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ミスティック・シーアージ Mystic Theurge

 ミスティック・シーアージ(「神秘の術者」ほどの意)は自分の魔法能力に何ら境界をもうけることがなく、秘術と信仰に同じように情熱をそそぐことを両立しえないパラドックスとはまったく見なしていない。ミスティック・シーアージはありとあらゆる形の魔法を探し求め、単一の息苦しい規範だけに自分の知識を制限する事による自身への教えの否定に対し妥当性や論理性を見出さないが、多くのシーアージはただ単純に限りなきパワーを渇望する。動機がどうであろうと、ミスティック・シーアージは、感じとれるものこそ現実であり、多元宇宙の神々の力やアストラルのエネルギーを通じて、感じとれるものを行使することでこの現実のありようだけでなく運命をも操作し支配できる、と信じている。

 ミスティック・シーアージは、すでに秘術呪文と信仰呪文の両方を発動できるマルチクラスのキャラクターを引き寄せ、ミスティック・シーアージが得るパワーは両者の体得をいや増させる。

 役割:ミスティック・シーアージはどんなパーティーにとっても強力な構成員であり、攻撃に、防御に、そして治療に魔法を提供する。ミスティック・シーアージは秘術のアーティファクトや神聖なアーティファクト、魔法の伝承、信仰の啓示を求めて世界を旅し、そのグループのゴールが自分のそれと競合するのでなければ、ほとんどの者は冒険者のグループと協力することにまったくうしろめたさを覚えない。

 属性:ミスティック・シーアージの動機が利他主義や博愛の精神に由来することはまず滅多にないため、ほとんどの者は真なる中立、中立にして善、中立にして悪に偏りがちだ。秩序属性のミスティック・シーアージは、善であれ中立であれ悪であれ、稀であり、しばしばその力を社会の利益ないし支配のために使用する。職業柄強い自制心が一般に求められるため、混沌属性のミスティック・シーアージはそれよりもっと稀だ。

 ヒット・ダイスの種類:d6。

必要条件

 ミスティック・シーアージになるためには、キャラクターは以下の基準すべてを満たさなければならない。

 技能〈知識:宗教〉3ランク、〈知識:神秘学〉3ランク。

 呪文:2レベルの信仰呪文および、2レベルの秘術呪文を発動できる能力。

クラス技能

 ミスティック・シーアージのクラス技能(と各技能の対応能力)は、〈呪文学〉【知】、〈真意看破〉【判】、〈知識:宗教〉【知】、〈知識:神秘学〉【魅】。

 レベルごとの技能ランク:2+【知力】修正値。

表:ミスティック・シーアージ
レベル 基本攻撃
ボーナス
頑健
セーヴ
反応
セーヴ
意志
セーヴ
特殊 1日の呪文数
1 +0 +0 +0 +1 呪文融通(1レベル) 既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル/既存の信仰呪文を発動するクラスに+1レベル
2 +1 +1 +1 +1 既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル/既存の信仰呪文を発動するクラスに+1レベル
3 +1 +1 +1 +2 呪文融通(2レベル) 既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル/既存の信仰呪文を発動するクラスに+1レベル
4 +2 +1 +1 +2 既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル/既存の信仰呪文を発動するクラスに+1レベル
5 +2 +2 +2 +3 呪文融通(3レベル) 既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル/既存の信仰呪文を発動するクラスに+1レベル
6 +3 +2 +2 +3 既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル/既存の信仰呪文を発動するクラスに+1レベル
7 +3 +2 +2 +4 呪文融通(4レベル) 既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル/既存の信仰呪文を発動するクラスに+1レベル
8 +4 +3 +3 +4 既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル/既存の信仰呪文を発動するクラスに+1レベル
9 +4 +3 +3 +5 呪文融通(5レベル) 既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル/既存の信仰呪文を発動するクラスに+1レベル
10 +5 +3 +3 +5 合成呪文 既存の秘術呪文を発動するクラスに+1レベル/既存の信仰呪文を発動するクラスに+1レベル

クラス特徴

 以下のすべてがミスティック・シーアージ上級クラスのクラス特徴である。

 武器と防具の習熟:ミスティック・シーアージはどんな武器にも防具にも習熟していない。

 1日の呪文数:新たなミスティック・シーアージのレベルを得た時に、キャラクターは自分がこの上級クラスに就く前に属していた、秘術呪文が発動できるクラスいずれか1つと、および自分がこの上級クラスに就く前に属していた、信仰呪文が発動できるクラスいずれか1つのレベルが上がったかのように、1日に使える呪文数が増える。しかし、追加の1日の呪文数、追加修得呪文数(準備しない呪文の使い手の場合)、呪文を発動する際の有効レベルの上昇以外に、そのクラスのレベルが上がっていたなら得られたはずの他の利益を得ることはない。キャラクターがミスティック・シーアージになる前に秘術呪文が発動できるクラスを複数、信仰呪文が発動できるクラスを複数とっていたなら、レベルの上昇があるたびに、その新たなレベルをどのクラスにそれぞれ、1日の呪文数を決定するために適用するか決めなければならない。

 呪文融通(超常)/Combined Spells:ミスティック・シーアージは、自分が持ついずれかの呪文が発動できるクラスの使用可能な呪文スロットを使用して、別の呪文が発動できるクラスの呪文スロットとして呪文を準備したり発動したりできる。この方法で準備したり発動したりした呪文は、本来占める呪文スロットよりも呪文レベルが1レベル高い呪文スロットを使用する。発動する呪文が両方のクラスの呪文リストに載っている場合、この能力は低い方の呪文レベルで呪文を発動するために使用することはできない。クラス・レベルが1レベルの時、ミスティック・シーアージはいずれかの呪文が発動できるクラスの2レベル呪文スロットを使用して、別の呪文が発動できるクラスの1レベル呪文スロットとして呪文を準備できる。以後2レベルごとに、この方法で発動できる呪文の呪文レベルは1レベルずつ上昇し、9レベル時の5レベル呪文を最高とする(この時発動する呪文は6レベル呪文スロットを使用する)。発動する呪文の構成要素に変更はないが、それ以外は呪文を発動するのに使用する呪文発動能力のあるクラスのルールに従う。
 任意発動する呪文の使い手は、任意発動しないクラスがその日に準備した呪文のみを、その呪文がすでに発動済みであっても、この能力を使用するために選択できる。例えば、クレリック/ソーサラー/ミスティック・シーアージは。1レベル・クレリック呪文スロットを使用してブレス呪文を準備していた場合には、その呪文がすでにその日発動済みであったとしても、2レベル・ソーサラー呪文スロットを使用してブレス呪文を任意発動するために、この能力を使用することができる。

 合成呪文(超常)/Spell Synthesis:10レベルに到達したミスティック・シーアージは、1回のアクションで、自分が持つ呪文を発動できるクラスからそれぞれ1つずつ、2つの呪文を発動できる。いずれの呪文の発動時間も同じでなければならない。ミスティック・シーアージは呪文に関する決定をそれぞれ別個に行なうことができる。両方の呪文の効果を受けた目標はそれぞれの呪文に対して行なうセーヴに-2のペナルティを受ける。ミスティック・シーアージは発動した2つの呪文で呪文抵抗を克服するために行なう術者レベル判定に+2のボーナスを得る。ミスティック・シーアージはこの能力を1日に1回使用してよい。


パスファインダー・クロニクラー Pathfinder Chronicler

 勇敢な探検家にして失われたり忘れ去られたりした知識をあさるパスファインダー・クロニクラー(過去の事跡を記録する者)は典型的な冒険者であり、秘奥の真実、魔法の力を持つ持たないを問わず遺物やアーティファクト、目新しく神秘的な眺め、素晴らしいものやおそろしいものを求めて世界を探検する。ある者にとってはこうした旅は純粋に富のためであり、別の者にとっては発見の栄誉のためであり、そしてそれ以上に昨日、今日、明日の証書たる年代記を残さんとして歳月の骨子や忘れ去られた新時代の伝説をさらけ出すあらがいがたき衝動に突き動かされてのものだ。

 パスファインダー・クロニクラーのクラスは世界を紐解かれていない謎と見なす者を惹きつけ、従ってファイターやバードからウィザードやクレリック、そしてその中間にいるすべてに至るまで、多角的かつ多様な支持者を持つ。しかし、歴史家にして子孫の保護者たるその役目ゆえに、見込みがあるのは教養があり学問を好む者である。パスファインダー・クロニクラーとは単なるトレジャー・ハンター以上のものなのだ。

 役割:パスファインダー・クロニクラーの使命はしばしばパスファインダー・クロニクラーにパーティーのリーダーとしての役割を押しつけ、冒険は典型的にパスファインダー・クロニクラーの終わりなき探索に端を発し、終わりなき探索を軸に展開する。

 属性:パスファインダー・クロニクラーの属性はその動機を大いに決定付ける。善属性のキャラクターは己の使命を気高き冒険と見なしがちであり、中立属性のキャラクターは知識のために知識を保護せんと探し求め、悪属性のキャラクターは富を蓄積し己の栄誉としようとの衝動に突き動かされる。

 ヒット・ダイスの種類:d8。

必要条件

 パスファインダー・クロニクラーになるためには、キャラクターは以下の基準すべてを満たさなければならない。

 技能〈芸能:朗誦〉5ランク、〈言語学〉3ランク、〈職能:書記官〉5ランク。

 特殊:他者(PCは不可)が少なくとも50gpを払うような(魔法の巻物などの装置以外の)何かを著すか書き記すかしたことがなければならない。

クラス技能

 パスファインダー・クロニクラーのクラス技能(と各技能の対応能力)は、〈威圧〉【魅】、〈鑑定〉【知】、〈騎乗〉【敏】、〈言語学〉【知】、〈芸能〉【魅】、〈交渉〉【魅】、〈真意看破〉【判】、〈生存〉【判】、〈脱出術〉【敏】、〈知覚〉【判】、〈知識〉(どれでも、別々の技能として修得すること)【知】、〈手先の早業〉【敏】、〈はったり〉【魅】、〈変装〉【魅】、〈魔法装置使用〉【魅】。

 レベルごとの技能ランク:8+【知力】修正値。

表:パスファインダー・クロニクラー
レベル 基本攻撃
ボーナス
頑健
セーヴ
反応
セーヴ
意志
セーヴ
特殊
1 +0 +0 +1 +1 バードの知識底なしのポケット書記の達人
2 +1 +1 +1 +1 物語ることこそ我が人生道探し
3 +2 +1 +2 +2 バードの呪芸援護強化
4 +3 +1 +2 +2 叙事詩
5 +3 +2 +3 +3 ささやきのキャンペーン
6 +4 +2 +3 +3 アクション鼓舞(移動)
7 +5 +2 +4 +4 伝説招来
8 +6 +3 +4 +4 上級叙事詩
9 +6 +3 +5 +5 アクション鼓舞(標準)
10 +7 +3 +5 +5 いと貴き死者の調べ

クラス特徴

 以下のすべてがパスファインダー・クロニクラー上級クラスのクラス特徴である。

 バードの知識(変則)/Bardic Knowledge:この能力はまさしくバードの同名能力と同じものであり、パスファインダー・クロニクラー・レベルは同様の能力を授ける他のあらゆるクラスのレベルと累積する。

 底なしのポケット(変則)/Deep Pockets:パスファインダー・クロニクラーは、伝承と同じくらい、アイテムも収集し、旅しながら少量のあれこれを拾い集めていく。結果として、パスファインダー・クロニクラーはクラス・レベルごとに最大で100gpまでの価値の不特定の装備を運搬していてよい。運搬しているものは、ポーションや巻物を含め(ただしそれ以外の種類の魔法のアイテムは不可)、背負い袋に無理なく収まるならどのような装備であってもよい。1回の全ラウンド・アクションとして、パスファインダー・クロニクラーは自分のポケットをまさぐってその時に特定したアイテムを取り出すことができ、割り当て額からアイテムの市価ぶんを差し引く。このアイテムの重量は10ポンドを超えてはならない。合計残高が0となったら、少々の時間と合計でクラス・レベルごとに100gpの満額を充当するだけの金銭を費やして底なしのポケットを詰め替えるまで、パスファインダー・クロニクラーはそれ以上アイテムを取り出すことはできない。
 加えて、1日ごとに1時間かけて装備を荷造りすると、パスファインダー・クロニクラーは自分の軽荷重を求めるための【筋力】に+4のボーナスを得る。この【筋力】ボーナスは最大荷重限界にはまったく影響しない。重量を効率的に配分することで、通常の同じ重量のものよりも妨げにならないのだ。最後に、パスファインダー・クロニクラーは自分の身体に小さな物を隠すために行なう〈手先の早業〉判定に+4のボーナスを得る。

 書記の達人(変則)/Master Scribe:パスファインダー・クロニクラーは、〈言語学〉および〈職能:書記官〉判定、および巻物などの筆記された魔法のアイテムに関わる〈魔法装置使用〉判定に、自分のパスファインダー・クロニクラー・レベルをボーナスとして加える。パスファインダー・クロニクラーは、1回の全ラウンド・アクションとして、〈言語学〉判定を行なって文章を解読することができ、かつたとえ精神的重圧を受けたり気が散ったりする状況にあっても、〈言語学〉判定および〈職能:書記官〉で常に“出目10”をとることができる。

 物語ることこそ我が人生(変則)/Live to Tell the Tale:クラス・レベルが2レベルになると、クラス・レベル2レベルごとに1日1回、パスファインダー・クロニクラーは、直前のターンに自分がセーヴィング・スローに失敗した持続中のあらゆる状態に対して、たとえその効果が通常であれば恒久的なものであっても、新たなセーヴィング・スローを試みることができる。この能力は、セーヴィング・スローを行なえない状態や持続時間が“瞬間”の効果に対しては、何の効果もない。

 道探し(変則)/Pathfinding:2レベルに達すると、パスファインダー・クロニクラーは、優れた方向感覚と、移動困難な地形や古代の地図に従って他の者を導く技を発展させる。パスファインダー・クロニクラーは、道に迷わずに済むために行なう〈生存〉判定、およびメイズ呪文から脱出するための【知力】判定に+5のボーナスを得る。加えて、パスファインダー・クロニクラーは、“道のない土地”にいる場合であっても、徒歩であれ騎乗してであれ、常に“道、踏み分け道”の野外移動速度を使用できる。DC15の〈生存〉判定に成功すると、パスファインダー・クロニクラーはクラス・レベル1ごとに1体の仲間にもこの利益をもたらすことができる。

 バードの呪芸(超常)/Bardic Performance:クラス・レベル3以降、パスファインダー・クロニクラーは、有効バード・レベルが(パスファインダー・クロニクラー・レベル-2)であることを除いてバードの同名能力と同様に働く、この能力を獲得する。有効バード・レベルを決めるうえで、パスファインダー・クロニクラー・レベルは類似の能力を授けるその他のクラスのクラス・レベルと累積する。

 援護強化(変則)/Improved Aid:パスファインダー・クロニクラーは頻繁に偉大なる英雄たちの相棒役を務め、彼らの傍らにあってその行ないを記録していくのだが、しばしば極めて重大な救いの手を差しのべている。クラス・レベル3の時点で、援護アクションを使用するパスファインダー・クロニクラーは、通常の+2ではなく、+4のボーナスを授ける。

 叙事詩(超常)/Epic Tales:クラス・レベルが4レベルになったパスファインダー・クロニクラーは、物語を著すことで、その書かれた言葉を通して心を震えさせ、感動させ、そうして呪歌の効果をもたらすことができる。叙事詩を作成するには、パスファインダー・クロニクラーは叙事詩の持続時間(最大持続時間10ラウンド)の2倍に等しいバードの呪芸のラウンド数を消費してバードの呪芸を行う必要があり、かつ関連する技能判定は〈芸能〉の代わりに〈職能:書記官〉になる。叙事詩はその読み手1体にのみ効果を及ぼすが、通常なら聞くことで適用される呪芸の利益がすべて与えられる。パスファインダー・クロニクラーは、バードの呪芸に影響を与える特技の効果を叙事詩に適用してもよい。叙事詩は超常的な効能を、クラス・レベル1レベルごとに1日の間、保持する。著すのには1時間かかり、起動には1回の全ラウンド・アクションが必要で、持続時間は作成する際に費やしたバードの呪芸のラウンド数の1/2である。起動されたら、叙事詩の魔力は消費される。

 ささやきのキャンペーン(変則)/Whispering Campaign:パスファインダー・クロニクラーは情報のコントロールと世論を形成する能力で世間に影響を及ぼす。クラス・レベル5以降、バードの呪芸の特別な使い方として、パスファインダー・クロニクラーは、クリーチャー1体の容姿を非難することにより、自分のパスファインダー・レベルと同じレベルのソーサラーが発動したドゥーム呪文の効果を作り出すことができる。この能力は[言語依存]効果である。
 それ以外にも、パスファインダー・クロニクラーは他者に対して特定の目標(個人または定義可能なクリーチャーのグループ)のことを訴えかけることができる。この形でのバードの呪芸はエンスロール呪文の効果を作り出すが、芸が終了するとセーヴに失敗したすべてのクリーチャーは、パスファインダー・クロニクラー・レベルごとに1日の間、朗誦の対象に対する態度が(パスファインダー・クロニクラーが選んだ方向に)1段階変化する。

 アクション鼓舞(超常)/Inspired Action:バードの呪芸の特別な使い方として、6レベルに達したパスファインダー・クロニクラーは自分の声が聞こえる範囲内にいる仲間1体を説き伏せて突発的に行動させることができ、効果を受けた仲間は直ちに追加の1回の移動アクションをとることができる。このアクションは仲間自身のターンの仲間のアクションには数えない。
 9レベルに達すると、パスファインダー・クロニクラーは、移動アクションの代わりに、仲間1体に直ちに1回の標準アクションをとらせることができる。

 伝説招来(超常)/Call Down the Legends:7レベルになると、7日に1回、1回の全ラウンド・アクションとして、パスファインダー・クロニクラーは、ブロンズ・ホーン・オヴ・ヴァルハラを使用したかのように、人間の4レベル・バーバリアンを2d4体招来できる。この能力で招来されたバーバリアンは全面的な忠誠心を持ってパスファインダー・クロニクラーに仕えてくれる。招来されたバーバリアンは人造クリーチャーであり、実際の人物ではない(そのように見えはするが)。招来されたバーバリアンはバーバリアンの開始パッケージにある装備品を装備して現れ、パスファインダー・クロニクラーが戦うよう命じた相手を誰であれ攻撃する。

 上級叙事詩(超常)/Greater Epic Tales:クラス・レベル8の時点で、パスファインダー・クロニクラーが記した文書は力を持つ。大声で読み上げると著者がバードの呪芸能力を使用したかのようにバードの呪芸が効果を表すが、この効果は読み上げた者を対象とし、かつ必要があれば読み上げた者の【魅力】を使用するということを除いて、この能力はパスファインダー・クロニクラーの叙事詩能力と同様に働く。

 いと貴き死者の調べ(超常)/Lay of the Exalted Dead:7日に1回、1回の全ラウンド・アクションとして、クラス・レベルが10レベルに到達したパスファインダー・クロニクラーは、アイアン・ホーン・オヴ・ヴァルハラを使用したかのように、人間の5レベル・バーバリアンを1d4+1体招来できる。この能力で招来されたバーバリアンは全面的かつ疑いようのない忠誠心を持ってパスファインダー・クロニクラーに仕えてくれる。招来されたバーバリアンは(非実体)の副種別を持つ人造クリーチャーである(非実体のクリーチャーは実体のものによるダメージの50%を受け、魔法の力を持たぬものからはダメージを受けない)。招来されたバーバリアンは+2スタデッド・レザーを着て、(実体のあるクリーチャーに完全なダメージを与えることができる)+1ゴースト・タッチ・グレートアックスを手にして現れ、パスファインダー・クロニクラーが戦うよう命じた相手を誰であれ攻撃する。パスファインダー・クロニクラーと仲間にとって、招来された高貴なる死者は気高き幽玄の戦士の軍勢のように現れる。しかし、パスファインダー・クロニクラーの敵は古代の英雄のおそるべき怒りに目をみはり、意志セーヴ(DC15+パスファインダー・クロニクラーの【魅力】修正値)を行なわなければならず、失敗すると招来されたバーバリアン1体ごとに1ラウンドの間怯え状態になる。


シャドウダンサー Shadowdancer

 文明化された人々は常に夜を恐れ、影が長くなりまさに闇を徘徊するクリーチャーに気をつける頃合になると、あるいは戸口を閉ざし、あるいはかがり火に慰みを得る。それでもなお、はるか昔、ある者が敵に打ち勝つ最良の手段は闇にいだかれることだと悟った。かの者こそ最初のシャドウダンサー(影の踊り手)である。

 シャドウダンサーは光と闇の境界に身を置き、そこで影を織り成して半ば視認できる欺きの技の匠となる。規定の道徳観や慣習法にとらわれぬシャドウダンサーは、闇に価値を見出す多岐にわたる種類の冒険を包括する。呪文の使い手はシャドウダンサーの能力を使って隠れながら安全に呪文を発動し、その後はすばやく離脱する。接近戦を熱烈に愛するクラスは敵に意外性のある攻撃をくわえるシャドウダンサーの能力を享受する。シャドウダンサーの中にはまったくの文字通りに名が体を表しているものさえおり、薄気味悪くはあるが神秘的な芸人や舞踏家となるのだが、大抵はその欺きと潜入の能力がもたらす誘惑によりシャドウダンサーは盗賊としての人生へと転じていく。

 役割:シャドウダンサーは多種多様な理由で冒険に出る。多くの冒険パーティーは、その信じがたいほどの隠密性と期待しがたい状況でも電光石火の攻撃で敵を不意討ちする能力により、シャドウダンサーをチームの有益なメンバーと見なす。この理由から、しばしばシャドウダンサーの助けを斥候やスパイを必要とするグループが求めてくる。

 属性:見た目通りに裏表のあるトリックスターとしての本質のため、シャドウダンサーが秩序の範疇に気持ちよく収まることはない。多くの者はシャドウダンサーの能力を公的権威の目を逃れるのに使う。闇の輩であるとはいえ、シャドウダンサーは生来の悪でもなければ善に傾倒しているわけでもない。シャドウダンサーにしてみれば、闇は単に闇でしかなく、無知蒙昧の輩に作られたよくある道徳的含意など何一つありはしないのだ。

 ヒット・ダイスの種類:d8。

必要条件

 シャドウダンサーになるためには、キャラクターは以下の基準すべてを満たさなければならない。

 技能〈隠密〉5ランク、〈芸能:舞踏〉2ランク。


クラス技能

 シャドウダンサーのクラス技能(と各技能の対応能力)は、〈隠密〉【敏】、〈軽業〉【敏】、〈芸能〉【魅】、〈交渉〉【魅】、〈脱出術〉【敏】、〈知覚〉【判】、〈手先の早業〉【敏】、〈はったり〉【魅】、〈変装〉【魅】。

 レベルごとの技能ランク:6+【知力】修正値。

表:シャドウダンサー
レベル 基本攻撃
ボーナス
頑健
セーヴ
反応
セーヴ
意志
セーヴ
特殊
1 +0 +0 +1 +0 影隠れ
2 +1 +1 +1 +1 身かわし暗視直感回避
3 +2 +1 +2 +1 ローグの技影の幻術シャドウ招来
4 +3 +1 +2 +1 影の召喚影渡り40フィート
5 +3 +2 +3 +2 打撃のいなし直感回避強化
6 +4 +2 +3 +2 ローグの技影渡り80フィート
7 +5 +2 +4 +2 心術破り
8 +6 +3 +4 +3 影渡り160フィート、影の威力
9 +6 +3 +5 +3 ローグの技
10 +7 +3 +5 +3 身かわし強化影渡り320フィート、影のあるじ

クラス特徴

 以下のすべてがシャドウダンサー上級クラスのクラス特徴である。

 武器と防具の習熟:シャドウダンサーはクオータースタッフ、クラブ、(ハンド、ライト、ヘヴィ)クロスボウ、サップ、ショート・ソード、(普通およびコンポジットの)ショートボウ、ダーツ、ダガー(すべての種類)、モーニングスター、メイス、レイピアに習熟している。シャドウダンサーは軽装鎧に習熟しているが、盾には習熟していない。

 影隠れ(超常)/Hide in Plain Sight:シャドウダンサーは人々に見られている時でも〈隠密〉技能を使用することができる。薄暗い照明の範囲から10フィート以内にいるならば、シャドウダンサーは背後に身を隠せるようなものが一切ない開けた場所でも姿を隠すことができる。ただし、自分の影に隠れることはできない。

 身かわし(変則)/Evasion:クラス・レベルが2レベルになると、シャドウダンサーは身かわし能力を得る。普通ならキャラクターが反応セーヴィング・スローを試みて成功すればダメージを半分にできるような、あらゆる効果にさらされた場合、シャドウダンサーは反応セーヴィング・スローに成功すれば、まったくダメージを受けなくなる。身かわし能力は、シャドウダンサーが軽装鎧を着ている時か、まったく鎧を着ていない時にのみ使用できる。

 暗視(変則)/Darkvision:クラス・レベルが2レベルになると、シャドウダンサーは範囲60フィートの暗視を得る。シャドウダンサーがすでに暗視を持っていたら、その暗視の範囲が30フィートぶん増加する。

 直感回避(変則)/Uncanny Dodge:クラス・レベルが2レベル以上で、シャドウダンサーは、たとえ不可視状態の敵に攻撃された場合であっても、立ちすくみ状態になることはない(訳注:この記述と同様のものはバーバリアンにもあったがそちらはエラッタで変更されたため、シャドウダンサーの直感回避も同様に変更した方が良い可能性がある)。シャドウダンサーが動けない状態になれば、やはりACへの【敏捷力】ボーナスは失われてしまう。この能力を持つシャドウダンサーは、相手がシャドウダンサーに対するフェイント・アクションに成功した場合、やはりACへの【敏捷力】ボーナスを失う。
 シャドウダンサーがすでに他のクラスで直感回避を獲得していた場合、シャドウダンサーは直感回避の代わりに“直感回避強化”を自動的に獲得する。

 ローグの技/Rogue Talent:3レベルに到達した際、および以降の3レベルごとに、シャドウダンサーは敵を仰天させることができる特殊能力を得る。この能力はローグの技と同様に働く。シャドウダンサーは個々の特殊能力を2回以上選ぶことはできない。シャドウダンサーが上級の技を持っていたら、シャドウダンサーは代わりにローグの上級の技のリストから選択できる。

 影の幻術(擬呪)/Shadow Illusion:クラス・レベル3レベル以降、シャドウダンサーは視覚的な幻を作り出すことができるようになる。この能力はサイレント・イメージのように働き、シャドウダンサー・レベルを術者レベルとして使用する。シャドウダンサーはこの能力を自分が持つシャドウダンサー・レベル2レベルごとに1日に1回使用できる。この能力のセーヴDCは【魅力】に基づく。

 シャドウ招来(超常)/Summon Shadow:クラス・レベルが3レベルになると、シャドウダンサーは影のようなアンデッドである、シャドウを招来することができるようになる。通常のシャドウと異なり、このシャドウはシャドウダンサーと同じ属性を持ち、同族を作ることができない。この能力で招来されたシャドウは、正のエネルギー放出によるダメージを半分にするために行なう意志セーヴに+4のボーナスを受け、退散したり、支配したりすることはできない。このシャドウはシャドウダンサーに相棒として仕え、シャドウダンサーと明瞭に意志の疎通をとることができる。このシャドウはシャドウダンサーの合計ヒット・ポイントの半分に等しいヒット・ポイントを持つ。このシャドウはシャドウダンサーの基本攻撃ボーナスと基本セーヴ・ボーナスを使用する。
 相棒のシャドウが破壊されたり、シャドウダンサーがシャドウを解雇したりすることにした場合、シャドウダンサーは頑健セーヴィング・スロー(DC15)を行なわなければならない。このセーヴィング・スローに失敗すると、シャドウダンサーは恒久的な負のレベル1レベルぶんを得る。セーヴィング・スローに成功すれば、負のレベルを受けずにすむ。相棒のシャドウが破壊されたり、シャドウダンサーが解雇したりした場合、30日の間、代わりを見つけることはできない。

 影の召喚(擬呪)/Shadow Call:4レベルに達すると、シャドウダンサーは素のままの影からクリーチャーや効果を作り出すことができるようになる。この能力はシャドウ・カンジュレーションのように働き、シャドウダンサー・レベルを術者レベルとして使用する。シャドウダンサーはクラス・レベル4の時点でこの能力を1日に1回使用でき、4レベルを超える2レベルごとに追加で1日に1回使用できる(6レベル時は2回/日、8レベル時は3回/日、10レベル時は4回/日)。クラス・レベルが10レベルに到達した時点で、この能力はグレーター・シャドウ・カンジュレーションのように働く。この能力のセーヴDCは【魅力】に基づく。

 影渡り(超常)/Shadow Jump:クラス・レベル4レベル以降、シャドウダンサーはディメンジョン・ドア呪文を使ったかのように影と影の間を移動する能力を得る。この魔法による移動は、少なくとも何らかの薄暗い照明の範囲内で始まり、別の薄暗い照明の範囲内で終わらなければならないという制限がある。シャドウダンサーはこの方法で、1日に合計で40フィートまで跳躍することができる。これは40フィートの跳躍を1回でもよいし、10フィートの跳躍を4回でもよい。それ以降クラス・レベルが2レベル成長するごとに、シャドウダンサーが1日に跳躍できる距離は倍々に増えていく(6レベルで80フィート、8レベルで160フィート、10レベルで320フィート)。この距離は何回もの跳躍に分割することはできるが、それぞれの距離は、どれだけ短いものであろうと、10フィート単位で計算される。

 打撃のいなし(変則)/Defensive Roll:クラス・レベルが5レベルから、1日1回、シャドウダンサーは命取りになりかねない打撃の力を逃そうと試みることができる。この能力はローグの同名の上級の技と同様に働く。

 直感回避強化(変則)/Improved Uncanny Dodge:クラス・レベルが5レベル以上のシャドウダンサーは挟撃されなくなる。この防御を持つシャドウダンサーに対して、ローグは挟撃による急所攻撃を行なうことができない。ただし、ローグのクラス・レベルが、目標のシャドウダンサー・レベルより4レベル以上高い場合、ローグは急所攻撃を行なうことができる。
 このキャラクターがすでに他のクラスで直感回避を獲得していた場合、ローグに挟撃され得るかどうかを判断する際、直感回避を授けるクラスのクラス・レベルをすべて累積させることができる。

 心術破り(変則)/Slippery Mind:7レベル以降、シャドウダンサーは心術呪文をはねつけるようになる。この能力はローグの同名の上級の技のように働く。

 影の威力(擬呪)/Shadow Power:8レベルに達したシャドウダンサーは素のままの影を用いて敵にダメージを与えることができる。この能力はシャドウ・エヴォケーションのように働き、シャドウダンサー・レベルを術者レベルとして使用する。シャドウダンサーはクラス・レベル8の時点でこの能力を1日に1回使用でき、10レベルに到達すると追加で1日に1回使用できる。この能力のセーヴDCは【魅力】に基づく。

 身かわし強化(変則)/Improved Evasion:このクラス・レベルが10レベルの時に得られる能力は、身かわし能力と同様に機能する(上記参照)。シャドウダンサーは、反応セーヴに成功すればダメージが半分になる攻撃に対して反応セーヴに成功すればまったくダメージを受けない。さらに、セーヴィング・スローに失敗しても半分のダメージしか受けない。

 影のあるじ(超常)/Shadow Master:クラス・レベルが10レベルに到達すると、シャドウダンサーが薄暗い照明の範囲内にいる場合はいつでも、シャドウダンサーはDR10/―およびすべてのセーヴィング・スローに+2の幸運ボーナスを得る。加えて、シャドウダンサーが薄暗い照明の範囲内にいる敵に対してクリティカル・ヒットとなった場合はいつでも、その敵は1d6ラウンドの間盲目状態となる。
最終更新:2021年11月03日 11:56