の組合員である。

2 被告ら

 被告株式会社新潮社(以下,「被告会社」という)は,出版社で,週刊誌『週刊新潮』(以下「本件雑誌」という)を定期的に発行している。

 被告早川清(以下,「被告早川」という)は,本件雑誌2007年12月6日号刊行時の同誌編集人兼発行人であり,現在は,株式会社新潮社取締役である。

 被告佐藤優(以下,「被告佐藤」という)は,外務省職員で,文筆活動も行なっており,多数の著作を刊行している。

第二 被告らによる違法行為

1 本件記事の掲載頒布

 被告会社および被告早川は,本件雑誌2007年12月6日号の53頁から54頁において,「「佐藤優」批判論文の筆者は「岩波書店」社員だった」」とのタイトルの記事(甲1。以下,「本件記事」という)を掲載し,本件雑誌同号は2007年11月29日から全国で発売・頒布された。

2 違法行為

 被告会社および被告早川は本件記事の本文において,原告について虚偽の事実に基づいて報道し,名誉を毀損しているものである。

 以下,本件記事中の虚偽部分を指摘しながらその不法行為を明らかにする。

(1)「岩波関係者」の証言による,原告が『世界』編集部で「“反総連の記事はけしからん!”」と「抗議」をしたとの本文の記述部分。

 原告は,「“反総連の記事はけしからん!”」などといった趣旨の発言は行なっていない。原告は,被告佐藤が,日本政府が「朝鮮総連の経済活動に対し「現行法の厳格な適用」で圧力を加えたこと」を擁護する際に,「国益」重視の下,マイノリティの「人権」に対して配慮する姿勢が一片も見られないことを,『世界』編集部で問題であると提起したが,「反総連」であるから「けしからん」などとは言っていない。

 また,『世界』編集部において,『世界』が被告佐藤を筆者として起用し続けることに,原告は異議を唱えたが,その際には,被告佐藤の諸発言における,朝鮮総連をめぐる問題に関するものだけではなく,イスラエルのレバノン侵略の肯定,首相の靖国参拝の肯定,『新しい歴史教科書』とその教科書検定通過の擁護といった点を取り上げ,こうした被告佐藤の主張は,従来『世界』が掲載してきたこれらの論点に関する記事・論文の論旨に真っ向から対立するものであり,かつ,『世界』としては譲れないはずの重要な論点ばかりであると指摘した。

 被告会社および被告早川は,原告が実際には,被告佐藤の多くの論点に関する発言を問題にしていたにもかかわらず,あたかも原告が朝鮮総連に関する件だけを問題にしていたかのように,ことさらに朝鮮総連に関する件のみを原告の発言として記述している。

(2)「岩波関係者」の証言による,原告が『世界』編集部で「“反総連の記事はけしからん!”“なぜ佐藤を連載に使うのか!”などと抗議をしたり,匿名で始めたブログで佐藤氏やジャーナリストの斎藤貴男氏など,社と関係の深い作家の批判を繰り返すようになった。編集長も持て余し,校正部に異動させたのです」との本文の記述部分。

 ここでは,一般読者の普通の注意と読み方からすれば,『世界』編集長が原告を持て余したからこそ,原告を異動させた,という記述内容であると解釈されるが,実際には,原告の方から,2006年12月6日に岡本厚『世界』編集長に口頭で異動願を出したのであり,この記述は事実に反している。また,ここで言及されている原告の運営するブログ「私にも話させて」(甲2)の開設は,2006年
12月4日であるから,異動願を原告が出したのと同時期であり,ブログによって編集長が原告を「持て余し」て「異動させた」という記述も,事実に反している。

(3)「岩波関係者」の証言による,原告の論文「<佐藤優現象>批判」(甲3。以下,「論文」という。論文は『インパクション』第160号(2007年11月10日発行。編集・発行は株式会社インパクト出版会)126頁から160頁に掲載された)においては,原告「の上司も実名を挙げられ,批判されている」との本文の記述部分。 

 論文で,原告が実名を挙げ,その発言を批判した岩波書店社員は,馬場公彦(岩波書店学術一般書編集部編集長)のみであるから,ここでの,「実名を挙げられ,批判され」た「上司」とは,馬場を指している。

 一般読者の普通の注意と読み方からすれば,ここでの「上司」とは,原告と職場を同じくするものと解釈されるが,馬場の所属する部署と原告が当時所属していた部署は,別であり,また,これまで,原告は馬場と同じ部署に所属したことはな
い。したがって,馬場が原告の「上司」であるとの証言は,事実に反している。

(4)「岩波関係者」の証言による,原告の論文においては,「社外秘のはずの組合報まで引用されているのですから,目も当てられません」との本文の記述部分。
ここでの「社外秘のはずの組合報」とは,論文で引用されている,「岩波書店労働組合「壁新聞」2819号(2007年4月)」を指している。

 岩波書店労働組合「壁新聞」は,岩波書店社内の食堂で,岩波書店労働組合が掲示している文書であるが,そもそもその食堂は,岩波書店の建物内で働く,岩波書店の社員ではない人々(DTP製作者,校正者,印刷業者等)や,岩波書店の出版物の著者も利用することがあり,そうした人々は,「壁新聞」を容易に目にし得るのであるから,「壁新聞」がそのまま「社外秘」になるという,この「岩波関係者」の証言の認識は奇妙である。また,原告は,論文発表時に至るまで,岩波書店および岩波書店労働組合から,「壁新聞」がそのまま「社外秘」であるという説明を受けておらず,また,非社員が容易に目にし得る労働組合の「組合報」(「壁新聞」)をそのまま「社外秘」であるとの認識を説明を受けていなかったとしても持っておくべきであるとする合理的理由がないことも明らかである。

 また,原告は,「壁新聞」について,今後も,外部に公開用の文章で引用・利用することがありうることを,「壁新聞」からの引用を不当だと原告に抗議した岩波書店労働組合に2007年11月15日に伝えており,同様の見解は,原告が所属する労働組合のブログ「首都圏労働組合特設ブログ」2007年12月1日付記事(甲4)でも,原告は明らかにしている。また,「首都圏労働組合特設ブログ」
2007年12月8日付記事(甲4)においては,原告は,岩波書店労働組合の主張を批判した上で,岩波書店労働組合が引用を不当だとした,論文に引用した箇所全文を,再度掲載している。また,論文も,原告が管理するブログ「資料庫」に,2008年1月27日に全文を掲載したが,初出掲載時の傍線は下線に,傍点は太字に,それぞれ改めたほかは修正していない(2008年7月7日に,誤字・初出掲載時の出版社による表記ミスを,適宜改めた)。岩波書店総務部長(取締役)小松代和夫氏は,2008年5月19日に,「首都圏労働組合特設ブログ」を読んでいる旨を原告に明言しているので(「首都圏労働組合特設ブログ」2008年7月23日付記事(甲5)参照),岩波書店労働組合経由での情報で元々知っているとは思われるが,岩波書店は,こうした原告の立場を明確に認識していると言ってよいと思われる。

 ところが,原告の論文が発表された後も,岩波書店労働組合が「壁新聞」の掲載をやめたという事実はなく,株式会社岩波書店が岩波書店労働組合に対して,「壁新聞」を廃止する等の措置を執った事実もない。また,原告のこうした見解について,岩波書店から,何ら注意も受けていない。したがって,仮に岩波書店が「壁新聞」をそのまま「社外秘」だとする見解を有していたとしても,その見解が実質を欠いており,また,前期の掲載様態上,そうした見解が現実には成立しないことも明らかである。

 また,原告が論文で「壁新聞」から引用した全文は,「今や論壇を席巻する勢いの佐藤さんは,アシスタントをおかず月産五百枚という。左右両翼の雑誌に寄稿しながら,雑誌の傾向や読者層に応じて主題や文体を書き分け,しかも立論は一貫していてぶれていない。」「彼の言動に共鳴する特定の編集者と密接な関係を構築し,硬直した左右の二項対立図式を打破し,各誌ごとに異なったアプローチで共通の解につなげていく。」「現状が佐藤さんの見立て通りに進み,他社の編集者と意見交換するなかで,佐藤さんへの信頼感が育まれる。こうして出版社のカラーや論壇の左右を超えて小さなリスクの共同体が生まれ,編集業を通しての現状打破への心意気が育まれる。その種火はジャーナリズムにひろがり,新聞の社会面を中心に,従来型の検察や官邸主導ではない記者独自の調査報道が始まる。」「この四者(注・権力―民衆―メディア―学術)を巻き込んだ佐藤劇場が論壇に新風を吹き込み,化学反応を起こしつつ対抗的世論の公共圏を形成していく。」であるが,ここには,「社外秘」であるとすべき記述が存在しないことは明らかである。引用箇所の筆者である馬場公彦が被告佐藤と昵懇の関係にあることは,岩波書店ホームページの佐藤優『獄中記』(岩波書店,2006年12月6日第1刷発行)の内容紹介(甲6)における馬場の「編集者からのメッセージ――佐藤優とは誰か?」とのタイトルの一文,『獄中記』462・463頁(甲7)の記述,佐藤優『国家の罠――外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社,2005年3月25日第1刷発行)397・398頁(甲8)の記述からも明らかであり,「社外秘」とは言えない。また,そもそも,ある編集者とある著者が昵懇の関係にあることを「社外秘」とまで言うことも,社会通念上,疑問とせざるを得ない。

 したがって,「岩波関係者」の証言による,原告の論文においては,「社外秘のはずの組合報まで引用されているのですから,目も当てられません」との本文の記述部分は,事実に反している。

(5)被告佐藤の発言による,論文に関する,「私が言ってもいないことを,さも私の主張のように書くなど滅茶苦茶な内容です。言論を超えた私個人への攻撃であり,絶対に許せません。そして,『IMPACTION』のみならず,岩波にも責任があります。社外秘の文書がこんなに簡単に漏れてしまう所とは安心して仕事が出来ない。今後の対応によっては,訴訟に出ることも辞しません」との本文の記述部分。

 論文において,社会通念上「滅茶苦茶」かつ「言論を超えた」「個人への攻撃」と認識される程度の,被告佐藤が「言ってもいないこと」をさも被告佐藤の主張のように書いた箇所はない。また,被告佐藤は,「私が言ってもいないことを,さも私の主張のように書くなど」と,論文中に,あたかも被告佐藤が「言ってもいないこと」をさも被告佐藤の主張のように書いた箇所以外にも,「滅茶苦茶な内容」の箇所があることを示唆しているが,そのような箇所はない。また,被告佐藤は,論文を「言論を超えた私個人への攻撃」だと主張しているが,論文は社会通念上の「言論」のルールに反しておらず,「言論を超えた」個人への攻撃ではない。また,論文によって,「社外秘の文書」が漏れたとの認識を示しているが,前4項で述べたように,そのような事実はない。

 また,前5項に引用した被告佐藤の発言は,前5項で指摘したように,原告についての虚偽の事実に基づいての発言であり,名誉を毀損しているものである。

 これらの虚偽の事実を掲載されたことで,原告の名誉は著しく毀損された。


第三 被告らの責任

 本件記事は,上記のとおり,原告の名誉を著しく毀損するものであるから,本件記事が掲載されている『週刊新潮』を発行した被告会社,『週刊新潮』の編集人兼発行人である被告早川が原告に対する不法行為責任を負うことは明らかである。

 また,本件記事において原告および原告の論文に関する虚偽の発言を行なっている被告佐藤は,原告に対する名誉毀損について共同不法行為責任を負う。


第四 違法性の重大さ

1 被告会社および被告早川が発行する『週刊新潮』は日本有数の発行部数を有する週刊誌であり,単純に発行部数と,新聞広告・吊革広告等の広告量の多さから見ても,同誌の影響力は大きなものである。

 その誌面における,「岩波関係者」の証言を用いた,原告が『世界』編集部で「“反総連の記事はけしからん!”“なぜ佐藤を連載に使うのか!”などと抗議をし」たとの記述は,一般読者の普通の注意と読み方からすれば,原告が朝鮮総連の熱心な構成員もしくは同調者であり,だからこそ被告佐藤の起用に反対し,また,論文において被告佐藤を批判しているかのように,原告の『世界』編集部における編集活動および論文執筆が,公正な立場から行われたものではないと読む者をして思わしめるものである。

 また,実際には原告は,2006年12月初旬時点の『世界』の編集方針と原告の思想信条が相反していることを理由として,『世界』編集長に口頭で異動願を出したという形で,適正な手続きに基づいて行なっているにもかかわらず,「岩波関係者」の証言を用いて,原告が『世界』編集部で「“反総連の記事はけしからん!”“なぜ佐藤を連載に使うのか!”などと抗議をしたり,匿名で始めたブログで佐藤氏やジャーナリストの斎藤貴男氏など,社と関係の深い作家の批判を繰り返すようになった。編集長も持て余し,校正部に異動させた」との記述は,あたかも原告が非理性的で,自分勝手で,非常識な人間であるかのように読む者をして思わしめるものである。

 また,「岩波関係者」の証言を用いた,原告の論文には「社外秘のはずの組合報まで引用されているのですから,目も当てられません」との記述は,あたかも原告が「社外秘」を社外に漏らすという,社会通念上,社会人としてふさわしくない人間であるかのように読む者をして思わしめるものである。

 また,「岩波関係者」の証言を用いた,原告の論文においては原告「の上司も実名を挙げられ,批判されている」との記述は,あたかも原告が私怨を込めて論文を書くような人間であるかのように読む者をして思わしめるものである。

 また,被告佐藤による,「私が言ってもいないことを,さも私の主張のように書くなど滅茶苦茶な内容です。言論を超えた私個人への攻撃であり,絶対に許せません。そして,『IMPACTION』のみならず,岩波にも責任があります。社外秘の文書がこんなに簡単に漏れてしまう所とは安心して仕事が出来ない。今後の対応によっては,訴訟に出ることも辞しません」との発言は,あたかも原告が他人の主張を捏造し,社会通念上の言論のルールを逸脱した攻撃を行なう人間であり,かつ,「社外秘」を社外に漏らすという,社会通念上,社会人としてふさわしくない人間であるかのように読む者をして思わしめるものである。

 これらの記事内容が虚偽のものであり,全く事実に反するものであることは極めて違法性の高いもので,本件記事を掲載したことで誤った認識を市民に与えた責任は大きく,重大な名誉毀損である。 
 なお,被告会社および被告早川は,本件記事の本文において,論文の筆者たる原告の実名を出した上で,「岩波関係者」の発言として,「金さんは,実は現役の岩波書店の社員」,「中途で入社し,宣伝部を経て『世界』編集部に配属されました。当初は通名でしたが,何時の間にか韓国名を名乗るようになった」などと,原告が本件記事掲載時には公開していなかった個人情報を摘示しているが,これは,原告のプライバシーを侵害しているものである。

2 原告は2009年3月27日付の申入書(甲9)を内容証明郵便で被告早川に送り,本件記事における原告に関する虚偽の記述,プライバシーの侵害の記述を指摘し,そうした記述に関する被告早川の認識等に関する質問を行うなど,徒に争うことなく穏便に解決すべく考え,善処を求めてきたのであったが,被告早川は,申入書で指定した質問への回答期日たる4月6日を過ぎても回答を送って来なかった。そのため,原告が4月14日に被告早川に電話で確認したところ,被告早川は電話に出ず,代わりに電話に出た『週刊新潮』編集部員佐貫は,『週刊新潮』としては,前記の申入書の諸質問について,回答するに値しないと認識しており,回答する気はない旨を述べた。この被告会社および被告早川の姿勢は,何らの誠意も見られぬもので,本件記事の違法性と重大さを考えると,このような状況のままであることは極めて不当なことと考えるものであり,よってやむなく本訴に及ぶ。

 また,被告佐藤は,本件記事において,「私が言ってもいないことを,さも私の主張のように書くなど滅茶苦茶な内容です。言論を超えた私個人への攻撃であり,絶対に許せません。」などと発言しているにもかかわらず,今日に至るまで,以下の諸点,すなわち,原告の論文において,社会通念上「滅茶苦茶」と認識される程度の,被告佐藤が「言ってもいないこと」をさも被告佐藤の主張のように書いた箇所はどこか,また,原告の論文において,被告佐藤が「言ってもいないこと」をさも被告佐藤の主張のように書いた箇所以外の「滅茶苦茶な内容」の箇所はどこか,また,原告の論文が,いかなる意味において,社会通念上の「言論」ではない,「言論を超えた」「個人への攻撃」であるかを,原告が認識できる範囲の一般刊行物において明らかにしていない。原告は被告佐藤に対して,前記申入書を送る前の2月25日付の公開質問状(甲10)を,内容証明郵便で被告早川宛てに送り,添付用紙にて,被告早川に同公開質問状を被告佐藤に渡すよう依頼した。同公開質問状においては,本段落で既に「以下の諸点」として記した諸点や,被告佐藤が,原告の認識していない何らかの刊行物で,原告に反論している事実があるか等を問うた。ところが,被告佐藤は,公開質問状が指定した質問への回答期日たる3月11日を過ぎても回答を送って来ず,4月11日の原告との電話における『週刊新潮』編集部員佐貫の回答によれば,3月14日もしくはその翌日に,『週刊新潮』編集部の本件記事執筆者が,原告が管理するブログ「資料庫」でインターネット上に公開されている,前記公開質問状と同一内容の公開質問状をプリントアウトしたものを,被告佐藤に送りたい旨を被告佐藤に連絡したところ,被告佐藤は,同公開質問状の受け取りを拒絶したとのことである。そして,今日に至るまで,被告佐藤は公開質問状への回答を原告に送って来ていない。この被告佐藤の姿勢は,何らの誠意も見られぬもので,本件記事の違法性と重大さを考えると,このような状況のままであることは極めて不当なことと考えるものであり,よってやむなく本訴に及ぶ。


第五 損害

 被告らによる上記虚偽事実の掲載頒布によって,原告の名誉は著しく毀損された。

 極めて影響力のある著名なメディアによって,右のような虚偽の事実を書かれ,虚偽の事実の発言を掲載されたことによる原告の信用失墜,精神的苦痛,打撃は量り知れないほど大きなものであり,被告らが原告による指摘,質問に対し,極めて不誠実な対応に接することで,それにより原告を訴訟提起にまで至らしめた物心両面にわたる負担は大きく,原告は少なくとも金600万円は下らない損害を被った。


第六 まとめ

 よって,原告は被告らに対し,不法行為に基づく損害賠償請求権によって,損害金のうち金600万円およびこれに対する不法行為の日である2007年11月29日から支払済みの日まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求めると同時に,原告の名誉回復のための措置として請求の趣旨第一項および第二項のとおり謝罪広告の掲載を求める。


証拠方法

一,甲1号証,『週刊新潮』2007年12月6日号53頁から54頁に掲載された「「佐藤優」批判論文の筆者は「岩波書店」社員だった」」とのタイトルの記事(目次含む)。

一,甲2号証,ブログ「私にも話させて」 2006年12月に掲載された記事。

一,甲3号証,『インパクション』第160号126頁から160頁に掲載された「<佐藤優現象>批判」とのタイトルの論文。

一,甲4号証,ブログ「首都圏労働組合特設ブログ」2007年11月から12月に掲載された記事。

一,甲5号証,ブログ「首都圏労働組合特設ブログ」2008年7月23日付記事。

一,甲6号証,岩波書店ホームページ 佐藤優『獄中記』(岩波書店,2006年12月6日第1刷発行)内容紹介(甲6)。

一,甲7号証,佐藤優『獄中記』(岩波書店,2006年12月6日第1刷発行)462・463頁。

一,甲8号証,佐藤優『国家の罠――外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社,2005年3月25日第1刷発行)397・398頁。

一,甲9号証,2009年3月27日付の被告早川宛の原告による申入書。

一,甲10号証,2009年2月25日付に原告が被告早川に送った被告佐藤への公開質問状。

一,甲11号証,2009年3月27日付の被告早川宛の原告による申入書の配達証明書(3月30日配達)。

一,甲12号証,2009年2月25日付に原告が被告早川に送った被告佐藤への公開質問状の配達証明書(2月26日配達)。

一,その余は,必要に応じて提出する。

添付書類
一,訴状副本 3通
一,甲号証の写し 各4通
一,商業登記簿謄本 1通


別紙1

 (見出し)謝罪広告
 (本文)本誌は,2007年12月6日号掲載記事「「佐藤優」批判論文の筆者は「岩波書店」社員だった」において,貴殿に関する記事を掲載しましたが,この記事中の貴殿に関する記述内容の主要な部分は,全く事実に反するものでした。貴殿の名誉を著しく毀損し,貴殿に多大なる迷惑をお掛けしたことを深くお詫び申し上げます。

 年 月 日

株式会社新潮社 代表取締役 佐藤隆信
『週刊新潮』前編集長 早川清 

金光翔殿


別紙2

 (見出し)謝罪広告
 (本文)私は,本誌2007年12月6日号掲載記事「「佐藤優」批判論文の筆者は「岩波書店」社員だった」において,貴殿が発表した論文「<佐藤優現象>批判」(『インパクション』第160号掲載)について,「私が言ってもいないことを,さも私の主張のように書くなど滅茶苦茶な内容です。言論を超えた私個人への攻撃であり,絶対に許せません」と発言しましたが,同論文は,そのようなものではありませんでした。貴殿の名誉を著しく毀損し,貴殿に多大なる迷惑をお掛けしたことを深くお詫び申し上げます。

 年 月 日

佐藤優

金光翔殿
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。